地球環境問題への取組

更新日:2021年1月26日

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地球温暖化対策

オゾン層保護対策

  6. オゾン層破壊について
  7. どんな取り組みをしているの?
  8. フロンの回収を進めましょう


1.地球温暖化とは?

地球の温度

 地表付近の気温は、日射エネルギーと地球から宇宙へ出ていく熱とのバランスで決まります。太陽光により地表が温められる一方、温められた地表から熱(赤外線)が放射され冷えていきます。もし、熱のやりとりがこれだけならば、地表への日射が途切れたとたんに、熱を放射するのみとなり、急激に地表は冷えていくはずです。ところが、大気中には熱(赤外線)を吸収する気体があるために、地表から放出される熱(赤外線)のうちの何割かを吸収して大気は温まります。温められた大気は、再び赤外線を宇宙空間や地表に向かって放射し地表を温めます。こうして、地表付近の気温は、全地球平均で15℃前後に保たれ、人間や動植物にとって住みよい環境になっています。
 地表が太陽光による加熱以上に温められることを「温室効果」といい、大気中で赤外線を吸収する気体を「温室効果ガス」と呼びます。もし、温室効果ガスがなかったとすると、地球の気温は30℃以上低くなってマイナス18℃以下くらいになってしまうでしょう。

図1 温室効果のメカニズム

画像です。図1 温室効果のメカニズム

出典:どうなる地球?どうする21世紀?(環境庁)

人間の活動と地球温暖化

 18世紀末の産業革命以降、産業活動の拡大に伴って温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出量が飛躍的に増えました。また、産業革命以前は、まったく存在していなかったフロン、六フッ化硫黄などの人工的な温室効果ガスも排出されるようになりました。
 これらの温室効果ガスが増えるといままでのバランスがくずれ大気中や地表にとどまる熱が多くなり(温室効果が強まり)、地表付近の気温が上昇します。この現象を地球温暖化といいます。

温室効果ガス

二酸化炭素は、著しく増加している温室効果ガスで、その多くが石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料の燃焼により発生します。産業革命以前の濃度は、約280ppmv(ppmvは、容量比で100万分の1を表す単位)でしたが、1994年には358ppmv(約1.3倍)に達しました。このまま対策が現状程度で実施されていったとしても、2050年には、500ppmv、2100年には700ppmv、その後も数世紀にわたり増え続けると予想されています。
 しかし、全地球的な規模で人為的な二酸化炭素の排出量を現在より十分に低いレベルに抑えることによって、大気中の濃度を安定化することができます。
 地球温暖化に与える影響は、急激な濃度の上昇のため最も強く、温暖化への寄与度は温室効果ガス(人為的なものに限る。)の約64%を占めています。

図2 大気中の二酸化炭素濃度と温室効果ガスの温暖化への寄与度

 大気中の二酸化炭素濃度

画像です。大気中の二酸化炭素濃度

人間活動に伴って排出される温室効果ガスの地球温暖化への寄与率(1992年)

画像です。人間活動に伴って排出される温室効果ガスの地球温暖化への寄与率(1992年)

出典:どうなる地球?どうする21世紀?(環境庁)

○ メタン
 メタンは、湿原や湖沼などで自然発生するほか、天然ガスの漏出、家畜・水田・廃棄物埋立などの人間活動によって発生するものがあります。産業革命以前は、約700ppbv(ppbvは、容量比で10億分の1を表す単位)でしたが、人間活動の活発化に伴い1994年には、約1720ppbv(約2.5倍)に増えています。濃度は低いものの温室効果の強さ(地球温暖化指数* )が大気中の残留期間を考慮して20年間の効果の総体でみると、二酸化炭素の56倍と大きいため、温暖化への寄与率は、温室効果ガスの約20%となっています。

○ フロン
 フロンは、産業革命以前にはなかった自然界には存在しない人工的なガスで、エアコンや冷蔵庫の冷媒ガスとして、又、スプレーの噴射剤、工業製品の洗浄剤として使用されてきました。近年、オゾン層を破壊する物質ということでよく知られていますが、このフロンは、温室効果ガスでもあります。
 また、オゾン層を破壊しにくい、あるいは、まったく破壊しない代替フロンと呼ばれるフロンなども温室効果ガスで、例えば、代替フロンの一種であるHfc134aの温室効果の強さ(地球温暖化指数)は、大気中での残留期間を考慮して20年間の効果の総体でみると、二酸化炭素の約3,400倍にもなります。そのため、量的には極めて少ないものの地球温暖化への寄与率は温室効果ガスの約10%となっています。

○ 亜酸化窒素
 亜酸化窒素は、有機物の燃焼や窒素肥料により発生します。産業革命以前の濃度は、容積比で約275ppbvでしたが、1994年には312ppbv(約1.1倍)となっています。温室効果の強さ(地球温暖化指数)は、大気中での残留期間を考慮して100年間の総体でみると、二酸化炭素の310倍と高いが、濃度が低いため、地球温暖化への影響は、約6%となっています。


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2.地球温暖化するとどうなるの?

