人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 大阪人権意識 4.同和地区に対する差別意識の形成要因<視点2> (4)自己評価と人権意識、差別意識との関連

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子

4.同和地区に対する差別意識の形成要因<視点2>

(4)自己評価と人権意識、差別意識との関連

 今度は、視点を変えて、回答者の自己評価と人権意識、差別意識との関連をみてみます。
 問9の8項目について因子分析を行った結果が、表4-4-1です。2因子を抽出することができました。
 第1因子は、「自分は、困難なことでも、何とかやり遂げることができると思う*」、「自分は、人とうまくやっていける人間だと思う*」、「自分には、ほかの人にないよい点があると思う*」、「自分は、何をやってもだめな人間だと思うことがある」、「自分は、まわりの人から期待されていないと思うことがある」が高い「因子負荷量」を示すことから、「自己肯定感」因子と名付けることにします。
 第2因子は、「現在、自分の生活は充実している*」、「最近、自分の生活は生きづらくなってきたと思う」「自分の人生は、どんなに努力しても、うまくいくとは限らないと思う」が高い「因子負荷量」を示すことから、「自己充実感」因子と名付けることにします。
 自己肯定感、自己充実感の尺度を作成するに当たって「一次元性」をみると、「クロンバックの信頼性係数」はそれぞれ0.716、0.655であり、十分に大きな値ではないが尺度を作成する上で問題ないと判断できます。
 第1因子に強く反応する5項目について、自己肯定感が強い選択肢ほど高い得点を与え、平均値を「自己肯定感度」とします。同様に、第2因子に強く反応する3項目の得点の平均値を「自己充実感度」とします。
 「自己肯定感度」平均値3.67、標準偏差0.823、「自己充実感度」平均値3.34、標準偏差1.10です。

表4-4-1 自己評価の因子分析

自己評価

第1因子

第2因子

問9(7)自分は、困難なことでも、何とかやり遂げることができると思う*

0.627

0.161

問9(5)自分は、人とうまくやっていける人間だと思う*

0.580

0.164

問9(3)自分には、ほかの人にないよい点があると思う*

0.541

0.071

問9(4)自分は、何をやってもだめな人間だと思うことがある

0.511

0.375

問9(6)自分は、まわりの人から期待されていないと思うことがある

0.450

0.325

問9(2)最近、自分の生活は生きづらくなってきたと思う

0.043

0.810

問9(1)現在、自分の生活は充実している*

0.236

0.577

問9(8)自分の人生は、どんなに努力しても、うまくいくとは限らないと思う

0.285

0.424

寄与率

20.3

18.4

累積寄与率

20.3

38.7

クロンバックの信頼性係数α

0.716

0.655

因子解釈

自己肯定感

自己充実感

因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法
*のついている項目は、「あてはまる」5,「ややあてはまる」4,「あまりあてはまらない」2,
 「あてはまらない」1,「わからない」3に変更している。

 また、問10は、社会に対する被受容感を問う設問です。こちらについても、因子分析により各項目の有効性を検討した上で、被受容感の尺度を作成しようと思います。因子分析の結果は、表4-4-2のとおりです。「クロンバックの信頼性係数」は0.800と大きく、尺度を作成することに問題なく、「被受容感」因子と解釈します。 

表4-4-2 被受容感に関する項目の因子分析

被受容項目

第1因子

問10(5)自分には信頼できる人がいる*

0.814

問10(3)人間関係のトラブルが生じたら、相談できる人がいる*

0.792

問10(1)自分には、どんな時でも自分を受け入れ、認めてくれる人がいる*

0.722

問10(2)信頼できる少数の友だちとは深くつきあうほうだ*

0.548

問10(4)家の中にも、職場や学校にもどこにも自分の居場所がないような気がする

0.461

寄与率

46.5

クロンバックの信頼性係数α

0.800

因子解釈

被受容感

因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法
*のついている項目は、「あてはまる」5,「ややあてはまる」4,
「あまりあてはまらない」2,「あてはまらない」1,「わからない」3に変更している。

 

〈自己肯定感尺度〉 自分自身を肯定的に評価する度合い
「あてはまる」1点、「ややあてはまる」2点、「あまりあてはまらない」4点、「あてはまらない」5点、「わからない」3点の5件法。点数の高いほど自己評価が高い。(*は、点数を逆にする)
・自分は、困難なことでも、何とかやり遂げることができると思う*
・自分は、人とうまくやっていける人間だと思う*
・自分には、ほかの人にないよい点があると思う*
・自分は、なにをやってもだめな人間だと思う
・自分は、まわりの人から期待されていないと思うことがある

