最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(20年12月期、個別ヒアリング)

  個人消費は、9月末のアメリカの金融危機を契機に経済状況が悪化してきたため、高額商品の買い控え、その他の商品でも低価格志向が強まり、10〜12月の大型小売店全体の売上高は前年同期を下回った。  
  当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、ドラッグストア、ボウリング場を対象にヒアリング調査を行った。  
  今回ヒアリングを行った百貨店A社及びスーパーB社の12月の売上げは前年同月を下回った。また、ドラッグストアC社の10〜12月の売上げは前年同期を下回り、ボウリング場D社の10〜12月の利用者数は前年同期を上回った。 

 百貨店

A社  
20年12月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、前年より土曜日と日曜日が1日ずつ少なかった上に、景気の悪化を受けて、高額商品を中心に買い控えが強まったためである。

 品目別にみると、衣料品は、中旬まで暖かかったため防寒衣料を中心に不調であった。

 紳士服・洋品は売場を拡大し取扱いブランドも増えたことから、前年を上回った。紳士用コートは、ビジネスとカジュアルを兼用できるコートはまだ好調なものの、全体としては前年を下回った。クリスマス関連では、紳士用のアクセサリーや革小物が好調であった。

 婦人服・洋品は不調であった。婦人服は、ワンピースなどドレスは好調であったが、他の品目は不調であった。コートは売れ筋がウール製ではなく単価が低い上に、販売点数でも前年を下回り、不調であった。婦人洋品では、マフラー、手袋など防寒ものが不調であった。海外の有名ブランドを扱う特選ブティックは不調で、特にジュエリー、時計の落ち込みが大きい。

 子供服・洋品では、新生児の雑貨類は好調であったが、衣料品は不調であった。卒業式用の子供服の購入が早まっており、好調であった。

 身の回り品は、紳士は売場拡大等により靴、かばんとも好調であったが、婦人は不調であった。

 スポーツ用品は、ランニング関係は好調であったが全体では不調であった。旅行用品は不調であった。

 化粧品はスキンケア化粧品を中心に好調であったが、メイク関連は前年を少し下回っている。

 家庭用品では、クリスマス・迎春需要が減少し、特選洋食器も大きく落ち込んだ。家具も不調であった。

 玩具は、知育玩具もTVゲームも不調であった。ランドセルは、購入時期が早まっており、10月と11月の購入が増えたため、12月単月では前年を下回った。

 食料品は、高額品の売上げが不調で、全体で不調となった。クリスマスケーキは、予約販売は不調であったが、23〜25日の店頭販売がカットケーキを中心に好調で、全体で前年を上回った。おせちの予約は、前年並みであった。

 お歳暮は、受注期間全体で前年を下回った。比率の大きいハムの売上げが前年を下回っている。洋菓子やアイスなどのデザート類は好調であった。客数は前年並みだが、一人当たりの送付件数、単価が低下している。

 1月の売上げは、厳しい状況が続くが、福袋、初売りが好調で、正月休みが少ないため、その後鈍化していたものの、再値下げ後にまた好調になってきたこと、紳士服・洋品が売場拡大により前年を上回ることが見込まれることから、前年並みを確保したいとしている。  

 スーパー

B社  20年12月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、前年より土曜日と日曜日が1日ずつ少なかった上に、消費者の買い控え、低価格志向が強まったためである。

 品目別にみると、衣料品は前年を下回った。婦人衣料は、カットソーなどは好調であったが、全般に不調であった。紳士衣料はビジネス、カジュアルとも不調であった。子供服は不調であった。肌着は、婦人タイツは好調であったものの、全体では不調であった。

 服飾は不調であった。靴は、婦人はブーツを中心に好調であったが、靴全体では不調であった。バッグでは、スポーツ、トラベルバッグは好調なものの、婦人、紳士、インポートバッグが不調であった。ランドセルは単価が上がり、前年を上回った。マフラーなどの季節服飾品が不調であった。

 食料品は前年を下回ったものの、堅調であった。鍋物食材、シチュー食材が好調であった。野菜は相場安の中、好調であった。畜産物は牛肉を除き好調であった。水産物は、鱈は好調であったが、全体的に不調であった。鍋用の魚と野菜のセット、造りが不調であった。

 加工食品は、鍋つゆなど調味料、麺類、菓子は好調であったが、嗜好品は不調であった。第三のビールと言われるビール風味のアルコール飲料を中心にビール系飲料は好調であったが、ワインは不調であった。 その他の生活関連商品は、不調であった。

 余暇・ホビーは不調であった。男児玩具は好調であったが、女児玩具、TVゲーム本体とソフトが不調で、玩具全体で不調となった。自転車は好調が続いている。

 家電製品は不調であった。掃除機、電話は好調であったが、エアコン、冷蔵庫などボーナス期の大型商品の売上げが減少した。 化粧品等は前年を下回ったものの、堅調であった。使い捨てマスクの種類が増え単価も上がり、好調であった。

 住居関連は不調であった。内食化で調理用品、保存容器は好調であったが、食器、家具は不調であった。 日用消耗品は不調であった。紙製品や洗剤などは前年を上回ったが、モップなどの掃除洗濯用品が不調であった。

