資料2−2 令和3年度 障がい者差別解消に向けた大阪府の活動報告書(案)(令和4年3月 大阪府)   目次     はじめに    1 広域支援相談員の体制等と相談対応   (1)広域支援相談員の体制と役割   (2)広域支援相談員の対応実績   (3)広域支援相談員が対応した相談事例等    2 合議体における助言・検証の実施   (1)合議体において検証した相談事例等   (2)合議体でのその他の意見   (3)府における整理と課題    3 合議体によるあっせんの実施    4 府内市町村に対する支援の取組み    5 障がい理解に関する啓発の取組み     おわりに     参考資料    参考資料1 相談事例の分類の考え方及び広域支援相談員の対応    参考資料2 合議体での事例検討様式    参考資料3 広域支援相談員と大阪府障がい者差別解消協議会    参考資料4 大阪府障がい者差別解消協議会 委員・専門委員名簿    参考資料5 大阪府障がい者差別解消協議会・合議体の開催状況    参考資料6 令和3年度 府内市町村における支援地域協議会の設置状況について     はじめに   大阪府では、障害者差別解消法(以下、「法」という。)の施行にあわせ、大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例(以下、「条例」という。)を平成28年4月に施行し、啓発活動と相談及び紛争の防止又は解決のための体制整備を車の両輪として、差別解消に取り組んでいます。  条例に基づく相談等の体制整備の一環として、広域支援相談員を配置するとともに、知事の附属機関として「大阪府障害者差別解消協議会(以下、「解消協議会」という。)」を設置し、その下に組織した合議体において、広域支援相談員が受けた相談事例等に関し総合的に分析と検証を実施してきました。  これまでは「検証報告書」として、相談事例の分析や大阪府における障がい者差別解消の取組みを検証することにより、条例附則に規定する条例の見直し検討に資することを目的として取りまとめていましたが、令和3年4月に「事業者による合理的配慮の提供を義務化する」内容の条例改正を行ったことにより、所期の目的は果たしたものと考えられます。  しかし、今後も大阪府における障がい者差別解消の取組みを更に進めていく必要があることから、府の取組みについて網羅的に記録することで、解消協議会での議論に資するとともに府民へわかりやすく情報を開示するため、今年度より「活動報告書」とタイトルを変え、内容も拡充させて取りまとめることとしました。  今後とも、差別解消の取組みを着実に推進していくために、大阪府に寄せられる様々な相談事案を蓄積し、取組みの分析や評価等を行うとともに、法の趣旨の普及や障がい理解を促進する啓発活動の充実に取り組んでまいります。    1 広域支援相談員の体制等と相談対応   1.広域支援相談員の体制と役割  大阪府では、障がいを理由とする差別に係る相談事案に的確に対応し、解決を図るため、高度な相談・調整技術と専門性を有する人材として障がい福祉企画課(権利擁護グループ)に4名(令和4年3月31日時点)の広域支援相談員を配置し、交代で対応しています。  広域支援相談員は、@市町村に設置された相談窓口等(相談機関)における相談事案の解決を支援するための助言、調査、調整等、A障がい者等及び事業者からの相談に応じ、相談機関と連携した助言、調査、調整等、B相談機関相互の連携の促進と相談事案に係る情報の収集、分析を職務としています。  大阪府では、丁寧で質の高い相談対応と、市町村への的確な助言等を行うため、日々のケースの進捗や市町村支援の取組みに関して日報を作成し、相談員間で常に情報共有を図るとともに、定期的なミーティングによるケース検討を行う等、広域支援相談員間の連携を強化しています。  障がいを理由とする差別は、障がい者の自立と社会参加に関わるあらゆる場面で発生する可能性があることから、上記の取組みに加え、様々な専門性を有する解消協議会の委員及び専門委員から選任される合議体が、必要に応じ、広域支援相談員に対し助言を行うことが出来るよう条例で規定しており、広域支援相談員が幅広い相談事案に的確に対応できるよう支援する仕組みが確保されています。  法・条例施行後6年が経過し、これまでの相談事例の蓄積と合議体による助言により、広域支援相談員の対応力は向上していると考えられますが、法や条例の周知が進むことにより複雑な相談内容が増加したり、新型コロナウイルス感染予防の観点も含めて検討しなければならないような相談も寄せられていることから、広域支援相談員にはさらなる専門性や調整力が求められています。また、身近な相談窓口である市町村職員の対応力向上を図るため、広域支援相談員が研修や情報交換を実施する等、市町村に対する幅広い支援が必要とされており、そのための人材の確保も重要となっています。   2.広域支援相談員の対応実績  広域支援相談員が対応する相談事案は、事業者における障がいを理由とする差別に関する相談等を対象としています。広域支援相談員は、市町村の相談機関への支援を通じて相談事案の解決にあたるだけでなく、直接相談にも対応し、市町村等関係機関と適宜連携しながら、必要な助言、調査及び関係者間の調整を行っています。  今年度3月末時点において広域支援相談員が対応した実相談件数は、新規事案が157件、前年度から継続している相談事案2件と合わせ159件となっており、前年度(152件)との大きな変化はありませんでした。令和元年度の実相談件数(190件)と比べると、令和2年度、3年度ともに件数は大きく減少しており、これは新型コロナウイルス感染拡大防止のために外出抑制施策がとられたことが大きく影響しているものと考えられます。  相談者の内訳において、市町村からの相談の比率は17%と、前年度実績の21.1%と比較すると減少しております。大阪府の広域支援相談員による相談の仕組みは、まずは住民に身近な相談窓口である市町村において対応し、それでも解決の困難な事案については、広域支援相談員が市町村に対して情報提供や技術的助言等の支援を行うという、広域・基礎自治体の役割に応じた機能を発揮することを目指したものとなっています。しかし、相談窓口をたらい回しにされてようやく広域支援相談員につながった、という事案もあり、市町村による積極的な窓口の周知や市町村窓口の対応力強化については、引き続き取り組むべき課題と言えます。  障がい種別においては、前年度同様「肢体不自由」が最も多く、次いで「精神障がい」、「知的障がい」、「視覚障がい」の順となっています。  相談内容の類型については、「不当な差別的取扱い」が7件となっており、前年度9件より減少しました。「合理的配慮の不提供」については23件で前年度5件から大きく増加し、相談対応件数に占める割合が14.5%と、初めて1割を超えました。これは、令和3年4月に施行された改正条例により事業者による合理的配慮の提供が義務化されたことによる関心の高まりが、影響した可能性が考えられます。  また、「その他」のうち「不適切な行為」は4件と前年度16件より減少していますが、法上の差別の類型には該当しないものの、事業者による不適切な発言や態度のあった事案についても、キャッチし、対応しています。また昨年度と同様に「相談・意見・要望」が非常に多く、今年度は相談件数の約6割を占める結果となりました。  令和3年度に広域支援相談員が対応した相談の状況は、以下のとおりです。  令和3年度 大阪府広域支援相談員 相談の対応状況について  以下、令和3年度の大阪府広域支援相談員の対応状況について、項目ごとに記載します。(令和3年4月から令和4年3月まで)    (1)令和3年度の月別相談件数及び対応回数  新規事案件数 計157件(令和2年度からの継続件数2件除く)(令和2年度 新規事案件数148件)  相談対応回数 計1,123回(令和2年度1,713回)  月別対応状況  (以下、対応件数は、前月以前より引き続き相談対応をした件数を含む)  4月 新規12件、対応件数14件、対応回数72回  5月 新規14件、対応件数21件、対応回数85回  6月 新規16件、対応件数23件、対応回数108回  7月 新規15件、対応件数19件、対応回数57回  8月 新規10件、対応件数14件、対応回数54回  9月 新規12件、対応件数19件、対応回数78回  10月 新規15件、対応件数22件、対応回数123回  11月 新規15件、対応件数22件、対応回数135回  12月 新規9件、対応件数19件、対応回数92回  1月 新規7件、対応件数18件、対応回数76回  2月 新規14件、対応件数23件、対応回数81回  3月 新規18件、対応件数26件、対応回数162回  新規事案件数 157件(令和2年度からの継続件数2件を含む実相談件数 159件)  対応件数 246件  対応回数 1,123回  (参考)令和2年度  4月 新規12件、対応件数16件、対応回数142回  5月 新規14件、対応件数22件、対応回数129回  6月 新規15件、対応件数25件、対応回数164回  7月 新規14件、対応件数26件、対応回数180回  8月 新規7件、対応件数17件、対応回数139回  9月 新規10件、対応件数17件、対応回数122回  10月 新規15件、対応件数24件、対応回数143回  11月 新規13件、対応件数18件、対応回数140回  12月 新規9件、対応件数22件、対応回数180回  1月 新規11件、対応件数19件、対応回数148回  2月 新規9件、対応件数15件、対応回数119回  3月 新規19件、対応件数25件、対応回数107回  新規事案件数 計148件(令和元年度からの継続件数4件を含む実相談件数 152件)  対応件数 246件  対応回数 計1,713回  1件あたりの平均対応回数7.1回  相談1件あたりの対応回数の内訳  1〜5回 110件、6〜10回 26件、11〜15回 8件、16〜20回 6件、21〜25回 2件、26〜30回 1件、31回以上 6件  (参考)  令和2年度 1件あたりの平均対応回数11.3回  令和元年度 1件あたりの平均対応回数6.1回  (2)相談者の内訳  市町村 27件(17%)  直接相談 129件(83%)  (直接相談の内訳)  障がい者 91件、家族 14件、支援者4件、事業者9件、行政機関(大阪府以外)1件、府庁内3件、他機関4件、その他1件、不明5件  (参考)令和2年度  市町村 32件(21.1%)  直接相談120件(78.9%)  (直接相談の内訳)  障がい者 76件、家族 19件、支援者7件、事業者1件、行政機関(大阪府以外)5件、府庁内4件、他機関4件、その他1件、不明3件  (3)相談内容の類型  (重複があった場合、1類型に絞って集計)  相談内容の類型については、広域支援相談員が対応した結果を踏まえて分類しています。  ア.不当な差別的取扱い 7件  うち、合理的配慮の不提供も含まれると考えられるもの 0件  不当な差別的取扱いの内訳(7件の内数、重複なし)  拒否 5件、制限 1件、条件 1件  イ.合理的配慮の不提供 23件  合理的配慮の不提供の内訳(23件の内数)(重複あり)  物理的環境への配慮 2件、意思疎通への配慮 12件、ルール 8件、その他 2件  ウ.その他 129件  その他の内訳  不適切な行為 4件、不快・不満 6件、環境の整備 1件、相談・意見・要望 97件、問合せ 20件、虐待 1件  (参考)令和2年度  ア.不当な差別的取扱い 9件  うち、合理的配慮の不提供も含まれると考えられるもの 0件  イ.合理的配慮の不提供 5件  ウ.その他 138件  その他の内訳  不適切な行為 16件、不快・不満 10件、環境の整備 1件、相談・意見・要望 70件、問合せ 37件、その他 4件  (参考1)相談者ごとの相談内容の類型  以下、相談内容の類型ごとに、相談者の件数を記載します。  不当な差別的取扱い  市町村 2件、障がい者 1件、家族 3件、事業者 1件  合理的配慮の不提供  市町村 5件、障がい者 12件、家族 2件、支援者 1件、事業者 1件、府庁内 1件、他機関 1件  不適切な行為  市町村 1件、障がい者 3件  不快・不満   市町村 2件、障がい者 4件  環境の整備  市町村 1件  相談・意見・要望  障がい者 71件、家族 9件、支援者 3件、事業者 7件、他機関 1件、その他 1件、不明 5件  問合せ  市町村 16件、行政機関(府以外) 1件、府庁内 2件、他機関 1件  虐待  他機関 1件  (4)対象分野別件数  商品・サービス 53件、福祉 16件、公共交通機関 7件、住宅 7件、教育 13件、医療 11件、雇用 11件、行政機関 25件、その他 16件  (参考)令和2年度  商品・サービス 50件、福祉 20件、公共交通機関 8件、住宅 4件、教育 7件、医療 14件、雇用 7件、行政機関 29件、その他 13件  (参考2)分野ごとの相談内容の類型  以下、相談内容の類型ごとに、分野別の件数を記載します。  不当な差別的取扱い  商品・サービス 2件、福祉 2件、住宅 2件、教育 1件  合理的配慮の不提供  商品・サービス 16件、公共交通機関 1件、教育 2件、医療 1件、行政機関 3件  不適切な行為  商品・サービス 2件、教育 1件、医療 1件  不快・不満  商品・サービス 1件、公共交通機関 1件、教育 1件、医療 2件、行政機関 1件  環境の整備  商品・サービス 1件  相談・意見・要望  商品・サービス 26件、福祉 11件、公共交通機関 2件、住宅 3件、教育 7件、医療 5件、雇用 10件、行政機関 17件、その他 16件  問合せ  商品・サービス 5件、福祉 2件、公共交通機関 3件、住宅 2件、教育 1件、医療 2件、雇用 1件、行政機関 4件  虐待  福祉 1件  (5)障害種別ごとの取扱い件数(重複あり)  身体障がいのうち、視覚障がい 21件、聴覚・言語障がい 14件、肢体不自由 43件、内部障がい 2件、その他の身体障がい 1件  知的障がい 24件、精神障がい 37件、発達障がい 19件、重症心身障がい 1件、難病 4件、その他(身体障がい以外) 5件、不明 12件、不特定 4件  (「不明」は障がい種別に係る情報が不明で分類できないもの。