環境対策の歴史

更新日:2020年3月5日

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1.汚染物質の経年変化

大気関係

二酸化硫黄の年平均値推移(国設大阪局)

窒素酸化物の年平均値推移(国設大阪局)

浮遊粒子状物質の年平均値推移(国設大阪局)

水質関係

BOD経年変化


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2.分野別に見た対策 <総合的対策>

制定・施行・策定

内容

 1967年【昭和42年】

 公害対策基本法の施行


 昭和42年(1967年)に日本では公害発生源の直接の規制にとどまらず、計画的、総合的な行政によって公害問題の根本的な解決を図るため、公害対策基本法が施行されました。当時は、各地で建設された石油コンビナートからの硫黄酸化物による大気汚染が深刻化するとともに、閉鎖性水域における赤潮の発生などそれまで局地的な事件にとどまっていた公害事象が比較にならないほど広範囲なものへと変化していった時代でした。
 公害対策基本法が施行されるまでの日本における公害対策は、「ばい煙の排出の規制等に関する法律」や「公共用水域の水質の保全に関する法律」など、個々の発生源をそれぞれの観点から規制する方法によっていました。

 公害対策基本法では、

「人の健康を保護し、生活環境を保全するために維持されることが望ましい環境上の基準」として環境基準の設定

総合的な対策を具体化する方法としての公害防止計画の策定などが規定されるとともに、同法の規定、趣旨を受けて「大気汚染防止法」や「騒音規制法」の制定等関連する法制度の設備が図られました。

 1971年【昭和46年】

 公害防止条例の制定


 大阪府域では、昭和30年(1950年)代から昭和40年(1960年)代にかけて臨海部を中心に重化学工業が発達し、これに伴い硫黄酸化物等による大気汚染や工場排水による水質汚濁が顕著となりました。
  また、都市化の進展に伴い、昭和40年代(1960年代後半)には光化学スモッグ、深夜営業騒音、産業廃棄物問題など、当時としては新たな公害現象も発生しました。
  こうした公害問題に対処するため、大阪府では昭和25年(1950年)に制定した事業場公害防止条例を昭和44年(1969年)及び昭和46年(1971年)に改正し、「公害防止条例」を制定しました。公害防止条例の特徴は、以下のとおりです。
1) 府民の健康の保護を優先する考え方を明らかにしました。
2) すべての工場・事業場に規制基準の遵守義務を課しました(従来は特定の施設を有する特定工場のみ)。
3) 大気汚染、水質汚濁、騒音などに加え、土壌汚染、地盤沈下や公害以外の環境上の障害も条例の対象としました。
4) 事業者は公害の防止に関して最大の努力を払うよう義務づけました。
5) 規制の実効を高めるため、排出基準の強化の他、設備基準、燃料基準、原料基準を設けました。
6) 商業宣伝放送、深夜の営業や作業、屋外燃焼行為等に制限を加えました。
7) 小規模事業者に対する助成措置(資金あっせん、技術援助)を設けました。
8) 府議会に対し、公害対策の進捗を年次報告することとしました。

 

 1973年【昭和48年】

 「Big Plan」
(大阪府環境管理計画)
の策定

 

  大阪においても、昭和30年代(1950年代)から昭和40年代(1960年代)にかけて、従来の軽工業から重化学工業を中心とする産業構造に転換が図られましたが、この結果、石油の大量消費に伴う各種の産業公害を進展させるとともに、PCBや重金属による汚染、人口の都市集中に伴う交通騒音、自動車排出ガス、都市内河川の汚濁などのいわゆる都市公害が発生しました。
 このような状況への対応は短期日にできるものではないことから、10ヶ年にわたって実施すべき施策を総合的に取りまとめた公害防止の計画を策定しました。
 この計画の最も注目すべき点は、既存の濃度規制に加えて、大阪地域の環境が受け入れられることができる汚染物質の量、すなわち環境容量の概念に基づく大気汚染物質及び水質汚濁物質の総量を算定し、これを満足するための目標とする対策を定めたことです。
(環境容量)
大阪のように発生源が過度に集中している地域では、個別の発生源における排出量を低減したとしても総量としての汚染が進行することがあり、従来の濃度規制だけでなく、汚染物質の排出量の総量を規制する方策を講じる必要があります。この総量の目安となるのが環境容量です。

 (Big Plan)
  B:Blue Sky, Blue Sea
  I:Industrial Waste Control
  G:Green Land, Green Mountain

 1982年【昭和57年】

 「STEP 21」
(大阪府環境総合計画)
の策定


大阪域の環境問題は、全般的には改善の傾向にあるが、大気汚染・水質汚濁、自動車交通公害などの未解決の課題があります。加えて、生活排水による河川の汚濁や近隣騒音など日常生活に伴う、いわゆる都市・生活型の環境汚染の比重が高まっています。
 一方、環境に対する府民の意識は、公害防止に加えて、清らかな水辺や豊かな緑、美しい街並みなど人間性豊かな環境を求めるようになってきたことから、Big Planを受けて、今後10年間に実施すべき施策を総合的に取りまとめた計画を策定しました。
 この計画の最も注目すべき点は、従来の公害防止・環境保全に関する施策を継続して実施することに加えて、ゆとり、うるおい、やすらぎのある快適な環境(アメニテイ)の概念に基づく快適環境の創造に取り組むということで、魅力のある都市空間を目指し、緑が豊かで水に親しめ、歴史的文化的雰囲気の醸成に努めるとしたことです。
 さらに、環境の保全と快適な環境の創造を図る方法として、予見的総合的な見地からの環境管理システムを確立することとしており、環境影響評価の制度化、広域的な環境モニタリングシステムの整備、地域環境の情報を体系的に整理した環境情報システムの確立を行うこととしました。
(STEP 21)
Systematic Total Environment Plan for the 21st century の頭文字をとり、21世紀に向けての一歩の意味をこめて、計画にこの愛称をつけたものです。


