人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 大阪人権意識 4.同和地区に対する差別意識の形成要因<視点2> (1)同和地区に対するイメージ

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子

4.同和地区に対する差別意識の形成要因<視点2>

 ここからは、同和地区やその住民に対する差別意識の形成に影響した要因について検討します。
 有効回答者903人のうち、問11(同和問題を知ったきっかけ)で「同和問題については知らない」と回答した29人(3.2%)を除く874人について、以下の分析を行います。

(1)同和地区に対するイメージ

 問14では、同和地区に対するイメージについて、プラス・マイナス取り混ぜ11項目が用意されています。このままでは集計分析が非常に煩雑になることから、ここでも因子分析の手法を用いて、同和地区に対する主要なイメージを探ることにします。
 「主因子法」で「バリマックス回転」を行い、「因子負荷量」がおおよそ0.4未満しか示さない項目や一義性に欠ける項目を削除し、最終的に表4-1-1のような結果を得ることができました。
 第1因子は、「何か問題が起こると、集団で行動することが多い」、「いまでも行政から特別な扱いを受け、優遇されている」、「同和問題に名を借りた、いわゆる『えせ同和行為』で不当な利益を得ている人がいる」、「地区外の人に対して、閉鎖的な意識を持った人が多い」が高い「因子負荷量」を示すことから、「集団優遇イメージ」因子と名付けることにします。
 第2因子は、「地域の学校において、広く人権問題に関する教育に取り組んでいる」、「同和地区の人々が地域外の人々との交流に力を入れている」、「同和地区では、高齢者や障がい者への生活支援など、同和問題以外の人権問題にも積極的な取組みが進められている」が高い因子負荷量を 示すことから、「人権交流イメージ」因子と名付けることにします。
 尺度化をするに当たり、「クロンバックの信頼性係数」を求めたところ、第1因子は0.738、第2因子は0.621となりました。十分に高い数値とはいえませんが、これらの項目を用いて尺度を作成することにします。その際、点数が高いほど人権意識が高くなるように、「反集団優遇イメージ」尺度、「人権交流イメージ」尺度と名付けることにします。

表4-1-1 同和地区に対するイメージ 因子分析結果

同和地区に対するイメージ

第1因子

第2因子

問14(6)なにか問題が起こると、集団で行動することが多い

0.714

0.086

問14(10)いまでも行政から特別な扱いを受け、優遇されている

0.708

0.075

問14(8)同和問題に名を借りた、いわゆる「えせ同和行為」で不当な利益を得ている人がいる

0.666

0.188

問14(3)地区外の人に対して、閉鎖的な意識を持った人が多い

0.492

-0.095

問14(11)地域の学校において、広く人権問題に関する教育に取り組んでいる

0.060

0.634

問14(9)同和地区の人々が地域外の人々との交流に力を入れている

-0.110

0.622

問14(7)同和地区では、同和問題以外の人権問題にも積極的な取組みが進められている

0.227

0.563

寄与率

25.188

16.634

累積寄与率

25.188

41.822

クロンバックの信頼性係数α

0.738

0.621

因子解釈

集団優遇
イメージ

人権交流
イメージ

因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法

  

 第1因子、第2因子それぞれに高い「因子負荷量」を示す項目の選択肢について、第1因子については「そう思う」1点、「どちらかといえばそう思う」2点、「どちらともいえない」3点、「どちらかといえばそう思わない」4点、「そう思わない」5点として単純加算し、平均値を「反集団優遇イメージ度」とします。第2因子については、得点を逆にして単純加算し、平均値を「人権交流イメージ度」とします。
 点数が高いほど人権意識が高いことを示すといえます。「反集団優遇イメージ」は平均値2.4、標準偏差0.85、「人権交流イメージ」は平均値3.0、標準偏差0.77です。

〈反集団優遇イメージ尺度〉 同和地区は集団でまとまって、今でも行政から優遇されているというイメージを否定する度合い
「そう思う」1点、「どちらかといえばそう思う」2点、「どちらともいえない」3点、「どちらかといえばそう思わない」4点、「そう思わない」5点の5件法。点数が高いほど人権意識が高い。
・何か問題が起こると、集団で行動することが多い
・いまでも行政から特別な扱いを受け、優遇されている
・同和問題に名を借りた、いわゆる『えせ同和行為』で不当な利益を得ている人がいる
・地区外の人に対して、閉鎖的な意識を持った人が多い

