人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 5.(1)様々な生活領域における人権に関わる状況に対する問題意識・感度との関係

更新日:2023年5月24日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
奈良教育大学名誉教授 中川喜代子

5.「差別や差別の解決に関する態度・意識スコア」別の分析結果

(1)様々な生活領域における人権に関わる状況に対する問題意識・感度との関係

 「差別や差別の解決に関する態度・意識スコア」別に、「ホテルや旅館がハンセン病回復者などの宿泊を断ること」をはじめ、「結婚する際に、興信所や探偵業者などを使って相手の身元調査を行うこと」等、問1の(1)から(12)にあげられた様々な生活領域における人権に関わる問題的状況に対してどのような感度を示すかについて、「問題あり」あるいは「どちらかといえば問題あり」と回答した者の割合を見ると、「(1)ホテルや旅館がハンセン病回復者などの宿泊を断ること」、「(2)結婚する際に、興信所や探偵業者などを使って相手の身元調査を行うこと」、「(3)外国人であることを理由に、マンションなど住宅の入居を拒否すること」、「(4)障がい者であることを理由に、マンションなど住宅の入居を拒否すること」、「(5)ニートやひきこもりの状態になるのは、本人の責任が大きいと考えること」、「(7)景気の悪化などを理由に、まず外国人労働者から解雇すること」については、「L」グループが3グループの中で一番低く、「M」グループが中間の値で、「H」グループでは「結婚する際の身元調査」と「ニートやひきこもりは本人の責任」を除いて、いずれも80%以上が「問題あり」と回答しており、「差別や差別の解決に関する態度・意識スコア」による差は明白である。
 しかし、「(6)犯罪被害者やその家族の氏名や住所を、本人の了解なしに報道すること」、「(8)地域住民が特別養護老人ホームや障がい者施設などの福祉施設の建設に反対すること」、「(9)野宿生活者(ホームレス)が生活している公園では、子どもを遊ばせないようにすること」、「(10)親の世話や介護は、女性の役割だと考えること」、「(11)保護者が子どものしつけのために、ときには体罰を加えることも必要だと考えること」、「(12)教師が子どもの指導のために、ときには体罰を加えることも必要だと考えること」の6項目については、「H」グループでは「問題あり」とする回答が多くなっているが、「L」、「M」グループの間にはあまり差は見られない。
 したがって、様々な生活領域における人権に関わる問題的状況に対する問題意識と「差別や差別の解決に関する態度・意識スコア」との関係については、例えば「体罰」や「親の介護」等、日常の生活領域によっては必ずしも相関関係があるとはいえない。【表26】

【表26 差別や差別の解決に関する態度・意識スコア別主要な個別の人権問題に関する基本的な意識の状況】

 

『問題あり』『どちらかといえば問題あり』

『問題なし』『どちらかといえば問題なし』

無回答・不明

(1)ホテルや旅館がハンセン病回復者などの宿泊を断ること

L

67.8

25.1

7.1

M

74.4

18.6

7.1

H

82.4

11.7

5.9

総数

74.8

18.5

6.8

(2)結婚する際に、興信所や探偵業者などを使って相手の身元調査を行うこと

L

46.4

47.3

6.3

M

55.3

37.4

7.3

H

67.8

26.8

5.4

総数

56.3

37.2

6.5

(3)外国人であることを理由に、マンションなど住宅の入居を拒否すること

L

61.5

31.0

7.5

M

72.0

20.9

7.1

H

83.7

10.5

5.9

総数

72.3

20.8

6.9

(4)障がい者であることを理由に、マンションなど住宅の入居を拒否すること

L

72.4

20.5

7.1

M

82.1

11.1

6.8

H

88.7

5.9

5.4

総数

81.3

12.2

6.5

(5)ニートやひきこもりの状態になるのは、本人の責任が大きいと考えること

L

50.6

41.0

8.4

M

57.2

34.4

8.5

H

66.1

28.5

5.4

総数

57.8

34.6

7.6

(6)犯罪被害者やその家族の氏名や住所を、本人の了解なしに報道すること

L

84.1

9.2

6.7

M

86.4

7.3

6.4

H

91.2

3.3

5.4

総数

87.0

6.8

6.2

(7)景気の悪化などを理由に、まず外国人労働者から解雇すること

L

59.8

32.2

7.9

M

68.9

24.5

6.6

H

80.8

13.4

5.9

総数

69.7

23.6

6.8

(8)地域住民が特別養護老人ホームや障がい者施設などの福祉施設の建設に反対すること

L

77.4

14.6

7.9

M

77.6

15.8

6.6

H

89.5

5.0

5.4

総数

80.7

12.6

6.6

(9)野宿生活者(ホームレス)が生活している公園では、子どもを遊ばせないようにすること

L

34.7

57.7

7.5

M

38.4

54.6

7.1

H

51.9

42.7

5.4

総数

41.0

52.3

6.8

(10)親の世話や介護は、女性の役割だと考えること

L

82.0

10.9

7.1

M

87.1

6.4

6.6

H

92.5

2.1

5.4

総数

87.2

6.4

6.4

(11)保護者が子どものしつけのために、ときには体罰を加えることも必要だと考えること

L

33.9

59.4

6.7

M

33.6

60.5

5.9

H

49.4

45.2

5.4

総数

37.9

56.1

6.0

(12)教師が子どもの指導のために、ときには体罰を加えることも必要だと考えること

L

33.1

59.4

7.5

M

35.3

58.8

5.9

H

43.1

51.5

5.4

総数

36.8

57.0

6.2

 

前へ 次へ》 目次へ

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

ここまで本文です。


ホーム > 様々な人権問題に関する施策 > 人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 5.(1)様々な生活領域における人権に関わる状況に対する問題意識・感度との関係