最近の消費動向

更新日:2009年11月27日

最近の消費動向(個別ヒアリング)

 個人消費は、消費者の買い控えと低価格志向が続き、21年7から9月の大型小売店の売上高は前年同期を下回った。

 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、ホテル、旅行会社を対象にヒアリング調査を行った。

 その中で、百貨店A社及びスーパーB社の9月の売上げは前年同月を下回った。また、ホテルC社及び旅行会社D社の7から9月の売上げは前年同期を下回った。


百貨店

 A社 21年9月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、景気低迷で購入単価の低下が続いているためである。ただし、中旬にシルバーウィーク(19日から23日までの5連休)があったため前年より祝日が1日多く、また5連休には秋物衣料の動きが良かったことから、売上げのマイナス幅は縮小している。

 品目別にみると、衣料品は不調であった。昨年より価格を抑えた定価商品が増えている上に、売場特価品の割合も大きくなっている。紳士服・洋品は不調であった。カジュアルは前年並みだが、スーツやワイシャツなど、ビジネス関連のマイナスが大きい。婦人服・洋品は不調であった。婦人服でも、カジュアル系の方がマイナスが小さい。洋品は、天候が良かったため薄手のストールにしか動きがなく、不調であった。海外の有名ブランドを扱う特選ブティックでは、9月全体では前年を下回っているものの、5連休は好調で、下げ止まり感が出てきている。子供服・洋品と呉服は不調であった。寝具は前年並みであった。

 スポーツ用品は不調であった。

 身の回り品は不調であった。婦人靴は、ブーツにまだ動きがなく、不調であった。アクセサリーは売場特価品の動きは良くなっているが、全体では前年を少し下回っている。

 化粧品は、メイク関連は良くなっているものの、前年を下回った。

 宝飾・貴金属は不調であった。外国製高級時計の不調が続いている。

 家庭用品では、ベッドなど大物家具の不調が続くが、食器は好調となった。

 食料品は前年を少し下回ったが、底堅かった。生鮮食品と惣菜は不調であったが、菓子と保存食品が物産展の上乗せもあり好調であった。

 10月の売上げは、購入単価の低下が続いており、9月の5連休のような押し上げ要因がないことから、前年を下回ると見込まれる。


スーパー

 B社 21年9月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、消費者の買い控えが続いているほか、19日から23日までの5連休には行楽に出かける人が増えたため、同店への来店客が減少したためである。

 品目別にみると、衣料品は不調であった。月の前半は秋物衣料が好調となったものの、後半には再び暖かくなり、動きが悪くなった。婦人、紳士の長袖Tシャツ、羽織物など秋物衣料で一部好調な商品もあったが、婦人、紳士、子供服ともに全般に不調であった。また、トレーニングウェアなど運動関連も不調であった。肌着は、婦人のレギンスなど好調なものもあるが、全体では不調であった。

 身の回り品は不調であった。靴は、婦人のウォーキングシューズは好調なものの、スポーツシューズ、紳士靴は不調で、全体でも不調であった。バッグは、紳士、婦人物は不調であったが、インポート、スポーツ、トラベルバッグは好調で、前年を上回った。

 食料品は前年を下回った。野菜は、販売価格が低下したキャベツが好調な一般野菜、サラダ野菜が好調で、前年を上回った。果物は、ミカンが好調となったが、バナナが昨年の反動減で不調、メロンも不調で全体でも不調であった。畜産物は全般に不調であったが、バーベキュー用の味付け肉、牛焼肉用は好調であった。水産物は不調であった。手土産用の食品ギフトは、5連休に車で外出する人が増えたため好調であった。

 その他の食料品は不調であった。発泡酒は不調なものの、第三のビールと言われるビール風味のアルコール飲料とウィスキーが好調で、酒類は好調であった。後半に気温が高くなったため低価格のアイスクリームは好調となったが、アイスクリーム全体では前年を下回った。手頃な価格のお弁当、おにぎりは好調であるが、寿司は不調であった。

