最近の消費動向

更新日:2009年8月5日


最近の消費動向(20年9月期、個別ヒアリング)



 個人消費は、7月は前年より気温が上がり、夏物商品が売れ始めたもののクリアランスセールなど全体的に不調であった。8月は前年より気温が下がり降水量が多かったため長袖シャツ等一部好調なものもあったが衣料品の不振が続いた。9月は残暑の厳しかった前年よりは気温が低かったため秋物商品に動きがあったが、衣料品や高額商品の買い控えが大きく、7〜9月の大型小売店全体の売上高は前年を下回った。 
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、自動車販売会社、家電小売店を対象にヒアリング調査を行った。  
 今回ヒアリングを行った百貨店A社及びスーパーB社の9月の売上げは前年同月を下回った。また、自動車販売会社C社の4〜9月の売上げは前年同期を上回り、家電小売店D社の7〜9月の売上げは前年同期を下回った。 


 百貨店

A社  
20年9月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、前年より土曜日、日曜日が一日ずつ少なかった上に、主力である衣料品が不調で、アメリカの金融危機を発端とした景気後退懸念により、高額商品等の販売が不調であったためである。

 品目別にみると、衣料品は不調であった。紳士服・洋品は不調であった。スーツは、催し会場の2着均一価格セールは好調であったが、元売場の定価の商品は不調であった。ワイシャツ、ネクタイも不調であった。婦人服・洋品は不調であった。婦人服は、売り場特価品などは購入されるものの、定価の秋物衣料が動いていない。婦人洋品は、薄手のマフラーなどのネックウェア、ニットの帽子など好調な商品もあるものの、全体としては不調であった。

 スポーツ用品は、ウェアは好調であったが、ゴルフ用品は不調であった。

 身の回り品は不調であった。婦人靴、ハンドバック、アクセサリーとも不調であった。

 化粧品は前年並みであった。

 宝飾・貴金属は不調であった。株価の一層の下落から、富裕層の高額品の買い控えが強まっている。時計は前年並みであった。

 家庭用品では、家具の不調が大きい。

 食料品は全般に好調であった。特に、食の安全・安心に対する関心から、生鮮食料品が好調であった。限定商品の菓子も好調であった。

 10月の売上げは、食料品は好調だが、景気の先行き不安による買い控えにより衣料品等で不調が続いていることから、前年を下回ると見込まれる。  


 スーパー

B社  20年9月の売上げは前年同月比3.6%減少した。

 これは、前年より土曜日と日曜日が1日ずつ少なく、来店客数が減少したためである。残暑だった前年に比べ気温が冷え込んだため、秋物衣料、鍋物用食材などが好調となったが、エアコンや冷蔵庫など家電製品が不調であった。

 品目別にみると、衣料品は前年を下回ったが、堅調であった。婦人衣料は、ジャケットや長袖シャツは好調であったが、スカートなどが不調であった。紳士衣料はジャケットや長袖トレーナーが好調でスーツなども前年並みであったため、全体として好調であった。子供服は不調であった。肌着は、パジャマは好調であったものの、全体では不調であった。

 服飾は前年並みであった。靴は紳士靴を除き好調であった。バッグでは、スーツケースは好調なものの、全体では不調であった。雨の日が多かったため、傘が好調であった。また、トレンドになっているストールとブーツは好調であった。

 食料品は前年を下回った。農産物は、野菜はジャガイモや白菜は好調だが、サラダ野菜などが不調で、前年を少し下回った。果物はダイエットに良いと報道されたバナナは好調であったが、他は不調であった。畜産物は好調だが、牛肉は不調が続いている。水産物は鍋物用の季節鮮魚は好調であったが、全体として不調であった。

 加工食品は前年を下回った。消費者の節約志向が高まり、カップ麺より袋入り麺など、割安な商品に購入が移っている。残暑だった前年に比べ、お茶飲料とアイスクリームが不調となった。

 その他の生活関連商品は、不調であった。

 余暇・ホビーは不調であった。カードゲームは好調であったが、男児玩具、女児玩具、TVゲームが不調で、玩具全体で不調となった。自転車は好調が続いている。

 家電製品は不調であった。薄型テレビは好調が続いているが、エアコン、冷蔵庫、ビデオカメラの落ち込みが大きい。消費者が外食を控え、自宅で調理する傾向にあり、ホットプレートは好調であった。

 化粧品等は前年を下回った。昨年に比べ冷え込んだため、風邪薬、ハンドクリームは前年を上回った。

 住居関連は好調であった。内食化により食器、冷え込みにより羽毛布団などの寝具は好調であったが、行楽用品、家具は不調であった。

 日用消耗品は不調であった。紙製品やラップ類は前年を上回っているが、洗剤類が不調である。

 10月の売上げは、昨年は10月に売れた秋物商品が、今年は9月に売れたほか、消費者の買い控えが一層強まり、前年を下回ると見込まれる。  


 自動車販売会社

C社  20年4〜9月の大阪の軽自動車の販売台数は、前年同期比で0.2%増加した。

 同社では、軽乗用車を中心に軽商用車、小型乗用車を販売している。

 軽乗用車は、新モデル車の投入があり、好評なことから、順調に販売を伸ばしている。

 同社では、様々な価格帯の軽乗用車を販売し、顧客の要望に応えている。標準的な装備の標準車は、車両価格が手頃であり、また、スポーティーなデザインで、装備のグレードも高いカスタム仕様車は、車両価格は高価となるが、それぞれ人気がある。

