障害を理由とする差別のない、共に生きる大阪の社会をめざして    大阪府障害者差別解消ガイドライン 第3版(案)(目次から解説編まで)  差別をなくすにはどうすればいいのでしょうか  大切なのは理解し合うこと  そのために対話すること  立ち止まらず考えることではないでしょうか  ガイドラインはそのきっかけを提供するものです  障害者への配慮のあるまちは  すべての人にとって暮らしやすいまちといえます  障害を理由とする差別のない  共に生きる大阪の社会をめざして  令和3年○月大阪府   目次   はじめに  1 ガイドライン策定の背景  (1)障害者差別解消法の成立の経緯  (2)障害者差別解消法に基づく施策の基本的方向性  (3)大阪府障害者差別解消条例  (4)現状と課題 何が差別に当たるのか  2 ガイドラインの目的  (1)障害を理由とする差別の解消について府民の理解を深める  (2)「対話すること」、「考えること」、「理解し合うこと」のきっかけを提供  (3)府民全体で障害を理由とする差別の解消に取り組む      解説編   障害を理由とする差別とは?  1 不当な差別的取扱い  (1)基本的な考え方  (2)正当な理由の判断の視点  2 合理的配慮  (1)基本的な考え方  (2)過重な負担の基本的な考え方  3 その他、不適切な行為等  4 行政機関等と事業者に求められる対応  (1)環境の整備  (2)行政機関等と事業者において守らなければならないこと  (3)対応要領  (4)対応指針  (5)身体障害者補助犬への対応  (6)雇用分野の取扱い  5 対応のポイント   障害者、事業者、府民とは?  1 障害者  2 事業者  3 府民   障害を理由とする差別に関する相談と解決の仕組みとは?  1 相談及び紛争の防止等のための体制の整備  2 大阪府障害者差別解消条例における相談体制の整備  (1)障害を理由とする差別に関する相談窓口  (2)広域支援相談員  (3)大阪府障害者差別解消協議会   事例編   「事例編」の利用にあたって  1 「事例編」の目的  2 事例参照上の留意事項   ガイドラインの対象分野とは?  1 対象分野  2 障害のある人に対する情報保障  (1)情報保障の重要性  (2)情報保障の配慮の姿勢  (3)情報保障の対応例   商品・サービス分野  1 不当な差別的取扱い  2 合理的配慮   福祉サービス分野  1 不当な差別的取扱い  2 合理的配慮   公共交通機関分野  1 不当な差別的取扱い  2 合理的配慮   住宅分野  1 不当な差別的取扱い  2 合理的配慮   教育分野  1 不当な差別的取扱い  2 合理的配慮   医療分野  1 不当な差別的取扱い  2 合理的配慮   環境の整備  環境の整備に関する事例     その他、不適切な行為等  不適切な行為に関する事例   あとがき   参考資料    はじめに   1 ガイドライン策定の背景  (1)障害者差別解消法の成立の経緯  障害のある人の人権や基本的自由の享有を確保し、固有の尊厳の尊重を促進するため、平成18(2006)年に国連で「障害者の権利に関する条約」(以下「障害者権利条約」といいます。)が採択され、平成20(2008)年に発効しました。  障害者権利条約は、障害に基づくあらゆる形態の差別の禁止について、適切な対応を求めており、日本においては、平成23(2011)年の障害者基本法の改正の際、障害者権利条約の趣旨を基本原則として取り込むかたちで、同法第4条に差別の禁止を規定しています。  「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」といいます。)は、障害者基本法に規定された「差別の禁止」の基本原則を具体化するものであり、障害を理由とする差別の解消を推進し、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現をめざし、平成25(2013)年に成立し、平成28(2016)年4月に施行されました。  日本は、障害者差別解消法の制定を含めた一連の障害者施策に係る取組みの成果を踏まえ、平成26(2014)年に障害者権利条約を締結しました。   障害者差別解消法(抜粋)  (目的)  第1条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。  (2)障害者差別解消法に基づく施策の基本的方向性  障害を理由とする差別の解消の推進は、商品・サービス、教育、医療、福祉、公共交通、行政機関など、障害のある人の自立と社会参加に関わるあらゆる分野に横断的にまたがるものです。国は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害者差別解消法第6条の規定に基づき「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(以下「基本方針」といいます。)を策定しました。  基本方針では、施策全般にわたる基本的な方向性、各行政機関等が定める対応要領や各主務大臣が事業分野ごとに定める対応指針に盛り込むべき事項等が示されています。  この基本方針に即して定められる対応要領や対応指針において、法に規定された不当な差別的取扱いや合理的配慮について、具体例も盛り込みながらわかりやすく示しつつ、行政機関等の職員に徹底し、事業者の取組みを促進することとされています。   障害者差別解消法(抜粋)  第2章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針  第6条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針という。」を定めなければならない。  2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。  一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向  二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項  三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項  四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項   障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(抜粋)  政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第6条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を策定する。基本方針は、障害を理由とする差別(以下「障害者差別」という。)の解消に向けた、政府の施策の総合的かつ一体的な実施に関する基本的な考え方を示すものである。   参考 障害を理由とする差別に関する規定   障害者権利条約(抜粋)  第2条 この条約の適用上、(略)「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的 又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。  「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重の負担を課さないものをいう。   障害者基本法(抜粋)  (差別の禁止)  第4条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。  2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。  (3)大阪府障害者差別解消条例  障害者差別解消法では、地方公共団体に対し、相談及び紛争の防止又は解決の体制整備を図ることや差別の解消について必要な啓発活動を行うことを求めています。大阪府では、法で規定する体制整備と啓発活動の実施に関して、公的な解決の仕組みを明確に規定し、「大阪府障害者差別解消ガイドライン」等による啓発活動を府の責務に位置付け、これらを車の両輪として差別解消に取り組むとする「大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」(以下「大阪府障害者差別解消条例」といいます。)を、法施行と同時に、平成28(2016)年4月に施行しました。その後、令和3(2021)年4月に一部を改正し、事業者による合理的配慮の提供を義務化しました。(詳細は37から38ページ参照))  なお条例では、このガイドラインを「障害を理由とする差別の解消について、府民の関心と理解を深め、府民が適切に行動するための指針」と位置づけています。   大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例(抜粋)  (目的)  第1条 この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、府、府民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号。以下「法」という。)第十四条に規定する相談及び紛争の防止又は解決のための体制の整備(以下「体制整備」という。)並びに法第十五条に規定する啓発活動(以下「啓発活動」という。)の実施に関し必要な事項等を定めることにより、障害を理由とする差別を解消し、もって障害の有無にかかわらず、全ての府民が暮らしやすい共生する社会(以下「共生社会」という。)の実現に寄与することを目的とする。  (基本理念)  第3条 障害を理由とする差別の解消は、全ての府民が共に社会の一員として解決すべき社会全体の課題であるとの認識の下、行わなければならない。  2 障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止又は解決に当たっては、相談事案の当事者が互いを理解し合い対等の立場で話し合うことで、当該相談及び紛争の防止又は解決のための手段及び方法を考えることを基本として行わなければならない。  3 啓発活動の実施に当たっては、障害及び障害者に対する理解を深めることが障害を理由とする差別を解消し、共生社会を実現するための基礎的な取組であることを旨として行わなければならない。  (4)現状と課題 何が差別に当たるのか  大阪府では、令和3(2021)年3月に策定した「第5次大阪府障害者計画」において、「全てのひとが支え合い、包容され、ともに生きる自立支援社会づくり」を基本理念に、「障害者差別・虐待の防止、命と尊厳の保持」や「合理的配慮によるバリアフリーの充実」などを基本原則の一つに掲げ、同計画に基づく施策を推進することとしています。  しかし残念ながら、依然として、障害や障害のある人に対する理解不足等により、障害のある人が生活の中で不快な思いをしているほか、差別を受けたと感じている現状があります。  障害者差別解消法は、「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を義務付けています(障害者差別解消法では事業者は努力義務にとどまっていますが、大阪府障害者差別解消条例では事業者も法的義務です。)が、具体的に、どのような場合が「不当な差別的取扱い」に当たるのか、また、「合理的配慮」として何をすればよいのかは、個々の場面や状況に応じて異なります。特に、合理的配慮の概念は社会に定着しているとは言えず、「建設的対話」を通じた「合理的配慮」の取組みを広く社会で共有し、浸透させることが重要です。  障害を理由とする差別をなくし、共生社会を実現していくためには、これらの具体的な内容をわかりやすく示していく必要があります。   2 ガイドラインの目的  (1)障害を理由とする差別の解消について府民の理解を深める  このガイドラインは、国が定めた基本方針を参考に、障害を理由とする差別について府民の皆様の関心と理解を深めるために作成しています。何が差別に当たるのか、合理的配慮としてどのような対応が望ましいのかなどについて、基本的な考え方をわかりやすく示し、事例等を盛り込むことで、府民により具体的なイメージをもっていただくことをめざしています。  (2)「対話すること」、「考えること」、「理解し合うこと」のきっかけを提供  障害を理由とする差別については、府民一人ひとりの障害に関する知識や理解の不足、思い込みや偏った考え方に起因する面が大きいと考えられます。「知らないこと」、「わからないこと」が差別につながらないように、障害を理由とする差別についての理解を深め、差別を未然に防止することが大切です。日頃から、どうすればいいのかを対話し、考え、理解し合うきっかけにこのガイドラインをご活用ください。ガイドラインは、「対話すること」、「考えること」、「理解し合うこと」のきっかけを提供するものです。  (3)府民全体で障害を理由とする差別の解消に取り組む  障害者差別解消法は、障害のある人と障害のない人との相互理解により、共生社会の実現をめざしています。障害を理由とする差別の解消のためには、府民全体で取組みを進めていくことが必要です。  現在、障害のない人も、病気や事故、高齢化により、日常生活や社会生活で不便を感じ、様々な配慮を必要とすることも考えられます。  また、障害のある人に対する配慮は、ユニバーサルデザインなど、すべての人に使いやすい工夫や配慮につながります。障害を理由とする差別をなくす取組みを進めることは、誰もが暮らしやすい共生社会をつくっていくことになります。   ガイドラインの定期的な見直し  差別解消の取組みを効果的に推進していくためには、具体的な事例を収集・整理し、広く府民に提供することが必要であると考えられます。また、技術の進展、社会情勢の変化は、特に合理的配慮について、その内容に大きな進展をもたらすものです。  このような進展や状況の変化に合わせて、ガイドラインも定期的に見直し、府民によりわかりやすいものを示していくことが必要です。今後とも、ガイドラインは、事例の集積や状況の変化、府民の障害に対する理解の深まりに伴って、国の動向等も勘案しつつ、適時、内容の充実を図ります。    解説編    障害を理由とする差別とは?  障害者差別解消法では、「障害を理由とする差別」を、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」の2つに分けて考えています。   1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、商品やサービス等の提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりすることで、権利利益を侵害すること。  不当な差別的取扱いをすることにより、障害のある人の権利利益を侵害することは、障害を理由とする差別にあたります。  (1)基本的な考え方  「商品やサービス等の提供を拒否する」とは、商品やサービス、各種機会の提供を拒否することです。  「商品やサービス等の提供を制限する」とは、提供に当たって場所や時間帯などを制限することです。  「商品やサービス等の提供に条件を付ける」とは、障害のない人には付けない条件を付けることです。  「障害を理由として」には、直接障害を理由とする場合だけではなく、障害に関連する事由(車いす、身体障害者補助犬その他支援器具等の利用、介助者の付添い等の社会的不利を補う手段の利用等)を理由とする場合も含まれます。  なお、障害のある人の事実上の平等を促進し、または達成するために必要となる特別な対応は、不当な差別的取扱いではありません。  したがって、障害のある人を、障害のない人と比べて優遇すること(障害者雇用率制度などの積極的改善措置)、障害のある人に対して、合理的配慮の提供により障害のない人と異なる取扱いをすること、合理的配慮を提供するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害の状況等を確認することは、「不当な差別的取扱い」には当たりません。  また、「合理的配慮の不提供」によって「不当な差別的取扱い」となる可能性があり、両者が一体不可分となっている事案もあります。このため大阪府においては、合理的配慮が提供されなかったことが要因となって、商品やサービス等の提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりしているものであると考えられるものについても、「不当な差別的取扱い」として取り扱っています。  (2)正当な理由の判断の視点  正当な理由が存在する場合、つまりサービスの提供の拒否等が客観的に見て、正当な目的のもとに行われたものであり、かつ、その目的に照らして当該取扱いがやむを得ないといえる場合は、不当な差別的取扱いに該当しません。  正当な理由の判断に当たって  疑問  動物アレルギーのお客様がいるときは、身体障害者補助犬を連れたお客様の入店を断っていいのでしょうか?  家主さんが障害のある人を入居させたくないと言っているのですが、それを理由に入居を断ってもいいのでしょうか?  考え方  正当な理由かどうかの判断に当たっては、次の事項をポイントに判断して下さい。  正当な理由は、相手方(行政機関等や事業者。以下同じです。)の主観的な判断に委ねられるのではなく、相手方の主張が客観的な事実によって裏付けられるもので、それが第三者の立場から見ても当該取扱いがやむを得ないと納得を得られるような客観的なものでなければなりません。  正当な理由について、具体的な検討をせずに拡大解釈することは、法の趣旨を損なうことになり、認められません。このため、個別の事案ごとに、障害のある人、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)や相手方の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の点から、総合的・客観的に判断する必要があります。  正当な理由があると判断した場合には、相手方は障害のある人にその正当な理由を具体的に説明すること、理解を得るように努めることが求められます。   