 その他の生活関連商品は、前年を下回っている。

 玩具は、カードゲーム、男児玩具、テレビゲームソフトが好調で、玩具全体で好調となった。文具、自転車は不調となった。

 家電製品は前年を下回った。グリーン家電普及促進事業によるエコポイントの対象となっている地上デジタル放送対応テレビと、同時に買われているレコーダーは好調であったが、エアコンと冷蔵庫は不調であった。

 健康関連商品等は好調であった。化粧品は、ボディソープ、ハンドクリームなどボディケア用品は好調であった。しかし、シャンプーが前年好調の反動減でヘアケア用品は不調で、化粧品全体では前年を少し下回っている。健康食品、医薬品は好調であった。新型インフルエンザが8月から流行し始めた関係で、マスク、手指消毒剤が好調であった。紙製品、洗剤等の日用消耗品は好調であった。

 住居関連は不調であった。前年好調であった台所関連は前年を下回った。9月前半は涼しかったため、布団関係は好調であったが、タオルやインテリア関係が不調であった。

 10月の売上げは、気温が暖かいため秋物の動きが止まっており、消費者の買い控えも続き、前年を下回ると見込まれる。


ホテル

 C社 同社の21年7から9月の売上げは、前年同期を下回った。

 宿泊部門は、前年同期を下回った。20年の秋からビジネス需要が減少していたところに、5月の新型インフルエンザの関西での流行で、キャンセルや予約の手控えが起こった。その後新型インフルエンザが弱毒性とわかったため、夏休みに入ってから予約の動きが良くなってきた。9月は19日から23日までが5連休となり、その期間が大きく増加したほか、5連休前にも遅めの夏休みという利用が増え、9月全体で前年同月を上回った。夏休み向けに、ホテル内のレストランやプールなどの施設利用と組み合わせて充実した内容の宿泊プランを手頃な価格で用意したが、そのプランが9月も利用できたため、好調につながった。9月は、近場のレジャーとしての利用が多かったため、料金は高いが特典も多いエグゼクティブフロアーの稼働率が高かった。客単価は期間全体で少しの低下にとどまっている。

 レストラン部門は、前年同期を若干上回った。月別では、宿泊部門の動きにあわせ、9月は好調となった。ディナーとバーの利用は落ち込みが続いているが、ランチの利用は増加している。これは、女性客のランチ利用を促すため、多種類の料理が少しずつ食べられるメニューや、デザートが充実したメニューを設定し、集客につながったものである。また、近隣施設のイベント利用者による同ホテルのレストランや喫茶の利用も増えている。

 宴会部門は、前年同期を大きく下回った。企業や団体の利用は件数が減少し、規模も縮小している。8月のお盆期間に実施した個人客向けのイベントは好調であったが、全体を押し上げるほどではなかった。

 ブライダル部門は、件数の減少に伴い売上げが減少している。ブライダルの利用は、ホテルのイメージを決める大きな要因となる。そのため、同社では、披露宴にこだわる顧客に対応するなど、参加者の満足度を高めたいとしている。

 今後の見通しは、景気低迷が続いており、一般的な景気が回復したとしてもホテルの回復は遅れがちになることから、まだ厳しい状況が続くと見込まれる。


旅行会社

 D社 同社の関西地区の21年7から9月の売上げは、前年同期を下回った。

 これは、新型インフルエンザが5、6月に日本でも発生したことから、その頃から予約を取り始める夏休みの旅行に影響があったためである。一方、9月は19日から23日までの5連休があり、前年同月を上回った。

 部門別では、国内旅行は前年同期を下回ったが、海外旅行は少し上回った。

 国内の企画旅行は、新型インフルエンザの影響を大きく受けた。夏休みは家族旅行のシーズンだが、5、6月に新型インフルエンザが発生したため夏休みの旅行について検討しにくくなった。また、関西では学校が休校となった地域も多く、振替で夏休み期間が短縮されたことから、夏の旅行を9月の5連休に先延ばしした家族も多かった。旅行先は例年と変化はなかった。高速道路料金等の割引の関連では、四国の宿泊プランが増加した。7月22日の日食の関連では、奄美列島等のプランの人気が高く、キャンセルも少なかった。

