最近の消費動向

更新日:2010年3月4日

最近の消費動向(個別ヒアリング)(12月期)

 個人消費は、消費者の買い控えと低価格志向が続き、21年10から12月の大型小売店の売上高は前年同期を下回った。

 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、家電小売店を対象にヒアリング調査を行った。

 その中で、百貨店A社の12月の売上げは前年同月を上回り、スーパーB社の12月の売上げは前年同月を下回った。また、家電小売C社の10から12月の売上げは前年同期を上回った。


百貨店

 A社 21年12月の売上げは前年同月を上回った。

 これは、前半には気温が高めで冬物衣料品などは苦戦したがセールが好調な品目もあったこと、後半に気温が下がり冬物衣料品やクリスマスギフト等の売上げが好調となったためである。

 品目別にみると、衣料品は、前半は気温が高く重衣料が苦戦したが、後半には気温が下がり好調となった。紳士服・洋品では、スーツやネクタイなどビジネス関連は不調であったが、後半にブルゾンやコートなど重衣料の動きが良くなり、前年並みとなった。婦人服・洋品では、ミセス向けと大きめ、小さめサイズの売場を強化しており好調であった。ヤング向けでは、手頃な価格のコートを訴求したところ販売数が増加した。子供服・洋品では、子供服はクリスマスギフトの需要もあり好調であったが、玩具は取扱い規模が縮小されており不調であった。

 身の回り品は好調であった。紳士物では、靴は前年を下回ったが、バッグと革小物は前年並みとなった。婦人靴は、ブーツを中心に好調であった。ハンドバッグは前年並みであった。アクセサリーは好調であった。クリスマスギフトでは、買いやすい価格のペンダントなどが選ばれている。季節雑貨では、後半から手袋、ネックウェアが好調となった。ルームシューズもクリスマスギフト用に好調であった。化粧品は、月後半に気温が下がったことからスキンケア化粧品を中心に好調となった。

 家庭用品では、家具は、取扱い規模が縮小されており不調であった。食器は、前半のセールと後半のクリスマス関連イベントが好調であった。

 宝飾品では、ブライダルジュエリーが好調であった。時計は、海外製の高額品の不調が続いているため、国産の時計と、海外製でも価格の手頃な時計の品揃えを増やしたところ、好調となった。

 食料品は好調であった。後半に気温が下がったことから、フグやカニ、鍋物セットなどが好調となった。菓子も好調であった。クリスマスケーキは、予約は低調であったが、店頭での販売が好調で、全体としては好調であった。おせちの予約は、前年を下回った。お歳暮は前年を下回った。

 1月の売上げは、クリアランスセールで婦人服や身の回り品の動きが良く、食料品も好調であることから、前年を上回ると見込まれる。


スーパー

 B社 21年12月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、消費者の低価格志向が続いているためである。特に前半は暖かい日が多く、冬物衣料品を中心に厳しかったが、後半に冷え込んだため季節品が好調となり一部持ち直してきた。

 品目別にみると、衣料品は不調であった。月の前半は暖かく冬物衣料が動かなかったが、後半に冷え込んだことから動きが良くなった。家の中で着るトレーナー、ホームウェアなどが好調であったが、厚手のセーターやコートは不調であった。肌着は、機能性肌着や婦人のレギンスなど好調なものもあるが、全体では不調であった。

 身の回り品は不調であった。靴は不調であった。バッグは、インポート、トラベルバッグは好調であったが、紳士、婦人物、スポーツバッグは不調で、前年を下回った。マフラーは好調であったが、季節服飾品全体では前年を下回った。

 食料品は前年を下回った。野菜は相場が下がっており、玉ねぎなど土物野菜は健闘しているものの、一般野菜、サラダ野菜が不調で、前年を下回った。果物は、イチゴは前年並みとなったが、ミカン、バナナが不調で、果物全体で前年を大きく下回った。畜産物は全般に不調であったが、焼肉用の牛肉で単価を抑えたものは好調であった。水産物は不調であったが、後半に気温が下がってからは鍋用のセットが好調となった。

 その他の食料品は不調であった。ビール、発泡酒は不調なものの、第三のビールと言われるビール風味のアルコール飲料とウィスキーが好調で、酒類は好調であった。ヨーグルト等乳製品は好調であったが、アイスクリームは不調であった。手頃な価格のお弁当、価格帯を拡げた握り寿司は好調であるが、惣菜全体では不調であった。

 クリスマスケーキの予約は不調であったが、手作りケーキの材料やクリスマス用オードブルセットは好調であった。おせちの予約も不調であったが、年末の店頭での数の子やかまぼこ、もちなど正月用食材の販売は好調であった。

 その他の生活関連商品は、前年並みであった。

 玩具は、男児、女児玩具は好調であったが、テレビゲーム関連が不調で、玩具全体で不調となった。文具、自転車も不調となった。

 家電製品は好調であった。グリーン家電普及促進事業によるエコポイントの対象となっている地上デジタル放送対応テレビと、同時に買われているレコーダーの好調が続くほか、エアコンと冷蔵庫についても好調となった。空気清浄機は好調であるが、伸び幅は落ち着いてきている。洗濯機は不調であった。

 健康関連商品等は好調であった。化粧品は、好調なブランドもあるものの、全体では前年並みであった。健康食品、医薬品は好調であった。新型インフルエンザの関係では、手指消毒剤は好調が続いているが、マスクは伸びが小さくなってきている。紙製品、洗剤等の日用消耗品、カイロ等の季節品は好調であった。

