人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 「逆差別」意識の構造と教育・啓発の課題 3.教育・啓発の受け止め 3-1否定的なコメント

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
大阪府立大学人間社会学部准教授 西田芳正

3.教育・啓発の受け止め

3-1否定的なコメント

 まず、教育に対する否定的なコメント14例のうち6ケースを以下に示す。

○ 私は大阪に住むまで同和問題は全く知りませんでした。全く知らない人間に対して教育することが良いのか?今でも疑問を持っています。しかし会社で役職上必要でしたので知識はつけましたが。最近の若い方の意識は分かりませんが…。ただし同和問題のみ。人権は別です。教育が必要でしょう。〔60歳代男性〕
○ 同和問題について私は60歳代ですが子供が小学校の時PTA役員をしていました。そこで同和差別のビデオだか映画を見せられ【特定の職業が】同和だとはじめて知りました。【その場にいた友人も知らなかったと話していた】その時私同様知らない人間にビデオを見せて逆効果やないかと思いました。【略】時代世代が変わって行くなか知らない人が多くなってくると思う。私達の子供など博識者以外、普通の子は知らなくなってくると思う時代の流れです。それを同和同和と騒ぎたてて(行政)寝ている人間に知恵を入れている様な気がしないでもない?〔60歳代女性〕
○ 娘は学校で同和を知り差別という認識をもったので、知らない方が良かったと言ってます。〔50歳代女性〕
○ 小学校の時、何時間も同和問題について話し合いの場があり、小学生なりになぜ逆に同じ人間なのに変に分けるんだろうと思っていました。今、私の子どもはそういう地域があることも知らずに育っていて、知らないまま大人になっていくと思います。【自分の小学校の同級生が偏見を理由に同和地区から離れて行った】でも同和問題という言葉すら知らずに育つ子もいるのなら、あまり言葉にしないでいた方がとも思ったり。〔40歳代女性〕
○ 子どももどこまで同和地区の事を理解しているのかわからないし、全く知らないのかもしれない。無知なところに間違った偏見を持たすよりきちんと理解させていくのがいいか、無知なまま知らない方がどちらかと言うといいのではと思う。〔40歳代女性〕
○ 学校での授業がなければ知らないまま成長していたと思います。わざわざ授業で教えてもらいました。知らなければ差別もないと思います。同和地区だけの事ですが。〔40歳代女性〕

 ほとんどが「学校でわざわざ教えることはない」、「教えることで広めている」、「知らなければ差別もないと思う」という指摘である。また、「無知なところに間違った偏見を持たすよりきちんと理解させていくのがいいのか、無知なまま知らない方がどちらかと言うといいのではと思う」〔40歳代女性〕と判断の難しさを吐露するコメントがある他、「学校で同和問題などの授業をうけたこともありますが、いまいち理解できていないのでお答えしづらい部分もあります」〔30歳代女性〕との記述もある。
 「全く知らない人間に対して教育することが良いのか?今でも疑問を持っています」という人が「ただし同和問題のみ。人権は別です教育が必要でしょう」〔60歳代男性〕と記していることの意味は、改めて考える必要があるだろう。

■困難な課題

 教育・啓発活動の必要性はわかるが困難で成果があがらないものだ、という悲観的な見方も5例記されている。

○ 上記【人権】の問題はどれも解決は非常にむずかしい。今までの学習、研修で指導者も参加者も空しさと後味の悪さが残るのみ。人が人を差別してはならない、悪であると皆わかっていながら…これからは、今までの悪いと思う事を排除して、無限の努力を積み重ねやりつづけるしかない。しかも貴重な府税を使って、つらい事である。〔70歳以上男性〕
○ 同和問題や人権問題や今後の人権教育、啓発をやっても、昔からのなごりであまり良くはならないと思います。〔60歳代男性〕
○ 今は一人一人にゆとりのない時代やから、差別、人権、教育、啓発などの講習会を開いても一部の人々にしかわからないと思います。〔40歳代女性〕



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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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