支援していた人を自死で失った支援者のこころのケア 大阪府こころの健康総合センター 支援していた人を自死で失うということ 自殺は突然の死であり、遺された人は怒りや罪悪感、否認、混乱や拒絶など、様々な感情や思いを抱きます。 家族や親族だけではなく、学校や職場の仲間、友人・知人、発見した人や対応にあたった人、関わっていた支援者なども、大きな心理的影響を受け、様々な反応や変化が生じることがあります。 このような反応は、支援していた方を自死で亡くした時に、支援者の誰もが経験する可能性のあることで、自然な反応です。反応には個人差があるものですので、他の人と比べる必要はありません。 多くの場合、これらの反応は、時間の経過とともに軽減していきます。 支援者が心身のコンディションを整え、業務や生活を維持するためには、セルフケアや、周囲の人によるサポートが大切になります。 遺された人の反応 こころの反応 悲しくてたまらない、不安でたまらない、自分を責めてしまう、激しい怒りを感じる、非難されるのではないかと思う、感情が不安定になる、落ち着かない、感情が麻痺する、周囲にベールがかかったように感じる、やる気が出ない、死にたいと思う、など。 からだの反応 眠れない、寝つきにくい、寝ても疲れが取れない、怖い夢をみる、頭痛や肩こり、めまいが出る、息苦しく感じる、動悸がする、下痢や便秘になる、胃が痛む、漠然としたからだの不調が続く、など。 行動の変化 思考力や集中力が低下する、仕事の能率が落ちる、涙もろくなる、周囲から孤立しがちになる、飲酒量やタバコの量が増える、など こころとからだの健康を保つために ・支援者にも様々な反応や変化が生じることを知っておきましょう。 ・自分自身のこころやからだ、行動の変化に気をつけましょう。 ・十分な休養を取り、規則正しい食事や睡眠をこころがけ、生活のペースを維持しましょう。 ・アルコール、タバコ、カフェインの取り過ぎに注意しましょう。 ・リラックスできる時間や気分転換をする時間を持ちましょう。 ・話を聞いてほしいときは、信頼できる人に聞いてもらいましょう。 ・支援者同士で気持ちをわかちあったり、同じような経験をした人と話す機会を持ったりすることが役に立つこともあります。 同僚や上司によるサポート ・本人が話を聞いてほしいときは、耳を傾けましょう。 ・批判はせず、助言や意見は控えて本人の気持ちを受け止めるようにしましょう。 ・休養が取れるよう配慮しましょう。 ・本人は自分自身のこころやからだの反応、行動の変化に気づかないこともありますので、普段の様子と違いがないか見守りましょう。 ・心配な場合には、専門家への相談を促しましょう。 ・関わっていた支援者同士で気持ちをわかちあうことが役に立つこともあります。 職場としての対応 発生した事実や影響を受けたであろう職員を把握し、上司などを通して、職員の心身の健康状態などの経過を見守ります。心身の影響が大きい職員があれば、専門家への相談や受診を勧めます。 支援していた人を自死でなくしたときに、どのような心理的影響を受けるのか、その対処法(セルフケア)や相談窓口などの情報を提供することが役に立つこともあります。 関わっていた支援者同士でのわかちあいや、職場としての対応などについてなど悩むことがあれば、外部の専門家に相談してもよいでしょう。 専門家への相談について 懸命に支援に取り組んでいると、自分自身のこころやからだの反応、行動の変化に気づかないことがあります。 また、自分で調子が悪いと感じていても、周囲に言い出しにくいこともあります。 同僚や上司、知人や家族が先に気づくこともありますので、お互いに意識して、声をかけ合うことを心がけましょう。 もしも、こころやからだの反応、行動の変化が長く続いたり、強すぎてつらい場合は、保健所や精神保健福祉センター、医療機関に相談しましょう。 大阪府こころの健康総合センター  〒558-0056 大阪市住吉区万代東3-1-46  TEL:06-6691-2811  FAX:06-6691-2814  HP:http://kokoro-osaka.jp/  2022年2月発行