資料2−3 令和2年度 大阪府広域支援相談員が対応した相談事例について(令和2年4月から令和3年3月まで)   1 不当な差別的取扱い(おそれも含む)に該当する事案の概要 広域支援相談員が対応した事案のうち、不当な差別的取扱い(おそれを含む)に該当する事案を記載しています。  個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなど加工しています。  以下、概要について、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1.身体障がい、商品・サービス、当事者  美容室で、盲導犬ユーザーに対応したことがない等の理由で、入店を拒否された。  府の盲導犬担当課を通じ、市町村の盲導犬担当窓口に対応を依頼した。結果として、市町村の盲導犬担当窓口の対応で解決に至り、その状況について府の担当課と情報共有をした。  2.発達障がい、商品・サービス、市町村  以前他の障がい者との間で金銭トラブルがあったため、会員制の宅配サービス業者に、障がい者名義での入会契約を拒否されたとの相談があった。府の協力を要請したい。  市町村による事業者への調査と並行して、府は事業者を管轄する課に情報提供した。これらの対応の結果、事業者から障がいを理由に契約を拒否しないとの回答があった。  3.発達障がい、商品・サービス、当事者  (上記相談と同時期に別の相談者から)会員制の宅配サービス業者から、以前他の障がい者との間で金銭トラブルがあったことを理由に、障がい者名義での入会契約を拒否された。  市町村による事業者への調査と並行して、府は事業者を管轄する課に情報提供した。これらの対応の結果、事業者から障がいを理由に契約を拒否しないとの回答があった。  4.身体障がい、医療、家族  聴覚障がい者が産婦人科の受診を希望したところ、分娩の際、夜間体制が整わないことを理由に断られた。すでに別の病院で受診しているが、今後このようなことがないようにしてほしい。  市町村と共に事業者を訪問し、障がい者を受け入れるための方策について考えてほしいと伝えた。今後は、障がい者と十分に話し合い、可能な範囲での受け入れを依頼した。  5.身体障がい、商品・サービス、当事者  事業者内勉強会で講師を引き受けたが、障がいへの配慮と称して、事前の相談なく持ち時間を短縮された。納得できる説明や謝罪がないため、あっせん申立ても考えたい。  あっせんの手続きについて説明した。  6.身体障がい、商品・サービス、市町村  盲導犬ユーザーが店舗内で食事をしていたところ、店員から犬を外に出すように言われた。当事者は、食事を終えてから、店長を呼んでもらうよう伝えたが呼んでもらえなかったそうで、今後入店拒否がないようにということで市に連絡があった。  府の盲導犬担当課に伝え、対応を依頼した。また、対応後、解決に至ったことを担当課と情報共有をした。  7.身体障がい、医療、府庁内  医療機関を受診するため、事前に盲導犬ユーザーであることを伝えたところ、盲導犬の室内待機ができないとの理由で受診を拒否された、との相談を受けた。  府の盲導犬担当課が、事業者のある市町村に対応を依頼した。また、市町村が対応したが未だ解決に至っていない状況について情報共有をした。  8.身体障がい、行政機関、当事者  婚姻届を役所に取りに行ったところ、視覚障がい者であっても婚姻届の記載は直筆でないと認めない、と言われた。  居住地の市町村に対応を依頼し、結果として解決に至った。  9.発達障がい、商品・サービス、家族  英語教室に障がいのある子どもの入会申し込みをした。障がいの説明をしたところ、他の子どもを叩かないか等、憶測での差別的な発言があった。事業者に法律を伝えてほしい。  事業者に障がい者差別解消のほか、障がい理解を求める内容の説明をした。また、口頭説明だけでなく資料の送付により他店への啓発も実施した。   2 合理的配慮の不提供(おそれも含む)に該当する事案の概要  広域支援相談員が対応した事案のうち、合理的配慮の不提供(おそれを含む)に該当する事案を記載しています。  個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなど加工しています。  以下、概要について、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1.