令和3年10月委員会会議会議録

更新日:2021年11月17日

大阪府教育委員会会議会議録

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1 会議開催の日時
   
令和3年10月25日(月曜日)  午後2時00分 開会
                                        
       午後3時40分 閉会

 2 会議の場所
委員会議室(府庁別館6階)

 3 会議に出席した者

教育長

橋 本 正 司

委員

竹 若 洋 三

委員

井 上 貴 弘

委員

岡 部 美 香

委員

中 井 孝 典

委員

森 口 久 子

教育監

柴   浩 司

教育次長

後 藤 克 己

教育センター所長

坂 本 俊 哉

教育総務企画課長

仲 谷 元 伸

教育振興室副理事
兼高等学校課長

白木原   亘

保健体育課長

西 田   修

小中学校課長

片 山 繁 一

教職員人事課長

金 森 充 宏

 4 会議に付した案件等
◎報告事項1 令和2年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果について
◎報告事項2 教職員の懲戒処分について
◎報告事項3 新型コロナウイルス感染症に係る対応について
 

5 議事等の要旨
(1) 会議録署名委員の指定
井上委員を指定した。

(2) 9月29日の会議録について
全員異議なく承認した。   

(3) 議題の審議等

◎報告事項1 令和2年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果について 

【議題の趣旨説明(高等学校課長 小中学校課長)】
標記について、報告する件である。

 【質疑応答】
(森口委員)今のご説明の中に、小中学校と高校の差というものがあったように思う。令和2年度において、必ずしも全てコロナが原因とは言えないものの、やはり小児科の外来にも非常にたくさんの心の課題を抱えた子供たちが受診するようになった。その際、高校生にもなると自分で症状を表現することができる。また、目標を持っている子は「こうしたいのだけど、これができないのはなぜなのだろう」という表現の仕方で受診して、診断してということが可能だが、小学生ないし中学校の低学年ということになってくると、いわゆる心身症というような形で、「お腹が痛い」、「頭が痛い」、「起きられない」、「学校へ行きたいのだけどいけない」という表現になる。親御さんとしては登校させたいという気持ちがあるので、「学校は嫌じゃないのですけど」という形で受診をされる。
 
ただ、やはり子どもたちは、コロナ以外のことに対しても、学校で、いろんなことが延期になったり、中止になったり、そういったことが説明はされてはいるのだが、十分自分たちの中に落とし込めずに、何かずっと抑圧的に感じてしまっている。それをうまく表現できないことが、やはり心身症という形で出てきているという実感を外来で持つ。感染者が減少し、学校もなんとか今まで頑張って教育活動をやってきたと思うが、やはり今後1年ぐらいでは感染症対策で子どもたちが心に受けたしんどさは、そう容易く解消できないだろうと言う印象を持つ。
  
小児科的立場から言うと、特に小学生とか中学生、自分の身体の状況を表現できない子どもたちに関しては、「こういう気持ちになることはあってもおかしくないことなのだ」という説明から入って、子ども一人に対してというより、学校全体として、「これだけ未曾有の感染があって、社会がこんなようになって、みんなこんなふうに思っているのだから、これからどうしていこうか」ということを考える時間を、1学期に1回という回数ではなく、教育の時間の中に盛り込んでいただきたいと思う。感染症対策はもう少し続いていくということ、感染が本当に落ち着いて、みんな修学旅行も普通に行けるようになっても子どもたちの中にはまだまだくすぶった気持ちがあるという認識を大人がしっかり持って、そういう教育をしていくという方針を、固めていただきたい。
 
それともう1点だけ。高校生は今言ったように、これから受験に入っていく。今回、授業日数が足りないない子どもたち、それから私どもを受診して、起立性障害とか、時には、緩やかな精神疾患のような診断名がついて、学校にちゃんと診断書を出して、休みがちになりながらも必死になって学校に行っている子どもたちが大学受験を前にして、学校へ行った日数が足りないということだけで大学への道を閉ざされるというようなことが極力ないようにしていただきたい。私立学校、府立学校、市立学校の各学校において状況が違うと思うが、子どもが困っている場面が少なからずあるという目線で、探していただいて、配慮をしていただきたい。

