障害者差別解消の取組みと相談事例等の検証報告書(平成29年度)〜広域支援相談員が受けた相談事例等の分析から〜  平成30年3月 大阪府   目次   はじめに  1 広域支援相談員の体制等と相談対応  (1)広域支援相談員の体制と役割  (2)広域支援相談員の対応実績  (3)相談事例の分類の考え方および広域支援相談員の対応   2 合議体における助言・検証の実施   (1)相談事例等   (2)相談事例等の整理と検証  3 質的調査手法を用いた相談事例の検証  4 府内市町村に対する支援の取組み  5 障害理解に関する啓発の取組み  6 まとめ  参考資料   参考資料1 合議体での事例検討様式  参考資料2 広域支援相談員と大阪府障害者差別解消協議会   参考資料3 大阪府障害者差別解消協議会 委員・専門委員名簿  参考資料4 大阪府障害者差別解消協議会合議体開催状況等    はじめに   大阪府では、障害者差別解消法の施行にあわせ、大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例(以下、「障害者差別解消条例」という。)を平成28年4月に施行し、啓発活動と相談及び紛争の防止又は解決のための体制整備を車の両輪として、差別解消に取り組んでいます。  条例に基づく相談等の体制整備の一環として、広域支援相談員を配置するとともに、知事の附属機関として「大阪府障害者差別解消協議会(以下、「障害者差別解消協議会」という。)」を設置し、その協議会の下に組織した合議体において、広域支援相談員が受けた相談事例等に関し総合的に分析と検証を実施してきました。  さらに、相談事例の対応件数等といった量的調査に加え、質的調査手法を用いた相談事例等の分析を新たに試みました。  本報告書は、これらの分析結果をもとに、大阪府における障害者差別解消の取組みを検証し、条例附則に規定する条例の見直し検討に資することを目的として、とりまとめたものです。  条例施行から2年が経過し、障害者差別解消法の合理的配慮の概念をはじめとする差別解消に関する認識のさらなる広がりが期待されるところですが、府民に対し実施した障害者差別解消法の認知度等に関するアンケート調査(平成30年3月、政策マーケティング・リサーチ(Qネット))の結果によると、「障害者差別解消法を知っている」と答えたのは43.9%でした。  また、内閣府の「障害者に関する世論調査」(平成29年8月)においても同様の傾向となっており、差別のない社会を実現するためには、社会全体の理解と関心を深めることが重要です。  今後とも、障害者差別解消法の趣旨を踏まえた差別解消の取組みを着実に推進していくために、府に寄せられる様々な相談事案を蓄積し、取組みの分析や評価等を行うとともに、法の趣旨の普及や障害理解を促進する啓発活動の充実に取り組んでまいります。    1 広域支援相談員の体制等と相談対応  (1)広域支援相談員の体制と役割  大阪府では、障害を理由とする差別に係る相談事案に的確に対応し、解決を図るため、高度な相談・調整技術と専門性を有する人材として広域支援相談員を配置しています。  広域支援相談員は、  市町村に設置された相談窓口等(相談機関)における相談事案の解決を支援するための助言、調査、調整等、  障害者等及び事業者からの相談に応じ、相談機関と連携した助言、調査、調整等、  相談機関相互の連携の促進と相談事案に係る情報の収集、分析  を職務としています。  相談対応は、相談事案の当事者それぞれの立場を理解した上で、より良い解決をめざして、必要な助言や情報提供、当事者間の建設的対話を促し、具体的な解決策を提案するなど、解決に寄与するものです。このため、相談者からの信頼を得ることが円滑な相談事案の解決に向けて不可欠となります。  こうしたことから、相談員によって異なった見解等を示すことは、「広域支援相談員」業務の信頼性を失わせることにつながります。また、継続した事案について、特定の相談員でなくても的確に対応することが必要であることから、相談員間の情報共有と質の高い相談対応力が求められます。  このため、広域支援相談員は、日々寄せられる相談事案に対し組織内での情報の共有化を図るために日報を作成するとともに、定期的なミーティングによる事例検討を行うなど広域支援相談員間の連携を強化し、円滑な相談対応と対応力の向上に努めています。  障害を理由とする差別は、障害者の自立と社会参加に関わるあらゆる場面で発生する可能性があることから、上記の取組みに加え、様々な背景や専門分野を有する協議会の委員及び専門委員から選任される合議体が、必要に応じ、広域支援相談員に対し助言を行うことが出来るよう条例で規定しており、広域支援相談員が幅広い相談事案に的確に対応できるよう支援する仕組みが確保されています。  なお、今後、法の趣旨の浸透や条例に基づく相談体制等の周知が進むにしたがって、相談事案の複雑化・多様化や増加が見込まれます。このため、広域支援相談員にはさらに高度な専門性や調整力が求められ、その役割を担う人材の確保や育成が重要です。それとともに、身近な相談窓口である市町村での対応力向上を図るため、市町村への支援の充実が必要となります。  (2)広域支援相談員の対応実績  広域支援相談員が対応する相談事案は、事業者における障害を理由とする差別に関する相談等を対象としています。広域支援相談員は、市町村の相談機関への支援を通じて相談事案の解決にあたるだけでなく、直接相談にも対応し、市町村等関係機関と適宜連携しながら、必要な助言、調査及び関係者間の調整を行っています。  今年度において広域支援相談員が対応した実相談件数は、新規事案が163件、昨年度から引き継いだ相談事案7件と合わせ、170件となっており、前年度の実相談件数(=新規事案件数)125件を上回っています。また、対応回数は989回となっており、前年度の517回より大幅に増加しています。  相談1件あたりの対応回数については、昨年度の平均回数4.1回から今年度は平均6.1回と増加しており、相談内容が多様化・複雑化の傾向にあるとともに紛争解決に向けた調整の深化によるものと考えられます。  相談者の内訳において、市町村からの相談の比率は2割から3割とやや増加する傾向が見られており、広域支援相談員の機能の周知や具体的な連携の積み重ねによる関係構築が徐々に進んできたことなどから、市町村からの支援依頼の増加につながっているものと考えられます。  また、障害種別において、昨年度は「肢体不自由」の割合が約4割を占めていましたが、今年度においては、特に「視覚障害」や「精神障害」が増加しています。法の趣旨や広域支援相談員の窓口が周知され始めたことにより障害者からの多様な相談が増加したものと考えられます。  平成29年4月から平成30年3月までに広域支援相談員が対応した相談の状況は次ページ以降のとおりです。    平成29年度大阪府広域支援相談員 相談の対応状況について   1 平成29年度(平成29年4月〜平成30年3月) 月別・相談件数および対応回数  新規事案件数 計163件(別途、平成28年度からの継続件数7件あり)  (平成28年度 125件)  相談対応件数 計989回  (平成28年度 517回)  平成29年度 月別の対応状況  (以下、対応件数は、前月以前より引き続き相談対応した件数を含む)  4月 新規18件、対応件数24件、対応回数86回  5月 新規19件、対応件数28件、対応回数76回  6月 新規12件、対応件数23件、対応回数123回  7月 新規11件、対応件数21件、対応回数89回  8月 新規13件、対応件数22件、対応回数75回  9月 新規12件、対応件数25件、対応回数85回  10月 新規15件、対応件数25件、対応回数116回  11月 新規14件、対応件数21件、対応回数67回  12月 新規11件、対応件数19件、対応回数90回  1月 新規12件、対応件数17件、対応回数67回  2月 新規5件、対応件数11件、対応回数34回  3月 新規21件、対応件数24件、対応回数81回  新規事案件数 計163件(実相談件数170件)  対応回数 計989回  (参考)平成28年度 月別対応状況  4月 新規7件、対応件数7件、対応回数17回  5月 新規11件、対応件数16件、対応回数42回  6月 新規7件、対応件数11件、対応回数24回  7月 新規5件、対応件数5件、対応回数11回  8月 新規18件、対応件数20件、対応回数51回  9月 新規4件、対応件数12件、対応回数42回  10月 新規13件、対応件数15件、対応回数43回  11月 新規7件、対応件数13件、対応回数42回  12月 新規12件、対応件数18件、対応回数55回  1月 新規10件、対応件数13件、対応回数28回  2月 新規9件、対応件数16件、対応回数47回  3月 新規22件、対応件数28件、対応回数115回  新規事案件数 125件  対応回数517回  1件あたりの平均対応回数6.1回  相談1件あたりの対応回数の内訳  1〜5回 123件、6〜10回 27件、11〜15回 8件、16〜20回 3件、21〜25回 3件、26〜30回 0件、31回以上 6件  (参考)平成28年度  1件あたりの平均対応回数4.1回  相談1件あたりの対応回数の内訳  1〜5回 97件、6〜10回 18件、11〜15回 5件、16〜20回 2件、21〜25回 2件、26〜30回 0件、31回以上 1件   2 相談者の内訳  市町村 53件(31%)  直接相談 117件(69%)  (直接相談の内訳)  障害者 74件(63%)、家族 15件(13%)、支援者9件(8%)、事業者3件(2%)、他機関1件(1%)、その他13件(11%)、不明2件(2%)  (参考)平成28年度 相談者の内訳  市町村 27件(22%)、直接相談98件(78%)   3 相談内容の類型  (重複があった場合、1類型に絞って集計)  (1)不当な差別的取扱い 31件  不当な差別的取扱いの内訳(31件の内数)  拒否 25件、制限 7件、条件付け 5件  うち、合理的配慮の不提供も含まれると考えられるもの 12件  (2)合理的配慮の不提供 14件  合理的配慮の不提供の内訳(不当な差別的取扱いに含めた12件を加えた26件の内数)(重複あり)  物理的環境への配慮 11件、意思疎通への配慮 6件、ルール 10件、その他 1件  (3)その他 125件  (3)の内訳  不適切な行為 16件、不快・不満 37件、相談・意見・要望 41件、問合せ 27件、虐待 1件、その他 3件  (参考)平成28年度  (1)不当な差別的取扱い 26件  うち、合理的配慮の不提供も含まれると考えられるもの 12件  (2)合理的配慮の不提供 4件  (3)その他 95件  (3)の内訳  不適切な行為 7件、不快・不満 18件、相談・意見・要望 31件、問合せ 32件、虐待 1件、その他 6件  (参考1)相談者ごとの相談内容の類型  以下、相談内容の類型ごとに、相談者の件数を記載します。  不当な差別的取扱い  市町村 13件、障害者 5件、家族 4件、支援者 3件、事業者 2件、その他 4件、計 31件  合理的配慮の不提供  市町村 3件、障害者 8件、支援者 2件、その他 1件、計 14件  不適切な行為  市町村 7件、障害者 6件、家族 1件、その他 2件、計 16件  不快・不満  市町村 2件、障害者 30件、家族 3件、その他 2件、計 37件  相談・意見・要望  市町村 10件、障害者 18件、家族 5件、支援者 3件、その他 5件、計 41件  問合せ  市町村 18件、障害者 5件、家族 1件、支援者 1件、事業者 1件、その他 1件、計 27件  虐待  家族 1件、計 1件  その他  障害者 2件、その他 1件、計 3件   4 対象分野別件数  商品・サービス 50件、福祉サービス 10件、公共交通機関 28件、住宅 7件、教育 6件、医療 9件、雇用 10件、行政機関 35件、その他 15件、計 170件  (参考)平成28年度  商品・サービス 34件、福祉サービス 10件、公共交通機関 13件、住宅 6件、教育 4件、医療 5件、雇用 8件、行政機関 23件、その他 22件、計125件  (参考2)分野ごとの相談内容の類型  以下、相談内容の類型ごとに、分野別の件数を記載します。  不当な差別的取扱い  商品・サービス 14件、福祉 3件、公共交通機関 8件、住宅 1件、教育 1件、医療 3件、行政機関 1件、計 31件  合理的配慮の不提供  商品・サービス 6件、福祉 1件、公共交通機関 4件、教育 2件、医療 1件、計 14件  不適切な行為  商品・サービス 2件、公共交通機関 7件、住宅 1件、雇用 1件、行政機関 3件、その他 2件、計 16件  不快・不満  商品・サービス 12件、福祉 5件、公共交通機関 4件、住宅 2件、医療 4件、雇用 2件、行政機関 6件、その他 2件、計 37件  相談・意見・要望  商品・サービス 7件 公共交通機関 4件、住宅 3件、教育 1件、雇用 3件、行政機関 16件、その他 7件、計 41件  問合せ  商品・サービス 9件、福祉 1件、公共交通機関 1件、教育 2件、医療 1件、雇用 3件、行政機関 9件、その他 1件、計 27件  虐待  雇用 1件、計 1件  その他  その他 3件、計 3件   5 障害種別ごとの取扱い件数(重複あり)  身体障害のうち、視覚障害 24件、聴覚・言語障害 16件 肢体不自由 50件、内部障害 9件、その他の身体障害 2件  知的障害 15件、精神障害 31件、発達障害 12件、重症心身障害 1件、難病 6件、不明 16件、不特定 7件  (「内部障害」「重症心身障害」の項目については平成29年度から追加)  (「不明」は障害種別に係る情報が不明で分類できないもの。「不特定」は障害全般にわたるもの)  (参考)平成28年度  身体障害のうち、視覚障害 12件、聴覚・言語障害 10件 肢体不自由 47件、その他の身体障害 4件  知的障害 11件、精神障害 18件、発達障害 6件、難病 4件、その他(身体障害以外)1件、不明 13件、不特定 11件    (参考3)相談内容の類型ごとの障害種別件数(重複あり)  以下、障害種別ごとに、相談内容の類型の件数を記載します。  視覚障害  不当な差別的取扱い 10件、合理的配慮の不提供 2件、不適切な行為 1件、不快・不満 2件、相談・意見・要望 5件、問合せ 4件   聴覚・言語障害  不当な差別的取扱い 5件、合理的配慮の不提供 2件、不適切な行為 5件、不快・不満 2件、問合せ 2件  肢体不自由  不当な差別的取扱い 6件、合理的配慮の不提供 8件、不適切な行為 7件、不快・不満 8件、相談・意見・要望 12件、問合せ 9件  内部障害  不当な差別的取扱い 1件、合理的配慮の不提供 1件、不適切な行為 1件、不快・不満 3件、相談・意見・要望 1件、問合せ 1件、その他 1件  その他の身体障害  相談・意見・要望 1件、その他 1件  知的障害  不当な差別的取扱い 1件、合理的配慮の不提供 1件、不快・不満 4件、相談・意見・要望 5件、問合せ 3件、虐待 1件  精神障害  不当な差別的取扱い 4件、合理的配慮の不提供 1件、不快・不満 8件、相談・意見・要望 10件、問合せ 8件  発達障害  不当な差別的取扱い 4件、合理的配慮の不提供 1件、不快・不満 3件、相談・意見・要望 4件  重症心身障害   相談・意見・要望 1件  難病  不快・不満 2件、相談・意見・要望 3件、問合せ 1件  不明  不快・不満 8件、相談・意見・要望 4件、問合せ 2件、その他 2件  不特定  不当な差別的取扱い 1件、不適切な行為 2件、不快・不満 1件、相談・意見・要望 2件、問合せ 1件  (参考4)分野ごとの障害種別件数(重複あり)  以下、障害種別ごとに、分野別の件数を記載します。  