令和元年度職員採用試験〔行政(22-25)〕・〔警察行政(大学卒程度)〕の問題 論文 【法律・経済分野】

更新日:2020年2月12日

※ユニバーサルデザインの観点から、体裁や符号の使い方などについて、実際の出題とは異なる表記に変更している部分があります。 

憲法

 以下の事例を読んで、設問に答えなさい。
 事例
 A市では、市営住宅について、A市営住宅条例(以下「本件条例」という。)を制定している。本件条例第46条第1項柱書は、「市長は、入居者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該入居者に対し、当該市営住宅の明渡しを請求することができる。」と定め、同項第6号は、「暴力団員であることが判明したとき(同居者が該当する場合を含む。)。」と定めている。本件条例において、「暴力団員」とは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員をいうと定義されている。
 Xは、本件条例にいう暴力団員であるが、その事実を隠して、A市に市営住宅の入居の申請を行い、A市はこれを受けて、Xに入居を許可した。ところが、その3年後、警察からの通報によりXが暴力団員である事実がA市の知るところとなり、A市は、Xに対して、入居している市営住宅の明渡しを請求した。

 これに対し、Xは、本件条例は市営住宅への入居につき、暴力団員を不当に排除するもので、憲法第14条第1項及び憲法第22条第1項に反するので、市営住宅を明け渡す必要はないと主張している。

 設問
 Xの主張に反論しなさい。

〔参考条文〕
 ○暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
 
(定義)
 
第ニ条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   一〜五 (略)
   六  暴力団員  暴力団の構成員をいう。
   七〜八 (略)

行政法

 以下の事例を読んで、設問に答えなさい。 
 事例
 株式会社Xは、Y市内に葬儀場(以下「本件葬儀場」という。)を建築することを考え、2018年11月中旬、建築基準法第6条第1項の規定により、Y市建築主事に建築確認の申請(以下「本件申請」という。)を行った。本件申請を受けたY市建築主事は、Xによる本件葬儀場の建築計画は法令に適合するものであると考えた。しかし、Y市建築主事は、地元住民が本件葬儀場の建築に反対していることに鑑みて、本件申請に対する決定を直ちに行うことはせず、Xに本件葬儀場の建築計画の見直しとともに、地元住民に対して説明会を開催するよう指導した。
 XはY市建築主事からの指導に従い、2018年12月から2019年4月にかけて、合計6回地元住民に対する説明会を開催した。その中でXは、西側に設置を予定していた入口を住宅地に面していない北側にすることや、出棺の見送りを霊柩車ごと建物内で行えるようにすることなど、本件葬儀場の建築計画に関して様々な変更の提案をした。だが、地元住民はXによる変更の提案を受け入れず、本件葬儀場の建築に反対であるとの立場をまったく変えなかった。

 Xは、これ以上地元住民に対して説明会を行っても解決の見込みはなく、また、本件葬儀場の建築をさらに延期すれば、そのための資金繰りが難しくなると考えた。そこでXは、2019年5月中旬、本件申請に対して速やかに決定をするよう、Y市建築主事に要望書を提出した。しかし、Y市建築主事は、本件葬儀場の建築計画の見直しが十分になされていないことに加えて、本件申請について建築確認を行い、Xが本件葬儀場の建築工事を始めると、地元住民の一部が工事を実力で阻止し、X側との実力による衝突の具体的な危険があることを理由として、本件申請に対する決定を留保した。

 設問
 Y市建築主事による本件申請に対する決定の留保が違法であるかどうかについて論じなさい。なお、Y市においては、行政手続法と同じ内容のY市行政手続条例が制定されていることとする。

〔参考条文〕
 ○建築基準法
 
(建築物の建築等に関する申請及び確認)
 
第六条 建築主は、第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(略)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第4号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法例の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(略)
 2〜9 (略) 

民法

 以下の事例を読んで、(1)、(2)の問いに答えなさい。
 事例
 1995年7月10日、Aは、Bとの間で、自己所有の土地(甲)を3000万円でBに譲渡する旨の契約を締結した。同日、Bは、Aに代金を全額支払い、同日中に甲の引渡しを受けた。しかし、所有権移転登記に必要な書類が調わなかったため、甲の登記名義の移転は行われず、Aのままとされた。Bは、甲の上に平屋建ての建物(乙)を建設し、作業場として使用を始めた。
 1996年3月15日、Aは、Cとの間で、甲を4000万円でCに譲渡する旨の契約を締結した。その翌日にCが代金を全額用意したため、Aは、これを指定の口座に振り込むようCに指示し、入金を確認したうえで同日中に甲の登記名義をCに移転した。Cは、甲の上に乙があることを知っていたが、Aが建てたものであろうと思い気にとめなかった。Cは、老後に自らが居住する建物を建てるための敷地として甲を取得したものであり、当面は使用することを予定していなかった。