「不特定」は障がい全般にわたるもの)  (参考)令和2年度  身体障がいのうち、視覚障がい 22件、聴覚・言語障がい 14件、肢体不自由 37件、内部障がい 7件、その他の身体障がい 1件  知的障がい 14件、精神障がい 19件、発達障がい 16件、重症心身障がい 2件、難病 4件、その他(身体障がい以外) 7件、不明 23件、不特定 6件  (参考3)相談内容の類型ごとの障がい種別件数(重複あり)  以下、障がい種別ごとに、相談内容の類型の件数を記載します。  視覚障がい  合理的配慮 8件、不適切な行為 1件、環境の整備 1件、相談・意見・要望 7件、問合せ 4件   聴覚・言語障がい  合理的配慮 7件、不快・不満 1件、相談・意見・要望 4件、問合せ 2件  肢体不自由  不当差別 2件、合理的配慮 7件、不適切な行為 1件、不快・不満 1件、環境の整備 1件、相談・意見・要望 27件、問合せ 4件  内部障がい  相談・意見・要望 2件  身体障がいその他  不適切な行為 1件  知的障がい  不当差別 1件、合理的配慮 1件、不適切な行為 1件、不快・不満 1件、相談・意見・要望 19件、問合せ 1件  精神障がい  不当差別 3件、不適切な行為 1件、不快・不満 1件、相談・意見・要望 29件、問合せ 3件  発達障がい  不当差別 2件、合理的配慮 1件、不適切な行為 1件、不快・不満 2件、相談・意見・要望 12件、問合せ 1件  重症心身障がい  不快・不満 1件  難病  相談・意見・要望 3件、問合せ 1件  その他(身体障がい以外)  相談・意見・要望 5件  不明  相談・意見・要望 7件、問合せ 4件、虐待 1件  不特定  相談・意見・要望 3件、問合せ 1件  (参考4)分野ごとの障がい種別件数(重複あり)  以下、障がい種別ごとに、分野別の件数を記載します。  視覚障がい  商品・サービス 14件、医療 2件、行政機関 5件  聴覚・言語障がい  商品・サービス 7件、教育 3件、医療 1件、行政機関 3件  肢体不自由  商品・サービス 15件、福祉 4件、公共交通 3件、住宅 3件、教育 4件、医療 3件、雇用 4件、行政機関 4件、その他 3件  内部障がい  商品・サービス 2件  身体障がいその他  医療 1件  知的障がい  商品・サービス 4件、福祉 1件、公共交通 3件、住宅 3件、教育 1件、医療 2件、雇用 1件、行政機関 3件、その他 6件  精神障がい  商品・サービス 6件、福祉 8件、公共交通 1件、住宅 2件、医療 3件、雇用 2件、行政機関 6件、その他 9件  発達障がい  商品・サービス 5件、福祉 2件、住宅 1件、教育 5件、医療 1件、行政機関 2件、その他 3件  重症心身障がい  教育 1件  難病  福祉 1件、医療 1件、雇用 2件  その他(身体障がい以外)  商品・サービス 2件、教育 1件、行政機関 2件  不明  商品・サービス 3件、福祉 2件、医療 1件、雇用 2件、行政機関 3件、その他 1件  不特定  商品・サービス 2件、公共交通 1件、雇用 1件   3.広域支援相談員が対応した相談事例等  令和3年度に広域支援相談員が対応した相談のうち、「不当な差別的取扱い」「合理的配慮の不提供」「不適切な行為」「不快・不満」「環境の整備」に該当すると思われるものを以下の通り紹介します。これらの事例のうち、コロナ禍の影響により発生したと考えられるものについては、事例の相談要旨の先頭に◎印をつけています。  なお、個人情報保護の観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなどの加工を行っています。  以下、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順で列記します。  (1)不当な差別的取扱い(※おそれも含む)に該当する事案の概要  ア.精神障がい、商品・サービス、当事者  焼肉バイキング店に「摂食障がいの方はご利用を御遠慮させていただきます」という張り紙がされていたため、撤去を求めた。店舗側は、衛生面等のための張り紙と説明したが、障がい者に対する偏見・差別だと訴えたところ謝罪があり、その場で張り紙は剥がされた。行政からも指導をしてほしい。  事業者を訪問して状況を確認。商品が他の客の分までなくなることもあり対応に苦慮していたため、衛生面・健康面・経済面等から打開策として張り紙をしたとの説明があった。当該張り紙は障がいを理由とした差別に該当することを伝え、障がい者への理解を求めた。  イ.発達障がい、商品・サービス、市町村  父親と子どもが釣り堀に行った際、子どもが自閉症であると伝えると入店を拒否された、との相談が市にあった。  市と一緒に事業者を訪問。事業者によると、子どもが店内で落ち着かない様子だったため、ルールを守った店の利用が困難であると思ったとのこと。子どもが落ち着いてから参加していただくことやルール説明の工夫等、障がい特性についての理解を求め、障がいを理由に拒否することのないよう伝えた。  ウ.発達障がい、福祉サービス、家族  保育園のミカン狩りの遠足について、園長から「山を登るのは危険で、人手も不足しているので、本児は参加させられない。当日は園内で保育をする。」と言われた。遠足に参加できるよう再度保育園にお願いしている。府による介入ではなく助言が欲しい。  保護者と保育園との話し合いがもたれ、職員が付くことで遠足の参加が可能になったとの報告があった。  エ.精神障がい、福祉サービス、事業者  自治会に障がい者グループホームの新設について説明した際、「精神障がい者が近くにいるのは危険、怖くて外を歩けない」等の差別的発言があった。府からの助言がほしい。  事業者と市との話し合いの場が設定されていたため、同席し状況を確認した。市の担当課の対応となるが、市や府の関係課とも情報共有をしていくことを伝えた。  オ.身体障がい(肢体不自由)、住宅、家族  子どもが車いすで支援学校に通学。登校時にマンションのエレベーターを使っているが、「ラッシュ時間帯のエレベーター利用を避けるように」との匿名の投書が郵便受けに入っていた。管理会社にも連絡をしている。  相談者に対し、「担当者が誤った情報に基づき投書したものであり、申し訳なかった」との管理会社からの謝罪があり、相談者自身が、経過を書面でもらう等の依頼をしているとのことで、広域支援相談員に対応を求められることはなかった。  カ.精神障がい、住宅、市町村  精神障がいの方が、不動産会社に引っ越しをしたいと問い合わせたところ、「障がい者の住む家は探せない」と言われたとの相談が市にあった。事業者に確認したところ、「精神障がい者であればオーナーが拒否するため、『賃貸物件はない』と断っている」との説明であった。不動産会社への啓発の必要があるため、資料等があれば提供してほしい。  市に対し、障がい者の入居差別に係る資料を提供した。市が不動産会社に訪問して、啓発等をするとのこと。  キ.身体障がい(肢体不自由)・知的障害、教育、家族  幼稚園の前回の遠足への参加に際し、本児の乗ったバスの後ろを、保護者が車でついていくという条件を間際になってつけられた。結局、運転できる父親の日程調整が間に合わず参加できなかった。卒園遠足には、みんなと同じように参加させたい。  前回と同様の対応にならないように、幼稚園と保護者との話し合いに、市の担当者と広域支援相談員も同席し、参加できるための条件について調整を図った。その結果、本人の体調や家族の部分的な付き添い等の条件が整ったうえであれば、参加ができることとなった。  (2)合理的配慮の不提供(※おそれも含む)に該当する事案の概要(◎はコロナ禍の影響により発生したと思われる事例)  ア.身体障がい(聴覚障がい)、商品・サービス、家族  ◎口話でコミュニケーションをとっているため、自動車教習所への入学申込の際に「教官にはフェイスシールド着用での教習をしてほしい」と伝えた。A自動車教習所からは、新型コロナ感染症対策のためマスク対応が必須であり、予防効果が不完全なフェイスシールドの使用はできないとの理由で入学を断られた。B教習所もマスク対応だが、受講料が割増になるマンツーマンでの教習を行うコースなら入学可能と言われた。両教習所に聴覚障がい者の受け入れについて改善を求めたい。  A教習所に新型コロナ感染症対策を取った上での口話の読み取りが可能な方法(例:口元が透明のマスクの使用等)の検討を求めた。また、B教習所に市の担当者と訪問し、マンツーマンコースで聴覚障がい者への情報保障が可能となっているが、障がい者だけが費用負担が増えること、マンツーマンコース以外では受け入れないことは問題であると指摘した。  イ.身体障がい(聴覚障がい)、商品・サービス、市町村  聴覚障がいのある児童がサッカーチームの選抜テストに申し込み、手話通訳は嫌なのでコーチやスタッフに筆談での情報保障等を求めたが、事業者は人員が限られており対応が困難であるとの回答であった。そのため保護者から、今後の対応について広域支援相談員を交えての面談の要望があった。  保護者と市と広域支援相談員で面談を実施。保護者と事業者とのやり取りに市も入り、調整を図ることとした。後日、家族での話し合いの結果、手話通訳による情報保障を本人も納得したため、市から手話通訳者を派遣することになった。  ウ.身体障がい(聴覚障がい)、商品・サービス、市町村  ◎携帯ショップが開催するスマホ教室に申込んだところ、手話通訳者も会員登録することを求められた。また、新型コロナ感染症対策として受講人数を制限しているため、手話通訳者の入室は1名限定とされた。市としては手話通訳者の会員登録を不要とすることと、手話通訳者の複数配置への配慮を求めており、事業者が本部に問い合わせている。市の対応に問題はないか。  市の対応に問題がないことを伝えた。後日、市から手話通訳者の会員登録は不要となり、入室は1名ではあるが部屋の入口付近での待機により通訳の連続性を保てるように配慮されたとの報告があった。  エ.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  スーパーマーケットで買い物の付き添いを依頼したが、店長から、来店客も多くスタッフにも余裕がないため対応できないと断られた。  事業者本社からは、個々の店舗の事情もあり可能な店舗では対応するが、当該店舗はオープンしたばかりであり現状では対応困難であるとの説明であった。広域支援相談員より店舗に対し、対応可能な時間帯等での合理的配慮を依頼した。  オ.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  民間の資格取得のために問題集を購入したが、文字が小さいため音声変換ができるテキストデータを求めたところ、内部で検討すると言われ、以後連絡がない。  事業者に問合せをすることもできることを説明したが、相談者は、事業者に個人を特定されたくないため、もう少し様子を見ていきたいとのことであった。  カ.身体障がい(肢体不自由)、商品・サービス、市町村  銀行の口座解約に際し行員に代筆を求めたが拒否され、行員は当事者を無視して同行していたヘルパーに代筆を求めたとの相談が、市にあった。市が調査し、行員の代筆等については支店内で指導を徹底するとのことであった。他店への指導も必要なため、広域支援相談員から本社に伝えてほしいという要望を、当事者が市に話している。  銀行本社の研修担当部署に連絡し、行員による代筆等の合理的配慮について研修等での周知を求めた。  キ.身体障がい(肢体不自由)、商品・サービス、市町村  ◎銀行で、新型コロナ感染症対策のため階段のある側を入口、スロープのある側を出口と固定され、車いすでの入店が困難になったので、改善を要望したところ、「車いすはスロープ側の出入口から出入り可」と貼り紙で示され、改善されたとの報告が当事者からあった。広域支援相談員にも情報提供してほしいとの要望があった。  当事者は、素早く対応された好事例であることを、広域支援相談員にも伝えたかったとのことで、情報提供を受けた。  ク.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  視覚障がいがあり音声読み上げソフトを利用しているが、職場関係の会報のテキスト版がホームページにアップされるのが、会報の発行から3週間後になる。相談者への速やかなテキストデータの提供を要望しているが回答がない。会報には締め切りの期限がある記事もあり、障がい者差別である。  事業者に視覚障がい者への合理的配慮を求めたところ、今月から会報の配布と同時に、テキストデータを職場に提供するとの回答があった。  ケ.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  障がいのため銀行ATMの操作ができず、操作を行員に依頼したが、暗証番号の入力はできないと言われた。合理的配慮がなされていない。  銀行本社を訪問し状況を確認。銀行は、暗証番号を行員が入力することは個人情報保護の観点から認められないため、出入金用紙の代筆等の対応により配慮していきたいとの説明であった。広域支援相談員からは代替方法も含め、丁寧な説明を依頼した。  コ.身体障がい(肢体不自由)、商品・サービス、当事者  市立プールのコースは泳力に合わせた設定になっており、相談者は壁際のコースで泳ぐことになる。障がい特性により片手を大きく動かすので、手が壁に当たる。真ん中のコースで泳げるようにしてほしい。  市のプールを管轄する担当課と一緒にプールを訪問し、コースの変更等の配慮を依頼。担当課とプールの責任者が協議の上、時間を限定し、相談者が泳ぐコースを壁際から真ん中に変更する等の配慮がなされた。  サ.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  デパート内のレストランに行くため、デパートのサービスカウンターに事前に電話で、レストランまでの誘導をお願いしたが、そのようなサービスは行っていないと断られた。