平成23年度第1回文化振興会議議事要旨

更新日:2013年2月25日

 平成23年度第1回大阪府文化振興会議 議事要旨

1.日時  平成23年5月12日(木曜日)午後6時から7時30分

2.場所  さいかくホール(大阪府庁新別館北館1階) 

3.議題

(1)文化振興新戦略の検証・評価システムについて

【資料説明(事務局)】

【意見交換】

<委員>
○ 二次評価に府民の意見を取り入れると、数字の上では悪い評価となっても、そのことから、府民が文化を正当にわかるようになれば、文化振興にとっていい結果につながるのでは。

<委員>
○ 今ツイッターや、ソーシャルネットワーキングというメディアが若い人たちの間で広まっている。例えば、ツイッターでどのぐらいリツイートされたかという数は非常に明確で、良い、悪い、いろいろな意見が混在するが、リツイート数が多いのは、話題性があるという明確な指標であり、評価の一部としてあればいい。

<委員>
○ ツイッター(リツイート)の客観性は担保されるのか。

<委員>
○ アンケートは統計学的に正しい手法だが、どこで、どういう質問するかにより結果が全く変わってくる。例えば、「大阪の都市全体が活動の発表の場になっていると思いますか」では、「全体」ではないと引っかかり、マイナスに回答する人もいる。また、イベントに来ている人というのは、興味があるから来ている人と、そうでない人では全く違う回答となる。
○ アンケートは、指標として非常にいいが、数字が落ちたからといって、それだけで判断していいか、考えるべき。

<委員>
○ 一次評価のもっと前の話かもしれないが、府民の視点で、アンケートの項目をもう少し精査できないか。例えば、木津川遊歩道空間の整備は、景観がよくなった、安らぎを与えられた、とても安全になったなど、利用者の気持ちも含め、評価すべき。

<委員>
○ アウトカムの社会的公益性は、パブリックインタレスト、パブリックベネフィットの2通りの公益性がある。検証評価シート案の「社会に有益な変化をもたらしているか」の有益性は2つに分かれていることの認識を。例えば、おおさかカンヴァス推進事業(以下「カンヴァス事業」)、水辺の賑わいなどは、都市政策としての都市全体の格を上げる事業で、パブリックインタレストとなり、最終的に府民全体の経済的利益、幸せにつながる。また、障がい者のための芸術支援事業など、ソーシャルマイノリティーを対象とした芸術支援策は、パブリックベネフィットとなり、より社会的に公正に、いかなる人にも芸術表現のチャンスを保障すべきという意味での価値となる。
○ アウトカムとは、「風が吹けば桶屋が儲かる」というような、すそ広がりのものであり、どの効果を選ぶかによってアウトカム測定の仕方は変わるので、もっと工夫や精密な議論が必要。例えば、カンヴァス事業は、「良かった」と思う人の数をもってアウトカムとするのか、事業を通じてアートに対する熱意を高め、最終的に芸術家へ成長した人の数で、かなり長期のアウトカムとするのか。
  短期のアウトカムか、中期・長期のアウトカムかによっても、最終のアウトカムは変わる。大阪文化振興新戦略(以下「新戦略」)のアウトカムはいずれも、かなり長期の指標であり、数年たたないと成果が出ないものを、わずか2年で達成するのは至難の業。もう少し短期的な指標を前に入れるべきでは。
 文化に関するアウトカムは、外的要因である経済変動にかなり左右されるので、中長期の設定が妥当。
○ 現在の府民に支持される文化行政と言うと、不適切な言い方かもしれないが、大衆迎合主義に近くなってしまう。府民本意という言葉のもとにアンケートによる数値を金科玉条とすると、短期的な人気のところが好結果となり危険。アートとは、未来への挑戦であり、革新性、あるいは創造性をいかに担保するかは、十分検討する必要がある。

<委員>
○ 社会的公正性の評価を、有識者会議で行うことは大変正しいことだと思うが、有識者会議の可視性、透明性をどのように担保するか。委員の選任については、イギリス芸術評議会での委員とアーティストの馴合いのようにならないよう、再任はないとか、任期は2期までといった仕組みが必要。

<事務局>
○ すべての有識者会議をオープンにする。委員の選任は行政で行うが、後任について相談する場合には、既得権益化しないよう注意する。

<委員>
○ アーツカウンシルのような、予算配分の権限は有識者会議にはなく、事業評価について、その公金を受けている人が評価側に入ることはありえず、客観的評価ができる人が個別に入る。この会議は有識者会議の上に位置づけられており、何かあればこの会議で議論をすればいい。逆に、有識者会議を設定していない事業等は、この会議がその役割を担うというのが原案。

<委員>
○ 今回の地震を機に、エンターテイメントの世界と同様に、文化活動でも、東京と大阪の二極化が今後進んでいき、大阪も文化の中心となっていくのではないか。

<委員>
○ 新戦略の中でも、アーティストが目指す都市をつくると言っており、震災後の状況を踏まえ、次期新戦略の検討に際して、大阪府は日本全体を視野に入れ、文化行政を進めてほしい。