(小中学校課長)感染状況が少し落ち着いているという状況で、それがすぐに子どもの今の状況の改善に繋がるとは思っていない。以前東北の方で地震があったときに、新聞を見ると2年3年と子どもにこころの傷が残っているというようなことが報道されていた。今回もまだまだこれで気を許すわけにはいかないと考えている。
 
令和3年度の1学期については、市町村より、問題行動、暴力行為や不登校の状況が悪くなっているということも聞いている。全てが全てではないが、そういうことを聞くにつけ、森口委員が今おっしゃったように、今後も子どもにとって負担のかかる状況になるだろうと考えている。昨年度は、「コロナウイルスには誰でもかかるんだよ」という指導を各学校で行ったが、先ほど森口委員の指摘にあったような指導を、各学校でやっていってもらえるように、こちらとしても働きかけていきたい。

(高等学校課長)森口委員のご指摘の通り、特にコロナに関する不安で、学校になかなか足が向かないことも確かであり、国からの通知や、府からの通知でそういう不安を抱えることに関しては、欠席扱いとしないよう公立学校の方に指示している。進学の道が、単位日数が足りないということで閉ざされるということはあってはならないので、引き続き学校にも指導してまいりたい。

(教育長)入試のときに不利になるということはないか。

(高等学校課長)先日国の方から通知があり、例えば進学の調査書も含めて、指導要録上で言えば「出席停止」、「忌引き」等の欄があるが、その数については、調査書からは削除するということになっているので、進学に関しては、不安等で休んだ場合の記載は削除して調査書を作成するよう府立学校に指示した。従って、影響しないと考える。

(岡部委員)影響しないということはありえない。数値として調査書に反映されるかどうかということだけではなく、休んだ回数が多い学校はそれだけ授業ができていない訳である。学力の保障ということ等をも含めて森口委員はおっしゃったと思う。進学の不利にならないという言葉が高等学校課長から出ることに、私は危険を感じる。書面上、不利にならないのではなく実質的に不利にならないということまで見通して、ちゃんと子どもの教育、学習を保障していくべきなので、そういった点、不利にならないと言い切ってしまって良いのか。それが大阪府庁の態度なのか。

(高等学校課長)私の説明の仕方に表現が言葉足らずのところがあったので、再度説明いたしたい。先ほど説明したのは、実際の学力等のところで不利にならないということではなく、外へ出す書類等のところで、その数字を持って、例えば大学等が判断をする、不利な判断をするということを避けるために、書類上の処理、「削除」をしているということである。一方で学力等については、この間何度も通知をして、オンライン学習、様々な補習も含めて、個別の状況も勘案しながら学びの保障をするよう学校に指示している。

(岡部委員)教育長がおっしゃったのは、書面上のことだけではなかったかと思うが、そのように説明していただいて、一応は納得させていただいた。もう一つ、加えて申し上げたい。小中学校課長も高等学校課長も分析をされた結果これからどのように対応していくのかという点についてお話しいただいたが、これまでの報告と何か違ったように私には思えなかった。SSW(スクールソーシャルワーカー)やSC(スクールカウンセラー)を活用して、というのが、それが「初めて入った」というのなら新しい対策になると思うが、今までずっと入っていた訳である。それを増やすわけでもなく、これだけ数値が変わってきているということに関して、「今までどれだけのことをやってきたが十分ではなかった」、それにプラスして「コロナ禍の中どうしていくのか」という点について、何か新しい分析が聞けるのか期待していたところがある。いろいろ指導してまいりますというような言葉では、それぞれの学校の先生方からすると、現場に投げられたという感覚で聞いてしまうような分析だったと思う。通常でも、中退や不登校が多いわけなので、これまでやってきたことで、何が不十分だったのか、これからどうすればいいのかということは、もう少し具体的に教えていただきたいし、さらにプラスして、コロナ禍であるということに関して、どのように対応をされようとするのか、あるいは、学校にどんな対応をプラスして求めていくのかということをもう少し具体的に教えていただきたい。