合理的配慮の提供がデパートの中で周知されているのかを教えてほしい。  事業者を訪問して状況を確認したところ、相談者から道順の説明を求められたと、担当者は認識していたとのこと。アテンド専門のスタッフはいないが、インフォメーションのスタッフが売り場まで案内し、その売り場から次の売り場までは、その売り場のスタッフが案内するリレー方式をとっているとの説明があった。合理的配慮等について、管理者のみならず店員への周知を求めた。  シ.身体障がい(聴覚障がい)、商品・サービス、当事者  ◎聴覚障がいがあるため、観劇の申込みをするにあたり、字幕タブレット等の貸出や台本の事前貸出等のお願いをしたが、新型コロナウイルス感染症対策のため機器の貸出を中止しており、台本の貸出も対応不可との回答で代替案の提示もなかった。  劇団を訪問し状況を確認。相談者が見る予定の劇は字幕タブレットの対象作品ではなく、台本は著作権の関係で貸出不可。市販のDVDの視聴を提案される。その後、相談者自らが海外の著作権者に問合せ、劇団本社とも交渉した結果、台本の貸出が可能となった。  ス.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  家電量販店に買い物に行ったが、求めたものと異なる物を買わされた。返品を希望したところ手続きには署名が必要と言われ、障がいのために署名できないことを説明したが、署名をしないと返品を認められないと言われた。今後このようなことがないよう、注意して対応するように店舗に伝えてほしい。  家電量販店に連絡。事業者からは不適切な対応だったとの謝罪があった。朝礼の時間などを利用して、障害者差別解消法についての周知徹底をしたいとのことであった。  セ.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  スポーツジムの水泳教室を申し込んだが、ヘルパーの同伴は認められず、スタッフが着替えや移動等の介助をするとの説明であった。しかし介助時間も水泳指導の時間に含まれるとされ納得がいかない。  スポーツジムに訪問。障害者差別解消法等を説明し、介助者同伴で対応しているスポーツジムもあること、相談者との建設的な話し合いをもってほしいことを依頼した。また、相談者には広域支援相談員も同席しての話し合いを提案した。  ソ.身体障がい(肢体不自由)・発達障がい、商品・サービス、当事者  漢字が読めないため、保険会社からの書類が理解できない。保険会社の書類と約款の漢字にルビをつけてほしい。依頼しているのに対応してもらえていない。  事業者を訪問。相談者宛の書類や約款にルビをつける配慮を依頼した。相談者宛の書類にはルビをつけるが、約款は分量が膨大であるため、相談者に関係する部分を抜粋しルビを打つこととなった。  タ.知的障がい、商品・サービス、市町村  知的障がいのある児童が合唱団に所属しているが、音域が合わず大きな声になるという理由で、本児だけコンサートへの参加が認められないのは差別であるとの相談があった。どのように対応すればいいか。  保護者、合唱団講師、市の担当者、広域支援相談員で話し合いを実施。合唱団からは、コンサートの参加は難しいこともあるが、今後も本人・保護者との代替案を含めた話し合いの継続を提案した。しかし、保護者から合唱団辞退の意向が示された。  チ.身体障がい(肢体不自由)、公共交通機関、当事者  車いすで電車に乗車。降車駅の手前の駅で駅員に強制的に降ろされた。抗議したが聞いてもらえなかった。後で他の車いすの方との間違いであったことがわかったが、謝罪ではすまされない。  相談者自身が事業者との調整を図り、事業者からの謝罪と説明の場が設定され、相談者からの求めに応じ広域支援相談員も同席。相談者から再発防止策の求めがあり、広域支援相談員からも障がい者の方と接する機会の多いスタッフへの研修等を求めた。  ツ.身体障がい(肢体不自由)、教育、家族  車いす利用者が私立高校の入試を受験するにあたり、問題用紙等の拡大や試験時間の延長は認められたが、介助者は部外者とされ入校を認められず、学校でも介助者の準備はできないとされた。事実上の受験拒否である。  保護者と在籍中学校の教員と広域支援相談員で協議し、広域支援相談員が高校を訪問することとした。しかし訪問する前に、高校が保護者によるトイレ等の身体介助を認め、別教室を設定するなど可能な範囲で入試における合理的配慮を提供するとの回答があった。  テ.身体障がい(聴覚障がい)、教育、事業者  聴覚障がいのある学生から、授業の受講に際し、これまでは本人が用意するUDトーク等で対応してきたが、大人数の授業や実技において手話通訳の要望があった。学校は特別な対応ができないことを条件に当事者の入学を受け入れており、手話通訳の費用は過重な負担と考えている。  当事者、事業者、広域支援相談員で話し合いを継続中。事業者は手話通訳の代替手段としてパソコンによる字幕アプリの提供を提示し、当事者はやむを得ないと了解したが、一部の実技については筆談補助を要望している。事業者は、筆談補助について、人の配置は難しいかもしれないが検討するとのこと。  ト.身体障がい(聴覚障がい)、医療、他機関  ◎ワクチン接種会場の予約の際に手話通訳を申し込んだが、「手話通訳者はいない。用意もできない。筆談対応で了解してほしい。手話通訳を希望するなら、他の接種会場で再予約をするように」と言われたとの相談があった。手話通訳の希望に対応しないというのは大阪府の方針なのか。  ワクチン接種担当課に情報提供し状況を確認した。会場運営のマニュアル等には合理的配慮の申し出があった場合の対応についても定めていたが、現場での周知が不十分であったため、周知徹底していくとの回答があったことを相談者に説明した。  ナ.身体障がい(聴覚障がい)、行政機関、府庁内  庁内の出先機関での職業訓練において、聴覚障がい者の団体より、聴覚障がい者の参加が可能かとの問合せがあった。手話通訳者の配置が予算上困難であることを伝えたところ、団体から障がい者差別であると言われた。障がい者団体も広域支援相談員の相談対象になるのか。  障がい者団体も相談対象であることを説明。その後、庁内の担当課が団体に出向き、音声入力アプリの活用など当事者が受講できるような代替方法の話し合いを継続していくことになった。  ニ.身体障がい(視覚障がい)、行政機関、当事者  市役所で実施した選挙説明会において警察から配布された資料が、テキストデータなど視覚障がい者が認識できる形態では提供されなかった。  行政機関に関する相談であるため、広域支援相談員が調整等を行うのではなく、相談内容を警察に伝えることにとどまることを説明した。後日、警察から市を通じて、テキストデータを提供するとの連絡があったとのこと。  ヌ.身体障がい(肢体不自由)、行政機関、支援者  歩行困難であるため、これまでは乗り降りの間、車を役所の玄関前に停めることを認めてもらえていたが、今回、事情を説明しても守衛は認めてくれなかった。そして、当事者ではなく支援者に向かって話し続けた。  庁舎管理の担当課と協議。玄関前への車の乗り入れについて、障がい等の事情がある場合には柔軟に対応することを職員に周知するとの説明があったこと、また支援者にではなく当事者に話すよう周知を依頼したことを、相談者と当事者に伝えた。  (3)不適切な行為があったと思われる事案の概要(◎はコロナ禍の影響により発生したと思われる事例)  ア.身体障がい(肢体不自由)、商品・サービス、当事者  美容院の店長から、「障がい者は時間がかかるため、健常者の迷惑になる」などの発言があった。その店にはもう行かないが、謝罪してほしい。このことは市町村にも相談している。  市町村の担当者が事業者から聴取。事業者は相談者の身体状況を見ながら2倍の時間をかけて対応してきているが、要望が多く応えきれないとの説明であった。店の状況も含め丁寧な説明が求められるとし、広域支援相談員からは、本部にガイドライン等を送付し啓発を行った。  イ.身体障がい(視覚障がい)、商品・サービス、当事者  携帯ショップで解約手続きをした際、視覚障がい者であるにも関わらず署名を求められた。家族の代筆でも可能である説明もなかった。仕方なく大きな字で署名をしたが、強制的な対応に傷ついた。  事業者に確認したところ、当事者からの申し出がなかったため視覚障がいの方であるとの認識がなかったとの説明があり、店長から相談者に説明と謝罪をするとのことであった。店舗に対し、障がいのある方への配慮を求め啓発資料を提供した。  ウ.発達障がい、教育、市町村  現在小学1年生の子どもが幼稚園入園時に、発達に問題があった場合、退園を求めるとの話が幼稚園からあったため、幼稚園に改善を求めたいとの相談が市にあった。広域支援相談員の協力をお願いしたい。  市の担当者と広域支援相談員で幼稚園を訪問。幼稚園は、子どもの状況に適した環境の提案はしているが、退園を求めるものではないとの説明であったが、保護者が納得できていない場合もあるため、話し合い等をしっかりしてほしい旨を伝えた。  エ.身体障がい(身体その他)・知的障がい・精神障がい、医療、当事者  ◎病院の受付で何度か咳をしたところ、受付の職員から「隔離する」と言われた。医師ではない受付職員が判断するのかと苦情を言ったら「もう来なくていい」と言われた。  医療機関に問合せたところ、受付で相談者が咳をしていたので、緊急待合場所を案内した、相談者が訴える発言はしていない、との説明だった。医療機関に対し、丁寧な説明等、障がいのある患者への配慮を依頼し、啓発を行った。  (4)不快・不満があったと思われる事案の概要  ア.身体障がい(聴覚障がい)、商品・サービス、市町村  聴覚障がい者がプロバイダーの契約を更新するため、手話通訳者を介して電話で手続きしようとしたところ、オンライン手続きか電話リレーサービス等を使用してほしいと言われ、手話通訳者は認められないと言われた。  契約行為では、手話通訳者はあくまで第三者になるため委任されていることが認められない限り、やむを得ないと思われることを伝えた。  イ.身体障がい(肢体不自由)、公共交通機関、当事者  電動車いすを利用し電車で通勤しており、乗車予定の電車をあらかじめ決めているが、乗車スロープの配置の準備がうまくいけば、予定より1本早い電車に乗車出来ている。先日、早い電車に乗車することが可能だったにもかかわらず、駅員から当初予定していた電車に乗るように言われ、駅長からも今後は臨機応変な対応はできないと言われた。  鉄道会社の乗車駅を訪問し状況を確認。駅長から、駅員間の引継ぎが不十分であった、今後も引き続き可能な場合は早い電車に乗車できるようにするとの説明があった。その旨を相談者に伝え、納得を得る。  ウ.重症心身障がい、教育、市町村  人工呼吸器の装着が必要な児童の幼稚園入園について、週1回の登園から始めるにあたっての同意書を求めたところ、一方的に登園回数を決めたり同意書を求めることは障がい者差別であると、保護者と障がい者団体も主張している。市としては主治医の意見も踏まえ出来る限り配慮をしている。大阪府の見解を求めたい。  市のカンファレンスに参加。幼稚園入園にあたり、登園回数や支援内容に関わる調整については、障がい者差別には該当しないと思われること、支援内容等を双方で確認するための書類を必要とするなら同意書という形式ではなく話し合って抵抗感のない形をとること等を助言した。  エ.知的障がい・発達障がい、医療、当事者  皮膚科医院で、スタッフから暴言があった。障がいがあるから辛く当たられると思う。  皮膚科医院に状況を確認。スタッフの暴言等については否定。相談者がそのように感じていることも含め、皮膚科医院に対しては、障がい者への声かけや配慮について啓発をした。  オ.精神障がい、医療、当事者  休日、外出先で急病のため緊急で受診を依頼したが、受付の職員から予約でしか受付できないと言われ、障がい者差別的な暴言があった。結局受け入れてもらえることになったが、辛い思いをしたので受診せずに帰宅した。  病院に状況を確認。予約診療であることを説明したが、無理をおっしゃったので受付けたとのこと。差別的な対応はしていないが、そのように感じられたことについては共有しておくとの説明であった。  カ.発達障がい、行政機関、当事者  精神保健関連の行政機関の職員の対応が威圧的である。障がい者に寄り添った対応をしてもらいたい。精神障がい者手帳の等級審査に納得いかないので説明してもらいたい。  精神保健関連の行政機関に、相談内容を伝え情報共有をはかった。相談者は等級変更に不満があるようで、行政機関から説明をしているが納得してもらえないとのことであった。  (5)環境の整備に関すると思われる事案の概要  ア.身体障がい(視覚障がい・肢体不自由)、商品・サービス、市町村  スーパーマーケットの入り口まで設置されている点字ブロックの上に自転車が置かれ、点字ブロックとして使用できない状況にある。改善を求めるとの相談が市にあった。どう対応すればいいか。  市と一緒に現場の確認をし、市から事業者に改善を求めたところ、点字ブロックの配置が早急に改善された。    2 合議体における助言・検証の実施   1.令和3年度 合議体において検証した相談事例  大阪府では、障がい者、事業者、学識経験者等で構成する解消協議会を設置し、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する事項を審議するとともに、解消協議会の下に合議体を組織し、事業者における不当な差別的取扱い・合理的配慮の不提供に係る紛争事案に関するあっせんや、広域支援相談員が幅広い相談事案に的確に対応できるよう、様々な事例に関する助言・検証を行うこととしています。  法の趣旨は建設的対話によって差別を解消することであり、障がい者と事業者の円満解決を図ることが広域支援相談員の第一義的な目的であることをふまえて対応し、様々な事例を蓄積していくことが差別の解消につながります。  このため、「助言・検証実施型の合議体」では、不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供であるかが明確にはわからない事例であっても、差別の温床となると思われる「不適切な行為」等の事例も含めて、分析等の対象としています。  