第3回大阪府教育振興基本計画審議会 議事概要

更新日:2023年5月29日

日時

平成24年12月18日(火曜日) 9時30分から11時35分

場所

ホテルプリムローズ大阪 高砂

出席委員

梶田会長、森田会長職務代理、小田委員、神谷委員、山本(絹)委員、山本(晋)委員、横井委員

議事概要(1.開会2.審議3.閉会

1.開会

(事務局)

 ・7名の委員全員の出席があり、会議が有効に成立していることを報告。

 

2.審議

(1)大阪府教育振興基本計画(素案)について

(会長)

これまで「中間まとめ」までに3回、それ以降のヒアリング等も含めて計5回にわたって委員の皆さんに色々とご議論いただいた内容を、事務局の方で「計画(素案)」としてまとめられた。本日は、この素案について、この間の議論を踏まえながら、再確認いただいたり、お気づきの点を出していただいたりということで進めていきたいと思うので、お願いしたい。

また、この間、本審議会の専門部会において、振興計画の検討と並行して「府立高等学校の将来像」について検討いただいていたが、このたび、専門部会より「報告書」の提出があったので、まず、報告をお願いしたい。

(事務局)

 資料2−1に基づいて、説明。

(会長)

 今報告いただいた中身について、非常に具体的なことが挙げられているが、その中の大きな方向付けについては、本日これからご審議いただく計画(素案)にも盛り込んであると思うが、お気づきの点があれば、またご意見をいただきたい。

 

【第1章 計画の策定にあたって】【第2章 大阪の教育を取り巻く状況】【第3章 大阪の教育がめざすもの(基本的な目標)】

(会長)

それでは、計画(素案)について審議をいただくが、全体を一度にとなると分量も非常に多くなるので、まず、この計画の大きな枠組みの部分である第1章、第2章、第3章について、説明をお願いしたい。

(事務局)

 資料1−2に基づいて、説明。

(会長)

 全体の枠組みについて説明があったが、ここは特に具体的なことではなく、大きな理念的な方向付けというご理解をいただきたい。具体的な施策については、事業計画を別途作っていただくことになっているので、ここまでの大きな方向性について、ご意見があれば。

(委員)

 内容としては十分だと思うが1点だけ。計画の推進方策で、家庭や地域、民間企業などと様々な連携をしていきしょうという部分に、教員養成をしている大学もどこかに入れておいていただければ。

(会長)

 今のご指摘は非常に大事だと思うので、ぜひ事務局でご検討を。

 

【第4章 基本方針1、2、3】

(会長)

 次に、各論となる第4章の基本方針について、確認をいただきたい。10項目を3つに区切って説明いただき、ご議論をお願いしたい。

(事務局)

 資料1−2に基づいて、説明。

(会長)

今回の計画案の中心部分となる小・中学校、高等学校、特別支援教育が含まれているが、これまでの皆さんの意見をまとめていただいた。ただし、具体的なことは事業計画、つまり予算を伴ってこういうことをやりますというものを作っていくわけで、今回の計画は5年、10年の大きな流れ。そこを踏まえた上でご意見をいただきたい。ただし、具体論についても出していただき、今回盛り込めなければ事業計画の方で考えていただくということにしたい。

総選挙があって、これから国の方針が変わる部分もあるが、大阪府としてはこういうことがやりたいということは、これから政権がどう変わろうと盛り込んでおいた方が良い。そういうことも、遠慮しないで出していただきたい。

余談だが、総選挙の前に自民党に呼ばれ、国会議員と懇談をする機会があった。私が申し上げたことは、政権が代わっても、教育については具体的なところで方針を変えないでほしいということ。政権交代の度に方針が変わっては困る。出席していた両院の議院は、良くわかると言ってくれた。実際どうなるかはわからないが、その辺りをあまり考えすぎると、計画にキレがなくなってしまう。大阪はこれでいきたい、というのを出すのが大事だと思うので、忌憚のないご意見をお願いしたい。

皆さんにこれまでに出していただいた意見は、概ね盛り込まれていると思う。

(委員)

今後、具体的な活動計画を作るに当たって、数値目標はやはり入れたほうが良いと思う。新しい取組みのものも5年単位で、その数字がどういう形になったかを入れてはどうか。

それから、「3.障がいのある子ども一人ひとりの自立を支援します」の部分について、子どもの支援というのは重要だが、思いのほか、保護者の教育・指導が重要だという気がする。特に発達障がいのある子を持った保護者は、保護者が先に参ってしまう。この文章の中で、保護者への指導については言及されていないが、そのようなことも支援の大きな役割だと思うので、どこかで具体的なことを書くところがあれば、入れていただきたい。

(委員)

グローバル化の進展の中で、英語能力あるいはコミュニケーション能力の強化は大変重要で、17ページの「英語教育・理科教育の充実」というところ、「義務教育終了段階で、自分の考えや意見を英語で正確に伝えられる生徒を育てるため、活用することに重点を置いた授業づくりを研究・普及するとともに、外国語や異文化に慣れ親しみ英語を使う機会の充実を促進します。」と書かれているのは大変結構だと思う。