 国内の団体旅行は、5、6月がシーズンであるが、新型インフルエンザの影響で中止や延期になったものが多い。学生の修学旅行は延期の扱いだが、法人の旅行は中止になったものがほとんどである。

 海外の企画旅行は、7月上旬は新型インフルエンザの影響が残っていたが、その後影響は消え、7から9月は前年同期を人数で大きく上回り、売上げでは少し上回った。これは、5、6月の新型インフルエンザの影響を受けた航空会社と旅行会社が旅行需要を刺激するため特別プランを設定したこと、同期間は燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が数年ぶりに0円となった航空会社が多かったこと、円高が定着してきたことから海外旅行に割安感が出たためである。そのため、販売単価は低下している。関西空港発の国際線の便数の関係もあり、中国、香港、韓国のプランが多い。2泊3日のお得なプランが選ばれていることから、国内の遠距離旅行から海外旅行に変更した人も多いとみられる。5連休は、休暇を追加すると9連休になることから、ヨーロッパのプランも人気があった。

 個人のクーポン券類販売は、低減傾向が続いている。

 10から11月の予約人数は、前年同期比で国内旅行は減少、海外旅行は増加の見通しである。燃油サーチャージの加算が復活するものの、昨年に比べ金額は小さく、海外旅行の好調は続くと考えられる。国内旅行については、この冬は新型インフルエンザの影響はあるが、その後は緩やかに回復していくのではないかと予想される。

 旅行の予約方法として、宿泊だけであれば各施設のホームページやインターネットの予約サイトを通じ個人が直接予約する傾向が強まっている。旅行会社が利用されるのは、宿泊施設に加え、交通手段、観光ツアーなどがセットされたプランの場合が多い。歴史や鉄道などテーマ性のあるプランや、少し金額を上乗せして少し贅沢な食事のできるプランが好まれると考えている。少子化が進んでいるものの、年配の人も元気になっており、家族、三世代の旅行は今後も増えていくと考えている。


大阪府の消費に関する経済指標

(単位:百万円、台、%)

   21年     
   

4月

5月

6月

7月

8月

9月

大型小売店計販売額

138,960

140,246

145,506

156,979

136,818

128,465

 (前年同月比)

(-8.7)

(-8.2)

(-6.8)

(-10.0)

(-7.3)

(-6.4)

    うち百貨店販売額

66,264

66,177

73,565

82,472

63,076

60,257

 (前年同月比)

(-15.0)

(-14.7)

(-9.9)

(-14.2)

(-10.7)

(-8.9)

    うちスーパー販売額

72,695

74,069

71,941

74,507

73,743

68,209

 (前年同月比)

(-1.9)

(-1.5)

(-3.3)

(-4.7)

(-4.0)

(-4.0)

コンビニエンス・ストア販売額(近畿)販売額

98,022

100,970

99,045

106,642

107,594

99,005

 (前年同月比 既存店ベース)

(5.9)

(4.6)

(-5.3)

(-8.1)

(-5.8)

(-5.8)

 

(前年同月比 全店ベース)

(8.7)

(7.4)

(-2.4)

(-5.3)

(-2.7)

(-1.6)

乗用車新車販売台数

12,210

12,920

17,159

19,581

13,900

21,517

 (前年同月比)

(-25.3)

(-17.4)

(-12.2)

(-5.7)

(1.9)

(-1.7)

家電販売(近畿)(前年同月比)

(-2.5)

(7.5)

(4.1)

(-5.1)

(10.2)

・・・

資料:大型小売店販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」。前年同月比は店舗調整済の値。9月は速報。
コンビニエンス・ストア販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」(参考資料)。
乗用車新車販売台数(社)日本自動車販売協会連合会、(社)全国軽自動車協会連合会。
家電販売額近畿経済産業局「近畿経済の動向」。

このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 

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