2 合理的配慮  障害のある人から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合に、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を行うこと。  合理的配慮の不提供により、障害のある人の権利利益を侵害することは、障害を理由とする差別にあたります。  (1)基本的な考え方   「合理的配慮」とは、障害のある人が障害のない人と同じように活動することができるようにするため、個々の場面で、物理的環境や時間および場所等を調整したり、人的支援などを行なったりすることで、同等の機会を提供するためのものです。  「合理的配慮」は、障害の特性や配慮が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様で個別性の高いものです。  障害のある人が置かれている状況を踏まえて、代替手段の選択も含め、当事者間の対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされる必要があります。  さらに「合理的配慮」は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものです。  「合理的配慮」の内容としては、「物理的環境への配慮(車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡すなど)」、「意思疎通の配慮(筆談や読み上げ、手話などによるコミュニケーション、わかりやすい表現を使って説明をするなど)」、「柔軟なルール・慣行の変更の配慮(休憩時間の延長など)」などが挙げられます。  「合理的配慮」の提供に当たっては、障害のある人の性別、年齢、状態等に配慮する必要があります。  「合理的配慮」は、行政機関等や事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害のない人との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要があります。  「合理的配慮」は、障害のある人から何らかの配慮を求める「意思の表明」があったときに、対応することが求められます。  「意思の表明」は、手話を含む言語だけでなく、点字、音声、拡大文字、筆談、実物の提示や身振り、触覚などのコミュニケーション手段(通訳によるものを含みます。)によって行われます。  また、「意思の表明」には、知的障害や精神障害(発達障害を含みます。)等により、本人の意思の表明が困難な場合に、家族、介助者、支援者等コミュニケーションを支援する人が本人を補佐して行う意思の表明も含まれます。  障害のある人(その家族、介助者、支援者等を含みます。)から、合理的配慮を求める意思の表明がなかった場合は、「合理的配慮の不提供」にはあたりませんが、配慮を必要としていることが明らかな場合には、お互いに話し合い、適切な配慮を提案するなど、自主的な配慮に努めることが望まれます。  参考  日常用語としての「配慮」という言葉には「思いやり」のようなニュアンスが含まれているだけに、この点はとくに注意しておくべきだろう。要するに、法制化された合理的配慮とは、個人の気持ち次第の「思いやり」ではなく、共生社会にとって不可欠の前提たる機会平等、障害者の意向、両当事者の対話を重視するものであり、また集団(一般)向けのものではなく個人向けのものなのである。  引用  川島聡 飯野由里子 西倉実李 星加良司,2016,「合理的配慮 ― 対話を開く 対話が拓く」 有斐閣(6ページ)  (2)過重な負担の基本的な考え方  合理的配慮の提供を求められた側に、「過重な負担」が生じる場合は、合理的配慮の不提供には当たりません。  過重な負担の判断に当たって  疑問  お店が混雑している時でも、聴覚障害のあるお客様から筆談を求められたら、対応しないといけないのでしょうか?  車いすのお客様が店の前の段差を越えられずに困っているようだけど店には私一人だけだし、持ち上げられないんじゃないかな?  考え方  過重な負担かどうかの判断に当たっては、次の事項をポイントに判断して下さい。  過重な負担については、経済的・財政的なコストの他に業務遂行に及ぼす影響等を考慮する必要があります。  また、事業者の規模や配慮に当たって求められる専門性や技術水準、事業の本質的内容を変更するようなものでないかどうかも考慮する必要があります。  過重な負担について、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈することは、法の趣旨を損なうことになり、認められません。このため、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する必要があります。  過重な負担は、事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況等の点から、総合的・客観的に判断する必要があります。   3 その他、不適切な行為等  基本的な考え方  大阪府では、法上の差別の類型には該当しないが、障害のある人に対する不適切な発言や態度のあった事例について、「不適切な行為」として整理しています。  また、差別があったということについて確認や判断ができないけれども、障害のある人が差別だと感じるような事例について、「不快・不満」として整理しています。  差別につながる事業者側の「不適切な行為」は、法の趣旨を損なう行為であり、紛争の防止の観点から、適切に是正するなどの対応をすることが重要です。   4 行政機関等と事業者に求められる対応  (1)環境の整備  障害者差別解消法では、不特定多数の障害のある人を主な対象として行われる事前的改善措置(いわゆる「バリアフリー法」に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化など)については、個別具体的な場面で行われる合理的配慮とは別の概念である「環境の整備」として、行政機関等や事業者に対する一般的な責務に位置付けています。  この環境の整備には、バリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するための人的支援、情報アクセシビリティの向上等のハード面のみならず、研修等のソフト面の対応も含まれます。  合理的配慮を必要とする障害のある人が多数見込まれる場合、関係性が長期にわたる場合等には、中長期的な面から環境の整備を考慮することが重要です。また、新しい技術開発が負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた環境の整備が期待されます。  環境の整備は、都道府県・市町村等の行政機関等と事業者のどちらに対しても努力義務とされていますが、障害を理由とする差別の解消のための取組みは、このような環境の整備を行うための施策と連携しながら進められることが重要であり、環境の整備の施策を着実に進めることが必要です。  (2)行政機関等と事業者において守らなければならないこと  不当な差別的取扱いは、都道府県・市町村等の行政機関等と事業者のどちらに対しても禁止されています。一方、合理的配慮の提供は、障害者差別解消法においては行政機関等が法的義務、事業者は努力義務とされていますが、大阪府障害者差別解消条例においては行政機関等・事業者ともに、しなければならない法的義務としています。  (障害者差別解消法)  行政機関等では、不当な差別的取扱いの禁止は法的義務(してはいけません)  合理的配慮の提供も法的義務(しなければなりません)  事業者では、不当な差別的取扱いの禁止は法的義務(してはいけません)  合理的配慮の提供は努力義務(行うよう努めなければなりません)  (大阪府障害者差別解消条例)  行政機関等と事業者のどちらも、不当な差別的取扱いの禁止は法的義務(してはいけません)  合理的配慮の提供も法的義務(しなければなりません)  行政機関等には、都道府県や市町村だけでなく、国の機関や地方独立行政法人や、公立学校も含まれます。ただし、公立病院など公営企業型の地方独立行政法人等は、事業者に含まれます。   合理的配慮と環境の整備の違いについて  令和3(2021)年4月から、大阪府障害者差別解消条例において事業者に対しても法的義務とされた合理的配慮は、障害のある人からの求めに応じて、現場において過重な負担のない範囲で対応するものです。したがって、事業者は、障害のある人からのあらゆる要望に全て応えなければならないわけではありません。まずは、障害のある人からの要望を確認した上で、どのようなことであれば対応することができるのかを双方で話し合って決めてください。また、事業者はその要望が過重な負担であると判断した際は、その旨を障害のある人に説明することが大切です。  一方で、不特定多数の障害のある人を主な対象として行われる環境の整備(バリアフリー化のように多大な金銭的負担が生じたり、事前の計画が必要なもの)は、行政機関等、事業者ともに努力義務とされています。ただし、環境の整備が行われているほうが、合理的配慮を提供しやすくなる(例えば、車いすを利用している人が、階段をのぼるためには、スロープが設置されていなければ、誰かに持ち上げてもらわないとのぼることができませんが、階段にスロープが設置されていれば、自力でのぼれたり、誰かに後ろから押してもらうだけでのぼることができるようになったりします)ことから、積極的な整備をお願いします。   障害者差別解消法(抜粋)  (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)  第5条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。  (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)  第7条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。  2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。  (事業者における障害を理由とする差別の禁止)  第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。  2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。   大阪府障害者差別解消条例(抜粋)  (事業者による必要かつ合理的な配慮)  第7条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者からの現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(当該障害者がその意思を表明することが困難な場合にあっては、その家族その他の支援者が当該障害者を補佐して行う意思の表明)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。  (3)対応要領  行政機関等は、障害を理由とする差別の解消に率先して取り組む主体として、不当な差別的取扱いの禁止および合理的配慮の提供は法的義務とされています。そのため、行政機関等が事務・事業を行うに当たり、当該機関の職員による取組みを確実なものとするために、職員が遵守すべき服務規律の一環として、対応要領を定める必要があります。  対応要領は、基本方針に即して、障害を理由とする差別に関する基本的な考え方や具体例、相談体制の整備、職員への研修・啓発等について記載しています。  大阪府では、障害者差別解消法の施行とともに、大阪府知事部局、大阪府教育委員会、大阪府警と、任命権者ごとに対応要領を策定しています。  対応要領では、大阪府職員に向けて障害を理由とする差別の禁止を義務付けるとともに、各部局に設置する相談窓口を規定しています。  (4)対応指針  事業者における差別解消に向けた取組みは、事業を所管する主務大臣が、基本方針に即して、所管事業分野における対応指針を定め、これを参考として、各事業者が自主的に取り組むこととされています。  対応指針は、障害を理由とする差別に関する基本的な考え方や具体例、相談体制の整備、事業者における研修・啓発、国の行政機関(主務大臣)における相談窓口等について記載しています。  事業者での実効性を確保する仕組みについては、各事業法に基づき監督権限を有する機関が、法違反を繰り返し、自主的な改善が困難な事業者等に対し、必要に応じて、権限を行使する仕組みとなっています。   障害者差別解消法(抜粋)  (地方公共団体等職員対応要領)  第10条 地方公共団体等の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第7条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領を定めるよう努めるものとする。  (事業者のための対応指針)  第11条 主務大臣は基本方針に即して、第8条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針を定めるものとする。  (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)  第12条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。   事業者における相談体制の整備  各省庁の対応指針においては、「事業者における相談体制の整備」についても触れています。ここでは、厚生労働省が作成した対応指針における記載内容(一部抜粋)を紹介します。  障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要です。そのためには、法で定められた国や地方公共団体における相談及び紛争の防止等のための体制整備のみならず、障害者にサービス提供を行う事業者において、直接、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に応じるための体制の整備や職員の研修・啓発を行うことが重要です。  なお、事業所において相談窓口等を設置(事業所における既存の苦情解決体制や相談窓口を活用することも考えられます)する際には、ホームページ等を活用し、相談窓口等に関する情報の周知を図り、利用しやすいものとするよう努めるとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールなどの多様な手段を用意しておくことが重要です。  また、相談等に対応する際には、障害者の性別・年齢・状態等に配慮することが重要です。実際の相談事例については、相談者のプライバシーに配慮しつつ順次蓄積し、以後の合理的配慮の提供等に活用することが望まれます。  あわせて、地方自治体の相談窓口や障害者差別解消支援地域協議会、障害当事者団体、医療、教育、労働関係機関などとも連携して、差別解消に向けた取組みを着実に進めていくことが望まれます。   参考  関係府省庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針  https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html   構成・内容に特色のある対応指針  厚生労働省  「福祉事業者」「医療関係事業者」「衛生事業者」「社会保険労務士の業務を行う事業者」向けの4つの対応指針を作成  障害種別ごとの主な特性・対応、障害特性に応じた対応の具体例を記載  参考ページに、「身体障害者補助犬法」などの関係法令・施策を紹介  国土交通省  不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例について、所管する10の事業分野(「不動産業」「設計等業」「鉄道事業」「一般乗合旅客自動車運送業」「一般乗用旅客自動車運送業」「対外旅客定期運航航路事業」「国内旅客船業」「航空運送業」「航空旅客ターミナル施設事業」「旅行業」)ごとに記載  合理的配慮の具体例について、過重な負担の程度との関係から、「積極的に提供を行うべき」「提供することが望ましい」の2つに分類して記載  文部科学省  別紙に、「学校教育分野」に加え、「スポーツ・文化芸術分野」として、スポーツに関する施設及び宗教団体、私立美術館などの分野における留意点を記載  金融庁  別紙に、銀行、信託、証券、保険、貸金業等の金融機関等における合理的配慮の具体例について記載  経済産業省  別紙に、経済産業省が所管する業種(小売店、新聞業等)における合理的配慮の具体例について記載  (5)身体障害者補助犬への対応  障害者差別解消法上、身体障害者補助犬の同伴を拒否することは不当な差別的取扱いにあたる可能性があり、身体障害者補助犬法においても原則として禁止されています。  身体障害者補助犬は、目や耳や手足に障害のある人の生活をお手伝いする、「盲導犬」・「聴導犬」・「介助犬」のことです。身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別な訓練を受けています。  身体障害者補助犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることのできるさまざまな場所で受け入れるよう義務づけられています。  身体障害者補助犬の同伴を受け入れる義務があるのは次の場所です。  国や地方公共団体などが管理する公共施設や公共交通機関(電車、バス、タクシー等)  不特定かつ多数の人が利用する民間施設(商業施設、飲食店、病院、ホテル等)  事務所(職場)(国や地方公共団体などの事務所、従業員50人以上の民間企業)  身体障害者補助犬法については、厚生労働省ホームページ「身体障害者補助犬」を参照ください。  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hojoken/index.html  (6)雇用分野の取扱い  行政機関等や事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う取扱いについては、障害者差別解消法ではなく、「障害者の雇用の促進等に関する法律」で定められているため、このガイドラインでは対象としていません。  