○大阪府環境基本条例

平成六年三月二十三日

大阪府条例第五号

大阪府環境基本条例をここに公布する。

大阪府環境基本条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第五条)

第二章 豊かな環境の保全及び創造に関する基本的施策

第一節 施策の基本方針等(第六条・第七条)

第二節 環境総合計画等(第八条・第九条)

第三節 環境影響評価等(第十条・第十一条)

第四節 豊かな環境の保全及び創造を推進するための施策(第十二条―第十八条)

第五節 地球環境保全に関する施策(第十九条・第二十条)

第六節 豊かな環境の保全及び創造のための推進体制(第二十一条)

附則

人は、大地、空気、水などの限りない自然の恵みのもとで、生命を育み、歴史を刻んできた。このなかで、科学技術の発達をもとに、生活の利便性が飛躍的に高められた反面、資源の大量消費をもたらすとともに、生態系にも影響を及ぼすこととなり、生命の源である地球の環境を脅かすまでに至っている。

かけがえのない地球を守り、健全で恵み豊かな環境を保全しながら将来に引き継ぐことは、私たちの願いであり、また責務である。

大阪は、経済、文化、学術など幅広い分野で輝かしい歴史を築いてきたが、二十一世紀に向けて、自然と人間の共生する社会の実現という要請が高まる中で、人類の持続的な発展への先駆者としての役割を担っていくことが求められている。

高度に都市化が進み、人口が集中するこの大阪から、すべての人の協働により、環境に優先的に配慮し、豊かな自然と人との触れ合いが保たれ、景観や歴史などの文化の香りあふれる人と地球にやさしい都市づくりを進めることが、私たちの使命である。

良好で快適な環境を享受することは、府民の基本的な権利であり、ここに、人のこころがかよいあう豊かな環境の保全と創造に向けて、府民の総意としてこの条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、豊かな環境の保全及び創造に関し、府、事業者及び府民の責務を明らかにするとともに、豊かな環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定め、これに基づく施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の府民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。

(平二五条例四七・一部改正)

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに府民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(府の責務)

第三条 府は、豊かな環境の保全及び創造に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

2 府は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、国及び他の地方公共団体との連絡調整を緊密に行うよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第四条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に資するため必要な措置を講ずる責務を有する。

2 前項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、豊かな環境の保全及び創造に資するよう自ら積極的に努めるとともに、府又は市町村が実施する豊かな環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(平二五条例四七・旧第五条繰上)

(府民の責務)

第五条 府民は、その日常生活において、豊かな環境の保全及び創造に資するよう自ら積極的に努めるとともに、府又は市町村が実施する豊かな環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(平二五条例四七・旧第六条繰上)

第二章 豊かな環境の保全及び創造に関する基本的施策

第一節 施策の基本方針等

(施策の基本方針)

第六条 府は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる基本方針に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

 大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより人の健康の保護及び生活環境の保全を図り、府民が健康で豊かな生活を享受できる社会を実現すること。

 生態系の多様性の確保、希少な野生動植物の保護、貴重な自然環境の保全、森林、水辺地等における多様な自然環境の保全、回復及び活用、緑の創出、清らかな水環境の形成等を図り、自然と共生する豊かな環境を創造すること。

 水や緑に親しむことができる潤いと安らぎのある都市空間の形成、地域の個性を活かした美しい景観の形成、歴史的遺産の保全及び活用による歴史的文化的環境の形成等を図り、文化と伝統の香り高い環境を創造すること。

 廃棄物の減量、資源及びエネルギーの消費の抑制又は循環的な利用等が徹底される社会の構築、環境の保全に関する技術等の蓄積の活用等を図り、地球環境保全に資する環境に優しい社会を創造すること。

(平二五条例四七・旧第七条繰上)

(環境への配慮)

第七条 府は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、豊かな環境の保全及び創造を図る見地から、その影響が低減されるよう環境に十分配慮するものとする。

(平二五条例四七・旧第八条繰上)

第二節 環境総合計画等

(環境総合計画の策定)

第八条 知事は、豊かな環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「環境総合計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境総合計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 豊かな環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策の大綱

 前号に掲げるもののほか、豊かな環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 知事は、環境総合計画を策定するに当たっては、その基本的な事項についてあらかじめ大阪府環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、環境総合計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、環境総合計画の変更について準用する。

(平二五条例四七・旧第九条繰上)