ただ、「言うは易し行うは難し」で、今まで日本の教育のこういう部分は、あまり成功してこなかった気がする。国際的に見ても、個人が日本語あるいは英語で発信するというのは、必ずしも成功してこなかったように思う。よくご検討いただいて、具体化の方策を立てていただきたいと思う。

(委員)

まず、小中学校の学力問題について、従来の取組みで小学校で改善傾向がみられ、その効果が、中学校にも今後及んでくるとは思うが、やはり全国平均との比較をしたときに、中学校の課題にどう取り組んでいくのかというのが、やはり非常に大事な問題。府教委の役割として、直接手を出すのは難しいと思うが、16ページに「特に学習指導面や生徒指導面で課題のある中学校に対して、市町村教育委員会と連携した重点的な支援を行います」とあるように、メリハリをつけて取り組んでいただきたい。また、小学校から中学校に上がった時に色んな課題が表面化したり、中学校で問題が起きる場合があるので、そういった一番底辺の部分、あるいは課題がある分の底上げに力を入れていただきたい。

もう1点は、23ページの「活力のある学校づくりをめざした府立高校の再編整備」について。これは非常に大きな課題だと思う。というのは、今後10年間、ここにも書かれているように、変動要因が非常に大きい。経済の情勢だけでなく、私学の授業料無償化も原則5年間であるし、通学区域を府内全域に拡大することから府市統合の問題もあり、色んな要素が出てくると思う。この再編整備の具体化については、慎重かつ柔軟な対応をお願いしたい。

(委員)

府立高等学校の将来像報告書に関して、1つは「セーフティネット」の整備と「セカンドチャンス」の提供について、「ソーシャルスキルトレーニング」との記載があるが、大事な言葉だと思う。ソーシャルスキルトレーニングは、支援が必要な生徒のみならず、全ての生徒に対して、社会参加という観点で非常に重要。ソーシャルスキルトレーニングの視点を入れた学び直しの支援、授業レベルで入れていくことが大事だと思う。ソーシャルスキルをどう指導・支援していくのかという方法論や、プログラムの開発というのは、大きな課題だと思うが、期待するところ。

2点目は、セーフティネットの役割を担う学校というところで、通信制について書かれている。昨年、桃谷高等学校の学校協議員をしていたとき、多様な生徒が入学している実態を知った。一方で、入学できない生徒もいており、複雑な状況も見せていただいた。このような、通信制の学校は様々な生徒を受け入れる高い機能を持っており、セーフティネットという意味で重要。報告書にも拡充と書かれているが、ニーズに応じて、ぜひ検討いただきたい。

3点目は、報告書に大阪府高等学校適応指導教室について記載があり、この入室制度の状況を見て、非常に興味を持ったのが、問合せ67件に対して、入室が19名で、そのうち14名が復帰していること。非常に高い復帰率。学び直し、多様な学びの、根底をなしているのではないかと思う。今年度も半期で45件で、全体でも増える可能性は十分にあると思う。適応指導教室は話題になりにくいが、学び直しや多様な学びについての重要なことがあると思う。小中学校において非常に大きな機能を発揮しているが、高等学校においても取組みの意義は大きい。適応指導教室の充実や、設置校の増加等を検討することは、特別支援教育の視点から見た支援が必要な生徒だけではなく、様々な生徒を救うのではないかと思う。

最後に、「3.障がいのある子ども一人ひとりの自立を支援します」の発達障がいの部分について。平成14年の発達障がいの可能性のある子どもたちは6.3%という調査について、10年後の最新の調査結果が先日公表され、6.5%ということだった。母数の違いなどあり、単純に比較することはできないが、0.2%の増加をどう見るか。この10年で支援学級の数は大幅に増えた。大阪でも年間1000人単位で支援教育の対象が増えてきている中で、支援学級に在籍しているが、普通の学級で多く学ぶという形が増えてきているにもかかわらず、全国的に普通学級で学ぶ発達障がいのある子どもたちの数値が増えているという状況からすると、発達障がいのある、またはその可能性がある子どもたちが増えているという意味を持っていると思う。今後、小中高等学校に確実に進学していくので、調査の分析が必要であると思っている。

(委員)

小中学校に対して、府教委からどのような形で計画が流れるのかわからないが、フォローをしっかりとしていただく必要があると思う。この席で議論したことも、文書になればなかなか具体的には伝わらないと思うので、その辺に留意していただきたい。

(委員)

1つは、17ページ「『基礎・基本』の確実な定着と『活用する力』をはぐくむ授業づくり」について、学習指導ツールなどの学習教材を提供したり、学校支援が行われるというところ。私も学校現場に行くことはよくあり、これまで府の教育センターで行われていた支援は非常に効果的だと思う。ここはその支援をさらに発展させるということだと思うので、より積極的に資源を投入する価値のあるところなので、その評価も含めて重点的に取り組めば効果があるのではないか。また、23ページの「絶対評価の導入への対応」について。特に、信頼性を向上させる、というところは非常に重要。丁寧に、丁寧に支援していくことが大切。