〈人権交流イメージ尺度〉 同和地区では人々の人権意識を高めるような交流が行われているというイメージの度合い
「そう思う」5点、「どちらかといえばそう思う」4点、「どちらともいえない」3点、「どちらかといえばそう思わない」2点、「そう思わない」1点の5件法。点数が高いほど人権意識が高い。
・地域の学校において、広く人権問題に関する教育に取り組んでいる
・同和地区の人々が地域外の人々との交流に力を入れている
・同和地区では、高齢者や障がい者への生活支援など、同和問題以外の人権問題にも積極的な取組みが進められている 

a同和問題を知ったきっかけとの関連

 問11では、同和問題や部落問題などと呼ばれている差別の問題があることを初めて知ったきっかけを問うています。そこで、きっかけの違いによって同和地区に対するイメージに影響があるかどうか検討します。
 表4-1-2は、きっかけの違いによる「反集団優遇イメージ」と「人権交流イメージ」の違いをみています。「父母や家族から聞いた」人は、そうでない人よりも「反集団優遇イメージ」が有意に低いことがわかります。「近所の人から聞いた」人では、「人権交流イメージ」がそうでない人より低い傾向がみられます。
 「講演会、研修会などで聞いた」、「府県や市町村の広報誌などで読んだ」人では、「人権交流イメージ」が有意に高くなっていることがわかりますが、「反集団優遇イメージ」については、有意差はみられません。

表4-1-2 同和問題を知ったきっかけと同和地区に対するイメージ

表4-1-2

【知見】
○身近な人々からの情報は「反集団優遇イメージ」を低め、公的な啓発は「人権交流イメージ」を高める上での影響がみられる。

b同和地区に対するイメージを持った理由との関連

 今度は、同和地区に対するイメージを持った理由と「反集団優遇イメージ」、「人権交流イメージ」との関連をみることにします。
 表4-1-3から、「自分の身近にいる人が話している内容などから」、「インターネット上の情報やメディアによる報道、書籍などからの情報で」という場合、「反集団優遇イメージ」を低くする働きをしていることがわかります。また、「以前、同和地区あるいはその近くに住んでいて、その時の印象から」、「同和地区に友人(知人)が住んでいて、その人からの話で」、「自分の体験に基づいて」といった、直接に身近で経験した事から「反集団優遇イメージ」を低くした人も少なくないことがわかります。
 他方、「学校時代の学習経験や地域・職場での研修などから」、「地方公共団体や民間啓発団体などの啓発資料から」という場合、「人権交流イメージ」が高くなっていることがわかります。また、「同和地区に友人(知人)が住んでいて、その人からの話で」という場合も「人権交流イメージ」にプラスに働いていることがわかります。

表4-1-3 同和地区に対するイメージを持った理由と同和地区に対するイメージ

 表4-1-3

【知見】
○「自分の身近にいる人が話している内容などから」、「インターネット上の情報やメディアによる報道、書籍などからの情報で」という場合、「反集団優遇イメージ」を低くする働きをしている。
○「以前、同和地区あるいはその近くに住んでいて、その時の印象から」、「同和地区に友人(知人)が住んでいて、その人からの話で」、「自分の体験に基づいて」といった直接な身近な経験が「反集団優遇イメージ」を低くする傾向がみられる。
○「学校時代の学習経験や地域・職場での研修などから」、「地方公共団体や民間啓発団体などの啓発資料から」という場合、「人権交流イメージ」が高くなる傾向がみられる。
○「同和地区に友人(知人)が住んでいて、その人からの話で」という場合に「人権交流イメージ」が高い傾向がみられる。

c就職差別、結婚差別の現状認識、その解決に向けた将来展望との関連

 同和地区の人たちは就職するときに不利になったり、結婚する際に反対されることがあるかどうか、そして、不利になったり反対されることを近い将来なくすことができるかどうかという将来展望と同和地区に対するイメージとの関連をみてみます。表4-1-4です。
 「就職するときに不利になることがある」あるいは「結婚する際に反対されることがある」と認識しており、なおかつ、「近い将来なくすのは難しい」と考えている人ほど、「不利になることはない(反対されることはない)」あるいは「近い将来なくせる」と考えている人よりも「反集団優遇イメージ」が低い傾向 にあることがわかります。
 「就職するときに不利になることがある」という認識については、「近い将来なくせる」と認識しているかどうかによって「人権交流イメージ」に有意差はみられません。しかし、「結婚する際に反対されることはない」と考えている人、あるいは「結婚する際に反対されることがある」と認識していても「近い将来なくせる」と考えている人は、「近い将来なくすのは難しい」と考えている人よりも「人権交流イメージ」が高い傾向にあることがわかります。