今年度、合議体において、広域支援相談員が対応や判断に苦慮した(あるいは苦慮している)困難事例を中心に検証等を行いました。コロナ禍ゆえに起きたと思われる事案についても検証を行いました。  なお、事例の取扱いにあたっては、個人情報保護の観点から、実際の事案を踏まえつつ、内容を一部変更するなどの加工を行っています。  (1)合議体での検証事例  (事例1)スーパーマーケットでの視覚障がい者への買い物の手伝い(商品・サービス分野)  (相談の内容)  視覚障がい者がスーパーマーケットに買い物に行き、買い物の手伝いを店舗に求めたところ、以前はしてもらえていた対応が、今後はできないと断られたとのこと。   (対応概要)  スーパーマーケットの当該店舗と本社に確認したところ、これまで付き添った際には1時間ぐらい時間がかかったのだが、この店舗はオープンしたばかりで客も多く、人手がないため現状では対応できないとのこと。空いている時間がある場合の障がい者への配慮等の検討、スタッフへの障がい理解や差別解消法に関する研修・周知について依頼した。  (論点)  ア.今後、買い物の手伝いをしてもらえなければ、この店での買い物が難しくなるが、その場合、不当な差別的取扱いにあたるのか。  イ.常に混んでおり、人員に余裕がない店舗において、障がい者が合理的配慮として買い物の付き添いを求める場合、どこまで合理的配慮として対応すべきなのか。  ウ.今回の店側の説明で「過重な負担」と言えるかどうか、また、協力的とは言えないような事業者に対して広域支援相談員としてどのような働きかけが考えられるのか。  (分類)合理的配慮の不提供  ア.事案の分類及び整理に関する意見  (不当な差別的取扱いについて)  (ア)視覚障がい者の入店を拒否しているわけではないので、直ちに、差別的取扱いということではないだろう。  (イ) 障がいのある人が買い物できる方法について、広域支援相談員を交えて話し合うことを拒否して同じことを繰り返すということであれば、差別的取扱いになるのではないか。  (合理的配慮について)  (ア)この事案については、障がいのある人が求めることが「合理的配慮にあたるのか」ということと、それをすることが「過重な負担にあたるのか」ということを、分けて考える方がいいのではないか。  (イ)「どういうことであればできるのか」「どういう時間帯ならば可能なのか」等、まず話し合いが必要であり、建設的対話を含めた事業者からの説明が不足しているという点で、合理的配慮の不提供があったと考えられるのではないか。  イ.事業者側の対応に関する意見  (ア)店長には、話し合いをしようとする姿勢が必要である。  (イ)もともとスーパーマーケットは、客に商品を売り場からレジまで持ってきてもらい、その対価として価格を安く提供するというセルフサービスをビジネスモデルとしてやっている業態なので、買い物の手伝いに人手を割くのは難しい状況がある。  (ウ)買い物代行サービスなどもある時代であり、事前に注文してもらって品物を用意することはしやすいと思われる。事業者側がそういうサービスを取り込んでいくという考え方をしないといけないのではないか。  ウ.広域支援相談員の対応等に関する意見  (ア)話合いを受け入れない事業者に対する関与のあり方として、合議体の活用を視野に入れることも考えられるのではないか。  (イ)事業者と話をする際には、事業者の社会的な責務として、客の中に障がい者もいることを想定して対応についてどう考えるのか、ということを伝えたうえで、障がい者差別について話をするほうが良いのではないか。 (ウ)障がい者団体に類似の例や経験について確認し、そのような情報を集めた上で対応する方法も考えられる。  (エ)業界団体の協力も得ながら、事業者団体として研修の機会等を設けてもらうなどの働きかけができるといいのではないか。  (事例2)聴覚障がい者への自動車教習所の対応(商品・サービス分野)  (相談の内容)  口話でコミュニケーションを取っている聴覚障がい者が、自動車教習所に入学を申し込む際、フェイスシールドでの教習を依頼したが、A教習所、B教習所ともに断られた。さらにB教習所からは聴覚障がい者は割高なマンツーマンコースしか選べないと言われた。結局、別の教習所で対応してもらえることになったが、今後の聴覚障がい者のために改善を求めたい、とのこと。  (対応概要)  A教習所に状況を確認したところ、事業者団体が作成した感染予防のためのガイドライン(以下ガイドライン)等でマスク着用を義務付けられているため、フェイスシールドでの対応を断ったとのことだった。今後は相談者と話し合い、出来ることを検討していただくよう求めた。  B教習所には市の担当者と訪問し状況を確認した。フェイスシールドについては、感染予防のためにマスク着用が必須となっており、対応できないとのことだった。また、B教習所では通常、無線を活用した技能教習や複数人が参加する技能教習等、聴覚障がい者がスムーズに受けるのは難しいと思われる教習を含むカリキュラムを組んでいる。一方、通常より費用はかかるが技能教習を教習指導員とマンツーマンで受けられるコースも設定しており、聴覚障がい者が安全運転を習得するためにそのコースでの受講を必須としているとの説明だった。広域支援相談員からは、聴覚障がい者だけ選択肢がないことについての問題点を伝え、障がいの状況に合わせた講習内容を検討していただくことを依頼した。  (論点)  ア.コロナ禍において、感染予防効果が低いとされるフェイスシールドを車内で使用するという対応を拒否することは、合理的配慮の不提供にあたるのか。またフェイスシールドでの対応ができない場合にどのような合理的配慮の提供が考えられるのか。  イ.B教習所は、聴覚障がい者が受講困難な講習についてマンツーマン対応にして、安全運転を習得してもらいたいとの方針だが、そのためには割高なマンツーマンコースしか認められないことは不当な差別的取扱いにあたらないのか。それとも企業の経営の自由という点、あるいは経営の必要性から正当な理由といえるのか。  (分類)不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供  ※以下の意見については、合議体を開催した当時の新型コロナウイルスに関する知見や社会情勢下のものとなります。  ア.フェイスシールドでの対応に関して  (ア)事案の分類及び整理に関する意見  (合理的配慮について)  a.ガイドライン等でマスクの使用を義務づけられていて、フェイスシールドは使用できないとの説明であったが、障がい者のことを想定してガイドラインを定めていないと思われる。ガイドラインを適用する場合、障がい者に対してはルールを柔軟に変更し、対応していくことが大事である。  b.マスクに加えてフェイスシールドを使うことは構わないが、フェイスシールドだけでは予防効果の問題があり認められていない。業界団体として定めたガイドラインを守らずに営業して良いのかどうか。  c.相談があったときはワクチン接種が進んでいなかったので、マスク着用を必須とすることに正当な理由があると言えたかもしれない。ワクチン接種が進み、ウィズコロナの時代では、マスクの着用にこだわることもないのではないか。  e.フェイスシールドの着用を拒むことよりも、透明マスクでの対応やマスク以外の方法を検討していないことが、問題になると思われる。  (イ)事業者側の対応に関する意見  a.コロナ禍でも障がい者が教習を受けられるように、いかにその機会を確保するかの検討が必要である。  b.ワクチン接種が済んでいる場合、聴覚障がい者がマスク、教習指導員はフェイスシールドで対応し、車の窓を全開にして1対1の教習指導であれば、感染リスクをあまり考えなくてもいいのかもしれない。  (ウ)広域支援相談員の対応等に関する意見  a.新型コロナウイルス感染予防のために様々な研究がなされ、透明マスクなどの開発もできている。広域支援相談員が情報を集めて事業者へ情報提供していくことも考えられる。  b.相談を受けた場合には、他の教習所の取組みやガイドラインを検討した経緯などを確認しながら、個別対応の余地があるのではないかということも、話し合っていく方法が望ましい。  イ.マンツーマンコースに関して  (ア)事案の分類及び整理に関する意見  a.聴覚障がい者でなくても、技能が達しない場合には超過料金を払うこともある。マンツーマンコースでなければ対応できないことがあり、実際に事業者の負担があるため、その分の料金がかかるのはありうることだと思われる。  b.マンツーマンコースが高いというよりは、無線教習、複数名教習など、コストカットの工夫をすることで通常コースを安くすることができているとも考えられる。  c.資格取得等のために、障がい者がプラスアルファの費用を負担しなければいけないようなことは、これまでにもたくさんあり、この問題に限ったことではないのが現状である。  d.高い料金を払わなければ教習を受講できない場合は、その教習所を選ばないので、結果として聴覚障がい者がその教習所を利用できないという不利益を受けることになる。これは、不当な差別的取扱いに当たる可能性がある。  e.障がい者には特別な配慮が必要であり、そのため無線講習と複数名a 講習の体制は取れないことを理由にマンツーマンコースを設定し費用負担を求めるということ、また、それ以外の選択肢がない、あるいは「それが嫌であれば他の教習所に」ということは障がい者差別に当たるのではないか。  (イ)事業者側の対応に関する意見  a.通常コースかマンツーマンコースかの二者択一ではなく、障がいの個別状況に合わせて、柔軟にマンツーマン対応していくといいのではないか。  b.「マンツーマンコースしか選べない」とするのではなく、補習などにより料金負担がマンツーマンコースよりかかるリスクも含め、可能な方法を相談し、その中から本人が選択できるようにすることが大切なのではないか。  (事例3)車いす利用者の私立高校入試にあたっての合理的配慮について(教育分野)  (相談の内容)  他府県在住の車いすを利用している中学3年生。進学を希望している大阪府内の私立高校から、入学にあたっては自力で学校生活を送れることを条件としていると言われ、家族を含む介助者の受け入れを断られたが、話し合いの結果、入学後に必要な配慮については今後相談することとして、受験できることとなった。しかし、入試にあたって具体的な配慮(解答用紙の拡大、長文の解答を要する問題の代筆、介助者によるトイレ介助等)を求めたところ、解答用紙の拡大等一定の配慮はするが、入試当日の家族等外部の介助者を受け入れることはできない、高校側で介助者を準備することもできないと言われ、実質的に受験を拒否された。  (対応概要)  本人が在籍する中学校を訪問し、中学校の教員及び家族と面談して、これまでの経緯や意向を確認したところ、代筆等は試験の公平性の点からやむを得ないとしても、介助者によるトイレ介助等は認めてほしいとのことだった。その後、事情を確認するため広域支援相談員が高校への訪問を調整するが、高校としては中学校とまず話し合いたいとのことだったため、中学校との情報共有を適宜行った。広域支援相談員が高校を訪問する前に、中学校に対して「入試当日の介助者の受け入れ可能」との回答が高校からあり、受験できることとなった。  (論点)  ア.私立高校は、車いすの生徒の入学については「自力で学校生活を送れること」を条件としているが、このような条件を付けることは、不当な差別的取扱いに該当するのではないか。  イ.私立高校が入試にあたって、介助者を部外者として受け入れを拒否し、高校が介助者を準備したり教職員が介助を行ったりすることもできないとすることは、合理的配慮の不提供と考えられるのではないか。  ウ.私立高校は入試の公平性の観点から、介助者による代筆や文具使用の際の補助は認められないとしたが、合理的配慮と公平性の観点をどう考えたらいいか。  (分類)不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供  ア.「自力で学校生活を送れること」を入学の条件にしていることに関して  (ア)事案の分類及び整理に関する意見  a.「学校生活を自力でできること」という条件の「自力」という考え方が、「自分で全部しないといけない」ということであれば、障がいがあり支援が必要な生徒を拒否していることになり、非常に問題である。  b.教育振興補助金事業があるが、障がいのある生徒を受け入れると補助金以上の費用がかかるため、受け入れられない、ということは正当な理由となるのか。ただ、入学後それなりの介助が確実に必要な生徒の場合、私立でも公立でも受験前の相談の段階で、受け入れが難しいと言われることが多い現状がある。  (イ)事業者側の対応に関する意見  a.高校がその生徒を受け入れるかどうかは、学力テストの合格基準に達しているかどうかが最初の観点。障がいのある生徒の受け入れの前提となるのは、校長の姿勢やどう教員を配置するかという点。高校としては受け入れる方針だとしても、それが進路相談の対応をする教員に周知徹底されておらず、断ってしまった可能性がある。  b.学校生活の全部を自力で、というのは問題であり、ある程度は学校側でサポートをしてもらう必要があるが、それを超えた場合に私立高校にどこまでやってもらえるか。できるだけ対応する方向で考えてほしい。私立だから考えなくていいというものではない。  c.日本学生支援機構には障がいのある学生への大学での対応事例がいろいろと集まっており、検索すればその内容を見ることができる。大学ではそれを参考に対応を検討したりしており、私立高校に関してもそのような参考にできる事例があるといいのではないか。  (ウ)広域支援相談員の対応等に関する意見  a.教室を入れ替える、教室移動を減らすように時間割を組むなど、多額の費用をかけなくても履修できる環境を何らかの工夫によって整えることができないか、ということを学校側に伝え、考えてもらうといいのではないか。  b.府の事例集に、他府県の例も含め実際にやっていること、やれそうなことが網羅されているので、それを説明して学校に対応を求めればいいのではないか。  c.