和泉市 寺田遺跡現地公開資料

はじめに

寺田遺跡は、大阪府和泉市寺田町に所在する遺跡です。府営和泉寺田住宅建替え工事に先立ち、発掘調査を実施しています。本調査は、平成16年度、平成19、20年度に続くものです。計３次、面積にして約7000平方メートルを調査した成果によって、この遺跡の様相がかなり明らかになりつつあります。第3次調査の成果を中心に寺田遺跡の具体像について説明いたします。

これまでの調査

第１次（平成16年度）：多数の竪穴建物、掘立柱建物（ほったてばしらたてもの）、井戸、溝などとともに大量の土器が出土し、この遺跡が古墳時代中期（５世紀）を中心とした規模の大きな集落であることが明らかとなりました。鉄滓（てっさい）など、鍛冶を行なっていた痕跡が認められる点も重要です。
第２次（平成19・20年度）：平成16年度調査区から南西へ約100メートルほど離れた地点にあたりますが、古墳時代中期の遺構はほとんど認められず、さらに古い弥生時代の竪穴建物が検出されました。

今回の調査成果

１区の調査成果

２区の調査成果

２棟以上の掘立柱建物（ほったてばしらたてもの）、６棟以上の竪穴建物、溝、井戸、土坑（どこう）、落ち込みなどを検出しました。これまでの調査成果と総合すると集落中心部（北東）から縁辺（南西）にかけての建物や施設の配置が確認できました。

• 竪穴建物Ａ：約６メートル四方を測りこれまでに寺田遺跡で知られているものの中でも特に大きい建物です。
• 竪穴建物Ｃ・D・E・Ｆ：一辺３から２メートルを測る小型のもので、内部に柱穴がないことから、簡単な構造の建物が建てられていたと考えられます。日常居住するというよりは、作業小屋あるいは工房のような性格を持っていたのではないかと推測されます。
• 掘立柱建物（ほったてばしらたてもの）Ａ（３間×３間）：柱穴の痕跡から、特に太い柱を地下深く据えたことが分かります。底には柱の沈み込みを防ぐため、礎板（そばん）という板が敷かれていました。総柱（そうばしら・建物内部にも柱がある）であることも併せて考えると重いものをしまうことのできる倉庫と思われます。
• 溝Ａ：集落の内部を区切る溝です。埋土から和歌山県で採れる片岩（へんがん）の板材が出土しました。片岩（へんがん）は玉の材料とする場合のある石材です。
• 落ち込み：５世紀中ごろ、集落内部の窪地状の地形（落ち込みＡ）に土器などが捨てらています。５世紀後半にこれを一部掘り込んで落ち込みＢが形成されました。中からは多量の土器が出土しました。
• 流路：第１次調査および今回の調査の１区を流れる流路の一部を検出しました。
• 井戸：地面を水が湧く層まで掘りぬいた素掘り井戸です。現在でも水が湧いてきます。

３区の調査成果

５棟以上の掘立柱建物（ほったてばしらたてもの）、溝、土坑（どこう）を検出しました。集落中心部の状況を知ることができました。