平成25年7月委員会会議会議録

更新日:2013年9月2日

大阪府教育委員会会議会議録

1 会議開催の日時

平成25年7月24日(水) 午前9時32分 開会
                                           
午前11時38分 閉会

 2 会議の場所

  大阪府公館

3 会議に出席した者

委員長隂山 英男
委員長職務代理者小河 勝
委員中尾 直史
委員立川 さおり
委員木村 知明
教育長中原 徹
教育監津田 仁
教育次長藤井 睦子
教育総務企画課長見浪 陽一
教育振興室長和田 良彦
高等学校課長丸岡 俊之
市町村教育室長吉美 学
教職員室長山本 讓

4 会議に付した案件等

報告事項 入学者選抜における選抜事務に関する分析及び改善の検討状況について 

5 議事等の要旨

(1) 会議録署名委員の指定

立川委員を指定した。

(2) 前回の会議録について

全員異議なく承認した。

(3) 議案の審議等

 

◎ 報告事項 入学者選抜における選抜事務に関する分析及び改善の検討状況について

【議案の趣旨説明(高等学校課長)】

平成25年度選抜において、府立大手前高等学校で合否判定ミスが生起したことを契機に、合計3校の合否判定ミスを含めて、多くの採点等の誤りが発見された件について、原因の分析及び今後の改善策の検討状況を委員会に報告する件である。

  

【委員の質問及び意見】

(中原教育長) 配点ミスや集計ミスの大きな原因としては、解答用紙の作り方があるが、解答用紙を修正すると全て解決するというもではなく、それ以外の解決策として(1)から(6)までをお示しさせていただいたものである。大きな論点としては、採点期間、解答用紙の工夫や採点の仕方、マークシート導入の可否という3つの論点がある。

(木村委員) 模試業者の工夫を見ていると、配点が2,3種類で収まっているケースが多く、シンプルな形の方が採点ミスが少なくなる。大問ごとに、基礎・標準・発展のように分けたり、記号問題だけや、記述でも単語を書かせる問題と論述させる問題を分けること、配点別に解答欄の枠を変えるなどの工夫がある。また、他の都道府県に比べ、大阪府では論述問題、記述問題が増えているように思う。論述問題では採点ミスが多くなる傾向があるので、少なめにする事も一つの案となると思う。採点の方法として2系統とすることは賛成である。期間については、長ければ正確性が高まるとも言い切れないので、短くても採点者が採点に集中できる環境を整えることが大きなポイントとなる。一部で飲食しながらの採点があるとの声も聞こえてきている。また、専門教科の先生が採点することがベストだと思う。ボーダーゾーンの配点についても各学校で異なるのであれば統一するなども一つの案となる。最後に、複数の模試業者や予備校関係者等にどのような工夫をしているのかを聞いてみるのも良いのではないか。

(中原教育長) 今頂いた意見は参考にさせていただきたいが、事務局の考えと異なる点を4点挙げさせていただく。論述が多いからミスが多くなるという傾向は今回についてはあまり見受けられなかった。確定的な見解ではないが、大阪の論述は学界から評価されているという認識にあり、他の都道府県でも論述を増やしていこうという動きがある。日数のところでは、日数が足りないとは考えていない。資料1からも分かるとおり、他の都道府県との比較で、大阪だけが過度な労務を強いているかというとそうではない。論述を減らすなり、論述があるから日数を増やすということは今の所考えてない。飲食の部分については、お茶飲み会のようにお喋りしていてはいけないが、水も飲んではいけないということではなく、合理的な範囲で学校長のマネジメントに任せていきたいと考えている。英語の知識、数学の知識が無ければ採点できない問題について、他教科の教員が採点しているということはないと思う。あるとすれば、記号だけの採点やある一定の単語や言葉以外は不正解となるような単純な採点に限ってしているはず。ボーダーゾーンについては、今回ミスがあったので偉そうなことは言えないが、できるだけ学校の特色を出してもらいたいという中で、校長が一番メッセージを出せるのは入試となるため、一概に統一するとなるとメリットデメリットがあり、検討が必要と考えている。