(小中学校課長)今後の対応等については、これまでも申し上げているような内容でいいのかということは問題意識として理解している。今ある相談体制を更に充実させることは必要と思っている。実際に昨年度のSC(スクールカウンセラー)の相談件数のうち、不登校に係る子どもからの直接的な相談件数は約3割あったと聞いているので、そういう点をさらに充実していく必要がある。今、岡部委員がおっしゃったように、このままだと学校が具体的に次の動きをどのようにすればよいかわからないということなので、今後、各市町村教育委員会にしっかりと聞き取りしながら、状況も把握、分析し、改めてお伝えしたい。

(岡部委員)次の委員会会議などではっきりとお示しいただければありがたい。

(高等学校課長)小中学校課からご説明があった通り、子どもと同じく、校長先生からも同様のお話を聞いている。一方で、例えば、子どもを支える仕組みとしてSSW(スクールソーシャルワーカー)も含め充実させていかなければならないと考えている。そこについては、今ちょうど学校現場から、子供たちからの声をアンケートで集めているところなので、その内容なども見ながら、どういう形で一番充実させていくのがいいのか今議論をしているところであり、このような事実を材料として、来年度の予算要求に向けての新たな政策等を今検討している。引き続き学校現場からの声を活かし子どもたちを支える仕組みを作っていく。

(岡部委員)具体的にお示しいただけるということなので、次の委員会会議、あるいはその次になるかもしれないが、学校の声を生かした具体的な策をお示しいただけるということで、期待している。

(中井委員)高等学校のことについて伺いたい。1−11について、中退の理由の内訳だが、一番多いのが「進路変更」となっている。この「進路変更」は一言でいろんなことを括ってしまっていると思う。その中にはいろんな原因がある。学力不振もあるだろうし、いろんな事情があるだろうから、「進路変更」と一言で括っていいのかという疑問を持っている。高等学校を修了させて社会に送り出さないと、納税者を育てることにならない。日本の社会をより良くしようと思ったら、しっかり教育をして、社会に送り出さなければならない。「進路変更」の中でも、学校を何らかの事情で「辞めてしまう」というケースについては減らすべきと思っている。原因は複合的であると思うが、例えば、学力については、エンパワメントスクール等では学校設定科目もかなり工夫が見られているので、退学者が減ってきているだろうということは十分想像できるが、それでも生徒それぞれの未来に対する夢や希望を十分育てているのかなという疑問がいつも残る。
 
学校の体制の充実だけでなく、外部からの様々な手助けが必要になるだろうが、進路指導をいろんな面からもっと充実しないといけない。高校段階で辞めてしまっては、社会で一番弱い立場の子を育てることになる。その子たちは10年20年経って非正規雇用の負のスパイラルに陥ってしまうことにもなりかねない。それを脱却するにはやっぱり教育の力が一番必要だと思っている。様々な原因があるので色々と難しいところがあるが、もっと府の方で検討していただきたい。高校段階で、「進路変更」という名の下、辞めていってしまうことをもっと減らしていただき、ほとんどの生徒がしっかりと就職ができるような、そんな教育活動を検討していただきたい。この41.3%という中退理由の中の「進路変更」の比率については、少なくとも全国平均に追いつくぐらいの勢いで減少させるよう、しっかり頑張っていただきたい。