もう1つは、数値目標の設定。10年後どうなるのかがもう少しイメージできれば良いと思う。もちろん、計画なので「こういうことをやります。」というので良いと思うが。色々な関係機関と協力していくということを実現するためにも、並列的に取組みが並んでいるだけでなく、10年後の大阪の姿のイメージがあると良い。府民も見るので、そこのところは工夫があってもいいのではないか。

(会長)

今のことについて、事務局でご検討いただきたい。

私からも、「市町村ととともに小・中学校の教育力を充実し」の後に、「5年以内に、学力が全国平均以上になるようにします」ぐらいの積極的な目標があってもいいのではないかと思う。昭和30年代の全国学力テストでは、大阪の子どもたちの学力はトップレベル。なぜ、今こんなに低いのか。ちょっとおとなしすぎる。「中学校における一層の学力向上の取組み」とあるが、小学校も上がりつつあるが、もう一歩ほしい。表現は工夫していただくとして、学力のところで積極的な表現の仕方を考えていただいても良いと思う。

それから、大阪の教育行政の良いところであり、特徴的なところでもあるのだが、小学校であまり府の方針が見えてこない。私は箕面市の教育委員をやっていたが、教育事務所があったときも、特に何もなかった。他府県では、教育事務所を通じて、設置者は各市町村教委だけれども、小・中学校まで都道府県の方針が伝わってくることが多くあると感じている。ただ、大阪の場合は、強すぎると市町村の反発を招くので表現は工夫がいるが、府教委と市教委が頑張ってこういうことに取組みますというような、アピールぐらいはしても良いのではないか。振興計画本体ではなく、単年度の事業計画で良いと思うが、何か工夫をしてほしい。

府教委で方針を作って、市町村教委で見向きもされないということはないとは思うが、本当は、現場の小中学校の先生に伝わってほしい。校長先生だけが、配られた計画の冊子は見ておきました、というのではなく、例えば、特別支援教育の問題も、6.5%という発達障がいのことも、一番理解してもらう必要があるのは、教壇に立つ先生。そのあたりが中々難しいという実情があるとも聞いているので、ぜひ、しっかりと。

 

【第4章 基本方針4、5、6、7】

(会長)

 ここは、基本的な教育条件を作る上で大事なところ。順にご意見をいただきたい。

(委員)

いじめや不登校に関する部分について。記載はこれで問題ないと思うのだが、今後取組みを進めていくときに、セーフティネットの充実を実際にどうするのか、例えばスクールカウンセラーが何時から何時まで対応するのか、あるいは子どもたちの相談を受ける時間が夜になるような場合に電話等で対応できるのか、ということにも具体的に踏み込んでいただきたいと思う。また、セーフティネットが充実したという事が、選択肢のない子どもたちにもわかる仕組みを具体的な部分で作っていただきたい。

「教員の力とやる気」や学校の改善に対する様々な取組みを実施するにあたっては、ディスクローズする、いわゆる開示することを評価する仕組みを作ることを考え、例えば今後  10年間に一度そうした仕組みに取組まれてもいいのではないかと思う。問題のあることを隠さないのももちろんだが、「こういうやり方でうまく行った」という例などの情報を、いろいろなところで開示することを目標とする10年間としてはどうかと思う。

(委員)

 今、ご指摘のあった開示や透明性の確保というのは大変重要だと思う。特にこれからグローバル化が進む中ではこれまでのやり方とは異なったやり方を取り入れ、誰にでもわかりやすくなるよう、透明性を高めるということは非常に大事だと思う。

 グローバル化に関して申し上げると、グローバル化が進むということは日本社会の中に多様な人々がどんどん入ってくるということでもあり、32ページの「自他を尊重し、違いを認めあう豊かな心の育成」という部分はまさにそれに対応する部分だと思う。今後は、従前の日本の社会における多様性を認めるだけではなく、新しい局面としてグローバル化が進み、社会に多様な人々が入ってくる中で、いかにして共に生きていくのかということに対する工夫が一層求められるのだろうと思う。

「7.学校の組織力向上と開かれた学校づくりをすすめます」では、前にも申し上げたが、たいへん良い先生、つまり教えるのが上手という教員の「教育する能力」と、組織を運営していく「マネジメント能力」は別の物だと考えた方が良いと思っている。そういう意味では、教育の資質向上という点からも、今後の事業計画の中で組織マネジメントの能力を高める工夫を行ってもらえればと思う。

(委員)

 「7.教員の力とやる気を高めます」について。教員の年齢構成が非常にいびつになっているということは、従来から現状認識として持っておられて、これからもしばらく大量の退職が続くわけだが、その下で、教員の新規採用の倍率が従来は6倍ぐらいだったのが4倍台となり、教員採用の競争倍率が低くなってきている。このような状況にあっては、36ページにも記載のある「優秀な教員の確保」ということが一層重要になってくる。採用方法の工夫、改善とあるが、今後、具体的な取組みを進めるにあたっては、社会人経験者の採用など様々な工夫を凝らして質の高い教員の確保を検討してほしいと思う。

