最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(20年6月期、個別ヒアリング)



 個人消費は、4月は前年より降水量が多く、気温の寒暖の差も大きく衣料品が不調で、5月も降水量が多かったほか生活防衛意識の高まりにより前年を下回った。6月は前年同月に実施したクリアランスセールを7月に変更したことから、4〜6月の大型小売店全体の売上高は前年を下回った。 
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、遊園地を対象にヒアリング調査を行った。  
 今回ヒアリングを行った百貨店A社及びスーパーB社の6月の売上げは前年同月を下回った。また、コンビニエンスストアC社の6月の売上げは前年同月を上回り、遊園地D社の春季営業期間の入園者数は前年同期を下回った。 


 百貨店

A社  
20年6月の売上げは前年同月を下回った。

 これは、前年はクリアランスセールのスタートを6月30日の土曜日にしたのに対して、今年は例年通りの7月1日としたため、クリアランスセールの売上げが月ずれで入らなかったためである。

 品目別にみると、衣料品は前年を下回った。紳士服・洋品は不調で、中でもスーツ、フォーマルが不調ではあったが、父の日関連では、ポロシャツが好調で、ネクタイも購入単価は下がっているもののギフトの需要は好調であった。

 婦人服・洋品は不調であった。婦人服は、ブラウスは好調であったが、ワンピースが前年を下回ったほか、スカート、ニットも一部のショップでは不調であった。子供服・洋品では、ベビー用品は前年並みであったが、子供服はクリアランスの初日ずれの影響で不調であった。呉服は、催事が不調であったほか、今年は浴衣と併せて巾着など和装小物をセット買いする人の割合が前年よりは少なく、和装小物が不調であった。

 身の回り品は、婦人、紳士とも装飾品は好調であったが、靴の不調により、身の回り品全体では前年を下回った。婦人装飾品は、雨傘とレイングッズが好調であった。婦人靴は、レインシューズが好調であったが、サンダルは不調であった。紳士装飾品では、父の日で札入れやキーケースなどの革小物が好調であった。ハンドバックはナイロン素材で軽量なものが好調ながら革素材の重たいものは苦戦した。旅行用品は不調であった。

 スポーツ用品は前年並みで、化粧品は前年を少し下回った。 宝飾・貴金属は、輸入品の値上げの影響で時計などの販売が落ち込み不調であった。

 家庭用品では、リビング家具、カーテン・カーペットが好調であった。 食料品は、地下の元売り場は好調であったが、催事が前年を下回ったため、全体では前年並みであった。鮮魚を中心とした生鮮食料品、和洋菓子、惣菜が好調であったが、保存食品は不調であった。父の日関連では、洋酒が好調であった。

 お中元は、6月は前年をわずかに下回った。購買の傾向としては、一人当たりの送付件数が少なくなっているが、1点単価は前年より上がっている。品目別ではビールが売れているほか、産地直送などのグルメ商品もよく売れている。

 7月の売上げは、クリアランスセールの初日が7月1日になったことから、前年を上回ると見込まれる。  


 スーパー

B社   20年6月の売上げは前年同月比2%減少した。

 これは、前年より雨が多く、夏物衣料が不調であったためと、食料品や生活用品の値上げが続き、消費者の節約志向も強まってきているためと考えられる。

 品目別にみると、衣料品は不調であった。婦人衣料では、チュニックやデニムパンツは好調であったが、スカートなどが不調で、前年を下回った。紳士衣料では、水着の上に着る紫外線対策や保温効果があり他のスポーツでも使えるシャツが好調であったが、ビジネス衣料を中心に不調で、前年を下回った。子供服は催事の日程が昨年と変わったこともあり不調であった。肌着は、夏物への買い替えが進まず、不調であった。

 服飾は催事の日程のずれもあり不調であった。バッグでは、トラベルバッグの好調が続いているほか、スポーツバッグも好調であった。雨の日が多かったため、帽子やUVカット加工の手袋、サングラスは前年を下回った。

 食料品は好調であった。農産物は、相場高の中、野菜は好調だが、果物は不調で、農産物全体では前年並みであった。畜産物は好調だが、牛肉は前年を下回った。水産物は不調であった。

 加工食品は好調であった。ナショナルブランド商品の値上げが続いているため、割安なプライベートブランド商品が好調である。特に袋入りのインスタントラーメンが好調であった。小麦製品の値上がりの影響から、米の売上げが増加している。ビールは前年割れとなったが第三のビールと言われるビール風味のアルコール飲料が好調で、酒類は好調であった。アイスクリームは、高価格帯の製品は不調であったが、中・低価格帯の製品が好調で、全体として好調となった。

 たばこは、自動販売機での売上げは減少したが、レジでの売上げが増加したため、好調であった。

 その他の商品は、前年を下回った。

 余暇・ホビーは前年を下回った。トレーディングカード、男児玩具、女児玩具は好調であったが、TVゲームが不調であったため、玩具全体で不調となった。自転車は好調が続いているほか、自転車の子供用ヘルメットの売上げが伸びている。