気温の上昇予測

 各国から1000人以上の科学者が参加した「気候変動に関する政府間パネル(Ipcc)」が、1995年に第2次評価報告書をまとめました。これによると、過去100年間に地上の平均気温は、約0.3から0.6℃上昇しています。そして、対策が今のままだとさらに温暖化が進み21世紀末には平均気温は現在より約2℃(最小約1℃、最大約3.5℃)高くなり、その後も上昇し続けると予想されています。「たった2℃」ではありません、例えば、平成6年のあの猛暑でさえ、実は平年より、1℃高かっただけです。
 また、氷河期でさえ、現在より3から6℃低いだけでした。このことからも、平均気温の2℃の上昇が大変なことだとわかります。

 図3 1990から2100年の全球平均地上気温の変化の幅の予測 

 図3 1990から2100年の全球平均地上気温の変化の幅の予測

 出典:「地球温暖化の重大影響」(環境庁)

気温の上昇による影響

○ 海面水位の上昇
 地球が暖まることにより、海水が熱膨張し、氷河も融けるので、海面の水位は年々上昇していきます。地表面の平均気温が2℃上昇すれば、海面は約50cm(最低約15cm、最大約95cm)上昇すると予想されています。海面水位が上昇すると、自然海岸の浸食が激しくなります。特に砂浜への影響は大きく、海面水位が50cm上昇すると日本の砂浜の約7割がなくなってしまう計算になります。もし、海面水位が1m上昇すると日本の砂浜の約9割、大阪府の砂浜は完全になくなってしまうと予測されています。
 また、1m海面が上昇すると、満潮位以下の面積は、現在の2.7倍、そこに住む人口は2.1倍になります。世界的には、マーシャル諸島の一部では80%、バングラデシュでは18%の国土が海に沈みます。海に沈む地域の占める割合は国によって異なりますが、低地に住む人々は、家を失い、難民となってしまいます。

 図4 1990から2100年の全球平均海面水位の変化の幅の予測

 図4 1990から2100年の全球平均海面水位の変化の幅の予測

図5 都道府県別の海面上昇による海岸浸食面積割合

画像です。図5 都道府県別の海面上昇による海岸浸食面積割合

注:沖縄県はさんご礁、海岸が多いため他県と直接比較することはできない。  出典:「地球温暖化の重大影響」(環境庁)

表1 海面上昇の影響を受ける日本の低地の面積、人口、資産

 単位:面積(km2) 人口(万人) 資産(兆円) 

現状30cm上昇50cm上昇1m上昇
 面積人口資産面積人口資産面積人口資産面積人口資産
平均海面時36410234411114375211404467917853
満潮時861200541192252681412286772339410109
台風または
津波発生時
62681174288666212303027538135833388981542378

出典:「地球温暖化の日本への影響1996」 (環境庁地球温暖化問題検討委員会影響評価ワーキンググループ報告書)

○ 水資源への影響と自然災害
 地球が温暖化すると、降雨と蒸発という水のサイクルが活発化し、水需給のバランスが崩れ、水資源の格差が世界的に拡大する恐れがあります。例えば洪水が多発する地域がある一方、渇水や干ばつにみまわれる地域も出てきます。すでに今日でも水供給の面で問題を抱えている地域では、より深刻な渇水となり、さらに、新たに多くの地域で渇水が発生するという水不足問題の拡大も予想されています。

○ 農業への影響
 温暖化は農業にも大きな変化をもたらします。品種によっては、高温による障害、雑草や害虫の増加による悪影響も出ます。地球規模のでの食糧危機説もささやかれています。名古屋大学と国立環境研究所の分析では、米の生産量は若干増加する国があるものの、小麦やトウモロコシは、重要な生産地である中国やインドなどで、大幅な生産量の低下が見込まれます。例えば、冬小麦の生産量は、2100年にはインドで55%、中国で15%減少すると予測されています。海外に食糧の多くを依存する日本では、影響が大きいと考えられます。
 日本でも主食である米や小麦などの生産に影響がでます。米は、北海道、東北地方では、増収が期待されていますが、小麦はどの地域においても減収になると予想されています。また、温暖化により集中豪雨などの自然災害が頻発したり、雑草や害虫の活動が活発になり、熱帯・亜熱帯産の害虫が国内に定着し、収穫を減らすことも考えられます。

図6 温暖化による農作物の生産予測 

画像です。図6 温暖化による農作物の生産予測     画像です。図6 温暖化による農作物の生産予測

注:

1 グラフの上下の長さが予測結果のばらつきを示す。
2 これらの予想には、温暖化による害虫の世代数の増加、分布域の拡大などを考慮していない。
出典:「地球温暖化の日本への影響1996」 (環境庁地球温暖化問題検討委員会影響評価ワーキンググループ報告書)

○ 健康への影響
 気候変化は、人間の健康に対し広範な影響を及ぼします。そしてそのほとんどは悪影響で、多くの人命が失われると予測されます。直接の影響としては、熱波による死亡や病気の増加が上げられます。間接的な影響としては伝染病を媒介する生物の地理的範囲や活動期間の拡大により、マラリア、デング熱、黄熱病などの伝染病の増加が挙げられます。また、気温の上昇や洪水の増加によるサルモネラ症、コレラなども増加すると考えられます。
 また、夏の猛暑が高齢者の健康に及ぼす悪影響も心配です。日最高気温が33℃を超えると死亡率が増加し、特に65才以上では、この傾向が著しいという報告もされています。

○ 動植物への影響
 温暖化により動植物は、北や山へと移動していきます。しかし、複雑な地形や都市の影響で十分に移動できなかったり、植物の移動速度が気候の変化に追いつかなかったりして、絶滅してしまうものも出てきます。例えば、山頂付近に生息する高山植物が絶滅したり、ブナ林の多くが消滅して、幅広い気温の地域に分布するコナラ林になると予想されています。その結果、森林に住かや餌を依存している野生動物だけでなく、果樹の栽培や林業などにも大きな影響が及ぶことが予想されます。
 また、現在の環境で設定されている動植物の保護区は、気候の変化により不適切な場所となり絶滅に拍車をかける可能性があります。