様々な取組み例はあるが、他人に言われてやるのを嫌がる人もいるので、広域支援相談員から取組み例を紹介するよりも、その生徒とよく接している人(家族、中学校の教員等)と話し合う機会を持つのは義務であると言う方がいいのではないか。  イ.入試における合理的配慮に関して  (ア)事案の分類及び整理に関する意見  a.受験のための配慮は、その日だけを見たときは、入学後の3年間と比べるとそこまで過重な負担にはならないのではないか。  b.合理的配慮がされない結果、受験の機会を得られないとなると、障がいを理由とする差別に当たると考えられる。  (イ)事業者側の対応に関する意見  a.公立高校の場合は、大学入試センターの対応と同様に、計画に基づき中学校で行っていた配慮や支援を前提に入試での配慮がされるが、私立学校は障がいのある生徒への具体的な方法論が乏しい現状にある。この高校が公立高校の対応を参考にしたのは良かったのではないか。  b.中学校で行っていない配慮や支援を高校入試で求められた場合には、公平性の観点からも対応は難しいと思われる。  c.大学では共通テストも含め、実施可能な配慮はすべて行い、実力を出してもらえる環境を用意して、実力が合格レベルに達しているかで合否判定をしている。高校受験でも同様の考え方をすればいいのではないか。  d.府内の公立中学校を対象に、個別に私立高校と中学校とで必要な配慮等について話し合う事前交流会を毎年開催しているが、このケースは他府県からの受験という事情があり、交流会の対象にならなかったという事情もあるのではないか。  e.高校が対応できないとした合理的配慮についても、パソコンで解答できるようにする、定規やコンパスを使わずに解答できるようにする等の、設問の工夫で解決できることもあるのではないか。  (ウ)広域支援相談員や府の対応等に関する意見  a.入試において合理的配慮が必要ということを、好事例も含めて府として知らせていく必要がある。  b.教育現場の実際を調べ、「ここまではやってもらわないと困る」と言えるような具体的なライン、常識的なラインを見つけることはできないか。  c.広域支援相談員が私立高校との調整をすることはなかったが、高校側が生徒のことをよく知る中学校とまず話し合いたい、というのは妥当である。広域支援相談員が私立高校に連絡したことにより、高校側に障がい者差別の観点が意識されたのではないか。  (事例4)障がいのある園児の私立幼稚園の遠足への参加について(教育分野)  (相談の内容)  私立幼稚園に通っている肢体不自由と知的障がいのある子どもが、運動会や遠足などの行事に他の園児と同じように参加させてもらえない。保護者の付き添いや時間の短縮等を条件付けられ、配慮を求めるのであれば公立幼稚園に行くように言われる。秋の遠足は、現地で付き添う予定だった母が運転できないにもかかわらず、「本人の乗ったバスの後ろを車でついてくる」という条件を間際につけられたため参加できなかったが、卒園遠足は参加させたい。  (対応概要)  保護者は市にも相談していたため、市とともに保護者との面談と、幼稚園への訪問を行った。卒園遠足は寒い時期で長距離になるので、参加してほしくないとの幼稚園の意向が当初示されたものの、市と広域支援相談員も同席した上での幼稚園と保護者との話し合いにより、本人の体調や家族の部分的な付き添い等の条件が整ったうえであれば、参加できることとなった。  (論点)  ア.本人が行事に参加するために幼稚園側がつけた条件には、正当な理由があると言えるのか。  イ.本人が行事に参加するために、幼稚園に対して、広域支援相談員としてどのような内容をどこまで求めることができるのか。  (分類)不当な差別的取扱い  (ア)事案の分類及び整理に関する意見>  a.つけられた条件に正当性は認められない。抽象的な説明だけでなく、具体的な説明とどういうものであれば対応できるのかという話し合いを丁寧に行えば、保護者は条件を突き付けられたと感じなかったのではないか。  b.この市では数年前より公立幼稚園を減らして、私立を含めた全ての幼稚園で障がいのある子どもを受け止めていくという方針になっており、その状況の中で「配慮を求めるのであれば公立幼稚園に行くように」という言い方は非常に高圧的であり、話し合いを拒否しているのと同じである。  (イ)事業者側の対応に関する意見  a.理事長、園長、担任、保護者のコミュニケーションが十分に取れていない印象。コミュニケーションが取れていれば、良いところに目を向けることができ、「こんなことができるのでは」と建設的対話につながると思われる。差別や合理的配慮という以前に、コミュニケーションが大切。  b.幼稚園の取組みとしても保護者の姿勢としても、将来的にほかの園児たちに、この子どものサポーターになってもらうという視点が必要であり、参加せずに終わり、というのは残念に感じる。  c.幼稚園では、本人の意思を聞くことが難しく、保護者の思いが前面に出てしまうという難しさがある。保護者は子どもの一番の理解者でもあるが、思い入れも強いため、幼稚園側からすると無理を言われているように感じることもある。また、理事長、園長等の意向が強く担任が発言しにくいような状況であれば、保護者、担任、幼稚園との認識のズレが生じやすいのではないか。  d.各行事にはそれぞれ教育目的があり、すべてを他の園児と同じようにしなくても、こういう方法であればその目的が達成できるのでは、ということを保護者と丁寧に話し合うことが大切である。  e.校外での行事をするときに、旅行会社に相談をすると、これまでのノウハウや経験があるので参考になることが多い。実際に、保護者との話し合いの場に、旅行会社の熟練の担当者に入ってもらうと、スムーズにいくことが多い印象を持っている。  (ウ)広域支援相談員や府の対応等に関する意見  a.この市では以前も、障がいのある子どもを排除するようなケースがあったと思う。私立の場合は、幼稚園の考え方もあるかもしれないが、支援の必要な子どもを受け止めていくという流れがある中で、このようなところにどうアプローチするのかは、府や市にとって課題。どういうことができるのかを継続的に話し合って整理してほしい。  b.私立幼稚園では、園長と教諭の年齢差が大きいことが多く、教諭がきちんと対応できるかを心配して、園長が守りに入ってしまうことが現状としてある。例えば、療育施設と幼稚園の並行通園をしているような場合には、その子に必要な支援について療育施設の職員に相談できる。そのように外部の専門職に相談することを提案するのも一つの手立てではないか。  c.アイデア集のようなものがあれば、それを示すことにより、こういうことであればできるかもしれない、という意見が幼稚園の側からも出てくるかもしれない。   2.合議体でのその他の意見  (1)広域支援相談員の相談対応に関する助言  ア.解消協議会には事業者側の委員もいるので、相談対応で困った際に、委員に個別にアドバイスを求めてもいいのではないか。  イ.合理的配慮として対応が必要なこともあるが、福祉サービスをはじめとする他の制度などを活用して解決を図ることも考えられるため、いろいろな相談機関と連携しながら方法を模索することも必要ではないか。  (2)相談内容の分類と整理に関する助言  ア.「配慮」というとお世話まで入ってきそうな日本語であるが、「介助」と「合理的配慮」は別の考え方。「合理的配慮の範囲ではない」と明らかに言えない場合には、一旦、合理的配慮の問題としてとらえ、その上で過重な負担に当たるかどうか、均衡を失した対応になっていないか等を考えればいいのではないか。  イ.裁判的な発想で言えば、「合理的配慮」などの定義に該当するかをある程度厳格に考えるべきかもしれないが、相談事案のありようを考える合議体の場では、あまり厳格に考えずに広めにとって、検討するほうが良いのではないか。  (3)合議体による「あっせん」の考え方に関する意見  ア.事業者が、障がいのある人に対して偏見があるために差別事案が発生しているようなケースで、広域支援相談員が対応してもなお事業者が頑なに対応を拒む場合など、広域支援相談員の対応の限界というのはあると思われる。そのような場合に、広域支援相談員から事業者に対し、障がい当事者によるあっせん申立ての可能性を示すことも考えられるのではないか。  イ.広域支援相談員が事業者に対し、あっせんの可能性の提示をしようと思えるためには、委員も含め合議体の質を高めていく必要がある。    (4)府の役割に関する意見  ア.生活の様々な場面において、「障がいのある人たちがいる」ということが最初から外されて制度設計されていることに問題があると思われる。特にコロナ禍では、感染防止対策のスピードが求められるため、障がいのある人たち、配慮が必要な人たちのことに思い至らずに対策を考えていることも多いのではないか。社会モデルの考え方がしっかり意識できるよう啓発が必要ではないか。  イ.個別の事業者への働きかけは難しい面があるが、今後、類似の事案が発生しないようにするための事業者団体や当該業界に対する行政の関与を、もう少し考える必要があるのではないか。また、 繰り返し類似の事案が発生する場合には、府としてどう対応するのか整理が必要である。  ウ.事業者がかつて「対応が難しい」と判断したことについて、改めて考えるという習慣づけのための働きかけや調整を、府や広域支援相談員にはしてほしい。広域支援相談員も職員も交代していくので、その方法の開発、整理、蓄積についてシステムを作っていくことが必要である。  3.府における整理と課題  (1)広域支援相談員の相談対応  ア.一方の当事者が建設的対話に消極的な事業者である場合などのアプローチ方法については、事業者団体のキーパーソン、外部の専門職、障がい者団体、解消協議会の委員等からの協力や助言を求めながら検討していきます。  イ. 広域支援相談員が調整をする上で、同業の事業者の具体的な取組み例を紹介して、当該事業者に検討してもらうことが有効であると思われることから、広域支援相談員が対応した事例について蓄積を行うとともに、国や他府県の取組み事例等の情報収集を今後も積極的に行います。  ウ.福祉サービス等、他制度の利用により解決が図られる場合もあるので、障がい者の意向を丁寧に確認したうえで、必要に応じて市町村をはじめとする他の相談機関と連携しながら、解決につながる方策について検討します。  (2)相談内容の分類と整理  ア.合理的配慮に当たるかどうか判断が難しい場合においても、相談対応の場面においては、社会モデルに照らし合理的配慮を広めに解釈した上で、それを提供することが過重な負担になるのかどうかの検討や、過重な負担がある場合の代替措置の検討等を行います。  (3)合議体による「あっせん」について  ア.事業者側が建設的対話に消極的であり、広域支援相談員の対応が難しい事例では、障がい当事者によるあっせん申立ての可能性を事業者に示唆することも視野に入れて、対応を行います。ただ、あっせんの性質上、参加については任意であることを認識しておく必要があります。  イ.合議体の質の向上のためには、委員・専門委員が相談事例に接したり、検討したりする機会を増やすことも有効であるため、引き続き合議体での議論の内容について委員等との共有を行うとともに、解消協議会での事例の共有や検討を行います。  (4)今後の課題  ア.法の目的である、共生社会の実現のためには、日常生活や社会生活における障がい者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要です。しかし、相談事例からは「障がいのある人たちがいる」ということを考慮されずに、社会の仕組みが作られていることから、障がい者が困難な状況に置かれていることが改めて確認されました。   障がいを理由とする差別の解消は、すべての府民が共に社会の一員として解決すべき社会全体の課題であるとの認識のもと、社会モデルの考え方も含めた法の理念や内容、障がい理解の促進に取り組んでいくことが必要です。  イ.同一の業種で類似の事案が繰り返し発生する場合には、相談対応において個別の事業者へ働きかけるだけでなく、事業者団体等を通じた啓発が有効であると考えられます。啓発を行うにあたっては、当該業種の所管課との連携のあり方や役割分担等の整理が必要です。  ウ.これまで、助言・検証実施型の合議体を開催し、広域支援相談員への助言や相談事例の分析を行ってきました。また、この6年間で、広域支援相談員が相談対応した事例は900件を超え、事例の蓄積も進んでいます。一方、調整の具体的な手法については、広域支援相談員の経験によるところが大きく、文章化して共有することが難しい状況があります。広域支援相談員や職員の入れ替わりも前提に、障がい者差別に関する相談対応のノウハウをいかに積み上げて共有していくことができるのか、検討していく必要があります。    3 合議体によるあっせんの実施  あっせんの申立てが1件あり、4月に実施した合議体においてあっせんを開始することとしました。その後3回の合議体において検討を重ね、年度末に合議体よりあっせん案を提示しました。あっせん案の諾否は、令和4年度に申立人、被申立人から表明される予定です。  あっせんは差別があたかどうかをジャッジするものではなく、合議体が当事者の間を取り持つことにより、双方が解決に向けて差別解消の取組みを話し合うものになります。  本件あっせんでは、双方の意見を聞いたところ具体的な解決方法が見いだせそうであったため、紛争事案が障がいを理由とした差別にあたるかどうかの判断よりは、障がい者が受けた不利益の改善や今後の障がい者差別解消につながる方策の検討に重点を置いて議論しました。被申立人からも合議体に対して改善策の提案がなされ、あっせん案の提示まで至った初めての事例となりました。    4 府内市町村に対する支援の取組み    1.府内市町村の取組みに向けた支援  条例では、府は、体制整備や啓発活動にあたっては、市町村と連携して実施するよう努めることとし、市町村が体制整備や啓発活動を実施しようとするときは、市町村に対し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うことを規定しています。  