最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(11年9月〜11月期、個別ヒアリング)

 

 当所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、レジャー施設を対象にヒアリング調査を行った。
 百貨店、スーパーは、9月は例年に比べて気温が高かったことから、主力の衣料で秋物が不振となり、売上げが落ち込んだ。一方、コンビニエンスストアでは、9月に入って雨の日が少なくなったことから客足が戻ってきており、売上げは増加傾向にある。レジャ−施設では来場客数の伸び悩みがみられる。


百貨店
 A社
 9月は気温が高めに推移したことから、平年であればこの時期から動きがみられる秋物が不調であったため、売上げは前年同月比約5%減となった。
 品目別に前年同月比をみると、衣料品は10%減と大きく落ち込んだ。主力の婦人服は全般的に不調であったが、とりわけ季節的な影響を受けやすいヤング向けの売れ行きが不調だった。紳士服ではスーツ、ジャケット類の動きが鈍く、17%減と大幅な減少になり、子供服もキャラクターものの不振などから10%減と大きく落ち込んだ。
 身の回り品は、サンダルが80%増、アクセサリーが9%増など、婦人向け商品で一部、好調な商品がみられ、全体では0.5%減とマイナスになったものの、ほぼ前年並みの水準となった。
 家庭用品は、家具、家電はいずれも15%減と引き続き不振であり、和食器、洋食器もギフト需要の低迷からブランドものが奮わず、二桁の減少となった。
 食料品は、0.1%減とほぼ前年並みで推移した。これは、まつたけの不作などにより季節品の動きが鈍い一方で、健康関連商品のセールを展開したことから瓶・缶詰が14%増と好調で、酒類も14%増と売れ行きが良かったことなどによる。
 雑貨では全体では微増となっているが、美術品や輸入ものの時計が二桁増となるなど、単価の高い商品の一部に好調なものがみられる。これらは全体の売上げからみるとわずかなシェアではあるが、奢侈品を購入する余裕が一部の消費者に戻りつつあることを示している。
 化粧品はこれまで好調に推移してきたが、9月は0.4%の微増となり、売上げの伸びに鈍化傾向がみられる。
 10月上旬の気温は高かったが、中旬以降、気温が下がっているため、シーズンものの動きが活発となってきた。美術品、時計などの一部の高額商品などで動きがみられるほか、ミレニアム(二千年紀)商品なども人気があるため、今後の先行きに若干の明るさもみえはじめてはいるが、これまでのところは一進一退の状況が続いており、景気の動向しだいでは再び厳しさが増すことも考えられることから、同社では今後の動向についても慎重な見方をしている。  

スーパー
 B社
 9月は、例年になく気温が高く残暑が厳しかったため、秋物が動かず、売上げは前年同月比6%減となった。好調であったのは、夏物の処分品等のみであり、秋の季節商品に比べると客単価が低下した。また、他社で行われた野球の優勝セールのあおりを若干受けたとしている。
 品目別にみると、衣料品は気温の影響を大きく受けて、11%減と落ち込んだ。婦人服、紳士服、子供服ともに半袖シャツ等夏物の処分品が好調であった反面、長袖シャツ等の秋物は40〜50%減と全くの不振であった。
 食料品は、2%減と小幅な減少にとどまったものの、鍋物等の季節の食材に動きがなかった。一方、ざるそば、レタス、きゅうり等夏の食材に動きがあった。気温が高いと、おかずが冷やっこ、そうめん等単品になり、鍋等に比べて客単価が下落する傾向が強いと同社はみている。野菜については、相場が落ち着きを取り戻してきた。果物は総じて好調であった。また、テレビで取り上げられた食品は相変わらず好調で、もずく、トロピカルフルーツが好調であった。
 住生活関連も、13%減と不振であった。エアコン、肌布団、タオルケット等が好調であった反面、ホットカーペット、毛布、押し入れ収納用具等が不振であった。通常なら、衣替えに伴う買い替え需要のある時期であるが、今年は衣替えの遅れの影響を受けたと同社はみている。また、季節のイベントである園芸フェア、敬老の日を狙った大型マッサージ機は不調に終った。
 10月は中旬から冷え込んできたため、前年並みで推移している。しかし、同社では売れなかった秋物の販売を取り返すことはできないとみている。また、野球の日本シリーズに向けて他社に対抗するイベントを予定している。

