第3 本委員会の見解

更新日:2014年2月10日

第3 本委員会の見解

 以上が本件改正に関する教育委員会の見解である。本委員会としては、今回の改正が、政策的側面を有することを考慮に入れながら、地方公務員法上の給与決定の諸原則を踏まえ、教育委員会案に基づく改正内容等の審議、検討を行った。その結果、次の見解を整理し、これに基づいて次項に示す勧告を行うこととした。

1 本件給与制度改正に関する基本認識

 近年、民間の経営をめぐる情勢がなお厳しい状況で推移し、多くの企業では、経営上の様々な変革を遂げようとする取組みが見られる。行政においても、昨今の社会経済情勢や多様化する住民ニーズを踏まえ、種々の改革が広がりつつある。本委員会としては、こうした改革の成否は組織のマネジメント力によるところが大きいと考えるところであり、学校教育の現状と展望を踏まえ、マネジメント能力に秀でた人材を任用するべく、そのため職務給の原則により適した給料表の見直しを図るとした教育委員会の考え方については、異論はないものである。

2 改正の具体的な内容に関する見解

 職員の勤務条件は、府民の理解に裏付けられたものであることが重要であり、本府はその実践として、年齢や経験年数等の年功的な要因を排した定額制の給料を導入するなど、府民にわかりやすく、職務給の原則により適した給与制度の改革を進めてきた。

 今般の教育委員会案は、学校のマネジメント力を高め、これに見合った給与制度へと改めようとするものである。その内容は、初号水準を引上げ、若年層管理職の給与を優位なものとし、管理職への昇進意欲を高めようとするものである。併せて、最高号給水準について、一定の経過措置を設けた上で、これを引き下げようとするものであるが、これについては、教育委員会の説明によれば、今般の給与制度改正のために充当し得る財源の制約によるとのことである。

 本委員会としては、かかる教育委員会案のうち、若年層管理職の給与水準を引き上げることによって学校のマネジメント力を高めるとする点については、積極的に賛意を表するものであり、これを基本に所要の改正を行うことが適切と考えるところである。しかしながら、若年層管理職の給与水準を引き上げる財源をベテラン層管理職の最高号給水準に求めることは、ベテラン層の誇りや士気に影響を及ぼすばかりでなく、組織の一体性にも影響を及ぼし、階層間に新たな意識の溝を生むおそれもはらんでいる。教育委員会が狙う学校マネジメント力の向上にはベテラン、若手両層の意識の共有共感が不可欠であると考える。 

 かかる観点から、ベテラン層の最高号給水準については、教育委員会案とは異なり、これを引き下げないことを内容とする勧告を行うこととした。財源の確保を含めその実施にあたり生じる課題については、精力的に検討されてきたことがうかがえるが、学校マネジメント力の向上を真に成果あらしめるために、さらに、関係機関において協議して解決を図られることを期待するものである。

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人事委員会事務局 人事委員会事務局給与課 給与グループ

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