パンフレット「犯罪被害について考えてみましょう」概略版

更新日:2021年10月15日

犯罪被害について考えてみましょう

はじめに

 大阪府では、学校などにおいて、児童生徒、先生、保護者等を対象に、被害者遺族の方々が自らの体験や心情等を語ることを通じ、命の大切さ、かけがえのなさを考える機会を提供しています。それが、みなさんにご参加いただく「命の大切さを考える講演会」です。
 みなさんは「犯罪被害」と聞いて、どんなことをイメージしますか? 犯人のことはニュースでたくさん報道されていますが、被害者のことはあまり報道されていないので、分からないという人もいるかもしれません。
 犯罪の被害者はどんな気持ちでいるのでしょうか。どんなことに困っているのでしょうか。もし、身近な人が犯罪の被害に巻きこまれてしまったら? 私たちにできることはあるのでしょうか。
 講演を聞いて、また、このパンフレットを読んで、一緒に考えてみませんか?

※このパンフレットは、内閣府が作成した犯罪被害者等に関する児童・生徒向け啓発用教材「友達が被害者になったら」(外部サイト)を参考に作成しています。犯罪被害者等についてより理解を深めたい方はこちらをご覧ください。
 
※犯罪被害者とその家族の意識に関わる設問や調査結果は、内閣府が実施した「平成20年度犯罪被害者等に関する国民意識調査」(外部サイト)の集計結果をもとにしています。

「犯罪被害」ってどんなことだろう?

 あなたは「犯罪被害」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか。
 どんな犯罪の被害にあうのでしょうか。

さまざまな犯罪被害

 日本では、どんな犯罪がどれくらい起こっているのでしょうか。令和元年に警察に届けられた犯罪のうち、窃盗、交通事故、物を壊すこと、殺人・暴力など、性に関する犯罪、放火の件数は次のとおりです。このほかにも、脅迫や恐喝などの犯罪があり、それらを合計したすべての犯罪の発生件数は、1年間に約1,117,700件にもなります。それだけ多くの方が「被害者」になっているのです。

日本で起こっている犯罪の件数
窃盗

約532,600件

交通事故(自動車運転過失致死傷等と危険運転致死傷)

約369,200件

ものを壊すこと(器物損壊)

約71,700件

殺人・暴力など(殺人、強盗、傷害、暴行)

約53,900件

性に関する犯罪(強制性交等、強制わいせつ、公然わいせつ、わいせつ物頒布等)

約9,800件

放火(放火、失火)

約1,100件

法務総合研究所「令和2年版 犯罪白書」より

  交通事故にあった人や、自分のお金やものを盗まれた人も、犯罪の被害者です。
  ほかにも放火や詐欺などさまざまな犯罪があり、それらの被害者は皆、事件により大変なショックを受けています。

家族も傷ついています

 犯罪が起きたときに、傷つけられたり、命を落とした人を「被害者」といいます。さらに、その家族や周囲の人も、同じように傷ついている被害者です。
 大切な家族が、突然の犯罪によって命を失ったとき、それを受け入れるのは大変難しいことです。命が助かったとしても、ケガをして苦しんでいる被害者を前にして、家族も同じくらい悩み苦しむことになります。

 犯罪の被害を直接受けた本人だけでなく、その家族も苦しんでいる被害者であることを、忘れないでください。

被害にあうとどんなことを経験するんだろう

 被害者は、被害を受けたこと以外にも、生活をする中でさまざまなつらいことを経験します。
 どんな思いを抱き、どんなことを経験すると思いますか?

事件後、経験すること

 被害者に「事件後どのようなことが起きましたか」と聞きました。

犯罪被害者等の状況

被害者本人

被害者の家族

友人や知り合いから無神経なはげましを受けた 

26.1%

27.8%

捜査のときに気配りのない対応をされた

24.1%

20.6%

加害者から謝罪を受けた

22.4%

38.4%

捜査や裁判に関わったり、意見を言ったりした

18.8%

14.0%

家族がぎくしゃくした

15.6%

16.9%

心や体の不調や、裁判によって
仕事を続けられなくなった

11.6%

9.7%

地域で無責任なうわさを立てられた

11.1%

10.3%

事件のことをめずらしがられて
近所の人からジロジロ見られた

11.1%

12.6%

自分の意志にかかわりなく、捜査や裁判がすすめられた

8.8%

16.0%

裁判所で気配りのない対応をされた

6.5%

9.2%

地域の人々から距離をおかれた

4.3%

5.2%

まちがった報道をされた

3.0%

4.0%


 事件によって、犯罪の被害にあった人やその家族の生活が変わってしまうことが分かります。

 犯罪被害にあうと、心に深い傷を負いながらも、捜査や裁判など、さまざまなことに関わらなければなりません。
 今まで経験したことのない複雑な手続きをしたり、多くの人に事件について話したりすることは被害者にとって大きな負担です。

