不動産取引における土地調査問題研究会

更新日:平成22年4月20日

問題表現についての認識と差別意識
□問題表現の認識

  「地域下位地域」等の問題表現の意味については、不動産取引に関する土地調査業務に関与している企業は、程度の差はあれ、いわゆる同和地区だという認識はあった。また、社内においても、業界間においても問題表現を改善することなく利用を続けたことが、社会の差別意識を助長していたという認識に欠けていた。広告会社では、土地調査の業務を多く扱っている企業ほど経験則に基づき、その認識は高い傾向が見られた。なお不動産会社については、大半の企業が価格面の検討を重視しており、問題表現が記載されている地域特性には関心がなく、その認識がなかったとの意見が多かった。

【ヒアリング結果】
◆リサーチ会社
・あいまいな言葉を使用し、同和地区のことを間接的に表現していた。
・地域下位地域の意味は同和地区のことだと認識していた。
・同和地区をごまかしたかったので、地域下位地域をぼやかした表現にするため、不人気地域と言い換えた。クライアントはわかっていたと思う。
・地域下位地域は記号的な言葉であり、同和地区ばかりを指しているわけではない。
・安い価格を提案しても、報告書の表現を見れば同和地区の存在がわかることから、聞かれることもない。クライアントも認識しており、あうんの呼吸でやっている。
◆広告会社
・この表現はまずいと指摘したことはある。 
・同和地区だという認識はなかったが、どこかでにおわせているとは感じていた。
・同和地区という認識は、言われるまでわからなかった。
・「地位下位地域」は明確に同和地区ではなく、生活的利便性が悪いだとか全般的な住環境が低いからだと認識していた。
・地勢的なものと思っており、問題であるとは認識していなかった。指摘することもなく、見逃していた。
・差別的な表現の意味はわかっていたが、全くスルーであった。
・長年やっていれば表現の意味も何となくわかる。知らないで報告していたわけではない。
・価値観の違いもあり、マーケッターの認識が統一されていない。
◆不動産会社
・大手の広告代理店であったことから、安心感から相手任せとなり問題表現を見逃していた。
・レポートの細かい部分までは見ておらず、おかしな表現があることは全く気付かなかった。
・いくらで売れるかが重要であり、地域評価の部分は素通りしていた。
・マイナス情報を同和地区とは想定していなかった。
・地域下位地域という表現の意味は知らなかった。認識が甘かったので確認しなかった。
・差別表現だとは思わず、住宅開発に適しているかどうかの評価だと思っていた。
・好ましくない表現であるとの認識はあったが、何の指摘もせず、受け取っていた。
・間接的な表現が同和地区を意味していることは認識していた。使いやすい言葉として慣習化していた。
【解説】
○「地域下位地域」等問題表現の意味について聞いたところ、土地調査を実施しているリサーチ会社5社すべてにおいて、それはいわゆる同和地区や貧困地域などを意味するとの認識があった。具体的には、「5年ほど前に直接的な表現から間接的な表現に変更した」、「広告代理店どうしの競争で、レポートの内容・表現がより詳しくなりエスカレートしたのではないか」、「通常、同和という言葉は使わない。あいまいな表現を使う」、といった意見が見られた。
○広告会社は、土地取引における土地調査を主要な業務としているか否かによって、その認識度に差が見られた。主要な業務としている場合(概ね6社)は、その認識は一定ありつつも、そのまま見過ごし、不動産会社に渡していたことがわかった。具体的には、「差別的な表現の意味はわかっていたがスルーであった」、「長年やっていれば、表現の意味も何となくわかっていた。知らないで報告していたわけではない」という意見の一方で、「地勢的なものと思っており、問題であるとは認識していなかった。指摘することもなく、見逃していた」など認識がなかった意見もあった。
○不動産会社は、報告書で最も重視する内容は販売価格についてであり、問題表現については特に意識していないとの意見、好ましくない表現であるとの認識があったが、何の指摘もせず、受け取っていたなどの意見が見られた。具体的には、「レポートの細かい部分までは見ておらず、おかしな表現であるとは全く気付かなかった」、「いくらで売れるかが重要であり地域評価の部分は素通りしていた」、「地域下位地域という表現の意味は知らなかった。認識が甘かったので確認しなかった」、などの意見がある一方で、「間接的な表現が同和地区を意味していることは認識していた。使いやすい言葉として慣習化していた」という意見もあった。
○ヒアリング調査からは、各業界ともに、このような事案が発覚する以前の認識として、差別につながる問題表現を、社内や業界間において指摘、改善することなく利用を続けたことが、社会の差別意識を助長、温存していたという認識は持っていなかったとの意見が大半を占めた。企業及び業界としての人権意識が希薄であったことは否めない。

□差別を助長するという認識

 事案発覚後、問題表現を含む報告書が「差別につながる」と思う企業は、リサーチ会社、広告会社ともに過半数を超えるが、「一概にはいえない」及び「差別につながるとは思わない」の合計は、ともに3割程度あった。
ヒアリングからも、ほとんどの企業は差別を助長するとは認識しておらず、人権意識の低いことがわかった。

【アンケート結果】※重複回答有
−このような表現の報告について、差別につながると思うか。−
◆リサーチ会社(対象91社)
差別につながる:48社(53%)
一概にはいえない:27社(30%)
よくわからない:12社(13%)
その他:6社(7%)
差別につながるとは思わない:4社(4%)
◆広告会社(対象102社)
差別につながる:64社(63%)
一概にはいえない:27社(26%)
よくわからない:7社(7%)
その他:5社(5%)
差別につながるとは思わない:3社(3%)
【ヒアリング結果】
◆リサーチ会社
・差別する意図はなかった。人権意識が不足していた。
・緊張感が足りず、目が届かなかった。
・今回の事件は調査報告書の書き手の勉強不足である。
・今回の件で、差別的表現を使用しなくてもいいようになったので、よかった。
◆広告会社
・過去の物件の売行きの悪い理由を積み上げると同和地区があるからだろうと推測できたので間接表現も薄々同和地区のことだろうと認識していた。人権意識が低く無頓着であったためそのままにしていた。
・このようなレポートは当社とクライアントしか見ないものと思っていたので、同和問題への配慮、人権意識が不足していた。
◆不動産会社
・報告書を受け取ることが差別を助長するとは認識していなかった。
・同和人権問題の意識を著しく欠いていた。
・過去の物件の安い理由については、同和地区の影響かどうかはわからないが、いろんなことが影響していると思う。
・同和地区はえせ同和の人がいて怖いというイメージを持っていた。
・関東の人間は同和問題の認識が希薄。
・転勤が多く異動サイクルも短いため、関西における部落差別問題の認識は低かった。
【解説】
○差別につながると回答した企業について、「当該調査を行っている企業」、「差別的な表現があった企業」、「当該調査を行っていない企業」の割合を見てみると、リサーチ会社の場合は、「当該調査を実施している企業」の約6割、「差別的な表現があったと回答した企業」の約4割、「当該調査を行っていない企業」の約5割が差別につながると答えている。広告会社の場合は、それほど顕著な差は見られなかった。
○「一概にはいえない」及び「差別につながるとは思わない」の合計についても、リサーチ、広告ともに約3割あった。「当該調査を実施している企業」、「差別的な表現があったと回答した企業」、「当該調査を行っていない企業」の割合については、それほど顕著な差は見られなかった。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画グループ

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