表4-1-4 就職や結婚差別の将来についての展望と同和地区に対するイメージ

表4-1-4

【知見】
○同和地区の人たちは「就職するときに不利になることがある」あるいは「結婚する際に反対されることがある」と認識しており、なおかつ、「近い将来なくすのは難しい」と認識している人ほど「反集団優遇イメージ」は低い傾向にある。
○同和地区の人たちは「結婚する際に反対されることはない」と考えている人、あるいは「結婚する際に反対されることがある」と認識していても、「近い将来完全になくせる」と考えている人は、「近い将来なくすのは難しい」と考えている人よりも「人権交流イメージ」が高い傾向にある。

 また、就職差別や結婚差別についての現状認識や将来展望と、結婚を考える際に「同和地区・国籍」を気にするかどうかという「同和地区・国籍排除否定意識」との関連、および「反忌避意識」との関連を検討します。

表4-1-5 就職や結婚差別の将来についての展望と「同和地区・国籍排除否定意識」および「反忌避意識」との関連

表4-1-5

 表4-1-5によると、就職差別や結婚差別についての将来展望は、「同和地区・国籍排除否定意識」とは関連がみられないものの、「反忌避意識」との関連は強いことがわかります。すなわち、就職差別や結婚差別の将来展望として、「なくすのは難しい」と捉えている人の「反忌避意識」が有意に低いのです。

【知見】
○同和地区の人たちは「就職するときに不利になることがある」あるいは「結婚する際に反対されることがある」と認識しており、なおかつ、「近い将来なくすのは難しい」と認識している人ほど「反忌避意識」は低い傾向にある。

 ここで、同和地区の人たちに対する就職差別、結婚差別の解決に向けた将来展望と同和問題を知ったきっかけとの間の関連を検討しておきます。
 問11と問15、16(同和地区の人たちに対する就職差別、結婚差別の現状認識)および問11と問15-1、16-1(就職差別、結婚差別の解決に向けた将来展望)とのクロス集計を行いました。有意差がみられた結果のみ掲載します。

表4-1-6 「学校の授業で教わった」×「就職する際に不利になることがあると思うか」

 

 

問15 同和地区の人たちは、就職するときに不利になると思うか

 

 

 

しばしば不利になることがある

たまに不利になることがある

不利になることはない

わからない

しばしばまたはたまにある

合計

 

 

問11(4) 学校の授業で教わった

 あてはまらない

56

105

56

195

46

458

12.2%

22.9%

12.2%

42.6%

10.0%

100.0%

 あてはまる

32

70

30

85

10

227

 

14.1%

30.8%

13.2%

37.4%

4.4%

100.0%

合計

 

88

175

86

280

56

685

 

 

12.8%

25.5%

12.6%

40.9%

8.2%

100.0%

χ2=11.129 df=4 p=0.25*

 

 

 

 

 

表4-1-7 「近所の人から聞いた」×「結婚する際に反対されることがあると思うか」

 

 

問16 同和地区の人たちは、結婚する際に反対されることがあると思うか

 

しばしば反対されることがある

たまに反対されることがある

反対されることはない

わからない

しばしばまたはたまにある

合計

 

 

問11(2) 近所の人から聞いた

あてはまらない

153

207

29

206

40

635

 

24.1%

32.6%

4.6%

32.4%

6.3%

100.0%

 あてはまる

7

12

3

9

7

38

 

18.4%

31.6%

7.9%

23.7%

18.4%

100.0%

合計

 

160

219

32

215

47

673

 

 

23.8%

32.5%

4.8%

31.9%

7.0%

100.0%

χ2=9.736 df=4 p=0.45*

表4-1-8 「近くに同和地区があった」×「就職が不利になるということを近い将来、なくすことができると思うか」

  

問15-1 近い将来なくすことができると思うか

不利になることはない

完全になくせる

かなりなくすことができる

わからない

なくすのは難しい

合計

問11(10) 近くに同和地区があった

 あてはまらない

72

21

143

259

109

604

11.9%

3.5%

23.7%

42.9%

18.0%

100.0%

 あてはまる

14

6

25

21

13

79

17.7%

7.6%

31.6%

26.6%

16.5%

100.0%

合計

86

27

168

280

122

683

12.6%

4.0%

24.6%

41.0%

17.9%

100.0%

χ2=11.294 df=4 p=0.23*

表4-1-9 「職場の人から聞いた」×「結婚に反対されるということを近い将来、なくすことができると思うか」

 