 1984年【昭和59年】

 環境影響評価要綱の制定


 環境に著しい影響を及ぼすおそれのある各種開発事業について、環境汚染の未然防止を図るため、その事業が環境に及ぼす影響を事前に調査・予測・評価する環境アセスメントの必要性が重要視されるようになってきました。
 大阪府においても、統一的な環境アセスメントの制度の確立が必要であるとの認識から、昭和59年(1984年)に大阪府環境影響評価要綱を策定しました。

 (経緯)
昭和56年 9月
(1981年)
大阪府公害対策審議会に対し、「環境影響評価制度のあり 方」について諮問
昭和58年 1月
(1983年)
 「制度のあり方について」答申
昭和59年 2月
(1984年)
 大阪府環境影響評価要綱制定、要綱一部施行
 4月 環境影響評価技術指針の策定、要綱全面施行
平成 2年 4月
(1990年)
 要綱一部改正(陸上ヘリポート及びゴルフ場等レクリェー ション施設を対象事業に追加)
同年7月施行
平成 5年 4月
(1993年)
 技術指針の一部改正(「廃棄物に関する計画」の追加)
平成11年 6月
(1999年)
 環境影響評価条例の施行に伴い、環境影響評価要綱を廃止
【 国の動向 】
 国の環境アセスメントの統一ルールとして「環境影響評価実施要綱」を閣議決定した。
(経緯)
昭和50年12月
(1975年)
中央公害対策審議会に対し、「環境影響評価制度のあり方」について諮問
昭和54年 4月
(1979年)
 答申
昭和56年 4月
(1981年)
 環境影響評価法案を国会に提出
昭和58年11月
(1983年)
 同法案審議未了により廃案
昭和59年 8月
(1984年)
 環境影響評価実施要綱閣議決定
平成11年 6月
(1999年)
 

環境影響評価法の施行に伴い、環境影響評価実施要綱を廃止

 1991年【平成3年】

 「New STEP 21」
(大阪府新環境総合計画)
の策定


 近年、自動車による大気汚染、生活排水による水質汚濁等の都市・生活型公害が顕在化しています。特に、これらの問題は私たち一人ひとりの生活やそれを支える社会・経済活動とも密接に関連していることから、従来のような工場等に対する規制や、汚染物質ごとの対症療法的な手段だけでは解決が困難となってきています。
 また、今後の社会・経済の潮流は関西国際空港の開港などにみられる国際化の進展による人的、物的交流の活発化、各種の大規模プロジェクトの展開、府民の消費活動の拡大とライフスタイルの多様化といった方向に進み、環境に大きな負荷を与えることが考えられます。
 さらに、近年、地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少などの地球的規模の環境問題が提起されており、地球の将来と人類の生存に係わる重大な問題と認識され、地球環境の保全が国際社会の共通の目標として定着してきています。府としても、エネルギーを始めとする資源を世界に大きく依存していることから、地球環境問題への貢献が求められています。
  従って、今後は、都市構造から産業活動、ライフスタイル、エネルギーシステムまでを見据えた総合的、長期的な視点に立った環境政策が必要であります。
  本計画は、このような認識のもとに、法・条例に基づく規制・指導などの公害防止対策はもとより、都市・生活型公害の解決や快適環境の創造等に係る諸施策を充実・強化するとともに、新たに社会・経済の潮流による環境汚染の未然防止や地球環境問題への貢献をもめざしたものです。
 おりしも、21世紀まであと10年、本計画を指針として、府民、事業者、行政が一体となって、21世紀を先導し、身近な環境づくりから地球環境問題にも貢献する、人と地球にやさしい「環境都市・大阪」をつくっていきます。
○計画策定の視点
(1) 環境を良好な状態で次世代に引き継ぐため、いま行動する(Think Beyond Generations,Act Now)
(2) 地球的に考え、足もとから実践する(Think Globally,Act Locally)
(3) それぞれの立場で考え、共に行動する(Think Together,Act Together)
○計画の期間
 1991年度(平成3年度)から2025年を見通しつつ、2001年度(平成13年度)までとする。
○計画の性格
 大阪府新総合計画の推進に当たっての環境面での基本計画である、21世紀における大阪の望ましい環境の在り方を示し、府域における公共的諸活動及び民間の諸活動において、よりよい環境をつくるための指針となるものである。
○計画における役割
 推進に当たっては、大阪府、市町村、事業者、府民の一体となった取り組みが不可欠である。また、広域的な施策の推進に当たっては、国及び近隣自治体等と連携するとともに、必要な協力を求める。


 1993年【平成5年】

 環境基本法の施行


 平成5年(1993年)に日本では、公害対策だけでなく自然環境の保全や地球環境問題への対応なども視野に入れた環境行政の新たな枠組みを定める環境基本法が施行されました。
 今日の環境問題は、人間の通常の社会経済活動からの環境への負荷の増大が環境の悪化をもたらすとともに、それが地球的規模という空間的な広がりと将来の世代にもわたるとい時間的な広がりを持つ問題であり、従来の公害対策を主眼とした枠組みではその対応が難しくなってきました。
 環境基本法では、新たに次のような施策が位置づけられました。
・地球環境保全に係る国際協力
・負荷の低減に資する製品等の利用の促進
・経済的措置(環境税の検討等)
・環境教育、環境学習
・民間団体等の自発的活動支援