 軽乗用車は燃費が良いことから、ガソリン価格の上昇が続く中、消費者が軽乗用車を選択する傾向にある。また、装備の面でも、車内が広くなるなど、小型乗用車と遜色ない車種も出てきている。高いグレードの軽乗用車は、車両本体の価格では小型乗用車と差が小さいものや逆転して高いものもあるが、税金、保険が安く、燃費も良いことから、維持費も含めた全体経費が経済的であるとして、小型乗用車に対して優位性がある。家族向けの車としては、小型乗用車のワンボックスカーの人気が高かったが、子供が1〜2人であれば軽乗用車を選ぶ家族も増えてきている。

 高齢者でも乗降しやすく改良された福祉車両は、初期に比べて性能が向上し、価格も手頃になってきていることから、販売が増加してきており、今後も増加が見込まれている。乗用車の購入には、まず来店してもらい、説明を聞いてもらうことが大事で、同社でも販売店舗での顧客満足度向上を図っている。乗用車は高い買い物であり、消費者も複数の販売店舗を回って比較検討している。その中で、選ばれるために、説明と試乗を重視している。店舗で説明を聞いた後、実際に乗用車に試乗してもらい、他の車との違いを実感してもらうことで、購入につなげていく。

 10〜12月の見通しは、好調なスペース系乗用車を中心に、新モデル車の投入により、前年同期を上回る目標を立てている。  


家電小売

D社  20年7〜9月の売上げは前年同期を下回った。

 これは、7月から8月前半までは、猛暑や北京オリンピックの効果から好調であったが、8月後半からは来店客数が減少し、苦戦したためである。

 テレビは、北京オリンピックの効果のほか、地上デジタル放送が始まり、アナログ放送の終了まで残り3年となったため、買い替えが進んでいる。DVDレコーダー等も好調であった。

 デジタルカメラ、デジタルビデオカメラは、前年を下回った。デジタル一眼レフカメラは、製品の種類が増え、価格も下がってきていることから好調であったが、台数の割合の大きいコンパクトカメラが不調であった。

 パソコンは、携帯に便利なウルトラモバイルノートパソコンと呼ばれる軽量・小型の低価格品の販売台数は伸びているが、とくにデスクトップ型が不調で、パソコン全体の売上げは前年を下回った。

 オーディオ関連では、デジタルオーディオプレーヤーが好調である。ヘッドフォン、スピーカー、ケースなど、関連商品も好調である。一方、ミニコンポやラジカセは低調であった。

 エアコンは、7月は暑くなったことから、前年の倍の売上げがあった。8、9月は前年に達しなかったが、7〜9月で見ると前年を上回った。省エネ性能の高い製品が選ばれている。扇風機は、7月に良く売れたため、8、9月は品切れとなった。

 冷蔵庫は、エアコン同様、7月に暑くなったことから、好調であった。冷蔵庫は10年ほどで買い替えサイクルが来るが、10年前と比べ省エネ性能が高くなり電気代が半分程度になる上に、今までと同じスペースでもより容量の大きい冷蔵庫を設置できることから、買い替えが進んでいる。

 生活必需品の価格上昇から、消費者が外食を控え、内食化が進んでいる影響で、電子レンジや炊飯ジャーが好調であった。

 健康器具も好調であった。4月からメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健診が導入され、健康への関心が高まったことから、体脂肪計、体組成計、歩数計が好調であった。

 携帯電話は不調であった。販売方法の変更により端末の店頭価格が上昇しているほか、長期保有を前提とした割賦販売制度も導入されたため、買い替えが進まなくなっている。

 テレビゲーム機は好調であった。

 映像ソフトでは、DVD用のソフトはレンタルサービスが普及しているため不調であったが、ブルーレイ用のソフトは伸長している。

 10〜12月の見通しは、地上デジタル放送対応機種への買い替え需要のあるテレビ、レコーダーや、省エネタイプへの買い替え需要のある冷蔵庫、エアコンの好調は続くと見込まれているものの、価格は低いが販売数量の大きい、電池やシェーバーなどの小物類が、来店客数の減少につれて売上げが減少すると予想される。

 同社では、新機能や省エネなど、買い替えのメリットを消費者に訴求することや、カーナビなどこれまで売上げの小さかった商品への取組を強化することで、前年を上回る売上げを達成したいとしている。   



大阪の消費に関する経済指標






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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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