<委員>
○ カンヴァス事業であれば、二次評価では、世界中からアーティストが集まってくる都市には、どういう要素がないといけないのか、そのことに、この事業が近づいているのかという視点で評価しないといけないのでは。
○ 新戦略のアウトカム6項目に関しては、アンケートを実施する中で、いろいろと経済変動の影響もあり、達成数値がなかなか上がらない場合、その原因等を議論して、次の施策や、事業の改編の中にどのように盛り込んでいくかが重要では。
○ 二次評価を行う際の、あくまでもバックデータとして活用するため、可能な範囲でいろいろな情報を集めることが今の時代は必要ではないか。
○ 日本全体の中での大阪の役割を考えていく際に、府民の立場だけでなく、府外の人が大阪をどう見ているかも重要であり、そうした視点も二次評価の中に盛り込んでいけるのではないか。

<委員>
○ 本日は、まだ、評価の仕組みを提案されているところであり、例えば、カンヴァス事業は、「大阪のまちを使いこなす」という戦略(1)の中で、パブリックな場所が利用されているかどうかで評価しようというのが提案されているだけだが、4つの理念(新戦略の社会を支える文化、都市全体に開かれた文化、攻める文化、アーティストが目指す都市)のどれとどれが、個別事業において当てはまるのか、または重要なのか、有識者会議や、この会議で議論できるようになればと思う。

<委員>
○ カンヴァス事業は、海外からアーティストが来るためには、府民の評価と同時に海外からの評価をどう得るか。大阪から世界へ、世界から大阪へという仕組みをつくっていくこと。
○ 日本のいろいろなシーンを支えているアーティストの中には関西出身も大勢おられるが、今後、それを目指していく人たちが府域から流出しないような環境づくりも必要。

<委員>
○ この会議を、例えば、ユーストリームで流すのは可能か。そうすると、会議に関心のある方がどの程度いるか見ることができ、同時にツイッターで意見を求めて流していくと、各意見にすぐリツィートが入ってきて、透明性や、多様な意見を集めるのに効果的。

<事務局>
○ ユーストリームでは、情報公開はしておらず、公開の方法として使えるかどうか検討しないとわからない。現時点の公開方法としてはホームページへ概要を登載している。

<委員>
○ ソーシャルメディアというのが震災でも注目され、どんどん社会の中に浸透する中で、震災を教訓にして大阪が文化面でどう動くのか。例えば、美術館が震災で倒壊したときに美術品や、街の遺産をどう守っていくのかということも、専門家の中で関心が高まっており、文化のあり方を考えるに値するのではないか。

<委員>
○ 原案では、一次評価は事業所管課で評価をし、二次評価は有識者会議あるいはこの会議で評価をする。
経済性の評価・効率性の評価を主に一次評価は数値等で行った上で、定性的な有効性とか妥当性の評価等を二次評価で行い、改善ないしは、スクラップ&ビルドや新規事業創出に向けての議論を始める、という二段階の評価には異論はなかったと思う。
どんなデータを集めるかとか、市民参加のあり方等については、委員の中でも意見がいろいろあったということだったと思う。
○ アウトカムに関しては、中長期としては、およそ原案のようになるのだろうが、項目そのものに関して、短期の項目ないしは、もう少しここは精査すべきところだと思う。3ヵ年の設定目標を2ヵ年度目で評価して次期3ヵ年を考えるというスタンス自体に、現在のアウトカムの指標が沿うかどうか。
個別指標については、改定の段階でもう一度議論すべきではなかろうかということだったと思う。
○ 大阪が日本の文化を背負う覚悟をもつ、そういう視点で、次期「新戦略」の準備に入るようにというご指摘は、重要と思う。

<委員>
○ 大阪は、文化施設一つにしても東京と比べ充実していないが、日本の文化を背負えるよう、今から対応すべきと思う。

<委員>
○ 次期新戦略において、もう少し指標の加工・工夫を。プロ・アマを問わず、実際に芸術的な活動、美術や工芸などを自らやっている人の割合を入れて欲しい。
  文化に関して何らかの団体活動に関わっているかどうかは、文化活動がしやすいかどうかを判断できる重要な指標。
○ 平田オリザ氏を中心として劇場法制定の動きがあり(文化庁の専門部会での議論が東日本大震災で先送り)、次期新戦略の検討の際、視野に入れる必要がある。
  平田氏が考える劇場法構想は、1類、2類、3類と分け、1類は年間2、3本の作品制作ができ、それだけのスタッフや機能、億円単位の予算を有する劇場。2類は、複数館により予算とスタッフを合わせたら年間2、3本の共同制作ができる劇場。3類は主として鑑賞型とされる。
  法制化されたときに、大阪府内には1類がひとつもなく、2類に候補が2、3館あるかなというところ。他府県の施設に文化の首都を奪われるという危機感を持たなければならない。

<委員>
○ 劇場についてリニューアルや、建替えを検討している自治体もある。取組みが進んでいないのは、大阪府と大阪市だけでは。

<委員>
○ まだ、法制度は整備されていないが、劇場に関してリニューアルや、議論を進めている自治体もあり、そのことを意識しつつ、また来年度以降の検討課題とすること

     資料1「文化振興会議 前回の論点」 [PDFファイル/138KB] 

       資料2「文化行政にふさわしい検証・評価システムの構築(案)」 [PDFファイル/162KB]

     資料3「大阪文化振興新戦略の検証・評価シート【例】」 [PDFファイル/109KB] 

       資料4「文化自由都市、大阪をめざして アウトカム指標」 [PDFファイル/92KB]

このページの作成所属
府民文化部 文化・スポーツ室文化課 文化創造グループ

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