(高等学校課長)中退者については全体的に見ると、府立ではかなり減少している。ただ、全国平均で見るとやはりかなり厳しい状況が続いている。
 
教育庁内でも様々な議論を重ねている。特にこの間で言うと、コロナ禍の中で子供たちの様子を見るということに関して、学校の方で細かく子どもの方へアプローチするということを続けている。コロナ禍下での退学が全国的には減少しているが、国においても、やはり、そういう細かくアプローチをしているというところで一定成果があるのではないかと考えているようである。現在コロナ禍で非常に厳しい状況にある中、個々の子どもが出席できないということだけではなく、学校全体の臨時休業も含めて、子どもたちが出てきたときに個別の、例えば補習授業等様々な手当てを学校がしていくという取り組みも進んできている。
 
個別の学校の校長先生からもお聞きしているが、一律に、例えば動画を配信するということ以外にも高校では考えており、子供一人ひとりの状況を家庭の状況、例えば子供の状況も含めて1人1人から聞き取って状況を把握している。それに基づいて、子どもに対してどのような支援の方法が良いか試行錯誤し、努力をして様々な支援をしている。

(中井委員)私も府立高校で教壇に立っていた経験があるが、学業不振となると、担当教員としては課題を出す。ところが課題が返ってこない。だから欠点になるというパターンがある。ところが、よく見ると、その子は家に帰って勉強するスペースもないし、家に帰ったら親が「働きに行け」と、親がその金当てにしているというようなケースが沢山ある。

そのときに、本当にSSW(スクールソーシャルワーカー)がいれば、色々相談できるので今は多少改善されていると思うが、本当に生徒たちの様子をよく見ていただきたい。パターン化して対応するのは学校では絶対避けるべきだと思うので、それはしっかり府の方から指導し、一人ひとりの状況に応じた教育をしていただきたい。

(岡部委員)中井委員のおっしゃったことは本当に大事だと思う。付け加えてお願いするが、今、教育に関しては先生方が本当に努力されているが、私も含めて教員は就職を支援するところがすごく苦手だと思う。就職に関しても一人ひとりをきちんと見て支援することを、府の全ての学校に徹底していただきたい。ついこの間、とある高校に行って就職の状況を聞いてきたが、今大学生の就職システムが高校に下りてこようとしている。このシステムでは個人で応募することになるので、結局は特定の子が得をする、そういう資源がない人たちにはなかなか機会が巡ってこないっていうことが大学生でも起きているのだが、まだ自分のこともよく分からない状況にある高校生について、そういう一括した就職システムに就職支援を投げてしまったら、結局定着ができなくて、辞めてしまって非正規になってというようなルートを拡大してしまいかねない。私も含め学校の先生方は、就職活動をしたことないので、企業就職を支援するのは難しいかと思うが、子供たちの10年後20年後を支えるために、進学だけでなく、ぜひ丁寧なキャリア教育と就職活動も強化していただきたい。

(井上委員)いじめの項目のところの解消率についてお伺いしたい。3ヶ月間いじめ行為が止んでおり、面談等により被害児童生徒の心身の苦痛が感じていないと認められたら解消したものとなっているが、例えば令和2年度において20%が残っているのは、3ヶ月以上行為が続いているとか、生徒が苦痛を感じ続けている状態が続いているということか。

(小中学校課長)これはその年度の末において、まだ解消ができてないという数字である。3ヶ月はいじめ行為が止んでいることが一つの要件なので、例えば年度末近くにいじめが認知された場合は、年度内に解消はできないというようなことになる。
 
このいじめの解消率の83.2%、中学校で75.3%という数字について、この割合は全国的に見て小学校の方が高いが、ただ、100%からこれを引いた後の数字は解消していないということである。この令和2年度に認知されたいじめがどうなっているか後追い調査を行っているが、7月末現在で、小中とも95%は解消という報告を受けている。ただ、5%が残っているので、そこについては市町村教育委員会の状況をしっかり把握しながら指導助言していきたい。3ヶ月という一つの期間が決められているので、どうしても全ては年度内に解消に繋げていくことはなかなか難しい。

