人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 8.(2)「同和地区出身者かどうか」が気になる人の人権意識

更新日:2023年5月24日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子

8.結婚における問題意識と人権意識<視点6>

(2)「同和地区出身者かどうか」が気になる人の人権意識

 結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向は、同和問題の理解の仕方と関連しているものと推測されます。
 そこで、結婚差別の解決に向けた将来展望と結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向との関連をみました。 

表8-2-1 「同和地区の人たちに対する結婚差別は近い将来なくすことができると思うか」×結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる(自分自身の場合)

 

 

問3i(14) 同和地区出身者かどうか

 

 

あてはまる

あてはまらない

合計

問16-1 近い将来なくすことができると思うか

なくなっている

4

26

30

 

13.3%

86.7%

100.0%

完全になくせる

2

22

24

 

8.3%

91.7%

100.0%

かなりなくすことができる

51

158

209

 

24.4%

75.6%

100.0%

わからない

31

181

212

 

14.6%

85.4%

100.0%

なくすのは難しい

74

121

195

 

37.9%

62.1%

100.0%

合計

162

508

670

 

 

24.2%

75.8%

100.0%

χ2=35.946 df=4 p=.000***

 表8-2-1から、「近い将来、同和地区の人々に対する結婚差別をなくすのは難しい」と考えている人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にあることがわかります。ただ、「かなりなくすことができる」と考えている人においても「同和地区出身者かどうか」が気になる人が少なくないのも実態です。

【知見】
○近い将来、同和地区の人々に対する結婚差別をなくすのは難しいと考えている人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にある。

 また、同和地区に対してマイナス・イメージを持っている人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にあるのではないかと考えられます。 

表8-2-2 「同和地区の人はこわい」「同和対策は不公平だ」というような話を聞いたときどう感じたか×結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる(自分自身の場合)

  問3i(14) 同和地区出身者かどうか
  

あてはまる

あてはまらない

合計

問18-2 その話を聞いたときにどう感じたかそのとおりと思った

45

69

114

39.5%

60.5%

100.0%

そういう見方もあるの

82

180

262

かと思った

31.3%

68.7%

100.0%

とくに何も思わなかった

8

31

39

20.5%

79.5%

100.0%

反発・疑問を感じた

9

49

58

15.5%

84.5%

100.0%

聞いたことはない

22

190

212

10.4%

89.6%

100.0%

合計

 

166

519

685

24.2%

75.8%

100.0%

χ2=46.404 df=4 p=.000***

 表8-2-2は、差別の社会化の受止め方と結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向との関連をみたものです。差別の社会化を経験して、「賛同」あるいは「容認」した人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にあることがわかります。 

【知見】
○差別の社会化を経験して、「賛同」あるいは「容認」した人ほど、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向にある。

 さらに、同和地区やその住民との関わりがある人は、ない人よりも結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向が低いのではないかと考えられます。
 そこで、問19で挙げる7項目と結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる、という項目との関連をみました。有意差がみられたクロス集計結果のみ掲載します。 

表8-2-3 「同和地区の人との関わりはまったくない」かどうか×結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる(自分自身の場合) 

 

問3i(14) 同和地区出身者かどうか

あてはまる

あてはまらない

合計

問19(7) 同和地区の人との関わりはまったくない

あてはまらない

72

253

325

22.2%

77.8%

100.0%

あてはまる

98

246

344

28.5%

71.5%

100.0%

合計

 

170

499

669

25.4%

74.6%

100.0%

χ2=3.538 df=1 p=.036*

 

  「同和地区の人との関わりはまったくない」以外の6つの関わり方では、「同和地区出身者かどうか」が気になる、という項目との間に有意差はみられませんでした。しかし、表8-2-3から、関わりはまったくない人のほうが、何らかの関わりのある人よりも、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向が高いことがわかります。 

【知見】
○「同和地区の人との関わりはまったくない」人のほうが、何らかの関わりのある人よりも、結婚相手を考える際に「同和地区出身者かどうか」が気になる傾向が高い。 

 同和地区やその住民と関わることが結婚差別意識を軽減する上で効果のあることが示唆されます。


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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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