不動産取引における土地調査問題研究会報告書

更新日:平成22年5月19日

7 研究会からの問題提起

 今回の土地差別調査問題は二つの重要な課題を提起している。
 一つは、「三業界」における同和問題をはじめとする人権課題に対する取り組みの弱さである。そのことにより、意図的ではなかったとしても、差別を拡散し助長する役割をこれら業界が果たしてきたことの罪は重い。またこうした状況に適切に対処し切れてこなかった行政の責任も問われなければならない。事実の解明とそれに基づく有効な再発防止策の確立が急務であり、本研究会はその設置目的に照らして、こうした点に焦点を当てて報告内容をまとめたものである。

 差別の現われ方は常に具体的である。今回の問題においては、「三業界」による「土地差別調査」という具体的現象として登場した。見落としてはならないのは、その現象の背景にある問題の本質的課題である。それが部落差別の問題であり、今回提起されたもう一つの課題はこの点にある。
 同和問題は「部落差別」と表現されるとおり、いわゆる同和地区とのかかわりにおいて生じている差別問題である。この差別の対象者がその属地関係において想定されたり、属地関係を証明する資料として戸籍謄本の不正入手が発生したりすることなどは、同根の現象であると言える。こうした意味において今回の土地差別調査問題は、同和問題の核心に迫る事案であるといえよう。同和問題の根本的解決に向けた基本的な取り組みのあり方を今回の事案は問うている。

 6ページに示した「土地調査会社における立地評価の構成要素」を素直に当てはめると、結果として、報告書で示されたような同和地区は低い評価が集中することになるのではないだろうか。「地域下位地域」と表現されることは問題であるが、しかし実際に「下位なる実態」が存在しているのではないだろうか。先ずは、今回の問題で浮かび上がった実態を、今日的に改めて見つめなおすことの必要性についても今回の事案は問うている。

 こうした現実を無視して、「差別をしてはいけない」という意識の問題だけを追求してもそれは根本的な解決にはならないのではないかと危惧される。これらの点については本研究会の守備範囲ではないが、問題の事実解明を通じて発見された内容であり、しかるべき取り組みにおいて提起した本質的課題についての議論が深められることを期待するものである。

 最後に、本研究会に参画いただいた行政関係者、業界団体をはじめとする全ての委員の共通の思いは、「土地差別調査」問題の一刻も早い解決を図ることである。この研究会を契機に、今後とも行政と業界がお互いに手を携えて、この問題に取り組まれることを願ってやまない。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画グループ

ここまで本文です。


ホーム > 人権・男女共同参画 > 人権 > 様々な人権問題に関する施策 > 不動産取引における土地調査問題研究会報告書