最近の消費動向

更新日:2023年12月28日

   最近の消費動向(個別ヒアリング)

 

個人消費は、消費者の買い控えと低価格志向が続き、21年4から6月の大型小売店の売上高は前年同期を下回った。

 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、ホームセンター、外食産業を対象にヒアリング調査を行った。

 今回ヒアリングを行った百貨店A社及びスーパーB社の6月の売上げは前年同月を下回った。また、ホームセンターC社の3から5月の売上げは前年同期を上回ったが、外食産業D社の4から6月の売上げは前年同期を下回った。

百 貨 店 


 

A社 21年6月の売上げは前年同月を下回った。

これは、消費者の購買意欲が低い中、定価品の落ち込みが大きく、セール実施による売上げ増では補えなかったためである。

品目別にみると、衣料品は不調であった。セールでは、今すぐに着ることができる、実用性の高い衣料品が好調であった。また、まとめ買いをせずに単価の低い商品を単品買いする傾向が強い。紳士服・洋品では、父の日関連のネクタイ、革小物が不調であった。婦人服・洋品では、パラソルと帽子は好調であったが、サングラスとネックウェアは不調であった。水着は、中旬以降に婦人ヤング向け商品が好調となった。海外の有名ブランドを扱う特選ブティックでは、クリアランスセールを早期にスタートするブランドが増えたため、衣料品は前年を少し下回るところまで回復したが、宝飾品は不調が続いている。子供服・洋品と浴衣も不調であった。

身の回り品は不調であった。靴、かばんとも不調であった。アクセサリーはセールが好調で、前年を少し下回った程度である。

スポーツ、旅行関連は前年を下回った。ランニングやフィットネスがブームとなっていることから関連商品は好調であった。バッグ関連が不調であった。

家庭用品では、家具、食器が不調であった。調理用品は、セールの鍋セットが好調であった。

玩具は、知育玩具は好調であったが、テレビゲームが前年を大きく下回っている。

食料品は前年を下回った。ギフトや惣菜が不調である。父の日関連は、惣菜と洋菓子は好調であったが、酒類が不調で、前年並みであった。

お中元は、6月単月では前年並みであった。

7月の売上げは、クリアランスセールの全館スタートは1日だったが、6月末に早期スタートしたブランドも多かったため、7月のスタート時の勢いが弱く、また再値下げも早まっており、前年を下回ると見込まれる。

5月の新型インフルエンザの影響は、関西で感染者が確認され、学校が休校となった16日から24日までは来客数、売上げが大きく減少したが、5月末には新型インフルエンザの影響はみられなくなった。

 

スーパー


B社 21年6月の売上げは前年同月を下回った。

これは、消費者の低価格志向が続いている上に、前年より日曜日が1日少なかったためである。

品目別にみると、衣料品は不調であった。婦人のTシャツ、カットレングスパンツ、紳士の半袖ニットシャツなど夏物衣料で一部好調な商品もあったが、婦人、紳士、子供服ともに全般に不調であった。肌着は、婦人カジュアルインナーは好調であったが、全体では不調であった。

身の回り品は健闘した。靴は、紳士靴は不調なものの、婦人サンダルが好調で、全体では前年並みであった。バッグは、インポートバッグを除き不調であった。季節服飾品は、天候が良かったためUV関連の帽子、手袋、パラソルは好調であったが、レイングッズは不調であった。

食料品は前年を下回った。野菜は、サラダ野菜を除き不調であった。果物は、価格の手頃なバナナと季節物のトウモロコシは好調であったが、柑橘類が不調であった。畜産物、水産物は不調であった。

その他の食料品は、加工食品は前年並みであったが、惣菜は不調であった。発泡酒は不調なものの、第三のビールと言われるビール風味のアルコール飲料が好調で、酒類は好調であった。即席麺は、新型インフルエンザの発生による備蓄用食料品として販売が好調であった5月の反動で不調となった。アイスクリームは、価格の高い商品が不調で、低価格品は好調であった。

その他の生活関連商品は、前年を下回っているが、曜日効果を除けば前年並みといえる。

余暇・ホビーは不調であった。カードゲームは好調であったが、テレビゲーム関係が不調で、玩具全体で不調となった。自転車は好調が続いている。

家電製品は好調であった。グリーン家電普及促進事業によるエコポイントの対象となっている地上デジタル放送対応テレビ、エアコン、冷蔵庫が好調であった。扇風機も節約志向から好調であった。

健康関連商品等は曜日効果を除けば前年並みであった。化粧品は前年を少し下回っている。健康食品、医薬品は不調であった。殺虫剤、制汗剤等の季節品、紙製品、洗剤等の日用消耗品は好調であった。

住居関連は不調であった。ステンレスボトルは好調であったが、高価格のフライパン等調理用品が不調であった。寝装品は涼しく感じる寝具などの品揃えを増やし、好調であった。

父の日関連では、半袖ニットシャツや夏用の長袖シャツは比較的好調であったが、ギフト箱入りの衣料品、服飾品は不調であった。食品でも低価格志向が強く、国産牛肉は不調であった。「いつもよりいいものを手の届く値段で」と打ち出したあわび、さざえの貝類は好調であった。

