第29回 審議会

更新日:2023年3月8日

第29回大阪府人権施策推進審議会

〔日時〕平成27年9月18日(金曜日)10時から12時
〔場所〕プリムローズ大阪 2階 鳳凰西
〔出席者〕阿部委員、有澤委員、大方委員、岡田委員、金光委員、竹中委員、山中委員
〔議事概要〕
  1 開会
   ・大阪府府民文化部人権局長あいさつ
   ・委員紹介
  2 議題
   事務局から説明、報告の後、質疑応答を行った。
   (1)差別のない社会づくりのためのガイドラインについて
   (2)人権問題に関する府民意識調査について
   (3)その他
  

〔配付資料〕

  資料1 差別のない社会づくりのためのガイドラインについて [PDFファイル/92KB]
  資料1-1 差別のない社会づくりのためのガイドライン(案) [PDFファイル/1.84MB] 
  資料2 人権問題に関する府民意識調査について [PDFファイル/82KB]
   資料2-1 人権問題に関する府民意識調査 調査票(案) [PDFファイル/331KB]
   資料3 ヘイトスピーチへの対応について [PDFファイル/100KB]

〔質疑応答〕(○:委員、●:事務局)

【差別のない社会づくりのためのガイドラインについて】

○ 「人を正当な理由なく属性や信条により差別的に扱うこと」では、結局「差別とは差別である」みたいな話になってしまう。差別的とは何なのか、どういうことをもって差別的と言うのか、ということが書かれないと、何かよく分からない説明になってしまう。難しいのであれば、ここで言う差別的とはどういう扱いを具体的には述べているのかを書くべき。
 このガイドラインの目的が府民に理解していただくというところで、しかも一番最初の「差別とは何なのか」という所であるので、分かりやすい文言にしていただくことが大事と思う。

● 差別に関する定義がなされている法令は、調べた限りではない。このガイドラインを作成する経緯としては、一番のポイントは障害者差別解消法であるが、実はこの法律にも定義はない。
 国の方では、差別かどうかは具体的に判断するものであって一律に定義するのはちょっと難しい、障害者差別解消法は3年後の改訂が決まっており、今後様々な事例が積み重なっていって改訂時に盛り込めるのであればそこは検討しよう、となっている。法律でも定義が非常に困難という中で、一般的な表現であるが、御指摘のような表現になった。

○ 「不当に扱う」と言う方が定義としては良いか。「不当に取り扱う」「差別的に扱う」ということは、普通にその人の人権を侵害するわけなので、もう少し分かりやすく書ければいいかなと思う。
 確かに障害者差別解消法にも定義はない。「不当な差別の禁止」とともに「合理的配慮の不提供も禁止される」ということも書いていたと思う。ここに書いてあることは、全て不当な差別はいけない、不当な差別的序列化はいけないということ。元々、障害者差別解消法は、お互いに人権を尊重し合ってお互いを尊重し合う共同社会、という社会を目指していたと思うが、「合理的配慮の不提供」に関しては、それは入れられないのか。

● 障がい者以外の差別の対象というのは非常に難しく、差別の種類が非常に広範囲。
 障がい者の場合、例えば車椅子を持って階段を上がるとか、そういうことをしないと障がいの無い人と同等のステージに立てないというようなことがあるので、合理的配慮というのがより強く求められていると思う。これに対して例えば女性とか子どもとか、範囲が広がると、合理的配慮が全ての人権問題に馴染むのかどうか難題で、本件の場合には合理的配慮までは否定しているわけではないが、全てあまねくそこまでは書き切れなかった。

○ 挿絵がカップル若しくは親子のように見える。性的マイノリティの方達に対しての絵と比較すると、少しバランスを欠いていると思う。

● 挿絵を入れるのがいいかどうかという議論もあるが、読み易くする、イメージを良くするという意味で入れたもの。御指摘のような御意見はあろうと思うので、再検討する。

○ 判例について、外国人に関するものが多い。判例と言ってもそう有るものではないが、ADRか何か使うとかして、障がい者に関するものも入れて欲しい。女性とか高齢者とか、虐待とかも起きている。何かあったら教えていただきたい。

● このガイドラインは事業者の行為によって個人が差別されたというケースを対象としている。もちろん、個人が行う差別はどうでもよい、と言っているわけではないが、なかなか判例と言うものはない。ADRも実は調べたが、ない。人権侵犯事例も、ということで法務局にも頼んだが一定の制約があり、古いものを出すとかえって差別を助長するという逆効果になる可能性もある。
 そういう観点で見て行くと結局10数件しかなく、今後、事例を収集しながら数を増やして行きたい。