雇用の分野における、禁止される差別や合理的配慮の主な具体例については、国から差別禁止・合理的配慮指針が出されています。  厚生労働省ホームページ「平成28年4月(一部公布日又は平成30年4月)より、改正障害者雇用促進法が施行されました。」を参照ください。  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html   5 対応のポイント  障害を理由とする差別をなくすためには、次のことが対応のポイントになります。   望ましくない対応例  事業者等が、「何の説明や検討もせず、対応しない。」という対応は望ましくありません。  障害の特性や求める内容は様々ですので、まずは、障害のある人が求めている内容を聞いて、何ができるのか、考えてください。  もし、求めている内容がすぐには対応できない場合は、代替手段がないか、検討してください。  対応できない場合でも、その理由を説明し、理解を得るように努めることが求められます。  障害のある人の求める内容が明らかな場合には、適切と思われる配慮を提案するなど自主的に対応することが望まれます。  障害のある人が「言わなくても察してほしい。何としてもやるべきだ。」という対応は望ましくありません。  障害の特性や求める内容は様々ですので、障害のある人(家族等を含む)から、具体的に求めている内容を伝えてください。   また、正当な理由や過重な負担があるため、対応できないこともあります。   望ましい対応例  話し合い、何ができるのか、お互いに考えましょう。  建設的な対話を行うためには、それぞれが持っている情報(障害の状態や提供できるサービス内容等)や意見を相手方に示すことが重要です。その上で、相手方の意見を否定するのではなく、理解し合えるように話し合い、何ができるのか、お互いに考えていくことが望まれます。  申出があった際の建設的な対話のためには、初期対応が大切です。コミュニケーションの不足や、傾聴しない姿勢が、障害を理由とする差別につながることも考えられます。  差別解消を可能な限り迅速で円滑に図る観点から、障害のある人に寄り添う姿勢を持つなど、特に初期対応を丁寧に行うことが求められます。    障害者、事業者、府民とは?   1 障害者  「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害のある人で、障害や社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことです。  障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神保健福祉手帳)を持っていない人も含まれます。また、年齢による制限はありませんので、18歳未満の障害児も対象です。  なお、社会的障壁とは、障害のある人にとって日常生活や社会生活を営む上で支障となるもののことです。社会における事物(通行、利用しにくい施設、設備等)だけでなく、慣行(障害のある人を意識していない慣習、文化等)や観念(障害のある人への偏見等)も含みます。   「社会モデル」の考え方  障害者差別解消法における「障害者」は、「社会モデル」の考え方をふまえています。「社会モデル」とは、障害のある人が日常生活または社会生活で受ける制限は、本人が有する心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずる、という考え方です。  例えば、車いす利用者が建物を利用しづらい場合、足に障害があることが原因ではなく、段差がある、エレベーターがない、といった建物の状況に原因(社会的障壁)があるという考え方で、障壁の解消に向けた取組みの責任を、障害のある人個人ではなく、社会側に見出すものです。  社会的障壁とは、日常生活や社会生活における障害のある人の活動を制限し、社会への参加を制約している一切のものとなりますので、ここには住民の意識上の障壁等も含まれます。  そのため、府民一人ひとりが「社会」のあり方を変えようと努力し続けること、そして、障害について、すべての人が自らのこと、社会のこととしてとらえることが重要です。   2 事業者  事業者とは、商業その他の事業を行う者で、個人か法人・団体か、営利目的か非営利目的かを問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者のことです。  事業者には、個人事業者、社会福祉法人や特定非営利活動法人といった非営利事業者も含み、さらにボランティア活動をするグループなども入ります。   障害者差別解消法(抜粋)  第2条 1 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。  2 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。  7 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。   3 府民  このガイドラインで、府民とは、府内に住み、働き、学ぶすべての人、府内に事務所や事業所がある法人や団体のことです。  府民には、障害のある人も、障害のない人も、事業者も含みます。  個人の差別的行為  障害者差別解消法が定める、差別の禁止を含む差別の解消のための措置は、行政機関等や事業者を対象にしており、事業者でない一般私人の行為や個人の思想や言論は、法による規制にはなじまないと考えられることから、対象とされていません。  しかしながら、障害者基本法第4条においては、すべての人に対して差別行為が禁止されています。さらに障害者差別解消法第4条「国民の責務」においても、すべての人に障害を理由とする差別をなくしていくことを求めており、個人の差別的行為は、法の趣旨にも反しているといえます。  何よりも、障害や障害のある人に対する理解を一人ひとりが深めていくことが、障害を理由とする差別をなくすことにつながります。障害のある人が、差別なく、社会に参加するためには、周囲の理解や協力が必要です。また、事業者も個人から構成され、個人の考えが事業方針や対応に反映されるといえます。そのため、すべての府民の理解を深めることが重要です。   障害者差別解消法(抜粋)  (国民の責務)  第4条 国民は、第1条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。   障害者基本法(抜粋)  (差別の禁止)  第4条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。    障害を理由とする差別に関する相談と解決の仕組みとは?   1 相談及び紛争の防止等のための体制の整備  障害を理由とする差別の解消を推進するために、障害のある人やその家族、その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要です。また、障害のある人の性別、年齢、状態等に配慮することが大切です。  障害者差別解消法では、国および地方公共団体においては、相談窓口を明確にするとともに、相談や紛争解決などに対応する職員の業務の明確化や専門性の向上などを図ることにより、障害を理由とする差別の解消を推進するための体制を整備することとしています。  また、障害者差別解消法では、行政機関等や事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取組みを求めています。  具体的には、行政機関等においては、その職員が適切に対応できるようにするための「地方公共団体等職員対応要領」をそれぞれ自ら定め、それに基づく取組みを行うこととしています。仮に行政機関等の職員において法に違反する行為があった場合には、例えば行政機関等の内部における服務規律確保のための仕組みや、行政相談等の仕組みにより、是正が図られることになります。  一方、事業者においては、各事業分野を所管する主務大臣が「対応指針」を作成し、事業者の自主的な取組みを促すこととしています。なお、特に必要があると認める場合は、主務大臣等が事業者に対し、報告を求めたり、助言、指導、勧告を行うことができることとされています。   障害者差別解消法(抜粋)  (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)  第12条 主務大臣は、第8条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。  (相談及び紛争の防止等のための体制の整備)  第14条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。   2 大阪府障害者差別解消条例における相談体制の整備  (1)障害を理由とする差別に関する相談窓口  大阪府内の市町村すべてに、障害を理由とする差別に関する相談窓口を設けています。  まずは、身近な窓口である市町村にご相談ください。障害のある人等(その家族や支援者も含みます。)や事業者からの相談に対応します。  府内市町村の相談窓口は、大阪府ホームページ「市町村の相談窓口と府の広域支援相談員の連絡先」を参照してください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sabekai_soudan.html  (2)広域支援相談員  広域支援相談員は、大阪府における障害を理由とする差別の解消に向けて条例に規定された相談員です。  広域支援相談員は専門的・広域的な対応が求められる事案について中立かつ公正に、以下の職務を行います。  府民にとって身近な相談窓口である府内市町村に対して相談事案の解決を支援するため、必要な助言、調査及び相談事案に関する関係者間の調整を行います。  障害のある人等や事業者からの直接相談に応じ、市町村と連携して、必要な助言、調査および相談事案に関する関係者間の調整を行います。  相談事案に係る情報の収集及び分析を行い、府内市町村の相談機能を支援します。  (3)大阪府障害者差別解消協議会  大阪府障害者差別解消協議会(以下、「解消協」という。)は、広域支援相談員への支援や、広域支援相談員では解決が困難な事案に対応するため、解消協の下に合議体を組織することとしています。  合議体は、幅広い相談事案に的確に対応できるよう広域支援相談員へ助言を行います。  事業者における障害を理由とする差別に係る紛争事案で、広域支援相談員では解決が困難な場合は、合議体によるあっせんを行うことができます。  合議体があっせんを行っても、事業者が正当な理由なく、あっせんに従わない等の場合、解消協は知事に勧告を求めることができ、知事は、必要があると認めるとき、事業者に対し必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。  さらに、勧告を受けた事業者が正当な理由なく当該勧告に従わない場合、知事はその事実を公表することができます。  本条例では、障害のある人が訴訟を通じて権利を実現する手法ではなく、行政、特に障害のある人に身近な地方公共団体が簡易な手続きで、柔軟で迅速な対応で差別事案を解決することをめざしています。  また、差別のない社会を実現するためには、社会全体の理解を深めることが非常に重要であると考えられますので、法の趣旨の普及や障害理解を促進する啓発活動に重点的に取り組みます。   大阪府差別解消条例に基づく相談と解決の流れ(解説)   相談と解決の仕組み  相談者にとって身近な市町村の相談機関で相談に対応し、解決を図ることが基本となる。  市町村の相談機関では解決が困難で、支援要請があった場合、府に専門性を有する人材として配置している広域支援相談員により、相談機関への助言等で解決を支援。  広域支援相談員は、分析や検証を踏まえ、合議体から助言をうけることができる。  相談者への助言や、両者の調整を行うことで解決を図る。基本原則は、相談員を交えた話し合いで解決を目指す。   広域支援相談員が対応しても解決が図られない場合  障害を理由とする差別に係る事案について、広域支援相談員が対応してもなおその解決が見込めない場合には、障害者等からあっせんを求めることができる。  あっせんの求めがあったときには、解消協から組織される合議体があっせんをおこなうという形としている。事業者による障害を理由とする不当な差別的取扱いだけでなく、合理的配慮の不提供もあっせんの対象となる。  合議体は、紛争事案の解決のため必要なあっせん案を作成し、これを紛争事案の当事者に提示し、あっせんにより解決を図っていく。  あっせんでも正当な理由なく事業者が従わずに解決できない場合、次は知事による勧告となる。勧告は行政措置として社会的影響が大きいものなので、慎重な取り扱いとしている。  勧告にあたっては、合議体ではなく解消協でもって判断する。  あっせん案に関わる紛争事案を放置することが著しく公益に反すると認めるときは、解消協は知事に対し必要な措置を講ずべきことを勧告するよう求めることができる旨を定めている。  この勧告の求めがあった場合、知事は必要があると認めるときは、あっせん案に従わない者に対し必要な措置を講ずべきことを勧告することができるとしている。  さらに、この勧告にも正当な理由なく従わない場合、知事はその事実を公表することができるとしている。  公表は勧告よりもさらに慎重な取り扱いとしている。  慎重な取り扱いとしては、@知事はその際には、相手側に対して事前に意見を述べる機会を設ける。A知事は、公表しようとするときには、あらかじめ解消協の意見を聞かなければならない、と定めている。  なお、あっせんによる解決の見込みがないと合議体が認めるときは、あっせん終了となる。   障害者差別解消支援地域協議会  障害者差別解消法において、地方公共団体等は、障害を理由とする差別の解消に資する体制の充実を図ることとしています。障害を理由とする差別の解消を効果的に推進するには、障害のある人にとって身近な地域において主体的な取組みがなされることが重要です。  そのため法では、地域における障害者差別に関する相談等について情報を共有し、差別を解消するための取組みを効果的にかつ円滑に行うネットワークとして、障害者差別解消支援地域協議会(以下、「地域協議会」といいます。)を設置できることとしています。  現在、より多くの地方公共団体において、地域協議会が設置され、有効に活用されることが期待されています。  なお、大阪府が設置する大阪府障害者差別解消協議会は、条例に基づく相談、紛争の防止・解決の体制整備に加え、地域協議会の役割も果たしています。  大阪府内市町村の地域協議会の設置状況は、ホームページを参照ください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sichouson_torikumi.html    参考 大阪府・国ホームページの参照先   大阪府  障害を理由とする差別の解消に向けて  「大阪府障害者差別解消ガイドライン」や「大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」をはじめ、大阪府の取組み内容を掲載しています。  大阪府ホームページ「障害を理由とする差別の解消に向けて」を参照ください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sabekai-kaisai.html  第5次大阪府障害者計画  大阪府ホームページ「障害者計画」を参照ください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan   国  障害者権利条約  外務省ホームページ「障害者の権利に関する条約」を参照ください。  https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html  障害者基本法  内閣府ホームページ「障害者施策の総合的な推進−基本的枠組み−」を参照ください。  https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/wakugumi.html#kihonhou  障害者差別解消法、基本方針、対応要領、対応指針  内閣府ホームページ「障害を理由とする差別の解消の推進」を参照ください。  https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html   その他、関連する条例のホームページ  大阪府福祉のまちづくり条例  大阪府ホームページ「おおさかのあたりまえ/福祉のまちづくり」を参照ください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/kenshi_kikaku/fukushi_top/  大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例  大阪府ホームページ「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例について」を参照ください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/jiritsushien/jiritsushien/syuwagengojyourei.html     事例編    「事例編」の利用にあたって   1 「事例編」の目的  「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」といいます。)が施行され、障害がある人とない人が関わり合う機会が増えていくものと思われます。こうした機会を通じて、お互いの理解を深めていくことが、共生社会の実現にとって重要です。  そのための一助として、「事例編」では、「不当な差別的取扱い」と「望ましい合理的配慮」について、具体的事例をとりまとめました。府民がこの事例集を活用することによって、障害を理由とする差別の解消に向けた理解や取組みが広がるとともに、障害者差別解消法の意義や趣旨が、社会全体にさらに浸透していくことをめざしています。     