○大阪府女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
令和六年三月二十七日
大阪府条例第二号
大阪府女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例をここに公布する。
大阪府女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例
(趣旨)
第一条 この条例は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号。以下「法」という。)第六十五条第一項の規定に基づき、女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。
(定義)
第二条 この条例の用語の意義は、法及び困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第五十二号。以下「女性支援法」という。)の定めるところによる。
(基本方針)
第三条 この条例で定める基準は最低のものであるから、女性自立支援施設は、当該基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させるよう努めなければならない。
2 女性自立支援施設は、入所者に対し、健全な環境の下で、女性の人権に関する高い識見と専門性を有する職員により、社会において入所者の置かれた状況に応じた自立した生活を送るための支援を含め、適切な支援を行うよう努めなければならない。
(構造設備)
第四条 女性自立支援施設の配置、構造及び設備は、換気、採光、照明等入所者の保健衛生に関する事項、入所者に対する危害の防止及び防災について十分考慮されたものでなければならない。
(非常災害対策)
第五条 女性自立支援施設は、非常災害に備え、消火設備その他の災害対策に必要な設備を設けるとともに、災害対策に関する具体的計画(以下「非常災害計画」という。)を策定しなければならない。
2 女性自立支援施設は、非常災害に備えるため、定期的に避難、救出等の訓練を行わなければならない。
(安全計画の策定等)
第六条 女性自立支援施設は、入所者の安全の確保を図るため、当該女性自立支援施設の設備の安全点検、職員、入所者等に対する施設外での活動、取組等を含めた女性自立支援施設での生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員等の研修及び訓練その他女性自立支援施設における安全に関する事項についての計画(以下「安全計画」という。)を策定し、当該安全計画に従い必要な措置を講じなければならない。
2 女性自立支援施設は、職員に対し、安全計画について周知するとともに、前項の研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 女性自立支援施設は、定期的に安全計画の見直しを行い、必要に応じて安全計画の変更を行うものとする。
(苦情への対応)
第七条 女性自立支援施設は、その行った支援に関する入所者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口の設置その他の必要な措置を講じなければならない。
2 女性自立支援施設は、その行った支援に関し、知事から指導又は助言を受けた場合には、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
3 女性自立支援施設は、法第八十三条に規定する運営適正化委員会が行う法第八十五条第一項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。
(帳簿の整備)
第八条 女性自立支援施設は、設備、職員、会計及び入所者の支援の状況に関する帳簿を整備しておかなければならない。
一 女性自立支援施設の長(以下「施設長」という。) 一
二 入所者の自立支援(女性支援法第十二条第一項に規定する自立支援をいう。以下同じ。)を行う職員 二以上
三 栄養士又は調理員 一以上
四 看護師又は心理療法担当職員 一以上
五 事務員 一以上
六 施設のその他の業務を行うために必要な職員 当該女性自立支援施設の実情に応じた適当数
2 女性自立支援施設の職員は、専ら当該女性自立支援施設の職務に従事する者でなければならない。ただし、入所者の支援に支障がない場合には、この限りでない。
(施設長の資格要件)
第十条 施設長は、女性自立支援施設を運営するにあたって女性の人権に関する高い識見と専門性を有する者であって、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
一 社会福祉主事の資格を有する者又は社会福祉事業若しくは困難な問題を抱える女性への支援に関する活動に三年以上従事した者であること。
二 罰金以上の刑に処せられた者でないこと。
三 心身ともに健全な者であること。
一 スプリンクラー設備の設置、天井等の内装材等への難燃性を有する材料の使用、調理室等の火災が発生するおそれがある箇所における防火区画の設置等により、火災の初期の段階における消火及び延焼の抑制に配慮した構造であること。
二 非常警報設備の設置等による火災の早期発見及び通報の体制が整備されており、円滑な消火活動が可能なものであること。
三 避難口の増設、搬送を容易に行うために十分な幅員を有する避難路の確保等により、円滑な避難が可能な構造であり、かつ、避難訓練を頻繁に実施すること、配置する人員を増員すること等により、火災の際の円滑な避難が可能なものであること。
3 女性自立支援施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。
一 居室
二 相談室
三 医務室
四 食堂
五 調理室
六 事務室
七 宿直室
八 集会室兼談話室
九 静養室
十 作業室
十一 洗面所
十二 浴室
十三 便所
十四 洗濯室
十五 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
一 居室 次に掲げる基準
イ 入所者一人当たりの床面積(収納設備等に係る部分の床面積を除く。)は、おおむね九・九平方メートル以上とすること。
ロ 主要な出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
ハ 寝具を収納するための押し入れその他の設備のほか、各人の身の回り品を収納することができる設備を設けること。ただし、寝台を設けている場合においては、寝具を収納するための設備は、設けることを要しないこと。
二 相談室 秘密の保持のため、間仕切り等を設けること。
三 医務室 入所者を診療するために必要な医薬品、衛生材料及び医療機器を備えること。
四 食堂及び調理室 食器、調理器具等の消毒その他食堂及び調理室を常に清潔を保持するために必要な措置を講じること。
五 その他の設備 次に掲げる基準
イ 廊下、便所その他必要な場所に、夜間において常時点灯させる照明設備を設けること。
ロ 火気を使用する部分は、不燃材料(建築基準法第二条第九号に規定する不燃材料をいう。)を用いること。