○ 紹介している判例は全て差別に当たる方向のもの。差別ではないという結論に至っている判例はあったのか。

● 最終的に合法となったもの、違法にならなかったものは確かにあろうと思うが、どういうことが違法になるのかを事業者にお示しし、「こういうことをやったらマズイですよ」ということを中心に反映させた。

○ 「正当な理由が存在する場合は不当な差別の取扱いに該当しない場合があります」というのは、これが一方で、こういうことであれば違法であるけれども、逆に、こういう場合であれば違法ではない場合もある、正当な理由があれば許されることもある。当然のことではあるが、逆の方のイメージが湧かない。差別だというものばかり紹介されると、大丈夫な方のイメージが湧きにくいのでは、と思う。

● 「障がい者差別解消に関するガイドライン」を策定する過程で、合理的配慮というものを具体的に示す、これが基本で、「これをやれば大丈夫だ」ということを示すことは、差別を解消する、差別を未然に防止するという意味では意義があるが、逆に「これさえやればいけるんだ」ということになる、という意見があったと聞いている。
 我々は差別のない社会を目指すために、まず事業者に対して、こういう行為をしてはいけませんよ、違法になる可能性がありますよ、と示す方に基力点を置くというのが、このガイドラインを作る際の基本的な考え方。

○ 差別的な取扱いということで「不利益取扱い」という表現をする、あるいは行動、発言等に制限を加える、そのあたりの表現を変えるといいのではないか。
 判例は少ないと思うが、外国人に偏っていると私も思う。事例としては沢山あると思うので、いくつかピックアップして盛り込んでいく。それが訴訟になっていなければ、法律上はどうなのかという議論が入ってくるかもしれないが、ある意味、別の角度から盛り込んでいくことは検討していただきたい。

● 府民からいただいた事例や相談事例も持っており、「大阪府差別解消に関する有識者会議」から、このガイドラインを以って特に府民に対し必要以上にプレッシャーを与えないよう、いわゆる公権力の介入に十分注意しなければならない、(府民からいただいた)事例は前後関係がなかなか分からないので注意が必要、という意見をいただいている。
 これらを総合すると、公的なところで差別と判断されていないものをこのガイドライン本編に入れるのは控えた方が良いというのが基本的な考え方。が、(府民からいただいた)事例の中にはガイドラインの利用者が参考にできるものもあろうと思う。誤解なく受け止めてもらえるのでは、というものについては参考資料として掲載する方向で検討したい。

○ ガイドラインは一つの物差し。物差しに照らし合わせて事を判断するには事例というものを、考えていた方がより好ましい。
 「合理的配慮」も入れた方が、お互いに人権を尊重し合うというところでは、事業者ももちろん個人に対してこういうことは配慮してあげないといけない、そういう人権啓発にも重なるかなと思ったりする。「合理的配慮」という言葉は確かに難しいし、過度の要求があった場合に不当な取扱いと正当な事由、相反するようなものもあるが、どう考えているのかが非常に難しくなってくる。
 今までは障がい者差別ということになると、福祉的な理念から弱い人を助ける、みたいなところがあった。障害者差別解消法もそうだが、人権啓発ということを考えた場合、差別されている人達は弱いから助けてあげるのではなくて、事業者や企業に「お互いに人権を尊重し合う共生社会を作るため差別をなくす、差別と権利を不当に取り扱うようなことは止めましょう」というスローガンみたいなものがあってもいい。

● 我々のスローガンだが、一つの目標は「全ての人の人権が尊重される社会づくり」ということを文章に入れており、読めば趣旨は分かっていただけるかなと思っている。

○ 紹介している判例のうち「同性愛者宿泊利用」について、「同性愛者に対し、性的な行為に及ぶ可能性がある事のみを重視して」というくだりがある。同性愛者の方が性的な行為により多く及ぶ可能性がある、と読まれてしまうと明らかに差別になってしまうので、これでいいのかどうか。
 この施設(=公の施設)の性質上、性的マイノリティ、病気に罹っている人等の利用を直ちに承認するのが難しい場合、こういう病気に罹っていると利用できないというのはあり得るのか、また、性的マイノリティの利用も、施設の性質上直ちに承認できない場合というの はどういう場合で本当に認められていないのか、確認した方がよいのでは。

