第15回 大阪府男女共同参画審議会 概要
開催日時:平成17年7月19日 火曜日 17時から18時30分
場 所:KKR HOTEL OSAKA 2階 琴の間
出席委員:会 長 徳矢 典子 弁護士
会長代理 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
足立 眞理子 大阪府立大学大学院人間社会学研究科教授
奥林 康司 摂南大学経営情報学部教授
木戸口 公一 大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部長
竹中 恵美子 大阪府立女性総合センター館長
畑 律江 毎日新聞社学芸部編集委員
福島 伸一 松下電器産業株式会社取締役
村上 正直 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
脇本 ちよみ 日本労働組合総連合会大阪府連合会副事務局長
会議の概要:
1 開 会
2 議 事(注:文中「主な発言等」における〇印は委員、●印は事務局によるもの。)
(1)「おおさか男女共同参画プラン」の改訂に関する基本的な考え方について(素案)
1 事務局説明【資料1、2】
2 主な発言等(注:文中記載のページは、原則として資料1のもの)
○「参考資料一覧」(P9)だが、本審議会答申で示した基本的な指標や、プランの指標もあ
れば、そのいずれでもない「合計特殊出生率」といったものも入っている。これらの指
標はどういう趣旨で取り上げたものか。
● 平成15年12月の答申でお示しいただいた基本的な指標は、男女共同参画という数値で
表すことが難しい現状を、より分かりやすく表すための最も基本的な指標として掲げら
れたものである。それ以外に、例えば、合計特殊出生率の推移などは、これまでの議論
の中で、少子社会というものが来るという前提で、施策のあり方を考えることも必要だ
というお話があったが、そうした議論の参考となるようお示ししたものもある。
〇 P7の「おわりに」だが、もう少し、この間の時代認識の変化を明確に記したほうがよ
い。それと、プラン策定後の現状と変化(P2から)を見ると、女性の意識があまり変わっ
ていないという結果になっているように思う。改訂項目の一つ、「女性のチャレンジ支
援の推進」(P6)に、女性自身も積極的に社会の変革にコミットしていく、または、その
ための取組が大事だというような視点を書き加えてはどうか。
〇 直接いろいろな女性と接している立場から言うと、(女性の意識は)この間大きく変
わったと思う。NPOや市民グループなどの新しい動きが入っていないので、その辺が
浮き彫りになっていないのではないか。
それと、「男女共同参画に向けての意識形成への取組」(P4)で、ドーンセンター情報
ライブラリーの関連資料等が多くなったと書かれているが、この間情報の活用能力を高
めるための取組を積極的に行ってきているので、そういう質的な変化も取り上げられた
い。
次に、「1 社会情勢の変化に対応させるための改訂」(P5)でまず<男女共同参画の
視点にたった次世代育成支援>が出ているが、社会情勢の変化でいうと、経済のグロー
バル化の中で、雇用形態が多様化してきているという現状があり、それが、とりわけ女
性に際立って表れているということがある。いきなり次世代育成支援から始めるのでは
なく、そういったことにどう取り組むかというような項目がまず必要ではないか。
それと、「施策の推進にあたっては、・・・、働き方や職場環境の問題といったソフト
の視点も欠かすことができません。」(P5、下から14行目)とあるが、「ソフトの視点」と
いう言葉遣いについて一考が必要である。また、「家庭と仕事の両立」は、女性のみの
問題としてとらえることなく、・・・男女がともに考 える視点が重要です。」(P5、下か
ら6行目)とあるが、「家庭と仕事の両立」は男女両性の問題であると、言いきったほ
うがいいのではないか。
それから、P6の<男女共同参画の基盤となる男女の人権の尊重>のところで、「・・、男
女の性差を踏まえたうえで、その健康をサポートしていくことが求められています。」