 

問16-1 近い将来なくすことができると思うか

 

反対されることはない

完全になくせる

かなりなくすことができる

わからない

なくすのは難しい

合計

 

 

問11(5) 職場の人から聞いた

 あてはまらない

27

21

189

198

195

630

4.3%

3.3%

30.0%

31.4%

31.0%

100.0%

 あてはまる

5

1

13

17

5

41

 

12.2%

2.4%

31.7%

41.5%

12.2%

100.0%

合計

 

32

22

202

215

200

671

 

 

4.8%

3.3%

30.1%

32.0%

29.8%

100.0%

χ2=10.935 df=4 p=0.27*

表4-1-10 「府県や市町村などの広報誌などで読んだ」×「結婚に反対されるということを近い将来、なくすことができると思うか」

  

問16-1 近い将来なくすことができると思うか

反対されることはない

完全になくせる

かなりなくすことができる

わからない

なくすのは難しい

合計

問11(7) 府県や市町村の広報誌などで読んだ

 あてはまらない

28

22

190

208

195

643

4.4%

3.4%

29.5%

32.3%

30.3%

100.0%

 あてはまる

4

0

12

7

5

28

14.3%

0.0%

42.9%

25.0%

17.9%

100.0%

合計

32

22

202

215

200

671

4.8%

3.3%

30.1%

32.0%

29.8%

100.0%

χ2=9.937 df=4 p=0.41*

 表4-1-6のとおり、同和問題をはじめて知ったきっかけが「学校の授業で教わった」という場合だけ、そうでない場合よりも「同和地区の人たちは就職するときに不利になることがある」と認識している傾向が高いという結果になっています。
 一方、表4-1-7のとおり、「近所の人から聞いた」という場合だけ、そうでない場合よりも「同和地区の人たちは結婚する際に反対されることがある」と認識している傾向が高いという結果になっています。
また、表4-1-8から4-1-10のように、「近くに同和地区があった」、「職場の人から聞いた」、「府県や市町村の広報誌などで読んだ」という場合は、そうで ない場合よりも、同和地区の人たちは「就職するときに不利になる」あるいは「結婚する際に反対されることがある」ということについて、「不利になる(反対される)ことはない」あるいは「近い将来なくせる」という認識が有意に高いことがわかります。

【知見】
○同和問題を知ったきっかけが「学校の授業で教わった」という場合は、そうでない場合よりも「同和地区の人たちは就職するときに不利になることがある」と認識している傾向が高い。
○同和問題を知ったきっかけが「近所の人から聞いた」という場合は、そうでない場合よりも「同和地区の人たちは結婚する際に反対されることがある」と認識している傾向が高い。
○同和問題を知ったきっかけが「近くに同和地区があった」、「職場の人から聞いた」、「府県や市町村の広報などで読んだ」という場合は、そうでない場合よりも、同和地区の人たちは、「就職するとき(結婚する際)に不利になる(反対される)ことはない」と考えていたり、「就職するときに不利になることがある」あるいは「結婚する際に反対されることがある」としても「近い将来なくせる」と認識していたりする傾向が有意に高い。

d同和問題についての学習との関連

 人権問題についての学習の中で同和問題についての学習が特に役に立った(一番印象に残っている)と回答した人とそうでない人について、同和地区に対するイメージに差異があるかどうか、検討します。
 表4-1-11からは、「反集団優遇イメージ」についても「人権交流イメージ」についても有意差はみられません。

表4-1-11 同和問題についての学習が特に役に立った(一番印象に残っている)と同和地区に対するイメージ

 

 

反集団優遇イメージ度

人権交流イメージ度

問8-2(5) 同和問題

あてはまらない

平均値

2.5

3.0

度数

116

118

標準偏差

0.9

0.8

あてはまる

平均値

2.4

3.1

度数

276

278

標準偏差

0.8

0.7

有意差

  【知見】
○同和問題についての学習が特に役に立った(一番印象に残っている)と回答した人とそうでない人との間で、「反集団優遇イメージ」についても「人権交流イメージ」についても有意差はみられない。



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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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