生活環境項目

更新日:2023年4月19日

  生活環境項目は河川、湖沼、海域の各水域の利用目的(水道、水産、工業用水、農業用水、水浴など)に応じて、環境大臣又は都道府県知事が「水域類型」指定を行い、各水域ごとにその類型に対応した基準値が項目ごとに設定されています。

  ・湖沼の定義は、天然湖沼及び貯水量1,000万立方メートル以上の人工湖が対象で、大阪府では該当がありません。
  ・湖沼における全窒素及び全りんの類型指定条件は、滞留時間4日間以内、塩素イオン含有量9,000mg/L以内、特殊なダム操作のないことです。

項目名

内容等

水素イオン濃度
(pH)


水素イオン濃度は、酸性やアルカリ性の程度を示す指標です。

 【対象】  河川、湖沼、海域

  水溶液中の水素イオン濃度[H+]の逆数の常用対数をpHとして示すもので、pH7は中性、7より大きい数値はアルカリ性、小さい数値は酸性を示します。
  水の水素イオン濃度は、水中の生物化学的変化の制約因子であり、例えば農作物の低pHによる生育不良などがあります。
  河川における水素イオン濃度の変化の要因としては、工場排水等の混入や、日中に植物プランクトンの光合成(炭酸同化作用)が盛んになることによるpHの上昇などがあります。
 

生物化学的酸素要求量
(Biochemical Oxygen Demand、BOD)


■生物化学的酸素要求量(BOD)とは、水中の微生物が汚濁物等を酸化分解する際に必要とする酸素量で、有機物による水質汚濁の指標として使われます。

 【対象】  河川

 BODは20℃、5日間で消費された溶存酸素量(DO)で表し、河川の汚濁評価は主にBODで行っています。河川は海への流下時間が短いため、汚濁物の全量ではなく短時間で生物酸化される有機物だけを対象としています。
 BODが考案されたイギリスの海への最大流達時間から5日間が採用されました。BODは、自然浄化能力の推定や生物処理の可能性等に役立ちますが、一部の有機化合物には測定されないものがあります。これは生物的に分解されにくいが化学的には分解される有機物も多く、逆に生物的に酸化分解される無機物も存在するためであり、BODとCODの傾向は必ずしも一致するものではありません。
 また、生物処理等が進んだ試料では、炭素系有機物を分解する好気性細菌の酸化分解に消費される酸素量(C-BOD)のほかに、窒素化合物を酸化する硝化細菌の硝化により消費される酸素量(N-BOD)が測定されることがあります。
 

化学的酸素要求量
(Chemical Oxygen Demand、COD)


■化学的酸素要求量(COD)とは、試料に酸化剤を加えて一定の条件下(100℃、30分間)で反応させ、そのとき消費した酸化剤の量を酸素の量に換算したものです。有機物による水質汚濁の指標として使われます。

 【対象】  湖沼、海域

 CODは、水質汚濁を示す代表的な指標で、湖沼や海域の汚濁評価は主にCODで行います。これは、湖沼や海域ではその水域への水の滞留時間が長いので、長期的に分解される有機物まで考慮する必要があるということからです。また、湖沼などの滞留時間が長い水域には植物性プランクトンや藻類などの光合成生物が多量に存在し、十分な日照があると光合成により酸素が発生してしまい、消費された酸素量が正確に把握できないためです。
 水の有機物汚染が進むにつれて、COD値は大きくなります。BODに比べ短時間で結果が得られますが、有機物のみでなく、第一鉄や亜硝酸塩などの無機物も酸化します。
 日本では酸化力の弱い過マンガン酸カリウムを酸化剤に使用しますが、欧米では酸化力の強い二クロム酸カリウムを適用しています。
 

浮遊物質量
(Suspended Solid、SS)


浮遊物質量(SS)とは、水中に懸濁している不溶解性の粒子状物質量で、濁りなどの水質汚濁の指標です。

 【対象】  河川、海域

 2mmのふるいを通過する大きさの粒子の濃度で、粘土などの微粒子や動植物プランクトン、下水・工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿などが含まれます。
 浮遊物質は、一般的に清浄な河川水では粘士成分を主体に若干の有機物を含むものにより構成されることが多いですが、汚染の進んだ河川水では、有機物の比率が高まり、SSの量が水の濁り、透明度などの外観に大きな影響を与えます。
 水中の固形物を定量的に表すため、濁度や透視度などと異なり絶対的な値が得られますが、この値が必ずしも水の濁りの指標とはなりません。
 SSが生態系に与える影響としては、魚類のえらを塞ぎ窒息させる危険性や、太陽光線の透過を妨げ、藻類の炭酸同化作用を阻害させる等があります。
 

溶存酸素量
(Dissolved Oxygen、DO)


■溶存酸素量(DO)とは、水中に溶け込んでいる酸素の量です。

 【対象】  河川、湖沼、海域

 溶存酸素は、河川や海域での自浄作用や魚類等の水棲生物には不可欠なもので、数値が小さいほど水質汚濁が進んでいることを示します。
 水中における酸素の飽和量は気圧、水温、塩分等に影響され、水がきれいであるほどその温度における飽和量に近い量が含まれます(水温15℃では約9mg/lで飽和状態)。逆に富栄養化した水域や人為的汚染の進んだ水域では、大量の有機物に分解が追いつかず、DOが低くなる現象がみられます。また塩化物イオンを含む水や水温の高い水ほどDOの値は小さくなります。
 酸素が枯渇すると、水の自浄作用が正常に働かず、有害金属をはじめとした様々な化学成分が水中に拡散したり、酸素呼吸を行う生物(好気性微生物)が死滅し生物相が大きく変化するなど、多くの問題が引き起こされます。
 通常、河川のDOの値は、冬は高く、夏は低くなる傾向にありますが、水中の植物プランクトンの光合成が活発になり、夏でもDOが高くなることがあります。
 