身体障がい、商品・サービス、当事者  資格試験の受験にあたって、全盲の方への人的配慮は、試験の公平性を欠くことから困難であると言われた。(昨年度から継続の事案)  事業者に、当事者との話し合いのうえ、可能な合理的配慮の検討を求めた。また、話し合いの参考のため、資料を送付した。  2.身体障がい、商品・サービス、当事者  店の入り口のスロープに搬入用キャスターが置いてあり、車いすで店内に入れなかった。店員に伝えても対応してもらえなかった。  事業者に状況の確認をした。事業者より、謝罪の意と従業員に周知徹底を図るとの説明があり、そのことを相談者に伝えた。  3.知的障がい、精神障がい、商品・サービス、当事者  ホテルに長期間滞在の電話予約をしたが、障がい者であり滞在中に訪問看護が必要であることを伝えたところ、支配人からホテル内での医療行為はできないと言われた。  市町村に対応を依頼した。調査の結果、事業者は約款で部屋に宿泊者以外の者を入れることはできないとの説明であった。今後の対応について市町村に助言した。  4.身体障がい、福祉サービス、当事者  貸付の申請窓口で代筆を職員に依頼したが規則でできないと言われた。自筆の補助を求めたが、丁寧な対応がなされなかったため、知人を呼び代筆を依頼するしかなかった。  事業者への調査で、貸付での職員の代筆は不正防止のため認めていないとの説明があったが、障がい者への丁寧な対応と、代筆を依頼する者がいない等、単身での障がい者に不利益とならないよう改善を求めた。  5.身体障がい、商品・サービス、家族  自動車教習所の申込みの際、コロナ感染予防のためフェイスシールドを使用しての教習はできないとの理由で断られた。別の教習所では、割増料金の必要なマンツーマンのコースを勧められた。聴覚障がい者の受け入れの改善を求めたい。  事業者に状況の確認をした。コロナウイルスのためにフェイスシールドの対応ができないとしても、可能な方法を検討してほしいことを依頼した。   3 不適切な行為があったと思われる事案の概要  広域支援相談員が対応した事案のうち、不適切な行為(おそれを含む)に該当する事案を記載しています。  個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなど加工しています。  以下、概要について、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1.身体障がい、商品・サービス、当事者  言語障がいがあると分かると、店員に子ども扱いのような不快な対応をされた。  事業者に状況を確認し、改善を求めた。  2.身体障がい、行政機関、当事者  書類申請の際、障がいにより適切な規格の写真が撮影できない場合の注意書きに沿って手続きをしたのに、写真が規格外のため受け付けられなかった。  相談者が自ら再度依頼したところ、規格外の写真でも本人が了解であるならと、受け付けられたとのことであった。  3.発達障がい、福祉サービス、家族  就学前児童の療育を行う事業者に、児童への投薬対応を依頼したところ、医療職が配置されていないことを理由に利用を断られた。  事業者との面談で改善策の検討を依頼したところ、保護者同伴による利用を提案し、保護者の同意を得られたとの報告があった。  4.身体障がい、医療、市町村  補助犬同伴で受診したが、補助犬と家族は院外で待機させられたとの相談があった。病院は、本人にはコロナウイルス感染の懸念等のため、補助犬が院内に入ることへの他の患者の理解が得られないと説明し同意を得ていたと話しているが、相談者は納得していない。市町村としての対応を相談したい。  府の補助犬担当課と相談の上、補助犬の受け入れについての病院への啓発等が必要であることを、市町村に助言した。  5.身体障がい、商品・サービス、市町村  駐車場に障がい者用区画を設けてほしいと施設の関係者に要望したが、却下された上、差別的発言をされたとの相談があった。どのように対応すればいいか。  障がい者への理解を求めるべく、啓発等の対応が必要であることを助言した。  6.身体障がい、知的障がい、商品・サービス、当事者  商業ビルで、コロナの影響なのか、車いすの借用ができなかった。緊急事態宣言が解除されたのに、この対応が続くのは障がい者差別と一緒である。  