2 事例参照上の留意事項  「事例編」では、日常生活や社会生活に深く関わる場面ごとに具体的な事例を掲載していますが、当該場面や登場する障害種別に限らず、異なる場面や、異なる障害種別に関しても、広く活用できる内容ですので、対応するときのヒントにしてください。  また、障害は多様で、個々人で異なるため、この事例集に掲載されている事例に類似したできごとであっても、そこで求められる対応は、掲載されているものと異なることがあります。この「事例編」の内容を参考にしつつも、実際の事案においては柔軟な対応が求められますので、個別の事案ごとに、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断して下さい。    「不当な差別的取扱い」について  不当な差別的取扱いとなりうる事例に記載されていないものは差別ではないということではありません。また、記載されている事例であっても、差別に当たるかどうかは、個別の事案ごとに判断する必要があります。  「望ましい合理的配慮」について  合理的配慮は障害の特性や配慮が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様で個別性の高いものです。合理的配慮の内容には、「物理的環境への配慮(車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡すなど)」、「意思疎通の配慮(筆談や読み上げ、手話などによるコミュニケーション、わかりやすい表現を使って説明をするなど)」、「柔軟なルール・慣行の変更の配慮(休憩時間の延長など)」などが挙げられます。  「事例編」では望ましい合理的配慮の事例を記載していますが、過重な負担でないことを前提としていること、あくまでも例示としていることに留意する必要があります。また、望ましい合理的配慮として記載されている事例以外の合理的配慮もあります。    「環境の整備」について  環境の整備は、個々の障害のある人に対して行なわれる合理的配慮を的確に行うための不特定多数の障害のある人を主な対象とする事前的改善措置(いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化など)として位置づけられています。ガイドラインでは環境の整備の事例を記載していますが、一律に必ず実施することを求めるものではありません。また、環境の整備として記載されている事例以外の環境の整備もあります。  「不適切な行為」について  大阪府では、法上の差別の類型には該当しないが、障害のある人に対する不適切な発言や態度のあった内容の事例については、「不適切な行為」として整理しています。  不適切な行為として事例に記載されていないものは、不適切ではないということではありません。また、記載されている事例であっても、不適切な行為かどうかは、個別の事案ごとに考えていく必要があります。    ガイドラインの対象分野とは?    このガイドラインでは、府民が具体的なイメージで理解できるよう、「不当な差別的取扱い」と「望ましい合理的配慮」の事例について、日常生活や社会生活に深く関わる場面を、6つの分野に整理して記しています。  また、あらゆる分野の共通事項として、障害のある人への情報保障について記載しています。  ただし、これらの分野はあくまでも例示であり、すべてではありません。  具体的にイメージしてもらえるように設定したものです。  なお、各分野の事例等の記載は、障害のある人と事業者間のやりとりを想定しています。  (行政機関である府の対応は、別途「職員対応要領」で定めています。)      1 対象分野  商品・サービス分野  商品を購入したり、サービス提供を受けたりする場面  ここでのサービスには、有償無償を問わず、他の5分野におけるサービスを除く、日常生活にかかわるあらゆるサービスが含まれます。  たとえば、スーパー、デパート、飲食店、宿泊施設、銀行、遊戯施設、理容・美容、イベント会社などです。  福祉サービス分野  福祉サービスを利用する場面  社会福祉法第2条第1項に規定する社会福祉事業(第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業)にかかわるサービス等が、福祉サービスに当たります。  たとえば、障害福祉サービス、介護保険サービスや保育サービスなどです。  公共交通機関分野  公共交通機関を利用する場面  高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2条第4項に規定する公共交通事業者等が当たります。  たとえば、鉄道事業者、路線バス事業者、航空事業者、旅客船事業者、タクシー事業者などです。  住宅分野  居住用の不動産の取引を行う場面  不動産の売買や賃貸、貸借権の譲渡や貸借物の転貸や、不動産の取引が当たります。  教育分野  教育を受ける場面  学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校)及び第124条第1項に規定する専修学校における教育が当たります。  なお、ガイドラインにおける教育分野は、私立学校を想定しています。  (行政機関である国公立学校の対応は、教育委員会等における職員対応要領にて定めています。)  医療分野  医療を受ける場面  医療法第1条の2に規定する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手が行う医療が当たります。   2 障害のある人に対する情報保障  (1)情報保障の重要性  すべての人にとって、商品を選択したり、公共サービスを受けたりする場合など、日常生活のあらゆる場面で、情報を得ることは日々の暮らしに必要不可欠です。特に、障害の特性により、コミュニケーションが難しい場合の情報保障は重要です。  障害のある人がサービスを利用する際には、手話を含む言語だけでなく、点字、音声、拡大文字、筆談、実物の提示や身振り、触覚など、情報提供やコミュニケーションに関する配慮が求められます。  (2)情報保障の配慮の姿勢  情報の重要性を認識し、障害のある人が障害のない人と同じように情報提供が受けられるよう工夫します。  障害のある人の意向を尊重し、できる限りの配慮をします。  障害は個々人で違うため、このガイドラインを参考にしつつも柔軟に対応し、どのような配慮が必要か考えて行動します。  障害のある人の立場に立って、わかりやすく、丁寧に情報提供します。  (3)情報保障の対応例  すべての対象分野において、必要な情報を得られるようにすることは、誰もが暮らしやすい社会を築いていくために極めて重要です。  情報保障に関する対応とは、例えば、  説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データ(コード化したものを含む)の提供や必要に応じて代読・代筆を行うこと。  手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書、分かち書きを使用するなど、本人が希望する方法でわかりやすい説明を行うこと。  文書を読み上げたり、口頭による丁寧な説明を行ったりすること。  電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利用受付を行うこと。  などが挙げられます。  このガイドラインでは、上記の例以外にも、具体的な場面に即してイメージできるように、それぞれの分野に関する事例を記載しています。情報保障に関わる合理的配慮を行う際の参考にしてください。    商品・サービス分野   1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、商品の販売もしくはサービスの提供を拒み、もしくは制限し、またはこれらに条件をつけることなどは、不当な差別的取扱いにあたります。  例えば、  障害を理由として、窓口対応を拒否したり、資料の送付や商品の提供、パンフレットの提供等を拒んだりする。  身体障害者補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)を連れていることや、車いすを利用していることを理由に、入店を拒否する。  障害を理由として、入店時間や入店場所を制限する。  保護者や支援者の同伴をサービスの利用条件にする。  本人を無視して、支援者や付添者のみに話しかける。  といったものが挙げられます。   不当な差別的取扱いとなりうる具体的な事例  (運輸業、郵便業)  「危ないのではないか」という理由のみで、具体的な検討をせず、視覚障害のある人の観光船の乗船を断る。  障害があることを理由に、引越し業者が契約を拒否する。  宅配業者が、以前他の障害のある人との金銭のトラブルがあったことを理由に、障害のある人の名義での契約を拒否する。  (卸売業、小売業)  スーパーでの買い物の際、「電動車いすは危ない」という思い込みから、手動車いすに乗り換えるよう条件をつける。  店舗の電話相談窓口の職員が、発声や言語の聞き取りに障害のある人に対し、電話でのやりとりは難しいと決めつけて、電話での対応を拒否し、来店を求める。  スーパーにて、知的障害のある人に対して「店舗にいると迷惑である」という理由から、店舗への出入りを拒否する。  小売店において、本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかける。  (宿泊業、飲食サービス業)  飲食店で、言語障害のある人から注文を受ける際、障害があるため伝わらなかったので、他の手段を提案することなく、聞き取りづらいという理由のみで同伴者と来店するよう条件を付ける。  飲食店において、以前にトラブルがあったことを理由に車いすの利用者に対して入店を断る。  (生活関連サービス業、娯楽業)  聴覚障害のある人に対して、聞こえないことを理由に遊戯施設のアトラクションの利用を拒否する。  盲ろうの人がジムの利用申込みをしたことに対し、介助者がいないことを理由に申込みを拒否する。  理美容院において、障害により調髪用いすに座っていられないと決めつけて入店を拒否する。  混雑している理美容院で、車いす利用者に対し「車いすが入る待ちスペースがない」という理由から、車いす利用者のみサービスを拒否する。  感覚過敏がある自閉症の人に対し、スイミングキャップが被れないことを理由に、プールの利用を拒否する。  スポーツ施設にて、精神障害があることを理由に、利用を拒否する。  障害のある人に対し、旅行会社での飛行機搭乗手続きをする際、航空旅行に関して特段の支障がないにもかかわらず、医師許可書の提出を求める。  障害があることを理由に、遊園地にて遊戯設備の利用を拒否する、あるいは条件や制限を付ける。  障害のある人に対し、その人がツアー中の介助等の支援が必要ない、または添乗員等によって対応可能な軽微な措置で足りるにもかかわらず、一律に、ツアーへの参加を拒否したり、旅程の一部に制限を加えたりする、または介助者の同行をツアー参加の条件とする。  障害のある人が、車いすの利用や、身体障害者補助犬の同伴等、事前に必要な条件や配慮を申出ているにもかかわらず、ツアー中の対応の可否や旅程への影響の有無等を確認することなく、一律に、ツアーへの参加を拒否したり、旅程の一部に制限を加えたりする。  遊園地において、障害者手帳を所持している人のアトラクション利用禁止の貼り紙をする。  障害のある人に対し、緊急時等の対応を理由に、遊園地のアトラクションで介助者の同伴を求める。  婚活イベントにおいて、障害のある人に対して、介助者との同伴参加を拒否する。  結婚相談所において、サービス提供の体制が整っていないことを理由に、具体的な検討をせず一方的に、障害のある人の入会を拒否する。  婚活事業者への入会条件に、障害の程度により入会を拒否すると捉えることが可能な表現を記載する。  美容室において、身体障害者補助犬の利用者に対応したことがないという理由で、入店を拒否する。  (教育、学習支援業)  車いす利用者から料理教室の参加申込みを受けた際、危ないという理由から、十分な検討をせずに参加を拒否する。  (その他)  事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由として、来訪の際に付添者の同行を求めるなどの条件をつける。  人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、重度の障害がある人や、多動性の障害がある人等の衛生サービスの利用を拒否する。  施設の構造上問題がないにもかかわらず、車いすの利用者の入場を断る。  講習会で、聴覚障害のある人から手話通訳や要約筆記等の派遣の申出があった際、具体的な検討をせず受講を拒否する。  車いす利用者に対し、イベントの参加申込みの際に、十分な説明や具体的な検討をせずに参加を断る。  車いす利用者や介助が必要な人に対し、店内が混雑してきたことを理由に退店するよう促すなど、他の利用者と異なる制限を加える。  多動性の障害がある人に対し、店内が狭いことを理由に、入店を拒否する。  イベントの申込みで身分証明書の提示が必要な際に、障害者手帳は期限が有効なものであるのにもかかわらず、証明書として使用できないと拒否する。  身体障害者補助犬を使用する利用者に対して、他の利用者に犬嫌いな人がいることや衛生面・安全面を理由に、入店を拒否する。  会員制の施設利用において、精神障害のある人は入会できないという規定をつくり、入会を拒否する。  以前トラブルがあったことを理由に、講座の受講要件に、精神障害のある人の受講を拒否する記載を入れる。  工場見学への参加を希望している身体障害者補助犬利用の障害のある人に対して、衛生面や安全面の観点から拒否する。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しないものがあると考えられます。   2 合理的配慮  障害のある人が商品を購入したり、サービスの提供を受けたりする場面で、何らかの配慮を求める意思の表明があったときは、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を提供することが求められます。  例えば、  車いす利用者に対し、段差がある場合に補助する(キャスター上げ、携帯スロープなど)。  高い所にある商品を取って渡す。  筆談、読み上げ等によるコミュニケーションや、分かりやすい表現で説明する。  自筆が困難な人からの申出を受けて、本人の意思確認を適切に実施した上で、代筆する。  注文や問合せ等に際し、インターネット画面への入力によるものだけでなく電話等でも対応する。   といったものが挙げられます。   望ましい合理的配慮の具体的な事例  (主に物理的環境の配慮に関すること)  視覚障害のある人が買い物をする際に、陳列棚にどの商品があるのか、価格がいくらなのかわからないため、店員が商品の置いてあるところまで案内し、価格や商品情報を説明する。  入口にあるインターホンの呼び出しによって、視覚障害のある人等への介添えを行う。  視覚障害のある人などATM等のタッチパネルの操作が困難な顧客に声かけし、店員がATMの暗証番号等を聞くことについて了解をもらった上で、その操作を代行する。  視覚障害のある人がトイレを利用する際に、複数の便器があるトイレで困っていたので、同性の店員がトイレの中まで案内する。  車いす利用者が飲食店に行った際、車いすのまま利用できるテーブルは他の客が使用していたため、店員がその客に了解をとった上で、配席を変更する。  大型の車いすを使用しており、フットレストを上げたりリクライニングを倒したりすることがあるため、飲食店での配席において、後方のスペースが広く、テーブルの脚がない位置へ案内する。  半身麻痺があり、フォークやスプーンを使って一人で食事をすることはできるが、皿を支えられないため食べにくいことがあるという人に対し、すべりにくい素材のマットを皿の下に敷いて動かないように工夫する。  宿泊施設にて、大部屋へ移動してバイキング形式で食事をすることになっていたが、体調不良もあり移動する機会を少なくしたいという申出に対し、およそ一人前の料理を取り分けて客室まで運ぶ。  宿泊施設にて、バスルームで使えるシャワーチェアが備えられておらず、車いす利用者からは「代用できるパイプいすでも構わない」という申出があったため、事務用のパイプいすを貸して、シャワーチェアとして利用してもらう。  店舗の駐車場が狭く、車いすを降ろして店舗内へ入れるスペースがなかったため、店員が希望の商品を駐車場まで持っていき、その場で代金の支払いも行う。  プール施設利用の際、車いす利用者用の着替えスペースがないため、周囲をパーテーションで囲って簡易ベッドを用意する。  他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声や吃音等がある場合において、本人が了承した場合には、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。  障害のある人用の駐車場について、障害のない人が利用することのないよう注意を促す。  お金を渡す際に、紙幣と貨幣に分け、種類ごとに直接手に渡す。  商品宅配時において具体的要望があった際に、品物を家の中の指定されたところまで運ぶ。  貸切バスツアー等、事業者においてバスの座席を決められる場合、旅行申込時に申告された障害の状況や希望をふまえ、座席位置に配慮する。  添乗員が同行するツアーにおいて、エスカレーターやスロープのあるルートが付近にある場合に、添乗員等がそのルートを紹介する。  レジが店内の奥にある販売店において、身体障害があり、移動が困難であるため入口付近でお会計を希望される人に対し、希望される場所で対応する。  障害により移動が困難な図書館利用者で、コピー機が1階にないため職員による代理複写を希望される場合は、サービスカウンターで受付をおこない通常の料金で対応する。  旅行ツアー会社に障害を理由とする航空機内での座席の配慮の申出があり、座席指定の調整が航空会社との間で可能な場合には、申出について対応する。  出入口の扉が手動などで開きづらい場合、車いす等の利用者が入りやすいよう、扉の開閉に配慮する。  商業施設での買い物の際に、視覚障害のある人から、1階の入り口から他階店舗までの案内の申出があったため対応する。  (主に意思疎通の配慮に関すること)  視覚障害のある人への情報提供として、講演会等で、スライドだけでなく、音声でも補足説明をする。  