視覚障害  商品・サービス 11件、公共交通機関 5件、教育 1件、医療 2件、行政機関 4件、その他 1件  聴覚・言語障害  商品・サービス 7件、福祉 3件、公共交通機関 1件、住宅 1件、教育 1件、雇用 1件、行政機関 1件、その他 1件  肢体不自由  商品・サービス 17件、公共交通機関 15件、雇用 1件、行政機関 14件、その他 3件  内部障害  商品・サービス 2件、福祉 1件、公共交通機関 3件、医療 2件、その他 1件  その他の身体障害  行政機関 1件、その他 1件  知的障害  商品・サービス 4件、福祉 2件、住宅 4件、教育 1件、医療 1件、雇用 2件、行政機関 1件  精神障害  商品・サービス 8件、福祉 3件、公共交通機関 3件、住宅 1件、教育 1件、医療 1件、雇用 4件、行政機関 7件、その他 3件  発達障害  商品・サービス 1件、福祉 3件、住宅 2件、教育 1件、医療 1件、行政機関 2件、その他 2件  重症心身障害   行政機関 1件  難病  公共交通機関 1件、雇用 1件、行政機関 2件、その他 2件  不明  商品・サービス 2件、公共交通機関 2件、住宅 1件、教育 1件、医療 2件、雇用 1件、行政機関 4件、その他 3件  不特定  商品・サービス 2件、公共交通機関 2件 行政機関 2件、その他 1件  (3)相談事例の分類の考え方および広域支援相談員の対応  対応実績の集計にあたって、相談事例の分類や整理の考え方および広域支援相談員の対応については、合議体における意見等をふまえ、次のとおり整理しています。  現時点における分類や整理の区分等の考え方は、以下のとおりですが、今後も障害者差別解消協議会及び合議体の意見を踏まえ、随時見直し、改善を図っていきます。  1.「相談類型」における整理  相談類型の整理にあたっては、相談者の主訴が、当初の相談受付時と、相談対応や事実確認を行う中で整理した後では、相談類型が異なることがあります。  相談類型は広域支援相談員の対応を経た上で下表の定義にそって整理して分類しています。(なお、相談対応中で未整理の段階では、主訴等を参考に暫定的に分類しておき、後日整理できた時点で改めて確定させる取扱いとしています。)  ア 不当な差別的取扱い  不当な差別的取扱いに該当するもの、又は不当な差別的取扱いに該当するおそれのあるもの。  イ 合理的配慮の不提供  合理的配慮の不提供に該当するもの、又は合理的配慮の不提供に該当するおそれのあるもの。  ウ 不適切な行為  障害者差別解消法の差別類型には該当しない(おそれも含む)が、差別的・不適切な行為があったと思われるもの。  エ 不快・不満  差別的・不適切な行為があったことを確認できないが、相談者が差別的と捉え、不快・不満があったもの。ただし、年金や給付金等他制度への不満・苦情を要因とするものは除く。  オ その他相談・意見・要望等  年金や給付金等他制度への不満・苦情を要因とするものや、差別以外の相談、意見、要望に類するもの。  カ 問合せ  法や条例、制度等の内容に関する問い合わせ。  キ 虐待  障害者虐待に該当すると思われるもの。  ク その他  上記に分類できないもの。  2.広域支援相談員の活動手法  広域支援相談員が相談事案を受理した際の対応については、次のように活動手法の整理を行なっています。  ア 調整   広域支援相談員が、相談事案の解決に向け、下記の3類型のいずれかをおこなった場合など。  自主解決型  相談者と関係事業者の相互の考え方について、広域支援相談員が整理して伝達等することにより、自主的な解決の方向に向かったもの。  助言型  相談者と関係事業者の相互の考え方について、広域支援相談員が整理して伝達することに加え、障害者差別解消法の趣旨等の説明や対応等への助言をおこなったもの。  指導型  相談者と関係事業者の相互の意思、意向、考え方について、広域支援相談員が整理して伝達することに加え、障害者差別解消法の趣旨等の説明等をおこない、さらに障害者差別解消協議会(合議体)の助言を踏まえた見解を明示するなど、広域支援相談員が指導的な助言をおこなったもの。  この3類型に該当しないものの、市町村や各所管行政機関、専門的相談機関等と、それぞれの対応や改善方策の具体的な調整、関係者間の話し合いの場の設定も調整に含むものとする。  イ 調査  広域支援相談員が、現地調査や関係事業者への事実の聴き取り、資料の収集等により相談内容の事実を確認した場合など。  ウ 助言  広域支援相談員が、相談者又は関係事業者等に対し、相談事案の解決に向け、具体的な対応や改善方策等の助言をおこなった場合など。  エ 情報提供  広域支援相談員が、相談者に対し、単に、制度の説明や関係機関の紹介、事実に関する事項の情報を提供した場合など。  オ 傾聴  受容的・共感的態度で相談者の話を聴き、相談者が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう支援した場合など。  カ 情報共有・伝達  広域支援相談員が、相談事案について、市町村や関係機関等との情報共有・交換や、事実に関する事項の情報を伝達や引き継いだ場合など。  キ 事後確認等  広域支援相談員が調整等をおこなった事案について、改善状況を確認した場合など。  ク その他  上記以外の対応    2 合議体における助言・検証の実施     大阪府では、障害を理由とする差別の解消の推進に関して審議するため、知事の附属機関として、障害者、事業者、学識経験者等で構成する障害者差別解消協議会を設置しています。  この協議会には、広域支援相談員では解決が困難な事案等に対応し、支援するため、協議会の委員及び専門委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体を組織し、事業者における不当な差別的取扱いに係る紛争事案に関するあっせん及び広域支援相談員が幅広い相談事案に的確に対応できるよう助言を行うこととしています。  具体的には、平成28年6月に開催した第1回障害者差別解消協議会で、まずは、広域支援相談員への助言を行い、相談状況の総合的な分析・検証を行う「助言・検証実施型の合議体」を定期的に開催することを決定し、平成28年度においては、「障害者差別解消の取組みと相談事例等の検証 平成28年度の相談事例等の分析から」(以下、「H28検証報告」という。)をとりまとめ、公表しました。  障害者差別解消法は施行後2年を経過しようとしていますが、法の周知や趣旨の普及が課題であり、特に合理的配慮の概念は、未だ社会に定着しているとは言えません。  このため、条例に基づく相談等の体制の効果的な運用に向け、引き続き事例を蓄積・整理し、府内市町村とも共有化するなど今後の施策に活かしていくことが必要です。平成29年度においても、「助言・検証実施型の合議体」を、1〜2カ月に1回の頻度で開催し、相談事例の分析等を行なってきました。  次項以降では、平成29年度における障害者差別解消協議会(平成29年6月、同年10月、平成30年2月に開催)及び合議体(平成29年7月から平成30年2月までに8回開催)における議論等を経て、広域支援相談員の対応実績や相談事例等についての整理・分析、及びこの1年間の府の取組みを検証しています。   (1)相談事例等  より多くの事例を分析・整理することが、制度運用の改善および差別解消の取組みの充実につながります。  合議体では、広域支援相談員が対応した事例のほか、ゲストスピーカーからの意見聴取や合議体構成員の協力により提供された事例も含めて分析等を行いました。  なお、今年度においては、合議体でのこれまでの分析等の成果を、大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂に反映しました。  大阪府障害者差別解消ガイドライン(第2版)(平成30年3月策定)  「理解し合うこと」「対話すること」「考えること」  障害を理由とする差別について、府民の皆様の関心と理解を深めるため、大阪府障害者差別解消ガイドライン(以下、「ガイドライン」と記載します。)の第1版を平成27年3月に策定し、平成30年3月にはガイドライン第2版を「解説編」と「事例編」に分冊化して改訂しました。  ガイドラインでは、国の基本方針に即して、何が不当な差別的取扱いに当たるのか、合理的配慮としてどのような措置が望ましいのかなど、基本的な考え方をわかりやすく示しています。また、府民の皆様により具体的なイメージをもって理解していただくために、府民生活に深くかかわる6分野(商品・サービス、福祉サービス、公共交通機関、住宅、教育、医療)ごとに事例等を記載するとともに、障害を理由とする差別に関わる「環境の整備」や「不適切な行為」についても事例を盛り込んでいます。  差別をなくすためには、「理解し合うこと」、「話し合うこと」、「考えること」が大切です。そのきっかけにガイドラインを活用ください。     データ掲載URL  大阪府「障害を理由とする差別の解消に向けて」ウエブページ http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sabekai-kaisai.html   平成29年度 合議体において検証した相談事例一覧  障害を理由とする差別については、一人ひとりの障害に関する知識の不足や障害者に対する意識の偏りに起因する面が大きいと考えられています。とりわけ、事業者でない一般私人の行為や思想、言論については、障害者差別解消法では規制する対象の範囲とはされていませんが、法第4条では国民の責務として「障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。」としており、啓発活動を通じ、法の趣旨の周知を図っていくことが非常に重要と考えられます。このため、不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供のほか、差別の温床となると思われる「不適切な行為」等の事例についても、合議体での分析等の対象としています。    合議体への提出事例  第1回合議体 1 知的障害のある人の大型量販店利用 2 肢体不自由の人の航空機搭乗  第2回合議体 3 飲食店における障害がある人への対応(事務局によるインタビュー) 4 スポーツ施設における障害がある人への対応(ゲストスピーカー招聘)  第3回合議体 5 病院におけるシャワー介助 6 視覚障害のある人に対する駅職員の対応  第4回合議体 (第4回大阪府障害者差別解消協議会資料に関する持ち回り審議のため事例検証は実施せず)  第5回合議体 7 視覚障害のある人に対する結婚相談所の対応 8 聴覚障害のある人に対する通販での通信契約  第6回合議体 9・10 精神障害のある人に対する医療機関への対応(委員提供事例含む) 11 車いす利用者の電車利用  事例の取り扱いにあたっては、個人情報取扱事務の適正な執行を図る観点から、実際の事例を踏まえつつ、内容を一部変更するなどの加工を行っています。   1.第1回合議体における事例検証  商品・サービス分野  事例1 知的障害のある人の大型量販店利用  (相談の内容)  大型量販店にて知的障害のある人が長時間同じ場所に立ち、声を出したり手を叩いたりしていたために、店舗の責任者に110番通報をされた。またその際、店舗の責任者から本人の入店を拒否するような発言があった。  (対応概要)  事実確認をしたところ、店舗の責任者は「入店拒否はしていない」と言っており、相談者側と店側の言い分が異なっていた。相談対応の方針を決めることが難しかったが、店舗の本社に働きかけることにより、社内研修や相談窓口の周知など、対応の改善策が図られることとなった。  (分類)不当な差別的取扱い、不適切な行為  (相談内容の分類と整理に関する助言)  広域支援相談員の整理では「不当な差別的取扱い」という分類に含まれているが、もし店側がサービス提供を拒否していないのであれば、「不適切な行為」に該当すると考えられる。  結果的に店側は、店舗での行動を本人の障害特性であるとの認識ができず一般的な不審者として対応をしてしまったとすれば、通報により財産権を行使したと見ることもできるため、通報したことに正当な理由がないと言い切れるか、判断が難しい。  しかしながら、障害者差別解消法の趣旨に反する行為であり、法に抵触するとまでは言えないが、望ましい対応ではない。店側にとって110番通報という行為は、万引き等の対応により往々にしてあるものと考えられることから敷居が低い対応だったかもしれないが、本人や家族にとってはショッキングなことであり、また店側にも本人に関わることへの抵抗感があったのではないか。そういった点で、店側の行為について正当な理由がある、と言えるのか。  本件において、実際の状況を確認できなかったが、分類上「もし店舗の責任者から入店拒否の発言がなされていたとすれば、障害者差別解消法に抵触する可能性がある」という文言を加え、補足的に不当な差別的取扱いの可能性もあることを示唆する必要があるのではないか。  (広域支援相談員の相談対応に関する助言)  相談員が出向いて店側に事実確認等のアプローチをしたことにより、店側に対し障害者に適切に対応すべきであるというメッセージが伝わったのではないか。本件では、双方の言い分が異なっていたために指導的な働きかけができなかったとしても、効果はあったものと思われる。  相談者側と店側の言い分が異なっていた事例だが、広域支援相談員がやるべきことはジャッジではなく紛争解決につなげることである。白黒はっきりさせるということではなく、店側に「こういったことが差別に当たりうる」といったルールを理解してもらい、解決を図ることが重要である。  (事業者側の対応に関わる意見)  店側が知的障害のある人に対して警察を呼ぶといった対応は、この件に限らず他にも少なからずあるものと思われる。店側も対応に苦慮しており、相談窓口に関する情報を得たり、障害特性を理解したりするなど、知らないことを学んでいく機会が必要であると考えられる。    公共交通機関分野  事例2 肢体不自由の人の航空機搭乗  (相談の内容)  航空機搭乗の際、タラップを足で歩いて自力で上れない場合は搭乗できないと言われた。同行者や職員が抱きかかえることや車いすを担ぐことを、会社の規則では安全上の理由から禁止されているとのことから認めてもらえず、結局は這ってタラップを上った。当該航空会社は、足で歩けない人の搭乗を拒んでおり、これは合理的配慮の不提供ではないか。  (対応と結果)  相談受理後に事実確認等をしていたところ、航空会社より、アシストストレッチャーの購入等により、タラップを自力で上れない人も搭乗可能となった旨の連絡を受けた。  (分類)合理的配慮の不提供、不適切な行為、不快・不満  (論点)  本件は、結果的に搭乗できてはいるが、合理的配慮の不提供の可能性がある。(ただし、通常は自力で上れない人は搭乗を断られるため、その場合は不当な差別的取扱いに当たる可能性がある。)仮に会社側に過重な負担があることが認められ、合理的配慮の不提供だという判断が難しかったとしても、不適切な行為等に該当するものと整理。  航空会社の自発的な対応で機材整備等がなされたが、解決に向けた社内ルールに対する現場の裁量の範囲や、過重な負担となっていたかなどを確認すべき事案であったと認識している。  (相談内容の分類と整理に関する助言)  航空会社側は、会社の規則から本人に対して同行者や職員が抱きかかえたり、車いすを担ぐことはできないという対応であったが、本人が這って上る方が危険であることも考えられる。具体的な危険回避の観点から、現場において規則の柔軟な運用を即座に判断することはできなかったのか。  合理的配慮の不提供という観点からは、ルールの柔軟な変更がなされるべきかどうかが問題であるが、本件については介助を認めておらず、すなわちルールの変更が認められなかった。航空会社の説明によると、当該規則は安全を理由にしたものであるが、安全性について具体的な危険を示すべきではないか。また、ルールの変更が可能だったかどうかについては、現場だけではなく、組織として確認をする時間的余裕があったかどうかも考慮せねばならないと思われる。  (広域支援相談員の相談対応に関する助言)  本人がタラップを上った当日の具体的な状況(人員配置や、現場職員によるルール運用の裁量の程度等)や航空会社の見解等について、紛争解決で終わるのではなく、さらに深く調査や整理をすることが求められるのではないか。  合理的配慮の不提供かどうかを検証するにあたり、過重な負担であったかどうかの判断をする根拠として、さらに詳細な事実確認をしておくべきであると思われる。   2.第2回合議体における事例検証  商品・サービス分野  事例3 飲食店における障害がある人への対応 (事務局によるインタビュー)  (インタビュー内容)  大手飲食チェーン店における障害者への配慮に関する取組みとして、法施行以前より点字メニューを用意する等の配慮を行なっている。また、障害者への配慮に関する対応ガイドと職員への研修、身体障害者補助犬に関する周知等を行なっている。  商品・サービス分野  事例4 スポーツ施設における障害がある人への対応 (ゲストスピーカー招聘)  (ゲストスピーカーによる報告)  (障害者への配慮に関するガイドラインの作成)  当該スポーツ施設職員向けに障害者への配慮に関するガイドラインを作成するため、広域支援相談員に相談をし、助言をもらった。  ガイドライン作成にあたっての基本的な考えとして、安全に配慮して本人が良好な健康状態の下での施設設備の利用を最優先にしている。ガイドラインの具体的内容は、障害者への対応に関する具体的なポイントや、障害者から申し出があった際のフローチャート、障害種別や程度のヒアリングの実施について等を記載。  ガイドラインが完成した際には、店長会議で説明し、その後各店舗の責任者から現場に配布したり、研修を行なったりするといった取組みにより、周知をしていく。  (障害者への配慮に関する組織体制について)  障害者への個別の配慮の必要性が確認された場合、まずは本社に報告し、そこから会社全体で情報を共有して、本人に返答することとしている。  施設の仕様と、本人の障害の状況、どういったプログラムを行いたいのか等のニーズによって、対応が可能なことと難しいことがそれぞれ出てくるものと思われるが、個別具体的に検討していく方針である。  (事業者側の対応に関わる意見)  「全面的に障害者を受け入れている」というような宣伝をするのはなかなか難しいと感じるが、可能な範囲で様々な障害者が利用できるように工夫している、という前向きなスタンスを、事業者から社会全体に発信してほしい。  (府の役割に関する助言)  事業者における配慮は、各業界の自主的な取組みや事例の蓄積により、さらに広がっていくだろう。府として方向性を定め、狙いを絞って啓発することが必要ではないか。  今回の事業者の意見等をふまえ、府において今後の取組みに活かしてほしい。熱心に取組んでいる企業を表彰するなど府として推奨することで、広く周知できないか。  また、例えば行政機関から指定管理者として指定を受けた事業者であれば、障害者差別解消法上の行政機関等に準じた対応を求めるような取扱いとすることが考えられる。そういった事業者におけるノウハウを蓄積し、民間事業者に向けて提示していくといった啓発の方法も考えられるのではないか。  各分野・各業種で、よりよい方策を検討し、どのような配慮が望ましいのかについて整理し共有していく必要があるが、その認識がまだ全体に広まっていないことが、課題であるといえるだろう。   3.第3回合議体における事例検証  医療分野  事例5 病院におけるシャワー介助  (相談の内容)  知的障害のある成人女性が、病院に入院した際、十分な説明がなされないまま、男性介護職員からシャワー介助を受けた。本人に知的障害があるために、了解も得ず男性介護職員によるシャワー介助がなされたのではないか。  (対応と結果)  病院へ事実確認をしたところ、病院側からは、障害を理由としたものではなく、人員配置上の理由から同性介助の保障はできないという回答であった。その後、男性介護職員の介助があり得ることの説明と同意を求めることなど、改善策が図られたことを確認した。  (分類)不当な差別的取扱い、不適切な行為、不快・不満、虐待  (論点)  一般的に障害のない若い女性に対し、了解を得ずに異性介助を行うことは考え難く、「障害のない人との異なる取扱い」と捉えれば、不当な差別的取扱いに該当する可能性が限りなく高い事案、もしくは見方によっては性的虐待に関わる問題であると思われる。  病院側が主張する「人員配置上の問題が正当な理由である」という客観的な根拠の確認について、相談員の立場で調査等を行うには限界があるが、病院側の主張が正当であれば不当な差別的取扱いに該当せず、「不適切な行為」等に留まることも考えられる。  (相談内容の分類に関する助言)  「障害」と「性(ジェンダー)」が絡む問題についてどのように考えるのか、そして「他の者とは異なる取扱い」についてどのように整理するのか、という論点がこの事案には含まれている。  「他の者とは異なる取扱い」について、どのような事例が「不当な差別的取扱い」と判断されるのかについては、その対応がいかに本人にとって不利益になっているか、不当に権利が侵害されているか、という観点で考えるのではないか。そのような観点から、本件は権利侵害の度合いが強いのではないかと思われる。  (広域支援相談員の相談対応および「あっせん」の考え方に関する意見)  双方の主張が異なる場合に、相談員がどのように調整するか。また分類と併せて考えると、「不適切な行為」や「不快・不満」として整理されれば、事業者に対する調整は助言に留まるだろうが、「不当な差別的取扱い(または、そのおそれがある)」と整理されれば、指導的な調整を行うこととなるだろう。  「不当な差別的取扱い」に該当するか否かは、実際に障害のない女性への対応はどうしているのか、そのときの具体的な人員体制の状況はどうだったのか等について事実確認をしなければ客観的な判断ができないが、おそらく現実的にはその事実確認が難しいだろう。  行政が介入したにもかかわらず、もし病院が、正当な理由について十分に説明しなかった場合には、組織として説明責任を果たしておらず、不当な差別的取扱いをしたと評価されることが考えられる。  結果だけをみて「サービスの提供がされれば、不当な差別的取扱いには当たらない」と安直に判断するべきではないのではないか。個々の事案の状況に応じて、障害者権利条約や国の基本方針にもあるように、性別の問題も踏まえながら、判断をしていく必要がある。あっせんの申出があった際には、1つひとつの事案を見て、あっせんの対象となるのかどうか、判断していく必要があるのではないか。  公共交通機関分野  事例6 視覚障害のある人に対する駅職員の対応  (相談の内容)  視覚障害のある人が駅の券売機を利用するにあたり、@発売停止時間に切符を購入することができなかったため、音声案内を設置するよう環境改善を要望したい、A発売停止時間に駅員を呼んだところ、駅員の対応が高圧的で不快であった。  (対応と結果)  駅職員の対応等について鉄道会社に事実確認を行うとともに、双方で話し合いの場を設けられるよう調整を行なった。  (分類)@その他(環境の整備に関する要望)、A駅員の態度に関する「不適切な行為」、「不快・不満」  (相談内容の分類と整理に関する助言)  事業者側の態度や言動について、本人への不利益性の度合いから考えると、本件の分類は「不適切な行為」もしくは「不快・不満」という整理が妥当であろう。  事業者側の態度や言動に関する整理として、例えば「同伴者のみに話しかける」といった対応について、障害者を露骨に無視するなど不利益性の度合いが高いと思われるものは、「不適切な行為」ではなく「不当な差別的取扱い」と分類されることも考えられるのではないか。   4.第5回合議体における事例検証  商品・サービス分野  事例7 視覚障害のある人に対する結婚相談所の対応  (相談の内容)  視覚障害のある人が結婚相談所へ入会しようとしたところ、「障害のある人は成婚率が低い」という理由から、入会を断られた。  (対応と結果)  当該結婚相談所に事実確認を行なったところ、高い入会料に見合ったサービス提供ができない、成婚ができずに苦情につながるケースが多い、といった懸念を示された。広域支援相談員より、サービス内容や契約条件をふまえ、入会するかしないかは本人自身が決めることであり、障害を理由とした入会拒否は障害者差別にあたることを伝えたところ、結婚相談所にて再度検討され、入会が認められた。  (分類)不当な差別的取扱い    (相談内容の分類および「あっせん」の考え方に関する意見)  本件に正当な理由があるか否かについて、事業者は「障害者は成婚率が低い」旨の理由を挙げているが、人間には様々な属性があるため、障害の有無のみに着目することに正当性はない。  結婚相談所のサービスは相手の紹介やマッチングであり、その点をふまえて入会するか否かを決めるのは事業者ではなく本人である。そのため、あっせんに挙がった場合は「不当な差別的取扱い」であることを前提に調整を行なっていくこととなるだろう。  事業者には営業の自由があり、入会者の条件で職業を絞り込んだ結婚相談所が現在も存在することを鑑みると、単に「不当な差別的取扱いである」と断じることだけでは、さらに属性を限定する等の方向へ逸れる恐れがある。そのため、実際にあっせん案を書くことを想定した場合には、事業者に与える影響も考慮して、障害者差別解消の理解や周知につながるような案を考える必要があるのではないか。  (広域支援相談員の相談対応に関する助言)  単に「サービス提供ができない」という事業者の主張だけを捉えるのではなく、障害に関する知識・理解が結婚相談所担当者にも不十分であることの表れであったと考えられないか。その点から言えば、障害者差別解消法上、サービスの拒否の有無といった問題以上に本質的な問題に踏み込んだ事例だと思われる。  一方で、事業者側は入会した人に対して相手を紹介するというサービス提供を業(なりわい)としているため、入会者からの苦情の矢面に立っている状況であると想定できるものの、事業者側の適切な対応が促進されるために、まずは事業者担当者が障害について正しく理解することが望まれるのではないか。    商品・サービス分野  事例8 聴覚障害のある人に対する通販での通信契約  (相談の内容)  聴覚障害のある人が、通販にてタブレット付ワイファイを申し込んだところ、「本人確認を電話で行う必要があるため、電話でやりとりができない人とは契約できない」との理由で契約を拒否された。  (対応と結果)  通販事業者およびワイファイサービス提供事業者に対し、事実確認と配慮の求めを行うため連絡をとるが、いずれも大手事業者で、オペレーターによる一律的な対応であり、また相談窓口が非公開であったため、事業者へのアプローチにかなりの期間を要したもの。情報収集によって得た連絡先に、文書にて合理的配慮に関する対応の有無について確認を行なった。(継続中)  (分類)不当な差別的取扱い・合理的配慮の不提供    (相談内容の分類に関する助言)  本件は、聴覚障害を理由として、合理的配慮の不提供を要因とした不当な差別的取扱いであると考えられる。このため、正当な理由として口頭による同意が取れないことを事業者は挙げているが、正当性があるとはいえないのではないか。  本人確認の方法として、本人しか知りえない情報を確認するという手立てが考えられているが、音声を出せない人への確認手段として、音声以外で確認できる方法の検討が必要である。現状は音声によるコミュニケーションを前提に想定されており、聴覚障害のある人にとって大きなバリアがあると言える。  (広域支援相談員の相談対応に関する助言)  通販事業者とワイファイサービス提供事業者との契約内容について、ワイファイサービス提供事業者から通販事業者に販売方法も含め指示しているのか、通販事業者の裁量はどの程度なのか等、確認が必要である。  (事業者側の対応に関わる意見)  通販において電話での受付対応のみであることは、法の趣旨に反するものと言えるのではないか。非対面時の本人確認について、電話のみという音声による手法に限定せず、多様な手法を検討すべきではないか。  オペレーター対応の問題ということであれば、環境の整備の問題とも言える。ただし、オペレーターはマニュアルに則って対応することしかできないだろう。  (府の役割に関する助言)  本人確認については、電話での対応以外にも、例えば視覚障害や筆記が困難な肢体不自由のある人に対して自署以外は認めない、といった現状がある。こうした合理的配慮の不提供は、他の事業者でも類似の事案があると考えられることも鑑みて、国レベルへ働きかける必要があるのではないか。   5.第6回合議体における事例検証  医療分野  事例9 精神障害のある人に対する医療機関における対応(委員提供事例)  (相談の内容)  精神障害者に対して、医療機関での受診拒否や、入院時に付添い者を求めるといった条件付けがなされたという相談。入院を拒否される理由として、医療法(昭和23年)施行規則第10条第3号を根拠にされることがある。  (相談事例に関する意見)  医療法施行規則第10条第3号が正当な理由になるか否かに関し、当該規則について十分に主旨を理解する必要はあるが、施行当時の考え方として合理性があったとしても、現代において合理性があるかどうかは検討すべきではないか。仮に当該規則に合理性があったとしても、患者に対して具体的に説明する必要が求められる。また、障害者差別解消法の主旨をふまえ、対象となる患者は限定すべきではないかと思われる。  正当な理由の解釈は、その人の障害の状況や求められる支援、病院の体制等のバランスを勘案し、ケースバイケースで判断するものであり、一般化できるものではないのではないか。いずれにせよ、個別具体的な検討をせず、一律的に受診を拒否したり、付添いを求めるといったことがある場合、その対応には問題があるといえるのではないか。  