そこで、府は、市町村に対し、相談への対応姿勢等についての情報伝達を積極的に行うとともに、相談対応力の向上に向け、市町村の個々の状況を踏まえた意見交換の場を設定する等、支援に取り組んでいます。  (※啓発活動については、「5 障がい理解に関する啓発の取組み」に記載)   2.市町村支援における課題  (1)相談対応について  条例では、障がい者差別の解消における体制整備にあたり、市町村と連携してこれらを実施するものとしております。まずは住民に身近な相談窓口である市町村が対応し、それでも解決の困難な事案については広域支援相談員が市町村に対して情報提供や技術的助言等の支援を行うというように広域・基礎自治体の役割に応じた機能を発揮することにより、府全体における障がいを理由とする差別の解消の推進につなげることを目指しており、市町村の役割は極めて重要です。  各市町村において、専門職の配置・活用や相談事案が起こった場合の検討体制の整備等が進められていますが、相談事例や対応ノウハウの蓄積はまだ十分とは言えません。  また相談窓口をたらい回しにされてようやく広域支援相談員につながった、という事案もあることから、市町村の相談窓口の周知を図るとともに、市町村の相談事例のキャッチ力や対応力の向上については引き続き取り組むべき課題と言えます。  (2)障害者差別解消支援地域協議会の設置について  障害者差別解消支援地域協議会(以下、「支援地域協議会」という。)未設置の市町村では、設置に至らない理由として、  ア.事例が挙がってこない中、支援地域協議会を起ち上げねばならない根拠が希薄であり、もし会議体を設置したとしても、どのように運用していくのかが悩ましい。  イ.事例がない中で、会議体が多く予算も限られていることから、設置にまで至らない。  ウ.既存の協議会で対応できる。仮に設置しても同じようなメンバーになってしまう。  エ.自治体の規模から考えて単独で設置することが困難。  といった点が考えられます。  また、支援地域協議会を既に設置している市町村でも、  オ.行政の報告にとどまらず、互いに協力し合う関係性を構築できるような会議の運用をどのようにしていくかが悩ましい。  カ.設置はしているものの、参画してほしい委員を集めることが難しい。  といった点が課題として挙げられます。  これらの意見から、相談体制整備の一環として支援地域協議会を設置することを各自治体に理解を求めていく一方で、事案が少ない、または予算や人員が限られている中でどのような形で設置するのかを工夫する必要があります。また、既に支援地域協議会を設置した市町村においても、有意義な会議体となるためにはどのような議題を話し合うべきなのか、どのように幅広いメンバーに委員に就任してもらうかといった課題があると思われます。   3.府内市町村に対する支援の取組み  (1)オンライン情報交換会の実施  大阪府では、これまで広域支援相談員が市町村職員と面談形式で情報交換を行う、出張情報交換会を実施しておりました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各市町村を訪問することを控えたことから、令和2年度は大阪市・堺市と情報交換をするにとどまりました。  一方、情報交換を実施することは、事例の共有や収集のみならず、各自治体の障がい者差別担当者と広域支援相談員が顔の見える関係性を築いていくためにも重要な取組みであると考えており、毎年何らかの方法で開催していくべきではないかと考えております。  そこで令和3年度はオンラインでの情報交換会を実施しました。(9月:北河内地域の7市を対象、1月:北摂地域と泉州地域(堺市を除く)を対象)。  情報交換会の中では、大阪府も含め参加いただいた各市町から近年発生した相談事案や支援地域協議会の開催状況について紹介すると共に、参加者間での質疑応答を実施しました。また、支援地域協議会について、設置済みの自治体からどのような形で運営しているかを紹介頂くことで、未設置自治体とイメージの共有を図りました。また、相談事案がなく設置する理由が見いだせないという自治体に対して、まずは障がい者差別解消に関する周知啓発方法について考えること、他自治体で発生した事例を用いて、域内で相談事案が発生した際に備えていくなど、立ち上げに向けた提案を行いました。。  (2)その他  令和3年度は内閣府による「障害者差別解消支援地域協議会に係る体制整備・強化ブロック研修会」が開催され(令和4年1月)、府内市町村に対して参加の呼びかけを実施しました。研修会は事前に内閣府の作成した支援地域協議会の解説と設置状況に関する動画と設置・運営方法についての動画を見た上でアンケートに回答し、研修当日はオンラインでアンケートの回答内容について参加者間での意見交換が実施されました。   4.今後の取組み  令和3年度は、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症により、さまざまな制約のある年でした。一方で、オンライン会議の環境も整ったことから、オンラインを活用した情報交換会を実施しました。引き続きこの取組みを行うこととし、令和4年度は政令指定都市、中河内地域、南河内地域を対象に実施する予定です。また、2回目以降の実施に向けた準備も取り組んでいきます。  支援地域協議会の設置促進に向けては、すでに設置している自治体がどのような形で設置・運営しているのか引き続き情報提供を行うほか、事例の少ない自治体間で共同設置するための情報を提供していく必要があると思われます。また、大阪府の解消協議会を傍聴してもらうことも設置・運営のヒントになるのではないかと思われますので、積極的な傍聴を働きかけてまいります。  市町村における相談事案のキャッチ力や対応力の向上を図るためには、引き続き広域支援相談員に市町村から寄せられた事案への対応について助言を行ったり、差別に関する相談に対応する流れをまとめたものを提供したりするなどして、障がい者差別やその温床となる不適切な対応等について、事案を早期に発見し、適切に対応できるよう取り組んでいきます。  今後も障がい者差別解消を効果的に推進するために、より多くの市町村で支援地域協議会が設置されるよう、広域自治体として、市町村での取組状況の把握や情報発信をしながら、設置の推進に努めていきます。    5 障がい理解に関する啓発の取組み    1.啓発について  府では、依然として障がい者が日常生活の中で嫌な思いをしているほか、差別を受けたと感じている現状があります。これらは、障がいや障がい者に対する理解不足や誤解等が原因と考えられることが少なくないことから、障がいに対する誤解や偏見等をなくし、障がいに対する理解を深めることが何よりも大切であり、そうすることで、差別に係る相談の迅速な解決や紛争の未然防止も期待できると考えます。  そのため、条例では、「啓発活動」を、「相談及び紛争の防止又は解決のための体制の整備」とともに、車の両輪として差別の解消に取り組むこととしています。   2.啓発の課題  事業者が障がい者差別に「気づく」ための研修や啓発が求められることが、課題の1つとして挙げられます。事業者の中には、不適切な対応をしたという自覚がなく、知識や経験、具体的な方法がわからなかったために、結果的に差別に至ることがあります。  「知識や経験の不足」が要因となって差別に至ることを未然に防止するためにも、事業者が「気づく」ことを第一歩に、これまでの事例の蓄積を活かし、事業者に対する啓発事業を工夫していくことが必要です。  また、条例においては、府民もまた、条例の基本理念にのっとり、障がい及び障がい者に対する関心と理解を深めていくことが求められています。法や条例の施行以降、府では、様々な啓発事業や啓発冊子の作成に取り組んできましたが、令和3年度に実施した、府民モニター1,000名を対象としたアンケート調査の結果においても、合理的配慮について、その意味まで理解している人は1割にも満たない状況であり、府民の認知度が十分ではないというのが現状です。引き続き市町村や関係団体、機関と連携しながら、「オール大阪」による啓発活動をさらに進めていくことが重要です。   3.啓発の取組み  府では、障がいを理由とする差別の解消は、全ての府民が共に社会の一員として解決すべき社会全体の課題との認識のもと、民間事業者等のご協力と関係機関等との連携等により、様々な啓発活動に取り組んでいます。  (1)大阪ふれあいキャンペーン  障がい者団体及び関係団体、行政が連携した障がい理解を深めるための取組みとして、昭和58年の「国連・障害者の10年」を契機に始まり、現在88団体(障がい者団体・地域福祉団体等44団体、府、府内全43市町村)で構成された実行委員会により活動を行っています。  取組みの一環として、障がいに関する基本的な事項を学ぶ「ふれあいおりがみ」を府内全小学3年生に配布するとともに、行政機関や障がい者団体等で活用しています。  また、障がいのある人に対する配慮や工夫等を学ぶ「ふれあいすごろく」を府内の全小学校に配布しています。配布にあたっては、合理的配慮や社会モデルの概念をわかりやすく伝えられるよう、授業で活用できる資料を新たに作成する等、啓発ツールの工夫を行っています。  このほかにも、幅広い世代の方に障がいに関する理解を深めていただくために、クリアファイルを作成し、配布するとともに、SNS(Instagram,Twitter)を活用した啓発活動を実施しました。  (2)共に生きる障がい者展  障がい者の自立と社会参加の促進をテーマとするとともに、障がいや障がい者への正しい理解を目的とした「大阪の障がい者の祭典」です。  大阪府、大阪府教育委員会、社会福祉法人大阪障害者自立支援協会が主催で、行政と障がい者団体等から構成される実行委員会を運営主体とし、障がい福祉分野に留まらず庁内連携を図りながら、障がいのある人もない人も共に楽しく学べるイベントを実施しておりますが、令和3年度は新型コロナウイルスの感染対策のため、初めての試みとして「WEB版ともいき」として、Web上での配信を行いました。  プログラムの一つとして、フォーラム「身近な事例を基に障がい者差別解消について考える」を開催しました。このフォーラムでは、「合理的配慮」「障がい者差別解消」について、実際の相談事例を寸劇で紹介し、有識者、事業者、障がい当事者等によるパネルディスカッションを行いました。テレビ局のアナウンサーや芸能人も出演し、親しみやすく分かりやすい内容となっており、事業者の研修にも活用できるものとなっています。  (3)心の輪を広げる障がい者理解促進事業(体験作文・障がい者週間ポスター募集)  「障がい者週間」(12月3日〜9日)を広く周知するとともに、府民の障がいに対する正しい理解を深めることを目的としています。  具体的には、内閣府との共催事業として、小学生、中学生、高校生、一般の各部門で障がいのある人とない人との心のふれあい体験をつづった作文の募集や、小学生、中学生の両部門で「障がいの有無にかかわらず、誰もが能力を発揮して安全に安心して生活できる社会の実現」をテーマとしたポスターの募集をしています。作文及びポスターの最優秀賞・優秀賞受賞者には、知事による表彰を実施するとともに、受賞者の作品集を作成して府内の学校等に配布しています。  (4)大阪府障がい者等用駐車区画利用証制度  公共施設や商業施設等における車いす使用者用の駐車区画等の適正利用を促進するために、利用証を大阪府が交付する制度です。  大阪府では、車いすを使用する方を利用対象とする「車いす使用者用駐車区画」と、車いす使用者以外の移動に配慮が必要な方を利用対象とする「ゆずりあい駐車区画」の両方を整備する「ダブルスペース」の整備を推進しており、本制度の協力施設を募集しています。  (5)ヘルプマークの周知・普及  ヘルプマークは、外見からはわからない援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成されたマークです。  大阪府では、平成29年6月から一般財団法人大阪府地域福祉推進財団との協働事業として実施し、府及び府内市区町村で配布をしています。  行政機関や障がい者団体等に加えて、公共交通機関や小売店等の民間事業者から協力を得て、ポスターの掲示やチラシ・リーフレットの配架、啓発物の配布、広報誌への掲載等、広く府民に向けた普及・啓発を実施しています。  (6)心のバリアフリー推進事業  事業者が、従業員等を対象とした障がい理解の促進や差別解消に関する研修等に自主的に取り組むことを目的に、事業者等の意見も踏まえながら、事例の検討を通じて、障がい理解と法内容の理解を進めるための教材を作成しています。  これまでも、障がい理解や法に関する体系的な研修を自主的に実施していない又は実施することが困難な状況にある事業者を対象として、効果的・効率的に取り組みやすい漫画や、障がい理解に関する事業に取り組まれた事業者の活動内容や効果等を具体的に分かりやすく伝える「インタビュー記事」を、事業者団体を中心に配布しました。  さらに、大阪府障がい者差別解消条例の改正に合わせてチラシや大阪府障がい者差別解消ガイドライン(第3版)を作成し、事業者団体や障がい者団体等に配布し、会員に向けた周知を依頼してきました。  令和3年度は、「共に生きる障がい者展」において実施した「フォーラム」の様子を動画として配信し、事業者の研修に活用してもらえるよう、周知を行いました(「A共に生きる障がい者展」参照)。    (7)事業者団体への研修の実施  希望する事業者団体に対して、大阪府障がい者差別解消条例の改正についての説明を主な内容とする障がい理解に関する研修を実施しています。  (8)大阪府が作成した啓発物  ア.条例改正周知チラシ  令和3年4月の大阪府障がい者差別解消条例の改正により、新たに事業者による合理的配慮の提供が義務となることから、主に事業者を対象に合理的配慮とは何であるのかを説明したチラシです。     イ.大阪府障がい者差別解消ガイドライン  法や国の基本方針に基づき、何が差別に当たるのか、合理的配慮としてどのような対応が望ましいのか等について基本的な考え方や、具体的な事例等をわかりやすく記載することで、障がいを理由とする差別について府民の関心と理解を深めるため、平成27年3月に作成しました。