 1994年【平成6年】

 環境基本条例の制定


 自動車排出ガスによる大気汚染や生活排水による水質汚濁、廃棄物問題などの都市・生活型や、地球環境問題は、大量生産・大量消費・大量廃棄を基調とする社会経済や人々のライフスタイルに起因しています。このため、従来の工場等の発生源に対する規制のみならず、社会経済活動や生活様式のあり方まで踏み込んだ取組を進める必要があります。
 また、水や緑に親しむことができる潤いと安らぎのある都市空間の形成など、より質の高い快適な環境を求める府民のニーズも高まってきました。
 大阪府ではこのような多様化する環境をめぐる状況を踏まえ、府の環境行政を総合的・計画的に推進するため、平成6年(1994年)3月、新たに環境基本条例を制定しました。
 環境基本条例は「人のこころがかよいあう豊かな環境の保全と創造」をめざし、環境施策を総合的・計画的に推進するための理念や基本方針を定めたもので、以下のような特徴を持っています。

 
1)環境の保全に加え、積極的に環境の「創造」をめざしている。
2)環境権を宣言している。
3)環境の範囲を生活環境、自然環境、都市環境、地球環境と幅広くとらえている。
4)環境行政を総合的・計画的に推進するため、環境総合計画の策定を規定
→環境総合計画の策定(平成8年(1996年)3月)
5)府の機関相互の連携・調整を推進するための体制整備を規定
→大阪府環境行政推進会議の設置(平成6年(1994年)5月)
6)事業活動における環境負荷の低減を図るため、環境総括責任者の設置を促進することを規定
7)府民・事業者等との協働による施策推進にための体制づくりを規定
→豊かな環境づくり大阪府民会議の設置(平成6年(1994年)11月)

 1994年【平成6年】

 生活環境の保全等に関する
条例の制定


 環境基本条例の理念にのっとり、大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより人の健康の保護と生活環境の保全を図るため、従来の公害防止条例を全面的に見直し、公害の防止に関する規制の措置、生活環境の保全に関して推進する施策などを定める「生活環境の保全等に関する条例」を制定しました。(施行は平成6年(1994年)11月)
 この条例の特徴は、以下のとおりです。 

  1.  生活環境の保全等に関する施策の推進 
      大気や水質の保全のみならず、自動車公害防止対策の推進、廃棄物の減量等の対策の推進など生活環境全般の保全に関する施策の推進について規定しました。 
  2. 府独自の公害規制の措置 
      有害物質や炭化水素など府域の諸条件により、府独自に規制する必要がある物質・施設についての規定を設けました。 
  3. 有効かつ適切な公害規制の整備 
      法規制との重複をなくし、府下の環境の現状、公害防止技術の発達等を踏まえ、大気、水質、地盤環境、騒音・振動の環境要素ごとに最も有効かつ適切な規制措置を規定しました。また、環境への負荷の低減等を図るための誘導的な手法等を組み合わせることにより、効果的な推進を図っています。

 1996年【平成8年】

 環境総合計画の策定


 
 府域の環境をめぐる状況については、自動車排出ガスによる大気汚染、生活排水による河川等の水質汚濁など、いわゆる都市・生活型公害や廃棄物問題の克服が緊要の課題となっており、また、豊かで潤いのある緑や水辺に代表される快適空間や文化性に富んだ美しい景観の創造、さらには、省資源・省エネルギー、リサイクル社会の構築など、より質の高い環境と環境に優しい社会の実現が求められている。
 さらに、平成7年1月の阪神・淡路大震災は、防災に配慮したまちづくりの必要性を強く認識させ、また、平成7年7月の国道43号線公害訴訟の判決は、車社会に対する我々への課題を示したものであった。
 このような課題を踏まえ、大阪府環境基本条例(平成6年3月制定)の基本理念である「人のこころがかよいあう豊かな環境の保全と創造」を目指し、従来の規制的手法にとどまらず、新たな誘導的手法や環境教育等を適切に組み合わせ、総合的かつ計画的に施策を推進するため、本計画を定めた。
 本計画では、同条例の基本理念及び施策の基本方針を踏まえ、かつ、大阪府環境審議会の答申(平成7年9月)に沿って、豊かな環境の保全及び創造に関する長期的な目標、施策の大綱及びその推進のための必要な事項等について、可能な限り具体的に記述した。
 今後は、府はもとより、市町村、事業者、府民等すべての主体が協働して、あらゆる取組が本計画の示す方向で展開されるよう期待するものである。

 環境総合計画の構成

第1部【計画の基本】

計画の主旨・期間・対象・構成

第2部【長期的目標】

「豊かな環境都市・大阪」の構築

●環境への負荷が少なく良好な環境が享受できる大阪
●ゆとりと潤いがあり、四季が感じられる大阪
●環境を大切にする文化が誇れる大阪

5つの主要な課題別の目標
(交通、資源、エネルギー、水、緑)

第3部【施策の展開】

基本的施策
総合的・計画的な施策推進/事業活動における環境への配慮/自主的な活動の促進/環境情報の活用/調査研究の推進

生活環境
自動車公害の防止/廃棄物リサイクル対策の推進/大気環境の保全/水質環境の保全 等

都市環境
潤いと安らぎのある都市空間の形成/美しい景観の形成/歴史的文化的環境の形成

自然環境
生態系の多様性の確保/多様な自然環境の保全等/自然とふれあう場と機会づくり 等

地球環境
地球環境保全に資する取組の推進/環境に優しい地域づくり

第4部【計画の効果的推進】

●環境に配慮した取組の推進(各主体の役割と取組)
●計画の推進体制と進行管理(推進体制・各主体の連携等)