(年次報告等)

第九条 知事は、毎年、府議会に、環境の状況並びに知事が豊かな環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。

2 知事は、毎年、前項の報告に係る環境の状況を考慮して、豊かな環境の保全及び創造に関して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを府議会に提出しなければならない。

(平二五条例四七・旧第十条繰上)

第三節 環境影響評価等

(環境影響評価の実施のための措置)

第十条 府は、土地の形状の変更、工作物の設置等の事業を行う事業者が、その事業の実施に伴う環境への影響についてあらかじめ適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正な配慮を行うようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

2 知事は、豊かな環境の保全及び創造を図る見地から必要があると認めるときは、前項の事業者に対して必要な指導又は助言を行うことができる。

(平二五条例四七・旧第十一条繰上)

(環境総括責任者の設置の促進)

第十一条 知事は、事業者の組織する団体と連携し、事業者が、その事業活動を行うことに伴う環境への負荷の低減に努めるとともに、その事業活動を豊かな環境の保全及び創造に資するよう総括する責任者を設置することを促進するよう努めるものとする。

(平二五条例四七・旧第十二条繰上)

第四節 豊かな環境の保全及び創造を推進するための施策

(規制の措置)

第十二条 府は、豊かな環境の保全及び創造を図るため必要があると認めるときは、必要な規制の措置を講ずるものとする。

(平二五条例四七・旧第十三条繰上)

(教育、学習等の振興)

第十三条 府は、市町村その他の関係機関と協力して、教育及び学習の振興並びに広報活動の充実により、事業者及び府民が豊かな環境の保全及び創造についての理解を深め、環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、これらの者の豊かな環境の保全及び創造に資する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

(平二五条例四七・旧第十四条繰上)

(自主的な活動の支援)

第十四条 府は、事業者、府民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)の豊かな環境の保全及び創造に資する自主的な活動を促進するため、技術的な指導又は助言その他の必要な支援の措置を講ずるものとする。

(平二五条例四七・旧第十五条繰上)

(情報の提供)

第十五条 府は、第十三条の教育及び学習の振興並びに前条の自主的な活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の豊かな環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(平二五条例四七・旧第十六条繰上・一部改正)

(調査の実施)

第十六条 府は、環境の状況の把握に関する調査その他の豊かな環境の保全及び創造に関する施策の策定に必要な調査を実施するものとする。

(平二五条例四七・旧第十七条繰上)

(試験研究体制の整備等)

第十七条 府は、豊かな環境の保全及び創造に資する技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(平二五条例四七・旧第十八条繰上)

(財政上の措置)

第十八条 府は、豊かな環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(平二五条例四七・旧第十九条繰上)

第五節 地球環境保全に関する施策

(地球環境保全に資する行動指針の策定等)

第十九条 府は、府、市町村、事業者及び府民がそれぞれの役割に応じて地球環境保全に資するよう行動するための指針を定め、その普及及び啓発に努めるとともに、これに基づく行動を推進するものとする。

(平二五条例四七・旧第二十条繰上)

(地球環境保全に関する調査研究等)

第二十条 府は、国際機関、国、他の地方公共団体及び民間団体等その他の関係機関と協力して、地球環境保全に関する調査研究、環境の状況の監視、観測及び測定、開発途上にある海外の地域等への環境の保全に関する技術等の提供等に努めるものとする。

(平二五条例四七・旧第二十一条繰上)

第六節 豊かな環境の保全及び創造のための推進体制

第二十一条 府は、その機関相互の緊密な連携及び施策の調整を図り、豊かな環境の保全及び創造に関する施策を推進するための体制を整備するものとする。

2 府は、市町村、事業者、府民及び民間団体等との協働により、豊かな環境の保全及び創造に関する施策を積極的に推進するための体制を整備するものとする。

(平二五条例四七・旧第二十二条繰上)

(施行期日)

1 この条例は、平成六年四月一日から施行する。ただし、第九条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定は、平成六年八月一日から施行する。

(大阪府公害防止条例の一部改正)

2 大阪府公害防止条例(昭和四十六年大阪府条例第一号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成二五年条例第四七号)

この条例は、公布の日から施行する。

大阪府環境基本条例

平成6年3月23日 条例第5号

(平成25年3月27日施行)

体系情報
第4編 環境保全/第1章
沿革情報
平成6年3月23日 条例第5号
平成25年3月27日 条例第47号