最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(19年3月期、個別ヒアリング)



  個人消費は、前年が記録的な厳冬で、冬物商品等の売上げが好調だったのに比べ、今年は暖冬により、冬物商品が大きく落ち込んだ上に、春先の寒の戻りにより春物商品の売上げも伸び悩んだことから、大型小売店全体の売上高は前年を下回った。 
  当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、旅行会社を対象にヒアリング調査を行った。 
  今回ヒアリングを行った百貨店A社の平成19年3月の売上げは前年同月を下回ったが、スーパーB社の19年3月の売上げは前年同月を上回った。また、旅行会社C社の19年1〜3月の売上げも前年同期を上回った。

百貨店

A社  
19年3月の売上げは前年同月比0.9%減少した。

 
これは、3月は中旬から気温の低い日が続き、春物衣料が不調であったためである。

 品目別にみると、衣料品は前年を下回った。紳士服・洋品は好調であった。スーツは、催事の特価品及びイージーオーダースーツは好調だったが、中価格帯のスーツは不調であった。ワイシャツ、ベルトなどの革小物も好調であった。婦人服・洋品は不調であった。春物衣料は、2月に前倒しで売れたことに加え、3月中旬から気温が低くなったため、不調であった。婦人洋品では、肌寒いときにかけるスカーフ、帽子が好調であった。

 身の回り品は不調であった。紳士靴は不調だったが、婦人靴はパンプスが好調で、前年を上回っている。紳士かばんは好調だったが、婦人かばんは不調であった。婦人装飾品は昨年の好調の反動で不調であった。

 化粧品は3月上旬に暖かかったのでUVケア用品が伸び、好調であった。 宝飾・貴金属は、高級時計がユーロ高による値上げ前の駆け込み需要があり好調であったが、宝石・貴金属が不調で、全体では不調となった。

 家庭用品は、食器・調理用品は好調であったが、家具は前年並みであった。こだわりのある高級家具が好調で、単価が上昇する傾向にある。

 食料品は好調であった。ホワイトデー関連は高価格の輸入チョコレートが好調で、前年を上回った。3月末の花見弁当も好調であった。

 4月の売上げは、食料品は好調であるが、婦人衣料の不調が続き、全体では前年を下回ると見込まれる。


 スーパー

B社  
19年3月の売上げは前年同月比1.1%増加した。

 これは、前シーズンが厳冬で、冬物商品はほとんど残っていなかったが、今シーズンは暖冬で、冬物商品の在庫があり販売できたこと、3月前半が暖かく、春物商品や飲料の売上げが好調であったためである。ただし、3月の後半は寒の戻りがあり、好調となった商品と、不調となった商品に分かれた。

 品目別にみると、衣料品は好調であった。婦人衣料では、カットレングスのパンツは好調、カットソーなどのトップスは前年並みであったが、他はスーツを中心に不調で、前年を下回った。紳士衣料では、スーツ、カッターシャツ、ネクタイなどフレッシャーズ関連が好調で、前年を上回った。子供服は、ベビー用品は不調であったが、他は好調であった。肌着は、婦人のカジュアルインナー、春物パジャマは好調であったが、他は不調で、前年並みとなった。

 服飾は好調であった。バッグでは、インポートバッグの好調が続いているほか、紳士かばんもフレッシャーズ関連で増加が大きい。

 食料品は前年より好調であった。農産物は、野菜が相場安、果物が相場高で、売上げは前年比で増加した。野菜は、鍋物需要が終わったほか、季節野菜も2月にピークがずれてしまったため、不調であった。果物は、相場高のため販売単価を上げざるを得なかったので、品質の高いものを割高感を抑えて販売し、好調であった。畜産物は前年並みとなった。水産物は不調であった。

 加工食品は好調であった。気温が高かったため、スポーツ飲料が好調であった。お茶は、特定保健用食品が定着しつつあり、単価の高い物が売れている。野菜ジュースは、前年の好調の反動で、減少した。アイスクリームも好調であった。惣菜では、雨の日が少なかったため、弁当が好調であった。

 その他の商品では、化粧品等と日用消耗品は前年を上回ったが、他が不調で、全体では前年をやや下回っている。

 余暇・ホビーは、キャラクター玩具が女児、男児ともに不調であった。TVゲーム機は好調であるが、増加幅が小さくなってきている。新学期向けの文房具等は、前年並みである。自転車の好調が続いている。

 家電製品は、不調である。液晶テレビは単価の下落に加え、販売数量も減少したが、ビデオカメラ関連商品は好調であった。エアコンなどの大型家電が不調であるが、掃除機は単価の高い商品が好調で、前年を上回っている。