 1997年【平成9年】

 環境影響評価法及び
環境影響評価条例の制定


 環境アセスメント制度は、事業者が、環境に影響を及ぼすおそれのある事業の実施にあたりあらかじめ環境影響評価を行うとともに、事業の実施以後に事後調査を行うことにより、環境の保全について適正な配慮がなされることを目的とする制度です。
  国においては、昭和59年に環境影響評価実施要綱が閣議決定されましたが、環境基本法において環境アセスメントの推進が位置付けられたことをきっかけに、制度の見直しに向けた検討が始まり、平成9年に環境影響評価法が制定され、平成11年に全面施行されました。
  一方、大阪府では、昭和59年に制定した大阪府環境影響評価要綱の運用により、これまで府域の環境保全に一定の成果をあげてきましたが、大阪府公害対策審議会の答申や大阪府環境基本条例、大阪府行政手続条例、環境影響評価法の制定などにより、環境アセスメント制度をより充実させることが求められました。このため、平成9年に大阪府環境審議会に大阪府の環境影響評価制度の在り方について諮問し、その答申に基づき平成10年に大阪府環境影響評価条例を制定し、平成11年からこの制度を全面実施しています。



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3.分野別に見た対策 <大気汚染対策>

大気汚染対策の概説

スモッグの発生


 

 このような状況の中、大阪府では硫黄酸化物に係る環境基準の早期達成のため、昭和44年からブルースカイ計画と呼ばれる独自の行政指導を実施し、大規模工場、大阪市内のビル密集地帯の事業場などに対し燃料中の硫黄分の削減などを指導しました。
 さらに、昭和46年から4年間をかけて府域の2万あまりの工場・事業場に立ち入り、改善の指導を行うなど、法律・条例に基づく規制を徹底しました。その後、各種の排出規制の浸透により、硫黄酸化物による大気汚染は昭和50年代にはかなりの改善がみられるようになってきました。
 一方で、自動車の普及などにより窒素酸化物による大気汚染が次第に問題となり、昭和46年には、大阪府で初めての光化学スモッグが発生し、それによるとみられる健康被害も発生しました。
 現在では、工場・事業場に対する規制と併せて、自動車から排出される窒素酸化物対策が大きな課題となっています。

 

燃料・原料使用量及び硫黄酸化物排出量の推移

画像です。燃料・原料使用量及び硫黄酸化物排出量の推移

規制・施行・設定

内容

1967年【昭和42年】 

 大気汚染防止法の施行

 

昭和42年に施行された公害対策基本法の趣旨を受け、大気汚染に関する総合的な規制措置を講じるため、昭和43年に大気汚染防止法が施行されました。
 この法律では、主に工場等における事業活動に伴って発生するばい煙や粉じんの排出規制について以下のものが定められています。

硫黄酸化物、ばいじん又は有害物質を発生するボイラ−等のばい煙発生施設に対する施設ごとの排出基準並びに硫黄酸化物及び窒素酸化物についての総量規制基準。
ベルトコンベア等の一般粉じん発生施設に対する構造・使用・管理に関する基準。

石綿を排出する紡織用機械等の特定粉じん発生施設に対する工場等の敷地境界線における石綿濃度の許容限度。

 なお、平成8年5月にその一部が改正され、有害大気汚染物質対策についての基本的枠組みが構築されたほか、建築物の解体等からのアスベスト飛散防止対策等が追加されました。

 1968年【昭和43年】

 硫黄酸化物に係るK値規制


 ばい煙発生施設が多数設置されている地域においてはそれまでの濃度規制では有効な対策とはなり得なかったことから、昭和43年6月に制定された大気汚染防止法において、硫黄酸化物についていわゆる「K値規制」が導入されました。
  このK値規制は、煙突の高さに応じて硫黄酸化物の許容排出量を定める規制方式で、具体的には地上の濃度が一定以下になるように基準式の定数Kを地域のばい煙発生施設の集合度などによって決定し、実際の規制の進み具合と環境の汚染濃度とを見比べながら順次規制を強化し、目標年次までに環境基準の達成をしようとするものです。
  平成8年(1996年)現在、Kの値は、日本全国を121の地域に区分し、3.0から17.5の範囲でその地域区分毎に適用されています。
大阪府域は、次に示す図のとおり3つの地域に区分されています。
  また、新しく設置される施設には、さらに厳しいK値が適用されます。

q = K × 10-3 × He2

 

 

q:

硫黄酸化物の許容排出量(Nm3 /h、Nは標準状態)

K:

地域毎に定められる定数

He:

有効煙突高さ(m)

 

 

He=H0 +0.65×(Hm +Ht )

 

 

H0 :

煙突実高さ

Hm :

煙突出口における上向きの運動量による上昇高さ

Ht :

排煙の温度と大気温度との温度差による上昇高さ

 1969年【昭和44年】

 大気汚染に係る環境基準の設定


 環境基本法(設定当時は公害対策基本法)の規定に基づき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として、大気汚染や水質汚濁などの環境基準が定められています。
  大気汚染に係る環境基準は、現在、二酸化窒素、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、二酸化硫黄、一酸化炭素の5つの汚染物質について設定されています。

○大気汚染に係る環境基準

項目基準値
二酸化窒素1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。
光化学オキシダント1時間値が0.06ppm以下であること。
浮遊粒子状物質1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が 0.20mg/m3以下であること。
二酸化硫黄1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm 以下であること。
一酸化炭素1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること

 1973年【昭和48年】

 自動車排ガス規制の進展


  自動車排出ガス規制は、昭和41年(1966年)の一酸化炭素を規制する運輸省の行政指導で始まりました。昭和43年(1968年)に大気汚染防止法に基づく規制が実施され、以後、対象物質や車種の拡大、使用過程車の規制など、規制の強化が行われてきました。現在では、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質、ディーゼル黒煙について規制されています。
 排出ガス規制値は、大気汚染防止法に基づき「自動車排出ガスの量の量の許容限度」として環境庁長官が定め、運輸大臣が道路運送車両の保安基準を定める際にこの規制値を確保することとしています。規制値は年々強化され、例えばガソリン乗用車については、未規制時と比べて窒素酸化物で92%、一酸化炭素で90%削減されています。
 これにより、道路沿道の一酸化炭素濃度は昭和40から昭和50年代(1960から70年代)に大きく低下しましたが、窒素酸化物についてはディーゼル車の増加などにより依然厳しい状況であり、平成4年(1992年)に「自動車NOx法」が制定され、さらに対策が強化されることとなりました

 1974年【昭和49年】

 硫黄酸化物に係る総量規制


 工場等から排出される汚染物質について、工場等が集合していることにより従来のK値規制等のみによっては地域の望ましい環境を維持達成することが困難な場合に、その解決手段として総量規制が行われています。
  この総量規制は、一定の地域内の汚染物質の排出総量を環境保全上許容できる限度にとどめるため、工場等に対し汚染物質許容排出量を配分し、この量をもって規制する方法で、硫黄酸化物については昭和49年(1974年)6月の大気汚染防止法の改正によって導入されました。
  これを受けて大阪府では、昭和52年(1977年)9月に硫黄酸化物総量削減計画を策定し、さらにこの計画に基づいて工場等に対する総量規制基準を定めました。
  平成8年(1996年)現在、日本全国で24の地域がその適用を受けています。

 1981年【昭和56年】

 窒素酸化物に係る総量規制


 工場等から排出される汚染物質について、工場等が集合していることにより濃度のみを対象とした従来の濃度規制では地域の望ましい環境を維持達成することが困難な場合に、その解決手段として総量規制が行われています。
  この総量規制は、一定の地域内の汚染物質の排出総量を環境保全上許容できる限度にとどめるため、工場等に対し汚染物質許容排出量を配分し、この量をもって規制する方法で、窒素酸化物については昭和56年(1981年)6月の大気汚染防止法の改正によって導入されました。
  これを受けて大阪府では、昭和57年(1982年)10月に窒素酸化物総量削減計画を策定し、さらにこの計画に基づいて工場等に対する総量規制基準を定めました。
  平成8年(1996年)現在、全国では大阪府、東京都、神奈川県の一部の地域に適用されています。


 1992年【平成4年】

 自動車NOx法の施行


 自動車排出ガス規制により一酸化炭素等による大気汚染は改善されてきましたが、一方で窒素酸化物排出量の多いディーゼル車の増加などにより、道路沿道における二酸化窒素の環境基準の達成状況は依然厳しい状況にあります。自動車排出ガス規制や工場等の排出規制など従来の対策だけでは二酸化窒素による大気汚染の改善が困難な地域(特定地域)において窒素酸化物の排出量を削減するため、平成4年(1992年)に国は、「自動車NOx法」を施行しました。
 同法では、従来の排出ガス規制に加え、貨物車・バス等については特定自動車として排出基準を定め、基準非適合車は特定地域内で登録できないとする使用車種規制をはじめ、低公害車の普及や自動車使用の合理化指導など、これまでにない対策を盛り込んでいます。
 また、特定地域に指定された都道府県では、知事が自動車排出窒素酸化物総量削減計画を策定し、関連機関と連携して窒素酸化物総量を削減することとなっています。大阪府では、府域の38市町が特定地域に指定され、同計画を策定して対策を進めることとなっています。


 1993年【平成5年】

 自動車排出窒素酸化物総量削減計画


 大阪府域では、自動車走行量の増加、ディーゼル化の進展などにより道路沿道における二酸化窒素の環境基準適合状況は依然厳しい状況であり、府域の38市町が自動車NOx法に基づく特定地域に指定されたことを受け、自動車排出窒素酸化物総量削減計画を策定して対策を進めています。
   本計画は、国の関係機関や市町、道路管理者など48者で構成する総量削減計画策定協議会の意見を聴いて知事が策定し、平成5年(1993年)11月に内閣総理大臣の承認を得て告示したものです。
   計画達成の方途としては、自動車排出ガス規制(単体規制)や使用車種規制、低公害車の普及、物流・人流対策による自動車使用の合理化対策などを関係機関と連携して総合的に推進し、平成2年(1990年)に31,380トンであった自動車の窒素酸化物年間排出量を9,960トン(31.7%)削減し、平成12年度末(2001年3月末)までに二酸化窒素の環境基準を概ね達成することを目標として います。
   また、二酸化窒素濃度の高い交差点等においては、局地汚染対策を行うこととし、土壌や光触媒による大気浄化の調査を行っています。


 

大気汚染防止法における規制措置等一覧 

規制物質

物質の例示

規制基準

規制措置等



硫黄酸化物

So、So

排出基準(量規制、K値方式、総量規制)改善命令、直罰 など

ばいじん

すすなど排出基準(濃度規制:施設の種類・規模毎)改善命令、直罰 など

有害物質

NOx 、Cd、Pb、Hf、Cl2、Hclなど

排出基準(濃度規制:物質の種類・施設の種類毎。Noxについては総量規制もある。)改善命令、直罰 など

特定有害物質

(未指定)排出基準(量規制、K値方式)改善命令、直罰 など



特定粉じん

石綿規制基準(濃度規制、敷地境界)改善命令

一般粉じん

セメント粉、石炭粉、鉄粉など構造・使用・管理基準基準適合命令

自動車排出ガス

CO、Hc、Pbなど許容限度(保安基準で考慮)交通規制、整備命令など(他法による)