(井上委員)年度で区切って一定の報告をすることは大事なことだと思うが、一件、一件で苦しんでいる子供がいるんだったら、やっぱり一件、一件、全部100%になりましたっていうところまで持っていって報告すべきと思う。例えば、令和元年度の解消率は88.9%となっているけれども、これがいつ100%になったのかというように。もし88.9%、3万3000件が解消されたとしても、1件でも残っていて、それがずっと解消してないということは、その子どもが苦しみ続けているということになる。
 
いじめ解消の二つの要件があって、もしいじめ行為がずっと続いているということだったら、先生は何をやっているのかという話になると思うし、いじめ行為は止んでいるんだけども、精神的にまだ苦しんでいるのであれば、「こういう事案があったらこういうことが起こる」ということをケーススタディーとして把握する必要がある。ゼロでないなら、なんで100%になっていないのか、最後の1件まで潰しにいくくらいのことを思ってないと、いじめは解消しないと思う。単にパーセンテージが下がっても、1件でも残ったら1人の子供が非常に苦しんでいるということだと思っているので、そういった観点から我々も学校の先生も臨むべきなのかなと思う。

(小中学校課長)先ほどの95%の解消と申し上げたが、残りが5%としたら、3万8000何がしの数字にこの5%をかけた件数が、今なおいじめとして引き続き残っていることになるので、私達も各市町村も、一件、一件、きちんと解消することが重要と思っている。単にいじめ解消率が高くなったらそれでOKと思っている訳ではないので、しっかりとやっていきたい。

(井上委員)この不登校やいじめ問題の対応について、学校を楽しい場所、魅力ある場所にしていきますと、それの解決策が何かなと思っていると、SSW(スクールソーシャルワーカー)とかSC(スクールカウンセラー)を活用して、先生方が抱え込まないようにという説明があったように思う。ただ、本当にSSW(スクールソーシャルワーカー)とSC(スクールカウンセラー)の方で全部解決できるかというチェックも必要と思う。
 
先ほど岡部委員もおっしゃっていたが、100%はできないとしても、来月の教育委員会で対策の検討状況を報告してもらうべきなのかと思う。来年の予算要求に活かす話もあり、当然施策に生かすということについては賛成なのだが、当然より良い政策にはお金が必要である。ただ、例えばお金がなくても、今から打てる対策があればすぐにやらないと、また苦しむ子どもが増えてくると思うし、ニュースで見たが、最近子どもの自殺が非常に増えているということだったので、いじめを受けているとか、学校に馴染めないという子たちをどうやったら助けられるかというところについては、すぐに対策を講じる必要がある。
 
何度も言っているが、100%は無理だと思うし、年度途中なので、新しい予算の執行は難しいのは重々わかっているが、これだけの数字が出るのであれば、そういったことをご報告いただきたいなと思うし、教育委員会でそういうことをやっていると、先生がたも、「こういったことを教育委員会もしっかりやっているのだったら、俺ももっとやれるな」となると思うので、しっかりと示していただきたい。
 
あと、中井委員もおっしゃっていたが、進路変更の件は私も同じことを感じており、個人の「進路変更」と括っている中で、やっぱり前向きなものと後ろ向きなものがあると思っている。例えば高校には行ったが、「やっぱり俺はこれをやりたい、私はこれをやりたい」と言って進路を転じることはすごくいいと思う。やりたいことが見つかった、高校に行っているよりも、何か技術を身につける、というようなことがあったら、それは凄いことだと思うが、「進路変更」と括られてしまうと、実は何か他の要因、学校に馴染めないから学校を辞める等も全部「進路変更」に含まれてしまうので、ここはもう項目を変えた方がいいと思う。括り方を「進路変更」と書いているのであれば、前向きな進路変更だけここに入れると。文科省が括っている分類があるとしても、文科省の括りじゃなくて、大阪府は前向きな進路変更だけ載せて、他はここに当てはまる項目がないとして新たに分類しないといけないのではないか。中退事由の内40数%というのは大きな比率だと思うので、そこは分けて示していただく必要があると思う。
 
