○大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例
令和元年十月三十日
大阪府条例第十九号
大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例を公布する。
大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例
府においては、全ての人が人間の尊厳と人権を尊重し、人種や民族の違いを認め合い、暮らすことのできる共生社会の実現を目指し、様々な施策を推進してきたが、いまだに特定の人種や民族の人々を排斥する差別的言動が行われ、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけ、また、差別の意識を生じさせる事態を引き起こしている。
もとよりこのような不当な差別的言動はあってはならず、解消されなければならない喫緊の課題である。
ここに、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言するとともに、このことを更なる人権教育と人権啓発を通じて、府民に対し周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消を推進することを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動は許されないものとの認識の下、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関し、基本理念を定め、府、府民及び事業者の責務を明らかにするとともに、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する施策を実施し、もって全ての人が相互に人種又は民族の違いを尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、「人種又は民族を理由とする不当な差別的言動」とは、人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人により構成される集団(以下「特定人等」という。)に対する憎悪若しくは差別の意識又は暴力をあおる目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し、又は特定人等を著しく侮蔑するなど、特定人等であることを理由として特定人等を社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいう。
(基本理念)
第三条 人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消は、府民一人ひとりが共に社会の一員として解決すべき課題であるとの認識の下、行われなければならない。
(府の責務)
第四条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する施策を実施する責務を有する。
2 府は、前項の施策の実施に当たっては市町村との連絡調整を緊密に行うとともに、市町村における人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に係る取組について協力するものとする。
(府民の責務)
第五条 府民は、基本理念にのっとり、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、府が実施する前条第一項の施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、府が実施する第四条第一項の施策に協力するよう努めるものとする。
(不当な差別的言動の禁止)
第七条 何人も、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動をしてはならない。
(不当な差別的言動の解消の推進に関する施策)
第八条 府は、次に掲げる人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する施策を実施するものとする。
一 人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の必要性に対する府民の関心及び理解を深めるため、教育及び啓発を行うこと。
二 人種又は民族を理由とする不当な差別的言動に関する相談に的確に応じるとともに、そのために必要な取組を行うこと。
(適用上の注意)
第九条 この条例の適用に当たっては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由及び権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
附則
この条例は、令和元年十一月一日から施行する。