人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 「逆差別」意識の構造と教育・啓発の課題 4.調査結果の活用のために 4-2同和問題以外の差別問題・人権課題

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
大阪府立大学人間社会学部准教授 西田芳正

4.調査結果の活用のために

4-2同和問題以外の差別問題・人権課題

 自由記述欄には、同和問題以外の差別問題・人権課題に関わる経験について触れたものが、合わせて23ケース見られた。以下にテーマ別に整理して紹介する。

■障がい者

○ 私は盲、ろう者なのでもっと障害者の差別とか就職の問題も併せて取り上げてほしいと思いました。〔70歳以上女性〕
○ 広氾性発達障がいの娘に進学の道を広げてください(市教委に要望を述べても無理でした)。啓発が全然なく事件が起こるたび障害名だけテレビ等で取りあげられマイナスイメージばかりついてくる。〔40歳代女性〕

■性・年齢・世代

○ 性別や年齢による差別(制限)も減らして頂きたい。〔30歳代男性〕
○ これから日本を支えていくはずの若い世代へのサービスがなさすぎなので、年配だけでなく、若い世代も住みよい社会をつくっていって欲しい。〔20歳代男性〕

 ■高齢者

○ 認知症をかかえている家族の支援をお願いします。〔60歳代男性〕
○ 私の中では差別問題よりも、介護など老人をいたわる事を一番に考えてほしいと思います。今の日本があるのは、今現在生きていらっしゃる老人の方の力が大きいと思うからです。今まで頑張って頂いた分の恩返しは必要です。〔30歳代女性〕

 ■いじめ・虐待

○ それよりもいじめられている子供の人権をもっと考えてやってほしいと思います。〔60歳代女性〕
○ 同和問題よりも虐待やいじめ問題が深刻だと思う。〔60歳代女性〕
○ DVや子供、老人へのいじめ、虐待の問題にもっと取り組んで欲しい。〔60歳代女性〕
○ いじめに関しても、本当に難しい問題だと思います。〔40歳代男性〕

 ■外国人

○ 私自身外国籍で家内が日本人、色々差別を受けた経験があります。〔50歳代男性〕○ 公務員の意識、特に警察は外国人とわかった時点で態度ががらっと変わる事がよくある。〔50歳代男性〕

■貧困・格差

○ 貧困差別(就職差別に基づく)(学歴につづく)。男女の差別。〔70歳以上女性〕
○ ホームレスなど生存権の問題について対策を行うべき。〔50歳代男性〕
○ 同和といった狭い視点で人権を考えるのではなく、新しい差別、所得格差や高齢者のみの世帯といった新しい人の権利に問題を移していく必要があるのではないでしょうか。〔40歳代男性〕
○ 明日の生活もままならない私のような貧乏人は生きづらい国になりました。〔40歳代女性〕

 ■女性が直面する困難

○ 私自身も含め、仕事をもっていなくても、社会参加をしているともっとみとめてほしい。家事、子育ての大変さを知ってほしい。疲れ切っているが、どうしようもないいらだちを日々抱えているのです。〔40歳代女性〕
○ 女性一人で生活して将来不安になる。高齢になって病気になったとき、生活をどのようにして安定させられるのか、女性の地位の確保を進めてもらいたい。一人暮らしでも安心して住める町づくりを。〔年齢性別不明〕

 ■その他の差別問題・人権課題

○ 私は炭鉱町で育ちまして大阪へ出て来て、出身者が差別されているのにびっくりしました。で、いまだに隠している有様です。映画等のイメージが強く、偏見の目で見られている様に思われました。決して豊かではなかったがいい環境であった事には間違いありません。人に話せない事が淋しい思いです。〔60歳代女性〕
○ 同和問題だけでなく、性同一障害も人権問題として取りくんでいただきたいと思います。〔50歳代女性〕
○ 学校をはじめ、ご近所づき合い、職場、家庭などいろいろなところでいじめがあります。人それぞれに感じ方が違って、うつ病など他の病気をわずらっている人も多くみられます。弱い人のための相談窓口や、対応していただける部門などがあればいいと思います。相談だけではなく、当事者同士の間に入って仲裁してくれるサービスをつくってほしい。〔50歳代女性〕
○ 家族と死別して一人身であるというだけで、職探しにおいて身分の証明の為に「家族に生き返ってもらえば」などと言われた事があった。学歴や能力で判断されるならまだしも、こんな事を言う所が成り立つ様な会社には厳しい指導をお願いしたいです。〔30歳代男性〕
○ 皆平等じゃないとはじかれる。日本の平等が平等でないと思う。学校でも、軽度発達障害の子供たちなど個性的な子、自分の意志をはっきりもった子供などがイジメの対象になったりする。引きこもり、ニートもそんな社会に入れない、人に合わせることが出来ない人ははじかれる。それが現実です。同和問題も同じです。その人の個性、その人はその人、私は私、みんなOKじゃだめなのですか。本当の平等の意味を考えてほしい。〔30歳代女性〕

 障がいのある人が置かれた状況の困難さや周囲からの差別、いじめや虐待、外国人への差別など、それぞれが切実な形で経験されていることが想像される内容である。女性が直面する困難さや不安が深刻なものであること、また、貧困についての言及が複数見られたことは、近年の生活の不安定化、困窮の度合いが高まっている表われと言えるだろう。さらに、強い偏見があるために出身地を隠さざるを得ない、周囲と違っていることがはじき出される原因になっているなどの経験、親がいないことを理由に求職に際して拒まれるという現実があるという記述からは、困難を強いられている 人々を様々な形で生み出している日本社会のあり様が浮かび上がる。格差・貧困の拡大など、生きづらさが今後さらに強まれば、人々が抱く不安や不満がより弱い立場に置かれた人に向けられることが強く懸念される。同和問題についての意識のあり様にもそれをうかがわせるものがあることは、ここまで述べてきたとおりである。
 人々が感じる困難や不安、差別経験等について広く把握するための何らかの方策が求められる。そうした実態把握を行った上で、相談や支援、問題解決のための取組みが行われるべきである。

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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