特定物質

Oh、CNなど

なし事故時の措置命令

硫黄酸化物に係るK値一覧

画像です。硫黄酸化物に係るK値一覧

 

硫黄酸化物に係る総量規制 

対象工場・施設

規制の内容


 工場等に設置されている硫黄酸化物に係る全てのばい煙発生施設における原料及び燃料の使用量が、重油換算で0.8kl/h以上の工場等


 以下の総量規制基準式で算定される排出量により、工場等毎の排出量を規制
Q=a×W0.85+0.3×a×{(W+Wi)0.85−W0.85

  
Q :許容排出量(Nm/h)
a :知事が削減計画から定める定数
(地域により、2.0、3.0、5.0となっている)
W,Wi :全てのばい煙発生施設で使用される原料・燃料の量
 (重油換算、kl/h)
 (W:既設、Wi:新設)

 

 

窒素酸化物に係る総量規制地域

画像です。窒素酸化物に係る総量規制地域

 

 

窒素酸化物にかかる総量規制の概要
対象工場・施設規制の内容

 工場等に設置されている窒素酸化物に係る
全てのばい煙発生施設における
原料及び燃料の使用量が、
重油換算で2.0kl/h以上の工場等

 以下の総量規制基準式で算定される排出量により、工場等毎の排出量を規制

 Q=0.6{Σ(C・V)
   +Σ(Ci・Vi)}0.95

Q:

許容排出量(Nm3 /h)

 

 

C,Ci:

ばい煙発生施設毎に定める施設定数

V,Vi:

ばい煙発生施設毎の排出ガス量
(万Nm3 /h)

 

 

 

(C,V:既設、Ci,Vi:新設)

 

大阪府・大阪市域内の自動車保有台数の推移

画像です。大阪府・大阪市域内の自動車保有台数の推移
                                     注1 大阪府には、大阪市域内を含む。(近畿運輸局・大阪市調)
注2 本図の数値は、附属資料1−3参照 

 

幹線道路における自動車の年間走行量の推移

画像です。幹線道路における自動車の年間走行量の推移

 

特定自動車排出基準 

車両総重量区分排出基準
使用過程車新車
から1.7t昭和63年規制ガソリン車並
1.7から2.5t平成元年規制ガソリン車並
2.5から5t平成元年規制副室式車並平成6年規制副室式車並
5tから平成元年規制直噴式車並平成6年規制直噴式車並

 

自動車NOx法 特定地域(大阪府)

画像です。自動車NOx法 特定地域(大阪府)

自動車排出窒素酸化物総量削減計画の概要

目標
 No2に係る環境基準を概ね達成する

  

削減目標

目標達成のためには、自動車からの排出量を年間21,420トンにすることが必要
=基準年(平成2年度)から9,960トン(31.7%)削減

 

区分

排出量(トン/年)

基準年(平成2年)

31,380     100.0%
21,420 68.3%
9,960 31.7%
6,180 19.7%
3,780 12.0%
950 3.0%
1,860 5.9%
320 1.0%
650 2.1%

目標年(平成12年度)

必要削減量

 

      単体・車種規制

      その他対策

         低公害車の普及

         物流対策

         人流対策

         交通流対策

  

達成の期間
 平成12年度末まで(2001年3月末まで)

土壌を用いた大気浄化システム概念図

画像です。土壌を用いた大気浄化システム概念図


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4.分野別に見た対策 <水質汚染対策>

水質汚濁対策の概説

大阪湾は、外洋との水の交換の悪い閉鎖性水域であるとともに、後背地に京阪神の大都市圏を控えており、大量の生活排水や産業排水が流入するため、水質汚濁が進行しやすい海域です。
 昭和30年代には大阪湾でも水質汚濁が進行し、赤潮が頻繁に発生していました。また、河川においても流域からの産業排水等によりBod等の水質汚濁が進んでいました。
 その後、水質汚濁防止法や大阪府公害防止条例の施行にあたり、府域の全工場の排水口を点検、夜間パトロールも行って工場・事業場に対する排水規制を徹底しました。
 昭和48年には初めての環境管理計画である「Big Plan」を策定し、汚染物質の排出総量は自然の浄化能力の限度までに抑えるべきであるとの「環境容量」の概念を日本で初めて行政計画に導入しました。水質汚濁に関しても河川のBodや海域のCod、総窒素及び総リンについて環境容量を設定しました。
 さらに、下水道の普及等により汚濁物質の流入量は減少し、特に河川ではBodはかなりの改善が見られる状況です。一方、大阪湾のCodについては、幾分の改善が見られる程度にとどまっています。
 現在では、大阪湾に流入する汚濁物質のうち、生活排水の占める割合が大きくなっており生活排水対策が重要な課題となっています。

大阪の河川

生活排水処理施設の整備

 また、農村においては、農村集落排水施設の整備など各地域の状況に応じた施設の整備を推進しています。
下水道などの整備がされていない地域においては、し尿のみを処理する単独処理浄化槽が普及していますが、近年の水質汚濁の原因の大半を生活排水が占めるようになったことから、家庭からの生活排水をすべて処理できる合併処理浄化槽の普及促進を図っています。

(対策の内容)
                 ・下水道の整備
                 ・その他の排水処理施設の整備
                 ・合併処理浄化槽の普及促進

