○大阪府基礎自治機能の充実及び強化に関する条例
令和六年三月二十七日
大阪府条例第一号
大阪府基礎自治機能の充実及び強化に関する条例をここに公布する。
大阪府基礎自治機能の充実及び強化に関する条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 基礎自治機能充実強化基本方針及び基本的施策(第六条―第十七条)
第三章 大阪府基礎自治機能充実強化推進本部(第十八条―第二十条)
第四章 雑則(第二十一条)
附則
急激な人口減少と高齢化の進展により、市町村行政に影響を及ぼす様々な課題の発生が見込まれる中、住民に身近な基礎的な自治体である市町村が、住民に対するサービスを将来にわたって安定的に提供できる機能や体制を確保することは重要である。
そのためには、市町村が、さらなる行財政の改革やデジタルなどの新技術の活用、企業等をはじめとした地域社会の多様な主体との連携や協働を図るとともに、地域の状況によっては、効率的な人員や施設の配置等が可能となる広域連携や、行財政基盤の強化などを図ることができる市町村の合併に取り組むことが必要となってくる。
もとより市町村の将来像や進むべき方向性については、地方自治の理念である住民自治及び団体自治の原則にのっとり、市町村が住民とともに十分に議論を行った上で、市町村自らが判断することが必要であるが、市町村を包括する広域の自治体である府としては、これらの取組を行う市町村に対し、これまで以上にきめ細やかな支援を行い、その責任を果たす必要がある。
このような考え方の下、府として、市町村に対し支援策を講じることで、市町村における基礎自治機能の充実及び強化に関する施策の推進が図られるよう、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、府が実施する基礎自治機能の充実及び強化を図るための施策に関し基本となる事項を定めることにより、これを総合的に推進し、もって住民が地域で安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
一 基礎自治機能 市町村が基礎的な自治体として解決すべき課題に的確に対応するとともに、住民に対するサービスを将来にわたって安定的に提供することができる機能及び体制をいう。
二 広域連携 複数の市町村が相互に協力して行う取組をいう。
三 市町村の合併 市町村の合併の特例に関する法律(平成十六年法律第五十九号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する市町村の合併をいう。
四 合併市町村 法第二条第二項に規定する合併市町村をいう。
五 合併協議会 法第三条第一項に規定する合併協議会をいう。
(基本理念)
第三条 基礎自治機能の充実及び強化は、次に掲げる事項を基本として推進する。
一 市町村において、安定した行財政運営を行うため、課題を的確に予測し、その影響を見通しながら取組が進められること。
二 市町村において、住民とともに、その将来像や進むべき方向性について十分に議論を行いながら検討されること。
(府の責務)
第四条 府は、市町村を包括する広域の自治体として、前条に定める基本理念に基づき、市町村の基礎自治機能の充実及び強化に関し、市町村や地域の実情に応じて、次に掲げる施策を実施するものとする。
一 組織及び運営の合理化に資するための施策
二 広域連携の促進に向けた施策
三 自主的な市町村の合併の円滑化を図るための施策
四 前三号に掲げるもののほか、基礎自治機能の充実及び強化を図るために必要な施策
2 府は、前項の施策を講ずるに当たっては、市町村を総合的な観点から支援できるよう、府の施策との有機的な連携が図られるよう努めるものとする。
(府議会の責務)
第五条 府議会は、この条例の趣旨にのっとり、市町村が基礎自治機能の充実及び強化を図ることができるよう、知事に対し、必要な提言を行うものとする。
2 府議会は、基礎自治機能の充実及び強化を図るため、住民の理解の増進、府内市町村議会との連携や協働等必要な取組に努めるものとする。
3 府議会議員は、この条例の趣旨にのっとり、基礎自治機能の充実及び強化についての調査研究を行うよう努めるものとする。
第二章 基礎自治機能充実強化基本方針及び基本的施策
(基礎自治機能充実強化基本方針の策定等)
第六条 知事は、第四条第一項に掲げる基礎自治機能の充実及び強化に関する施策を総合的に推進するための基本方針(以下「基礎自治機能充実強化基本方針」という。)を策定するものとする。
2 基礎自治機能充実強化基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 基礎自治機能の充実及び強化の取組の方向性に関する事項
二 基礎自治機能の充実及び強化に関する施策を総合的に推進するための基本的な事項
3 知事は、基礎自治機能充実強化基本方針を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
(市町村の財政収支等の将来の予測)