 クリスマス関連では、子供用マフラー、男児キャラクター玩具、女児の人形は好調であったが、前年好調であった財布やTVゲームソフトは不調であった。ツリーなどの用品も不調であった。ケーキは予約が不調で店頭販売も目標には届かなかったが、製菓材料は好調であった。

 おせちは、予約は不調であったが、年末に店頭で販売するパックの単品おせちや食材は好調であった。

  1月の売上げは、消費者の買い控えと低価格志向が続き、前年を下回ると見込まれる。

  ドラッグストア

C社   20年10〜12月の売上げは、前年同期を下回った。

 これは、11月が暖かく、11月から売れ始める季節商品の医薬品等の動きが悪かったためである。12月に入り、季節商品は良くなってきた。

 医薬品関連は、前年同期を下回った。11月まで暖かかったため、風邪薬は11月まで不調であったが、12月から売れ始め、10〜12月では前年並みとなった。うがい薬、トローチも前年並みであった。メタボリック対策の医薬品は、前年を上回った。保健栄養剤は、持ち直してきていたものが、12月には前年を下回った。漢方薬は、前年を上回った。

 化粧品関連は、前年同期を上回った。これは、化粧品関連を強化した店舗を増やしているためである。この分野でも、ハンドクリーム、薬用リップクリームなどの季節商品の売上げが伸びていない。女性用化粧品は、11月まで好調であったが、12月が前年を下回り、10〜12月では前年同期を上回ったものの、伸びが鈍化した。ヘアケア用品は前年並みであった。男性用化粧品は伸びているが、まだ構成比は大きくない。

 日用生活商品は前年同期を上回った。この分野では、掃除用品等の季節商品は堅調であった。洗剤の売上げは好調であった。使い捨てカイロを含む保温保冷用品は、前年を少し上回った。

 その他の商品では、健康食品が好調であった。疾病予防や健康維持のための健康食品は前年を下回ったが、ダイエットを目的とした健康食品が好調であった。マスクも好調であった。風邪やインフルエンザの予防のためにマスクを使用する人が増え、数量も単価も増加している。ベビー用品、介護・看護用品は前年並みであった。

 1〜3月の見通しは、景気が厳しい状況が続き、女性用化粧品や保健栄養剤で買い控えとも取れる動きが12月から出てきている。必需品である日用生活商品等についても、今後減少する可能性もある。花粉の飛散量や風邪等の流行による売上げ変動の影響が大きくなると見込まれる。

 同社では、今後も薬剤師と登録販売者を採用し、社内教育に努め、専門知識を持って、顧客それぞれに適した商品を薦めることにより、販売力を強化していきたいとしている。

ボウリング場

D社   20年10〜12月の利用者数は、前年同期を上回った。

 これは、個人やグループでの利用が増加しており、団体予約も安定しているためである。

 ボウリングは、好きな時間にグループでも個人でも楽しめるスポーツとして認知されてきており、継続した利用も増えてきている。特に女性グループの利用が、平日の昼間も、仕事帰りの時間帯も増えてきている。新規の個人会員は増加しているが、20年は前年に比べ伸びがやや小さくなった。

 忘年会の団体予約は、官公庁の予約は減少したものの、民間企業は堅調であった。また、地域の自治会の開催する家族で参加するボウリング大会が増えてきている。ボウリングの楽しさを知った親子が、次回利用してくれることにもつながるので、今後も協力したいとしている。

 土曜日、日曜日、冬休みには、中学生以下の子供と保護者の利用が割安となるファミリーパックを設定し、好評である。

 プロスタッフによるボウリング教室や、競技会、リーグ戦の利用も安定している。

 シニア層については、以前からの常連客は継続した利用がある。しかし、団塊の世代で最近定年を迎えた人たちについては、若い頃にボウリング経験があり上手で、時々利用するものの、常連客にはなりにくい。今後の課題である。

 ホームページの割引チケットは学生の利用が多い。回数券は2種類販売しているが、会員だけ買うことのできる回数券の方が割安で好調である。

 同ボウリング場の建物には、レストランが併設されている。団体でボウリング利用を予約するときに、ボウリングの後の宴会も同時に予約できるセットプランの予約は、前年同期と比べ件数が減少している。団体でボウリングをしても、表彰はボウリング場のフロアで行い、そのまま解散するパターンが増えてきている。

 1〜3月の見通しは、前年同期を上回ると見込まれる。特に平日の夜の予約は堅調で、2月までは、ほぼ予約でいっぱいとなっている。同ボウリング場では、前年に利用してくれた団体に対し、積極的に営業し、利用を促している。

 同ボウリング場では、景気状況が厳しくなる中、価格が手頃で様々な年代がレジャーとしてもスポーツとしても楽しめるボウリングは、工夫次第で利用を増やすチャンスだと考えている。クリスマスなどのイベントに合わせて、利用者に次回使用できる割引券等を配布したり、次も来ようと思われるようにスタッフの接客技術、ボウリングに関する知識を強化し、リピート率の向上に努めている。また、スポーツとしてのボウリングの利用にも応えられるよう、今後もプロスタッフによる教室や、競技会、リーグ戦などを継続して実施し、常連客の定着を図っていくとしている。 


大阪府の消費に関する経済指標







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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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