資料1−3 平成30年度 大阪府広域支援相談員が対応した相談事案について  広域支援相談員が対応した事案のうち、不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供(いずれもおそれを含む)に該当する事案を記載しています。  個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例をふまえつつ、内容を一部変更するなど加工しています。   1 不当な差別的取扱い(おそれも含む)に該当する事案の概要  以下、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1 身体、商品サービス、当事者、車いすを利用しており、居酒屋に1人で入店し飲食をしていたが、1時間ほどしてから自分にだけ「他のお客様が来るので帰って下さい」と言われた。  相談員より、当該店舗に事実確認。店舗からは、食事介助も店員に求められ、混雑する時間帯に入ったため帰ってほしい旨を伝えた。しかし、帰るよう伝えたのは不適切であったと反省しているとの回答であった。相談員からは、本人だけに帰るよう伝えるのは差別に当たりうることを伝えた上で、店舗及びその本社も交えて話し合いを行い、社内での障がい理解に対する啓発を依頼した。その後、店舗から本人に対して謝罪もなされた。  2 身体、商品サービス、当事者、小売店での店員が、レジにて自分ではなくヘルパー等の介助者に話しかける。この対応は障がい者差別に当たるので、店舗に注意してほしい。  相談員より、当該店舗に対し、本人ではなくヘルパー等の介助者に話しかけることは障がい者差別に当たりうる旨を伝え、店員への周知を要請した。  3 身体、商品サービス、市町村、市町村担当課より相談。婚活イベントにおいて、障がい者が同伴者とともに参加したいと主催者に伝えたところ、1対1で話をする場を設けているため、同伴者と一緒に参加することはできないと言われた、との相談があった。大阪府にて類似案件はあるか。  市町村担当課に対し、大阪府で対応した類似案件について伝えた上で主催者への事実確認を要請。市町村担当課から主催者に確認し、障害者差別解消法や障がい特性について伝えたところ、後日、同伴者とともに参加することが認められるようになった、との報告を受けた。  4 身体、商品サービス、当事者、販売店にヘルパー同行で行ったところ、店員がヘルパーばかりに話しかけた。自分に話しかけてほしい旨を店員に伝えるが、その後もヘルパーに話しかけていた。このことは不当な差別的取扱いではないか。  相談員より、当該店舗のある市町村でまずは対応してもらった上で、本社への働きかけなど広域的な対応が必要であれば、連携して対応する旨を伝えた。相談員から市町村担当課に経過説明、市町村担当課が取り組むことを確認した。  5 身体、商品サービス、市町村、市町村より、今後の対応方法について相談。車いす利用者が知人とともに飲食店に入店しようとしたところ、店員から「ベビーカーもお断りしている」と断られた。そのときは、知人が介助できるとのことで入店できたものの、食事後、店員より次回からの入店を拒否されたとのこと。  市町村担当課に対し、本人への聞き取り、店の確認(店舗の間口、空間の広さ、次回の利用を断った理由等)を行うことを助言。以前に起きたベビーカーとお客とのトラブル(他客にぶつかったが謝罪がなかった)により、一律にベビーカー、車いすを断ることに正当な理由はないのではないか、また、他の客の利用や店の営業に大きな支障がなく、食事ができている人に対して、次回からお断りするという理由にならないのでは、と助言。市町村担当課が取り組むことを確認した。  6 身体、公共交通、当事者、車いす利用者が、ヘルパーとともにバスに乗車しようとしたところ、乗ろうとした直前に扉を閉めて行ってしまい、バスに乗車することができなかった。  本人の居住地市町村とも情報共有を図り、府相談員が当該バス営業所を訪問、事実確認を行なった。バス営業所からは、当時の状況において本人やヘルパーの姿を確認することができなかったとの回答。相談員からは、障がい者への配慮を行うとともに、障がいの有無にかかわらず見落とし発車は危険であるため、安全運転に留意してほしい旨を伝えた。  7 身体、住宅、当事者、車いす利用者が、物件の入居を検討するにあたり、宅建業者を通じて管理会社に入居できるか確認したところ、管理会社からは「車いす利用者は入居できない」と言われた。  相談員より、宅建業者及び管理会社に事実確認。宅建業者は本人が入居できるよう仲介していたものの、管理会社からは「物件がバリアフリー対応していない」「家主の希望を勘案すると難しいとは伝えたものの、正式な申込みの段階ではないので断ったものではない」との回答。本人の意向として、これ以上事業者に働きかけなくてよいが、会議体などでこのような事実があることを知ってほしいとのことだったため、検討する旨を伝えた。  8 身体、医療、当事者、医療機関での受付で、自分ではなくヘルパーに話しかける。この対応は障がい者差別ではないか。  相談員より当該医療機関に事実確認をし、障害者差別解消法に係る啓発冊子等を紹介の上、職員への周知を要請した。  9 発達、商品サービス、他府県、他府県より情報提供。大阪府民の親子が、他府県にある飲食店に入店しようとしたところ、「しつけのなっていない子どもは入店できない」と言われた。子どもに多動の障がいがあることを伝えても聞いてもらえず、入店できなかった。  他府県が当該店舗に事実確認をし、大阪府相談員と情報共有。当該店舗では、障がいの有無にかかわらず、店内が狭く危険なこともあるので注意喚起を図っており、障がいのある客が来た場合には本人に応じた配慮をしているとの回答。