産業系と生活系の負荷割合と下水道普及率の推移

 画像です。産業系と生活系の負荷割合と下水道普及率の推移

策定・施行・設定

内容

 1970年【昭和45年】

 水質汚濁に係る環境基準の設定


 環境基本法の規定に基づき、水質保全行政の目標として、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するという見地から、達成し維持されることが望ましい基準として、水質環境基準が定められています。
 この環境基準には、人の健康の保護に関する基準(健康項目)及び生活環境の保全に関する基準(生活環境項目)の2つがあります。
 健康項目は、全国一律の基準ですが、生活環境項目については、水域毎にその利用目的に応じて類型をあてはめ、類型に応じた基準値が決定される仕組みになっています。


 1971年【昭和46年】

水質汚濁防止法の施行 

 

 昭和30年頃から(1950年代の半ば頃から)、鉱工業の発展と人口の都市集中化に伴い、水質汚濁問題が発生し、各地で顕著になってきたため、昭和46年(1971年)に水質汚濁防止法が施行されました。水質汚濁防止法は公共用水域及び地下水の水質汚濁並びに工場・事業場から排出される汚水に関して健康の被害が生じた場合において、事業者の賠償責任を定め、被害者の保護を目的としています。
 水質汚濁防止法施行後、健康項目、生活環境項目ともに全体的には大きく水質改善はされたものの、近年、生活雑排水による水質汚濁、下水道整備に伴う河川水量の低下による渇水時の水質悪化などの問題が表面化しています。

(水質汚濁防止法の主な内容)
• 排出水の排水規制等(健康項目、生活環境項目)
• 生活排水対策の推進
• 汚濁水の地下浸透の規制(有害物質)
• 水質の汚濁の監視等
• 損害賠償
• 罰則

 1973年【昭和48年】

 瀬戸内海環境保全特別(臨時)措置法

 

 閉鎖性海域である瀬戸内海の環境保全を推進するため、水質汚濁防止法の特別法として昭和48年(1973年)に施行されました。

 (瀬戸内海環境保全特別(臨時)措置法の内容)

              ・瀬戸内海の環境保全に関する基本計画・府県計画の策定 
              ・汚水を排出する特定施設の設置・構造変更の許可制度 
              ・Cod総量規制 
              ・富栄養化物質(窒素・燐)の削減指導 
              ・自然海浜保全地区の指定 
              ・埋立てについての配慮 など   


 その他、瀬戸内海の環境保全には広域的対策が必要であり、関係府県、政令市との連携を図っています。

 1980年【昭和55年】

 Cod総量削減計画の策定

 

 Cod総量削減計画は、人口・産業等が集中し、汚濁の著しい広域的な閉鎖性水域の水質の一層の改善を図るため、当該水域に影響を及ぼす汚濁負荷量を全体的に削減しようとする計画であり、国が示す総量削減基本方針に基づいて、各都府県に割り当てられた削減目標量を達成するために、各都府県が策定するものです。
 これまで、第3次まで計画を策定、実施し、全て削減目標量を達成しているものの、一部の海域においては、未だに環境基準が達成されないため、平成8年(1996年)7月に、平成11年度(1999年度)に削減目標量を112トン/日とする第4次計画を策定しました。

(第4次Cod総量削減計画の内容)
                        ・Cod総量規制基準の適用(日平均排水量が50m3以上の特定事業場)
                        ・下水道の整備と終末処理場の高度処理導入 
                        ・合併浄化槽等の普及促進とし尿処理施設の整備 
                        ・小規模排水対策(生活排水対策、小規模・未規制事業場対策、畜産排水対策)
                        ・環境啓発
                        ・その他(浚渫、自然浄化機能の活用、監視体制の整備、中小企業への助成等)

 1980年【昭和55年】

燐及びその化合物に係る削減指導方針の策定 

 

 瀬戸内海の富栄養化による生活環境に係る被害の発生を防止するため、瀬戸内 海環境保全特別措置法に基づき、各府県が策定するものです。
 これまで、燐においては、第3次まで指導方針を策定、実施、全て、燐の負荷量を削減させることとという目標は達成しましたが、大阪湾においては、未だに赤潮の発生が確認されるなど富栄養化の状況は続いています。
 平成6年(1994年)7月には瀬戸内海環境保全特別措置法の削減指定物質に窒素が加わったことから、第4次は、平成11年度を目標とした窒素・燐削減指導方針を平成8年(1996年)7月に策定しました。

(窒素・燐削減指導方針の内容)

      ○生活系の対策
     • 下水道の整備と終末処理場の高度処理導入
     • 合併浄化槽等の普及促進とし尿処理施設の整備
     • 生活排水対策
      ○産業系の対策
     • 処理施設の導入
     • 排水処理の適正化
     • 副原料の転換等
      ○その他の対策(畜産排水対策、浚渫、環境啓発 など

 

  

 

健康項目に係る環境基準(河川及び海域)
項目基準値
Cb0.01mg/l以下
T-Cn検出されないこと
Pb0.01mg/l以下
Cr 6+0.05mg/l以下
As0.01mg/l以下
T-Hg0.0005mg/l以下
Org-Hg検出されないこと
Pcb検出されないこと
ジクロロメタン0.02mg/l以下
四塩化炭素0.002mg/l以下
1、2−ジクロロエタン0.004mg/l以下
1、1−ジクロロエチレン0.02mg/l以下
シス−1、2−ジクロロエチレン0.04mg/l以下
1、1、1−トリクロロエタン1mg/l以下
1、1、2−トリクロロエタン0.006mg/l以下
トリクロロエチレン0.03mg/l以下
テトラクロロエチレン0.01mg/l以下
1、3−ジクロロプロペン0.002mg/l以下
チウラム0.006mg/l以下
シマジン0.003mg/l以下
チオベンカルプ0.02mg/l以下
ベンゼン0.01mg/l以下
セレン0.01mg/l以下
  