(小河委員長職務代理者) この場であまり個別具体的な事項を検討することは我々の役割からずれていくように思う。全体的に採点業務の技術的なシステムの分析整理をもう一度すべきではないか。誤りを防ぐ方式をどのようにしていくべきなのか。例えば会計帳簿などは縦横の表で合わなければすぐに不具合が出てくるように、全体の構造をどのように制御すべきかということを分析的に教えていただきたい。それに対応した形で、問題に対する解答のやり方を変えていく、答え方を採点しやすいように変えていくということの検討も必要ではないか。

(中原教育長) その対策をまさに「2」の所で示している。例えば会計帳簿のような確認が2系統という解決方法である。今迄は一枚の答案を違う人がペンの色を変えて、誰かが採点したものを上から確認していた。ところが、今考えているのは答案をコピーしてそれぞれを別人が採点し摺合せるというもの。更に解答欄の工夫を同時にするというもの。

(小河委員長職務代理者) そのことは分かるのだが、2点を3点と間違っていたことなどは非常に初歩的な構造的な問題なので、そのことを防げる方法はあると思う。

(中尾委員) 私は公立で4年、私立で6年と10年間校長をしてきた。公立と私立の違いは、私立は自分達で問題を作成し、解答欄も作成することである。企業における品質管理の問題のように学校の中で防ぐ仕組みができているのか。それがマニュアル等に落とし込まれているのか。また、単にマニュアルに書いてあるだけでなく、採点にあたって校長先生が、誰が何をどの様に進めていくのかを全員に周知徹底しているのかということが非常に大切である。また、最終責任者が誰なのかということを明確にしておくことも大切である。聞きたいことは、各学校で仕組みがマニュアル化されていたのか。また、校長先生が全教諭を集めて、周知徹底していたのか。また、このような問題が起こったということで来年度に向けた改善策を各教諭から集めているのか。それをせずに、日程や解答欄の変更を事務局が決定するだけでは、いつまでたっても解決しないと思う。やはり現場がしっかりしなければならないと考える。その点はどうなのか。

(丸岡高等学校課長) マニュアルについては、校長、管理職を集め、学校の体制も含めて説明をさせていただいている。

(中尾委員) 事務局が説明したというのではなく、学校でやっていますかということを聞いている。

(中原教育長) 私はやっていると思っている。教育委員から抽象的な命令が出て、事務局が右往左往することは構造的に建設的でないと思っている。中尾委員がおっしゃる通り精神的なところでの各採点者の自覚という点では気合を入れていくという余地はあると思う。これだけ問題になっているので、各学校長を中心に徹底していくという余地はあると思うが、大多数の人はしっかりやっていると思うので、後は科学的に工夫をしていかなければならない。

(中尾委員) 企業の中にはZD運動というものがある。上からの指示だけでなく、現場の様々な意見を吸い上げていく運動。来年に向けての改善策について、教職員からの意見を集めているのか。

(丸岡高等学校課長) 意見集約しています。その中で様々な意見が出てきている。

(中尾委員) それを事務局として調べることも良いが、大切なのは学校として問題をまとめて認識を共有できているのかということを聞いている。

(丸岡高等学校課長) 学校では学校長のもとで選抜委員会という組織を作り、教科、採点、選抜前後の準備等の責任者を定め、組織として機能するよう努めている。その点については、再度徹底させていただく。

(小河委員長職務代理者) 技術的、科学的にシステマチックな体制を作っていくことはまさにそうだと考えている。日本企業は世界でも最も鍛えられてきた経験があるので、それを生かしていくことが重要であるが、間違いをゼロにしていくことは非常に困難であることもはっきりしている。現場の奮闘も大切であるが、企業サイドの経験を聞いていくことも大切であると思う。

(中原教育長) それは理解しているが、製品を作成していく過程で参考になることはあるかもしれないが、企業の品質管理と採点ミスの問題とは異なるため、具体的な話になった時にどうなのかと思う。予備校や大学の採点は参考になるとは思うが、私学や大学がどれ程の正確性を持ってやっているかは彼らも確認していないため、頼れるかどうかは疑問がある。抽象的な意見でなく、入試の採点という部分で、具体的に科学的に何ができるかということを考えていかなければならない。