 住居関連は不調であった。台所関連、バス・トイレ関連、寝具寝装品とも不調であった。年末の買い替え需要が小さくなっている。家具は不調が続いているが、テレビの好調にあわせて、テレビ台用の家具が好調となった。

 1月の売上げは、消費者の買い控えと低価格志向が続き、冬物商品にも12月の勢いがなくなっていることから、前年を下回ると見込まれる。


家電小売

 C社 21年10から12月の売上げは前年同期を上回った。

 これは、グリーン家電普及促進事業によるエコポイントの対象となっている地上デジタル放送対応テレビ、冷蔵庫が好調で、またそれらを購入する際に他の商品も購入されているためである。同じく対象商品のエアコンについては、12月前半まで暖かかったため前年同期を下回ったが、12月後半以降は回復基調にある。

 テレビは、エコポイントの効果が大きく、好調であった。リビング用の大画面のテレビは、エコポイントの付与額も大きく、好調である。テレビと同時に購入するDVDレコーダー等も好調であった。中でも、ハイビジョン放送の録画に適したブルーレイレコーダーが以前より価格も下がっていることもあり、好調であった。

 デジタルカメラ、デジタルビデオカメラは、単価が下がっており、前年を下回った。動画撮影機能が付いたデジタル一眼レフカメラについては、台数が伸びている。

 パソコンは、10月までは価格の低下が大きく、台数が増えても売上げは不調であったが、10月末に新しい基本ソフト(オペレーティングシステム)を搭載した新製品が発売されてからは、台数が増えた上に単価も改善し、11月、12月の売上げは前年並みの水準で推移している。プリンタも好調となった。コピーやスキャナ機能の付いた複合機が中心であるが、葉書専用のプリンタも発売され、年賀状印刷用に人気があった。

 オーディオ関連では、デジタルオーディオプレーヤー本体は普及が進み前年を下回っているが、ヘッドフォン、スピーカー、ケースなど関連商品は種類が増え好調であった。

 エアコンはエコポイントの対象商品であるが、気温の影響を受け不調であった。気温の高かった10月、11月は不調であったが、12月後半に気温が下がってからは好調となり、12月単月では前年同月を少し上回った。エアコンにはエコポイント対象の価格の高い商品と、対象でない価格の安い商品があり価格差は大きいが、消費電力の差も大きいことから、対象商品が選ばれやすく、単価が上昇している。

 空気清浄機は好調であった。新型インフルエンザの影響で、除菌機能のある商品が好調である。また、湿度が高くなると風邪等の予防にもなることから、加湿機能の付いた商品に人気がある。一方、除菌機能に特化したイオン発生専用機も好調である。

 冷蔵庫はエコポイントの効果で好調であった。景気の低迷で、外食を控え家庭で食事をする回数が増えており、大型の冷蔵庫が選ばれている。

 また、同じく内食化の影響から、電子レンジ、炊飯器等の調理家電が好調であった。

 洗濯機は前年を少し下回った。

 健康器具では、体組成計や歩数計が好調であった。健康への関心が高まり、商品の種類も増えている。

 携帯電話は前年を下回った。長期保有を前提とした割賦販売制度等により買い替えが大きく減少していたが、契約期間が終了して買い替える客も出てきたため、減少幅は小さくなっている。中でも10月は新機種が発売されたため好調であった。

 来店者数が増えているため、小物関連も堅調であった。特に、LED電球が、以前より価格の下がった商品が発売され、好調であった。LED電球は白熱電球等に比べるとかなり価格が高く、省エネ、長寿命を考えてもコストが安いとは言えないが、環境意識の高まりから、選ばれるようになってきた。

 1から3月の見通しは、エコポイント対象のテレビ、冷蔵庫、セット買いされるレコーダーの好調が続くと見込まれ、前年を上回ると予想される。

 同社では、商品の販売時だけではなく、購入後も安心できるサービスを提供し、顧客との関係を深めていきたいと考えている。


大阪府の消費に関する経済指標

(単位:百万円、台、%)

   21年     
   

7月

8月

9月

10月

11月

12月

大型小売店計販売額

156,979

136,818

128,465

136,171

143,347

186,088

 (前年同月比)

(-10.0)

(-7.3)

(-6.4)

(-8.1)

(-11.5)

(-3.9)

    うち百貨店販売額

82,472

63,076

60,257

65,154

71,949

97,474

 (前年同月比)

(-14.2)

(-10.7)

(-8.9)

(-11.8)

(-15.0)

(-4.2)

    うちスーパー販売額

74,507

73,743

68,209

71,017

71,398

88,615

 (前年同月比)

(-4.7)

(-4.0)

(-4.0)

(-4.3)

(-7.6)

(-3.4)

コンビニエンス・ストア販売額(近畿)販売額

106,642

107,594

99,005

101,228

95,792

102,640

 (前年同月比 既存店ベース)

(-8.1)

(-5.8)

(-5.8)

(-6.2)

(-7.1)

(-6.1)

 (前年同月比 全店ベース)

(-5.3)

(-2.7)

(-1.6)

(-2.8)

(-3.5)

(-2.6)

乗用車新車販売台数

19,581

13,900

21,517

17,611

19,048

17,345

 (前年同月比)

(-5.7)

(1.9)

(-1.7)

(9.6)

(27.8)

(20.2)

家電販売(近畿)(前年同月比)

(-5.1)

(10.2)

(9.5)

(11.4)

(4.6)

・・・

資料:大型小売店販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」。前年同月比は店舗調整済の値。
コンビニエンス・ストア販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」(参考資料)。
乗用車新車販売台数(社)日本自動車販売協会連合会、(社)全国軽自動車協会連合会。
家電販売額近畿経済産業局「近畿経済の動向」。

このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 

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