法律・条令による規制の体系瀬戸内海の環境保全

 

Cod負荷量の推移
画像です。Cod負荷量の推移


                大阪湾におけるCod濃度分布の経年変化

大阪湾におけるCod濃度分布の経年変化            大阪湾におけるCod濃度分布の経年変化

  昭和53から55年度の平均(mg/l)                    昭和58から60年度の平均(mg/l)

大阪湾におけるCod濃度分布の経年変化            大阪湾におけるCod濃度分布の経年変化

 昭和62から平成元年度の平均(mg/l)                 平成4から平成6年度の平均(mg/l)

燐及び窒素発生負荷量の推移

燐負荷量推移   窒素負荷量推移

 


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5.分野別に見た対策 <騒音・振動対策>

騒音規制法の施行

 騒音規制法は、工場・事業場における事業活動に伴う騒音並びに建設工事に伴 う騒音について必要な規制を行うとともに、自動車騒音に係る許容限度を定める こと等により生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的として、 昭和43年(1968年)に施行されました。

1.

工場・事業場における事業活動に伴う騒音に対する規制
  騒音規制法では、ある種の金属加工機械等、著しい騒音を発生する11種類 の施設を特定施設に定め、特定施設を有する工場・事業場に対して、騒音を規制 する規制基準を定めています。以下の表に示す規制基準値は、工場・事業場の敷 地の境界線上で当てはめられています。

区域の区分時間の区分
昼間朝・夕夜間
良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域45から50Db40から45Db40から45Db
住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域50から60Db45から50Db40から50Db
住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住居の生活環境を保全するため、騒音の発生を防止する必要がある区域60から65Db55から60Db50から55Db
主として工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい騒音の発生を防止する必要がある区域65から70Db60から70Db55から65Db

2.

建設工事に伴う騒音に対する規制
 くい打機等、著しい騒音を発生する5種類の建設作業の騒音が規制の対象とさ れ、作業の場所の敷地の境界線において85Db以下に規制されています。また これらの建設作業については時間の制限が定められています。


3.

自動車騒音に係る許容限度
 騒音規制法では、自動車の種別と規模ごとに、定常走行騒音、近接排気騒音、 加速走行騒音について、許容限度が定められています。

 

騒音に係る環境基準の設定

 昭和46年(1971年)に当時の公害対策基本法に基づいて、騒音に係る環境上の 条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資するうえで、維持されるこ とが望ましい基準として、騒音に係る環境基準が定められました。


騒音に係る環境基準は、地域の類型及び時間の区別ごとに以下の表のとおり定 められています。

地域の類型

時間の区分

昼間

朝・夕

夜間

Aa

45Db以下

40Db以下

35Db以下

50Db以下

45Db以下

40Db以下

60Db以下

55Db以下

50Db以下

 地域の類型
  Aa :療養施設が集合して設置される地域などとくに静穏を要する地域
   A :主として住居の用に供される地域
   B :相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域

ただし、道路に面する地域については、環境基準は次の表のとおり定められて います。

区域の区分時間の区分
昼間朝・夕夜間
A類型のうち2車線を有する道路に面する地域55Db以下50Db以下45Db以下
A類型のうち2車線を越える車線を有する道路に面する地域60Db以下55Db以下50Db以下
B類型のうち2車線以下の車線を有する道路に面する地域65Db以下60Db以下55Db以下
B類型のうち2車線を越える車線を有する道路に面する地域65Db以下65Db以下60Db以下

 また、航空機騒音に係る環境基準、新幹線鉄道騒音に係る環境基準が定められ ています。さらに指針としては、小規模飛行場環境保全暫定指針、在来鉄道の新 設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針が定められています。


振動規制法の施行

 振動規制法は、工場・事業場における事業活動並びに建設工事に伴う振動につ いて必要な規制を行うとともに、道路交通振動に係る要請の措置を定める こと等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資すること目的として、 昭和51年(1976年)に施行されました。

1.工場・事業場における事業活動に伴う振動に対する規制
 振動規制法では、ある種の金属加工機械等、著しい振動を発生する10種類 の施設を特定施設に定め、特定施設を有する工場・事業場に対して、振動を規制 する規制基準を定めています。以下の表に示す規制基準値は、工場・事業場の敷 地の境界線上で当てはめられます

区域の区分時間の区分
昼間夜間
良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域
住居のように供されているため、静穏の保持を必要とする区域
60から65Db55から60Db

住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住居の生活環境を保全するため、振動の発生を防止する必要がある区域主として工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい振動の発生を防止する必要がある区域

65から70Db60から65Db




 


 

 

 

 

 2.建設工事に伴う振動に対する規制
 くい打機等、著しい振動を発生する4種類の建設作業の振動が規制の対象とさ れ、作業の場所の敷地の境界線において75Db以下に規制されています。また これらの建設作業については時間の制限が定められています。


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6.環境行政組織の変遷

大阪府における環境行政組織の変遷

 画像です。大阪府における環境行政組織の変遷


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7.公害の歴史を学べる映像

趣旨・概要

大阪府では、次世代を担う若年層の環境教育の推進を図ることを目的に、環境教育用歴史映像を制作しました。
本映像は大阪で発生した公害の歴史を理解し、未来のためにできることは何かを考えていただくためのものです。

映像はこちら

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このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 戦略企画グループ

ここまで本文です。