図7 平年気候と温暖気候(21世紀)のもとでの日本列島の植生帯分布の比較

画像です。図7 平年気候と温暖気候(21世紀)のもとでの日本列島の植生帯分布の比較

出典:「地球温暖化の重大影響」(環境庁)

表2 木本植物の移動可能速度

植物移動速度(m/年)
モミ、シラビソ
ハンノキ、ヤシャブシ
クリ
エゾマツ、トウヒ
マツ
カシワ、コナラ
ニレ
40から300
500から2000
200から300
400
80から500
1500
75から500
(参考)気候帯の移動1500から5500

出典:「地球温暖化の重大影響」(環境庁)

○ 都市への影響
 温暖化により冬の暖房用のエネルギーは減りますが、夏の冷房用のエネルギーは増加します。都市部では、エネルギーの集中的な使用などによる局地的な気温の上昇(ヒートアイランド化)がさらに進み、水の需要量も、冷房のエネルギーも大幅に増えることになります。
 

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3.二酸化炭素はどのくらいでているの?

世界の二酸化炭素排出量

 世界の1994年度(平成6年度)の二酸化炭素排出量は、炭素換算で約62億トンで、そのうち日本が排出する二酸化炭素は、約4.9%(約3.0億トン(炭素換算))で、アメリカ、中国、ロシアについで第4位となっています。日本は1国だけでアフリカ大陸全体や南米大陸全体よりも多くの二酸化炭素を排出しています。また、一人当りの排出量は、アメリカ、カナダ、ロシア、ドイツ、英国についで日本は第6位で2.4トン/人(炭素換算)となっています。

図8 世界の二酸化炭素排出量 (1994年)

画像です。図8 世界の二酸化炭素排出量 (1994年)

出典:「環境白書 平成9年版 総説」 (環境庁)

 図9 世界の一人当たりの二酸化炭素排出量 (1994年)

(炭素換算トン/人・年)

図9 世界の一人当たりの二酸化炭素排出量 (1994年)

出典:「環境白書 平成9年版 総説」 (環境庁)  

日本の二酸化炭素排出量

 1994年度(平成6年度)の日本の二酸化炭素排出量は、全体で3億4300万トン(炭素換算)で、一人当たりの排出量は、2.74トン(炭素換算)/人です。気候変動枠組条約では、一人当たりの二酸化炭素排出量を2000年以降1990年レベルでの安定化することを求められていますが、1990年度の二酸化炭素排出量は、全体で3億2000万トン(炭素換算)、一人当たりの排出量は、2.59トン(炭素換算)/人で、1994年度は、1990年度に比べ総排出量で7.2%の増加、一人当たりの排出量で5.8%の増加となっています。

図10 日本の二酸化炭素排出量

(百万トン(炭素換算)/年)           (トン(炭素換算)/年・人)

図10 日本の二酸化炭素排出量

 日本の部門別二酸化炭素排出量(1994年度)

画像です。日本の部門別二酸化炭素排出量(1994年度)

出典:環境庁資料

大阪府の二酸化炭素排出量

 1994年度(平成6年度)の大阪府の二酸化炭素排出量は、1,540万トン(炭素換算)です。それに対する全国の排出量は3億4300万トンで、大阪府は全国の約4.5%を占めています。また、大阪府民一人当りの排出量は、1.76トン(炭素換算)/人(全国平均2.74トン(炭素換算)/人)で1990年度と比較して約3%増加しています。部門別の構成は、民生部門が32%(家庭系18%、業務系14%)を占めています。全国の排出構成と比較すると、民生部門、廃棄物焼却部門の比率が高く、運輸部門の比率が低くなっています。

  図11 大阪府の部門別二酸化炭素排出割合(1994年度)

 図11 大阪府の部門別二酸化炭素排出割合(1994年度)


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4.どんな取り組みをしているの?

国際的な取組み

○ 気候変動に関する政府間パネル
<Ipcc:Intergovernmental Panel on Climate Change>
 各国が政府の資格で参加し、地球温暖化問題の科学的側面について討論を行う場として、Unep(国連環境計画)及びWmo(世界気象機関)の共催により1988年11月に設置されました。世界の科学者を1,000人以上も動員し、最新の科学的知見を集大成し、評価し、世界にレポートとして発表するなどの作業を行っています。

○ 気候変動に関する国際連合枠組み条約
 気候変動に関する政府間パネル(Ipcc)による地球温暖化に関する調査が進み、地球環境問題が国際的に重要な課題となった結果、1990年12月国際連合の中に「気候変動枠組み条約交渉会議(Inc)」が設けられ、このような国際条約としては、異例の早さともいえる1年4ヵ月後の1992年4月に、「気候変動に関する国際連合枠組み条約(気候変動枠組み条約)」が採択されました。
 そして、同年6月ブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット」において155カ国により署名されました。その後、各国の関心の高さを反映して、1993年12月に条約発効の条件である50カ国目の批准があり、1994年3月に発効しました。
 この条約は、気候に対して人為的な影響を及ぼさない範囲で大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的とした条約で、特に先進国に対し二酸化炭素の排出量を1990年代末までに1990年の水準に戻すことを求めています。

 図12 気候変動枠組み条約の概要

画像です。図12 気候変動枠組み条約の概要

資料「最新環境キーワード第2版」 (環境庁長官官房総務課 財団法人経済調査会発行)