(隂山委員長) 私自身はミスの分類と個数を考えた時に多いなと思った。多いということは、見逃しているポイントがあったのだろう。今、話をうかがっていると、事務局のマネジメントの問題点もあり、学校長のマネジメントの問題もあり、それらは突き詰めていくとフィードバックとなる。中尾委員の話はリアリティーがあると思う。ヒアリングで聞くと、同じ人間がミスしているということなので、昨年もやっている可能性がある。精神論ではないが、人間というのは高い能力の人もいれば、低い能力の人もいるので、フィードバックにより、想定されているシステムが機能するようにチェックしなければならない。その様な運用の問題があり、一人ひとりが理解しなければならいという実態の問題がある。校内におけるマネジメントが不十分であった学校があるのではないかという疑問は否めない。ミスの個数からすると、緩みや弛みがあったのではないかと思ってしまう。また、配点の問題や解答欄の問題は毎年おきていたはず。我々の反省でもあるが、採点しにくい等の学校現場での意見がフィードバックされていなかった。入試委員会を各学校で持っていただくと同時に、事務局の中にも持っていただき、各学校の入試委員や各学校長とフィードバックのシステムを持っていただくとこが大切。事務局のマネジメント、各学校でのマネジメントというものを再度確認していただきたい。逆に言うと、全体の3分の2ではミスが出ていないので、この3分の2が何をしているかを知りたい。何らかの工夫をしていた校長なり入試委員会があるはずなので、その点をピックアップしていただきたい。

(中原教育長) 確かに、フィードバックをもらうことはこの問題に限らずしているが、アリバイ作りとなっている面がある。中尾委員が言うように私立の場合は問題を解決しなければ学校が潰れてしまうという危機感の中でしている。民間人校長連絡会などは毎年2回ほどしているが、そこで出た問題が解決されたためしがない。そのような風潮が教育委員会内にあることは事実である。労力を使って意見を聞き、その意見が採用できないのであればなぜ採用できないのか等の判断をする作業が欠けている。3分の2の学校だが、聞いている印象では、ミスが出なくて良かったという意見であり、このようなことをしていたから大丈夫であったという自信を持ってやっている学校というのは聞いていない。

(和田教育振興室長) 私が聞いた例では、1回目の採点時にミスが何%あったのかチェックして行程管理している例や、採点の最終メンバーを完全に替えて最終点検している例があった。

(中原教育長) 非常に恥ずかしい話だが、私がいた和泉高校でも同じ方法を採用したがミスが発生した。

(隂山委員長) そのような事例は出てくるだろうということは含んでいるが、多いのではないかということ。それさえもしていない学校が多いのではないかということ。私自身は緩みや弛みがあると思っている。中尾委員が言っているのは、リスクに対する構えが公立学校は低いということだと思う。たとえ2系統などの対策をしたとしても想定できないことが起こるのがミスなので、一人一人が意識して修正していくプロセスが働かなければならない。

(中原教育長) 私は現場の先生をかばいたいという気持ちがあるわけではなく、とにかく結果を出したい。そうなると、精神的なところでの一定の改善余地はあるが、その一手だけやればよくなるとは到底思えない。私が一番恐れている。ミスをゼロにしたいのだが、真剣に考えれば考えるほど怖くて仕方がない。そのために何ができるのかを無理のない合理的な範囲で効果的なアイデアを皆さんから頂いて、まとめた上で来年改修したいという気持ちである。

(立川委員) 昨年の山田高校で起こったミスはイレギュラーであったということで学校現場での再点検等がなかったと思うが、今回は私としても責任を感じており、できる範囲の分析をした。兵庫県で平成21年に起こった1447人に対するミスに関する資料をみていたが、これは5年さかのぼってチェックしたということで、背景や要因等について相当な分析をしており、技術論についても詳細に書かれていて参考になった。現在はミスがなく、参考にしてほしい。答案の現物も確認したが、私のような素人がみても、解答用紙には改善の余地がある。木村委員がおっしゃった点や、国語なら閉じ穴が右側にあって、採点しづらいなど、細かな点も気づいたことをどこでいうのかわからない。今回のミスについて、現在もらっている資料を見ると再発防止に向けた分析や、委員長がおっしゃった点の意識改革が足りず、まだ途中報告を受けているのかという印象がある。