視覚障害のある人に、飲食店にて、定食など複数の食器に分かれて出される料理ではどこに何があるのかわかりにくいため、店員が配膳する際に、食器の位置や料理内容について説明する。  視覚障害のある人が衣服を購入する際に、店員がその衣服の色や形などを説明し、布地に触れて肌触りを確かめてもらう。  視覚障害のある人が、インターネットで商品を購入する際、PDF形式の書類で読み上げソフトを使用することができない場合に、テキストデータに変換してメールを送付する。  聴覚障害のある人への情報提供として、講演会等で、手話通訳と要約筆記を用意したり、情報保障機器(補聴器、FMロジャー、UDトークなど)の利用について配慮したりする。  サービスカウンターに、聴覚障害のある人とのコミュニケーションを補助する冊子(よくある質問事項を記載しているほか、追加の説明が書きこめるようになっているもの)を配架し、質問があった際などに活用する。  聴覚障害のある人に対し、飲食店での食事の注文において、筆談ボードを使用して、料理に関する質問や細かい注文をできるようにする。  盲ろうの人に対し、飲食店の混雑状況や空席状況などについて、店員がそばまで行き、手のひらに「○」(空席がある)か「×」(空席がない)かを指で書いてお知らせする。また、空席がある場合には、店員がそこまで案内する。  サービスに関する問合せをする際、ホームページからメールフォームに入力する方法となっており、盲ろうの人が利用できなかったため、問合せのやりとりを電子メールでも行えるようにする。  精算時に金額を示す際は、金額が分かるようにレジスターまたは電卓の表示板を見やすいように向ける、紙等に書く、絵カードを活用する等して示すようにする。  イベント開催にあたり手話通訳を配置した際、暗い会場内でも手話が見えやすいよう、スポットライトを調整し、手話通訳者の立ち位置を明るくする。  店舗での中古品の買取の際に、自筆署名が困難な人からの申出を受けて介助者等が代筆対応をおこなう。  金融機関等における契約にあたり、視覚障害のある人の代筆対応をおこなう。  (主にルール・慣行の柔軟な変更に関すること)  視覚障害のある人が、整理券を取って受付の順番になると整理番号がモニターに表示されるしくみのサービスについて、表示されても気づくことができないため、受付担当者が整理番号を把握しておき、順番が来たときに声をかける。  視覚障害のある人は、列に並んで順番待ちをする場合に、列の終端や、徐々に進んでいくタイミングがわからないため、店員が順番を把握し、本人には順番がくるまで列とは別のところで待機してもらうようにする。  身体障害者補助犬を連れた客の来店時、他の客から犬アレルギーであるという申出があったため、双方が了解した上で、互いに離れた位置になるよう配席を変更する。  食券制で呼ばれたときにカウンターまで取りに行くしくみの飲食店において、聴覚障害のある人に対し、店員が身振りで伝えたり、それでも気づかなければ座席まで配膳したりする。  飲食店にて、人工呼吸器を使用しており、外出中はバッテリーで駆動しているため、もし可能であれば充電させてほしいという申出に対し、コンセントに近い座席を案内し、コンセントの使用可とする。  通常の盛り付けでは食べづらい料理のある人に対し、料理を食べやすい大きさにカットし、取りやすさと見栄えに考慮して盛り付けをする。  申込書類に自筆することができず、同行者もいない人に対し、本人の意向を確認した上で、店員が代筆する。その際、記入内容について後で見解の相違が生じないよう、複数の店員が立ち会う。  自動精算機の順番待ちにおいて、曲がっている行列だと車いす利用者が並べないことがあるため、有人の窓口で精算を行う。  レジでの会計時に、障害のために動きが遅くなったり止まったりする人に対して、それを待ったり支援する。順番を待っている他の客については、別のレジで対応する。  プール施設にて、スイミングキャップを被ることを嫌がる人に対し、衛生面や循環装置への影響も考慮しつつ、非着用での利用を認める。  嚥下障害があり、外食時に通常メニューであると食事ができない人に対し、予約の際に希望を聞き、できる限り元のメニューに近いかたちで調理する。  車いすがリクライニングタイプのため、スーパーの会計時にレジに並んだり、レジ横を通ったりすることが難しい人に対し、会計の順番が来るまで店員が買い物かごを預かり、本人には広いスペースで待ってもらい、順番が来たときに声をかけるようにする。  デパートにて、成人用のおむつ交換ベッドがないため、おむつ交換が必要になったという申出があった際に、救護室のベッドを利用してもらう。  展示会等開催時の入退場に支障が生じるような場合には、一般入場口とは別のルートを設ける。  セルフサービスのガソリンスタンドにおいて、配慮の申出があった場合には、安全に配慮しつつ給油に協力する。  通常は一般の方の駐車場の予約を受け付けていない施設において、その施設で実施されるイベント参加にあたり、障害により車の利用を希望している人に対し、駐車場の確保をおこなう。  チケットの購入時に、通常は求められる画像認証を、視覚障害のある人に対しては、別の認証方法を設ける。  資格試験受験にあたり、障害特性により座席の変更などが必要な申出があった場合に配慮する。  本人確認が必要な申込みにおいて、電話などの音声による確認方法以外に代替手段を設ける。  (その他)  旅行ツアーについて相談を受ける際、利用する交通機関等におけるバリアフリーの状況について情報を提供する。  資格試験の受験にあたり、試験の公平性を欠かずに提供することが可能な合理的配慮について、本人と話し合いをおこなう。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、実施を求められた側に無制限の負担を求めるものではなく、過重な負担が求められる場合には、合理的配慮の不提供に該当しません。    福祉サービス分野   1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、福祉サービスの提供を拒み、もしくは制限し、またはこれらに条件をつけることや、本人の意に反して福祉サービスの提供を行うことなどは、不当な差別的取扱いにあたります。  例えば、  人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、医療的ケアの必要な人、重度の障害のある人、多動な障害のある人について、福祉サービスの利用を拒否する。  正当な理由なく、対応の後回しや、サービス提供時間を変更または限定する。  正当な理由なく、他の者とは別室での対応を行うなど、サービス提供場所を限定する。  保護者や支援者、介助者の同伴を福祉サービスの利用条件にする。  福祉サービスの利用にあたって、仮利用期間を設ける、他の利用者の同意を求めるなど、他の利用者と異なる手順を課す。  といったものが挙げられます。   不当な差別的取扱いとなりうる具体的な事例  正当な理由なく、サービス事業所の選択の自由を制限する。  福祉サービスの利用に必要な情報提供を行わない。  正当な理由なく、行事や娯楽等への参加を制限する。  正当な理由なく、年齢相当のクラスに所属させない。  本人を無視して、支援者や介助者、付添者のみに話しかける。  正当な理由なく、本人の意思またはその家族等の意思に反して、福祉サービスを行う。  障害のある子どもの保育所入所の申請に対して、責任を持てないという理由から拒否する。  事業所にホームヘルパーの派遣依頼があった際、発達障害があることを理由に派遣を断る。  サービス事業所が、多動を伴う障害のある人に対して、一律に福祉サービスの提供を拒否する。  保育所において、障害のある子どもだけを危険であることを理由に所外保育への参加を断る。  入所施設からの一時帰宅を本人が希望しているにもかかわらず、正当な理由なく施設の職員が反対する。  保育所において、子どもが発達障害の診断を受けたことを理由に、転所を提案する。  障害のある人本人の意思を確認することなく、家族又は行政のみと相談して施設入所を決める。  福祉サービスの提供に当たって、身体障害者補助犬の同伴を拒否する。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しないものがあると考えられます。   2 合理的配慮  障害のある人が福祉サービスを利用する場面で、何らかの配慮を求める意思の表明があったときは、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を提供することが求められます。  例えば、  車いす利用者が移動しやすいように、施設内の段差にスロープを渡す。  説明文書の点字や拡大文字を準備する、文書を読み上げて丁寧に説明する、手話や要約筆記を用意する等、本人が希望する方法で説明を行う。  色の組み合わせによる見にくさを解消するため、表示物や案内図等の配色を工夫する。  障害特性に応じた休憩時間の調整など、ルールを柔軟に変更する。  といったものが挙げられます。   望ましい合理的配慮の具体的な事例  (主に物理的環境の配慮に関すること)  クールダウンする場所、パニックや精神的に不安定になった場合でもリラックスできるよう静かな部屋、休憩室等を用意する。  視覚障害のある人等に配慮して、事業所内の物の配置をなるべく変えないようにする。  車いす利用者に対し、机を車いすが入れる高さにしたり、作業が行いやすくなるように使用する物品を手の届く範囲に置いたりする。  エレベーターがない施設の上下階に移動する際、マンパワーで移動をサポートする。  サービス提供場所を1階に移したり、トイレに近い場所にしたり工夫する。  (主に意思疎通の配慮に関すること)  契約書、しおり等書類や掲示物にルビ打ちや分かち書きをする。  写真・イラストの使用により視覚的に分かりやすくする。  視覚障害のある人に説明する際、「それ」「あれ」「こっち」「このくらいの」といった指示語で表現せず、「あなたの正面」「○○くらいの大きさ」といった具体的な表現で話す。  スマートフォンなどのアプリで、音声を文字に変換するものを活用して、筆談を補う。  盲ろうの人に対し、手のひらに文字を書いて対応する。  説明がわからないときに提示するカードを用意したり、本人を良く知る支援者が同席したりするなど、本人が理解しやすくなる工夫をする。  一度に多くの情報が入ると混乱する人に対し、伝える情報は紙に書くなどして整理して、ゆっくり具体的に伝える。  補聴器や人工内耳を装用する人に対し、残響や反響のある音を聴き取ることが困難な場合、磁気誘導ループを利用するなど、代替の対応を行う。  (主にルール・慣行の柔軟な変更に関すること)  脊髄損傷があり体温調整障害を伴っている人に対し、部屋の温度管理に配慮する。  通所施設で作業を行う際、片手や筋力低下した人でもできるような作業を用意したり、作業しやすいような工夫をしたりする。  感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温など感覚面の調整をする。(イヤーマフを活用する、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、人とぶつからないように居場所を衝立などで区切る、クーラー等の設備のある部屋を利用できるよう配慮するなど)  高次脳機能障害があり、疲れやすい人に対し、通常のタイムスケジュールより、早目に休憩を入れるようにする。  電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利用受付を行う。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、実施を求められた側に無制限の負担を求めるものではなく、過重な負担が求められる場合には、合理的配慮の不提供に該当しません。    公共交通機関分野   1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、公共交通機関の利用を拒み、もしくは制限し、またはこれらに条件をつけることなどは、不当な差別的取扱いにあたります。  例えば、  障害があることのみをもって、乗車を拒否する。  障害があることのみをもって、乗車できる場所や時間帯を制限し、または障害のない人に対して付けない条件を付ける。  身体障害者補助犬を同伴していることを理由に、乗車を拒否する。  航空旅行に関して、特段の支障等がない利用者に対し、診断書の提出を求める。  同伴者がいないことを理由に、軽度な歩行困難がある利用者の搭乗を拒否する。  といったものが挙げられます。   不当な差別的取扱いとなりうる具体的な事例  バスの運転手が、知的障害があることを理由に、介助者の同乗を求める。  車いす利用者や、白杖使用者等、外見上障害があるとわかった時点で、タクシーの乗車を拒否する。  身体障害者補助犬使用者の介護タクシーの契約を拒否する。  バス運転手が、他の乗客への車内移動の協力を依頼することなく、車いす利用者の乗車を拒否する。  車いす利用者に対し、混雑する時間のバス利用を避けてほしいと言って乗車を拒否する。  障害者割引タクシー券の利用や領収書の発行を拒否する。  フェリー乗船を予約していた車いす利用者に対し、当日、単独での乗船を拒否する。  船内宿泊の際、事故等の際に対応できないという理由で、個室の予約を断る。  飛行機搭乗の際、タラップを自力歩行できない人に対して、搭乗を拒否する。  安全上の理由などがなく、座席制限が不要であるにもかかわらず、座席を制限する。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しないものがあると考えられます。   2 合理的配慮  障害のある人が公共交通機関を利用する場面で、何らかの配慮を求める意思の表明があったときは、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を提供することが求められます。  例えば、  車いす利用者が列車に乗降する際に手伝う、段差がある場所で職員が補助する。  窓口等で、筆談や読み上げなど、障害の特性に応じたコミュニケーションで対応する。  利用者の希望があれば、代筆や代読等の対応を行う。  運賃支払いの手助けを必要とする障害のある人については、障害の特性に応じた配慮をする。   といったものが挙げられます。   望ましい合理的配慮の具体的な事例  (主に物理的環境の配慮に関すること)  職員が、車いす利用者に対し、乗降口とホームの間に介助用スロープ板を渡し、乗降の介助を行う。  券売機の利用が難しい場合、障害の特性に応じ、操作を手伝ったり、窓口で対応したりする。  スロープ板を出すことが困難なバス停では、前後で乗降可能な位置にバスを停車する。  障害のある人のタクシーへの乗降時の補助や、車いす等の大きな荷物のトランクへの収納の手助け等を行う。  タクシー乗車の際、自身でシートベルトを装着することができない人の場合、シートベルトの装着と装着確認を運転手が行う。  航空機の利用にあたって、視覚障害のある人や握力の弱い人に対して、機内食の包装の開封補助の声かけをする。  航空機内にて、障害のある人が化粧室に行く際に、申出があれば移動を手伝う。  車いす利用者がバスに乗車する際、車内の利用者へ車いすスペースを空けてもらうよう車内案内により協力をお願いする。  バスと歩道等のすき間が広く開かないように停車する。  フェリーに車で乗船する際に、可能な限り、客室に近い駐車スペースを確保する。  人的対応が可能な場合で、視覚障害や肢体不自由のある人から希望があれば、チェックインカウンターから搭乗口へ、又は搭乗口から到着ロビーの間、係員が同行する。  (主に意思疎通の配慮に関すること)  視覚障害のある人に、音声による車内案内を行う。  安全に関する案内について、視覚障害のある人に対し、個別に口頭にて案内を実施する、もしくは点字によるパンフレットを用意する。  聴覚障害や言語障害のある人に対して、その障害の特性に応じたコミュニケーション手段(メモ・筆談・アプリ等)を用いて対応する。  普段と異なる場面が苦手でパニックになることのある人が、電車やバスなどを利用している際に、事故等のトラブルが生じた場合、状況が理解できるよう、わかりやすく丁寧にアナウンスする。  聴覚障害のある人のために、タクシーの手配を電話による方法だけでなく、他の方法(メールやファックス等)も利用できるようにする。  (主にルール・慣行の柔軟な変更に関すること)  旅客船のタラップが階段状のため、車いすでは乗り込めない場合、貨物用搬入口を利用する等、他の手段を提案する。  人ごみが苦手でパニックになるため、介助者の隣に座りたいという申出に対し、他の乗客の了解を得て座席を変更し、隣り合って座れるよう調整する。  駅において、駅構内の移動のために車いすの貸出しを希望する人に、急病人のために設置している車いすの貸出しをおこなう。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、実施を求められた側に無制限の負担を求めるものではなく、過重な負担が求められる場合には、合理的配慮の不提供に該当しません。   参考 実際の取組例  介助用スロープ板  介助用スロープ板を準備し、車いす利用者が電車を利用される際は、駅員が乗降の介助を行っています。  その際、乗降する車両の場所は、できる限り車いす利用者が希望される車両の車いすスペースにしています。    住宅分野    1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、住宅の賃貸等を拒み、もしくは制限し、またはこれらに条件をつけることなどは、不当な差別的取扱いにあたります。  例えば、  物件一覧表に「障害者不可」と記載する、あるいは物件広告に「障害者お断り」として入居者募集を行う。  家主が、障害のある人に対し、正当な理由なく、入居を拒否する。  宅建業者が、賃貸物件への入居を希望する障害のある人に対して、障害があることを理由に、賃貸人や家賃債務保証会社への交渉等、必要な調整を行うことなく仲介を断る。  宅建業者が、車いすで物件の内覧を希望する障害のある人に対して、車いすの入室が可能かどうか等、賃貸人との調整を行わずに内覧を断る。  