○ 地球温暖化防止京都会議(気候変動枠組み条約第3回締約国会議)
 気候変動枠組条約に基づき地球温暖化対策を進めるため、この条約を結んでいる国々が集まり、具体的な対策を協議しています(締約国会議)。第1回目の締約国会議は、1995年(平成7年)3月にドイツのベルリンで開催され、2000年以降の対策について第3回締約国会議で具体的な目標を定めることなどを決定したベルリンマンデートが採択されました。
 そして、1997年(平成9年)12月1日から10日まで京都で第3回締約国会議(地球温暖化防止京都会議)が開催され、2008年から2012年までに、日本、アメリカ、EU(ヨーロッパ連合)など先進国(39ヵ国)全体で二酸化炭素、メタンなど6種類の温室効果ガスの総排出量(二酸化炭素換算)を1990年に比べ5%削減する京都議定書が採択されました。
 今後は、1998年11月、ブエノスアイレス(アルゼンチン)で開催される第4回締約国会議などで京都議定書で決められた削減目標の実施に向けた具体的なルールづくりが行われ、55ヵ国以上の批准(ただし、批准国の二酸化炭素排出量が、先進国の1990年の総排出量の55%を上回っていることが条件)から90日後に発効することになっています。(発効は2000年頃の見通し)

京都議定書の概要

目標年

2008から2012年

対象ガス

 CO2,Ch4,N2O,Hfcs,Pfcs,Sf6の6物質

削減目標

 CO2,Ch4,N2O,Hfcs,Pfcs,Sf6の総排出量を二酸化炭素換算で1990年(フロン類は1995年でも可)の排出量から先進国全体で少なくとも5%
主な国別削減目標日本:6%
アメリカ:7%
EU:8%

その他

 ○ 植林や森林再生、森林消失などの二酸化炭素吸収源を削減量に定める
 ○ 先進国間での排出枠の取引が可能
 ○ 目標期間中に割り当て削減量より実削減量が多い場合には、次の目標期間に持ち越すことが可能
 ○ 先進国間の共同プロジェクト、途上国とのプロジェクトなどによる削減が可能


日本(政府)の取組み

    国内においても、1970年代の早い時期から環境庁や気象庁等の関係省庁において地球温暖化問題に関する検討が進められてきました。 一方、地球環境問題が国際的な重要な課題になるにつれて政府一体となって総合的に施策を進めていく必要が生じ、1989年5月に「地球環境保全に関する関係閣僚会議」が設置され、また、同年7月には環境庁長官が地球環境問題担当大臣に任命されるなど、国内体制の整備も進んできました。

○ 地球温暖化防止行動計画

 このような経緯を経て1990年10月に「地球温暖化防止行動計画」が策定されました。「地球温暖化防止行動計画」は、温暖化対策を計画的総合的に推進していくための政府として方針と今後取り組んでいくべき可能な対策の全体像を明確にしたものです。この行動計画においては、二酸化炭素の排出抑制目標について

一人当たりの排出量:2000年以降1990年レベルで安定化を図る。
総排出量:2000年以降おおむね1990年レベルで安定化を図る革新的技術開発等が早期に大幅に進展することにより、2000年以降概ね1990年レベルで安定化するように努める

としています。このために、都市・地域構造、交通体系から一人ひとりのライフスタイルにわたる広範な対策を掲げています。また、二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出抑制、二酸化炭素吸収源である緑の保全や様々な技術開発などの対策の推進も含まれています。

大阪府の取組み

○ 大阪府地球温暖化対策地域推進計画

 二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の安定化を目標に掲げた「地球温暖化防止行動計画」(平成2年度地球環境保全に関する関係閣僚会議決定)の趣旨に沿って、大阪府の自然特性や産業特性、社会特性に応じた種々の施策を推進し、府域の二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑え地球温暖化を防止するため、平成7年3月に「大阪府地球温暖化対策地域推進計画」を策定しています。


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5.私たちは、温暖化を防ぐためどのようにすればいいの?

地球の温暖化を防ぐために私たちは、いったい何をすればいいのでしょうか。また、何ができるのでしょうか。
 二酸化炭素は、石油、ガスなどの物を燃焼すると必ず発生します。ですから、私たちの日常生活でのエネルギーの消費はもちろんのこと、製品の製造、自動車・電車などの運行、人々のオフィスでの生活、ごみの処理といった、人の生活・生産活動のありとあらゆる場面から二酸化炭素が排出されています。
 ですから、私たちが普段の生活で二酸化炭素をなるべく排出しないよう心掛けることが大切なのです。

家庭から排出される二酸化炭素の割合

 家庭で電力やガスなどのエネルギーを使用することにより排出される二酸化炭素は、1994年度(平成6年度)実績で日本の全排出量約3億4300万トン(炭素換算)のうち約12.5%を占めています。また、大阪府では、家庭のエネルギー使用による割合がさらに高く、大阪府全体の排出量1496万トン(炭素換算)の約18%を占めています(1990年度(平成2年度)実績)。
 さらに、自家用車を使用するために消費されるガソリンの燃焼により発生するものを加えると、日本全体の二酸化炭素の排出量の約20%(大阪府の場合、さらに高く約25%)を占めています。しかも、平成2年度から平成5年度の間に11%も増加し、日本全体の排出量の増加率をかなり上回っています。

図13 日本の家庭消費に伴う二酸化炭素排出量(炭素換算)と伸び率(1990年=100)

 (100万炭素換算トン)

