人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子
同様に、同和問題解決のために効果的と思われる施策、取組みについても、支持者の多寡による判断ではなく、人権意識の高い人がどのように評価しているかを今後の取組みの一つの判断基準として検討することが有効かもしれません。
そこで、問20についても「人権意識度」との関連をみてみます。
表6-3 同和問題の解決策と「人権意識度」
同和問題を解決する施策について | 効果 | 平均値 | 度数 | 標準偏差 | 有意差 |
問20(1)差別を法律で禁止する | 非常に効果的 | 4.6 | 71 | 0.6 | *** |
やや効果的 | 4.6 | 127 | 0.5 | ||
わからない | 4.4 | 103 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.4 | 150 | 0.6 | ||
効果的ではない | 4.2 | 125 | 0.6 | ||
問20(2)戸籍制度を大幅に見直す・廃止する | 非常に効果的 | 4.5 | 79 | 0.6 | *** |
やや効果的 | 4.5 | 136 | 0.5 | ||
わからない | 4.5 | 172 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.3 | 112 | 0.5 | ||
効果的ではない | 4.1 | 72 | 0.7 | ||
問20(3)同和地区住民の自立を支援する取組みを一般の | 非常に効果的 | 4.5 | 49 | 0.7 | *** |
対策ですすめる | やや効果的 | 4.5 | 179 | 0.5 | |
わからない | 4.4 | 180 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.3 | 103 | 0.6 | ||
効果的ではない | 4.1 | 53 | 0.7 | ||
問20(4)学校教育・社会教育を通じて、差別意識をなくし、 | 非常に効果的 | 4.6 | 130 | 0.6 | *** |
広く人権を大切にする教育・啓発活動を積極的に行う | やや効果的 | 4.5 | 251 | 0.6 | |
わからない | 4.3 | 77 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.2 | 72 | 0.5 | ||
効果的ではない | 4.0 | 44 | 0.6 | ||
問20(5)同和問題に悩んでいる人たちが、差別の現実や | 非常に効果的 | 4.7 | 60 | 0.6 | *** |
不当性をもっと強く社会に訴える | やや効果的 | 4.5 | 192 | 0.6 | |
わからない | 4.4 | 122 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.3 | 128 | 0.5 | ||
効果的ではない | 4.1 | 70 | 0.6 | ||
問20(6)行政だけでなく、民間の人権団体も課題解決に | 非常に効果的 | 4.7 | 74 | 0.6 | *** |
取り組む | やや効果的 | 4.5 | 242 | 0.6 | |
わからない | 4.3 | 122 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.3 | 88 | 0.5 | ||
効果的ではない | 4.0 | 47 | 0.7 | ||
問20(7)同和地区と周辺地域の人々が交流を深め、 | 非常に効果的 | 4.6 | 124 | 0.6 | *** |
協働して「まちづくり」を進める | やや効果的 | 4.4 | 231 | 0.6 | |
わからない | 4.4 | 114 | 0.5 | ||
あまり効果的ではない | 4.3 | 69 | 0.5 | ||
効果的ではない | 3.9 | 34 | 0.6 | ||
問20(8)同和問題や差別があることを口に出さないで、 | 非常に効果的 | 4.3 | 85 | 0.6 | *** |
そっとしておけばよい(自然に差別はなくなる) | やや効果的 | 4.3 | 135 | 0.5 | |
わからない | 4.3 | 126 | 0.6 | ||
あまり効果的ではない | 4.4 | 95 | 0.5 | ||
効果的ではない | 4.6 | 136 | 0.6 | ||
問20(9)同和地区の人々がかたまって住まないで、 | 非常に効果的 | 4.4 | 113 | 0.6 | − |
分散して住むようにする | やや効果的 | 4.4 | 194 | 0.5 | |
わからない | 4.4 | 163 | 0.6 | ||
あまり効果的ではない | 4.5 | 64 | 0.6 | ||
効果的ではない | 4.4 | 40 | 0.9 |
以下の項目は、人権意識の高い人ほど効果的と評価している施策や取組みです。
・差別を法律で禁止する
・戸籍制度を大幅に見直す・廃止する
・同和地区住民の自立を支援する取組みを一般の対策ですすめる
・学校教育・社会教育を通じて、差別意識をなくし、広く人権を大切にする教育・啓発活動を積極的に行う
・同和問題に悩んでいる人たちが、差別の現実や不当性をもっと強く社会に訴える
・行政だけでなく、民間の人権団体も課題解決に取り組む
・同和地区と周辺地域の人々が交流を深め、協働して「まちづくり」を進める
他方、「同和問題や差別があることを口に出さないで、そっとしておけばよい(自然に差別はなくなる)」は、人権意識の低い人ほど効果的と評価している対応です。
なお、「同和地区の人々がかたまって住まないで、分散して住むようにする」については、「人権意識度」との関連はみられませんでした。
このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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