家賃保証会社が、障害のある人に対し、正当な理由なく保証しない。  といったものが挙げられます。   不当な差別的取扱いとなりうる具体的な事例  宅建業者が、障害のある人に対して「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に、仲介を断る。  宅建業者が、一人暮らしを希望する障害のある人に対して、一方的に一人暮らしは無理であると判断して、仲介を断る。  宅建業者が、障害のある人に対し、障害を理由として誓約書の提出を求める。  親と同居していた障害のある人が、単身となったことを理由に、不動産会社が賃貸住宅の退去を促す。  契約時に、精神障害があると判明すると、家主が入居を断る。  火事などのトラブルがあっては困るという理由から、視覚障害のある人のアパートの入居を断る。  入居のための審査の際、障害があることを理由に、保証人の数を増やすよう求める。  筆談によるコミュニケーションができるにもかかわらず、契約手続きができないとして、不動産物件の売買等の契約を拒否する。  精神障害があることを理由に、入居を拒否する。  高次脳機能障害があり、手術の痕が残っている人が、賃貸契約において、外出時の恰好等について条件をつけられる。  管理会社が、障害のある人の意向を確認せずに、バリアフリーに対応していない物件であることなどを理由に、一方的に入居を拒否する。  子どもに障害がある家族に対し「集合住宅ではなく、戸建て住宅を選んでほしい。」と伝える。  宅建業者が、賃貸住宅を借りるための相談に対し、障害のため保証会社の審査が通らないと断る。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しないものがあると考えられます。   2 合理的配慮  障害のある人が居住用の不動産の契約を行う場面等で、何らかの配慮を求める意思の表明があったときは、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を提供することが求められます。  例えば、  最寄駅から一緒に歩いて確認したり、中の様子を手を添えて案内したりする。  障害のある人の求めに応じて、バリアフリー物件等があるかを確認する。  障害の状態や求めに応じて、ゆっくり話す、筆談を行う、分かりやすい表現に置き換える等、相手に合わせた方法で会話を行う。  種々の手続きにおいて、障害のある人の求めに応じて、文章を読み上げたり、書類の作成時に書きやすいように手を添えたりする。  といったものが挙げられます。   望ましい合理的配慮の具体的な事例  (主に物理的環境の配慮に関すること)  マンションの駐車場において、車いす利用者専用の駐車スペースを設ける。  物件案内時に携帯スロープを用意したり、車いすを押して案内したりする。  車いす利用者のために、車いす専用駐車場を確保する。  転居のためアパートの契約をしたいが、聴覚過敏があるため、人がたくさんいる店内が苦手な人からの申出に対して、宅建業者が店内の奥にある個室で対応する。  (主に意思疎通の配慮に関すること)  障害のある人からの入退去手続き等について、事前に書面や口頭で十分な説明をしたり、申出があれば筆談等で相談等に応じたりする。  視覚障害のある人や聴覚障害のある人等と契約手続きをすすめるにあたって、契約書や重要事項説明書等について、読み上げや筆談等を積極的に活用する。  物件の案内や契約条件等の各種書類をテキストデータで提供する、ルビをふる、書類の作成時に大きな文字が書きやすいように記入欄を広く設ける。  物件のバリアフリー対応状況がわかるよう、写真を提供する。  (主にルール・慣行の柔軟な変更に関すること)  車いす利用者が住宅を購入する際、住宅購入者の費用負担で間取りや引き戸の工夫、手すりの設置、バスやトイレの間口や広さ変更、車いす用洗面台への交換等を行うにあたって、必要な調整を行う。  物件案内の際、肢体不自由で移動が困難な人に対し、事務所と物件の間を車で送迎する。  視覚障害のある人が入居する際に、居住スペースや共用スペース内の危険個所等を事前に宅建業者が一緒に確認する。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、実施を求められた側に無制限の負担を求めるものではなく、過重な負担が求められる場合には、合理的配慮の不提供に該当しません。   参考 知ってあんしん高齢者等円滑入居のための15のアドバイス  高齢者等(高齢者、障害者、外国人世帯等)の入居に不安を感じる家主・不動産事業者に対するアドバイスをQ&A方式で紹介し、これらの不安の軽減に役立つ情報冊子です。  大阪府のホームページ「知ってあんしん高齢者等円滑入居のための15のアドバイス」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/jumachi/advice/    教育分野  ガイドラインにおける「学校」は、私立学校を想定しています。  (行政機関である国公立学校の対応は、教育委員会等における職員対応要領にて定めています。)   1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、教育の機会の提供を拒み、もしくは制限し、またはこれらに条件をつけることなどは、不当な差別的取扱いにあたります。  例えば、  学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等において、窓口対応を拒否し、または対応の順番を後回しにする。  資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウムへの出席等を拒む。  社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等を利用させない。  学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒む。  といったものが挙げられます。   不当な差別的取扱いとなりうる具体的な事例  障害のある生徒の入学や受験を拒否する。もしくは拒否しない代わりとして、正当な理由のない条件を付ける。  障害の特性に応じた代替案の検討等の配慮も無く、障害のある生徒の体育や実習科目への参加を拒否する。  学校行事や授業への参加に、保護者の付添いを条件とする。  試験等において、合理的配慮として時間を延長したことを理由に、その試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりする。    上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しないものがあると考えられます。   2 合理的配慮  障害のある人が教育を受ける場面で、何らかの配慮を求める意思の表明があったときは、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を提供することが求められます。  例えば、  聴覚過敏の児童生徒のために、机やいすの脚に緩衝材をつけて教室の雑音を軽減する。  支援員等の教室への同伴や、授業でのノートテイクやパソコン入力支援等を許可する。  意思疎通のために、手話や要約筆記のほか、絵や写真カード、タブレット型端末等を活用する。  入学試験において、別室受験、時間延長、読み上げ機能等の使用を許可する。  といったものが挙げられます。     望ましい合理的配慮の具体的な事例  (主に物理的環境の配慮に関すること)  試験中に多機能トイレを利用したいという申出に対し、試験会場を多機能トイレの近くにある部屋にするとともに、座席についても部屋の出入り口近くを割り当てる。  修学旅行において、移動時間や休憩場所、ホテルの部屋割りなどを検討する。  授業中に情緒不安定になる生徒に対し、落ち着くまで静かに休む場所を用意し、その場所で休むことができるようにする。  車いすを利用している家族に対し、運動会等の見学の際に、車いすでも見学しやすいスペースを別途設ける。  学校では仰向け姿勢や後傾椅子座位でいることが多いため、天井灯の光で眩しい、といった申出に対し、天井灯の手前に布を広げて吊るし、直接光が目に入らないようにする。  障害の状況に応じた校内の案内表示等の工夫(文字の大きさや表示色、段差等のめじるし、音声案内等)を行い、移動時の安全を確保する。  周りの刺激に敏感で集中し続けることができない生徒に対し、仕切りのある机を用意したり、別室でテストを受けられるようにしたりする。  医療的ケアが必要な生徒に対し、衛生的かつ給湯設備のある個別の部屋を確保する。  聴覚が敏感な生徒に対し、ノイズを除去することを目的にいすの脚に緩衝材をつける  病弱・身体虚弱のある生徒に対し、授業の録音、板書の写真撮影等支援機器使用、テレビ会議システム等を利用した授業参加等の支援を行う。  (主に意思疎通の配慮に関すること)  黒板に白色と黄色以外のチョークで書かれると識別しにくい、という色覚特性のある生徒に対し、傍線や囲みの色に因らない強調のしかたなどで、黒板の書き方を工夫する。  弱視で小さな文字が見えにくい生徒に対し、拡大文字で試験用紙などを作成し、また拡大鏡などの補助具を使用できることとする。  聴覚障害のある生徒に対し、手話や指文字を用いるほか、タブレット型のICT機器を活用した音声情報の視覚化ソフトウェアの活用により情報保障をおこなう。併せて、大きく口を開いてゆっくり話してその動きでできるだけ理解できるようにする。  出席点呼を聴き取れない生徒に対し、手話や指文字のほか、視覚的な情報を加えて伝える。  学習活動の内容や流れを理解することが難しく、何をやるのか、いつ終わるのかがわからないと不安定になる生徒に対し、本人の理解度に合わせて、実物や写真、シンボルや絵などで活動の予定を示す。  教員の話を聞いて想像することが苦手で、内容を理解することが難しい生徒に対し、絵や写真、図、実物などを見せることで、授業内容や活動予定を理解しやすいよう配慮する。  板書のキーワードのカードを作成し、ポイントを分かりやすく示したうえで説明する。  発達障害等の特性に応じて、授業の流れを示す、準備のタイミングを明示するなど、わかりやすい授業の工夫や支援を行う。  卒業式で証書授与する際、どこで立ち止まり、どこを歩くのか理解することが難しい生徒に対し、会場の床に足形やテープなどを用いて動線や止まる場所を示すことで、理解しやすいようにする。  先を見通すことが苦手で、初めての活動に対して不安になる生徒に対し、活動を始める前に、これからの活動内容や手順について説明し、安心して取り組めるようにする。  聞こえにくさのある生徒に対し、外国語のヒアリングなどの際に、文字による代替問題を用意したり、音質や音量を調整したりする。  学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある生徒のために、学習活動などにおいてグループを編成するときには、内容を事前に伝えて事前学習をしたり、場合によって活動内容の軽減を図ったりする。  障害特性のために、話し合いや発表などの場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保したり個別に対応したりする。  聴覚障害のある生徒に対し、教員などの話者が見えやすい位置に座席を設定するとともに、生徒との位置関係に気を付ける。また、日差しで情報が見えなくならないようカーテン等を設置する。  教員の話を聞きながら、板書やメモをとることが苦手な生徒に対し、書く・聞く等の作業を分割する。  複数の指示を一度で理解することが苦手な生徒に対し、指示を一つずつ伝えたり、指示内容を図や数字で示したりする。  予定の把握や変更が難しい生徒に対し、1日の予定を教室内の見える場所に提示したり、予定変更の際には個別に声掛けしたりする。  (主にルール・慣行の柔軟な変更に関すること)  難聴があるため、授業を聞くこととノートを書くことの両立が難しい生徒に対し、黒板の撮影を認める。  障害の特性を考慮して、前の席や明るい席等を設定する。また、照明器具や拡大鏡等の使用に対応する。  学習の評価にあたって、障害の状況をふまえた評価方法を検討し、生徒の学習の過程や成果等を適切に評価する。  肢体不自由のある生徒に対し、移動に時間を要したために生じた遅刻は出席と認めることのほか、動時間軽減のための工夫やレポート提出などの代替手段を設ける。  障害により文字の読み書きに時間がかかるなどのため、授業時間内に最後まで黒板を書き写すことが難しい生徒に対し、デジタルカメラやタブレット型端末等により、黒板の写真を撮影することや、ノートに書くことの代替としてのパソコン入力、ボイスレコーダーでの録音、動画撮影などのICT機器の利用を認める。  多くの人が集まる場が苦手で、集会や行事に参加することが難しい生徒に対し、集団から少し離れた場所で、本人に負担がないような場所に席を用意したり、聴覚過敏があるのであれば、イヤーマフを用いたりする。  咀嚼することが苦手で、通常の給食では喉につまらせてしまう生徒に対し、大きな食材を小さく切ったり、ミキサーで細かくしたりして、食べやすいサイズにする。  触覚が過敏なため、給食で使うステンレスの食器が使用できない生徒に対し、シリコン製やプラスチック製など、本人が受け入れやすい材質の食器を用いる。  聴覚が過敏なため、運動会のピストル音で動揺する可能性がある生徒に対し、ピストルではなく笛やブザー、手旗等でスタートの合図をする。  周囲の物音に敏感で集中することが難しい生徒に対し、教室内での耳栓使用や、別室移動ができるようにする。  色覚が敏感な生徒に対して、絵画の授業の際に、色味の薄い用紙や色鉛筆の使用ができるようにする。  集団に参加することが苦手だが、他の生徒とともに活動したいという希望のある生徒に対し、無理のないかたちで段階的に移行することとし、徐々に集団で行動する時間を増やす計画を立てる。  肢体不自由のある生徒に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり、走運動における走る距離を短くしたりする。  治療等のため学習できない期間が生じる生徒等に対し、ICT機器を活用したオンラインでの活動や、補講を行うなど、学習機会を確保する方法を工夫する。  理工系の実験で、実験の手順を守れなかったり、薬品を混同するなど、危険な状況が起きやすい生徒に対し、個別のティーチングアシスタント等を付けたり、個別の実験時間や自習課題を設定したりする。  障害の特性や家庭の生活状況など個々の状況に応じて、バス送迎の出発時間について変更する。  学校の授業や実習での情報保障機器(補聴器、FMロジャー、UDトークなど)の使用や、障害特性に応じた配慮を認める。  課題の提出を忘れてしまうなど、不注意の特性がある生徒に対して、全体への提出期限の指示に加え、個別にプリントを渡したり、ICT機器のリマインダー機能の利用を認めたりする。  慢性的な病気等のために他の生徒と同じような運動ができない場合、本人・保護者・主治医等と相談し、運動量を軽減したり、代替の運動や課題を用意したりする。  (その他)  学校や通学路の危険箇所を生徒本人や保護者等とともに確認し、障害の特性に応じた配慮を図る。  指名音読の際、聴覚障害や識字障害、吃音のある生徒等に対する配慮として、本人の希望を確認した上で、代替的な活動を行う。  運動会や卒業式等各行事に参加できる工夫を障害のある生徒本人や保護者とともに検討して実施する。  障害のある生徒の学校生活における配慮について、教職員全体で共通認識できるように定期的に情報共有の機会を設定する。  車いすを利用しており介助が必要な保護者が、授業参観などで来校する際に、介助を希望する申出がある場合は、介助の対応や何らかの配慮をする。    上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、実施を求められた側に無制限の負担を求めるものではなく、過重な負担が求められる場合には、合理的配慮の不提供に該当しません。   参考  教育分野における合理的配慮の具体例については、下記を参考にすることが効果的です。  インクルーシブ教育システム構築支援データベース (独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)  「合理的配慮」実践事例データベース(文部科学省の「インクルーシブ教育システム構築モデル事業」において取り組まれている実践事例について検索するシステム)等を掲載しています。  http://inclusive.nise.go.jp/    特別支援教育教材ポータルサイト (独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)  特別支援教育の教材や支援機器、 学校での実践事例を紹介しています。  http://kyozai.nise.go.jp/    障害のある学生への支援・配慮事例 (独立行政法人日本学生支援機構)  障害のある学生に対し、全国の大学等が比較的最近実施した、支援・配慮事例を紹介しています。大学等の規模、設備、組織体制や実施支援・配慮ならびに実際の支援に至るまでの手続きなどの面で多様な事例を提供しています。  https://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/chosa_kenkyu/jirei/index.html    教職員のための障害学生修学支援ガイド (独立行政法人日本学生支援機構)  障害のある学生の支援にあたり、支援の基本的な考え方や参考となる情報を掲載しており、障害者差別解消法の合理的配慮規定等が施行されることも考慮した内容となっています。  http://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/guide_kyouzai/guide/index.html  なお、これらに示されているもの以外は提供する必要がないということではなく、一人ひとりの障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されることが望まれます。   参考  地域支援整備事業  大阪府では、支援学校によるセンター的機能を活用し「地域支援整備事業」を実施しており、求めに応じて支援学校のリーディングスタッフが地域の小中学校等へ出向き、指導や研修講義を行ったり、訪問相談等に応じたりしております。