図13 日本の家庭消費に伴う二酸化炭素排出量(炭素換算)と伸び率(1990年=100)

(自動車の使用に伴って排出される二酸化炭素を含む) 「環境家計簿」(環境庁)より作成

エネルギーを無駄なく使う

 家庭から排出される二酸化炭素のほとんどはエネルギーの使用によります。ガスや灯油を燃焼すると二酸化炭素が発生します。また、私たちの生活に欠かせない電力の使用でも二酸化炭素は排出されます。
 電力は、その多くを火力発電所から得ています。そこでは、天然ガスや重油を燃焼して蒸気を発生させ発電しているからです。

【電気を無駄なく使う】

 家庭におけるエネルギーの使用量のうち照明や家電製品に使われる電力は、約3割を占めています。この電力の多くを発電している火力発電では、石油や天然ガスを燃焼させて発電しているので、電気の使用を減らすことで二酸化炭素の排出を少なくすることが出来ます。
 では、電気をむだなく使うにはどのようにすればいいのでしょうか。主なものを次にあげます。

<テレビ>
○ 部屋にあったサイズ、タイプを選びましょう。
○ スイッチはこまめに切りましょう。
○ 寝るときや長時間外出するときは、主電源を切りましょう。
○ 画面を明るくしたり、音量のアップは、電気代のアップになります。

<冷凍・冷蔵庫> 
○ 家族構成や使い方を考えて選びましょう。必要以上に大型なものは、電力のむだになります。
○ 日光のあたるところや、ガステーブル近くをさけて置きましょう。
○ 冷蔵庫内の詰めぎは冷気の循環が悪くなり電気のムダになります。詰めすぎないように注意しましょう。
○ 熱いものはさましてから、湿ったものはラップに包んで入れましょう。
○ 扉の開閉を少なくし、開けっ放しはやめましょう。

<洗濯機>
○ 家族の人数に合わせた容量を考えて選びましょう。
○ まとめて一度に洗たくしましょう。
○ 洗剤をいれすぎても洗浄力はかわらない上に、すすぎに時間がかかり電気や水のむだになります。適量の洗剤で洗たくしましょう。
○ お風呂の残り湯を利用すると、洗浄力がアップし、節水になります。

<掃除機>
○ 集じん袋のごみはこまめに捨てましょう。
○ 掃除機をかける前に部屋のかたづけをして、不用なスイッチのOn/Offを減らしましょう。
○ 吸い込み口やホースの点検をこまめにしましょう。

<証明>
○ 蛍光灯で差支えのないところは、白熱電球を蛍光灯に換える等、場所に合わせて照明器具を選びましょう。
 (蛍光灯は、白熱灯とほぼ同じ明るさで消費電力は約1/3です。さらにインバーター蛍光灯なら、従来の蛍光灯に比べ20から30%の省エネになります。)
○ 不要なあかりはこまめに消しましょう。
○ 月に一度は電球やかさの汚れやホコリを落としましょう。ホコリや汚れで20から30%暗くなります。

効率よく冷暖房する

冷暖房に使われる灯油やガス、電力は、家庭におけるエネルギーの使用量の約3割を占めています。灯油やガス、電力を用いて冷暖房をおこなうと二酸化炭素が排出されるので、冷暖房を効率よく行い、灯油などの使用量を減らすことで、二酸化炭素の排出を少なくすることができます。
 では、効率よく冷暖房するためには、どのようにすればいいのでしょうか。

<エアコン>
○ 部屋の広さや建物の構造、使う機能などをよく考えて選びましょう。
○ 室温は、できるだけ冷房時28℃、暖房時20℃にしましょう。
○ 直射日光をさけ、効果的な設置場所を考えましょう。
○ 2週間に1度、エアフィルターの掃除をしましょう。
○ ドライ機能を上手に使いましょう。湿度が低いと同じ温度でも涼しく感じます。
○ 暖房の場合、床にカーペット、窓には厚く長いカーテンなどをつけましょう。また、エアコンと電気カーペットを併用すれば部屋の温度が少し低めでもここちよく、エアコンだけの時に比べ約25%の省エネになります。

<暖房>
○ 電気こたつは、掛け布団の厚さを3cmから10cmにすると約20%の省エネになります。さらに、敷布団を併用すると5から15%の省エネになります。
○ 電気カーペットをフローリングなど断熱性の低い床で使うと畳などにくらべ熱のロスが大きくなります。保温性の良いマットなどを下に敷きましょう。
○ 反射板のあるストーブは、こまめに反射板を掃除しましょう。
○ ファンヒーターなどの吹き出し口の前にものを置くと暖房効率が下がります。また、異常加熱の原因にもなります。吹き出し口の前には物を置かないようにしましょう。

<断熱材>
○  家の中から逃げる熱の約8割は天井、外壁、床からです。住まいを断熱化すれば、冷暖房のエネルギーもぐんと節約できます。100mmのグラスウール断熱材を使用した場合、暖房のためのエネルギーは約7割、冷房のためのエネルギーは、約4割少なくてすむといった計算例もあります。

給湯や調理を効率よくする

 家庭で使われるエネルギーのうち、給湯にはなんと3割強、調理には、1割弱を占めています。では、効率よく給湯や調理をするためには、どのようにすればいいのでしょうか。

<風呂>
○ 風呂釜・給湯器などの口火はこまめに消しましょう。近年、ダイレクト着火のものが増えています。ダイレクト着火の場合は口火の心配をする必要はありません。
○ 風呂は家族続けて入りましょう。また、お風呂のふたをするのとしないのとでは、湯温の下がり方が1.5から3倍も変わります。次の人がすぐに入るときもこまめにふたをしましょう。
○ 水温より気温が高い夏は朝に、水温より気温が低い冬は沸かす直前に水を張りましょう。