付添い者を求められるといったケースは、精神障害のみならず、重度の知的障害や身体障害のある人にも同様の問題が現実的にはあると思われる。  医療分野は、生命・身体に関わっている重要な問題であるということを考慮して、検証する必要があると思われる。  参考 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)(抄)  (管理者の遵守すべき事項)  第10条 病院、診療所又は助産所の管理者は、患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させるに当たり、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。ただし、第一号から第四号までに掲げる事項については、臨時応急のため入院させ、又は入所させるときは、この限りでない。  1・2(略)  3 精神疾患を有する者であって、当該精神疾患に対し入院治療が必要なもの(身体疾患を有する者であって、当該身体疾患に対し精神病室以外の病室で入院治療を受けることが必要なものを除く。)を入院させる場合には、精神病室に入院させること。  (旧・平成28年6月10日改正前の条文)  3 精神病患者又は感染症患者をそれぞれ精神病室又は感染症病室でない病室に入院させないこと。  参考 医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について(厚生労働省医政局長通知 平成28年6月10日 医政発0610第18号)  1(4) 病院等の管理者が患者等を入院させ、又は入所させるに当たって遵守すべき事項の見直しについて  病院、診療所又は助産所の管理者が、患者、妊婦、産婦又は褥婦を入院させ、又は入所させるに当って遵守すべき事項のうち、精神疾患を有する者の入院に関する規定を改正し、精神疾患を有する者が、身体疾患の治療を行うために精神病室以外の病室に入院できることを明確化すること。(規則第10条関係)  医療分野  事例10  精神障害のある人に対する医療機関における対応  (相談の内容)  精神障害を理由に内科の受診ができず、精神科主治医に相談するよう言われた。  (対応と結果)  相談員が当該医療機関に確認したところ、受診ができない理由は、本人の症状が精神疾患の治療をしないと根本的な改善が見込めないことや、精神科の薬による影響を勘案していることを理由に主治医に相談するよう伝えたものであり、主治医の紹介状があれば診療するとの回答であった。本人は当該医療機関へ再度連絡すると言っていたものの、以降、本人は当該医療機関に連絡はしていないとのことであった。  (分類)不快・不満  (広域支援相談員の相談対応に関する助言)  本件は、いつ、誰が、何をしたのかといった情報が錯綜しており、本人の思いと客観的事実の判別がつきにくいため、相談員はまず本人に対して相談内容の道筋を立てて整理をし、助言を行うことが必要ではないか。  相談員が行う「調整」や「助言」の範囲として、本人の主訴の内容によって調整や助言の内容は異なるであろうが、差別的事案に係る相談内で、必要な機関につないでいくことも条例上の調整や助言に含むものと解釈する余地があるのではないか。  このような事案については、主治医との連絡を取り調整した上、適切な医療機関の紹介につながっていくことが望ましいのではないかと思われる。  (相談事例に関する意見)  患者とのコミュニケーションが大切であることを表した事例であると思われる。本人が理解できるように、医療機関側がどのように説明をしたのかが重要であり、本人に説明をしたつもりであっても、本人が十分に理解できていない可能性がある。  公共交通機関分野  事例11 車いす利用者への電車利用における合理的配慮  (相談の内容)  車いす利用者が電車を利用する際に、駅員による降車ミスがあり、降りられなかったことが複数回あった。  (対応と結果)  電鉄会社への事実確認の結果、駅員間の連絡ミスや他の業務に時間を要したことにより、降車の介助ができなかった等の経緯が確認された。その後、電鉄会社から本人への謝罪の場を設け、今後の改善策を検討し双方の合意を得た。  (分類)合理的配慮の不提供  (相談内容の分類に関する助言)  合理的配慮の提供を行う体制やルールが決まっていたとしても、現実に降車ミス等により提供されなければ個別具体的な調整や変更がなされていないものと考えられる。そのため、降車がなされなかった点のみに着目すれば、合理的配慮の不提供があったといえるのではないか。  ただし、過重な負担があったかどうかも含めて考えるべきではないか。降車支援の都度の人員体制や時間帯等の要素を考慮する必要があり、単に降車ミスがあったことのみをもって合理的配慮の不提供があったと言えるものではないだろう。  事業者側に悪意があるわけではなく、日々配慮に努めているが、こういったミスがあった際の対策が本人に説明されていないのではないか。  合理的配慮の提供は、事業者においては努力義務であることから、本件においては「努力はしている」と考えてよいか、それとも努力義務以上のものを求めていくべきか。  もし、降車がなされなかったという不履行により損害が発生した場合には、損害賠償請求を行うということも考えられるが、その場合は裁判に委ねられることとなる。損害賠償まで求めないということであれば、「不快・不満」として整理されることも考えられるのではないか。  (広域支援相談員の相談対応に関する助言)  相談対応として難しいのは、合理的配慮の提供がなされなかったことによって「建設的対話」が成り立たなくなっている障害者−事業者間の対話を、いかに結び直していくかだと思われる。  事業者における合理的配慮は努力義務にとどまるが、事業者に対して合理的配慮の取組みを促し、より良い対応を求めるためのアプローチとして適切な方法を探っていく必要があるだろう。   (2)相談事例等の整理と検証  条例附則における「条例の見直し検討」の規定を踏まえ、条例の施行状況を評価・検証するため、助言・検証実施型の合議体において事例の分析等を行ってきました。合議体での主な意見と現時点での大阪府における整理・検証については次のとおりです。   1.合議体での主な意見  ア 広域支援相談員の相談対応に関する助言  相談対応にあたって事実確認をした際に、相談者側と事業者側の言い分が異なるといった事例があるが、広域支援相談員の役割はジャッジではなく紛争解決につなげることである。そのため、事業者側に対して法の趣旨の理解を促し、解決を図ることが重要なのではないか。  広域支援相談員が事業者のもとに直接出向き、事実確認等のアプローチをすることは、適切な対応を求めるメッセージとして事業者に伝わる、という効果があると思われる。  相談事案に関して、差別に該当するか否かを判断するにあたっては、詳細な事実確認が求められる。その事案の具体的な状況について、例えば、そのときの人員や現場のルールの裁量の程度、事業者側の見解などを深く調査をする必要があるのではないか。  相談事案をどう分類するかにより、相談員の調整方法は異なってくるだろう。「不当な差別的取扱い」と整理をされれば指導的調整を行うことが考えられるが、そうでなければ、事業者に対する調整は助言に留まるものと思われる。  事業者側が正当な理由について十分な説明をしなかった場合には、組織として説明責任を果たしていないため、「不当な差別的取扱い」をしたと評価することも考えられるのではないか。  事業者側から、単に「サービスの提供ができない」と主張されたような事案については、事業者側の担当者を含めた現場における障害に関する知識・理解の不足の表れであると考えられる。そのため、事業者側の適切な対応が促進されるよう、まずは現場の担当者が障害について正しく理解することが望まれるのではないか。  イ 相談内容の分類と整理に関する助言  相談対応にあたって、明確な事実確認ができなかったとしても、分類上「もし事業者からサービス提供を拒否するような発言がなされていたとすれば、障害者差別解消法に抵触する可能性がある」という文言を加え、補足的に不当な差別的取扱いの可能性もあることを示唆する必要があるのではないか。  また、サービスの提供の拒否の有無のみに着目するのではなく、事業者側に障害者と関わることへの抵抗感があったのではないかという点も含めて、整理をしていくべきではないか。  正当な理由もしくは過重な負担の当否の判断にあたっては、当該事案で求められる対応について、現場で対応した職員にどれだけ裁量の余地があったのか、組織として十分に検討する時間的余裕があったのか等についても考慮する必要があるのではないか。  障害者に対する「他の者とは異なる取扱い」に関して、「不当な差別的取扱い」の当否の判断は、その対応がいかに本人にとって不利益になっているか、権利を不当に侵害しているか、という観点で考えられるのではないか。  ウ 合議体による「あっせん」の考え方に関する意見  「不当な差別的取扱い」の当否については、サービス提供の拒否・制限・条件付けのみに限らず、個々の事案の状況に応じて判断する必要があるため、あっせんの申出がなされた事案の取扱いを検討する際は、不当な権利侵害の観点から具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する必要があるのではないか。  あっせんを行う合議体は、差別の有無を判定することを目的とする機関ではなく、柔軟に紛争解決をしていくための調整する機関として位置づけられるものである。このため、あっせんの申出があった際は、「正当な理由」の当否を明確に判断することが難しい事案でも、「不当な差別的取扱い」の疑いが濃い場合には、その取扱いについて検討することになると思われる。  明らかに「不当な差別的取扱い」であると判断される事案であっても、実際にあっせん案を書くことを想定した場合には、他の事業者に与える影響も考慮して、法の趣旨の理解や普及につながるような解決策を提示する必要があるのではないか。  エ 府の役割に関する助言  各分野・各業種で、より良い方策を検討し、どのような配慮が望ましいのかについて整理し共有していくことが必要であるが、その認識が社会全体にまだ広まっていないことが課題であり、その周知や啓発が必要ではないか。  事業者における障害者への配慮の取組みは、事例の蓄積によりさらに広がっていくものと思われる。府として方向性を定め、ねらいを絞って啓発することが必要ではないか。  府の啓発にあたっては、事業者の意見等をふまえつつ、例えば障害者への配慮に熱心に取組んでいる企業を表彰するなど府として推奨することで、広く周知できないか。  当該相談事案以外にも様々な障害特性や事業分野でも起こりうるような障害者差別については、その事案のみならず、他の事業者でも類似の事案があると考えられることも鑑みて、国レベルへ働きかけていく必要があるのではないか。   2.府における整理と検証  ア 広域支援相談員の相談対応  広域支援相談員は、障害者の権利を実現し、障害を理由とする差別の解消を図るものであり、中立・公正な立場で、当事者の意見を傾聴して、当事者に対し、解決の方向を示す必要があります。そのため、障害者の意向を確認して対応方針を検討の上、事業者側が法の趣旨を理解し、円満解決を図ることが第一義的な目的であると認識して、対応していきます。  差別に該当するか否かについて曖昧な情報だけで判断しないよう、詳細な事実確認や情報収集をしていきます。特に、正当な理由や過重な負担の判断にあたっては、必要に応じ合議体での助言を踏まえながら、確認すべき事項を整理し、調査を進めていきます。  相談事案の内容及び事業者の理解状況や対応姿勢等により、事業者に対する調整手法を工夫しながら、紛争解決を図っていきます。また、相談事案の類型によっては、指導的調整が必要なケースや助言にとどめるケースなど、様々な場合が考えられますが、法の趣旨に反するような対応であれば、適切に改善を図るよう、事業者にはたらきかけていきます。  「H28検証報告」で取りまとめた丁寧な初期対応と権限を有する関係機関等との連携の重要性を踏まえ、引き続き、相談事案の円滑な解決に向け、培ってきた取組み姿勢を堅持しつつ、発展に努めていきます。  イ 相談内容の分類と整理  相談の分類にあたっては、相談者側と事業者側の言い分が異なり、明確な事実確認ができなかったとしても、事業者側からサービスを拒否するような言動があった可能性について十分考慮し、検証していきます。  また、事業者側のサービス提供の拒否の有無のみに着目するのではなく、事業者の障害者に対する理解や意識も考慮しながら、整理をしていきます。  事業者による障害者に対する「他の者とは異なる取扱い」については、その対応がいかに本人の権利を不当に侵害しているか、という観点から、事案によっては「不当な差別的取扱い」に該当する可能性があるものとして、取り扱うこととします。  ウ 合議体による「あっせん」の考え方  あっせんの申出があった際には、その事案が「不当な差別的取扱い」の当否の判断が必要になりますが、単純にサービス提供の拒否・制限・条件付けのみに限定して判断するのではなく、「正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うこと」に当たるか否かという観点から、1つひとつの事案を見て、その取扱いを検討していきます。  あっせんを行う合議体は、差別の有無を判定することを目的とする機関ではなく、柔軟に紛争解決をすることを目的とした機関です。このため、正当な理由の当否の判断が難しい事案でも、合議体の助言をふまえ、その取扱いを十分に検討していきます。なお、あっせんの対象に該当しなかったとしても、広域支援相談員が調整をし、紛争解決を図っていきます。  エ 今後の課題  前述のとおり、大阪府では平成28年度より「助言・検証実施型の合議体」を開催し、広域支援相談員に対して、合議体が助言を行い、相談事例の分析を行なってきました。これまで事例の蓄積が十分でない中では、どのような事例が挙がってくるのか、その事例についてどう分類するのか、そしてどのような対応がなされるべきかといった、現状の把握と整理を行なった上で、府における適切な相談対応を模索している段階であったと考えられます。そのため合議体での議論は、これらの整理や相談対応に対する助言が中心となっていました。  法施行後3年目を迎えようとする今、徐々にではありますが、事例の蓄積とこの2年間の合議体からの助言により広域支援相談員の対応力の向上が図られています。  こうした中において、「助言・検証実施型の合議体」での委員の多様な議論の積み重ねと個々の事例を深く掘り下げた分析は、大阪府の障害者差別の解消の推進に大きく寄与し、取組みの推進に向けた貴重な財産であると考えます。  このような取組みを継続し、さらなる発展に向け、合議体に求められる広域支援相談員への助言の在り方について、より一層有効に機能させていくため、事例検証の重要性と課題を追及することが必要であると思われます。  今後、広域支援相談員から市町村に対して助言するにあたっての手法や留意点についても、合議体からの助言を受ける必要も出てきます。  さらには、障害者差別解消協議会が、法に規定される「障害者差別解消支援地域協議会」の機能も兼ね備えていることから、ネットワークを活用し、広域支援相談員のみでは対応困難な事案の紛争解決の後押しを行うことが考えられます。