事業者に状況を確認すると、消毒液が入手困難など混乱した状況があり、コロナ感染拡大防止のため車いすの貸出を停止している、丁寧な説明ができなかったことは申し訳ないとの説明であり、相談者に伝えた。  7.不明、商品・サービス、家族  移動の際、部分的に車いすを利用している高齢の母親の銭湯への入館を、危険であるとの理由で断られた。  市町村が事業者に状況を確認した結果、これまで車いすの使用者も受け入れており、今回は車いすの使用が理由ではなく、高齢であるため入浴中の不安から断ったとのことであった。  8.不明、商品・サービス、市町村  遊戯施設から、コロナ対策のため入場制限していることに関し、障がいへの理解のない言い方をされたが、当事者自身で事業者と解決を図ったとの報告があったので、相談員と情報共有したい。  市町村と情報共有を図った。  9.身体障がい、内部障がい、公共交通機関、当事者  バス停で待っていたがバスが通過してしまったのは、自分が障がい者だからではないかと思う。またその件で、事業者は行政処分を受けているが、処分の内容に自分の障がいのことが考慮されていないのは差別ではないか。  事業者を訪問し、状況確認と事業者への助言を行なった。事業者はバス停を通過した過失については謝罪し改善の意向を示しているが、障がい者であったことはわからなかったとの見解を示していることを、相談者に伝えた。  10.身体障がい、公共交通機関、当事者  タクシー運転手から、電動車いすの積み込みの際に差別的発言をされた。  事業者に状況を確認し、事業者が差別的発言を認め、謝罪と今後の改善の意向を示していることを、相談者に伝えた。  11.身体障がい、商品・サービス、他機関  障がい者の銀行口座開設のためヘルパーが同行したが、代筆をなかなか認めてもらえず長時間待たされた。また、障がい者に対して、単独来店では対応できない等の発言があった。  銀行に障がい者が不快な思いをしたことを伝え、銀行として、障がい者が単独来店の場合の行員の代筆対応や、同行した代筆者の身分証明等のルールについての確認をした。  12.身体障がい、医療、当事者  市町村が実施する検診で、病院に筆談の依頼をしたところ、理由の説明もなく拒否され、付き添いの同伴を求められた。  市町村にも相談があり、市町村から病院に確認。病院は筆談等の対応は以前から実施しており事実関係を否定。市町村から相談者にその旨を伝えた。  13.身体障がい、教育、他機関  聴覚障がいの高校生が支援機関に相談。授業のサポート方法について、担任との関係が上手くいかなくなっていて、学校に理解を求めに行きたい。  保護者と支援者と広域支援相談員で話し合い、支援者が同行して、学校との調整を図ることになった。  14.身体障がい、商品・サービス、当事者  店舗で店員に声をかけたところ、車いすを見て無視された。聞こえていないのかなと思い、再度声をかけたが、顔を見るなり無視して行ってしまった。今後このようなことがないようにしてほしい。  事業者に確認したところ、店員の説明及び店内でのカメラの様子では、店員が気付いていなかったとの説明。今後は接客についての指導をしていくとのことであった。  15.身体障がい、商品・サービス、当事者  店舗の通路のスペースに荷物が置かれ、そのままの状態では電動車いすが通ることができなかった。市町村に相談しているが、その後の経過について連絡がない。  市町村担当者に、早急な相談者への対応を依頼した。車いす使用者がいれば荷物を移動するようにしているとの事業者からの説明を、後日、市町村担当者と情報共有した。  16.身体障がい、行政機関、当事者  視覚障がいがあるが、退職の書類に関して人事担当課より直筆でないと受理できないと言われた。  人事担当課に確認したところ、代筆を認めているとのことであり、その旨を相談者に伝えた。   4 不快・不満があったと思われる事案の概要  広域支援相談員が対応した事案のうち、不快・不満(おそれを含む)に該当する事案を記載しています。  個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなど加工しています。  以下、概要について、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1.発達障がい、福祉サービス、当事者  通所事業所で、求めている支援が提供されていない、職員が障がい特性を理解していないのは差別である。(昨年度からの継続の事案)  事業者への調査の結果、差別的取扱いは認められなかった。  