<調理>
○ 電磁調理器では、ステンレス製のなべを使いましょう。ほうろう製にくらべ逃げる熱の量が35%も少なくてすみます。
○ 肉や魚などの生ものを電子レンジで解凍するときは半解凍でストップ。あとは自然解凍の方が味もよく電気も節約になります。
○ コンロの点火は、ガスの節約のためナベやヤカンをかけてからにしましょう。
○ ヤカンの底は丸いものより熱効率のよい平たいものを利用しましょう。
○ 圧力鍋や無水鍋はガスの節約になります。積極的に利用しましょう。
○ バーナーが目づまりすると熱効率が悪くなります。こまめに手入れしましょう。
○ コンロの炎は、最大にしないでナベの底からはみ出さないようにするのが基本です。
○ 底が濡れたままのナベやヤカンをコンロにかけると水を蒸発させるために余分な熱が必要になります。拭き取ってから使いましょう。
○ 食器洗いはなるべく低い温度でしましょう。
○ 食品は、使い切り、食べ残さないようにしましょう。
○  旬の野菜を使いましょう。例えば、きゅうりの場合、露地栽培に比べ、ハウス栽培では約5倍のエネルギーが必要です。

自動車を効率よく利用する

 ガソリンや軽油の燃焼によって二酸化炭素が排出されるので、自動車の使用によっても二酸化炭素は排出されます。また、自動車の生産や運搬などのときにも二酸化炭素は排出されます。例えば、普通乗用車で毎日10kmの道のりを往復した場合、1年間で約0.56トン(炭素換算)の二酸化炭素が排出されます。ですから、少しでもガソリンなどの燃料の消費量を減らし、二酸化炭素の排出を少なくするよう心掛けましょう。

図14 輸送機関別二酸化炭素排出量 (1991年度)

画像です。図14 輸送機関別二酸化炭素排出量 (1991年度)

出典:「21世紀に向けた環境・エネルギーと運輸」(運輸省)

では、どのようにすればいいのしょうか。
 自家用車に比べて、電車やバスなどの公共交通機関は、一人当たりの輸送に必要なエネルギーは、ずっと少なくてすみます。なるべく自家用車の使用を控え、近いところは徒歩や自転車で、遠いところは公共交通機関を使用しましょう。
 また、どうしても自家用車を使用するときは、効率よく利用しましょう。

<効率のよい自動車の使用>
○ あらかじめ目的地までの道順をよく調べ、無駄な走行を減らしましょう。
○ 急発進、急加速は、ガソリンの無駄になるのでやめましょう。
○ タイヤの空気圧が低いと燃費が悪くなります。適正な空気圧に保ちましょう。
○ 重量が増えると燃費が悪くなります。必要なもの以外はトランクに積まないようにしましょう。
○ しばらく停車するときは、エンジンをストップしましょう。
○ エンジンのからぶかしは、ガソリンの無駄使いになるのでやめましょう。
○ きちんと整備点検された自動車に乗ると、ガソリンの節約になります。日常の点検や定期点検につとめましょう。
○ 自動車は経済速度で走りましょう。一般道路ならば時速40km、高速道路なら時速80km程度が経済的です。

資源を無駄なく使う

◎ 水道水の使用
 
あまりエネルギーを使っていないを思われる水道水の使用についても川などから水を汲み上げたり、各家庭に水道水を送るために多量の電力を使用していますし、水をきれいにするために浄水場でも電力を使用しています。
 これらのエネルギーの使用によって二酸化炭素が排出しているのです。また、下水を処理するためにも同じようにエネルギーが使われています。これによっても二酸化炭素は排出されます。ですから、水の節約や、なるべく汚さないことでエネルギーが節減され、二酸化炭素の排出量も削減されます。
 では、節水するためには、どのようにしたらいいのでしょうか。

<台所>
○ 食べ残しのある皿は拭き取ってから洗いましょう。
○ 野菜は使うものをまとめて一度に洗いましょう。
○ 炒めものに使う油の量は、炒め煮、ソテー、焼飯は材料の5%程度。中華風の炒めものは8から10%が目安です。
○ 食器などを洗うときは水の出しっぱなしは、やめましょう。3分間蛇口をあけっぱなしにすると約54Lの水が無駄になります。
○ 台所の洗い物はまとめて米のとぎ汁に漬けておくと、米糠効果で油物も落ち、洗剤も少なくてすみます。朝、昼、晩のものをまとめて洗うと効果的です。

<風呂・トイレ>
○ お風呂のお湯は、夏ならひと晩たっても25℃くらいあります。このお湯は捨てずに洗濯に使いましょう。お湯は水より洗浄力が強く、洗剤も溶けやすいので少ない量ですみます。
○ トイレの掃除は、トイレットペーパーを便器に敷いて薬剤を振りかけ、しばらくおいてから紙ごとブラシをかけると少ない水でできます。
○ 水洗トイレの流水量は1回につき15から20Lといわれていますが、実際にはそれほど必要ありません。使用済みペットボトルや空きビンに水を入れ、トイレの貯水タンクに沈めると流水量が少なくなります。