 ● 利用承認方法については、検討させていただく。(青少年施設は)普通は男女利用施設となっているので、同性愛者が来られて部屋割りができないということがポイントではなく、何らかの対応ができるかもしれないし、何もせずに、「これはダメ」と言うことが一番のポイントで言い表されているのか、検討をさせていただききたい。例えば伝染性のある病気に罹っている恐れがあるような状況になれば、法的に「ちょっと待って」と言うようなケースがあるのではなかろうかという規制が懸かっている、ということが書いてある。

○ 同性愛者だから性的行為を超えるな、というのはないとは思うが、なかなか難しいところ。注意していただきたい。

【人権問題に関する府民意識調査について】

○ こういう意識調査の傾向として若年層がなかなか回答してこないということを考えると、やはりインターネットの活用が回収率を上げる一つの工夫なのでは、と感じている。
 問5の「人権問題に向けた次のような施策」は、車内の吊り広告等様々な物が書いてあるので、「施策」は言い過ぎ、「取組」くらいの方がいいのではないか。「利用・参加」というのも、広告やインターネットの広報は利用、参加しているわけではないので、「活用」くらいの方がいいのではないか。
 問6の「人権上の課題を有する人やその支援者との交流会」と「地域の自主的な活動」は全く違う種類のもの、並べてしまうと、例えば、人権上の交流会には参加したことがあって自主的な地域の活動に参加したことがない、という場合には、おそらく「参加したことがある」と回答される。「人権上の課題を有する人やその支援者との交流会」にもし重きを置くんだったらそれだけにして、「地域の交流」は問16で「地域の活動」というのが出ているので、そことの重複を考えて整理してはどうか。今のままだと解釈がややこしくなるのではないかと思う。
 最近の傾向からすると、問16の「自治会、マンション管理組合や子ども会等の地域の活動に参加していますか」に「参加していない」という選択肢があるが、それ以外に「加入していない」も必要なのではないか。

● 大阪府では、「府政モニター」という形で、インターネットを活用して施策等に対する御意見を聴いている。若年層の回答が非常に少ない中、これを併用して参考情報として収集することも検討はしている。
 ポスターや車内広告も「施策」に含まれるが、一般府民対象の調査向けであり、違和感があるということであれば、文言の精査はしたい。問5−1に主語を書き加えることについては、問5を回答した人にそこまで必要か、というのが我々の考え方。
 問6の「人権上の課題を有する人やその支援者との交流会」「地域の自主的な活動」と問16の「地域の活動」との御指摘については、問6の方の表現を考えてみたい。
 問16については、そもそも自治会等に加入していない方は「参加しない」を選択されるのでは、と考えている。

○ 問5の(9)で、本人通知制度についての解説がすぐ下に載っているが、(ここを読んだ人は)読む前に制度を知っていたかどうかで回答するのか、読んでから回答するのか、ということになる。知っているかどうかを聞きたいのであれば、解説はなし、若しくは後ろのどこかに載せる、若しくは別のパンフレットか何かを付ける。そうしないと、(9)だけ数が合わさったりする。
 問11−6−aの「一部解決した」は中途半端。するなら4択か5択にした方がよい。

● (本人通知制度を)何となく知っている方は説明を読んで「あぁ、あのことか」と思って回答に進んでいただけるもの、と考えた。問11−6−aは、解決したかしなかったかを聞きたいので、「一部解決した」は削り2択としたい。

○ 問1の(1)は男性女性問わずの設問と受け止めることも可能なので、女性の人権問題というのであれば「女性に対して」と加えないといけないと思う。逆に、「結婚に関しての差別的な意識ということで「してないのか」とか、子どもを生むことについての事なのであれば「子どもはまだか」とすると、男女双方に対しての発言ということになると思う。

● あえて男女分からないようにしてある。セクハラに関しては圧倒的に女性が多い、相談内容も「結婚」「子ども」が上位を占めているということで、答えていただける方は理解してもらえると考えている。

○ 時代の変遷によって府民の人権意識がどう変わっているのか、ということが、このように設問を減らした状況で把握できるのならばよいが。

● これまでの調査で一定の傾向が把握できた、その傾向を把握した上で取組の方向も決まっているものについては、設問から外している。

○ 1ページにある調査の前口上について、回答しようという気になってもらうには、全ての人の人権が尊重される大阪を目指していて、皆さんの御意見によって施策が推進される、参画していただくとこういうことに繋がるんですよ、というようなことを、もう少し分かり易い言葉で語り掛けるような感じで書けばよいと思う。

● 調査票だけでなく、お願い文も同封する。「よし、回答しよう」と思っていただけるような趣旨のものにしたい。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 企画グループ

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