 (1)Cは、乙がBのものであると知り、1996年4月10日、Bに対して、乙の収去及び甲の明渡しを請求した。この請求は認められるか。

 (2)Cは、甲の取得後も甲を使用しなかった。他方、Bは、甲の引渡しを受けて以来、約24年間にわたり甲を乙の敷地として使用していた。2019年6月20日、Cは、
  Bに対して、自らが甲の所有権者であると主張して、乙の収去及び甲の引渡しを請求した。この請求は認められるか。
 

経済原論

 貨幣に関して、(1)から(6)の問いに答えなさい。

 (1)貨幣の主要な機能を3つ挙げなさい。

 (2)貨幣量をM、流通速度をV、物価をP、取引量をTとするとき、フィッシャーの交換方程式はどのように表されるか示しなさい。

 (3)ケインジアンによると、貨幣(実質貨幣残高)に対する需要はどのような要因に依存してどのように変化すると考えられるか説明しなさい。

 (4)ハイパワード・マネーとは何か説明しなさい。

 (5)貨幣乗数とは何か説明しなさい。また、貨幣乗数は、公衆の現金・預金保有比率、銀行の現金・預金比率、預金準備率にどのように依存しているか説明しなさい。

  (6)金融政策についてのケインジアンの考え方とマネタリストの考え方はどのように異なるか説明しなさい。

財政学

 次の(1)、(2)の問いに答えなさい。 

 (1)今後、少子高齢化がより進行する中で、「所得課税、消費課税、資産課税」のバランスはどのような形が望ましいか論じなさい。

 (2)地方公共団体の望ましい行政区域の規模については、広域化を求める要因と狭域化を求める要因が存在する
。これらの要因について財政学的見地から論じなさ
  い。
 

経済政策

 株価の決定理論に関して、(1)、(2)の問いに答えなさい。 

 (1)株式等の金融資産に投資する投資家は、危険回避的であるとし、不確実性のある資産(危険資産)に投資する際には、一定の安全資産収益率に加えて、一定の
  リスクプレミアムを要求するものとする。また、ある一定期間、株式を保有すると、期末に配当を受け取ることができるが、受け取る配当額は不確実で、期初には予想
  配当額しかわからないものとする。そのことを踏まえて、株価の決定メカニズムに関する代表的な考え方である配当割引モデルを説明しなさい。また、株価に影響を
  与える3つの要因とそれらの変化が株価に与える影響について答えなさい。
 
 (2)東証株価指数は、内閣府が公表している景気動向指数の先行系列に含まれている。東証株価指数の上昇は、将来の景気動向について、どのような情報(改善あ
  るいは悪化)を持っているのか、理由をつけて答えなさい。

経営学

 次の文章を読み、(1)から(3)の問いに答えなさい。

 企業が既存の事業領域をこえて、新たな領域へ事業を拡大することを多角化と呼ぶ。企業が多角化する動機としては、既存事業の成熟や衰退にともなうリスクを避けるため、新しい事業機会を獲得し成長するため、(a)現在利用されていない遊休資源を有効に活用するため、の3つが挙げられる。
 どの事業に進出することが目的にかなうかの判断基準として、(b)範囲の経済及びシナジーという概念がある。前者は、複数の消費やサービスをいっしょに取り扱う場合の費用が、それらの商品やサービスを単独で取り扱う場合の費用に比べて小さくなることを意味する。後者は、新規事業分野と既存の分野との間に生じる相乗効果を意味する。範囲の経済やシナジーとして具体的なものに、広告や促進、評判などが共用できる販売に関するもの、施設の共用や原材料の一括仕入れなど生産に関するもの、経営者の能力・経験が新事業に応用できるというマネジメントに関するものなどがある。
 多角化の手法としては
、企業内分の経営資源を活用した内部志向の戦略と、M&A(合併・買収)や企業間の連携などを通じた(c)外部志向の戦略の2つが挙げられる。
 
 
 (1)太字部(a)に関して、具体例を挙げて論じなさい。

 
(2)太字部(b)に関して、両者は類似した概念であるが、範囲の経済に対してシナジーは費用削減の効果も含むこと、既存事業から新規事業への効果とともに、新規事
  業から既存事業への効果も重視することに特徴がある。範囲の経済よりもシナジーに重点を置いた多角化としてはどのようなものが考えられるか、具体例を挙げて論
  じなさい。

 
(3)太字部(c)に関して、内部志向の戦略に対して外部志向の戦略が持つメリットとデメリットについて論じなさい。

このページの作成所属
人事委員会事務局 人事委員会事務局任用審査課 任用グループ

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