<洗濯、その他>
○ 石鹸、洗剤は適量に。余計に使ったからといって洗浄力が増すわけではありません。かえってすすぎに水がたくさん必要になります。
○ 6分間注水すすぎをおこなうより、洗濯機で3分づつ2回のためすすぎを行いましょう。すすぎの効果はほぼ同じですが、使用水量はためすすぎのほうが、なんと50L以上も少なくてすみます。
○ 蛇口に節水コマをつけましょう。
○ 雨水をドラム缶などにためておくと植木の水やりに使えます。
○ 洗車するときはホースで水をだしっぱなしにしないで、バケツを使いましょう。約8分の1の水量ですみます。

☆☆☆資源を無駄にしない☆☆☆

 二酸化炭素の排出は、私たちが普段、何気なく使っている製品にも深く関係しています。製品の使用のときはエネルギーを使用していなくても、その製造、流通、廃棄の各段階でエネルギーが使用されています。例えば、ティッシュペーパーの場合だと、原料となる木材を海外から運んできて工場で製品を製造し、私たちの家庭まで運ばれ、最後はごみとして焼却場などへ運ばれ焼却されます。これらの過程のすべてでエネルギーが使われておりそのために多くの二酸化炭素が排出されています。
 ですから、出来るかぎりリサイクルできない製品や無駄なものは買わないようにしましょう。

 紙コップや紙ナプキンはリサイクルされることがほとんどないので利用を控えましょう。
 トイレットペーパーやティッシュペーパー、子供用ノートやらくがき帳は再生紙のものを使いましょう。
 買い物袋を持参し、スーパーの袋は断わりましょう。
 バラ売りや盛り売りを選べるなら、トレーにのったものは避けましょう。
 シャンプーや洗剤は詰め替え用を利用しましょう。
 ビールや酒は、ビンなど繰り返し使える容器のものを購入し、使用後は販売店に返却しましょう。
 商品の過剰包装は断わりましょう。

∞∞∞ごみを減らし、リサイクルを進める。∞∞∞

 家庭から排出されるごみは、市町村などの処理場へ運搬され、焼却されますが焼却時に大量の二酸化炭素が排出されます。また、焼却されずに埋め立てられた生ごみなどからは、温室効果ガスであるメタンが発生します。それだけではなく、ごみの収集、運搬のため収集車の走行によっても二酸化炭素が排出されます。大阪府のごみの排出による一世帯当たりの二酸化炭素排出量(平成7年度)は、1年間で0.32トン(炭素換算)になります。
 ですから、少しでもごみを減らしリサイクルを進めるよう心掛けましょう。 

 不要なダイレクトメールは断わりましょう。
 裏が白いチラシはメモ用紙にしましょう。
 電子レンジでの加熱や冷蔵庫での保存はラップで包まずふた付き容器で。
 食品トレーや牛乳パックは資源ごみとして回収しているところまで持っていきましょう。
 アルミ缶、スチール缶はリサイクルしましょう。
 リサイクルできない紙はなるべく使わないようにしましょう。
 家庭内にリサイクルボックスを設置し、いらなくなった紙などを入れ再利用してみましょう。
 古着や家具は、リサイクルショップへ持っていったり、地域で行われるバザーなどに出すことができます。また、古着は捨てずに、業者に引き取ってもらうこともできます。

私たちの生活は、近年、大変便利で豊かになりましたが、これは、資源やエネルギーを大量に使って、生産、消費し、ごみを大量に捨てることによって支えられています。地球温暖化など地球環境の面から今、私たちは自分たちのライフスタイルを見直すことが求められています。


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6.オゾン層破壊について

進むオゾン層の破壊

 オゾン層は、上空約15から30kmの成層圏にあり、地球に降りそそぐ太陽光線の中の有害な紫外線(UV-B)を吸収し、私たち生物を守る「宇宙服」の役割を果している大切なものです。
 このオゾン層がフロン等の物質により破壊されており、その範囲は、熱帯地域を除き、ほぼ全地球的に進行しています。

オゾン層

オゾンホールの面積

特に高緯度地域で減少率が高くなっており、南極では、1997年まで6年連続して規模の大きなオゾンホールが観測されています。

最低オゾン全量  

 (注)m atm-cm ミリアトモスフィアセンチメートル オゾン全量を表す単位。
オゾン全量とは、大気の鉛直気柱に含まれるオゾン量をいい、300m atm-cmは、
この気柱の中の全てのオゾンを0℃・1気圧に圧縮したとき、3mmの厚さに相当します。 

オゾン破壊量   

 オゾンホールの三要素の経年変化 (気象庁:オゾン層観測報告 1996)

オゾン層の破壊による影響

 オゾン層が破壊され有害紫外線(UV-B)が増加すると、皮膚ガンや白内障などの視力障害が起こりやすくなります。また、植物の成長を阻害したり、動・植物プランクトン、エビの幼生、稚魚のような小さい生物への悪影響も心配されています。

フロンとは?

