私は今、オリンピックでメダルをとることを目標に、毎日毎日スイミングで泳いでいるので、この本の題名と表紙の写真にとても興味を持ちました。
メイさんは、生まれたときから右うでのひじから先がありません。最初、私は「何をするのも不自由だから大変だろうな。」と思いました。それに、水泳となると私が今、泳いでいる時を思いうかべたら、左右の手を同時に動かしたり、交ごに同じ力で水をかくことがほとんどなので、それを右うでのひじから先がない状態でうまく泳ぐことができるとは思えませんでした。でも、メイさんは、赤ちゃんのころから水遊びが大好きで、小さいころからプールで泳いでいたので、左右のうでがちがっても、まっすぐ泳ぐコツを自然に身につけていたそうです。本当にすごい運動神経だと思います。
そして、私がとてもおどろいたのは、メイさんが高校生の時に出場した英語のスピーチコンテストで発表したスピーチの内容です。
メイさんは、障害は個人の心身の機能の問題ではなく、社会がつくりだしてしまっているものだという考えを言いました。大切なことは、よく知らないままに人をはんだんしないこと、そして、人はみんなそれぞれちがいがある特別な存在なのだと、理解して受け入れることだ。社会が障害をつくりだすなら、その社会が障害者をなくすことだって、できるにちがいないと発表しました。
私が最初、メイさんのことを「不自由だ。」とか「大変だ。」と思ったことはまちがいだったと気づきました。そして、そういう考え方が、メイさんに障害を持たせてしまっているんだということを知りました。
メイさんが泳ぐ理由、それは、水泳をとおして、障害に対する社会の目を変えるためであり、自分の思いを発信して、ちょっとでもたくさんの人たちに「社会が障害をつくっている」という考え方を知ってもらうためだと思います。
これから、東京パラリンピックが始まります。今まで、オリンピックは一生けん命応えんするけれど、パラリンピックはちゃんと見たことがありませんでした。でもこれから始まる東京パラリンピックは、一人一人の選手を、障害者ではなくアスリートとしてしっかり応えんしたいと思います。
「私が今日も、泳ぐ理由」
文 金治 直美
学研プラス
このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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