参考資料1−2 大阪府における障がいを理由とする差別の解消に向けた実効性のある取組みについて(これまでの議論の整理)の概要   平成27年8月   大阪府障がい者施策推進協議会差別解消部会    1 はじめに   大阪府障がい者施策推進協議会差別解消部会における検討   障がい当事者団体、事業者団体、相談機関等関係機関・団体、学識経験者等により構成。   平成26年9月 「提言」とりまとめ。  (取組みの3本柱)  (1)何が差別に当たるのかについての府民共通の物差しとなる「ガイドラインの策定」  (2)障がいを理由とする差別に関する「相談、紛争の防止・解決の体制整備」  (3)障がいや障がい者に対する理解を深めるための「啓発活動の促進」  平成27年3月 大阪府障がい者差別解消ガイドライン(第1版)策定・公表  平成27年6月から8月まで5回にわたり、障がいを理由とする差別の解消に向けた実効性のある取組みについて議論。  (1)相談、紛争の防止・解決の体制整備の具体的方策  (2)実効性の確保のための措置(勧告、公表、罰則)の必要性  (3)((1)・(2)の議論を通じて)条例の必要性  障がい当事者団体・事業者団体からゲストスピーカーが意見表明。  平成27年8月 「これまでの議論の整理」とりまとめ。    2 取組みの基本的な方向性について   共生社会を目指して  障害者差別解消法は、共生社会をつくるための重要なルール。  法について、障がい者、その家族、支援者等や行政だけでなく、事業者を含め府民全体に周知徹底していくことが必要。  たとえ、相談等の体制を形式的に整えたとしても、府民全体の意識が変わらないと、根本的な解決とはならない。   府ガイドラインの普及啓発  国よりも先に策定・公表した府ガイドラインを活用した周知が重要。   事業者の取組み  事業者も一方の当事者で、同じ共生社会を目指す一員。  規模の零細な中小企業にとって、過重な負担とならないよう、また、合理的配慮は新しい概念であることから、企業側の納得を得ながら、一歩一歩、差別解消の取組みを社会に定着させていくことが大事。   取組みを進めるに当たっての視点  差別かどうかという視点もあるが、生活全般から問題を捉えていく視点が大切。  障がい者が地域で安心して暮らせることを保障していくことが差別解消につながる。  合理的配慮は、個々の状況や時代によって、配慮の中身も常に変わることに留意。  以上のことからも、啓発活動が非常に重要。    3 相談、紛争の防止・解決の体制整備の具体的方策について   地域・既存の相談機関等における解決の仕組み  法で地方公共団体(都道府県・市町村)の体制整備の責務が規定されたことを踏まえて、法施行後の府における体制整備は整理が必要。  法施行後は、市町村も地方公共団体として体制整備を行い、相談に対応し、紛争を解決することが求められる。  一義的には、市町村で整備された相談体制により対応し、府は、困難事例や広域的な対応が必要な事案を取り扱うのが適当。  (市町村における体制整備にあたって)  まずは市町村の中で、社会資源の状況等を踏まえながら、相談体制を確立・整理。その中で、たとえば、市の障がい福祉担当課など中核となる窓口を明確にする。  様々な地域・既存の相談機関等を市町村レベルでどのように連携し、府の広域的な相談体制にどのようにつないでいくのか明確にする。  (実際の相談対応について)  対象事案は相談段階では幅広く捉え、生活上の相談も含める。  単に耳を傾けて話を聞くだけでなく、ソーシャルワークの方法を用いて、生活上の具体的な助言、調査や調整を行う。  障がい者に対して、手話、点字や絵カード等情報提供やコミュニケーションに関する配慮が求められる。  (事業者からの相談への対応)  企業サイドの窓口も必要で、事業者からの個別具体的な相談に対応することが求められる。  業界の相談窓口との連携も重要。  まずは、地域・既存の相談機関等で対応するが、特に、広域的な対応が必要な事案は、府による支援が重要。  (雇用分野に係る事案)  状況等を把握した上で、障害者雇用促進法に定める相談や紛争解決の仕組みにつなぐ。  (市町村における体制整備に向けた府の役割)  地域における相談体制のイメージや一定の考え方を市町村に対して示すことが必要。  相談窓口の明確化のため、窓口の一覧表を作成し、府民に知らせる。  たとえば、府が担うべき相談員の人材育成や質の向上に関する役割として、相談対応に必要な情報の市町村との共有化が考えられる。   地域・既存の相談機関等における解決を支援する仕組み  府に広域専門相談員を配置して、支援する。  広域専門相談員は、相談機能とともに当事者間の調整による最終的な紛争解決機能を担う。  たとえば、地域・既存の相談機関等に対する助言、当事者に対する  調査、当事者間の協議や関係機関の調整、相談機関の連携促進、相談事案の収集と分析が業務として考えられる。  予算や人数の面で十分に対応できる体制の整備が必要。   府の支援によっても、地域・既存の相談機関等における解決が困難な場合に、より専門的・中立的な立場から対応する仕組み  府に合議体を設置する。合議体は、障がい者側からの申し立てを受けて、調査を行い、あっせん案を提示する。  合議体は、学識経験者、障がい当事者、事業者等から構成する。  (対象事案の取扱い)  不当な差別的取扱いに係る事案は、広域専門相談員による調整で解決できない場合に、最終的に合議体で対応。  合理的配慮の不提供に係る事案を対象とするかについては、今後の相談事案の集積や国の動向等を踏まえて、検討を進めていく。  (雇用分野に係る事案)  合議体の対象事案とするのではなく、障害者雇用促進法に定める相談や紛争解決の仕組みにつなぐ。   障害者差別解消支援地域協議会  合議体とは別のものとして、相談事例の収集・分析、情報交換などの役割が考えられる。  市町村では、自立支援協議会の中に位置づけることも考えられる。    4 実効性の確保のための措置(勧告、公表、罰則)の必要性について  罰則は、法の趣旨を踏まえた取組みにそぐわないことや事業者の活動に過度な制限をもたらす懸念があることなどから、適当でない。  知事の権限として、勧告または公表の権限を定める。  その場合、具体的な要件や手続等を条例で定める必要がある。    5 条例の必要性について   条例の必要性  条例制定自体に啓発効果がある、相談や紛争解決の仕組みを明確にできるといった意義があることから、条例が必要との方向で概ね一致。   条例の内容・施行時期  以下の意見があった。  まずは、府ガイドライン等による普及啓発が重要で、条例でも、啓発の重要性を規定すべき。  法施行後は、法で十分規律されていない事項(相談、紛争解決の仕組み)を条例で規定することに意義がある。  条例で、合理的配慮の法的義務化や公表など企業に対するハードルをいきなりあげることは慎重にすべき。  差別の定義、相談員の調整、紛争解決機関の助言・あっせん、知事の勧告・公表、啓発の責務などが内容として考えられる。  法施行にこだわらず、施行後の国の動き、府内の相談対応状況や障がい者・事業者の意見等を踏まえて、より内容の検討を深めるべき。  法施行時に条例が必要で、その内容は体制整備等法を補完するようなものにすべき。   まとめ  検討の結果、まずは、府ガイドライン等による普及啓発を図ることが非常に重要であるが、条例制定が必要との方向で概ね一致。  いわゆる「上乗せ・横出し」条例の方向を考えるならば、法施行にこだわることなく、法施行後の状況等を踏まえて、条例の内容についてより検討を深めるべきとの意見が多かった。  なお、その進め方として、合議体による判定や勧告・公表といった府独自の体制整備を図る場合は、根拠規定として条例が必要であり、まずは、法施行と同時に、相談等の体制整備の内容で条例を制定し、その後、法施行後の状況等を踏まえながら、より充実した内容に向けて、条例改正を検討すべきとの意見があった。  府においては、今後、障がい当事者や関係事業者等幅広い意見も聞きつつ、適切に判断のこと。