今回の「めざす目標像」である「自らの力や個性を発揮して夢や志を持ち、粘り強く果敢にチャレンジする人づくり」「大きく変化する社会経済情勢や国際社会の中で、自立して力強く生きる人づくり」「自他の生命を尊重し、違いを認め合いながら、自立して社会を支える人づくり」をあらためて見ると、当然、こういう人が先生になっていただかないといけないし、先生自身が夢や志をもっていただかなければならないと思う。「教志セミナー」などで、志のある優秀な方に教師になってもらえるよう、積極的に取り組んでいただいているとは思うが、教師は夢があって非常にいい仕事なんだという事を色々な場でアピールしてもらいたいし、いろいろな社会の経験者の方が、その経験を活かして大阪の教育に携わっていくことができる取組みを工夫していただきたい。

(委員)

まさに、教員がまず夢や志を持つということが大前提だと思う。教員がしっかり夢を語れなければならないし、子どもたちのモデルになっているのだというところが非常に重要。同時に、キャリア教育や夢を持つという事を考える際に考えていかなければならないのは、自分がどういうところが強く、どういうことが苦手なのかという自己理解。特に、自分のストロングポイント、強い部分を言い続けていくということは、自己理解があってこそできることであり、その点は工夫が必要だと思う。

次に、計画の文章に入れるかどうかは別として、これは毎回言わせていただいていることだが、やはり、支援教育との連動というよりも支援教育の観点が生徒指導に入るということが大切だと思っている。発達障がいやその可能性のある子どもの中には、認知特性、非常に偏った理解の仕方をしたり、場面や文脈がなかなか理解しにくい、他者の心情理解が難しいといった部分は単なる言葉の説明だけではなかなか分かりにくい部分がある。そういう状況を踏まえると、生徒指導に、一人ひとりの認知特性や行動特性など様々な状況や特性に応じた支援という観点を入れなければ、生徒指導がなかなか入っていかない生徒がいると思う。

最後に教員の事だが、経験の少ない、これから教員生活を送っていく層と非常にベテランの層があるというのはこれまでも指摘してきたところだが、そこを学校の特性や状況に応じてどう交流させていくかが大事だと思う。ベテランの先生が若い先生に意見を言えなくなっている、若い先生がベテランの先生に聞けなくなっている状況がある。そこをどうにか学校の中の工夫によって交流していかなければ専門性の継承という点で非常に難しさが生じるのではないかと思う。

(委員)

 これまで、教員のところで色々と意見をさせていただいたが、今回「生徒、保護者から信頼される存在となるよう」という文言を入れていただいているが、可能であれば、「地域も含めて」ということにしていただきたい。「社会総がかかり」という事なのだから、地域を巻き込まなければ、後で出てくる「安全」という課題の対応にもつながっていかないと思う。

 先ほどの学校の先生については教える方と管理する方は別なのだという点についてはその通りだとは思うが、会社には専門職と管理職の両方をこなせる人もいるので、先生にもそれを目指してもらいたい。今は、管理職になりたくないという風潮だとも聞いているが、新卒で入り、いろいろと経験を積む中で将来はああいう校長になりたいなという先生もいるだろうから、管理職の養成を行っていくということは大変いいことだと思う。

(委員)

ここに今、書かれているアイデアは非常に良いが、これらを運用するにあたって、例えば「体力」や「先生のやる気」や」「学校のマネジメント」については、それぞれの学校の努力を支援していく、教育委員会の施策を支援していくという形になるのだろうと思うが、それぞれが独自の立場で施策をやっていく中にあっては、同じ努力を個別に進めるということも一時的には大事だと思うが、「こうすればうまくいく」あるいは、「この工夫は上手くいきそうだ」という事例の交流を図るためのアイデアを寄せ集められるような、施策のコミュニティがあれば、施策がより効率的に進むのではないか。皆さん、うまく進めようとして努力されるのだろうが、必ずしもうまくいく場合だけではなく、ある市ではこういう取組みでうまく行ったという事を、他の市の方も学べる仕組みを作ることが必要で、どういう工夫があり、何をしたことで結果が出たのかということがわかる仕組みがあると、支援の施策は効果が2倍になるかどうかはわからないが1.3から1.4倍にはなるのではないかと思っている。個々の努力に任せるのではなく、その努力はどういったもので、どういう効果があったのかを報告する仕組みがあればいいのではないかと思う。そういうことも入れてもらえると面白いのではないか。

(会長)

 今のご意見の繰り返しになるが、グッドプラクティス、優れた実践の普及は重要だと思っている。高校だけではなく、幼・小・中・高、あるいは公立・私立を問わず、大阪府として取組みを検証することが必要。例えばこの中でも少し触れられているが、家庭の経済状況と学力や体力は関連しているという実情があるにもかかわらず、そういう現状をはねのけ、非常に厳しい状況にもかかわらず良い結果を出している例もある。そういう例を、直轄である府立高校にとどまらず、市教委からも推薦してもらい、大阪府として検証し、同時に実践を発表してもらい、あるいはどういう手だてを打てばうまくいくのかといった事例を集めて資料を配るなど、うまくいったグッドプラクティスを大阪府全体の物としていくということについても、積極的に書いてもらえばいいのではないだろうか。