その後、店舗には啓発ポスターを貼るとともに、近隣店舗も含めて配慮に関する研修が実施されたとのこと。  10 精神、商品サービス、当事者、婚活イベントに申し込もうとしたところ、身分証明書提示を求められたため、障がい者手帳を提示する旨を伝えると、その手帳は証明にならないと言われた。障がい者を排除していると感じ、このイベントの申し込みをあきらめた。この会社の障がい者差別行為を正し、指導してほしい。  事業者(本事業担当課)へ事実確認したところ、身体障がい者手帳は写真が古いため証明として使用できないとの理由であった。相談員より、手帳によっては数年ごとの更新がある旨を説明すると、知らなかったとのこと。今後、障がい者手帳での身分証明を受け付けることを確認し、本社、営業所に伝えていくよう要請した。また、本社にも啓発を行った。   2 合理的配慮の不提供(おそれも含む)に該当する事案の概要  以下、障がい種別、分野、相談経路、相談要旨、対応要旨の順に記載します。  1 身体、商品サービス、市町村、市町村担当課より相談。ヘルパー同伴でスポーツジムを利用している障がい者より、通い慣れているところであるため、単独利用できるように対応してほしい、という相談があった。市町村でジムへの聞き取り等の対応を行うが、相談員のサポートを要請したい。  相談員より、市町村でまずは対応してもらった上で、当該店舗だけではなく本社への働きかけなど広域的な対応が必要であれば、連携して対応する旨を伝えた。  2 身体、商品サービス、当事者、図書館を利用するにあたり、コピー機が2階にしかなく、職員にコピーを依頼すると通常のコピー費用より負担が大きい。  図書館に確認したところ、コピーについては、通常のコピー費用で対応するといった回答を得た。  3 身体、商品サービス、当事者、イベント参加にあたり、会場に駐車場の確保をお願いしたが、当該会場の施設管理担当者から「公平性の観点から、駐車場確保の対応はできない」と言われた。  相談員より会場所在地市町村とも情報共有を図り、連携して対応。会場の施設管理担当者に対し、合理的配慮として駐車場確保ができるよう対応を要請。当日、本人は無事駐車ができたとのこと。  4 身体、商品サービス、当事者、店舗にて持ち帰り商品を購入しようとしたところ、足に障がいがあることが外見からわかるにも関わらず、奥の専用レジでしか対応できないと言われた。本社にも連絡したが、対応に誠意が見られなかった  当該店舗及び本社に事実確認をしたところ、実際にそういった経過があったとのこと。今後の対応について改善を図るとの回答を得た。  5 身体、商品サービス、当事者、小売店で書類が必要な買い物をしようとした際、店側から「代筆は会社の規定で認めていない」と言われた。  本人の居住地市町村とも情報共有を図り、連携して対応。市町村が店舗への事実確認を行なった上で、店から本人への謝罪の場を設けた。  6 身体、商品サービス、当事者、チケットを購入する際、画像認証を求められたが、視覚障がいがあるため自分1人では申込みができない。それ以外の方法をとることはできないのか。  相談員より、チケット販売業者に連絡したところ、音声認識の導入等改善に向け、検討を進めることを確認。確認事項を本人に報告した。  7 身体、公共交通、支援者、電車の座席を予約するにあたり、車いす座席はネット予約ができず、前日までに窓口予約をしなければならない。  相談員が当該電鉄会社を訪問し、電車の座席の予約手続き等について確認の上、車いす座席をネット予約できるようなシステムになるよう対応の検討を要請した。  8 身体、公共交通、当事者、車いす利用者が駅を利用する際、車いすが通れる改札が駅員のいる窓口から遠いため、通勤ラッシュ時は混雑していて通れない。また、駅員にもすぐに対応してもらえない。  相談員より、当該駅に対し本人の要望を伝える。駅からは、駅の構造上、改札口や駅員の窓口の場所、人員体制の兼ね合いですぐに対応できないこともあるが、適切に対応できるよう心掛けるとの回答。相談員より、駅に対して本人がスムーズに駅を利用できるよう対応を要請するとともに、本人に対して駅からの回答を伝えた。  9 身体、公共交通、市町村、市町村担当課より相談。聴覚障がいのある人より、FAXでもタクシーを手配できるようにしてほしいという要望があった。大阪府にも同様の相談はあるか。  相談員より、市町村担当課に対し、大阪府で対応した類似案件について伝えるとともに、各タクシー事業者に対しFAX対応の有無について調査。FAX対応が可能なタクシー会社について市町村担当課に情報提供した。  10 身体、公共交通、当事者、駅で車いすを借りようとした際、駅員から「重病人や急病人でないと車いすは使えない」と使用を断られた。その後駅員から謝罪があったが、納得がいかない。  他府県にある駅であったため、他府県担当課に情報提供し、連携して対応。駅への働きかけは他府県担当課が行い、駅員への周知・啓発を図る方針とした。  11 身体、教育、当事者、子どもの授業参観に参加したいが、車いすを利用しており介助が必要である旨を伝えたところ、「介助ができる人員はいないので自分で介助者を付けてほしい」と言われた。  相談者の意向を確認したところ、「学校には言ってほしくない」とのことであったが、もし学校への啓発等が必要であれば対応できる旨を伝えた。  12 身体、医療、市町村、市町村担当課より相談。医療機関にて、手話通訳を付けて受診しようとしたところ、「筆談できない人は受診できない」と看護師より言われた、といった相談があった。どのように対応したらよいか。  市町村担当課に対し、本人や医療機関に対して事実確認が必要であり、聴覚障がい者への理解を求める必要があるのではないかと助言。市町村担当課が医療機関に対応したところ、医療機関からは「職員への周知が十分でなかったため、対応を改善する」という旨の報告があった。