第七条 府は、基礎自治機能の充実及び強化に向けて、市町村が財政収支をはじめとする将来の予測を行うことができるよう、情報の提供、市町村との連携その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 府は、市町村が前項の予測を行った場合には、その同意を得て、これを公表することができる。
(市町村の気運の醸成)
第八条 府は、基礎自治機能の充実及び強化について市町村自らが住民とともに丁寧な議論を行い、必要な施策が適切に実施されるよう、気運の醸成に努めるものとする。
(調査及び研究)
第九条 府は、市町村や地域の現状を十分に把握するとともに、基礎自治機能の充実及び強化に関する施策を実施するため、調査及び研究に取り組むものとする。
(市町村との情報の共有)
第十条 府は、市町村の現状及び今後直面すると想定される課題に関する情報の発信並びに当該市町村の現状等について市町村と認識を共有するために必要な施策に取り組むものとする。
(住民の理解の増進)
第十一条 府は、基礎自治機能の充実及び強化の重要性について、住民の理解を深め、その協力を得ることができるよう、市町村の取組等に関する情報の発信及び提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(組織及び運営の合理化に関する技術的助言等)
第十二条 府は、市町村からの求めに応じ、市町村の組織及び運営の合理化に関する技術的な助言、情報の提供その他の必要な支援措置を講ずるものとする。
(広域連携に関する技術的助言等)
第十三条 府は、市町村からの求めに応じ、広域連携に関する技術的な助言、情報の提供その他の必要な支援措置を講ずるものとする。
(市町村の合併に関する技術的助言等)
第十四条 府は、市町村からの求めに応じ、市町村の合併に関する技術的な助言、情報の提供その他の必要な支援措置を講ずるものとする。
(自主的な市町村の合併に関する支援等)
第十五条 知事は、市町村の合併をしようとする市町村が合併協議会を設置し、当該市町村の長からの求めがあった場合には、当該市町村の区域を合併円滑化等支援地域に指定し、市町村の合併の円滑化等を支援するための計画(以下「市町村合併円滑化等支援計画」という。)を策定するものとする。
2 知事は、市町村合併円滑化等支援計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
3 府は、市町村合併円滑化等支援計画に基づき、自主的な市町村の合併の円滑化並びに合併市町村の円滑な運営の確保及び均衡ある発展の支援のための施策(以下「市町村合併円滑化等支援施策」という。)を実施するものとする。
4 府は、市町村合併円滑化等支援施策を実施するに当たっては、当該市町村と緊密に連携協力するものとする。
(市町村合併円滑化等支援計画)
第十六条 市町村合併円滑化等支援計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 行財政運営の支援に関すること。
二 まちづくりの支援に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、自主的な合併の円滑化並びに合併市町村の円滑な運営の確保及び均衡ある発展を図るために必要な施策に関すること。
(財政上の措置)
第十七条 府は、基礎自治機能の充実及び強化に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。
第三章 大阪府基礎自治機能充実強化推進本部
(大阪府基礎自治機能充実強化推進本部)
第十八条 第四条第一項に掲げる基礎自治機能の充実及び強化に関する施策を総合的に推進するため、大阪府基礎自治機能充実強化推進本部(以下「本部」という。)を置く。
(本部の所掌事務)
第十九条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 基礎自治機能充実強化基本方針の案の作成に関する事務
二 広域連携の促進に関する事務
三 第十五条第一項に規定する市町村合併円滑化等支援計画の案の作成及び実施の推進に関する事務
四 第十五条第三項に規定する市町村合併円滑化等支援施策の総合調整及び実施状況の評価に関する事務
五 前各号に掲げるもののほか、基礎自治機能の充実及び強化を図るために必要な施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関する事務
(本部の組織)
第二十条 本部は、大阪府基礎自治機能充実強化推進本部長(以下「本部長」という。)、大阪府基礎自治機能充実強化推進副本部長(以下「副本部長」という。)及び大阪府基礎自治機能充実強化推進本部員(以下「本部員」という。)をもって組織する。
2 本部長は知事とし、本部の事務を総括する。
3 副本部長は副知事とし、本部長の職務を助ける。
4 本部員は、府の職員のうちから、本部の所掌事務を遂行するために特に必要があると認める者として知事が指定するものとする。
第四章 雑則
(委任)
第二十一条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。
附則
この条例は、令和六年四月一日から施行する。