 もう一つ。学校というのは非常に閉鎖的であり、情報を外に出さない体質がある。確かに、子どもが通っている以上注意しなければならない点も沢山あるが、先日の大津のいじめの事件でもあまりにも隠し事が多すぎる。こういう点を色々な意味で開かれたものにしていかなければいけないと思う。以前は私学の方が閉鎖性が強かったが、今では私学は財務開示までやっている。私が経営に関わっている私学などは、毎年細かい数字まで発表している。まずい点も表に出して、その課題にどう取組んでいるかという事を公にしなければ本当の信頼が得られないのではないか。府立の学校はもちろんだが、幼・小・中・高のすべてにおいて、より一層情報を開示する方向で、府として指導していただけないかと思う。これまでよりもう一段階、情報を開放することが必要だと思う。周りから見ると、学校はどうしても「由らしむべし知らしむべからず」という、つまり情報は出さないが信頼してついてきてくれとばかり言っているような部分があるような気がしている。文章表現はまた工夫していただいて。

 

【第4章 基本方針8、9、10】

(会長)

 次に、基本方針の8から10について、またご意見をいただきたい。

(委員)

 今回のトンネル事故のように、老朽化による事故は起こってからでは厳しい。予算も含めて、計画の中ではどのようなスケジュールで老朽化対策に取り組むのかというところまで、しっかり具体的にしていただきたい。

 それから、「ボランティア」について、子どもたちの活動や教育の中でしっかりと考えてもいいのではないかと思う。いま、若い20代から30代、特に20代において、ボランティアに対する行動が非常に自然に出てくるようになっている。今回の震災においてもそうだったし、私どもの会社のメンバーの中には、土日を使ってボランティアに参加している者もおり、そうした活動を自然に行える素晴らしいところがある。地域活動に入っていく場合にもボランティアは非常に有効かと思う。こういうものにもっと積極的に取り組む仕掛けを、今後の具体的な計画の中に取り込んでいただければと思う。

(委員)

 学校設備については、教育の場としての学校の位置づけもさることながら、防災拠点、避難拠点としての位置づけから考えても、学校設備については、建物の耐震化をはじめとする充実・拡充が必要だと思うので、より一層の配慮をいただければ。

(委員)

 私も、老朽化については、事故なども発生していることを考えても、非常に重要な課題だと認識している。特に41ページにある府立学校の築年数別学校数をみると、築30年以上経過している学校が非常に多く、これらが一度に改修や建て替えということになると、府の財政が本当にもつのかという懸念もある。今日は政策企画部、企画室の方も来られているが、教育委員会だけでなく大阪府全体として、老朽化対策に対しては、計画的に長期的な視点から、予算も考慮して取り組んでいくことが非常に重要ではないかと思う。

 一方で、耐震化は結構進んでいるが、通常の維持管理の予算はほとんどないのではないかという点も気になる。維持管理がきっちりできていないからトンネル事故のように天井が落ちるという事故も発生する。日々の維持管理をきっちりしておけばあのような大きな問題も生じなかっただろうし、学校での日常の維持管理の予算も非常に重要になってくるのではないかと思う。

 もう一点。今回の教育振興基本計画において、基本方針の10番目として「私立学校の振興を図ります」とまとめられている。さらに、各項目を見ると、それぞれの基本方針に私立における取組みが入っており、従来のように公立の教育だけでなく、私立を含めた大阪の教育というものを、今後、基本方針のそれぞれの項目の中で進めていくことになっている。実際に事業に取り組む際には、大阪府として、知事部局の政策企画部や福祉部などと教育委員会が一緒になってこの計画を進めるという点で、非常に大事な計画になっていると思う。

 これまで、私は府の教育委員会の方にだけ関わっていたので、私立の教育がどのようになっているのかという事についてはなかなか理解が届かなかったが、今回、この審議会を通して私立の学校教育も非常に熱心に進めておられることが分かった。その私立の教育もしっかり守りながら府全体として目標に向けた取組みを進めてもらいたいと思う。

(委員)

45ページの「放課後等における子どもの居場所づくり」に「障がいのある子ども等の参加促進に努めます。」とあるが、この通りに取組みを進めていってもらいたい。現実的には難しい側面が大きいという事を考えると、ここで一歩進むことになるといいなと思っている。

 次の46ページについても、以前にも言ったことになるが、保育所・幼稚園・小学校の「教育課程上の連携」と書かれている点が非常に期待できる部分があると思っている。それぞれがどのような目的・機能を持ったうえで教育・保育をしているのかを踏まえた交流という形が大事。

 それから、私立学校の部分では、私立の幼稚園について大きく記載されており、特に障がいのある幼児が私立の幼稚園に多く在籍しているという点を踏まえたうえでの基本計画というところで、今後に非常に期待できるものになっていると思う。

(委員)

 ボランティアについては先ほどもご意見があったが、活動を進めるということは一番難しいことかもしれない。しかし、大阪府で音頭を取っていただき、ぜひ大阪中にボランティアのネットワークを広げていただきたい。企業ではボランティア休暇というものもあるし、女性だけでなく男性の育児休業制度というのもある。必ずしも若い人やシニアだけでなく、実際に子どもが学校に行っている親が、仕事を休んで子どもと一緒にボランティアや学校の行事に参加するというのが一番効果的なのではないかと思う。先日の大阪マラソンでも多くのボランティアが参加していたが、キャンペーンを張るなど、多くの人を巻き込んでいただきたいと思う。