このため、広域支援相談員のみならず、協議会・合議体も含めた、広域自治体としての役割や在り方そのものを検証する必要があると思われます。  オ 府の役割  「府の役割」については、本報告書「6 まとめ」(51ページ)において後述します。    3 質的調査手法を用いた相談事例の検証    (1)目的  障害を理由とする差別の解消に向けて、障害者差別の相談対応として有効と思われる取組みの視点や課題を整理するため、広域支援相談員の受け付けた相談事例について、質的調査手法を用いた分析を実施しました。  本調査においては、相談事例の具体的な状況、対応の経過、紛争に至った要因、紛争解決に係る今後の課題等を分析することにより、今後の紛争解決に資する資料とすることを目的としています。     (2)方法  広域支援相談員が受け付けた、事業者における障害者差別に関する相談事例の中から、  ア 相談分類が「不当な差別的取扱い」「合理的配慮の不提供」「不適切な行為」であったもの  イ 活動手法が「調整(自主解決型/助言型/指導型)」であったもの  に該当する事例について、広域支援相談員の対応経過記録を基に、質的調査手法を用いて分析を行いました。  (相談分類および活動手法については、本書の10〜11ページを参照してください。)  質的調査とは(大阪府立大学  田垣 正晋)  社会調査は、得られたデータを数値に置き換えて統計的処理をする「量的調査」と、言葉の意味内容のまとまりやつながりを見出していく「質的調査」に区分されます。前者の例にはアンケート、後者のそれにはインタビュー(聞き取り)調査や自由記述があります。それぞれの手法に利点と課題がありますが、本報告書は質的調査をベースにしています。同手法には、調査への協力者や事例数が少ないという課題があるものの、事象が生じた場面、関係する人々の発言や行動を具体的に検討することができます。質的調査を施策に用いることの意義は、内外の研究者において指摘され始めています。  量的調査と比べて、質的調査では、分析手順がわかりづらいという見解もあるため、コーディングからカテゴリー生成までをできるだけ記述し、読者に対して、分析手順の再現可能性を担保することが求められます。後述のように、本報告書はこの立場を尊重しています。  (参考 広域支援相談員の活動手法について)  本調査では、対象となる相談事例について、活動手法を「調整」に絞って分析していますが、 広域支援相談員の相談対応は、どのような活動手法で対応したかにより、関与度の高さが異なります。  関与度の高さごとに、「関与度3 調整・調査」、「関与度2 助言・情報提供」、「関与度1 傾聴・情報共有・伝達・事後確認等」、と区分し、それぞれの対応回数を比較すると、各事例への平均対応回数は表1のようになります。表1より、関与度の高い「調整」または「調査」においては、他の活動手法よりも平均対応回数が多いと言えます。  これは、本人や事業者、関係者への連絡や訪問、また当該事例に関わる情報収集などを行なっている結果の表れです。「調整」や「調査」を行うことが要される相談対応にあたっては、単なる助言や傾聴だけではなく、紛争解決のために深く関与していくことが求められます。  表1 平成29年度(H29.4.1〜H29.12.31)広域支援相談員の活動手法ごとの平均対応回数  相談事例1件あたりの対応回数の平均回数(回)   関与度3 調整・調査  不当差別・合理的配慮・不適切な行為の場合 15.9回、その他の場合、9.8回 平均14.1回   関与度2 助言・情報提供  不当差別・合理的配慮・不適切な行為の場合 4.1回、その他の場合、3.4回 平均3.6回   関与度1 傾聴・伝達 等  不当差別・合理的配慮・不適切な行為の場合 3.1回、その他の場合、3.8回 平均3.7回     (3)相談事例の記録の分析について  ア 分析対象とした事例  分析対象とした事例は、表2のとおりです。    表2  分析対象とした事例一覧  A  講習会における要約筆記利用  B  身体障害がある人への電話対応   C  相談支援におけるメールの使用   D  身体障害者補助犬に関する店員の言動   E  料理教室における車いす利用者への対応   F  病院におけるシャワー介助  G  大型量販店における電動車いすの対応  H  知的障害がある人の大型量販店の利用   I  福祉施設における手話の配慮   J  鉄道会社における券売機使用時の対応   K  車いす利用者のタクシー利用  イ 分析の手続き  相談事例の分析にあたっては、下記のような手続きをとりました。  相談事例の対応記録ごとに、その内容を表す単語や短い語句(コード)を付ける。   (コードとは、例えば、「A社がBさんの配慮の申出に対し、手話通訳は付けられない、と返答した」といった記録について、「A社は、手話通訳は付けないと返答」といった要約になるような語句をつけていくことを言います。)  類似のコード同士をまとめ、その1つのまとまりを「カテゴリー」とする。  上記で作成したカテゴリー間の関連付けを行う。   (4)調査結果  上記のような分析により得られたコードについて、相談事案が紛争に至った経緯や、それに対する広域支援相談員の対応に焦点を当て、カテゴリーを抽出しました。各コードを下位カテゴリーおよび上位カテゴリーに分類し、表3のとおり整理しました。なお、表3に示すコードは、代表的なものを一例として抜粋したものであり、このコードに類似した記述は、他の事例においても見ることができます。  なお、事例の匿名性担保のため、本人を含む関係者の情報等については、事実関係を損ねない程度に加工して掲載しています。  表3 相談事例の記録から作成したカテゴリーと代表的な記述  以下、 上位カテゴリー、 下位カテゴリー、 代表的なコード(一部抜粋)の順に記載します。   主に事業者に関するカテゴリー   1  知識や経験の不足   知識や経験の不足  要約筆記の理解や対応経験がない・ 身体障害者補助犬のことは、本社から説明もマニュアルもなく見たこともない・ 車いすのスペース、包丁の使い方、作業のスピードで他の人とトラブルになる可能性等の不安・ 電動車いすの運転に慣れておらずスピードが出る客を見ると、声をかける言葉が心配   2  障害者に対する「偏見」   障害者に対する「偏見」   身体障害者補助犬法、障害者差別解消法等の説明をしても全く聞き入れず・ 電動車いすは、介護タクシーが乗せるものと決まっている・ 相談者は「クレーマー」   3  不適切な初期対応   事業者が「高圧的」   事業者が高圧的で、相談者の話を聞く姿勢がない・ 「1回しか言わない」「何度も言わせないでください」と拒否的な対応・ 本社にも伝えると言うも「どうぞ」と何も言わないだろうという高圧的な対応・ 駅員が「呼び出しボタンを押せばいい」と高圧的   事業者が「一律的」   事業者側で内部検討せず、担当者のみで受講を拒否・ 事業者からは介助者がいるかどうかも聞かれなかった・ 電動カートで過去に事故があったことから、手動車いすの乗り換えをお願い ・車いすがたためるのかなど何も聞かずに、電動車いすというだけで拒否  事業者から本人への説明不足   本人への丁寧な説明の欠如・ 事業者は機械的に「返信できない」説明・ 乗務員の説明不足   4  相談体制が未整備   職員間の周知不足・ 申込みフォームの変更に気づかず、確認せずに「配慮に関する記載は見ていない」と返答・ スタッフ間で要約筆記に関する情報共有がされていない・ 利用者の異動と手話通訳者の受入判断が重なり、かつ職員間の情報共有ができていない・ 相談すべき窓口や対応の問題・ 会場となる場所が主催者であるという本人の勘違い・ オペレーターにより対応が色々・ 「サポートセンター」と「お客様センター」の関係の整理から進める   5  事業者が構える   事業者の困りごと   事業者は、メールを見てから本人に連絡するまでタイムラグあり・ お客様が安全に利用できることを第一に考えている 店側はどこに言えばよいかわからず、警察に通報・ ドライバーは高齢で、車いすを落とした場合の責任がとれない   事業者が抱く相談者への印象   支援者と要約筆記派遣先が別だったことで、本人に対し「協調性がない」という印象を与えた・ 事業者が本人をクレーマーと受け止めたのではないか・ 本人の行動は奇妙で営業妨害の状態だと認識   事業者の警戒   相談者が要約筆記を付けること前提に話す態度への事業者側の反発・ 大声で「差別だ、訴える」と騒ぎ出したので黙っていた ・ 病院は、相手の剣幕に言いたいことも言えなかった・ 本人との話し合いに応じると前例となり、今後の要望対応が困難になることを懸念   6  相談員関与時の反省と感謝   反省・謝罪   要約筆記について知識がなく反省、この経験を活かしたい・ 事業者より本人への発言について謝罪 ・ 本社より謝罪と再発防止のためルール周知を徹底する旨連絡あり・ 適切な対応がとれるよう看護手順を改訂・ 人事部は、同様/類似の事態に適切な対応が取れるよう取り組む ・事業者は謝罪し、話を聞く姿勢を再認識   感謝   主催者は配慮に関し「貴重な体験をした」・ 今後配慮していくことと、府の助言に対するお礼を述べる   7  「頑な」な対応   事業者が認めず「頑な」   店員は「差別はしていない」と主張・ 病院から謝罪はなかった 病院へ申し入れるも、回答の訂正は不可   主に相談者(障害者)に関するカテゴリー   8  相談者の不快  相談者の「怒り」   相談者は病院の対応に激怒・ 相談者は、名前を聞いても「なぜ教えねばならないのか」と激昂・ 指導する機関にも味方してもらえず、さらに立腹  相談者の「ショック」   本人は気持ちが落ち込みしんどい・ 本人は非常に悔しい思いをした、傷ついて家に帰ってから大泣きした・ トラウマになり、本人の社会参加がこれからもできるかと思い悲しい   相談者の「遠慮」   本人はあきらめており、謝罪は求めていない・ 動転して言えず、再度話し合いをしたいが、プレッシャーもある ・ 店に迷惑をかけて申し訳ない  9  周囲にとっての困りごと   周囲にとっての困りごと   本人から誹謗中傷的な内容を何度も言われ対応に困る・ 本人が店に長時間立ち続け、声を出すことが迷惑なことがある・ 相談者は、色々な部署でトラブルを起こしている   10  揺れ動くニーズ   事業者に望むこと   どんな内容でも良いのではなく、障害があっても選ぶ資格がある・ 障害者が安心して気軽に店に行けるようにしてほしい・ 車いすを乗せなくてもいい前例ができると、タクシーが使えなくなる   気持ちの揺れ  相談者の気持ちが揺れる 話合いの場に自分も入りたい、という話は今回はなかった   11  相談員関与時の感謝と安心   感謝   無事講習会を受講できた旨のお礼 ・ 相談者は、報告内容に喜ぶ 府が動いてくれ、相手方と話ができて感謝している・   安心   府が動いてくれているので少し安心している・ すべて納得したわけではないが、気持ちはすっきりした   主に相談者・事業者間に関わるカテゴリー   12  相談者と事業者との齟齬   事実に対する認識の相違  配慮の申出について、事業者はなかったと言うが、本人は申し出たと言い、認識にずれあり・ 本人から聞いた当日の状況と、事業者からの聞き取り内容に齟齬がある・ 事業者は了解を得て介助をしたと言うが、相談者は了承していないと主張・ 指導すべきところはするが、本人と事業者の言い分が違うことがある   ニーズの受け取りのズレ   メールは受信のみであることを本人が了解したもの、という思い込み・ 病院側は配慮したつもりなのに苦情につながったことに困惑・ 本人のニーズをくみ取れていなかったために起こったずれ・ 本社は、店側の「出入り禁止」発言は、相談者側から言いだしたと聞いている・ 職員と本人のやりとりが不十分   その他、関係者に関するカテゴリー   13  関係機関が非協力的  関係機関が事業者に非協力的   関係機関が、本人の支援方法や支援区分の変更について事業者に教えない・ 事業者へ連絡はしたが言い分が違うので関知しない   関係機関と事業者との齟齬   関係機関が事業者まかせで、事業者がどうすべきかわからない・ 事業者が関係機関への連絡を控えたことで、本人の申出が起きた   関係機関の接遇  説明は終わっているので、最後まで話を聞く必要がない・ 対応について丁寧さは足りなかったので申し訳ない   主に広域支援相談員に関するカテゴリー  14  本人への対応   本人への意向確認   本人の希望を1つずつ確認 本人の意向確認をするよう事業者に促す ・府から、本人が事業者へ望む対応方法を確認 ・ 心の準備と時間に余裕をもつため、いつ電話がもらえるか予め教えてほしい   第三者としての介入   病院との話し合いに行政の同席を求める連絡がある・ 障害者差別解消法ができたので行政からも言ってほしい・ 店との間に入ってもらえるとストレスも減る・ 行政も交えた話し合いを希望  15  事実の確認と対応策   詳しい経過や事実確認  本人と主催者とのやりとりで、いつ配慮の申出が主催者に伝わったのか要確認・ 付添いを求めた理由については要確認・ 事業者としては他に対策はあるのか要確認 ・ 通報は誰の判断で、何かきっかけはあるか・ 施設の申出か本人の受け止め方か、本人の言質に関する正確な確認・ 車いすをタクシーに乗せるのを協力したときの詳細を聞きたい   対応方針の検討   運営適正化委員会に関わりをもってもらい事態を好転させることで調整 ・ 病院と再度話し合うことを目標に調整・ 文書でのやりとりも可能だが、一般的なやりとりに終わり、本人が納得しないだろう・ 関係機関から本人へ直接連絡するかどうかは、本人のニーズ含めて要検討   16  事業者への働きかけ   具体的な知識や配慮の助言   手話通訳の配置にあたっての具体的な留意点を教示・ 事業者は、低い調理台の提案ができていなかった ・ 府から事業者内の研修で活用できるよう資料を渡す   指導的な対応改善の求め   配慮しないことは障害者差別解消法上の差別にあたる旨を説明・ 事業者に、本人の求める配慮について検討と報告を求める・ 企業としてのマニュアルの徹底、障害理解の研修等の取組みを求める・ 改善策を聞きたい旨、病院に連絡する・ 職員間の意思疎通や、連絡体制の改善を求める・ 貼り紙は障害者差別に該当するため撤去してもらった   上層部への働きかけ   職員がまずい対応をしたため、対応者代えて上司が対応・ 地区担当より相談員に電話があり、本社から現地で引き続き対応するよう指示を受けた・ 通報は不適切ではないかという見解を人事部に伝える   主に市町村に関するカテゴリー  17  市町村の対応   相談者・事業者へのアプローチ   市から事業者としての検討内容を聞きたいと申出を行うよう調整・ 市は、相談者と面談を行うアポイントをとる・ 市は事業者や関係機関に啓発活動を行う   市町村と府の連携  事業者と市の面談に府が同席・ 市から府へ協力依頼があり、現場への調査実施・ 市と府で、事業者への聞き取り前の打合せを行う  それぞれのカテゴリーと、各カテゴリー間の関係について、詳しく見ていきます。  主に「事業者」に関するカテゴリー  1 知識や経験の不足  事業者が「合理的配慮の知識や経験がない」「具体的な方法がわからない」といった理由により、紛争に至る場合です。