平成23年度第6回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 (社)大阪府中小企業総連盟における共済年金制度の事業廃止に伴う大阪府出資金の取扱いについて

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資料1 (社)大阪府中小企業総連盟における共済年金制度の事業廃止に伴う大阪府出資金の取扱いについて

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※商工労働部長から資料に基づき説明。

【知事】
・債権放棄しても訴訟リスクがないということを確定してもらいたい。

【商工労働部】
・この件については、これまで大阪府の顧問弁護士2名に訴訟リスクについて法務相談を実施。
・法務相談の結果、資料1対応案に記載の理由から、住民訴訟リスクに十分対抗できる。

【知事】
・要は、怠る事実に当たるかどうか。請求権を行使しなくても、怠る事実に当たらないのか。

【商工労働部】
・はい。

【知事】
・総務部と協議した結果はどうか。

【総務部長】
・怠る事実については二点考えられる。一つは、総連盟は急にこの状態になったわけではなくて、どこかの時点で、掛金で年金を支給できなくなった状態が生じているはず。運用利回りに応じた適切な給付率が設定されていなかったと問題点が指摘されているが、これに対して、府としてどのように対応してきたか。
・もう一つは、請求権を行使するかどうか。総務部としては、商工労働部が言うように自らの意志で債権放棄するのではなくて、規定に基づき請求すべきであると考える。請求した結果、社団としては支給できないので、法的手続きでいかないといけないのではないか。裁判所が出す結論に従う方が適当ではないか。
・総連盟定款では、出資金相当額を出資者に返還しなければならないという規定があり、出資契約書でも、事業をやめるときには本契約を解除することができ、その場合も返還しなければならないといった規定がある。この解釈からすると、返還を求めるというのが第一義必要ではないか。

【知事】
・返還請求権があり、それを放棄するということになると、怠る事実になるのではないか。

【商工労働部】
・一人の顧問弁護士は、共済年金制度は中小企業組合の役職員の実質的な退職金的な取扱いになっていること、また、制度創設者、出資者としての社会的責任から、政策的判断として出資金の範囲を限度として社会的責任を果たすために返還請求権を放棄することは裁量権の逸脱とはならず、違法若しくは不当に財産の管理を怠ったとはならないと判断される、ということであった。

【知事】
・3500万円の訴訟リスクがある。総務部は返還請求権があると言い切ったが、そうではないということか。そうであれば、署名入りの弁護士の意見書を出してほしい。

【総務部長】
・裁量権の範囲内で政策的判断という説明だが、そうであれば、返還請求権はあるが、行使しないことも裁量権の範囲として妥当ということではないのか。返還請求権はないという解釈ではないのではないか。

【商工労働部】
・総務部長の解釈が正しい。

【知事】
・責任を負えるかどうかの話なので、弁護士がどう言っているのかの資料を基に考えるべき。

【商工労働部長】
・総務部長の言うとおり、返還請求権はある。返還請求権はあるが、行使するかどうかということに対しては、政策判断であるというのが、弁護士の基本的な回答。2名中2名から、署名入りの意見書をいただいている。

【木村副知事】
・裁量という判断の中で、返還請求するか放棄するかの判断は、加入者や受給者への影響、それに対する府の責任の判断だと思うが、放棄する場合と請求する場合で個々の受給者にどれくらいの影響の差が出てくるのか。

【商工労働部】
・事業廃止した場合、受給者については利息を圧縮した額になる。加入者については、中央会から支援をいただくことで、掛け金相当額を返せることになる。
・法的手続きで破産となった場合、受給者の給付金と加入者の掛金、出資金が債権の扱いとなる。出資金が同列という扱いになった場合、事業廃止の時と比べて、受給者と加入者の受給額は53%程度になる。出資金が劣後となった場合においても、事業廃止の時と比べて、受給額は80%程度になる。

【政策企画部長】
・類似の団体がある場合、大阪府が出資していなかったとしたら、中小企業の振興を図るという観点で例えば補助金を打つなど、積極的な救済措置を講じるのか。

【商工労働部長】
・出資をしていなかった場合、補助金を打つことはないと思う。
・出資金を出すということは、それだけ責任を負った、コミットメントしたということ。出資金の運用益によって事務経費を賄うという発想のもとで、出資を行ったことから、この制度について責任をもって管理をしていくという意思表示をしたと思っているので、その範囲内において救済策に応じていくということは可能であると考えている。

【政策企画部長】
・政策判断ということか。
・一方で、納税者に対するコミットメントをしていて、当時の経過として、定款の規定において返還をするということにしている。
・法的手続きを経ないで、政策判断として債権を放棄するという妥当性はどうか。

【知事】
・訴訟リスクの検討をするときには、ビジネスジャッジメントルールで、どこを検討しないといけないか議論しなければならず、実際これまで議論してきた。私との議論のプロセスと、弁護士意見の資料が必要。最終的に、会議メンバーに、訴訟リスクの有無を個別に聞いていくので、判断に足るだけの資料にならないといけない。