さまざまな思い

 犯罪被害者に被害後の状況や心境について聞きました。

事件後の状況や心境

被害者本人

被害者の家族

不安な気持ちになった

73.1%

65.6%

落ちこんだ

72.1%

68.8%

気持ちが不安定になった

62.8%

52.4%

被害にあった自分の状態をわかってほしいと思った

61.6%

55.9%

事件のことは忘れたいと思った

55.0%

46.4%

加害者に恐怖心をいだいた

54.8%

39.5%

誰かにそばにいてほしいと思った

52.0%

44.7%

外出したくないと思った

48.5%

33.2%

眠れなかったり食欲がなくなったりして体をこわした

46.0%

38.4%

自分の気持ちは誰にもわかってもらえないと思った

45.5%

32.1%

孤独だと感じるようになった

37.9%

25.5%

自分を責めた

37.2%

30.9%

将来の夢や希望を持てずにいた

31.4%

25.8%

ひとりにしてほしいと思った

30.2%

19.8%


 「不安な気持ちになった」「自分を責めた」など、被害者がさまざまなつらい気持ちを抱えていることが分かります。
 また、被害者は周囲の人に心を閉ざす一方で、信頼できる人に話をきいてもらいたい、自分の気持ちを理解してほしいという思いがあり、複雑な心のうちが読みとれます。

あなたなら、何をしてほしいと思うだろう?

 被害者が、周囲に「こうしてほしい」、「手伝ってほしい」と思っていることがあるとしたら、それはどんなことでしょうか。もし自分が被害者だったら…と想像して選んでみましょう。また、友達が被害者だったら、友達に何をしたいと思いますか。

ア 事件の相談相手
イ 警察や裁判所へ行くときの手助け、付きそい
ウ 病院への付きそい
エ 家事や買い物の手伝い
オ ふだんの話し相手
カ そっとしておく

してほしいと思うこと

 被害者に、事件にあった後の生活で必要だった支援は何かを聞きました。

被害にあった人は、こんなことをしてほしいと思っています

事件直後

半年程度経過後

事件の相談相手

32.2%18.8%
警察との応対の手助け、付きそい27.8%10.9%
そっとしておいてもらうこと26.8%29.6%
病院への付きそい22.3%10.9%
プライバシーなどへの気配り21.0%17.2%
ふだんの話し相手19.5%21.6%
家事や買い物の手伝い19.0%11.9%
気持ちが立ち直ることへのはげまし・手助け17.1%17.6%
家族の世話10.4%6.2%
被害者を支援する団体の紹介3.1%4.1%
裁判所へ行くときの付きそい2.8%2.8%
マスコミとの応対の手助け1.3%1.1%
その他4.0%2.9%
政府や役所からの支援が重要4.9%7.2%
特になし11.7%22.2%
半年経過していない-3.4%

 「事件の相談相手」、「警察との応対の手助け、付き添い」など事件に関わることのほかに、「そっとしておいてもらうこと」、「ふだんの話し相手」など事件から離れた日常生活のことでも支援や配慮を必要としていることがわかります。

声をかけられたときの気持ち ホッとする言葉・傷つく言葉

気分が楽になったこと
事件のことにはふれないでいつもどおり接される

46.9%

「つらかったでしょう」などの同情の言葉をかけられる

17.8%

「運が悪かった」などと偶然を強調される

17.6%

「がんばってね」などと軽い感じにはげまされる

14.5%

被害者を見守ろうとあえて距離をおかれる

8.0%

「早く忘れなさい」など、忘れるように言われる

7.4%

「いつまで落ち込んでいるんだ」などとはげまされる

2.6%

その他

5.9%

この中にはひとつもない

19.6%


傷つけられたこと
「いつまで落ち込んでいるんだ」などとはげまされる

22.2%

「運が悪かった」などと偶然を強調される

17.9%

「早く忘れなさい」など、忘れるように言われる

11.6%

「つらかったでしょう」などの同情の言葉をかけられる

9.0%

「がんばってね」などと軽い感じにはげまされる

8.4%

事件のことにはふれないでいつもどおり接される

5.9%

被害者を見守ろうとあえて距離をおかれる

4.9%

その他

8.8%


 周りの人がはげますつもりで言った言葉でも、被害にあって苦しんでいる人は、さらにつらい気持ちになることがあるのですね。

おわりに

 被害者は落ちこんで悩んでいたとしても、決して「弱い存在」ではありません。被害者を「助ける」という考え方ではなく、その人の気持ちやその人に起こっている出来事をよく考え、相手に寄り添う気持ちが大切です。
 それは、あなたにとって、いつもどおりに接することかもしれませんし、そっとしておくことかもしれません。相手の話に耳をかたむけることかもしれません。

 自分が相手のためにどうすればよいか考え、少しずつ行動してみましょう。

 もし、被害にあってもひとりで悩まないで。相談できる人がいることを忘れないでください。(相談窓口



このページの作成所属
政策企画部 危機管理室治安対策課 支援推進グループ

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