(委員)

 自助、共助、公助と言われるが、自助も共助もうまくいかなくなり、みんなが公助に頼らざるを得ない現状において、大阪府のこの教育コミュニティを作る、地域を大事にするという施策は本当に重要なもので、これからも本当に熱心に続けていくべきものだと思う。

 東南海地震など、大地震の発生も近いと言われており、ちょうど基本方針の「8」と「9」が隣り合わせになっているが、教育コミュニティの活性化や創出するということは同時にリスク対応にもなってくる。そういう結び付け方もできるのかなと思いながら「8」と「9」を見せていただいた。あまり縦割りにならずに、リスク対応のコミュニティでもあるし、助け合いのコミュニティでもあり、教育に関する助け合いもそこにあるというコミュニティ像がいいのではないかと思う。いずれにしても非常に大事な所であり、これからも力を入れて取組んでいただきたい。

(会長)

 今、大事なことを色々とご発言いただいたが、私も、基本方針の「7.開かれた学校づくり」と「8.安全・安心」と「9.地域のコミュニティ」が非常に関連しているなと思いながら内容を見ていた。

 学校だけの閉鎖的な対応をしていたのでは、リスク対応という点で色々と問題がある。今も、通学路におじいちゃん、おばあちゃんが立っていただいており、計画の中で、シニア世代にも触れてもらっているが、これは非常に大事だと思う。より一層、お父さんやお母さんが学校の事に色々と関わる、同時におじいちゃんやおばあちゃんも関わるという取組みを進めてもらいたい。市によっては、小学校や中学校での運動会や学芸会などの学校行事の際に、老人ホームや老人クラブの方を招待し、一番いい席を用意して見てもらうというような取組みをしているが、とても大事。幼・小・中・高のいずれでもこうした取組みをするといいのでは。また、総合的な学習などで取り組んでいるが、お年寄りが子どもたちに昔の遊びや手芸を教える時間を設けるなどの取組みもある。一部では行われていると思うが、大阪府全体としても、こうした取組みをもう少し盛り上げてもらってはどうか。

 府立学校では学校協議会を作っているが、小・中学校でも、保護者だけでなく、地域の色々な役職を務めている人も参加する学校評議会を組織し、外からの視点で気づいたことを言っていただくということが非常に大事。今、生まれ故郷の島根大学の経営協議会の委員をしているが、この協議会は半分は大学の幹部で、半分は地元の新聞社や百貨店、電鉄会社の社長で組織されている。協議会の中で地元の人が色々と注文されるのを聞くたびに、毎回「へえー」と思うことがある。学校の方針を理解してもらう場というだけでなく、外の人のアイデアを恒常的に提供してもらう場を持つということも非常に大事だと痛感している。国立大学は今そういう場を必ず持たなければならないことになっているが、ぜひ、市教委を通じて小・中学校についても必ずそういう場ができるような方向に持って行っていただきたいと思う。その際には、人事上の意見は除くというようなことも必要かもしれないが、そういう場を持つと、より一層学校が開かれ、内側からだけの発想で物事を進めるということにはならないと思う。

 私立学校について申し上げると、公立の先生には、私立は進学率だけで競い合っているのではないかと思われている人もいるようだが、そのようなことは無い。私立はユニークな活動をずいぶんされており、中には公立の役に立つ取組みも色々あると思う。先程のグッドプラクティスの話になるが、先日、新聞で生活面の3分の2ほどを使って大阪のある私立高校がもう20年ほど取り組んでいる作文教育を紹介していた。これは、生徒全員に作文を課し、それを細かく添削して返すというものだが、この取組みの結果、文章力がつくと同時に思考力がついたということだった。非常に手間暇がかかるので、やり方には工夫も必要かもしれないが、この記事を見て、目立たないが非常に着実な取組みだなとあらためて思った。 

計画の中で、せっかく私立を取り上げたので、公立と私立の間でのアイデアの交換が、もっと進むといいのではないかと思う。私立のユニークな取組みに対してお金を出して奨励するという事業があったが、チャンスがあればそういう取組みも復活させてもらいたい。公立、私立を問わず、特別な取組みをやりたいという学校があれば、ごくわずかでいいので、大学でいう科研費のような奨励金を出し、その成果をみんなのものにしていくことができればいいと思う。

 

【全体を通じて】

(会長)

ここまで、全体を順に見ていただいたが、今回でまとめになるので、全体を通じて特に強調しておきたいということがあれば、よろしくお願いしたい。

(委員)

大阪府のある事業をさせていただいている中で、高校を卒業したけれど、うまくキャリアを作れない子どもたち、学力の問題や様々な問題で社会にうまく入れない子どもたちを仕事に就かせるまでのサポートを行うプログラムに関わらせていただいた。その中で驚くべき社会の事情というものが色々あり、生活保護を受けている両親のもとにいる子どもは、自分自身のキャリアを築こうとするときに家庭の中でサポートが無いということや、子どもたち自身もそういう状況に慣れてしまうという実態を見てきた。例えば、折角、面接を受けるまでに事が運んだにもかかわらず、その日の交通費が無いために面接会場まで行けず、私どものメンバーが子どもの元に行き、面接会場に連れて行くということがあった。しかし、子どもはそれを親にも言えず、言ったとしても面接を受けに行くことが可能にならない家庭もあるという現状を見た。