【綛山副知事】
・出資契約書には、「総連盟が共済制度を中止し、または廃止しようとするときは、本契約を解除することができ、この場合出資金を返還」しなければならないと書いている。それは制度が発足した45年当時の議論。その当時は破たんを予定せず、中小企業組合の役職員に対する年金制度として、大阪府が指導的に政策として推進してきた。これは一人の弁護士が認定したこと。
・今般、こういった事態になったが、出資したときの経緯等を含めれば、請求権を行使することがいいのかどうか。つまり、行使することによって、個人の権利が一定毀損されてしまって、還元されない場合がある。そこで行政が判断せざるをえない。
・判断した結果については、地方自治法第96条の議会の議決に係らしめることによって債権放棄できるということになっている。ただし、議会の議決もオールマイティじゃないので、議決があったと言っても、行政の不作為、裁量権の踰越・濫用だということはありうる。ただし、議会の議決を得た結果について、長の賠償責任を住民訴訟で認めたことを、議会の議決でひっくりかえしたということになれば、住民訴訟制度の趣旨を覆すことになってしまうから、それはあまりよろしくない。地方自治法上、議会の議決を得れば事実上は免責されるということでやらざるをえないのではないか。そこを含めて議論しないといけないのではないか。

【総務部長】
・議会の議決を経たものを執行し、それについて住民訴訟が提起されている。議会の議決を得たから免責されるということはない。また、負けているケースもある。

【知事】
・神戸の団体への職員派遣の問題でも、議会の議決を経たうえでの執行だが、賠償責任が生じた。
・公金の支出はすべて議会の議決を得ている。

【綛山副知事】
・公金支出一般ではなくて、個別の債権放棄議決についてということ。地方自治法第96条の議会の議決の趣旨をどう考えるかという議論。

【総務部長】
・議決という点では全く同じではないか。公金支出の場合は負けることもあるが、債権放棄の場合は大丈夫ということにはならないと思う。

【綛山副知事】
・手続きとしては議会の議決が予定されているので、そこにいくかいかないかということを議論している。まずは議会での議論に耐えうるかどうかを議論しないといけない。

【知事】
・構造としては、支出の場合は予算執行なので、違法な公金支出かどうか。今回の場合は返還だから怠る事実かどうかということ。

【綛山副知事】
・支出については昭和45年に終わっている。
・返還については請求権があるが、これについて放棄していいかどうか。それを96条で係らしめていて、債権放棄の議決があれば、自治法上は、手続きとしては終了する。

【知事】
・支出の場合でも、支出自体に議決があれば、住民訴訟の対象にならないのか。

【綛山副知事】
・そこはちがう。
・権限の踰越濫用などの議論があって、補助金行政は特に議論がある。支出の根拠として予算案の議決を得ているが、地方自治法第96条の議決とはちょっとちがうかもしれない。地方自治法第96条は特定された債権について、個別的に放棄していいかどうかを議決。

【総務部長】
・今議論しているのはその手前で、返還しなければならないという規定がありながら、自らその権利を行使しないという判断をしたことはどうなのかという議論。

【綛山副知事】
・それについては対応案が書かれている。踏んできた手順については実証したらいい。その実証の結果、対応案があり、それをもって放棄したい、議案として出したい。そこまでの部分が十分かどうか。それを踏まえた上で、最終的には地方自治法第96条で議決をお願いする。

【知事】
・議決を得ても免責を得られないので、債権放棄案を議会に出すことの当否。
・総務部は反対か。

【総務部長】
・この間の経過はあるが、もともと私は請求すべきという意見を申し上げてきた。

【綛山副知事】
・最初は私もそうだったが、最終的には行政の判断なので、弁護士と相談した結果、これを行使したことに係る加入者への影響と比較衡量した結果、返還請求権を行使すべきでないと考えた。それがためにはもうすこし理屈の整理をしないといけないが、行政として一定の時期に判断することはやむを得ない。いつまでも議論を継続すべきではないと考える。

【木村副知事】
・本件については、相当時間を取って議論してきた。弁護士にもリスク検証をお伺いした。最終的には零細な加入者の方が身を削って払われた金額も払えないという状態は避けなければならない、それは行政の責任だろうということで、我々としてはこれで議会のご了解をいただきたいという話になった。だから、いろいろな経緯のなかで、議論を尽くしたなかでこういった対応案となったので、私としては9月議会に議案として上程したいと考えている。

【小河副知事】
・総連盟はどういう責任を取っているのか。中央会からお金が入るからそれでいいとはならないのではないか。

【商工労働部長】
・総連盟の責任が重いということは考えている。
・支援金は、総連盟の役員が中央会の役員会に要請をして実現したもの。
・善意の加入者や受給者については保護しないといけないが、総連盟の運営に携わっていた役員で、受給者になっていた方がいる。この方については自主返納を強く要請していく。

【政策企画部長】
・この議論は長い時間をかけて議論されてきた。この資料だけの提示になっているので、もう一度整理していただいて、あらためて戦略本部会議にかけるということでいかがか。

【知事】
・政策企画部長の意見は。

【政策企画部長】
・事前説明を聞き、やむを得ないという判断をしている。しかし、この会議で、この資料だけでの判断をするには、もう少し説明をしておいた方がいいと考える。

【知事】
・戦略本部会議で形式的にオーソライズする話とちがい、個別にメンバーのみなさんにはっきりと意見を述べて頂きたい。

【政策企画部長】
・私は原案に賛成していいと考える。

【木村副知事】
・弁護士のサイン付きの意見書は確認したし、内容についても責任をもって対応策を作った。その点はご理解いただきたい。

【知事】
・了解。それでは、プロセスについての資料はきっちりとまとめてもらって、請求権は行使しないこととする。

【政策企画部長】
・では、結論は原案で了承とする。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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