2.身体障がい、内部障がい、行政機関、当事者  行政機関に、電話での相談を申し出たところ、対面での相談対応しかできないと言われた。おかしいと思うので、行政機関に伝えてほしい。  行政機関に確認したところ、内容が複雑な場合は対面での相談を求めることもあるが、電話相談も受けているとのことであった。  3.身体障がい、福祉サービス、当事者  事業者から一方的にヘルパー派遣の打ち切りの連絡があった。  事業者に確認したところ、相談者とヘルパーとの関係が悪化し、話し合いも出来る状態でないとのこと。基幹相談支援センターが調整中であるとのことであった。  4.身体障がい、知的障がい、行政機関、当事者  行政機関の窓口で車いすを借りたい旨を申し出たが、受付の対応が不親切であった。  受付窓口の委託事業者に状況確認を依頼した。受付窓口の職員から謝罪の意があったことを相談者に伝えた。  5.不明、商品・サービス、不明  店舗で障がい者の来店拒否や店員からの差別的な発言があり、市町村はそれを許していると聞いている、との連絡。  市町村にも同様の連絡があり、市町村が事業者の調査を実施したが、事実関係を確認できなかった。  6.精神障がい、商品・サービス、当事者  店舗が、商品の取り置きや電話対応をしてくれなくなり、カスタマーズセンターや消費生活センターに相談しているが解決しない。どうすればいいか。  市町村に対応を依頼。市町村より事業者に確認したところ、事業者は相談者からの過剰な要求に苦慮しているとのことであったが、相談者との話合いを依頼したとのことであった。  7.精神障がい、発達障がい、行政機関、当事者  精神障がいのため、はっきり喋れないにもかかわらず、警察官から「言っていることがわかりにくい、はっきり喋れ」と無礼な対応をされた。  警察に状況を確認するが、相談者が訴えるような対応はしていないとのこと。障害者差別解消法や障がい者への配慮について署内での周知を依頼した。  8.身体障がい、商品・サービス、当事者  ヘルパー同行でスポーツジムを利用している。長年、ヘルパーはジム内にある見学者用のスリッパを使ってきたが、最近、スリッパの使用を断られた。ヘルパーのスリッパ使用を認め、ジムが準備すべき。  事業者や関係機関に状況確認し、ヘルパーは業務中なのでシューズを履くのが適切であり、ヘルパーのシューズについてはジムが対応すべきものではないと考えられる、と相談者に伝えた。  9.身体障がい、商品・サービス、当事者  サービスカウンターの人に買い物のアテンドを依頼しているが、責任者から、横柄な態度で1時間以内で買い物をするように言われた。  事業者に相談があったことを伝えたところ、相談者からは2〜3時間のアテンドの要望があり、業務上過剰な負担になっているとのことであった。相談員が同席し話し合うことを提案するが、その都度話し合って解決したいとの事業者側の意向が示されたため、それを相談者に伝えた。  10.身体障がい、精神障がい、福祉サービス、当事者  相談支援事業者に、担当がいないときに連絡したら、「折り返しの電話はいれません」という対応をされた。他の人には折り返しの電話をしていると思うので、これは差別ではないか。  事業者に確認したところ、頻回な電話等があり、関係機関との話し合いでルールを決めて対応することにした、とのことであった。相談員からは、本人の気持ちを事業者に伝えた。   5 環境の整備があったと思われる事案の概要  広域支援相談員が対応した事案のうち、環境の整備(おそれを含む)に該当する事案を記載しています。  個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなど加工しています。  以下、概要について、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1.身体障がい、商品・サービス、当事者  MX4Dの映画鑑賞で字幕メガネの貸出しを申し出たが、貸出しできないとの返答後、ホームページにも字幕メガネはMX4Dでは使用できないと記載された。理由を教えてほしい。聴覚障がい者にもMX4Dの映画を観られるようにしてほしい。  相談員が事業者に確認。MX4Dの映画は、座席の揺れ等により正確な動作が保証できないため字幕メガネの使用が不可となっている。今回の要望等を、字幕メガネの制作会社にも伝えておくとの回答であった。