ぜひ、ご活用ください。  『ともに学び、ともに育つ』支援教育の視点を踏まえた学校づくり〜支援教育の視点を踏まえた学校経営の在り方について〜」(大阪府教育委員会 平成31年3月)  平成29・30年度の実践研究を踏まえ、上記研究冊子を作成しました。研究指定校による実践なども記載していますので、ご参照ください。  http://www.pref.osaka.lg.jp/shienkyoiku/shienkyouikunositen/index.html    医療分野      1 不当な差別的取扱い  障害を理由として、正当な理由なく、医療の提供を拒み、もしくは制限し、またはこれらに条件をつけることなどは、不当な差別的取扱いにあたります。  例えば、  医療機関や薬局において、人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に、診療、入院、調剤等を拒否する。  正当な理由なく、診察などを後回しにしたり、サービス提供時間を変更したり限定したりする。  医療の提供に際して、必要な情報提供を行わない。  正当な理由なく、本人の意思またはその家族等の意思に反して、医療の提供を行う、または意思に沿った医療の提供を行わない。  診療等にあたって、わずらわしそうな態度を取ったり、大人であるにも関わらず子ども扱いをしたり、患者の身体への丁寧な扱いを怠ったりする。  といったものが挙げられます。   不当な差別的取扱いとなりうる具体的な事例  正当な理由なく、医療機関や薬局内で、身体障害者補助犬の同伴や待機を拒否する。  ベッドの上に1人で乗ることができないことを理由に、診察を断る。  パニックを起こすことがある知的障害のある人に対し、対応の工夫をすることなく、次回以降の診療を断る。  院内が土足禁止であることを理由に、車いす利用者の診療を拒否する。  病院が、受入可能な体制であるにもかかわらず、難病の人の受診を拒否する。  正当な理由なく、診察室や病室の制限を行う。  正当な理由なく、保護者や支援者、介助者の同伴を診察・治療・調剤等の条件にする。  正当な理由なく、病院や施設が行う行事等への参加や、共用設備の利用を制限する。  視覚障害のある人に対し、受診の際に付添いを求める。  電動車いす利用者に対し、医療面や衛生面に問題がないにもかかわらず、手動車いすに乗り換えるよう条件を付ける。  診察や受付において、本人を無視して、支援者や介助者、付添者のみに話しかける。  入浴介助を行うにあたり、人員体制が整っているにもかかわらず、重度の知的障害のある成人女性に異性介助をする。  聴覚障害のある人に対し、聞こえないことを理由に、障害状況の確認や必要となる配慮について具体的な検討をおこなわず、入院等を拒否する。  障害により待てない、落ち着かない等の特性がある人に対し、待合室から出て行くように求める。  視覚障害のある人が予防接種を受ける際、問診票に自筆での署名ができないことを理由に接種を断る。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに該当しないものがあると考えられます。   2 合理的配慮  障害のある人が医療を受ける場面で、何らかの配慮を求める意思の表明があったときは、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を提供することが求められます。  例えば、  車いす利用者が利用しやすいよう、カウンターが高すぎる場合、別の場所で対応する。  説明文書の点字版や拡大文字版、テキストデータ、音声データ等の提供や、必要に応じて代読や代筆を行う。  診察等で待つ場合に、障害の特性に応じて、患者が待ちやすい場所を用意するなど、ルールを柔軟に変更する。  といったものが挙げられます。     望ましい合理的配慮の具体的な事例  (主に物理的環境の配慮に関すること)  バリアフリー化に努めているが、建物が古く完全ではないため、段差のある箇所については、職員が介助を行う。  肢体不自由の人、視覚障害のある人には検診ルートに職員が付き添う。  パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設ける。  (主に意思疎通の配慮に関すること)  筆談による受付や診察を行う。  受付では、ゆっくりと大きな声で話すように心がける。  身振り、手話、要約筆記、筆談、図解、ルビ付き文書を使用するなど、本人が希望する方法でわかりやすい説明を行う。  口の動きや表情を読めるようにマスクを外すなど工夫して話をする。  精神障害のある人の診療の際、時間をかけて丁寧に説明し、不安を与えないようにする。  障害のある人に配慮したナースコールの設置を行う(息でナースコールができるマルチケアコールや、機能障害のある人用押しボタンなど)。  障害状況により、安全性の確保が困難と思われる検査について、検査を受診できるかは個別に判断し、その内容を本人が理解できるように説明する。  どこで何をやるのか、いつ終わるのかがわからないと不安定になる人に対し、手順をあらかじめ本人にわかる方法で示したうえで、診察や治療を行う。  聴覚が過敏で大きな声が苦手な人に対して、声の大きさに留意したり、筆談やジェスチャーなどで丁寧に説明したりする。  電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、予約受付、案内を行う。  障害により受付機の操作や問診票の記入ができない人に代わり、その意思を確認しながら、職員が操作したり記入したりする。  (主にルール・慣行の柔軟な変更に関すること)  診察等で待つ際に、順番が来たら電話で呼び込んだり、その人のところまで行って直接知らせたりするなど、障害の特性に応じてルールや慣行を柔軟に変更する。  体調が優れないことが多いなどの困難がある人に対して、必要な書類の提出期限に余裕を設けてお願いする。  障害特性により、初めて行く歯科医院では極端に施術を怖がる人に対し、診察室のいすに座って歯磨きの仕方に関する話をするなど、場になれるだけの機会を設けた。  (その他)  外見上、障害があるとわかりづらい患者の受付票に、その旨がわかる連絡カードを添付するなど、スタッフ間の連絡体制を工夫する。  診察の予約時に、患者から申出があった自身の障害特性などの情報を、スタッフ間で事前に共有する。  高次脳機能障害による記憶障害がある人が、診察のほか、検査も必要だったので、いく窓口の順序を受付でメモして渡す。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、実施を求められた側に無制限の負担を求めるものではなく、過重な負担が求められる場合には、合理的配慮の不提供に該当しません。   参考 実際の取組み例(※環境の整備も含む)  院内における電光表示  診察室の隣に、電光表示版を設置して、番号で診察の順番がわかるようにしています。  視覚障害のある人には、診察室の担当職員が声をかけて、案内するようにしています。  院内における重要情報の文字表示  順番を変更する場合がある等の患者にとっての重要情報は、文字情報でも掲示しています。  診察室ごとに補聴器(骨伝導型)を準備しています。   参考  支援ツールの例  医療サポート絵カード  知的障害などがあり言いたいことが言えない人、医師や看護師の話を聞き取ることが苦手な人のために、「医療サポート絵カード」があります。安心して診察や検査を受けられるように絵などを使って、見てわかるように工夫しています。「医療サポート絵カード」を使うことで、不安の軽減にもつながります。  (使い方の例)  診察や検査の前にカードを見せながら、診察の流れを説明する。  家族・支援者にカードを渡しておき、次の診察時までに本人に見せておいてもらう。  大阪府のホームページ「障害福祉 各種刊行物」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/   参考 医療機関等における障害者配慮ガイドブック  身近な地域の医療機関等において安心して受診できるよう、障害の特性及びその状況に応じたケアや配慮について記載したガイドブックです。視覚障害のある人、ろうあ者、中途失聴・難聴者、知的障害のある人についてそれぞれ記載されています。  大阪府のホームページ「障害福祉 各種刊行物」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/     参考 発達障害のある人が安心して診療を受けるために  発達障害のある人が地域で安心して医療機関を受診できることを目的に作成したリーフレットです。発達障害の特性や医療機関における基本的な対応のポイント、受診の際の配慮・工夫の例等について記載しています。  大阪府のホームページ「医療機関向けリーフレット「発達障害のある人が安心して診療を受けるために」を作成しました」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/chiikiseikatsu/hattatsusyogai_osaka/2703hp_leaflet.html    環境の整備   環境の整備に関する事例  障害者差別解消法(第5条)では、行政機関等および事業者は、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとしています。環境の整備とは、不特定多数の障害のある人を主な対象とした、いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス、介助者などの人的支援、障害のある人による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上などのことです。     環境の整備となりうる具体的な事例  視覚障害のある人が受付を行う際、モニターを見ながら自分で入力するしくみになっているため利用できなかったことから、新たにハンドセット付きの受付機器を導入する。  視覚障害のある人が飲食店を利用する際、これまでは店員がメニューを読み上げていたが、ゆっくり好みのメニューを選んで注文できるよう、点字のメニューを用意する。  パンフレットの文字について、同じような輪郭の文字だと弱視のため区別しにくいという申出を受け、ユニバーサルデザインフォントを使って作成する。  視覚障害のある人が点字ブロックの近くにある商品にぶつかってしまわないよう、点字ブロックと商品の間を十分に空け、陳列位置に柵を設置するなど、店舗レイアウトを工夫する。  商店街の通路が煩雑としており利用しにくいため、視覚障害がある人とともに商店街をまわり、通路沿いにあるイートインスペースや鉢植えのレイアウトを見直すなど、意見を伺って反映する。  入口ドアに「耳マーク」を貼付し「耳が不自由なお客様に配慮したコミュニケーションが行える」ことが、入店前に分かるようにしている。  聴覚障害のある人について、受付の順番で呼ばれてもわからないため、順番が来たら振動してお知らせする機器を導入する。  難聴のため聞こえにくいが、筆談するほどでもないので、口頭で説明してほしいという申出に対し、受付窓口に指向性の対話支援機器を備え、店員が話したことを聴き取りやすいようにする。  聴覚障害のある人がテレビショッピングで購入したい商品があった際、電話受付のオペレーターだけでなく、ファックスや電子メールによる受付のオペレーターを配置する。  聴覚障害のある人に対し、演劇鑑賞の際、ポータブル字幕機器を導入し貸出を行う。また、劇場に磁気ループを設置し、補聴器や人工内耳へ音声を送れるようにする。  商品の配列を考えて、車いす利用者が店舗内を移動しやすいようにする。  契約書類などにおいて、店舗スタッフに対し、同行者が代筆する場合および店舗スタッフが代筆する場合のそれぞれについて、どのように対応するのか具体的にマニュアルを定め、研修を実施する。  身体障害者補助犬を連れて入店しようとしたところ、「ペットは不可ですから」と店員からの入店拒否があったことを受け、店員の研修に補助犬に関する事項を追加し、今後の再発を防ぐこととする。  エレベーターの規格が小さく、重症心身障害児者の使用するストレッチャータイプの車いすでは利用できない場合があり、車いすを担いで階段を移動しなければならず危険だったため、ストレッチャータイプでの車いすでも利用できるエレベーターを設置する。  理髪店で散髪する際、調髪用いすに移れないため利用することができないといった場合に、調髪用いすのうち1つを可動式にし、車いすに座ったまま散髪できるようにする。  障害福祉サービス事業所において、利用者の障害特性に合わせ作業工程をマニュアル化する。  ホームに、列車案内装置を設置している。  駅構内の案内サインを大型化し、ピクトサイン(案内用図記号)でわかりやすく表示する。また、色覚障害に配慮した色の組み合わせにする。  公共交通機関や施設などで、音声情報を示す電光掲示板や点字案内板、触知図を設置したり、貼り紙などを掲示したりする。  ホームページ等にて、障害のある人に向けた情報をわかりやすく掲載するとともに、音声読み上げや文字拡大機能をつける。  乗用カートや車いすの貸出を行うとともに、ホームページにて貸出の情報を掲載する。  病院内放送での重要な情報を、電光表示や文字表示等でも知らせる。  トイレや病室などの部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表示などを設ける。  障害がある人の誘導のため、気配りヘルパーや病院ボランティア等を配置する。  補聴器を使っていても授業で聞き取りにくいことがあるため、携帯できるFM音声送信機を導入し、話し手はこれを装着して授業を行うこととする。また、本人から申出があればノートテイカーを配置できるようにする。  ゼミ形式の授業で議論のやりとりをする際に、聴覚障害のある人へのフォローとして筆談で素早く内容を伝えるのが難しかったため、手話通訳者と派遣契約し、授業の補助員として配置する。  学校施設にエレベーターがなく、肢体不自由のある人にとって1階でなければ移動の負担が大きいが、エレベーター設置までの見通しが立たない場合に、その生徒の所属するクラスが1階となるように校舎の教室配置を変更する。  医療的ケアが必要な生徒に対し、パート看護師の対応だけでは時間に限りがあるため親の付添いも必要であった場合に、常勤の看護師を配置することにより、親の付添いがなくとも医療的ケアを提供できる環境を整備する。  教室の床で足をすべらせそうになってしまうという申出に対し、ケガを未然に防止できるよう、床にすべりにくいコルクボードを敷き詰める。  障害により授業に集中できないときがあるため、生徒の希望や症状を聞いて、一部の授業にチューターを付けて学習を支援する。  大きな音に敏感な生徒にも対応できるよう、あらかじめいすのひきずる音等を軽減させるため、防音加工を教室に施す。  休憩時間から授業への気持ちの切り替えに時間がかかる生徒に対し、授業への気持ちが切り替えやすくなるよう、チャイム前に合図となる音楽を流すようにする。  医療的ケアの必要な生徒が、本人および保護者の希望に沿って通学できるようにするために、看護師の巡回などの体制や設備の整備を行う。  車いす利用者が駅を利用する際に、係員が呼び出しに対応しやすいよう、連絡手段について工夫をする。  特急列車の車いす用の座席を予約するにあたり、窓口での予約だけでなく、電話やネットからの予約も可能にする。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。    その他、不適切な行為等   不適切な行為に関する事例  大阪府では、法上の差別の類型には該当しないが、障害のある人に対する不適切な発言や態度のあった内容の事例については、「不適切な行為」として整理しています。  差別につながる事業者側の「不適切な行為」は、法の趣旨を損なう行為であり、紛争の防止の観点から、適切に是正するなどの対応をすることが重要です。     不適切な行為となりうる具体的な事例  バス乗車中に、障害のある人が運転手にぶつかってしまった際、運転手が暴言を浴びせる。  車いす利用者がタクシー乗車中に、運転手が「車いすを乗せるのは迷惑だ」などと発言する。  インターネット上に、障害のある人に関する差別的発言が書き込みされており、配信元に申し入れるがなかなか削除されない。  身体障害者補助犬を連れた障害のある人が家族と買い物をしている際に、店員が「同伴者がいるから補助犬は不要ではないか」と言う。  上記の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。   参考 大阪府内自治体の作成している差別解消啓発用リーフレット等の紹介  大阪市「障害を理由とする差別の解消の推進に向けて」  https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000340671.html  相談窓口等の案内のほかに車いす、感染症、グループホーム、入居差別などのテーマについて、啓発資料が掲載されています。    あとがき  府民の皆様へ  障害や障害のある人に対する理解不足などから、様々な場面で、配慮がなされないなどの「壁」を感じる人は少なくありません。しかしそのような「壁」は、周囲が障害を知ることにより、軽減されることがたくさんあります。  障害について「知らない」「わからない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、障害のある人は決して特別な存在ではなく、共に大阪府で暮らす一員です。現在は障害のない人でも、病気や事故、高齢化により、日常生活や社会生活で不便を感じ、様々な配慮を必要とすることが考えられます。  だからこそ、障害について自らのこと、社会のこととしてとらえ、まずは障害について知ろうとする、府民一人ひとりの姿勢が大切です。  障害のない人や事業者の皆様へ  障害は多種多様で、障害の現れ方も一律ではなく、その特性や程度は個々で異なります。外見からではわかりにくい障害のために、理解されずに困ったり苦しんだりしている人もいます。しかし様々な場面において、周囲の理解や配慮があれば、できることはたくさんあります。  