(秘密保持等)
第十二条 女性自立支援施設の職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
2 女性自立支援施設は、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(居室の入所定員)
第十三条 一の居室の定員は、原則一人とする。
2 女性自立支援施設の入所の対象となる者が監護すべき児童を同伴する場合等、入所者の自立支援を行うために必要と認められる場合は、前項の規定に関わらず、一の居室の定員を二人以上とすることができる。
(自立の支援等)
第十四条 女性自立支援施設は、入所者の意向及び私生活を十分に尊重して、入所者の心身の健康回復及び生活(就労及び就学を含む。)に関する支援等を行わなければならない。
2 女性自立支援施設は、入所者の個の尊厳を保ち、心身の状況、本人の意思、希望及び自立に向けた意向を十分に踏まえた上で、施設における基本的な共同生活の考え方を示さなければならない。
3 女性自立支援施設は、入所者ごとに、入所者の意向を踏まえ、入所者の自立の支援を行うための個別支援計画を作成しなければならない。
(食事の提供)
第十五条 食事は、食品の種類及び調理方法について栄養並びに入所者の身体の状況及び嗜好を考慮したものでなければならない。
2 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行わなければならない。
(業務継続計画の策定等)
第十六条 女性自立支援施設は、感染症又は非常災害の発生時において、入所者に対する支援の提供を継続的に実施するため及び非常時の体制で早期に業務の再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。
2 女性自立支援施設は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 女性自立支援施設は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
4 業務継続計画は、非常災害計画及び安全計画と一体のものとして策定することができる。
(保健衛生)
第十七条 女性自立支援施設は、入所者に対して、毎年二回以上定期に健康診断を行わなければならない。
2 女性自立支援施設は、居室その他の入所者が常時使用する設備について、常に清潔にしなければならない。
3 女性自立支援施設は、入所者の使用する設備、食器、飲用水等について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講ずるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機器の管理を適正に行わなければならない。
4 女性自立支援施設は、当該女性自立支援施設において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修並びに感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施しなければならない。
(給付金として支払を受けた金銭の管理)
第十八条 女性自立支援施設は、当該女性自立支援施設の設置者が入所者に係る女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準(令和五年厚生労働省令第三十六号)に規定する厚生労働大臣が定める給付金(以下「給付金」という。)の支給を受けたときは、当該給付金として支払を受けた金銭及びこれに準ずるもの(これらの運用により生じた収益を含む。以下「入所者に係る金銭」という。)を次に掲げるところにより管理しなければならない。
一 入所者に係る金銭を当該入所者のその他の財産と区分すること。
二 入所者に係る金銭を給付金の支給の趣旨に従って用いること。
三 入所者に係る金銭の収支の状況を明らかにする帳簿を整備すること。
四 当該入所者が退所した場合には、速やかに、入所者に係る金銭の残余の額を当該入所者に交付すること。
(関係機関との連携)
第十九条 女性自立支援施設は、女性相談支援センター、女性相談支援員、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体のほか、福祉事務所(法に規定する福祉に関する事務所をいう。)、児童相談所、児童福祉施設(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設をいう。)、保健所、医療機関、職業紹介機関(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二条に規定する職業紹介機関をいう。)、職業訓練機関、教育機関、都道府県警察、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第十三条に規定する日本司法支援センターをいう。)、配偶者暴力相談支援センター(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第三条第一項に規定する配偶者暴力相談支援センターをいう。)、母子・父子福祉団体(母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第六項に規定する母子・父子福祉団体をいう。)その他の関係機関及び母子・父子自立支援員(母子及び父子並びに寡婦福祉法第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員をいう。)、民生委員、児童委員、保護司その他の関係者と密接に連携しなければならない。
(電磁的記録)
第二十条 女性自立支援施設は、作成、保存その他これらに類するもののうち、この条例の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されているものについては、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和六年四月一日から施行する。
(大阪府婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の廃止)
2 大阪府婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例(平成二十四年大阪府条例第百二十号)は、廃止する。
(居室面積及び入所人員に関する経過措置)
4 この条例の施行前に大阪府社会福祉施設設置条例等の一部を改正する条例(令和六年大阪府条例第二十七号)による改正前の大阪府社会福祉施設設置条例(昭和三十四年大阪府条例第二十号)第一条の規定により設置された婦人保護施設であって女性支援法附則第八条第三項により女性自立支援施設とみなされているものに係る居室の床面積及び入所人員については、第十一条第四項第一号イ及び第十三条の規定にかかわらず、当分の間、旧条例第十条第四項第一号イ及び第十一条の規定によることができる。ただし、当該施設を改築し、又は増設する場合は、この限りでない。