こういったケースは、事業者側が障害者に対し不適切な対応をしていることを自覚していない、ということもあります。  2 障害者に対する「偏見」  事業者に、単に「合理的配慮を知らない」等といった知識・経験の不足だけではなく、いわゆる偏見や、障害者に対して負のレッテルを貼るような態度や言動が見られることがあります。  3 不適切な初期対応  事業者の不適切な初期対応として、大きく分けて、事業者が「高圧的」、「一律的」、「説明不足」の3つが挙げられます。これらの対応は、ケースによっては重複していることもあります。例えば、十分な説明をしているが高圧的である、あるいは、いくら丁寧な対応でも一律的であるなど、1つでも上記の対応を取ることにより、紛争に至る可能性があるということを示しています。  4 相談体制が未整備  障害者の申し出た配慮について、「職員間の周知不足」により必要な配慮に関する情報共有がなされていないことや、「相談すべき窓口や対応の問題」として、障害者が申し出るべき窓口がわかりづらい、もしくは明確になっていないことや、組織内で担当窓口への情報提供や報告の手続きが不徹底であることなどにより、本来対応すべき担当部署にまで相談内容が行き届かず、結果として紛争に至ってしまうといった場合があります。  5 事業者が構える  「事業者が持つ相談者への印象」に影響され、相談者に対し「事業者の警戒」が生じることにより、話し合いに応じない、もしくは相談者に対して十分に説明ができなくなる、といった場合があります。また、「事業者の困りごと」として、例えば、“安全面を考えるとどのような方法がよいかわからなかった”等の背景もあり、相談者の申出に応えられない事情について、相談者の理解を得られない場合にも、事業者が相談者への対応について構えてしまうことがあります。  6 相談員関与時の反省と感謝  事業者は、広域支援相談員が関わり、本来取るべき対応を知ったり、自らが不適切だった点に気づいたりすることにより、事業者が不適切な対応を認めて「反省・謝罪」をしたり、あるいは新たな知識や経験を得られたことや相談者のニーズに応じられたことに対する「感謝」を表す事例もあります。個別事例を通して、紛争解決を図るとともに、今後も同様な相談があった際に適切に対応ができるようになるなど、啓発的な役割を相談員が担っているとも考えられます。  7 「頑な」な対応  事業者が「謝罪と感謝」を表すケースがある一方で、依然として事業者が「頑な」で自らの非を認めようとしないケースもあります。例えば、事業者が「差別をした」という自覚をしようとしない、相談者との話し合いには応じず謝罪もしない、といったケースです。  主に「相談者(障害者)」に関するカテゴリー  8 相談者の不快  相談者が広域支援相談員に相談をするときには、何らかの「不快」を感じています。その「不快」は一概に同じ感情ではなく、事業者に対して「怒り」や「ショック」を感じるのみならず、あきらめやプレッシャーによる「遠慮」が見られることもあります。  9 周囲にとっての困りごと  事例によっては、相談者自身が「周囲にとっての困りごと」となるような行動をしていたことにより、紛争に至っている場合があります。  10 揺れ動くニーズ  相談者は、事業者に対して改善や解決を求めるが、どの程度強く言うのか、誰からどのように言いたいのか等、一貫したニーズを持っているとは限らず、事業者の態度や時間の経過等に影響されながら、ニーズが揺れ動くことがあります。  11 相談員関与時の感謝と安心  相談者は、広域支援相談員が関与した途中経過や、事案終結時において、感謝していることや安心したことを広域支援相談員に伝えています。自身の申出が叶うというだけではなく、自分一人で事業者とやりとりする負担が軽減されることや、自分のことを理解して味方になる人が存在しているということが、このような感情に表れているものと考えられます。そのため、感謝や安心は、事案が解決したか否かによって表れるとは限りません。  主に「相談者−事業者」間に関するカテゴリー  12 相談者と事業者の齟齬  広域支援相談員が、相談事案に対する調査を進めていく中で、相談者と事業者の間で言い分が異なり、「事実に対する認識の相違」や「ニーズの受け取りのズレ」が見られる場合があります。  その他、関係者に関わるカテゴリー  13「関係機関が事業者に非協力的」「関係機関と事業者との齟齬」「関係機関の接遇」  相談者と事業者間のみならず、二者間の周辺にある関係者の状況も、相談事案の紛争解決に影響することがあります。関係者に関する主なカテゴリーとして、関係機関が事業者に非協力的である、関係機関と事業者との間に齟齬がある、関係機関の接遇が不適切であるといった状況も、紛争に至らしめる一因となる可能性があります。  主に広域支援相談員に関するカテゴリー  14 相談者への対応  相談者のニーズは揺れ動いているため、事案の経過に沿って、タイミングを見計らいながら、進捗状況なども伝えながら「相談者への意向確認」を行っています。「相談者への意向確認」は、どのケースにおいてもなされる基本的対応です。  また、「第三者としての介入」の役割を果たしています。相談者は事業者に対して「不快」を抱き、自ら直接話し合えない状態にあり、また事業者にとっても、相談者に対して抵抗感を感じています。あるいは、事業者が、何の介入もなく、相談者に対して適切な対応をすることが見込めないことが考えられます。そういった場合に、広域支援相談員が、二者間の対話をつなぐクッション役となる第三者として介入する意義は大きいものと思われます。  15 事実の確認と対応策  広域支援相談員は、相談者の相談を受理した後、「詳しい経過や事実確認」を本人や事業者、関係者等への聞き取りや、現地訪問、ホームページによる関連情報の収集などによって進めていきます。  そして、得られた情報に応じて、他に得るべき情報はないか、取るべき対応策は何かなど、今後予想される流れもシミュレーションしながら、適切な対応策について、相談員間や事務局とで話し合いを行い、組織として「対応方針の検討」をしています。確認できた経過や事実に応じて対応の方針を組織的に決めていくというスキームは、どのケースにおいても行う基本的対応です。  16 事業者への働きかけ  決定した対応方針に沿って、事業者に対して具体的にどのように働きかけていくかが決められます。今回の調査においては、大きく分けて「具体的な知識や配慮の助言」、「指導的な対応改善の求め」、「上層部への働きかけ」がカテゴリーとして抽出されました。  どのような場合に、どのような働きかけがなされていたかについては、「(5)考察」にて後述します。  主に市町村に関するカテゴリー  17 市町村の対応  「相談者・事業者へのアプローチ」として、市町村が相談者に直接面談をしたり、事業者への訪問や話し合いを行い、解決を図っています。その上で、広域支援相談員の協力が必要な場合、広域支援相談員は助言を行うだけではなく、相談者や事業者との話し合いの同席や、事業者への現場訪問の同行を行うなど、「市町村と府の連携」を図り、解決策の検討を行います。   (5)考察  相談事案が紛争に至る要因と、相談者−事業者間の関わりの経過として、以下のようなカテゴリー間の関係が考えられます。(図1)  ア 紛争に至る要因  まず事業者においては「知識や経験の不足」、「障害者に対する『偏見』」、「不適切な初期対応」、「相談体制が未整備」といったことが要因として挙げられます。上記のような要因により、「相談者の不快」が生じ、広域支援相談員への相談事案として挙がってきます。  一方、相談者において「相談者の不快」や、相談者から事業者への伝え方によっては「事業者が構える」ことがあり、コミュニケーションがスムーズにいかなくなる、という可能性があります。相談者が「遠慮」している場合には、相談者自ら事業者に対して働きかけることができず、自身の思いや状況を伝える代弁者が必要となります。  いずれにせよ、双方での「建設的対話が困難である」状況となった場合、広域支援相談員が(本人への対応)として「第三者としての介入」を行い、双方の調整を行なっていくこととなります。このように広域支援相談員が第三者としてのクッション役を引き受けることは、相談者にとって安心感やストレスの軽減につながるものと思われます。  イ 相談者と事業者との齟齬  相談者と事業者との関わりにおいては、建設的対話が困難となるのみならず、「相談者と事業者との齟齬」に見られるように、相談者と事業者の間で言い分が異なることがあります。広域支援相談員はできるだけ事案に関する情報収集を行いますが、それでも事実確認が十分にできないことがあります。相談対応においては、双方で齟齬が生じうることも想定し、対応することが求められます。  ウ 広域支援相談員の対応  事例それぞれにおける紛争に至った要因や経過によって、広域支援相談員の対応は異なります。どの事例に対してどのように「事業者への働きかけ」をしていくかは、「相談者への対応」における「相談者への意向確認」と、「事実の確認と対応策」に沿って、組織的に方針が決定されていきます。  紛争に至る要因と相談員の事業者に対する働きかけには、以下のような関係性があるものと思われます。  まず事業者における(知識や経験の不足)が大きな要因であった場合は、広域支援相談員が「具体的な知識や配慮の助言」、すなわち障害者差別解消法の説明や、障害者に関する知識、具体的な配慮方法等を教示します。  様々な事例の中では、事業者が障害者に対し不適切な対応をしているという自覚がないことがあり、配慮を行おうとする姿勢はあったものの、知識や経験、具体的な方法がわからなかったために、結果的に差別に至ってしまったことが想定されます。こういったケースにおいては、広域支援相談員が関与した後に、不適切な対応であったことを認識し、事業者からの「反省・謝罪」がある、もしくは、広域支援相談員の助言により知識や経験を得られたことに対して「感謝」を述べられることもあります。  「不適切な初期対応」があった、また「相談体制が未整備」であった場合においても、事業者が相談者に対して何が不適切であったのか、また相談者が何を望んでいるのかを汲み取れていないなど、自覚をしていない場合があるため、広域支援相談員が互いの状況やニーズを的確に伝えることが求められます。  いずれの場合も、相談者と事業者は自発的に対話をすることが困難な状況にあることから、広域支援相談員には、第三者として双方の橋渡しをする役割が求められます。そのため広域支援相談員は、「詳しい経過や事実確認」において、情報の整理をし、適切に調整を図るべく、抜け落ちている事項の確認は何か、どの情報を誰からどのように伝えるべきなのか等を都度検討しています。  一方、事業者に「障害者に対する『偏見』」があることが要因として考えられる場合には、「指導的な対応改善の求め」に踏み込んで関与することが考えられます。しかしながら、広域支援相談員から障害理解を促したり、対応の改善が必要であることを伝えても、「『頑な』な対応」であった場合は、「反省・謝罪」、「感謝」などは見られないことがあります。そのため、事業者が障害者の受入れに消極的な姿勢なのではないか、配慮をする必要がないという認識に立っているのではないか、という印象があり、相談者からも十分な納得を得られたとは言い難いのではないでしょうか。  事業者の反省や改善が見込めないものの、広域支援相談員が指導権限を持つ立場でないこともあり、それ以上関与することに限界があるという現状があります。ただし、大規模な事業者など、本社等の管理部門が府外にある場合には、広域支援相談員が本社に対してトップダウンで改善を求めるなど、事業者内組織全体の啓発も兼ねて働きかける、といった対応を行なっています。  事業者における要因があったとはっきりとは言えずとも「相談者と事業者との齟齬」があった、という場合には、事実の正誤に着目するのではなく、本人と事業者の意向を汲み取った上で、広域支援相談員間で「対応方針の検討」をし、より最良の方法を取ることができるように調整を図っていくこととなります。  また、市町村が関わる相談事案に対しては、「市町村の対応」における対応経過等を確認するなど情報共有を行い、互いの役割分担や連携の仕方を話し合いながら、当該事案に係る「対応方針の検討」を行なっています。  (図1 カテゴリー間の関係から見る紛争に至った要因と経過を図に示しています)   (6)まとめ  本項では、紛争に至る要因と、その事案に対する紛争解決の経過について質的調査を用いて分析を行ないました。「H28検証報告」においても、事業者における初期対応の不適切さや、障害に関する知識不足等が差別につながることを示唆しましたが、今回の分析により、差別の要因となり得る具体的事象が抽出され、さらに分析・整理することができました。  しかしながら、事例の蓄積は十分とは言えず、その他にも様々な要因や、紛争解決の対応が考えられるものと思われます。また、本調査における結果は仮説生成の段階であり、相談事例は本調査で示したような経過をたどる、と必ずしも言えるものではありません。  とはいえ、実際に調整を行なった事例について、要因を分析し、紛争解決の方法を示したことは、事業者に向けた差別の未然防止・再発防止の一助となるとともに、身近な相談窓口である市町村における相談対応の道標になるものと思われます。事例の蓄積をする中では、単に「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」の事例を紹介するにとどまらず、なぜこのような状況に至ったのか、その状況に対してどのように相談対応をしていくかも含めて、事業者や市町村に向け、周知や啓発を図っていくことが重要であると考えられます。  また、本項においては事例の経過と広域支援相談員の対応方法に焦点を当てて分析を行いましたが、今後の調査に向けて、市町村と広域支援相談員との連携の在り方に着目した分析、あるいは合議体による助言と広域支援相談員の対応との関係を記述した調査など、広域自治体としての役割と念頭においた分析を行うことが必要であると考えています。    4 府内市町村に対する支援の取組み    (1)府内市町村との連携  条例では、府が体制整備や啓発活動を実施する上で必要な市町村との連携について、規定しています。  府民にとって身近な地域で市町村が体制整備や啓発活動を行うことが、府全体における障害を理由とする差別の解消の推進につながることから、体制整備や啓発活動を行うことが求められている市町村の役割は極めて重要です。その点に鑑み、広域自治体として、府が体制整備や啓発活動の実施に当たっては、市町村と連携して、これらを行うよう努めることとしています。  市町村が、体制整備や啓発活動を行うに当たっては、広域自治体として、府が市町村に対し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うこととしています。   (2)府内市町村の取組みに向けた支援  広域支援相談員は、府内市町村への後方支援を担う役割があり、具体的には以下のような取組みを行っています。  ア 市町村ワーキングの実施  障害者差別の解消に向けて、障害者権利擁護の対応主体である市町村とともに、差別解消の取組の充実・強化を図るため、「大阪府障害者差別解消ワーキング」を設置し、年3回程度実施しています。  