○大阪府文化振興条例

平成十七年三月二十九日

大阪府条例第十号

大阪府文化振興条例をここに公布する。

大阪府文化振興条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第五条)

第二章 文化振興計画(第六条)

第三章 大阪府市文化振興会議への諮問等(第七条・第八条)

第四章 文化の振興に関する施策(第九条―第二十七条)

附則

文化は、人類の英知の積重ねにより生み出される貴重な財産であり、先人が培ってきた文化を継承し、発展させるとともに、多様な文化を受容しながら、新たな文化を創造し次世代へと引き継いでいくことは、私たちの願いであり、責務である。

大阪は、いにしえより、難波の宮の時代を経て現代に至るまで、東アジアをはじめとする諸外国の文明や文化の交流のための表玄関として、わが国の文化の形成に極めて重要な役割を果たすとともに、多様な文化を積極的に受け入れることにより、上方文化をはじめとする独自の文化を育み、府民はこれを誇りとしてきた。

少子高齢社会の到来や価値観の多様化に伴い、社会の構造が大きく変化している中で、人々の個性、心の豊かさ、人と人とのきずなやお互いの人権を大切にする地域社会づくりが必要である。また、国際化や情報化が急速に進展する中、魅力と存在感のある都市づくりが必要である。

このためには、文化の力により、人々の感性や表現力を高め、社会参加や交流を促すとともに、創造力豊かな人材を育成していかなければならない。

さらに、まちを魅力的でにぎわいのあるものとするために、新たな文化や産業が次々と生まれるような創造的活動が活発に行われる土壌づくりを行うとともに、世界に向けての情報の発信力を持たなければならない。

ここに、誰もが生きがいをもって幸せに暮らすことができ、活力あふれる大阪づくりに向けて、府、府民及び事業者が協働して、文化の振興に力強く取り組むことを決意し、この条例を制定する。

(平二五条例一八・一部改正)

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、文化が人々の生きがい及び創造力の源泉であることに鑑み、文化の振興に関し、基本理念を定め、府の責務並びに府民及び事業者の役割を明らかにするとともに、文化の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、それぞれの連携及び協力の下に、文化の振興を推進し、もって心豊かで潤いのある府民生活を実現し、個性豊かで活力のある地域社会の発展に寄与することを目的とする。

(平二五条例一八・一部改正)

(基本理念)

第二条 文化の振興に当たっては、文化を創造し、これを享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、府民が等しく、文化を身近なものとして感じ、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。

2 文化の振興に当たっては、府民一人ひとりの自主性及び創造性が尊重されなければならない。

3 文化の振興に当たっては、府民、事業者並びに府外から通勤及び通学をする者等の自主的かつ主体的な活動が、文化を創造し、保存し、及び継承していくための原動力となることに鑑み、これらの人々の活動を支援するとともに、大阪の文化を担う人材の育成が図られなければならない。

4 文化の振興に当たっては、過去から培われてきた大阪の文化が、府民の財産として将来にわたり引き継がれるよう配慮されなければならない。

5 文化の振興に当たっては、大阪の歴史及び伝統についての理解を深めるとともに、国内外の多様な文化及び人々の価値観を理解し、尊重することにより、互いの文化の発展が図られるよう配慮されなければならない。

6 文化の振興に当たっては、府民、事業者並びに府外から通勤及び通学をする者並びに観光旅客等の幅広い意見が反映されるよう配慮されなければならない。

7 文化の振興に当たっては、大阪の文化が関西における各地域の文化とともに発展してきた歴史及び地理的条件を踏まえ、当該地域の他の地方公共団体との連携が図られなければならない。

(平二五条例一八・一部改正)

(府の責務)

第三条 府は、文化の振興に関する施策を策定し、国、他の地方公共団体、事業者及び府民と協力して、これを実施する責務を有する。

2 府は、文化の振興を推進する上で市町村が果たす役割の重要性に鑑み、市町村が文化の振興に関する施策を実施しようとする場合は、情報提供、助言その他の必要な支援の措置を講ずるよう努めるものとする。

(平二五条例一八・一部改正)

(府民の役割)

第四条 府民は、基本理念にのっとり、自主的かつ主体的な文化活動を通じて、文化を振興する役割を果たすよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第五条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を通じて、自主的かつ主体的に文化を振興する役割を果たすよう努めるものとする。

第二章 文化振興計画

(計画の策定)

第六条 知事は、文化の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画(以下「文化振興計画」という。)を策定するものとする。

2 知事は、文化振興計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 前項の規定は、文化振興計画の変更について準用する。

第三章 大阪府市文化振興会議への諮問等

(平二五条例一八・改称)

(大阪府市文化振興会議への諮問)