そういう中で無償化の問題も違う意味で私には響いてきたのだが、誰にでもチャンスがあるという中では、お金の問題だけでなく、気持ちを強くすることが必要になると思う。自分の人生を作っていくのは最後は自分であり、家庭がどういう状況にあっても自分の人生は自分で作って行けるという事を教える、サポートする仕組みを作っていけないものかと思う。

初めて色々な実態が分かったばかりなので生意気なことは言えないが、子どもを勇気づける仕組みを、ぜひこの教育の計画の中で作ってもらいたいと思う。

(委員)

 グローバル化という視点で申し上げたい。日本国内のマーケットがこれからもどんどん縮小していくということは、少子高齢化が進んでいる以上は避けられないが、その中で、企業も国外での活動を強化せざるを得ないということはずいぶん前から議論されてきた。それでは、日本の若者に外国に出て頑張ってやろうという人が増えているかというと、そうではない。これは、様々な面で国際的に活躍するということに夢を託せないという若者が増えているということかもしれないと思っている。そういう意味では、グローバル化、イコール英語教育という事だけではなく、むしろ色々なところで仕事をするということに対して夢を与える教育を今後進めていけばいいと思う。

(委員)

 今回の大阪府の教育振興基本計画は、今年の3月にできた大阪府の教育行政基本条例に基づいてできているという事で、あらためて条文の前文や内容を読ませていただいた。初回には知事も来ていただいたし、毎回、知事部局の方と教育委員会の方とこういう議論ができ、参加させていただいてよかったと思っている。

私自身は教育委員会の評価委員や府教育センターの評価委員をさせていただいてきていて、他府県のことはあまり知らないが、大阪府の教育委員会の点検・評価報告書は、この間非常に内容を充実させ、わかりやすい指標目標をたてて取組まれるようになった。今回、教育振興基本計画にあがっている10の基本方針について、今後、事業計画を立てられるという事だが、点検・評価と結果の公表についてきっちり具体化してもらいたい。この計画の中には、まだ具体的な目標数値や5年後、10年後どうするのかというものは書かれていないが、どういったものを目指すのか、目標にするのかという事をきっちり議論してもらいたい。

時代の流れに合わせて目標や数値は変化すると思うが、それに合わせて議論していくという過程が大阪府の教育全体のレベルアップ、課題抽出に繋がると思う。点検・評価というのは結果の悪かったところを指摘するだけのものではない。もともと目標を設定した時点の社会の状況から、時代に合わせて目標を柔軟に変えていきながら、目指すべきところに少しでも近づけるように、また、長期的視点で予算規模や財政の裏付けをきっちり行いながら、教育という大阪府、府民にとって重要な取組みを進めていただきたい。

(委員)

 私は支援教育という立場で参画させていただいたが、今回の教育振興基本計画の中に支援教育の様々な観点を組み込んでいただけた点について、今後期待していきたいと思っている。特に、「ともに学び、ともに育つ」という視点が様々な所に関わってくるという点に、大阪の特徴を反映していただけているのではないかと思う。特に今、発達障がいが非常に増えているということと、もう一つには知的障がいの子どもたちも非常に増えており、その両方の子どもたちが夢と志を持っていくために、就労支援の取組みをしっかり位置づけた点で、今後の方向付けをしていただけたのではないかと思う。

ただ、先ほど発達障がいの子どもの割合が6.5%という数字も出たが、障がいがあるという事で支援が始まっている子どもはいいのだが、実際に支援が始まっていない、あるいは支援を拒否しているという、支援の狭間にいる子どもたちが意外と多いという事を考えると、また、そういう子供たちが不登校やいじめに関わってくる可能性を考えた時に、そういう子どもたちの事をどのように踏まえて取組みを進めていくのかという点がこれから考えるべき大きな課題ではないかと思っている。

(委員)

 今回この審議会の委員に入れていただき、自分なりに勉強させていただいた。企業にとって一番大切なことは、今の日本にはエリートが足りないと指摘されていること。実際、日本は中間層が強いので、まだ世界においても強いと言われている。

教育の場ではその対象を高校から小中、幼稚園まで広く網羅されており、特に、セーフティネットの整備というところまで広く取組みをされている。場違いな意見もあったかもしれないが、事務局でうまくまとめていただいたことには感謝しているが、計画に書かれている言葉は若干なめらかで耳触りが良く、とげや生々しさが無い。これが市町村に流れていく時に、「今までやってきたことを、言葉を変えて書いてるだけじゃないか。」と捉えられては効果が無い。その点は気をつけてもらいたいと思う。特に、行間に込められている意図をうまく読み取ってもらえるように伝えていただけると、市町村に行ってもうまくいくのではないかと思う。

(委員)

 委員でありながらこういうことを言うのは良くないのかもしれないが、私としてはいいものができたのではないかと思う。様々な立場の方の知恵や経験を持ち寄り、作っていただいて非常に満足している。

