泉州普及だより 令和6年10月発行 第114号 施設水なす栽培における青枯病の防除(土壌還元消毒) 青枯病とは 高温時に発生が多発する土壌伝染性病害です。 発症初期は、一部の葉が青いまましおれますが、 その後、株全体がしおれ、枯死します。 病原菌の密度が高いのは地表から深さ40cmまでであり、土壌中で数年間は生存するため、長期間被害が発生する可能性がある危険な病害の一つです。 土壌還元消毒とは 有機物を土壌に混和してかん水し、ビニールで土壌表面を被覆して 空気の流入を遮断しながら、高い地温を維持する土壌消毒方法 ①土壌中の微生物が有機物を食べ、増殖 ②微生物が酸素を消費。土壌は酸欠(還元)状態 ③青枯病菌、褐色根腐病菌やセンチュウ等の病害虫が死滅 土壌還元消毒における新規資材と他資材との比較 【新規資材のメリット】 ・消毒時のにおいが少なく、住宅地が近い大阪のほ場でも使いやすい。 ・消毒効果が土壌深くまで及ぶ。 【新規資材のデメリット】 ・費用が高い。  糖含有珪藻土「かんげん丸®」 イノチオホールディングス株式会社 (今年度、青枯病が発生したほ場(泉佐野市)で試験した資材) 【内容物】コーンスターチ由来の糖類、ろ過助剤  ・食品由来の未利用資源を活用   →作業者や環境への負担が少ない  ・水溶性の糖類を多く含む    微生物の餌となる糖類が深層に到達する   →深層に潜む土壌病害虫にも効果がある  ・窒素分をほとんど含まない   →資材による生育への大きな影響はない 【①資材散布手順】 1.ほ場内を片付け、トラクターで耕耘 2.かんげん丸®800kg/10aを均一に散布 3.ほ場全体を耕耘し、かんげん丸を土壌混和 4.耕耘後は土壌を鎮圧し、平らにする 【②かん水・被覆手順】 1.一定間隔でかん水チューブを敷設 2.土壌表面が湿る程度に予備かん水を実施 3.被覆資材を広げ、周囲を押さえる 4.10aあたり100~200tをかん水する 結果 ・消毒後、地表から40cmの深さまで青枯病病原菌は検出されなかった。  →青枯病の防除に高い効果があると考えられる。 ・かん水により、硝酸態窒素量が大きく減少した。  →定植前に土壌分析を行い、施肥設計を見直す必要がある。 注意点 ・作土層の深さが30㎝未満の場合は費用対効果が低い。 ・十分なかん水量(100~200t/10a)が必要となる。 ・かん水後3日間以上は晴天が続く日に、消毒を開始する。 新規就農を目指して! 水なす+きくなアカデミー3期生修了・4期生受講中! 府では、新規就農者の確保を目的に、地域の ベテラン農家による栽培技術実習を中心とした研修である、『大阪産(もん)スタートアカデミー』を開講しています。 泉州農の普及課では、「水なす+きくなアカデミー」を実施しており、令和6年8月25日に3期生 7名の修了式を行いました。 今年度は4期生2名が新規就農に向けて研修を受講しています。