第七条 知事は、あらかじめ、次に掲げる事項に関して、大阪府市文化振興会議に諮問し、その意見を聴かなければならない。

 文化振興計画の策定及び変更に関すること。

 前号に掲げるもののほか、文化の振興に関する重要な施策に関すること。

(平二五条例一八・一部改正)

(府民等の意見の施策等への反映)

第八条 知事は、府民並びに府外から通勤及び通学をする者等の意見を文化の振興に関する施策の策定等又は事業の実施等に反映させるため必要があるときは、これらの者に対して、当該施策の策定等又は事業の実施等への参加及びこれらに関する意見を求めることができる。

第四章 文化の振興に関する施策

(芸術の振興)

第九条 府は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、メディア芸術(映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術をいう。)その他の芸術の振興のため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(伝統芸能の保存等)

第十条 府は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の伝統的な芸能の保存、継承及び発展が図られるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(上方演芸の保存及び振興)

第十一条 府は、上方演芸(大阪等で独自に発展してきた落語、講談、浪曲、漫才、漫談その他の演芸をいう。)の保存及び振興のため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(生活文化等の振興)

第十二条 府は、生活文化(茶道、華道、書道その他の生活に係る文化をいう。)、地域文化(祭り、言葉、食文化その他の地域に係る文化をいう。)及び国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽をいう。)を振興するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(スポーツ文化の振興)

第十三条 府は、スポーツが、人々の健康を増進し、生きがいを高め、交流等を促進する文化的な役割を果たしていることに鑑み、府民がスポーツに親しみ、楽しむことができるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(平二五条例一八・一部改正)

(学術文化の振興)

第十四条 府は、学術が文化の振興の基盤をなすことに鑑み、学術の研究の振興に努めるものとする。

(平二五条例一八・一部改正)

(文化財の保存等)

第十五条 府は、有形又は無形の文化財が適切に保存され、継承され、及び活用されるようにするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(都市の景観等の活用等)

第十六条 府は、風格ある都市の景観及び豊かな生活空間が文化の基盤をなすことに鑑み、府民の生活及び文化の反映である都市の景観、歴史的景観及び自然景観の創造及び保全を図るとともに、これらを活用するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(平二五条例一八・一部改正)

(府民等の文化活動の充実)

第十七条 府は、府民並びに府外から通勤及び通学をする者等が文化を鑑賞し、これを体験し、又はこれを創造する活動に参加する機会及び場の充実を図るため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(高齢者、障害者等の文化活動の充実)

第十八条 府は、高齢者、障害者等が行う文化活動の充実を図るため、文化に親しみ、自主的な活動が活発に行うことができるような環境の整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(子どもの文化活動の充実)

第十九条 府は、子どもが行う文化活動の充実を図るため、その心身の発達に応じた文化活動を行うことができるような環境の整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(学校教育等における文化活動の促進)

第二十条 府は、学校教育、生涯学習その他の学習の機会における文化活動を通じて、府民が文化に対する理解を深め、豊かな感性を育むことができるよう努めるものとする。

(人材等の育成)

第二十一条 府は、文化活動を担う人材及び団体の育成のため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(民間団体による文化支援活動との連携等)

第二十二条 府は、民間企業、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。)その他の民間団体による文化に対する支援活動との連携及び当該活動に対する支援に努めるものとする。

(文化の創造等に資する産業との連携)

第二十三条 府は、映像に係る産業、音楽に係る産業、放送業、出版業その他文化の創造等に資する産業との連携により文化の振興に努めるものとする。

(情報の収集及び提供)

第二十四条 府は、府民、事業者並びに府外から通勤及び通学をする者等の文化活動の推進に資するため、文化に関する情報を収集し、これを提供するように努めるものとする。

(観光旅客等の来訪及び文化交流の促進)

第二十五条 府は、国内外の地域からの観光旅客等の来訪及びこれらの地域との間の文化交流を促進するため、大阪における文化活動及び文化資源に関する情報を国内外に向けて発信することその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(顕彰の実施)

第二十六条 府は、文化活動で顕著な成果を収めた者又は文化の振興に特に功績のあった者の顕彰に努めるものとする。

(財政上の措置)

第二十七条 府は、文化の振興に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施行期日)

1 この条例は、平成十七年四月一日から施行する。

(大阪府附属機関条例の一部改正)

2 大阪府附属機関条例(昭和二十七年大阪府条例第三十九号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成二五年条例第一八号)

(施行期日)

1 この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。

大阪府文化振興条例

平成17年3月29日 条例第10号

(平成25年4月1日施行)

体系情報
第13編 教育文化/第4章 文化振興
沿革情報
平成17年3月29日 条例第10号
平成25年3月27日 条例第18号