人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 「逆差別」意識の構造と教育・啓発の課題 2.「逆差別」意識の構造と背景 2-4部落差別に関する認識

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
大阪府立大学人間社会学部准教授 西田芳正

2.「逆差別」意識の構造と背景 印刷用

2-4部落差別に関する認識

 ここまで、地区住民を優遇してきた同和対策、また、それを求めてきた地区住民の姿勢や生活のあり方に対する非難の記述を見てきた。こうした意識は、部落差別の実態に関する見方とセットになったものだと言えるだろう。すなわち、部落差別は過去には厳しいものだったが現在はもう解消している、残っているものについても「騒がず黙っていればなくなる」のであり、そんな状況であるにもかかわらず地区への優遇施策が継続されていることこそが問題の根源である、また、その根拠とされてきた「同和」という言葉が使われ続けていることも問題だ、という認識である。 

■部落差別は昔のこと

 まず、「差別が厳しかったのは昔のこと。今は、若い世代は差別意識はない」といった記述が、合わせて21例見られた。このうち、「学生の頃はこの問題(同和)をよく耳にしましたが、最近はあまり聞かないので、よい方向に解決されて来ているのではないかと思っておりますが。民主主義から言っても、すべての人は平等であるべきで差別されるべきではありません。それは学校教育の場でもっと教えるべきだと思います」〔70歳以上女性〕といった、「差別はなくなるべきで、その方向にある」とする記述が4例、「現在の大阪市で同和問題が存在するのか疑問に思う」〔60歳代女性〕などと、単に「差別はなくなりつつある、なくなっている」とするコメントが7例、残る10ケースが、「なくなってきているのに優遇されている、騒ぎ過ぎ」という記述であった。以下は、このタイプの例である。なお、21例の大半が60歳代、70歳以上であり、40歳代以下は4人にすぎないが、そのすべてがこのタイプに入ることも注目される。

○ 同和問題という事がいまだにあるのでしょうか。ただ、市役所等の垂れ幕等がそういう事を知らしめてると思う。〔60歳代男性〕
○ 昔の話で今頃そんなに気にする人がいるか不思議な気がする。同じ日本人なのに同和の人もどうどうと気にせず生きていけば良いと思うが、自分が皆さんの事知らないからそう思うのかな。〔60歳代女性〕
○ 昔と比べて同和問題はなくなって来たと思います。しかし、同和地区に住んでいる人達は、自分たちが弱者であるというのを武器にして、不当に金を国や府、市からとっていると思います。だから、それを知っている人は差別というか、軽蔑しているんです。自分たちが不利益な事は団体で圧力をかけたりして有利にする。同和の方は、私から見れば優遇されているように思います。〔40歳代男性〕
○ 同和問題は昔の事であって今は若い人でも気にしていない。同和の人達が文句ばかりつけているだけだと思う。【略】これからの時代人権問題とくに同和問題は若い世代、昔の事で関係がないと思う。思っているのは同和の人だけです。〔30歳代男性〕
○ 昔は部落の人達は差別を受けてきたかもしれないが、今では過剰に待遇が良いと聞くので過剰に待遇を良くするのは控えた方が良いと思う。〔20歳代男性〕

■黙っていれば差別は無くなる

 後に教育についての記述の中で取り上げる「学校でわざわざ教える必要はない」という内容も、合わせて21ケースあった。

○ 今の時代、そのような事はもう思わないのではないのでしょうか。知らないと思います。私も3人の子供がいますが全く知りません。かえって寝ている子を起こすような今の時代になっているように思います。〔70歳以上女性〕
○ 人権問題、同和問題等をマスコミ等があまり取り上げ問題にしない方が無くなって行く様に思われます。私達の年代、昭和22年以降に生まれた者の中には、特に今回の問題に対しては、取り上げる者がいるから問題になる。又、過去にこの様な差別が有った事を知らない若者に知らなくてもいい事まで知らせてしまう様に思われます。忘れてはいけない過去であっても、こう言う問題を取り上げる事によっていつまでも問題は続くと想います。〔60歳代男性〕
○私達の世代(40歳代)の次の次の世代には同和問題などほとんどなくなっている様な気がする。それでいいと思う。自然になくなってくるだろう。子供も口にはしないし、私も子供には何も言わない。同和地区の友達も自然に付き合っているし、それを私自身も一度も否定した事はない。子供もどこまで同和地区の事を理解しているのかわからないし、全く知らないのかもしれない。無知なところに間違った偏見を持たすよりきちんと理解させていくのがいいか、無知なまま知らない方がどちらかというといいのではと思う。〔40歳代女性〕
○今の子供達に差別の意識は非常に少ないと感じる。大人や同和地区に住んでいる人々が、少し騒ぎ過ぎではと思うところが大いにある。歴史として認識する事は非常に重要だと思うが、逆に差別という意識、記憶に大きく影響を及ぼしていると思うことがある。〔30歳代男性〕