(中原教育長) 事務局の中で膨大な情報を処理しており、実現困難なものはこの場では示していない。

(立川委員) この場に出さなくても、今回の件は、ある程度、見ておきたい。

(小河委員長職務代理者) 事務局として専門的に責任をもってしているので、我々が詳細なチェックをするというのは、委員会の本来の役割ではない。事務局が示した案は具体的で妥当な手の打ち方だと思う。また、品質管理面での企業の知恵を参考にすることもできるのではないか。委員会としては、一回でもゼロであればそれで終わりというのでなく、不断の取り組みを継続していかねばならないと考えている。

(立川委員) プロジェクトチームやワーキンググループ的なものは設置しているのか。

(中原教育長) 高等学校課を中心に関係各課が協力して作業している。

(隂山委員長) 教育委員会と教育委員会事務局との関係を考えた時には、基本的には委員会で基本方針を出して、事務局に委ねて事務を進めていくこととなるのが本来の法の精神となる。細かい実務については教育長が責任を持ち、全体の責任の持ち方と実施上の問題点を仕分けておかないと、何かを決める為に委員会で結論を出さないと動かないとなるとそれはそれで大変なことになる。

(中原教育長) 大切な問題なので改善策を並べて、皆さんの意見を頂いて作業を進めていきたいと考えている。隂山委員長がおっしゃった大枠については大賛成だが、委員会として話し合わなければならないことに細かいデータが必要なのかどうかは整理しておきたい。

(藤井教育次長) 高等学校課はここに至るまで膨大な時間をかけて調べている。私も教育長もヒアリング等の詳細を全て把握しているものではない。高等学校課が責任をもってヒアリング等のポイントを抽出し、その材料を教育長をはじめとした幹部が検討し事務局としてまとめたものがこの案。担当レベルからの事務局の意思決定過程の全ての経過資料を把握するのが教育委員の責務だというのが立川委員の発言だと思うが、事務局としては組織の意思決定として成り立たないと思うので委員の中で明確にしておいてほしい。

(隂山委員長) 個別に関心事項について意見を聞くことについてはそれぞれでしていただければ良いが、決定事項として全てを委員会会議に諮るとなると大変なこととなる。問題の論点が多いので戻したいが、中尾委員や私たちが言っていることと、現状システムの中で機能すべきところが機能していないということの確認はとれた。精神論は精神論なのだが、それはそれで必要なこと。いくら素晴らしいシステムを作ったとしても、運用する人間が趣旨を理解してなければうまくいかないということ。そこで重要となるのがフィードバックとなる。その上で、新しい方法として2系統で進める方法が出てきたが、コピー代も膨大となり、管理すべきものが増えることとなるが、それでもしますかという点を議論したい。

(中尾委員) 私の経験だが、私学でも同じように一部の人間で判定結果を出して終わっていたが、それではだめだということで全員を集めて問題点を洗い出し、集約し、次回への改善策を考え、PDCACをしっかりするようにした。そのようなことを毎年続けているのかということ。

(隂山委員長) フィードバックの問題は置いておいて、2系統ですることについてはどうでしょうか。

(木村委員) コピー代の事もあるが正確性が増すのであれば2系統もやるべきだと思う。

(隂山委員長) 聞きたいことは、実務上の時間の問題、管理の問題、作業が煩雑になればなるほど逆にミスが出やすくなるので、それは現実的に考えて大丈夫でしょうかという疑問を呈している。

(丸岡高等学校課長) 試算をしている。各学校で受験生が200名である場合、前期では800枚の写しとなる。後期では1,200枚の写しとなる。平成25年度に最も多かったのは、前期であれば500名の2,000枚、後期であれば470名の2,820枚となる。平均すると、800枚から1,200枚ではないかと考えている。コピー12秒とすると、2,500枚では1時間半から2時間程度かかると考えている。採点は順番に進めていくので、コピーは採点と同時並行で行っていくこととなる。

(和田教育振興室長) これについては経験上大丈夫と考えている。各学校で選抜実施委員という採点等には関わらない人員を10名程度確保してるので、そのメンバーがコピー作業を行えば従前の採点開始時間であっても対応できると考えている。