このワーキングでは、相談対応の実務的な手引きとなる「相談の流れ」の作成や、障害者差別の解消に関する対応状況や体制整備に関する協議をするとともに、広域支援相談員制度に関する意見交換や周知などを行っています。  イ 市町村勉強会の開催  障害者差別の解消に関する基礎知識の習得、実務の理解、取組みに関する情報共有を図るため、府内市町村職員を対象に勉強会を実施しています。  ウ 出張情報交換会の実施  平成28年度〜29年度にかけ、広域支援相談員が府内43市町村すべてに直接出向き、面談形式で市町村職員との情報交換を行ないました。相談窓口の体制や支援地域協議会、府広域支援相談員への相談などに関する情報交換を行う中で、次のような意見や課題が多く寄せられました。  相談事例がないため、どのような相談が挙がってくるのかの見通しが立たず、事案に対して適切な対応ができるのか不安がある。  合理的配慮の不提供に関して相談があった際は、努力義務であるという法の規定上、どの程度まで市町村が対応していくべきか。  広域支援相談員の存在は知っていたが、関わることはあまりないものと考えていた。  広域にかかる事例、困難事例等が挙がってきた場合には問い合わせたい。市町村に相談が入った際、類似事例の対応について助言をもらいたい。   (3)市町村支援における課題  条例では、市町村との適切な役割分担のもとで体制を整備し、体制整備及び啓発活動に当たっては、市町村と連携してこれらを実施するものとしていることから、まずは住民に身近な相談窓口である市町村において、相談事案の解決が図られることが望まれます。そのため、市町村の相談窓口の周知が、条例の運用における課題の1つとも言えます。  広域支援相談員が受けた相談件数は前年度に比べて大きく増加しています。障害者差別解消法の施行から2年が経過し、これまでの市町村等と連携した障害理解に関する啓発の取り組みなどにより、法や相談窓口の周知が進んでいったものと考えています。  一方で、「平成29年度 大阪府広域支援相談員 相談の対応状況について」の「2.相談者の内訳」に示したとおり、広域支援相談員が受け付けた相談者の割合として、市町村からの件数も微増しているものの、現段階では全体の相談件数の3割にとどまっています。市町村で相談を受理し、当該市町村が広域支援相談員への相談や協力依頼を行うという動きが徐々に出てきているものの、市町村に入ってくる相談はまだ少ないのが現状です。市町村において事例の蓄積が十分でない中では、どういったことが障害者差別に当たるのかという認識を浸透させていくことが重要です。  そのため、大阪府障害者差別解消ガイドラインをはじめ、市町村勉強会や出張情報交換会を通じて、さらに多くの事例を大阪府から発信していくことが求められます。このことによって、市町村が障害者からの相談に対して「差別かもしれない」という事例のキャッチ力の向上が図られるものと思われます。  府から市町村への支援が進むことにより、今後、市町村で受理する相談事案が増加することが想定されます。それに伴い、広域支援相談員の活動は、これまでに比べて市町村への後方支援にシフトしていくものと思われます。広域支援相談員と市町村の連携に関する課題は、今後事案が多くなるにつれて、広域支援相談員の在り方や、対応スキームの検証が求められるのではないかと考えられます。  また、市町村が相談事案に適切に対応するために、障害者差別解消支援地域協議会(以下、「地域協議会」といいます。)の設置が求められます。法では、地域における障害者差別について情報を共有し、差別を解消するための取組みを効果的に行うネットワークとして、地域協議会を設置することができるとしています。  現在、府内においては18自治体が既に設置済みとなっていますが、障害者差別の解消を効果的に推進するために、障害者にとって身近な地域において主体的に取組みがなされることが重要です、今後も広域自治体として、より多くの自治体において地域協議会が設置されるよう推進していきます。    5 障害理解に関する啓発の取組み   大阪府では、障害を理由とする差別の解消は、全ての府民が共に社会の一員として解決すべき社会全体の課題であるとの認識のもと、関係機関等との連携により様々な啓発活動等に取り組んでいます。   (1)大阪ふれあいキャンペーン  障害者団体及び関係団体、行政が連携した障害理解を深めるための取組みとして、昭和58年の「国連・障害者の10年」を契機に始まり、現在85団体(障害者団体・地域福祉団体等41団体、府・全市町村44団体)で構成された実行委員会により活動を行っています。  主な取組みは次のとおりです。  障害に関する基本的な事項を学ぶ「ふれあいおりがみ」を府内全小学3年生に配布するとともに、行政機関や障害者団体等で活用  障害のある人に対する配慮や工夫などを学ぶ「ふれあいすごろく」を府内の全小学校に配布  ふれあいキャンペーン実行委員会のネットワークを活用し、ポスターの掲示や啓発物の配布等により「ヘルプマーク」を周知   (2)共に生きる障害者展  障害者の自立と社会参加の促進をテーマとするとともに、障害や障害者への正しい理解を目的とした「大阪の障害者の祭典」です。  大阪府、大阪府教育委員会、社会福祉法人大阪障害者自立支援協会が主催となり、行政と障害者団体等からなる実行委員会により運営実施しています。  第15回目となる平成29年度は、国際障害者交流センターにて11月18日(土)・19日(日)の2日間開催しました。主なプログラムは次のとおりです。  車いすバスケットボールの対戦  トップアスリートによるトークセッション  手話パフォーマンス  障害者作品展  IT機器展2017・ユニバーサルデザイン生活展  障害者芸術・文化コンテスト     (3)心の輪を広げる障害者理解促進事業(体験作文・障害者週間ポスター募集)  「障害者週間」(12月3日〜9日)を広く周知するとともに、府民の障害に対する正しい理解を深めることを目的としています。  主な取組みは次のとおりです。  障害のある人とない人の心のふれあい体験をつづった作文を、小学生、中学生、高校生・一般の各部門で募集  「障害の有無にかかわらず、誰もが能力を発揮して安全に安心して生活できる社会の実現」をテーマとしたポスターを、小学生、中学生の両部門で募集  作文及びポスターの最優秀賞・優秀賞受賞者に対して、障害者週間中の12月4日に知事による表彰を実施  作文とポスターの最優秀賞・優秀賞を掲載した作品集を作成し、府内の学校に配布   (4)大阪府障害者等用駐車区画利用証制度  公共施設や商業施設などにおける車いす使用者用の駐車区画等の適正利用を促進するために、   利用証を大阪府が交付する制度で、平成26年2月1日より運用を開始しました。  大阪府では、車いすを使用する方を利用対象とする「車いす使用者用駐車区画」と、車いす使用者以外の移動に配慮が必要な方を利用対象とする「ゆずりあい駐車区画」の両方を整備する「ダブルスペース」の整備を推進しており、本制度の協力施設を募集しています。     (5)ヘルプマークの周知・普及  援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成されたマークです。大阪府では一般財団法人大阪府地域福祉推進財団との協働事業として実施し、平成29年6月から府及び府内市区町村で配布を開始しました。  主な取組みは次のとおりです。  行政機関や障害者団体等に加えて、公共交通機関や小売店等の民間事業者から協力を得て、ポスターの掲示やチラシ・リーフレットの配架、啓発物の配布、広報誌への掲載等、広く府民に向けた普及・啓発を実施   (6)大阪府が作成した啓発冊子  大阪府障害者差別解消ガイドライン(解説編)(事例編)  「理解し合うこと」「対話すること」「考えること」  このガイドラインは、障害者差別解消法に基づいて、何が差別に当たるのか、合理的配慮としてどのような措置が望ましいのかなどについて基本的な考え方や、具体的な事例等をわかりやすく記載することで、府民の関心と理解を深めるために作成。  障害理解ハンドブック「ほんま、おおきに!!」  障害の有無に関わらず、誰もがお互いに人格と個性を尊重し、共に支え合う「共生社会」を実現するためには、障害や障害のある人を正しく理解し、必要な配慮を考えていくことが重要。  このため、障害理解ハンドブックは、障害や障害のある人について知り、必要な配慮を考えるきっかけとなることを目的として作成。  合理的配慮 接客のヒント集「i-Welcome」  障害者差別解消法の施行を踏まえ、合理的配慮の提供が求められるコンビニやスーパー、レストラン等のサービス業の事業者に向けて、サービス提供時における「合理的配慮」とは何か、考えるきっかけとなる事例を掲載したマニュアルを作成。   (7)障害理解を深めるための企業等向け出前講座事業  障害者差別解消法では、行政機関等だけでなく事業者に対しても、差別の解消に向けた具体的取組を求めています。大阪府では、27年度、28年度は企業等における障害理解を深めるため、障害者等を講師として派遣し、講義・体験型の講座を実施してきました。  平成29年度は、府の広域的役割をより明確に発揮するため、企業等が自らの従業員を対象とした研修等による自主的な取組みを支援することを目的に、従業員教育用の教材テキストや研修プログラムの作成に取組み、今後、府内企業等への府作成の研修プログラムの周知・普及活動等を行うこととしています。   (8)今後の課題  上記(1)〜(7)のとおり、障害(者)への理解を深めるための啓発活動を実施してきました。  しかしながら、2017年9月に内閣府が公表した「障害者に関する世論調査」によれば、障害者差別解消法の周知度が2割に止まり、未だ3割強が合理的配慮の不提供が差別に当たる場合があるとは思わないといった結果でした。  特に、合理的配慮の概念は社会に定着しているとは言えず、「建設的対話」を通じた「合理的配慮」の取組みを広く社会で共有し、浸透させることが重要です。  差別をなくすことは社会全体の課題であり、障害理解を深めるための啓発活動が、差別をなくすための最も大切な取組みです。  啓発活動の実施は、地方公共団体の責務の一つです。大阪府は、広域的な観点から、府民や事業者が障害理解を深められるよう、工夫した取組みを行なっていきます。    6 まとめ    本報告書では、合議体での議論をとりまとめ、相談対応・内容の分類、合議体における「あっせん」の考え方、府の役割等について整理しました。また、質的調査により、紛争に至る要因や相談の際に求められる対応について示しました。  市町村では「事例が挙がってこないため、事案に対して適切な対応ができるのか不安がある。」という声が少なくない中、地域での相談窓口がより一層機能を発揮していくことが望まれ、府の取組みや相談対応の方法などの情報提供が重要と考えています。  今後、実例に基づく相談手法等が市町村に浸透することにより、広域支援相談員が市町村から助言や支援を求められる相談事例が増加し、事例の質も、複数の市町村に渡る事例、調整が困難な事例など、ますます複雑化することが想定されます。  また、広域支援相談員が直接受ける事案も、多種多様な事業者における事案や、様々な対象分野に係る事案、多くの関係機関が関わる事案などさらに幅広い知識や情報収集力が求められます。関係者が多い場合には、調整が円滑にいかない、あるいは長期化するといったことも考えられます。これらの相談内容は多岐にわたることから、雇用関係や行政機関等における事案など、他の機関等で対応すべきものはすみやかに適切な相談窓口につなぐことも重要です。  このように、広域支援相談員は、当事者の思いに寄り添って相談対応をするという姿勢のみならず、事案に関わる調査力や、関係機関との調整力といった、高い専門性が必要となります。  これらのことから、広域支援相談員は、当事者からの直接相談にも適切に対応しながら、市町村の対応力の向上を図るための取組みを推し進めるとともに、今後増加するであろう複雑・多様な相談事案に対しより適切に対応できるのか、また、さらに高い知識や調整力が求められる事案に対応できる人材を確保・育成するなど、組織として専門性をいかに担保していくかが、今後の課題であると考えています。  今年度の検証では、「H28検証報告」同様に、相談事案の円滑な解決に向けた初期対応の重要性も改めて確認できました。相談者には十分に自らの考えを整理して説明することができない場合が少なくないと考えられるため、相談対応を通じて、相談者の申し出を確認しながら適切に内容を整理することは、その後の権限のある関係機関先での円滑な対応につながり、結果的に解決に向けた近道となるものと考えています。  これらを踏まえ、大阪府の役割として、特に、以下の点に留意してまいります。  広域支援相談員の相談対応において、合議体の助言・検証をふまえ、質の高い対応力と専門性を確保し、調整力の強化・充実を図る。  法の趣旨や相談内容の判断の考え方について市町村への周知を行うとともに、質的調査による分析をふまえて広域支援相談員の相談対応方法を伝達することにより、市町村の相談対応力の向上を図る。  障害に関する知識や経験の不足、意識の偏りが要因となって障害者差別が起こることが見受けられたことから、特に法によって具体的な取組みを求められている事業者に対して周知・啓発活動を充実する。  相談対応にあたっては、事業者に対し、今回の質的調査で示唆された要因などを改善点として示すことにより、差別の未然防止や再発防止の自主的な取組みにつなげていく。  広域支援相談員が受け付ける相談事例の中で、類似の事業者が多い、もしくは他分野でも同様の相談が多い場合などにおいては、国機関とも情報共有や連携を図る。  また、障害者差別解消法に規定する「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」だけではなく、障害者差別につながりかねない不適切な行為や、障害者等が不快・不満に感じるような行為に係る相談事例等についても引き続き分析していきます。  このような取組みの成果を「大阪府障害者差別解消ガイドライン」にも反映させ、府民への障害理解に関する啓発活動の充実を図っていきます。  障害者差別の解消に向けては、事業者はもとより、すべての人たちが障害に対する理解を深めることが重要です。府民に対する障害理解に関する啓発に今後も継続して取組むとともに、事業者における「心のバリアフリー(※)」の実践を支援するなど、必要な取組みを進めていきます。  「心のバリアフリー」とは  様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです。そのためには、一人ひとりが具体的な行動を起こし継続することが必要です。各人がこの心のバリアフリーを体現するためのポイントは、以下の3つです。  障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。  障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないように徹底すること。  自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。  (平成29年2月20日 内閣府 ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議「ユニバーサルデザイン2020行動計画」より      参考資料    参考資料1   合議体での事例検討様式(平成30年2月時点使用)  相談事例主題                                   受付 受付日時、受付方法 来所・電話・書面(手紙・文書・FAX・メール)・その他  相談分野の区分 商品サービス・福祉サービス・医療サービス・公共交通機関・住宅・教育・雇用・行政機関・その他  相談者の属性 市町村・当事者本人・家族・支援者・事業者・他機関・その他・不明  当事者(障害者)の状況  年齢   性別 男・女・不明  障害種別 身体(視覚・聴覚等・盲ろう・肢体不自由・その他)・知的・精神・発達・難病・その他・不明・不特定  障害の確認 手帳の所持・診断書・本人の申し出・その他  相談申出者(当事者)の主訴  主訴の背景・経過、その時の心情等  相談への対応   対象 当事者・家族・支援者・事業者・関係機関   結果およびその後のフォロー 終結・継続(受付日より3ヶ月間連絡を取っていない場合は、終結とする)   相談員の確認事項等  相談員の所見  事案の検討・分析(基本方針と大阪府障害者差別解消ガイドラインにそって分析する。)  1.不当な差別的取扱いかどうか  (1)商品やサービス等の提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりしているか。  「商品やサービス等の提供を拒否する」(商品やサービス、各種機会の提供を拒否すること)に該当するか。  「商品やサービス等の提供を制限する」(提供にあたって場所・時間帯などを制限すること)に該当するか。  「商品やサービス等の提供に条件を付ける」(障害のない人に対しては付けない条件を付けること)に該当するか。  (2)「障害を理由として」いるか  「障害を理由として」に該当するか   直接障害を理由とするだけではなく、関連する事由(車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の付添い等の社会的不利を補い手段の利用等)を理由とする場合を含む  (3)「正当な理由」があるか  「正当な理由」がある場合、基本指針記載の正当な理由の判断の視点に相当するか。  「正当な理由」があると判断した場合、相手方は障害者にその「正当な理由」を具体的に説明すること、理解を得るように努めたか。     2.合理的配慮の不提供かどうか  (1)当事者(本人・家族・支援者等)はどのような配慮を求めたか  求められた配慮の概要  「意思の表明」の手段と「意思の表明」をおこなった者  「意思の表明」がなかった場合は、「合理的配慮の不提供」にはあたらないが、配慮を必要としていることが明らかだった場合、障害者と話し合い、適切な配慮を提案するなど自主的な配慮に努めたか。  「環境の整備」の状況  当時の環境の整備の状況(ハード面でのバリアフリー化、情報の取得、利用・発信におけるアクセシビリティ、職員研修等)  (2)求められた配慮に対してどのような対応がなされたか  求められた配慮に対しておこなわれなかった対応の類型とその詳細。(おこなった対応がある場合、その内容詳細を記載)  対応の類型   物理的環境への配慮、意思疎通の配慮、ルール・慣行の柔軟な変更、その他  内容詳細  障害者の性別、年齢、状態等に配慮したか。  代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解があったか。  対応は、必要かつ合理的な範囲で柔軟におこなわれたか。  求められた配慮が基本方針記載の留意内容に抵触した場合、その概要と判断  (3)「過重な負担」が生じていたか  「過重な負担」が生じるため合理的配慮の不提供に当たらないとした理由  事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)  実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況  相談分類について  不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供、その他(不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供ではない場合の分類 不適切な行為、不快・不満、その他相談・意見・要望等、問合せ、虐待、その他)  その項目とする根拠   体制整備について  相談及び紛争の防止又は解決のための体制が機能しているか  (1)市町村における対応   当事者(本人や家族等)との直接面接  関係者との連絡調整・情報収集  現場での調査(現地訪問、事業者への聞き取り等)  会議の実施  他機関への引き継ぎ、情報共有  情報提供・資料送付  (2)広域支援相談員における対応(市町村からの広域支援要請:有・無 )  調整(自主解決型・助言型・指導型・その他)  調査(現地訪問、事業者への聞き取り等)  助言  情報提供  傾聴  情報共有・伝達  事後確認等  その他  (3)合議体への助言求め  継続中   終了後   参考資料2      広域支援相談員と大阪府障害者差別解消協議会  広域支援相談員  根拠  障害者差別の解消に関する知識経験を有する者の中から、知事が任命(大阪府障害者差別解消条例第7条)  身分等  地方公務員法に基づく一般職の地方公務員(非常勤職員)     職務  市町村の相談機関における相談事案の解決を支援するため、必要な助言、調査、相談事案に関する関係者間の調整を実施  障害者等や事業者からの相談に応じ、相談機関と連携して、必要な助言、調査、相談事案に関する関係者間の調整を実施  相談機関相互の連携の促進、相談事案に係る情報の収集及び分析  責務  中立かつ公正に職務を遂行  大阪府障害者差別解消協議会(解消協)  構成  委員20人以内 (専門事項を調査審議させるために、専門委員を若干置くことができる)  委員は、障害者、障害者の自立と社会参加に関する事業に従事する者、学識経験者、事業者等から知事が任命  障害者団体代表 7人、事業者 7人、学識経験者3人、権利擁護関係者3人  オブザーバーとして、国の機関(法務局、労働局・運輸局)及び市町村代表が参画  会長 関川 芳孝 大阪府立大学教育福祉学類 教授  担任事務  法規定事務(解消協は、障害者差別解消法第17条の「障害者差別解消支援地域協議会」の機能を担う。)  情報交換、相談及び事例を踏まえた取組に関する協議  構成機関等に対し、情報の提供、意見表明その他必要な協力の求め   条例規定事務  知事が諮問する差別解消の推進に関する事項への意見申述べ   知事に対し、正当な理由なくあっせん案に従わない者等への勧告の求め  知事が正当な理由なく勧告に従わない者を公表しようとするときの意見申述べ  合議体を設置し、紛争事案や相談事案に対応    合議体の運営  担任事務  広域支援相談員による解決が難しい場合、紛争の解決をするためのあっせんを実施(あっせん実施型の合議体)  相談状況の総合的な分析・検証をおこない広域支援相談員への助言を実施(助言・検証実施型の合議体)    構成等  会長が、委員及び専門委員の中から分野や障害種別を踏まえた事案に応じて5人を指名   参考資料3    大阪府障害者差別解消協議会委員名簿(平成30年2月現在)   以下、氏名、所属及び職名の順に、委員を記載します。  嵐谷 安雄 一般財団法人大阪府身体障害者福祉協会会長  大竹 浩司 公益社団法人大阪聴力障害者協会会長  小田 昇 関西鉄道協会専務理事  小田 浩伸 大阪大谷大学教育学部特別支援教育専攻 特別支援教育実践研究センター長 教授  河ア たつひと 一般社団法人大阪精神科病院協会会長  倉町 公之 公益社団法人大阪府精神障害者家族会連合会会長  坂本 ヒロ子 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会理事長  柴原 浩嗣 一般財団法人大阪府人権協会業務執行理事兼事務局長  下村 喜幸 日本チェーンストア協会関西支部事務局長  関川 芳孝 大阪府立大学教育福祉学類 教授  高橋 あい子 一般財団法人大阪府視覚障害者福祉協会会長  辻川 圭乃 弁護士  坪田 真起子 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会大阪後見支援センター所長  豊田 泰隆 株式会社KOTOYA代表取締役  中内 よししげ 障害者(児)を守る全大阪連絡協議会代表幹事  西尾 元秀 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議事務局長   久澤 貢 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会セルプ部会副部会長  前川 たかし 一般社団法人大阪府医師会理事  吉川 和夫 大阪私立学校人権教育研究会 障害者問題研究委員会代表委員  與那嶺 司 神戸女学院大学文学部総合文化学科准教授  (オブザーバー)  大阪法務局人権擁護部第二課長  大阪労働局職業安定部職業対策課長  近畿運輸局交通政策部消費者行政・情報課長  市長会代表市 担当課長  町村長会代表町村 担当課長  大阪府障害者差別解消協議会専門委員名簿(平成30年2月現在)   以下、氏名、所属及び職名の順に、専門委員を記載します。                            伊丹 昌一 梅花女子大学心理こども学部心理学科教授  位田 浩 弁護士  井上 計雄 弁護士  魚谷 和世 弁護士  大下 芳典 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会セルプ部会副部会長  大槻 和夫 弁護士  尾ア 泰子 関西女子短期大学養護保健学科准教授  小尾 隆一 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会理事兼事務局長  近藤 厚志 弁護士  阪本 栄 一般社団法人大阪府医師会理事  田垣 正晋 大阪府立大学地域保健学域教育福祉学類人間社会システム科学研究科教授兼地域保健学域教育福祉学類教授  田澤 英子 特定非営利活動法人大阪難病連理事長  田中 直人 島根大学大学院総合理工学研究科特任教授  たにぐち まゆ 大阪精神障害者連絡会事務局長代行  中井 悌治 一般社団法人大阪府身体障害者福祉協会副会長  長尾 喜一郎 一般社団法人大阪精神科病院協会理事  羽藤 隆 一般社団法人大阪脊髄損傷者協会 副代表理事  原田 和明 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会支援センターい〜な相談支援室長  東野 弓子 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会理事  福島 豪 関西大学法学部准教授  福田 啓子 一般社団法人大阪自閉スペクトラム症協会副会長  古田 朋也 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議議長  細井 大輔 弁護士  山本 勝子 公益社団法人大阪府精神障害者家族会連合会監事  山本 深雪 大阪精神障害者連絡会代表   参考資料 4   大阪府障害者差別解消協議会・合議体の開催状況   以下、会議名、 開催日、 議題等の順に記載します。  第3回大阪府障害者差別解消協議会   平成29年 6月19日  1 平成29年度大阪府障害者差別解消協議会の運営について  2 平成29年度合議体について  3 その他  「障害理解のための企業向け出前講座事業の報告」について  平成28年度大阪府広域支援相談員相談対応状況   第1回 合議体   平成29年 7月24日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 広域支援相談員の受け付けた相談事案について     第2回 合議体   平成29年8月30日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 広域支援相談員の受け付けた相談事例の検証  3 府条例における「あっせん」について  4 事業者における障害者差別解消の取組み   第3回 合議体  平成29年9月28日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 「あっせん」について  3 広域支援相談員の受け付けた相談事案について   第4回 合議体 (持ち回り審議)   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  第4回 大阪府障害者差別解消協議会   平成29年10月30日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 あっせんに関する要領(案)について  第5回 合議体  平成29年11月27日  1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 広域支援相談員の受け付けた相談事案について    第6回 合議体   平成29年12月11日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 平成29年度障害者差別解消の取組みと相談事例等の検証について  3 広域支援相談員の受け付けた相談事案について    第7回 合議体 (持ち回り審議)  1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 平成29年度障害者差別解消の取組みと相談事例等の検証について   第8回 合議体 平成30年2月6日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 平成29年度障害者差別解消の取組みと相談事例等の検証について  3 広域支援相談員の受け付けた相談事案について  第5回 大阪府障害者差別解消協議会   平成30年2月20日   1 大阪府障害者差別解消ガイドラインの改訂  2 平成29年度障害者差別解消の取組みと相談事例等の検証について  12月3日〜9日は「障害者週間」です。  「ヘルプマーク」  援助や配慮を必要としている方のためのマークです。  このマークを見かけたら、電車内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。  (お問い合わせ先)  大阪府福祉部 障害福祉室 障害福祉企画課 権利擁護グループ  〒540-8570 大阪市中央区大手前3丁目2−12別館1階  電話 06-6944-6271 ファックス 06-6942-7215          (相談窓口)  大阪府広域支援相談室  業務時間:平日10時から17時まで  (土日祝、年末年始(12月29日から1月3日)はお休みです。)  Eメール・FAXでのご相談に対しては、翌業務日以降に対応させていただきます。  電話 06-6944-0721   Eメール  syogaikikaku-02@gbox.pref.osaka.lg.jp  ファックス 06-6942-7215