(P6、上から13行目)とあるが、これは「性差医療」のことを意味しているのか。
● はい。
○ そうであれば、「性差医療」のことだとはっきると分かるように記したほうがよい。
それと、政府の基本計画改定「中間整理」のポイント(資料2)の一番最後のページ
の「推進体制の整備・強化」で、「女性のチャレンジ支援」における女性センターの拠
点施設としての役割の重要性が記載されている。ドーンセンターについても、NPOと
の協働のモデル施設という位置づけをもって、中核施設として果たす役割、さらには、
ドーンセンターのいろいろな資源を府の政策に還元していくという役割を担っていると
いうことについても加えていただけたらと思う。
○ 恐らく「性差医療」という言葉が分かりにくいので、原案のように記載されたのだと
思うが、政府の資料に「性差に応じた的確な医療である性差医療を推進」(資料2、P10)
とあるように、説明を加えたうえで、「性差医療」という言葉を使ったほうが分かりや
すいのではないか。
P6の<女性のチャレンジ支援策の推進>で、上へのチャレンジ、横へのチャレンジ、再
チャレンジが出ているが、意思・政策決定に関わるという意味での「上」というのが、
どうも出世主義的イメージで捉えられやすく、政府も「上へのチャレンジ」というよう
に括弧をつけて使っている。府としても工夫が必要である。
あと、今回の政府の中間報告(資料2参照)の柱の一つに、女性研究者の採用等拡大の
問題がある。府として書くのは難しいだろうが、啓発的なことでもどこかで提案できた
らと思う。
○ 基本的に医療というのは、「テーラーメード医療」と言われるように、その個々人の特
質や性質を分析するところから始まる。性はその一つであって、例えば年齢によっても
違う。表現としては原案でもいいとは思うが、「性差医療」というのは、女性外来をつく
ればそれでいいという問題ではないということを認識して記載することが大事である。
それから、男女共同参画プランは成人を意識して書かれたもののように思える。思春
期以前の子どもたちや乳幼児の視点に合わせた教育も大事である。また、P6に、教育に
ついて少し触れられているが、大事なのは、高学歴を得るということではなくて、教育
の質である。そういう表現がどこかに加えられないかと思う。
あと、インターネット時代の中で、メディアにおいて非常に、女性が差別されたり、
尊厳を踏みにじられているようなケースが見受けられる。メディアによる表現が、思春
期の男女に、ステレオタイプとして植え付けられている可能性もあるので、<新たな社
会問題への対応>に、メディアの中の男女共同参画について加えて欲しいと思う。
○ 次世代育成支援のところ(P5)で、例えば、「・・・、特に女性に「非正規就業者」が多
くなっているなどの問題もあります。」(P5、下から8行目)とあるが、これに対してど
ういう考え方を持っているのかを明瞭にしておかないと、突き放された感じがする。大
阪府だけでやれることではないので何とも言えないのだろうが、例えば、国の資料(資
料2、P5)では「短時間正社員」や「フレックスタイム制」のことが入っていたり、「パ
ートタイム労働者の雇用管理の改善については、今後とも必要な法的措置が着実に行わ
れていくべきという前提の下に」というような書き方をしている。そういう表現が必要
ではないか。
あと、先ほどのメディアの件だが、メディアについて言おうとすると、すぐに表現の
自由の問題と抵触してきて難しい。例えば、国際的な人身売買防止とか、新たなメディ
アを利用した児童への虐待など、<新たな社会問題への対応>(P6)のところに入れると
いうことも考えられる。
○ この計画が出されてからの5年間は、社会情勢、特に雇用情勢の、大きな変化の時期
だったのではないかと思う。そういう意味で、P5の次世代育成支援の考えが出てくる背
景そのもの、即ち、経済のグローバル化の中での雇用形態の多様化とか、男性の長時間
労働、過労死の問題など男性側に表れている問題点も含めて、もう少し書き込んでいく
必要がある。
教育の問題も、非常に大きな課題であり、もう少し書き込んでいただければと思う。