お中元は、割引実施時は注文が集中するが、それ以外は厳しく、前年を下回っている。品揃えが増えている生鮮食品は前年並みであるが、加工食品と住居関連品は苦戦している。

7月の売上げは、なかなか梅雨が明けず、季節商品が不調で、前年を下回ると見込まれる。

新型インフルエンザの影響では、4月末の外国での確認後、マスクが前年を上回るようになった。5月中旬に関西で感染者が確認されてからは、マスクや手洗い消毒関係の衛生用品が非常に多く売れた。米や即席麺など備蓄用食料品もよく売れた。一方で、食品以外の部門では客数が減少し、特に衣料品の売上げが減少した。また、学校の休校期間中は、学生等のアルバイトや子供のいるパート主婦の出勤に影響があり、勤務シフトの調整に苦労した。

 

ホームセンター


C社 21年3から5月の売上げは、前年同期を上回った。

これは、3月の売上げは前年を下回ったが、4月から客数が増え、5月は日曜日と祝日が前年より多かったこともあり、売上げの伸びが大きかったためである。

DIY関連は、園芸関連を中心に好調であった。中でも、野菜栽培が特に好調で、花の苗よりも野菜の苗の売上げの伸びが大きかった。野菜用のプランターも好調であった。逆に、室内鑑賞用のインテリアグリーンは伸び悩んだ。

家庭用品関連は、前年並みであった。インテリア関連は不調であった。3から5月は、春の引越で大型家具と収納用品が売れる時期であるが、今年は不調であった。日用雑貨品は好調であった。お弁当箱が、手頃な物から、保温性のある物まで好調であった。医薬品関連は取扱い店舗を増やしたため好調であった。4月末の外国での新型インフルエンザの発生確認から、花粉症コーナーのマスクが売れ始め、5月中旬の関西での感染者の確認で、非常に多く売れた。また、消毒薬関連も良く売れた。酒類は売場を充実させているため、好調である。

レジャー関連は、前年同期を上回った。比率の高いペットフードの好調が続いている。レジャー用品では、ゴールデンウィーク前にバーベキュー用品と大型のクーラーボックスが好調となった。自転車も好調であった。

新型インフルエンザの影響では、マスクや消毒薬関連が好調となったが、同社の中での比率は大きくない。客数への影響は無かった。

6から8月の見通しは、6月は日曜日が減少した影響で前年を下回り、7月も、なかなか梅雨が明けず夏物インテリアの売れ行きが悪い。8月に夏物が売れることを期待している。

 

外食産業


D社 21年4から6月の売上げは、前年同期を下回った。

これは、消費者の節約志向から客単価が下がっている上に、5月中旬に関西で新型インフルエンザの感染が確認された影響で、5月には客数も減少したためである。

ゴールデンウィークの期間も、例年より不調であった。5連休と長く、消費者が遠出をして駅前の店舗の利用が減ったことや、買い物に出かけてもレストラン形式の店舗での食事よりも、低価格のフードコートや弁当等を利用したことが影響しているようである。

5月後半は新型インフルエンザの影響で、客数が減少した。また、学校が休校となった期間は、学生等のアルバイトは勤務しないようにしたため、本社からの応援などで営業を続けた。

6月は、5月より持ち直してきたものの、前年を下回った。

客数に比べ、客単価の低下が大きい。同社の主力メニューはオムライスである。客数が減少する中、具材に工夫した単価の高いメニューを用意しているが、具材の少ない低価格のメニューが選ばれるようになっている。また、サラダやスープの追加注文が少なくなっている。

他社でもオムライスをメニューに加えるなど、オムライスを扱う店が増え、競争となっている。同社は、価格では競争せず、卵と米などこだわりのある食材を使ったオムライスとして、価値を高めていくとしている。

7から9月の見通しは、4から6月よりは改善するものの、急激な改善は難しいと予想している。斬新なメニューと、食べ慣れた食材を組み合わせたイメージしやすいメニューと、どちらも用意して来店を促していくとしている。

大阪府の消費に関する経済指標
(単位:百万円、台、%)
   

21年

 

 

 

 

1月

2月

3月

4月

5月

6月

大型小売店計                             販売額

        157,141

        130,178

      144,202

        138,960

        140,246

             145,506

 (前年同月比)

(-5.8)

(-10.6)

(-11.6)

(-8.7)

(-8.2)

(-6.8)

 うち百貨店販売額

79,895

64,323

72,166

66,264

66,177

73,565

  (前年同月比)

(-9.2)

(-14.4)

(-17.8)

(-15.0)

(-14.7)

(-9.9)

 うちスーパー販売額

77,247

65,855

72,036

72,695

74,069

71,941

  (前年同月比)

(-1.7)

(-6.2)

(-4.1)

(-1.9)

(-1.5)

(-3.3)

コンビニエンス・ストア販売額

94,877

88,296

100,380

98,022

100,970

99,045

ストア販売額(近畿)(前年同月比 既存店ベース)

(9.2)

(4.9)

(6.3)

(5.9)

(4.6)

(-5.3)

 

(前年同月比 全店ベース)

(11.5)

(7.2)

(8.7)

(8.7)

(7.4)

(-2.4)

乗用車新車販売台数

12,981

17,423

23,408

12,210

12,920

17,159

 (前年同月比)

(-22.8)

(-27.3)

(-23.9)

(-25.3)

(-17.4)

(-12.2)

家電販売(近畿)(前年同月比)

(1.9)

(3.2)

(-2.2)

(-2.5)

(7.5)

・・・

資料:大型小売店販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」。前年同月比は店舗調整済の値。6月は速報。
コンビニエンス・ストア販売額近畿経済産業局「管内大型小売店販売状況」(参考資料)。
乗用車新車販売台数(社)日本自動車販売協会連合会、(社)全国軽自動車協会連合会。
家電販売額近畿経済産業局「近畿経済の動向」。

このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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