大腸菌群数
※令和4年3月31日まで適用


大腸菌群数とは、100mL中の大腸菌群数の最確数で表し、人などの排泄物による汚染の指標になります。

 【対象】  河川、湖沼、海域

 大腸菌及び大腸菌と極めてよく似た性質をもつ菌の総称で、便宜上、グラム染色陰性、無芽胞性桿菌で乳糖を分解して酸とガスを形成する好気性又は通性嫌気性菌をいいます。
 大腸菌は人体排泄物中に大量に存在しますが、大腸菌の検出によって直にその水が危険であるとはいえません。大腸菌自体は無害ですが、消化器系伝染病は常に大腸菌と一緒に存在するため、大腸菌の検出は消化器系伝染病の存在を疑うことができます。大腸菌が病原菌の指標として都合が良いのは、大腸菌が消化器系伝染病より抵抗力が強く、検出が容易なためです。つまり、大腸菌の検出されない水には病原菌も存在しないと考えられます。
 

大腸菌数
※令和4年4月1日から適用


■大腸菌数とは、糞便汚染の指標です。


 【対象】  河川、湖沼、海域

 水質が糞便により汚染されていると、赤痢菌、疫痢菌等の存在により、公衆衛生上の問題につながる可能性があります。
 大腸菌は、それ自体に人の健康を阻害する影響はありませんが、恒温動物の腸管内に常在する通性嫌気性菌の内で最も数の多いものであるため、糞便汚染の指標として採用されています。

全窒素
(T-N)


全窒素は窒素化合物の総量で、富栄養化の要因となります。
  ・有機態窒素(粒子性有機態窒素、溶解性有機態窒素)
  ・無機態窒素(アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素)

 【対象】  湖沼、海域

 窒素は、プランクトンなど動植物の増殖に欠かせないもので、りんとともに栄養塩と呼ばれ、湖沼や海域の富栄養化現象の要因物質とされています。
  富栄養化は、海域の植物プランクトンの増殖による赤潮の発生や、湖沼でのアオコや淡水赤潮を招き、養殖漁業への被害や景観にも影響がみられます。また、植物プランクトンの増殖による内部生産のため、夏季を中心に底層が貧酸素化し、青潮を招くこともあります。
  湖沼と同様に閉鎖性海域の富栄養化が問題になり、平成5年に海域における環境基準が設定されています。
 

全りん
(T-P)


全りんはりん化合物の総量で、富栄養化の要因となります。
  ・有機態りん(粒子性有機態りん、溶解性有機態りん)
  ・無機態りん(オルトリン酸性りん、重合りん酸)

 【対象】  湖沼、海域

  りんは、窒素とともに栄養塩と呼ばれ、湖沼や海域の富栄養化現象の要因物質とされています。汚濁源としては、生活排水、畜産排水、工業排水等広い範囲から排出されています。また従来、大きな汚濁源とされていた衣料用や食器用の洗剤については、無りん化が進んでいます。
 

ノルマルヘキサン抽出物質
(油分、n-Hex)


ノルマルヘキサン抽出物質とは、ノルマルヘキサンに可溶性の油分等をいいます。

 【対象】  海域

  石油系油分による異臭魚の発生を防止するため、海域における油濁が問題となり、石油系油分を中心とする水質規制が行われてきました。
  ノルマルヘキサンで抽出される物質は、動植油脂、鉱物油、脂肪酸類、エステル類、アミン類、フェノール類のほか、界面活性剤や染料なども抽出されます。
  

全亜鉛
(T-Zn)


全亜鉛は亜鉛化合物の総量で、水生生物の保全に係る基準項目です。

 【対象】  河川、湖沼、海域

  亜鉛は従来から工場・事業場に対して排水規制が行われてきましたが、水生生物の保護を目的に、平成15年11月から環境基準項目として設定されました。
  亜鉛の主な排出源は、亜鉛鋼板、伸銅品、ダイカスト等を扱う工場・事業場排水の他、し尿や生活雑排水にも含まれています。
 

ノニルフェノール


ノニルフェノールは、水生生物の保全に係る基準項目です。

 【対象】  河川、湖沼、海域

  ノニルフェノールは、水生生物の保護を目的に平成24年8月から環境基準項目として設定されました。
  主に界面活性剤の原料として使用されています。
 

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩
(LAS)

 
■直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)は、水生生物の保全に係る基準項目です。

 【対象】  河川、湖沼、海域

  LASは、水生生物の保護を目的に平成25年3月から環境基準項目として設定されました。
  主に、洗濯用洗剤、厨房、車両の洗浄などに使用される業務用洗浄剤、繊維を染色加工する際の分散剤や農薬などの乳化剤に使用されています。
 

このページの作成所属
環境農林水産部 環境管理室環境保全課 環境監視グループ

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