小学校よりも中学校、中学校よりも高校になるにしたがい、子どもたちが就職や働くこ
とについて、意欲をなくしているということも言われている。世の中が見えるにしたが
い、女性にあきらめのようなものが出てくるという指摘もある。
○ P6の<新たな社会問題への対応>で、「人身売買」という言葉を使っているが、政府
は「人身取引」という使い方をしている。法律的に正確に言おうとすると「取引」にな
るかもしれないし、従来から一般に使っているのは「人身売買」という言葉である。こ
の点をどうするか、決めたほうがいいかもしれない。それと、この「人身取引」、「人
身売買」の問題については、刑法の改正・施行などもあったところである。啓発だけで
はなく、警察職員も含んだ、法を執行する立場にある人の教育訓練や、被害者の保護の
問題など、もう少し強調したほうが、時代の動きにマッチするように思う。
それから、原案に「女性差別撤廃条約」のことが出ていない。国の資料に「女性差別
撤廃条約の国内実施強化」(資料2、P13)というのがあるが、計画策定後の2003年、
女性差別撤廃委員会が日本に対して勧告を出しているので、その趣旨を踏まえてサポー
トしていく、というような言葉があってもいいように思う。直接差別の問題や間接差別
の問題は、国でも問題になっており、大阪府としてもどういう態度をとるかということ
をそろそろ決めなければならない時期にきている気もする。また、国の資料には「国際
規範・基準の国内への更なる浸透」(資料2、P13)とあるが、男女差別や女性の権利、男
女共同参画というのは、国際社会の動きに応じて変わってきた面もあるので、国際社会
のことも、もう少し入れてはどうかと思う。
○ まず、今回の改訂の目玉は何かである。5年間で、ここは少し前進したが、ここは足
りないといったことや、こんなグローバルな変化があった、ということを踏まえて、重
点施策を打ち出していく必要がある。今後、大阪府として、具体的なアクション・プラ
ンといったものを出されると思うが、改訂の目玉は何かということを、もう少しはっき
りさせておいたほうがよい。
二点目は、この答申書は、誰を一番念頭に置いて出すのか、(民間で言えば)お客様
は誰かということである。それは、府民である。一点目と同様だが、府民から見たとき
に何がどう変わるのか、これで大阪府はよくなるのか、ということが分かるように、整
理することが大事である。
もう一つは、P7の「おわりに」のところだが、やはり目指すべきものは、府民一人ひ
とりがいきいきわくわく豊かに暮らす、ということではないかと思う。「おわりに」の
ところで、もう少し、府民一人ひとりに、こういういろいろな焦点を当てているという
のを打ち出したほうがよい。
●「人身売買」という用語については、国の資料(資料2、P9)では「人身取引」とされて
いるが、より府民にとって分かりやすいだろうということで、「人身売買」を使ったも
のである。用語の使い方については、先生方のご意見を伺い、本審議会としての考え方
ということで統一したい。
○ 政府は「人身取引」で通すつもりのようなので、今後この言葉が広まっていく可能性
もある。「人身取引(人身売買)」と括弧書きするのはどうか。
○ 本来の言葉は「トラフィッキング」で「不正取引」ということなので、やはり「人身
取引」のほうがいいのではないか。
● それでは、「人身取引」という言葉を用いることとしたい。ご意見をいただいた点に
ついては、再度事務局の方で検討しお示ししたい。事務局としては、次回審議会で、予
定どおり答申をいただきたいと考えている。今回のご意見を反映させたものについて、
事前に各先生方にご意見を伺ったうえで、次回答申(案)の最終審議をしていただき、答
申をいただくということで差し支えないか。
○(各委員了承)
(2) その他 次回審議会は9月上旬頃に開催予定。
3 閉 会
配付資料等:
資料1 「おおさか男女共同参画プラン」の改訂に関する基本的な考え方について(素案) [PDFファイル/667KB]
このページの作成所属
府民文化部 男女参画・府民協働課 男女共同参画グループ
ここまで本文です。