加えて入試について。欠席したことについて大学入試に不利益がないように、通知が出ているという話だったと思う。大学入試については、一般入試で受験するのであれば、そんなに大きいウエイトを占める問題ではないかもしれないが、推薦入試等最近入試も多様化しているので、そういったことが考慮されないことは非常にプラスだと思う。そして、高校入試になってくると、そのウエイトはかなり大きいと思う。高校入試においては、中学校でそういったことで欠席した場合どのように扱われるのか教えていただきたい。

(高等学校課長)今、府の府立高校の高校入試については、地区中学校の方から調査書を送ってきてもらっているが、欠席等の数字はもともと求めていない。

(井上委員)加えて小学校で、低学年でも不登校になっている子や、勉強がわからなくなって学校が面白くなくなってくるような子がかなり増えているのではないか。そういった子どもたちに対する手当てについて、特段に私がなにか答えを持っているわけではないが、学びが遅れている子どもに対する手当てについて、特に小学生の子たちにどう対応していくお考えなのかお聞きしたい。

(小中学校課長)幼稚園までは遊びを通して学ぶという学びであるが、小学校になると、机に座って教科という学習をしなければいけないので、相当、苦手意識を持ってしまう子も出てくる。その繋ぎをどうするかは、やはり今後の子どもたちの学びを支えていく上での大切な部分だと思っている。府としても、就学前と就学後の学びを繋ぐカリキュラムを作るような対応をしている。また、どうしても3年生ぐらいからだんだんと学びが抽象化するので、そのあたりから、「ちょっとわからないな、難しいな」というようなことが出てくる。その辺りについては先生方がきめ細かく、テストであるとか、日々のチェックをしながら補充的な学習を行い、少しでも理解を深める取り組みをしてもらっているが、そういう地道な積み重ねを続けていくのが着実な道かと考えている。
 
なお、先ほど、不登校の今後の対応で魅力ある学校作りということで、SSW(スクールソーシャルワーカー)SC(スクールカウンセラー)について言及したが、魅力ある学校作りの主体は学校の教員である。そこで見つけた問題行動、子どもの変化に対応する早期支援であるとか、その次にどういうふうにして関係機関と繋ぐことについては、SSW(スクールソーシャルワーカー)やSC(スクールカウンセラー)の力を借りる。このように、二つの車輪で対応を進めていく趣旨である。

(井上委員)最後に、先ほど岡部委員がおっしゃった、高校の先生が就職を支援するのが苦手なのではないかという点について。学校の先生方は今非常に切迫感を持ってやっていただいているのかとは思うが、やはり公のセクターと民間のセクターで相当「痛手」が違っているのではないかと思っている。公務員の方々は公務に服しているので、急激に国内の景気が悪化したからといって給与カットが起こるものではないことを重々承知した上で申し上げるのだが、民間のセクターは特定の業種、かなり幅広い業種で相当経済的な打撃を受けている家庭が多い。そこの家庭のお子さんは、進学においても相当な不利益を被るという可能性が高いのではないかと思っている。そういった経済的な事情がいじめの要因になったり、不登校の要因になったり、進学に対してやっぱり前向きになれないということに繋がっていく。学校の先生は真剣にやっていただいているが、自分の給料がガクンと半分になるわけでもないし、そのようなこと感じろというのはなかなか難しいと思う。そういった人たちが目の前にいることを感じていただきながら、特に中学生や高校生といった、進学を抱えている子どもたちについて、対応に当たっていっていただきたいと思う。
 
実際私の周りでも様々な職業の人が、相当経済的に打撃を受けているといるのだが、この状況がなかなかわかってもらえない。社会の状況がそうだということを認識していただいた上で、次回の教育委員会会議までの1ヶ月の間にも、教育委員会だけではなく、先生方にも取り組んでいただきたいと思う。