そして令和3年4月の条例改正に対応させるため、令和3年3月に改訂しました。  ウ.「ほんま、おおきに!!〜ひろげよう こころの輪〜」障がい理解ハンドブック  障がいや障がいのある人についての理解を深め、必要な配慮を考えるきっかけとなることを目的に作成しました。障がい特性ごとに配慮事項を記載しています。令和3年4月の条例改正に対応させるとともに内容を充実させるため、令和3年3月に改訂しました。  エ.マンガ「お客様一人ひとりに向き合う」  インタビュー記事「できることを“一緒” に 魅力ある事業者への第一歩」  障がい理解や法に関する体系的な研修を自主的に実施していない又は実施することが困難な状況にある事業者を対象に、効果的・効率的に取り組みやすい「マンガ」と、障がい理解に関する事業に取り組まれた事業者の活動内容や効果等を具体的に分かりやすく伝える「インタビュー記事」を作成しています。  オ.社員研修教材「障がいのあるお客様への対応から、人を大切にする接客を学ぶ」  事業者が、従業員等を対象とした障がい理解の促進や差別解消に関する研修等に自主的に取り組むことを目的として作成した、事例の検討を通じて障がい理解と法内容を理解するための教材です。  カ.DVD「障がいのある お客様との接し方 〜外食の場面を中心に〜」  法の趣旨を理解していただくため、何が差別に当たるか、合理的配慮としてどのような対応が望ましいか等について、基本的な考え方をまとめたDISC1「よく分かる障害者差別解消法」と、障がいのある人との接し方や対応するときのヒントについてまとめたDISC2「障がいのあるお客様との接し方〜外食の場面を中心に〜」で構成しているDVDです。  キ.「i-welcome」“合理的配慮”接客のヒント集  法施行を踏まえ、サービス業の事業者に向けて、サービス提供時における「合理的配慮」とは何か考えるきっかけとなる事例を掲載した接客のヒント集です。   4.今後の取組み  障がいを理由とする差別の解消は、全ての府民が共に社会の一員として解決すべき課題であり、社会全体で取り組む必要があります。そのためには、それぞれの主体がそれぞれの立場において、障がい理解を深め、差別解消に向けて具体的に取り組むことが求められています。  大阪府は、広域的な観点から、府民全体で差別解消に向けた取組みの一層の浸透を図るため、府民や事業者が障がい理解を深められるよう、工夫した啓発活動を今後も展開していきます。  特に大阪府では令和3年4月の大阪府障がい者差別解消条例の一部改正により、法においては努力義務とされている事業者による合理的配慮の提供を義務化したことから、主に事業者を対象に合理的配慮についての理解をより進めていくような取組みが求められます。そのためにも、引き続き、事業者が利用しやすいツールの作成を進め、啓発活動に努めていきます。  令和2年度、3年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、府民や事業者を主な対象に予定していた啓発のためのイベント等をWebで配信するなど、形式を変更して実施せざるを得ませんでした。令和4年度は引き続き感染対策を行いつつ、できるだけ多くの方に啓発することができるよう、少人数でのイベントを複数回開催するようにしたり、オンラインを活用した啓発を行う等の工夫を行います。  各市町村による特徴のある啓発活動についての情報提供や啓発物の提供等を通じて、市町村による啓発の支援に取り組みます。また、支援地域協議会の設置等を契機にしながら、地域におけるネットワークを広げ、お互いにできることを少しずつでも実行していく取組みがの実現に向け、市町村へ助言を行う等の支援を継続していきます。    6 おわりに   本報告書では、広域支援相談員が令和3年度の1年間に受けた相談について分類・整理すると共に、2年ぶりに実施した助言・検証実施型の合議体における議論の結果をまとめました。また、大阪府が実施した市町村に対する支援や啓発活動について課題や取り組み内容を検討しました。  令和3年度も引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの制限を強いられることとなりました。大阪府に寄せられた障がい者差別に関する相談の中にも新型コロナウイルス感染症に関連した相談が少なからずありました。  そうした中、4月に大阪府障がい者差別解消条例が改正され事業者による合理的配慮が法的義務となりました。また6月には改正障害者差別解消法が公布され、将来的に事業者による合理的配慮の提供が全国的にも法的義務となることとなり、障がい者差別を解消するための基盤整備がさらに進んだ1年でもありました。  この改正法の中では他にも、地方公共団体に対して障がいを理由とする差別に関する相談に対応するための人材を育成・確保すると共に、障がいを理由とする差別やその解消のための取組みについて情報収集・整理等をすることが求められることになっています。これらの要請に対応していくためにも、合議体での議論などを活用して相談への対応力向上に努めると共に、事例についてもより分かりやすく整理していく必要があると認識しています。  また、啓発については、「共に生きる障がい者展」で開催したフォーラムの様子を動画撮影し、研修等でも活用できるようオンラインで公開したり、TwitterやInstagramによる情報発信をしたりするなど初めての試みにも取り組みました。このような新たな手法も取り入れながら、これまでの方法では周知啓発が行き届いていなかった層に対しても、積極的にアプローチしていきたいと考えております。  今後も啓発活動と相談体制の整備を両輪に、障がい者差別の解消を推進し、障がいのある人もない人も共に支え合う共生社会が実現されるよう、関係機関と連携をしながら取組みを進めていきます。    参考資料   参考資料1 相談事例の分類の考え方及び広域支援相談員の対応  対応実績の集計にあたって、相談事例の分類や整理の考え方及び広域支援相談員の対応については、合議体における意見等をふまえ、次のとおり整理。現時点における分類や整理の区分等の考え方は、以下のとおりだが、今後も解消協議会及び合議体の意見を踏まえ、随時見直し、改善を図ることとする。  1.「相談類型」における整理  相談類型は広域支援相談員の対応を経た上で以下の9つの定義にそって整理して分類。なお、相談対応中で未整理の段階では、主訴等を参考に暫定的に分類しておき、後日整理できた時点で改めて確定させる取扱いとしている。  (1)不当な差別的取扱い  調査の結果、不当な差別的取扱いに該当するもの、又は不当な差別的取扱いに該当するおそれのあるもの。  (2)合理的配慮の不提供  調査の結果、合理的配慮の不提供に該当するもの、又は合理的配慮の不提供に該当するおそれのあるもの。  (3)不適切な行為  調査の結果、(1)(2)の障害者差別解消法の差別類型には該当しない(おそれも含む)が、差別的・不適切な行為があったと思われるもの。  (4)不快・不満  調査の結果、差別的・不適切な行為があったことを確認できないが、相談者が差別的と捉え、不快・不満があったもの。  (5)環境の整備  環境の改善を求めるもの。  (6)その他相談・意見・要望等  相談者が差別的と捉えているが、相談者の調査拒否等により、事実関係を確認できないもの。  障がい者差別以外の相談、意見、要望に類するもの。  年金や給付金等他制度への不満・苦情を要因とするもの。  (7)問合せ  庁内、市町村、他府県等からの相談や情報提供で、(1)から(5)以外のもの。  (8)虐待  障がい者虐待に該当すると思われるもの。  (9)その他  上記に分類できないもの。  2.広域支援相談員の活動手法  広域支援相談員が相談事案を受理した際の対応については、次のように活動手法を整理。以下、活動手法、定義の順に記載します。  (1)調整   広域支援相談員が、相談事案の解決に向け、下記の3類型のいずれかをおこなった場合など。  ア.自主解決型  相談者と関係事業者の相互の考え方について、広域支援相談員が整理して伝達等することにより、自主的な解決の方向に向かったもの。  イ.助言型  相談者と関係事業者の相互の考え方について、広域支援相談員が整理して伝達することに加え、障害者差別解消法の趣旨等の説明や対応等への助言を行ったもの。  ウ.指導型  相談者と関係事業者の相互の意思、意向、考え方について、広域支援相談員が整理して伝達することに加え、障害者差別解消法の趣旨等の説明等を行い、さらに障害者差別解消協議会(合議体)の助言を踏まえた見解を明示するなど、広域支援相談員が指導的な助言を行ったもの。  この3類型に該当しないものの、市町村や各所管行政機関、専門的相談機関等と、それぞれの対応や改善方策の具体的な調整、関係者間の話し合いの場の設定も調整に含むものとする。  相談員が、現地調査や事業所等に出向き事実関係の確認等を行った場合、調査・調整・啓発等を同時に行い、相談者にも報告しているため、調整とする。  (2)調査  広域支援相談員が、電話等での関係事業者への事実の聞取りを詳細に行い、資料の収集等により相談内容の事実を確認した場合等。  (3)助言  広域支援相談員が、相談者、市町村又は関係事業者等に対し、相談事案の解決に向け、具体的な対応や改善方策等の助言を行った場合等。  (4)情報提供  広域支援相談員が、相談者又は市町村に対し、制度の説明や関係機関の紹介、事実に関する事項の情報を提供した場合等。  (5)情報共有  広域支援相談員が、市町村や府庁内や関係機関等に対し相談事案について事実に関する事項の情報共有・交換・伝達・引継ぎを行った場合等。  (6)問合せ  市町村、府庁内等から、差別事案に該当するか、同様の相談事案があるか等についての問合わせ等があるが、詳細についてまで言及がないもの。  (7)傾聴・伝達  受容的・共感的態度で相談者の話を聴き、相談者が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう支援した場合等。  事業者に、相談者の差別的であると感じた思いや意向を伝えた場合等。  (8)その他  上記以外の対応   参考資料2 合議体での事例検討様式(令和3年度使用)  下記に、様式に記載する項目を列記します。  相談事例主題  (1)受付  受付日時、受付方法 来所・電話・書面(手紙・文書・ファックス・メール)・その他  (2)相談分野の区分  商品サービス、福祉サービス、医療サービス、公共交通機関、住宅、教育、雇用、行政機関、その他  (3)相談者の属性  市町村、障がい者本人、家族、支援者、事業者、他機関、その他、不明  (4)障がい者の状況  年齢、性別、  障害種別 身体(視覚・聴覚等・盲ろう・肢体不自由・その他)、知的、精神、発達、難病、その他、不明、不特定  障害の確認 手帳の所持、診断書、本人の申し出、その他  (5)相談申出者の主訴  (6)主訴の背景・経過、その時の心情等  (7)相談への対応   以下、相談対象を記載する。  障がい者、家族、支援者、事業者、市町村、関係機関   (8)結果およびその後のフォロー   終結、継続(受付日より3ヶ月間連絡を取っていない場合は、終結とする)、関係機関との連携状況(エコマップ等))  (9)相談員の確認事項等  (10)相談員の所見  (11)事案の検討・分析  ア.不当な差別的取扱いかどうか  (ア)商品やサービス等の提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりしているか。  「商品やサービス等の提供を拒否する」(商品やサービス、各種機会の提供を拒否すること)に該当するか。  「商品やサービス等の提供を制限する」(提供にあたって場所・時間帯などを制限すること)に該当するか。  「商品やサービス等の提供に条件を付ける」(障がいのない人に対しては付けない条件を付けること)に該当するか。  (イ)「障がいを理由として」いるか  「障害を理由として」に該当するか  直接障害を理由とするだけではなく、関連する事由(車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の付添い等の社会的不利を補う手段の利用等)を理由とする場合を含む  (ウ)「正当な理由」があるか  「正当な理由」がある場合、基本指針記載の正当な理由の判断の視点に相当するか。  「正当な理由」があると判断した場合、相手方は障害者にその「正当な理由」を具体的に説明すること、理解をえるように努めたか。     イ.合理的配慮の不提供かどうか  (ア)障がい者(本人・家族・支援者等)はどのような配慮を求めたか  求められた配慮の概要  「意思の表明」の手段と「意思の表明」をおこなった者  「意思の表明」がなかった場合は、「合理的配慮の不提供」にはあたらないが、配慮を必要としていることが明らかだった場合、障害者と話し合い、適切な配慮を提案するなど自主的な配慮に努めたか。  「環境の整備」の状況  当時の環境の整備の状況(ハード面でのバリアフリー化、情報の取得、利用・発信におけるアクセシビリティ、職員研修等)  (イ)求められた配慮に対してどのような対応がなされたか  求められた配慮に対しておこなわれなかった対応の類型とその詳細。(行った対応がある場合、その内容詳細を記載)  対応の類型   物理的環境への配慮、意思疎通の配慮、ルール・慣行の柔軟な変更、その他  内容詳細  障がい者の性別、年齢、状態等に配慮したか。  代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解があったか。  対応は、必要かつ合理的な範囲で柔軟におこなわれたか。  