(隂山委員長) 日数を増やさなければならないようにはならないか。

(和田教育振興室長) 照合作業で時間は増えるが、詳細なスケジュール感は今後見極めていきたい。

(隂山委員長) 今回の件について、現場サイドから時間が足りなかったという意見がでている。私はそれは理由にはならないと考えているが、日数の問題や手間をかけるとミスが増えるという問題もある。2系統とした場合に一枚足りないとなった時にはパニックとなることもあるので、十分シミュレーションをして対応していただきたい。アイデアは良いが逆に変なミスを誘発しないようにしてほしい。

(中尾委員) 複雑にすればするほどミスが増える。コピーの順番をどうするのかやコピーが詰まった場合はどうするのか等色々問題は出てくると思う。現場の意見を聞いて、しっかり検証していただきたい。

(中原教育長) 方針が決まって具体的な解答用紙の例ができた時には学校長や関係者はもちろん、委員のみなさんに見ていただいてご意見をいただきたい。2系統によるコピーとその運用は事務処理上のミスの問題もあるので、実験をして検証していく。

(隂山委員長) 最後の採点を外部に委託するのは個人的には反対である。重要な情報が外部に漏れるという問題もあるが、学校間をまたいでA高校の採点をB高校に委託するというような方法はあっても良いと思うが、外部の機関に渡すというのは府民感覚としても賛成が得にくいと思う。

(中原教育長) 逆に府民感覚からすると仲間内全員で間違いがなかったことにしてしまうと考えられるのかと思っているため、第三者に見てもらう方が信頼を得られるとの発想であった。

(隂山委員長) あまり良い方法ではないがアイデアとして申し上げると、A高校とB高校で間違いを見つけた方にインセンティブを与えるなど緊張感を作る方法もある。一番言いたいのは、これ以上のお金をかけたくなく、そのようなお金があるなら、子ども達の教材費が足りているわけではないので、できる限り経費節減という観点からも、自分たちで考え得る方法を取りたい。採点ミスを避けるために入試の基本的構造がずれてきており、本末が転倒してきてないかという心配がある。

(中原教育長) シンプルにちゃんと採点できるのかどうかを一回でも良いので証明してほしいという気持ちの方が多いのではないかという前提に立っている。自分達が結果を見せるのではなく、公平中立な立場の人に見てもらわずに安心してもらえるのか。確かにお金は使いたくないが、相当信頼を失っている中で、それで納得してもらえるのか。最後の担保が自分達で良いのかというところは引き続き議論していかなければならない。

(隂山委員長) この後のマークの読み取りなども全てしていくとなるとすごい経費となる。子ども達を伸ばすために使うことができればと考えてしまう。

(中原教育長) もちろん経費は節減したいが、そもそも公平に選べていないことは教科書にお金をかける以前の問題ではないかという批判があってしかるべきと思っている。

(隂山委員長) ここは重要な問題である。本末転倒というのは、仮に入試の公平性の信頼が高まったとしても、学校が信頼されるということではない。我々がフィードバックができてなかった等の反省により信頼回復に向かうのであって、入試の公平性を担保するために第三者を通じて府民の税金を使うというところに忸怩たるものを感じる。

(小河委員長職務代理者) 隂山委員長の考え方に賛成である。外からの担保というのは一つのやり方ではあるが、教育に対する府民の信頼は学校の教育活動の中で回復していくべきである。

(木村委員) もう少し議論が必要ではないか。外部に負けない仕組みや精神論やすべてにおいてレベルアップできるような所まで到達できるのかは現時点では疑問。学校現場を含めた全てのスタッフから緊張感や危機感が出てきているのか。

(丸岡高等学校課長) この間校長との意見交換をしてきたが、これだけの間違いが出たことにたいしては尋常でないという意識を持っている。さまざまな検討段階において、2系統の案も出てきている。それぐらいの意気込みでやるべきだという意見も出てきている。

(中尾委員) 精神論になってしまうかもしれないが、学校現場における危機管理の一つである。色々なやり方はあるが、もう一度、学校における危機管理をシビアに見ていかないと、また同じような問題が出てくる。