 化粧品は好調であった。薬品は、花粉の飛散が去年に比べて多かったため、鼻炎薬、マスクが好調であった。

 住居関連では、鍋などの調理器物が好調であったが、布団、家具は不調で、全体として前年を下回った。

 日用消耗品は好調であった。掃除洗濯用品、キッチン洗剤、衛生用品をはじめほとんどが好調であったが、園芸関連は不調であった。

 ひなまつり関連商品では、握り寿司など一部に好調な商品はあるが、全体としては不調であった。

 ホワイトデー関連商品は、チョコレートはブランド品が好調であったが、ハンカチ等は不調であった。

 新学期用品は、人気のあるキャラクターが見られず、学習机では売れ筋の単価が下がり、不調であった。ランドセルは、高機能の商品が受け入れられ、好調であった。

 フレッシャーズ、リクルート関連商品は、スーツ、バッグを中心に好調であった。 4月の売上げは、暖かくなってきたため、前年並みと見込まれる。


 旅行会社

C社  同社の関西・中国・四国地区の19年1〜3月の売上げは、前年同期をやや上回った。

 売上げをみると、国内旅行はほぼ前年並み、海外旅行は約5%増加している。販売額における国内旅行と海外旅行の構成比は、約7対3である。個人旅行と団体旅行に分けると、個人旅行はやや増加、団体旅行は前年並みであった。個人旅行と団体旅行の構成比は、7割強対2割強である。

 国内旅行は、個人の企画旅行に限ると、人数では3%増加、売上げでは6%増加している。これは、遠方で宿泊に加え航空券やJR券がセットになった企画が好調で、販売単価が上昇しているためである。特に、北海道や九州方面で航空券もセットになったプランと、東京ディズニーリゾート向けで航空券又はJR券がセットになったプランが好調であった。神戸空港開港1周年を記念して、神戸・関西・伊丹空港出発の航空機と宿泊のセットプランを売り出したところ、好調であった。また、少々価格が高くても、内容の良い商品であれば売れるようになってきており、単価アップにつながっている。一方、宿泊だけのプランは前年同期を下回った。

 国内の団体旅行は、学生団体旅行が不振であったが、職場の親睦旅行が増加してきている。

 海外旅行は、個人の企画旅行に限ると、人数では8%減少、売上げでは3%減少となった。燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の影響により、人数は減少している一方で、販売単価はアップしている。中国、台湾、バリ方面に人気があった。中国では上海の人気が高く、上海だけに数日滞在するプランが好調である。アジア方面では、食事と観光が当初から設定されたプランの人気が高い。ハワイ方面は、関西国際空港発の直行便が減少している影響で、落ち込みが大きい。学生向けの海外旅行が好調で、その中ではグアムの人気が高かった。海外旅行では近距離が増加したため、宿泊数は短くなっている。

 個人のクーポン券類販売は、ほぼ前年並みであった。

 インターネットによる販売額は、全体に占める割合はまだ大きくないが、増加してきている。同社のホームページのトップページからの検索ではなく、インターネットでキーワード検索をしてたどり着く利用者が多いようである。インターネットによる購入は、出発の1ヶ月前を切ってから行う例が増えている。

 特徴ある商品としては、団塊の世代とその上の世代を対象に、目的のはっきりした企画旅行を増やしている。また、三世代旅行では祖父母の費用を割り引いたり、乳幼児は添い寝をすれば格安になるなど、多人数や小さな子供がいても参加しやすい企画を増やしている。

 ハネムーン、海外ウェディングについては、ハワイとグアムが好調である。数年前より同行者の人数が増えてきている分、近距離が選ばれているため、オーストラリアは減少気味である。

 ゴールデンウィークの予約状況は、販売額で国内が前年同期比16%増、海外は同10%減である。これは、休日の日並びが前半と後半に分散しているため、海外の長期旅行が減少しているためである。国内は引き続き北海道、東京の交通費セットプランが好調なほか、宿泊だけのプランの予約も好調である。

 4〜6月期の見通しは、前年同期比で国内旅行は増加、海外旅行は前年並みの見通しである。これは、国内旅行では引き続き北海道、東京、九州の交通費セットプランが好調であるが、海外旅行はハワイ方面が引き続き不調で、アジア、中国は好調なためである。

 旅行の予約方法として、個人が直接航空会社、鉄道会社、宿泊施設等にインターネットの予約サイトや各事業者のサイトを通じ予約する方法が増えてきている。これに伴い、店頭での個人のチケット類販売は減少していくと見られる。同社では、インターネットにより情報を発信し、その情報を見て個人が同社のインターネットで購入するほか、インターネットを見て店頭を訪れる客に対し、対面での応接を強化し、商品の購入につなげていきたいと考えている。



大阪府の消費に関する経済指標

このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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