 ■優遇をなくせば、同和対策をなくせば差別はなくなる

 19ケースが該当するが、このうち過半数が40歳代以下であり、若い世代にこうした意識が抱かれていることをうかがわせる。

○ 同和地区ということで優遇処置することで差別していると同じである。〔70歳以上男性〕
○ 本当に差別をなくす気があるのならば、優遇措置はやめるべきです。〔60歳代男性〕
○ 国は差別を無くす為にも、支援に対する考え方を変えていただきたい。本当にこまっている方々への支援なら賛成ですが、支援を受ける人々のマナー、考え方、お金をばらまく国の体制が変わらない限り、差別はなくならないと思います。本当に困っている人々を見定める力を、仕組みを国は持っていただき、支援してもらってる人々にも秩序を持って行動していただきたいと強く思います。〔50歳代女性〕
○ いつまでも同和地区に対して優遇されていると同和問題は無くならないのでは。〔30歳代男性〕
○ 同和地区の給料格差は、ある世代を超えたら一定やめないと、いつまでたっても同和地区は変わらないと思う。〔20歳代女性〕
○ 同和地区だからといって、行政に優遇されるのはおかしい話だし、そもそも優遇する事自体が言い方を変えれば差別している事と同じだから。〔20歳代女性〕
○ 特別に扱うから、いつまでも問題があるのではないですか。〔年齢性別不明〕

■「同和」という言葉を使うこと、同和地区という固定観念が問題

 こうした内容を記したものが23ケース(先の「優遇をなくせば」と重なるものが4例)見られた。

○ 府民の納得の行く援助に修正して欲しい。長期間同和という観念を利用し、援助を続けるとゆがんだ人間観が成長し社会の反発を招く。〔70歳以上男性〕
○ 同和地区というこの言葉をやめてほしい。これこそ差別だと思う。〔60歳代女性〕
○ 同和問題と特別にしないで、すべての人間は同じ扱いをすれば良いと思う。住む場所も特別に作らないで、普通に生活をしていれば良いと思う。〔60歳代男性〕
○ 差別の事はあまりわかりませんが、同和地区をなくしていけばわからなくなるのではないですか。そこに住むからそういった目で見られていると思います。〔50歳代男性〕
○ 同和という言葉が差別だと思う。〔50歳代男性〕
○ 同和地区はどこが同和地区なのか区分けがある事が差別であり、同和地区は行政から優遇があるとか、えせ同和行為を無くさないと同和地区問題、人権問題は無くならない。悪い事をしていない人を同和地区だからと差別(区別)するのはおかしく、平等にならないといけない。〔50歳代男性〕
○ 同和問題に関しては、「同和」という言葉を国が残してる事が一番の問題だと思います。同和地域に住んでいる友人がいますが、確かに様々な悩みを抱えてるみたいですが、国からの支援じたい差別の様な感じがします。〔50歳代女性〕
○ 同和地区に固まって住むのではなく、バラバラに住み、同和地区人という固定観念を外し、辛かった時代を忘れろとは言いませんが、引きずらずに生活していってほしい。〔30歳代男性〕
○ 同和地区に関して(部落)同和という言葉を使っている事が差別だと思う。いくら支援しても何も助けにならない。…同和という言葉がなくなれば、いずれ差別もなくなると思います。意識する必要があるのは、国や府がいつまでもその言葉を使いながら無駄に支援のお金をバラまいている事。自立とは普通の地域と同じようにし接する事だと思います。〔20歳代男性〕

  次に、こうした意識傾向をもたらす背景について、情報経路と生活状況の二面を取り上げて検討していこう。

 

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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