(隂山委員長) マークシートや第三者への委託は入試の重要な部分を自分たちの手から離すことになるので、とりあえず来年度は待っていただきたい。まずは自分達でやれることをやってから、それでもだめならマークシートや外部への委託を考えるということで、来年度に関しては自分達の信頼回復の努力を校長を中心とした学校現場が一体となって進めていただき、その中での事務局への要望のフィードバックを我々も一生懸命取り組んでいくということでどうか。

(中原教育長) 採点のやり方としてマークシートは費用がかかり、2系統で自信があるならマークシートを落とすことは検討してよいが、外部の確認はお墨付きを与えてくれる話。自分達でやりたいからということで、とりあえずやってみて駄目でしたということが許されるのかどうかということに不安がある。

(隂山委員長) 費用はどれ程かかるのか。

(藤井教育次長) 外部機関といってもチェックする人のレベルや日数により経費に幅がある。経費についてはもう少し業者からのヒアリングや見積もりなど検討が必要となるため、現時点では具体的にはお示しできない。

(立川委員) 自分が保護者や生徒の立場であれば、やはり先生にしてもらいたいという意識はある。大学生で教師を目指している方などを活用してチェックしてもらうのも一つの案ではないか。

(隂山委員長) 守秘義務の問題もあり難しいのではないか。とりあえず来年度に向けて動き出さなければならないので、一定の方向性を出さないと事務局も困ってしまう。

(中原教育長) 8月末までには教育委員会としての案を固めて体制を作っておきたい。8月末には教育委員会会議があるのでそこでは結論を出したい。

(小河委員長職務代理者) 委員長の裁定が妥当だと思う。我々が背負って解決すべき責任が問われている。

(中原教育長) ちゃんとできているかどうかを判断してもらうのは我々の自己?足でなく外のプロに見てもらって初めて責任が果たせたと言えるのではないか。

(立川委員) これは入学までに点検して合否ミスをなくすということか。

(中原教育長) 毎年やるかどうかは別として、今年は少なくとも3月いっぱいで終わらせるようにしなければならない。

(藤井教育次長) 今年度については、年度内に再点検を行うということでみなさんよろしいですね。

(中尾委員) スケジュール的にマークシートは難しいと考えている。受験生がマークシートに慣れるには時間がかかる。今の中学生に何回か練習させなければならない。

(隂山委員長) 色々なトラブルが起こる。センター入試でも一か所のマークミスで全部ずれることがある。導入当初は相当な議論があった。中学3年生にさせるのには不安がある。口の悪い人に言わせると、教師の失敗を無くすために、子どもへ失敗の責任を押し付けるのかとなる。

(中原教育長) マークシートで問題となるのは、ダブルマークや判別不能のフラッグを丁寧に処理するとなると誰かが肉眼で判断することとなる点がある。

(隂山委員長) 肉眼の時にどちらが正しいのかということの運用上の問題や採点者の判断となるとそれはそれで問題となる。

(中原教育長) センター試験は受験生からのクレームが出ていないので良いが、大阪府の場合は答案を返すこととなるので非常にしんどいと考えている。しかし、現場の先生や学校長にもマークシートの方が正確で良いのではないかという意見もある。機械や科学技術に頼ればよいという意見もあるため一刀両断にマークシートが駄目とできないため本日議論に乗せている。

(小河委員長職務代理者) 議論しないで切り捨てるのは問題だが、問題点を整理していただいており、その通りだと思うので、軽々に採用はできないという判断でよいのではないか。

(中原教育長) 私はまだ個人的には駄目だとも思っていないため、もう少し、本日の議論も踏まえて8月の案の中で整理していきたい。

(隂山委員長) 別問題となるのだが、開示を4月までに限るようなルール化はできないのか。

(見浪教育総務企画課長) 個人情報保護条例の関係から、資料が残っている1年間は開示しなければならない。

(隂山委員長) 4月まではとことん開示するが、4月以降は控えていただくことを条例で変えられないのか。

(見浪教育総務企画課長) 個人情報の開示を制限することは法の趣旨からすると難しい。

(隂山委員長) 現行法令上難しいことは分かったが、私としては入試の答案用紙を個人情報に含めることについて問題意識を持っている。

 

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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