 フロンとは炭素、フッ素、塩素、水素の化合物の総称であり、安定していて無害、不燃性であることから、電子部品等の洗浄剤、エアコン等の冷媒、断熱材を製造する時に使用する発泡剤等、私たちの生活の中で広く使用されてきました。フロンには、Cfc、Hcfc、Hfc等の種類があります。

●Cfc(クロロフルオロカーボン)

 オゾン層を破壊する力が大きいため、1995年末で生産が全廃されました。
現在使用されている機器の中のCfcの放出防止に努めることが必要です。

●Hcfc(ハイドロクロロフルオロカーボン)

 オゾン層を破壊しませんが、Cfc、Hcfcと同様に地球温暖化の原因物質になっています。

フロンによるオゾン層破壊のメカニズム

  フロンは化学的に安定しているため、大気中に放出されると、地上から約10kmの対流圏内でほとんど分解されずに成層圏に達し、そこで短波長の紫外線により化学分解され塩素原子を放出します。
 この塩素原子が成層圏のオゾンを連鎖的に破壊します。

成層圏におけるCfcによるオゾン破壊のメカニズム

成層圏におけるCfcによるオゾン破壊のメカニズム

 

オゾン層破壊の今後の予測

 国連環境計画(Unep)の1994年の科学・環境影響・技術経済アセスメントパネルの統合報告書では、すべての締約国が1992年の改正モントオール議定書を遵守した場合、大気中(対流圈)における塩素・臭素量は1994年に最大になり、成層圏においては、それが3から5年遅れて最大になった後、減少に向かうと予測されています。
 これにより、全地球的なオゾンの減少は、他の要因が同じであれば、今世紀の残りの期間継続するが、来世紀初頭からオゾン層は回復に転じ、南極のオゾンホールも、2045年頃に出現しなくなると予測されています。

成層圏中の有効塩素濃度

画像です。成層圏中の有効塩素濃度


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7.どんな取り組みをしているの?

国際的な取組み

 国際的に協調してオゾン層保護対策を推進するため、「オゾン層の保護のためのウィーン条約」(1985年)、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(1987年)が採択され、Cfc等の生産量等の段階的な削減を行うことが合意されました。
 その後、従来の予測を超えてオゾン層の破壊が進んだため、モントリオール議定書の改正等により、Cfc等の既存規制物質の全廃などの規制スケジュールの前倒し新たな規制物質の追加等の規制強化が行われました。現在の規制スケジュールは、図表のとおりであり、Cfc、ハロン、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタン等は既に生産が全廃されています。

モントリオール議定書に基づく規制スケジュール

画像です。モントリオール議定書に基づく規制スケジュール

(注)Hcfcについては、消費量(消費量=生産量+輸入量ー輸出量)のみが規制され、その他の物質は、生産量と消費量が規制されている。

我が国の取組み

 我が国では、オゾン層の保護に関する国際的な動きを踏まえて、昭和63年に「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)を制定しました。
 この法律では、フロン等の生産規制を導入するとともに、これを使用する事業者には排出抑制や使用合理化に努めることなどを義務づけています。

我が国におけるCfcの消費量の推移

画像です。我が国におけるCfcの消費量の推移

(注)消費量はモントリオール議定書及びオゾン層保護法において、消費量=生産量+輸入量ー輸出量と定義されている。

特定フロンのストック量推定

 現存する機器に冷媒として含まれる特定フロンのストック量を、機器台数及び1台当たりの特定フロン推定含有量から試算すると、カーエアコン2万3千トン、家庭用冷蔵庫6千トン、業務用冷凍空調機器1万5千トンになります。これを合計すると我が国においておよそ4万4千トンの特定フロンが現存するする機器に含まれていると試算されます。
 ただし、これを回収するとした場合、回収作業上一部が漏洩するため、回収可能量はこの量を下回ることになります。

我が国における機器等に含まれている特定フロン(Cfc)のストック量(試算値)

画像です。我が国における機器等に含まれている特定フロン(Cfc)のストック量(試算値)

大阪府の取組み

 大阪府では、フロン回収システム等の検討、フロン回収についての啓発を行うため、府・市町村・関係業界団体・消費者団体等で構成する「大阪府フロン対策協議会」を平成8年3月に設置し、フロン回収の総合的な推進に取り組んでいます。
 また、府有建築物に使用されているフロン等の回収を行っています。


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8.フロンの回収を進めましょう

○ 冷媒フロンの回収状況

 機種別のフロン回収状況をみると、粗大ゴミとして市町村の廃棄物処理施設に搬入される家庭用冷蔵庫については府内の全市町村でフロン回収を行っていますが、家電品販売店に引き取られる冷蔵庫や、カーエアコン、業務用の冷凍空調機器についてはフロン回収はあまり進んでいない状況にあります。
   このため、国は関係業界にフロン回収実施の働きかけを行っており、これを受けて関係業界団体も自主計画を定め、フロン回収のシステムづくりに取り組んでいます。

○ フロンの回収を進めましょう

 フロン回収には、メーカー、販売業者、消費者、市町村など多くの人々が関係します。フロンの回収を進めるためには、これらの関係者がそれぞれの立場に応じて役割分担し、協力していくことが必要です。
 関係する事業者の方々は、「大阪府フロン対策協議会」に加入して、フロン回収の取組みを推進しましょう。

○ 大阪府フロン対策協議会の概要  

 大阪府フロン対策協議会は、関係事業者、消費者、市町村等の協力により、家庭用冷蔵庫、カーエアコン、業務用冷凍空調機器に含まれる冷媒用フロンを機器を廃棄する過程で回収し、適切な破壊処理を推進することにより、成層圏におけるオゾン層の保護を図ることを目的としています。協議会はこの目的を達成するために、次の事業を行っています。

1.フロンの回収・処理を推進するための啓発
2.フロンの回収・処理に関する調査、研究及び情報収集
3.フロンの回収支援
4.回収済フロンの適切な処理の支援
5.その他、協議会の目的を達成するために必要な事業

●協議会に対する問い合わせ先

大阪府フロン対策協議会事務局(大阪府循環型社会推進室産業廃棄物指導課内)
             Tel 06-6944-9241 FAX 06-6944-6719


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このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 戦略企画グループ

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