 ただ、これは計画であり、後はこれを実行に移さなければならないのだが、これをやり抜く時には、まだもう一つ二つ知恵が必要になるのかもしれないと思いながら、発言させてもらった。5年後に中間まとめをされるのかもしれないが、10年後にこれをやり抜いた時に、大阪が活力のある教育をやっている、そして全国から大阪のアイデアが欲しいと集まってくるような状況になっていればいいなと思う。この計画をやり抜けばそうなると思う。そして、私も微力ながら何かに貢献できればいいなと思いながらこの計画づくりに参加させていただいた。私自身も勉強になり、いい機会を与えていただいたことに感謝している。

(会長)

 私も、いいものができたなと思っている。というのは、どうしても教育の問題は縦割り、横割りになってしまうものだが、大阪で生まれ育った子どもがどういう大人になってほしいか、どういう人生を送ってほしいかという事を考える計画ができた。幼稚園は幼稚園の、また小・中・高校もそれぞれに問題があり、また公立もあれば私立もあると色々と別れている。また、みんなと一緒に育っていける子どももいれば、支援の必要な子どももいる状況の中で、まずは全体をトータルに俯瞰し、関連付けて考えていける計画ができたことは非常に良かった。これから事業計画を作っていただく中で、具体的な事業を取りまとめる際に縦割り、横割りの弊害に陥らずに相互に関連付けて取組みを進めていただければいいと思う。

 もう一つ、多くの委員から繰り返しグローバルという言葉が出たが、これはとても大事。今、大阪の事を考える時にも、大阪だけを考えていればいい、ということではもうなくなっている。この10年ほど私はアジアの学校を色々と見て回る機会があり、上海やソウル、台北にも何度も行き、ベトナムのホーチミンやハノイなどにも行った。一昨日も一週間ほど、フィリピンへの中学生の修学旅行に同行し、いろいろな中学校と交流をしてきた。今後、上海やソウル、マニラで大きくなっていく子どもたちと、大阪で大きくなっていく子どもたちとが、手をつないでいかざるを得ない状況になっている。「あそこはあそこ、うちはうち。」では済まない。そういう視点で、教育の中身が「手をつないでいける内容」になっているかということをいつも問い直さなければならない。ゆとり教育の中では、特に理数系の知識・技能がアジアの国からみても大幅に遅れを取っていた。また、アジアの国では小・中・高で、国を超えた手のつなぎ合いの大切さを非常に強調して教育しているが、今、日本の若者は外の事をあまり見ないという弱さがある。例えば、マニラの子は大学の教育をどこで受けようかという夢を抱いている。日本にも行きたいし、アメリカにもパリにも行きたいという事を語るが、日本の高校生はそういう夢は語らず、大阪の大学に行こうか東京の大学に行こうかという話になってしまう。

そういうことも含めて、大阪の子どもたちが、これからは否応なしにグローバルなシチュエーションでやっていかざるを得なくなる。大阪で商売をするにしても取引相手は全部外国の人ということもある。事業計画を作る中で、グローバルな視点を持つことはとてもいいことだと思う。大阪を超え、日本を超えた視点を持って事業計画を作っていただきたい。

 

3.閉会

(会長)

計画素案についての審議会での審議はこれで終了としたいと思うが、事務局におかれては、本日頂戴したご意見も含めて最終的なとりまとめ作業を進めていただきたい。委員の皆さんにお諮りしたいが、とりまとめに際しての事務局との調整は、私に一任いただいてもよろしいか。

(委員)

異議なし。

(会長)

ありがとうございます。それでは、今後、最後のまとめをしていきたいと思う。

(中西教育長)

 6回にわたりご審議いただき、委員のご専門の立場から非常に幅広いご議論をいただけたと感じている。特に、グローバル化の視点とあわせて、すべての子どもたちの学びを保障する、厳しい状況にある子どもたち、支援を必要とする子どもたちに対するセーフティネットをしっかり張るという観点からも、きめの細かいご議論をいただくことができてよかったと思っている。

 これからの大阪の教育が、生徒・保護者や府民のニーズに応えてしっかり変わっていくと同時に、学校現場で働く教職員の皆さんが将来に展望を持って働けるような状況をぜひとも創り出していきたい。

 今日もご指摘いただいたが、事業計画に向けて、数値目標を10本の基本方針ごとに置く方向で作業を進めており、またお知恵をお借りしたいと考えているので、よろしくお願いしたい。

 事務局についても、教育委員会だけでなく、政策企画部や府民文化部と三者一体で運営をさせていただいた。公立と私立を合わせたこのような計画ができるのは初めてであり、非常にありがたく思っている。

 総選挙が終わって政権交代ということになるが、教職員の定数改善や高校無償化の行く末がどうなるのか心配しており、注視していきたい。また、教育委員会制度のあり方や首長との関係をめぐる議論も、これから出てくると思うが、そういう中にあっても、大阪の教育がゆがむことなく発展できるよう、努力していきたい。この計画を羅針盤としてこれからの10年に踏み出していきたいと思っている。

本当にどうもありがとうございました。

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 教育政策グループ

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