求められた配慮が基本方針記載の留意内容に抵触した場合、その概要と判断  (ウ)「過重な負担」が生じていたか  「過重な負担」が生じるため合理的配慮の不提供に当たらないとした理由  事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)  実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況  (12)相談分類について  不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供、その他(不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供ではない場合の分類 不適切な行為、不快・不満、その他相談・意見・要望等、問合せ、虐待、その他)  その項目とする根拠   (13)体制整備について  相談及び紛争の防止又は解決のための体制が機能しているか  相談者への対応  ア.市町村における対応  障がい者(本人や家族等)との直接面接、関係者との連絡調整・情報収集、現場での調査(現地訪問、事業者への聞き取り等)、会議の実施、他機関への引き継ぎ、情報共有、情報提供・資料送付  イ.広域支援相談員における対応(市町村からの広域支援要請のあり・なし)  調整(自主解決型・助言型・指導型・その他)、調査(現地訪問、事業者への聞き取り等)、助言、情報提供、傾聴、情報共有・伝達、事後確認等、その他  ウ.合議体への助言求め  (継続中、終了後)   参考資料3 広域支援相談員と大阪府障がい者差別解消協議会  1.広域支援相談員  (1)根拠  障がい者差別の解消に関する知識経験を有する者の中から、知事が任命(大阪府障害者差別解消条例第8条)  (2)身分等  地方公務員法に基づく一般職の地方公務員(非常勤職員)     (3)職務  (ア)市町村の相談機関における相談事案の解決を支援するため、必要な助言、調査、相談事案に関する関係者間の調整を実施  (イ)障がい者等や事業者からの相談に応じ、相談機関と連携して、必要な助言、調査、相談事案に関する関係者間の調整を実施  (ウ)相談機関相互の連携の促進、相談事案に係る情報の収集及び分析  (4)責務  中立かつ公正に職務を遂行  2.大阪府障がい者差別解消協議会(以下、解消協議会とする。)  (1)構成  委員20人以内(専門事項を調査審議させるために、専門委員を若干人置くことができる)  委員は、障がい者、障がい者の自立と社会参加に関する事業に従事する者、学識経験者、事業者等から知事が任命  障がい者団体代表7人、事業者7人、学識経験者3人、権利擁護関係者3人  オブザーバーとして、国の機関(法務局、労働局・運輸局)及び市町村代表が参画  会長は関川 芳孝 大阪府立大学大学院 人間社会システム科学研究科 教育福祉学類(地域保健学域)教授  (2)担任事務  (ア)法規定事務(解消協議会は、法第17条の支援地域協議会の機能を担う。)  情報交換、相談及び事例を踏まえた取組に関する協議  構成機関等に対し、情報の提供、意見表明その他必要な協力の求め   (イ)条例規定事務  知事が諮問する差別解消の推進に関する事項への意見申述べ   知事に対し、正当な理由なくあっせん案に従わない者等への勧告の求め  知事が正当な理由なく勧告に従わない者を公表しようとするときの意見申述べ  合議体を設置し、紛争事案や相談事案に対応  3.合議体の運営  (1)担任事務  (ア)広域支援相談員による解決が難しい場合、紛争の解決をするためのあっせんを実施  あっせん実施型の合議体  (イ)相談状況の総合的な分析・検証を行い広域支援相談員への助言を実施   助言・検証実施型の合議体  (2)構成等  会長が、委員及び専門委員の中から分野や障がい種別等を踏まえた事案に応じて5人を指名   参考資料4 大阪府障がい者差別解消協議会  1.委員名簿  以下、令和4年3月時点での氏名、所属及び職名の順に、委員及びオブザーバーを記載します。(五十音順)  大竹 浩司 公益社団法人大阪聴力障害者協会会長  大野 素子 公益社団法人大阪府精神障害者家族会連合会副会長  小田 浩伸 大阪大谷大学教育学部長教授  坂本 ヒロ子 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会理事長  佐々木 祥光 有限会社ササキセキュリティー取締役部長  塩見 洋介 障害者(児)を守る全大阪連絡協議会特定非営利活動法人大阪障害者センター事務局長  柴原 浩嗣 一般財団法人大阪府人権協会業務執行理事兼事務局長  関川 芳孝 大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科兼地域保健学域教育福祉学類教授  橋 あい子 一般財団法人大阪府視覚障害者福祉協会会長  辻川 圭乃 弁護士  堤添 隆弘 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会 地域福祉部 権利擁護推進室 室長  寺田 一男 一般財団法人大阪府身体障害者福祉協会会長  長尾 喜一郎 一般社団法人大阪精神科病院協会会長  南條 正幸 関西鉄道協会専務理事  南野 和人 日本チェーンストア協会関西支部事務局長  西尾 元秀 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議事務局長   久澤 貢 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会セルプ部会副部会長  福島 豪 関西大学法学部教授  前川 たかし 一般社団法人大阪府医師会理事  藪本 青吾 大阪私立学校人権教育研究会 障がい者問題研究委員会委員  (オブザーバー)  大阪法務局人権擁護部第二課長  大阪労働局職業安定部職業対策課長  近畿運輸局交通政策部バリアフリー推進課長  市長会代表市 担当課長  町村長会代表町村 担当課長  2.専門委員名簿  以下、令和4年3月時点での氏名、所属及び職名の順に記載します。  大下 芳典 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会セルプ部会部会長  岡村 武彦 一般社団法人大阪精神科病院協会理事  阪本 栄 一般社団法人大阪府医師会理事  田垣 正晋 大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科地域保健学域教育福祉学類教授  田中 直人 島根大学総合理工学部客員教授  田中 米男 一般社団法人大阪府身体障害者福祉協会副会長  中鹿 直樹 立命館大学総合心理学部准教授  東野 弓子 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会理事  福田 啓子 一般社団法人大阪自閉スペクトラム症協会代表理事  古田 朋也 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議議長  細井 大輔 弁護士  松本 信代 特定非営利活動法人大阪難病連理事長  宮脇 淳 一般社団法人大阪脊髄損傷者協会理事  山本 深雪 大阪精神障害者連絡会代表   参考資料5 大阪府障がい者差別解消協議会・合議体の開催状況  以下、会議名、開催日、議題等の順に記載します。また、「大阪府障がい者差別解消協議会」を「解消協」、「大阪府障がい者差別解消条例」を「条例」と記載します。  第1回 合議体  令和3年4月15日  1.あっせんについて  第16回大阪府解消協  令和3年6月24日  1.令和3年度 合議体の運営について  2.障がい者解消の取組みと相談事例等の検証報告書(案)について  3.大阪府障がい者差別解消協議会運営要領の改正について  4.その他   (1)府内市町村の状況について  第2回 合議体  令和3年7月19日  1.あっせんについて  第3回 合議体  令和3年8月25日  1.あっせんについて  第4回 合議体  令和3年9月27日  1.広域支援相談員の受け付けた相談事例の検証について  第5回 合議体  令和4年1月13日  1.あっせんについて  第17回解消協議会  令和4年3月7日  1.障がい者差別解消の取組みと相談事例等の検証報告書(案)について  第6回 合議体  令和4年3月22日  1.広域支援相談員の受け付けた相談事例の検証について     参考資料6 令和3年度府内市町村における支援地域協議会の設置状況について(令和4年4月1日現在)  各市町村ごとの障害者差別解消支援地域協議会の設置について、設置済みまたは設置予定、検討中のいずれかで示しています。また、既存の協議会等を活用するか新たに協議会を設置するかについても示しています。さらに、設置済み又は設置予定の場合は時期を示しています。  大阪市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年4月  堺市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年4月  岸和田市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年11月  豊中市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年7月  池田市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年8月  吹田市 支援地域協議会、設置済み、設置時期令和元年4月  泉大津市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年11月  高槻市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年8月  貝塚市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年6月  守口市 検討中  枚方市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年4月  茨木市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成30年8月  八尾市 既存の協議会等を活用、設置予定、設置時期未定  泉佐野市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年4月  富田林市 検討中  寝屋川市 支援地域協議会、設置済み、設置時期令和2年4月  河内長野市 検討中  松原市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成29年4月  大東市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年3月  和泉市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年8月  箕面市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成31年1月  柏原市 検討中  羽曳野市 検討中  門真市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成30年3月  摂津市 検討中  高石市 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成29年4月  藤井寺市 検討中  東大阪市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年4月  泉南市 検討中  四條畷市 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年11月  交野市 検討中  大阪狭山市 検討中  阪南市 検討中  島本町 検討中  豊能町 検討中  能勢町 検討中  忠岡町 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年11月  熊取町 検討中  田尻町 既存の協議会等を活用、設置済み、設置時期平成28年4月  岬町 検討中  太子町 検討中  河南町 検討中  千早赤阪村 検討中  各項目の合計(府内43市町村)  障害者差別解消支援地域協議会の設置について  支援地域協議会設置済み 9市  支援地域協議会設置予定 なし  既存の協議会等を活用して設置済み 14市町  既存の協議会等を活用して設置予定 1市  検討中 19市町村  (参考)  大阪府 支援地域協議会、設置済み、設置時期平成28年4月   条例制定状況について  茨木市 平成30年4月茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例制定  他42市町村 予定なし  (参考)  大阪府 平成28年4月施行  12月3日から9日は「障がい者週間」です。  「障がい者週間」とは、障がいの有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、国民の間に地域社会での共生や差別の禁止等に関する理解を深めるとともに、障がい者が社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動への参加を促進することを目的として、障害者基本法に定められています。  「ヘルプマーク」  外見からはわからない援助や配慮を必要としている方のためのマークです。 このマークを見かけたら、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。  (お問い合わせ先)  大阪府福祉部 障がい福祉室 障がい福祉企画課 権利擁護グループ  郵便番号 540-8570 大阪市中央区大手前3丁目2−12別館1階  電話 06-6944-6271 ファックス 06-6942-7215           (相談窓口)  大阪府広域支援相談室  業務時間:平日10時から17時まで  (土日祝、年末年始(12月29日から1月3日)はお休みです。)  Eメール・ファックスでのご相談に対しては、翌業務日以降に対応させていただきます。  電話 06-6944-0721   Eメール sabetsu-soudan@gbox.pref.osaka.lg.jp  ファックス 06-6942-7215