(竹若委員)いろいろ各教育委員から意見が出た。私もずっと聞かせていただいて、一番にお願いしたいのは、こういう結果が出たときに、検証した答えを各所管から出してほしいということ。不登校なら不登校で、コロナのせいでというのではなく、「このように検証し、こういう結論となった」ということをある程度しっかり説明してもらいたい。
 
例えば先ほどから出ているSC(スクールカウンセラー)ソSSW(スクールソーシャルワーカー)については、学校現場に入れてずいぶんになる。我々は、そういう外部の人材が入れて、学校としての組織力、指導体制が整った学校とすることを目指してきたはずで、当然、現場ではすでに実施されていると思う。事務局として、そういう説明をしていただかなかったら、ただ単に外部の人材を入れて終わりかという誤解を招いてしまうのではないか。
 
コロナについては、収まったわけではない。いつでも波が来るかわからない。だけどもそれを待っているのではなく、この5波までの段階でやっぱり教育委員会として検証しないといけないと思う。
 
私が言いたいのは、全国一斉に休校になり、その結果子どもたちがどういう生活を強いられて、不登校がどうだったか、いじめがどうなのかいう辺りを、データをもとにして、検証をまずすべきであろうということ。そうすると、次に波が来たときでも、いじめ、不登校、中退、学力保障等について、検証結果をもとに対応策を打てるはず。例えば、学力保障について、オンラインでやったら既に学力保障が出来ているような錯覚を覚える。あえて言わせていただくが、決して十分な学力保障には繋がっていないのが現状であると思う。そうすれば、オンラインを仮に実施するとしたらどこまでを求めるべきか、いうことを学校にやっぱり示唆しないといけないし、活用能力にも、やっぱりある程度の基準というものを構築する必要がある。この5波までの状態は苦しいけども、しっかりと検証して、次に備えるということをぜひチームとして行っていただきたい。色々と大変だと思うが、大事なことである。学校現場に聞いてみると本当にいろいろ苦労しているように聞く。例えば修学旅行の問題、給食の問題、個々の親御さんは我が子のことが中心なので、休んだときの給食費がどうなのかというような対応もあるように聞いている。色々な問題があるが、一度どういう検証をするかということを考えていただいて、今後に対応ぜひお願いしたいし、できていることはしっかりと自信を持って答弁をいただきたい。

(中井委員)SC(スクールカウンセラー)について、私の知っている範囲では、かなり活用されているというか引っ張りだこで、生徒の予約で埋まっているようなことがあるように聞いている。私自身が勤務していた学校もそうであった。SC(スクールカウンセラー)は、本当に心を病んでいる子や、いろんな問題を抱えている子たちが相談しやすい場所でもあると思うので、その活用状況もできれば調べていただき、不足しているようなところがあったら支援をしていただきたいと思うし、何か手を打っていただきたい。
 
ほとんど学校のSC(スクールカウンセラー)は非常勤であるとも聞いている。大阪府で常勤を採用して巡回してもらうとか、いろんな手があると思うので、SC(スクールカウンセラー)配置しただけではなく、その実態も調査していただき、支援していただきたい。余っているところもひょっとしてあるかもしれないし、全然足らないところもたくさんあると思う。そのような所を調査していただきたいと思う。
  
それと、オンライン学習はプラスマイナス両方あると思うが、授業を発信することによって、生徒が繰り返し見ることができれば、そのような授業に合っている子も中に居るかもしれないし、学力不振を解消する一つの手立てになると思っているので、いろいろと検証していただき、いろんな対策を練っていただきたい。要は生徒の学力を上げていって、高校での退学をどんどん減らして、社会に貢献する人間を育てるということはとても大事な事だと思うので、よろしくお願いしたい。