〈自己充実感尺度〉 自分の生活内容を肯定的に評価する度合い
「あてはまる」1点、「ややあてはまる」2点、「あまりあてはまらない」4点、「あてはまらない」5点、「わからない」3点の5件法。点数の高いほど自己評価が高い。(*は、点数を逆にする)
・現在、自分の生活は充実している*
・最近、自分の生活は生きづらくなってきたと思う
・自分の人生は、どんなに努力しても、うまくいくとは限らないと思う

〈被受容感尺度〉 自分が社会から受け入れられていると評価する度合い
「あてはまる」1点、「ややあてはまる」2点、「あまりあてはまらない」4点、「あてはまらない」5点、「わからない」3点の5件法。点数の高いほど被受容感が高い。(*は、点数を逆にする)
・自分には、どんな時でも自分を受け入れ、認めてくれる人がいる*
・信頼できる少数の友だちとは深くつきあうほうだ*
・人間関係のトラブルが生じたら、相談できる人がいる*
・家の中にも、職場や学校にもどこにも自分の居場所がないような気がする
・自分には信頼できる人がいる*

 それでは、自己評価や被受容感の高さと人権意識、差別意識との間に関連がみられるでしょうか。
 表4-4-3によりますと、「自己肯定感」と「被受容感」は、いずれの人権意識とも関連がみられません。「自己充実感」と「排除問題意識」および「反忌避意識」とは逆相関の関連がみられることが顕著な傾向といえます。すなわち、「自己充実感」が高いほど「排除問題意識」、「反忌避意識」は低い傾向にあるということです。

表4-4-3 自己肯定感、自己充実感、被受容感と人権意識、差別意識との相関

  

自己肯定

自己充実

被受容

排除問題

体罰問題

人権推進

結婚排除

反忌避

意識

意識

支持意識

否定意識

意識

自己肯定Pearson の相関係数10.414 0.452 -0.023 -0.051 0.021 -0.008 -0.066
有意確率 (両側) 0.000 0.000 0.521 0.163 0.572 0.834 0.075
 N816806747752753754752734
自己充実Pearson の相関係数0.414 10.356 -0.078 0.023 0.071 -0.032 -0.074
有意確率 (両側)0.000  0.000 0.032 0.527 0.051 0.374 0.045
 N806816749754754755753733
被受容感Pearson の相関係数0.452 0.356 1-0.001 0.016 -0.032 -0.011 -0.035
 有意確率 (両側)0.000 0.000  0.986 0.673 0.379 0.765 0.335
 N747749808736739739739743
**.相関係数は1%水準で有意(両側)です。
 

【知見】
○「自己充実感」の高い人ほど「排除問題意識」、「反忌避意識」が低い傾向にある。

 今回の分析では、「自己肯定感」や「被受容感」が高いことが、必ずしも人権意識の高さと関連するという傾向がみられませんでした。
 問28(現在の暮らし向き)との関連についてもみておきます。 

表4-4-4 暮らし向きと人権意識

現在の暮らし

 

排除問題

体罰問題

人権推進支

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

反集団優遇

人権交流

向き

意識

意識

持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

イメージ

イメージ

問28(1)良い平均値3.1 2.4 3.8 2.9 3.3 12.3 2.8 2.5 3.1
 度数7981777778787466 69
 標準偏差0.7 0.9 0.9 1.1 1.0 1.6 1.1 0.9 0.8
問28(2)やや良い平均値3.1 2.3 3.8 2.8 3.4 12.3 2.7 2.4 3.1
 度数114114109109109111104109 109
 標準偏差0.6 0.9 0.8 0.9 0.8 1.7 1.0 0.7 0.7
問28(3)ふつう平均値3.1 2.4 3.9 2.9 3.5 12.4 3.0 2.5 3.0
 度数418427419421421424413387 390
 標準偏差0.6 0.9 0.8 1.0 0.8 1.7 1.1 0.8 0.7
問28(4)やや悪い平均値3.0 2.3 3.8 2.6 3.3 12.3 3.0 2.3 3.0
 度数127128122122122119120116 117
 標準偏差0.7 0.9 0.8 1.0 0.9 1.6 1.1 0.8 0.8
問28(5)悪い平均値2.9 2.2 3.8 2.9 3.3 12.2 3.1 2.2 3.0
 度数6971656466626956 57
 標準偏差0.8 1.0 0.9 1.0 1.0 1.7 1.1 1.1 1.0
 有意差

*

*

 表4-4-4から、現在の暮らし向きが良いほど「反忌避意識」が低く、「反集団優遇イメージ」は高いことがわかります。逆に言えば、暮らし向きが良くない人ほど、差別されている当事者を避けない傾向は高いものの、「反集団優遇イメージ」は低く、言い換えれば、ねたみ意識が強い傾向にあるということです。ただ、その他の人権意識との関連はあるとはいえません。

【知見】
○現在の暮らし向きが良いほど「反忌避意識」が低い。
○現在の暮らし向きが良くないほど「反集団優遇イメージ」が低い傾向にある。



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府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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