コンビニエンスストア  
 C社
 同社の今年上期の売上げは前年同期比は微減となったが、関西は関東と比較して減少幅が数%大きい。これは、関東に比べて7月、8月を中心に雨の日が多かったこと、景気低迷が著しいことなどの影響とみられる。9月以降に関しては好調で、天候が概ね良好に推移したこともあり、客足が戻ってきている。しかし、既存店ベースでみると、売上げは対前年比で微増にとどまっている。
 部門別にみると、食品部門のうち弁当、おにぎり、総菜などのファースト・フードは、ほぼ前年並みで推移しているが、サンドイッチや、カウンター販売のからあげ、フライド・ポテトといった商品で動きがみられる。サンドイッチに関しては、パン生地等を改良することで、従来より低い温度設定での管理・販売を行うことが可能となり、新鮮さを保持し、新しい食材も使用できるようになったことが好調の要因とみている。菓子、飲料などの加工食品でも、清涼飲料などの一部で好調な商品がみられるが、全体では前年比で横ばいとなっている。
 非食品部門では、トイレットペーパー、洗剤などの家庭用品でスーパーやディスカウント・ストアに客足を奪われており、最近落ち込みが顕著となっている。CD、ビデオ、ゲームソフトなどで独自性を打ち出してはいるものの、流行に左右されやすく、全体では目立った動きはみられない。薬事法改正により今春から販売が始まった栄養ドリンクは好調に推移しているが、まだ売上げのシェアは小さく、売上げ全体を押し上げるまでには至っていない。
 写真現像、コピー、切手・テレホンカード販売などのサービス部門は好調であり、この半年でみると前年に比べて二桁の増加となっている。サービス部門の売上げの構成比は全体の約5%ほどであるため、売上げへの直接の貢献は少ないが、顧客の来店動機となることから、同社では今後もサービス部門を重視していく方針である。
 客数はほぼ変わらない一方で、消費者の低価格志向により商品単価は低下しており、来店客の買い上げ点数も落ちている。このようななか、各社とも積極的な出店を行っているため、競争は激化しており、売上げは厳しい。ここ数年の高度な商品開発・商品管理によって品揃えでは他社と大きな違いが出にくくなり、同社では、店舗内にチケットや商品の購入ができる情報端末を設置するなど、独自のサービスを展開することで顧客の取り込みを図っている。

レジャー施設 
 D社
 当施設は水族館を中心に、観覧車やレストランや小売店などが集まる商業施設を併設しており、20歳代〜30歳代のカップルやファミリー層に人気がある。来場者の居住圏は、大阪府、大阪府以外の近畿府県、その他地域(外国も含む)がそれぞれ三分の一ずつである。
 水族館は、昨年の4月に完成した新たな施設が人気を呼び、昨年前半は入場客数が前年比二桁増で推移した。昨年度後半からは入場客数の落ち込みがみられたが、結局、昨年度一年間で4%増となった。今年度に入って昨年度の反動から入場客数は前年比二桁減で推移したが、7月に再び新たな施設が完成したことから、夏休みには入場客数は前年比数%増と増加基調に転じた。しかし、シーズンが過ぎた9月あたりから落ち込みはじめており、今年度の来場客数は前年度比で5〜10%のマイナスになると予測している。
 併設の商業施設も同じ傾向を示しており、現在のところ売上げは昨年度と比較して10%強の減少となっている。これは、客数の落ち込みに加えて、低価格志向の強まりから、客単価もレストラン、ファーストフードで5%、物販で1%程度低下していることが影響している。
 最近、商業施設併設型の観覧車が近くに建設され、当初、当施設の観覧車への来客数減少が懸念されたが、実際は、需要の喚起につながり、来客数は増加した。数年後、大規模なレジャー施設が当施設の近隣に新しく完成する予定であるが、これに関しては、近畿圏の客の多くを奪われると予測する一方で、その波及効果により近畿圏以外の客が増加するものとみている。
 当施設の固定客は多く、リピーターで来場客の5〜6割を占めているといわれているが、競合するレジャー施設が設立されることもあり、いかに目新しい仕掛けをつくっていくかが課題となっている。来年は当施設の設立10周年にあたるため、記念イベントを開催することで来場客の増加につなげたいとしている。



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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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