(岡部委員)中井委員がおっしゃったことに付け加えて一つお願いしたい。SC(スクールカウンセラー)SSW(スクールソーシャルワーカー)を雇用しておられると思うが、それを充実していくとお聞きしたので、どういう資格や、能力を求めておられるのか、それがどれくらい実施されているのか、さらに充実ということで、府はその人たちにこれから何を求めていくのか、そのために、ソーシャルワーカーやカウンセラーにどんな能力や資格を求めていくのかということをご報告いただきたい。特に、SC(スクールカウンセラー)は大学院を修了してというようにルートが決まっている一方、ソーシャルワーカーに関しては色々なルートでなっている方がおられるので、それぞれ得意不得意があるというのも伺っている。それでは子どもたちにソーシャルワークを保障することが難しいかと思いますので、府が一定その質の保証をしていく必要があると思うが、その質保証がどれくらいできているのかという数字、内容を示していただければと思う。

(教育長)この件についてはいろいろご意見をいただいたので、事務局の方でさらに突っ込んで分析し、併せて、今後の対応策については、すぐできるものと、予算が必要で次年度以降になるものを整理した上で、またこの会議の中で報告をさせていただく。

 ◎報告事項2 教職員の懲戒処分について
【議題の趣旨説明(教職員人事課長)】
教育長が専決した標記について、報告する件である。

 【質疑応答】
(井上委員)繰り返しで恐縮だが、先生方に切迫感がないのではないか。民間企業であれば、売り上げが下がると赤字になる。赤字になり、利益が出なくなってどこかを削りに行かないといけないとなると、事業活動を継続していく経費として、最後の最後で人件費を削りに行くというようなことになってくる。民間企業は全部が全部とは言わないが、事業活動を継続するために、自分たちが感染しないように、徹底していると思う。事業活動がうまくいかなかったら最後には自分の腹が痛むからである。
 
このようなことで学校の先生が感染して、生徒に迷惑をかけるというのは絶対やってはいけないことだが、自分事として別に売り上げが減るわけでもないし、給料が減るわけでもないというようなところがあって、そこはやはり切迫感が低いのではないかと思う。
 
何度も言うが、公務員の方々はそういうことを超えて、公に奉仕するためにそこは保障されていると理解している。だからこそ、こういったことに関しては自覚を持ってやっていただかないといけない。四百数十人もの学校の先生が会食していましたというのでは、府民の方々に説明がつかないと思うので、今後こういうことないようにしていただきたいと思う。

(教職員人事課長)ご指摘を踏まえ、今後もコロナ感染防止対策に限らず教員一人ひとりが自覚を持って行動していくように周知してまいりたい。

 ◎報告事項3 新型コロナウイルス感染症に係る対応について
【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
標記について、報告する件である。

 【質疑応答】
(森口委員)医療側からもこの急速な感染の減少はなかなか説明の付き難い場面もある。ただ、ワクチン接種が非常に速いスピードで進んでいるので、引き続き教職員の方と、それから、今は12歳以上の子どもたちの接種も始まっているので、希望に基づく任意の接種ではあるが、積極的にワクチンの必要性を子供たちに知らせていただくような機会を持っていただけたらと思う。それと、感染者数が減ってきているので、先ほどの会食のことも含めて、やはり私たちの気の緩みが出てくると思う。
 
子どもたち、特に高校生のクラブ活動も始まってくるし、緩んでくるというより、やはり以前に戻したいということになると思う。学校ではマスク着用、手洗いは非常に徹底されていると思うが、やはり発熱したときの対応には緩みのないようお願いしたい。まだ高校生であれば、全員がワクチン接種済というわけにはいかないと思うし、ブレイクスルー感染ということも指摘されています。発熱をしたら、きちんと受診をして検査を受ける、それを徹底して、最後の1人まできちんと検査をして診断を受けて感染を広げないということを、最後の最後まできちんと徹底することで、この大感染をできる限り避けたいと思っている。学校現場は、感染防止対策の教育現場でもあるので、ぜひともしっかりと教育していただきたい。

(保健体育課)今森口委員がおっしゃったように、学校での感染対策は引き続き徹底していきたいと考えているし、そのように教育庁からも通知している。観点感染対策については引き続き徹底して取り組んでまいりたい。

 

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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