最近の消費動向(11年9月〜11月期、個別ヒアリング)
当所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、レジャー施設を対象にヒアリング調査を行った。
百貨店
A社 9月は気温が高めに推移したことから、平年であればこの時期から動きがみられる秋物が不調であったため、売上げは前年同月比約5%減となった。
品目別に前年同月比をみると、衣料品は10%減と大きく落ち込んだ。主力の婦人服は全般的に不調であったが、とりわけ季節的な影響を受けやすいヤング向けの売れ行きが不調だった。紳士服ではスーツ、ジャケット類の動きが鈍く、17%減と大幅な減少になり、子供服もキャラクターものの不振などから10%減と大きく落ち込んだ。
身の回り品は、サンダルが80%増、アクセサリーが9%増など、婦人向け商品で一部、好調な商品がみられ、全体では0.5%減とマイナスになったものの、ほぼ前年並みの水準となった。
家庭用品は、家具、家電はいずれも15%減と引き続き不振であり、和食器、洋食器もギフト需要の低迷からブランドものが奮わず、二桁の減少となった。
食料品は、0.1%減とほぼ前年並みで推移した。これは、まつたけの不作などにより季節品の動きが鈍い一方で、健康関連商品のセールを展開したことから瓶・缶詰が14%増と好調で、酒類も14%増と売れ行きが良かったことなどによる。
雑貨では全体では微増となっているが、美術品や輸入ものの時計が二桁増となるなど、単価の高い商品の一部に好調なものがみられる。これらは全体の売上げからみるとわずかなシェアではあるが、奢侈品を購入する余裕が一部の消費者に戻りつつあることを示している。
化粧品はこれまで好調に推移してきたが、9月は0.4%の微増となり、売上げの伸びに鈍化傾向がみられる。
10月上旬の気温は高かったが、中旬以降、気温が下がっているため、シーズンものの動きが活発となってきた。美術品、時計などの一部の高額商品などで動きがみられるほか、ミレニアム(二千年紀)商品なども人気があるため、今後の先行きに若干の明るさもみえはじめてはいるが、これまでのところは一進一退の状況が続いており、景気の動向しだいでは再び厳しさが増すことも考えられることから、同社では今後の動向についても慎重な見方をしている。
レジャー施設
D社 当施設は水族館を中心に、観覧車やレストランや小売店などが集まる商業施設を併設しており、20歳代〜30歳代のカップルやファミリー層に人気がある。来場者の居住圏は、大阪府、大阪府以外の近畿府県、その他地域(外国も含む)がそれぞれ三分の一ずつである。
水族館は、昨年の4月に完成した新たな施設が人気を呼び、昨年前半は入場客数が前年比二桁増で推移した。昨年度後半からは入場客数の落ち込みがみられたが、結局、昨年度一年間で4%増となった。今年度に入って昨年度の反動から入場客数は前年比二桁減で推移したが、7月に再び新たな施設が完成したことから、夏休みには入場客数は前年比数%増と増加基調に転じた。しかし、シーズンが過ぎた9月あたりから落ち込みはじめており、今年度の来場客数は前年度比で5〜10%のマイナスになると予測している。
併設の商業施設も同じ傾向を示しており、現在のところ売上げは昨年度と比較して10%強の減少となっている。これは、客数の落ち込みに加えて、低価格志向の強まりから、客単価もレストラン、ファーストフードで5%、物販で1%程度低下していることが影響している。
最近、商業施設併設型の観覧車が近くに建設され、当初、当施設の観覧車への来客数減少が懸念されたが、実際は、需要の喚起につながり、来客数は増加した。数年後、大規模なレジャー施設が当施設の近隣に新しく完成する予定であるが、これに関しては、近畿圏の客の多くを奪われると予測する一方で、その波及効果により近畿圏以外の客が増加するものとみている。
当施設の固定客は多く、リピーターで来場客の5〜6割を占めているといわれているが、競合するレジャー施設が設立されることもあり、いかに目新しい仕掛けをつくっていくかが課題となっている。来年は当施設の設立10周年にあたるため、記念イベントを開催することで来場客の増加につなげたいとしている。
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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ
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