どういった配慮が必要なのかは、障害の特性や程度、その人が求めている内容によって様々ですので、配慮が必要な人と接する際は、まずは「何かお手伝いをしましょうか。」とお声かけください。お互いに話し合い、どのような方法が良いのかを確認する姿勢が大切です。    障害のある皆様へ  「障害がある」と言い出しにくいこともありますが、障害のある人(家族等を含みます。)自身も、自らの障害のこと、求めている配慮の内容を具体的に伝えてください。  特に、障害のない人や事業者から声かけがあった際には、相手方の「知りたい」「わかりたい」という思いに、応えていくことが望まれます。  「知らないこと」「わからないこと」が障害を理由とする差別につながらないようにするためにも、障害のある人からの積極的な情報発信をお願いします。    参考資料   障害者に関するマーク   障害者のための国際シンボルマーク  障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマークです。マークの使用については国際リハビリテーション協会の「使用指針」により定められています。  駐車場などでこのマークを見かけた場合には、障害者の利用への配慮について、御理解、御協力をお願いいたします。  このマークは「すべての障害者を対象」としたものです。特に車椅子を利用する障害者を限定し、使用されるものではありません。   盲人のための国際シンボルマーク  世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための世界共通のマークです。視覚障害者の安全やバリアフリーに考慮された建物、設備、機器などに付けられています。信号機や国際点字郵便物・書籍などで身近に見かけるマークです。  このマークを見かけた場合には、視覚障害者の利用への配慮について、御理解、御協力をお願いいたします。   身体障害者標識  肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークで、マークの表示については、努力義務となっています。  危険防止のためやむを得ない場合を除き、このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、道路交通法の規定により罰せられます。   聴覚障害者標識  聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークで、マークの表示については、義務となっています。  危険防止のためやむを得ない場合を除き、このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、道路交通法の規定により罰せられます。   補助犬マーク  身体障害者補助犬同伴の啓発のためのマークです。身体障害者補助犬とは、盲導犬、介助犬、聴導犬のことを言います。「身体障害者補助犬法」が施行され、現在では公共の施設や交通機関はもちろん、デパートやスーパー、ホテル、レストランなどの民間施設でも身体障害者補助犬が同伴できるようになりました。  補助犬はペットではありません。体の不自由な方の、体の一部となって働いています。社会のマナーもきちんと訓練されているし、衛生面でもきちんと管理されています。  お店の入口などでこのマークを見かけたり、補助犬を連れている方を見かけた場合は、御理解、御協力をお願いいたします。   耳マーク  聞こえが不自由なことを表すマークです。聴覚障害者は見た目には分からないために、誤解されたり、不利益をこうむったり、社会生活上で不安が少なくありません。  このマークを提示された場合は、相手が「聞こえない」ことを理解し、コミュニケーションの方法への配慮について御協力をお願いいたします。   オストメイトマーク  人工肛門・人工膀胱を造設している人(オストメイト)のための設備があることを表しています。  オストメイト対応のトイレの入口・案内誘導プレートに表示されています。  このマークを見かけた場合には、そのトイレがオストメイトに配慮されたトイレであることについて、御理解、御協力をお願いいたします。   ハートプラスマーク  「身体内部に障害がある人」を表しています。身体内部(心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、小腸、肝臓、免疫機能)に障害がある方は外見からは分かりにくいため、様々な誤解を受けることがあります。内部障害の方の中には、電車などの優先席に座りたい、近辺での携帯電話使用を控えてほしい、障害者用駐車スペースに停めたい、といったことを希望していることがあります。  このマークを着用されている方を見かけた場合には、内部障害への配慮について御理解、御協力をお願いいたします。   「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク  白杖を頭上50cm程度に掲げてSOSのシグナルを示している視覚に障害のある人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようという「白杖SOSシグナル」運動の普及啓発シンボルマークです。白杖によるSOSのシグナルを見かけたら、進んで声をかけ、困っていることなどを聞き、サポートをしてください。  駅のホームや路上などで視覚に障害のある人が危険に遭遇しそうな場合は、白杖によりSOSのシグナルを示していなくても、声をかけてサポートをしてください。   ヘルプマーク  義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からは分からない方がいます。健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなど同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。また、交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。さらには、災害時に視覚や聴覚に障害があり、状況把握が難しい方、肢体に障害があり、自力での迅速な避難が困難な方がいます。  ヘルプマークはそうした方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助が得やすくなるよう、作成されました。このマークを見かけた場合は、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。   手話マーク・筆談マーク  音声に代わる視覚的な手段でのコミュニケーション方法である、手話や筆談で対応できるということを表すマークです。  役所、公共及び民間施設・公共交通機関の窓口等への掲示や、聴覚障害者自身がコミュニケーションの配慮を求めるときなどに掲示されます。  手話マーク:「手話で対応します」、「手話でコミュニケーションできる人がいます」ということを表すマークです。  筆談マーク:「筆談で対応します」、「要約筆記者がいます」ということを表すマークです。   子ども車いすマーク(小児用介助型車いすマーク)  病気や障害のあるこどもが利用する「子ども車いす」は、外観ではベビーカーと判別しにくいため、様々な誤解を受けることがあります。  そのような方が、周囲に配慮を必要としていることを知らせ、援助が得やすくなることを目的としたマークです。このマークを携帯している方や建物の入口などでこのマークを見かけた場合は、ご理解をお願いします。   障害者雇用支援マーク  公益財団法人ソーシャルサービス協会が障害者の在宅障害者就労支援並びに障害者就労支援を認めた企業、団体に対して付与する認証マークです。  障害者の社会参加を理念に、障害者雇用を促進している企業や障害者雇用を促進したいという思いを持っている企業は少なくありません。  そういった企業がどこにあるのか、障害者で就労を希望する方々に少しでもわかりやすくなれば、障害者の就労を取り巻く環境もより整備されるのではないかと考えます。  障害者雇用支援マークが企業側と障害者の橋渡しになればと考えております。御協力のほど、宜しくお願いします。  大阪府のホームページ「障害者に関するマーク」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/mark/index.html   大阪府 障害理解の啓発   啓発冊子   「ほんま、おおきに!!」障害理解ハンドブック  障害の有無に関わらず、誰もがお互いに人格と個性を尊重し、共に支え合う「共生社会」を実現するためには、障害や障害のある人を正しく理解し、必要な配慮を考えていくことが重要です。  このため、障害理解ハンドブックは、障害や障害のある人についての理解を深め、必要な配慮を考えるきっかけとなることを目的として作成しています。巻末には、障害特性ごとの関係機関・団体を紹介しています。  大阪府のホームページ「障害を理由とする差別の解消に向けて」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sabekai-kaisai.html   「i-Welcome」“合理的配慮”接客のヒント集  障害者差別解消法の施行を踏まえ、合理的配慮の提供が求められるコンビニやスーパー、レストラン等のサービス業の事業者に向けて、サービス提供時における「合理的配慮」とは何か、考えるきっかけとなる事例を掲載した、接客のヒント集です。  大阪府のホームページ「障害福祉 各種刊行物」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/   ええやんちがっても 広汎性発達障害の理解のために  広汎性発達障害を正しく理解し、適切な支援を行うために作成された冊子です。広汎性発達障害の特性や接し方(幼児期〜学齢期)について解説しています。  大阪府のホームページ「ええやんちがっても 広汎性発達障害の理解のために」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/eeyan-tigattemo.html   高次脳機能障害支援ハンドブック  脳卒中などの病気や事故による脳損傷により起こる高次脳機能障害について、特徴や主な症状、支援制度を解説しているハンドブックです。  大阪府のホームページ「大阪府高次脳機能障害相談支援センター」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/jiritsusodan/kojinou/   福祉のてびき  障害者相談員、相談窓口用ですが、障害福祉関係の制度全般について知ることができます。特に、「1章 相談の心がまえ」には、様々な障害の特性と基本的な応対方法、留意すべき点を記載しています。  大阪府のホームページ「福祉のてびき」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/tebiki.html   啓発事業   大阪ふれあいキャンペーン  行政、障害者団体や地域福祉団体が連携して、実行委員会を組織し(大阪府、府内43市町村、障害者団体や地域福祉団体等44団体の計88団体で構成)、障害理解を深める取組みを実施しています。  具体的には、府内の全ての小学校3年生を対象におりがみを折る体験を通じて障害に関する基本的な事項を学ぶ「大阪ふれあいおりがみ・すごろく」を作成し、配布しています。また、幅広い世代の方へ、障害に関する理解を深めていただくため、クリアファイルを作成して配布しています。  大阪府のホームページ「大阪ふれあいキャンペーンについて」からダウンロードできます。  http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-info/fureai.html  上記ホームページでは、障害者差別解消法、ヘルプマーク、難病、発達障害について、チラシや理解を深めるためのページを紹介しています。   共に生きる障害者展  障害者の自立と社会参加の促進をテーマとするとともに、府民に障害や障害者を正しく理解してもらうことを目的とした「大阪の障害者の祭典」です。  主なプログラムとしては、トークショーや障害者作品展、障害者芸術・文化コンテスト等が行われます。   心の輪を広げる障害者理解促進事業(体験作文、障害者週間のポスター募集)  「障害者週間」(12月3日〜9日)を広く周知するとともに、障害者に対する府民の理解の促進を図るため、府民を対象に、障害のある人とない人との心のふれあいの体験をつづった「心の輪を広げる体験作文」と、障害理解を深める「障害者週間のポスター」を募集しています。入賞者には知事からの賞状に加え、副賞を贈呈しています。    大阪府障害者等用駐車区画利用証制度  公共施設や商業施設などにおける車いす使用者用の駐車区画等の適正利用を促進するために、利用証を大阪府が交付する制度です。   参考 国ホームページの参照先  合理的配慮等具体例データ集  内閣府ホームページ「合理的配慮サーチ」を参照ください。  https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html  障害者差別解消法「合理的配慮の提供等事例集」(平成29年11月)  内閣府ホームページ「合理的配慮の提供等事例集」を参照ください。   https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/example.html  障害を理由とする差別の解消の推進に係る裁判例に関する調査結果について(平成28年度内閣府障害者施策担当)  内閣府は、今後の法附則第7条に規定する検討等に資することを目的に、障害を理由とする差別に係る判例に関する調査を実施し、調査の結果を取りまとめ、判例集として整理しています。  本調査結果については、内閣府ホームページ「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に係る裁判例に関する調査」を参照ください。  https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/h28houritsu/index-w.html  ※なお、この調査では、以下のような事例について掲載されています。(内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に係る裁判例に関する調査」目次より抜粋)  保育・教育  1 同級生の介助による車椅子利用者の傷害事故について中学校を設置する市町村の損害賠償責任が認められた事例 大阪地判 平成元年7月27日  2 進行性の筋ジストロフィー症を理由とする高校入学不許可処分の取消しが認められた事例 神戸地判 平成4年3月13日  3 障害児の公立幼稚園への就園を仮に許可することを求めた申立てが認められた事例 徳島地決 平成17年6月7日  4 知的障害者の問題行動を理由とする公立高等学校の退学処分が適法であるとされた事例 東京地判 平成17年9月27日  5 障害児の保育所入所を承諾することを義務付ける訴えが認められた事例 東京地判 平成18年10月25日  6 肢体不自由者が就学すべき中学校として公立中学校を仮に指定することを求めた申立てが認められた事例 奈良地決 平成21年6月26日  7 公立中学校の特別支援学級への入級と在級の継続などが違法な差別的取扱いに当たらないとされた事例 富山地判 平成28年9月21日  公共交通  8 電動車いす利用者に対する駅員からの侮辱的発言等について鉄道会社の損害賠償責任が認められた事例 大阪地判 平成11年3月11日  9 車いす対応トイレが鉄道の車両に設置されていないことは障害者に対する差別等に該当せず、その設置等が認められなかった事例 東京高判 平成14年3月28日  10 駅の介助職員の車いす利用者への対応(ホーム上でブレーキを掛けなかったこと)が安全配慮義務違反に当たるとされた事例 東京高判 平成15年6月11日  11 航空会社が身体障害者の単独での航空機搭乗を拒否したことにつき、会社側の債務不履行責及び不法行為責任が認められなかった事例 大阪高判 平成20年5月29日  12 障害者の介護者に対する公共交通機関運賃割引制度を市の職員が説明しなかったことについて市の損害賠償責任が認められた事例 東京高判 平成21年9月30日  商品・サービス  13 聴覚障害者と銀行との間で手話通訳者を介さずに締結された保証債務契約と根抵当権設定契約の錯誤無効が否定された事例 東京地判 平成14年5月20日  14 賃貸マンションにおいて車椅子では利用できない箇所があることの説明を怠ったとしてマンションの賃貸人の義務違反が認められた事例 東京地判 平成23年2月18日  15 事業者によるうつ病患者の音楽教室受講拒否が不法行為とならないとされた事例 東京地判 平成24年1月16日  16 ネットカフェにおいて精神障害者の入店を拒否したことにつき、入店拒否をした店長の不法行為及びネットカフェを運営する会社の使用者責任があるとして、慰謝料請求が認容された事例 東京地判 平成24年11月2日  17 事業者による車椅子のままの入浴拒否と車椅子利用者への入浴配慮の不提供が不法行為を構成しないとされた事例 東京地判 平成25年4月22日  18 障害者等の少額預金の利子所得等の非課税の適用を受けるために必要な申込書を銀行に「郵送」したが受付を拒否されたことについて銀行及び国の責任が認められなかった事例 東京高判 平成26年8月29日  19 事業者による性同一性障害者のゴルフクラブ入会拒否が不法行為を構成するとされた事例 東京高判 平成27年7月1日   12月3日〜9日は「障害者週間」です。  「障害者週間」とは  「障害者週間」とは、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、国民の間に地域社会での共生や差別の禁止などに関する理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを目的として、障害者基本法に定められています。  大阪府福祉部障害福祉室  〒540-8570 大阪市中央区大手前3丁目2番12号  電話 06-6941-0351  ファックス 06-6942-7215