 家電製品は、不調であった。消費者が外食を控え、自宅で調理する傾向にあり、ホットプレートとガステーブルコンロは好調であった。エアコン、白物家電、薄型テレビなど不調であった。

 化粧品は前年を下回った。男性用化粧品とカウンセリング化粧品は好調であったが、一般化粧品が前年を下回った。

 住居関連では、まな板など調理器物は好調であったが、寝具類、家具は不調であった。

 日用消耗品は前年を下回った。紙製品やプラスチック製品の単価の上昇による売上げ増加が一巡してきている。

 父の日関連商品は、カットソーやポロシャツが好調であった。食品では、豚肉ステーキ、第三のビールは好調であったが、牛肉ステーキとビールは前年を下回った。

 お中元は、前年は6月中としていた早期割引の期間を7月初めまでに延長したため、6月の売上げは前年を下回った。

 7月の売上げは、7月に入り暑くなったことから夏物衣料やエアコンが好調で、前年を上回ると見込まれる。


 コンビニエンスストア

C社   同社の大阪府内店舗の20年6月の売上げは前年同月を上回った。

 これは、6月から近畿地区でも成人識別たばこ自動販売機の稼動が開始され、タスポ(事前の申し込みにより発行されるたばこ自動販売機用の成人識別ICカード)がなければ自動販売機ではたばこが購入できなくなったため、タスポを持っていない人が、対面販売であるコンビニエンスストアでたばこを購入することが増えたためである。

 6月は、売上げ、客数、客単価ともに前年同月を上回った。タスポ導入によりたばこの購入のために来店する新規の客が増えた上に、たばこの単価は高いためである。たばこ購入のついでに他の商品も購入する「ついで買い」も増えたものの、一方でたばこだけ購入する客もいるため、一人当たりの購入点数は増えていない。

 食品関連は前年を若干上回った。弁当などファーストフードは前年を若干上回った。同社は比較的低価格の弁当の品揃えが充実しており、利用されている。日配食品は、パンが好調であった。パンは原料高により販売価格が上昇しているが、それほど買い控えはなく、金額ベースで前年を上回った。加工食品では、ガムなどの菓子が好調であった。また、飲料では、たばこ購入の「ついで買い」が多いコーヒーが特に好調であった。

 非食品関連では、たばこは増加したが、日用品や本などは若干減少している。

 コピーや収納代行などのサービス関連の売上げは、前年同月並みであった。

 20年後半の売上げは、タスポの導入による客数増加とそれに伴う売上げの増加から、前年同期を上回ると見込まれる。ただし、今後、タスポの普及にともない、たばこ自動販売機での購入も増えてくることから、タスポ効果は半年ほどで終わると予想されている。


遊園地

D社   20年の春季営業期間中(3月20日〜6月29日)の入園者数は、前年同期を下回った。

 これは、週末の天候が不順であったこと、5月からガソリン価格の再値上げにより車での来園者が減少したことが大きい。また、リニューアル工事中であり、来園を控えた人もいると考えられる。

 同園は、動物園を併設し、イルカショーも実施している。同園のイルカショーの人気は高く、有料にもかかわらず入園者の約4割が観覧する。また、就学前の幼児が利用できるアトラクションが揃っていることから、就学前の幼児とそのファミリー層の利用が多く、リピート率も高い。また、平日には幼稚園や小学校低学年の遠足の利用が多く、団体客と個人客の比率は、1対9である。

 春季営業期間中のイベントは、小学生から中学生に人気のあるアニメキャラクターのプレイコーナーを実施し、好評であった。これにより、期間全体の入園者数が減少したが、従来とは違う客層の来園があった。このコーナーでは、有料の体験型アトラクションが多かったが、それらも人気があった。休日に実施しているキャラクターショーは、就学前の幼児や小学校低学年の子供の人気が高い。

 同園は、敷地が広く、緑が多いことから、シルバー層の花見や散策などの利用もあり、またシルバー割引も実施している。また、電車の割引往復乗車券と入園券がセットになったきっぷも発売しており、利用率が上がってきている。

 平成20年度の入園者数の見通しは、前年同期並みを見込んでいる。夏休み期間には、例年通りプールを営業するが、今年は園内のアトラクションの1日フリーパスを導入することにより、プール利用者による園内アトラクションの利用の増加を図る。また、秋にはリニューアル工事が終了する予定であり、これまで来園を控えていた人が来園すると予想される。

 競合相手には、遊園地、テーマパーク以外にも、近隣に昨年末にオープンした新しいレジャー施設や、休日の外出先となるショッピングセンターがある。また、ガソリン、食料品、生活用品の値上げも続いていることから、消費者がレジャーへの支出を減らすことも考えられる。同園でも、新たな仕掛けをしなければ、入園者数の減少傾向は続くと予想している。そのため、同園では、動物園や幼児向けの乗り物など、特色を活かしつつ、新しいイベント等で今まで同園を知らなかった人の認知度を高め、来園を促していくとしている。 


大阪府の消費に関する経済指標





 

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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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