最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(18年3月〜5月期、個別ヒアリング)



  個人消費は、季節商品には好調なものもあるが、全体に低調で、春先に低い気温が続いたことや、店舗改装の影響から、大型小売店全体の売上高は前年を下回ったが、ニーズにマッチした商品や付加価値の高い商品には好調なものも多くみられた。
  当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、ホテルを対象にヒアリング調査を行った。
  今回ヒアリングを行った百貨店A社、スーパーB社の平成18年3月の売上げは前年同月を下回り、また、ホテルC社の平成17年度の売上げも前年度を下回った。

 

百貨店

A社  
18年3月の売上げは前年同月比10.8%減少した。

 これは、店舗改装により売場面積が約30%狭くなっているためである。同百貨店では、売場面積の減少と同程度の売上げの減少を予測していたが、販売は好調で、売上げの減少は約11%にとどまっている。
 
 品目別にみると、衣料品は堅調で、約8%の減少にとどまり、販売計画を上回っている。紳士服・洋品では、コート類などの重衣料が好調で、気温の上昇につれてウールコートからスプリングコートへと販売が順調に移っている。ただし、セーター、ブルゾンといった冬物は、3月はやや低調であった。婦人服・洋品は、すべての品目で販売計画を上回るなど好調で、中でもコート類が好調であった。18年に入ってから、販売増加の動きがシニアからヤング向けへと広がっている。子供服・洋品では、全般に動きが良く、トドラー(2〜4才児)を中心に好調に推移している。

 身の回り品は前年並みで推移した。紳士装飾品は全般に好調で、ベルト、財布などの革小物が好調であった。婦人アクセサリーは前年並みで推移した。靴は、子供はほぼ面積に連動して推移したが、紳士、婦人は好調であった。

 家庭用品は売場面積が約60%減少したのに対して、売上げは約30%程度の減少にとどまっている。特選洋食器などの高級食器、家具が好調である。また、寝具・ナイトウェアも上質な商品が好調で、前年を上回っている。

 食料品は売場面積が約半分になっているが、売上げは約20%程度の減少にとどまっている。洋菓子、和菓子は好調で、惣菜・生鮮食料品も、面積当たりでは前年並みの売上げを確保している。

 食堂・喫茶は改装により面積が大幅に削減されているが、面積当たりでは前年の売上げを上回っている。 雑貨は文具が好調で、高級筆記具などの高額品の売上げが好調である。宝飾品の売上げも好調であった。

 化粧品は約10%増加した。改装により売場が1階から2階へと移されたものの、国内メーカー品、外資系とも好調である。

 季節商品のランドセル、雛人形、五月人形などが好調であった。

 バレンタイン・ホワイトデー関連商品は、食品は前年並みであったが、アクセサリーが不調であった。ニューヨークからの有名なチョコレート専門店の出店がテレビで取り上げられたことなどが集客力を高め、売上げにつながった。

 18年4月の売上げは、3月からの好調さが続いており、婦人服・洋品、身の回り品、食料品、雑貨の好調が見込まれる。顧客の購買金額の上昇が、売上げ増に寄与しているものの、引き続き来店客数は減っており、来店客数の回復が今後の課題となっている。


 スーパー

B社  18年3月の売上げは前年同月比3.4%減少した。

 これは、通常なら3月は春物商品の売上げが伸びる時期であるが、今年は気温が低めに推移したため、春物商品の売上げが不調であったことによるものである。

 品目別にみると、衣料品は、春物商品が不調で前年を下回った。気温が低めだったことから、女児のカットソー、男児ジャンパー、婦人ジャケット、紳士の裏地つきのハーフコートといった羽織ものが好調で前年を上回ったが、春物商品は総じて不調であった。季節商品としては、入園入学関連商品の品揃えを増やしたことから、男児フォーマルと婦人アンサンブルの売上げが増加した。ベビーは売り場の縮小があったため、前年を下回った。冬物のトレーナー、タイツなどの冬物商品については、12月に寒く、その時期に売れたことから、3月は不調であった。紳士服・洋品は、裏地つきのハーフコートは好調であったが、ジャケットは不調であった。

 身の回り品は、3月は重点的に販売促進した効果により、全般に好調であった。靴は、特に婦人物とスポーツ物が好調であった。かばんは紳士、インポート物が特に好調であった。ランドセルも、単価の高い商品の売り上げが好調である。また、3月は降水量が多かったため、雨傘が好調であった。

 食料品は5%減少した。畜産物では、豚肉、鶏肉が好調であったものの、牛肉が、BSE(牛海綿状脳症)検査未解決による輸入停止延長による相場高で、引き続き減少しているため、全般に不調であった。水産物は魚卵など一部好調な品目もあるものの、鮮魚が不調だったため、全般に不調であった。野菜は相場安が続いている影響で全般に不調で大きく落ち込んだ。果物もイチゴが雪のため品薄となり不調、輸入オレンジも昨夏のアメリカのハリケーンによる不作のため不調であった。みかんは好調であった。加工食品は、加工食品に主力を置いた新店の売上げが好調であった。飲料では健康志向を反映して、スポーツドリンクや野菜ジュースといった単価が高い飲料が好調である。ホワイトデー関連商品は、単価が上がったため好調であった。

 住関連商品では、新生活向けの家電が好調であったほか、原油高によりプラスチック製品の特売を行わなかったが、単価の上昇に比べて販売量の落ち込みもなく、好調であった。新入学用の学習机は、好調であった。
 
 文具では、筆入れなどの新年度用品で、キャラクター物などの単価の高い物を中心に好調であった。玩具は、新店で重点的に品揃えを強化しているため、好調である。とりわけ、女児玩具は、ヒット商品の影響で特に好調である。TVゲームは、特定の機種の好調が継続しており、集荷できたものはすぐに売れるという状況である。

 寝具、寝装品は、不調であった。

 家電製品は、液晶テレビの好調、オーディオ製品の不調が続いている。

 新店で力を入れている洋食器、調理用品、調理器具が好調であった。

 医薬品は、薬品、化粧品ともに前年を上回った。化粧品は、カウンセリング化粧品、一般化粧品ともに好調であった。健康食品は、昨年のブームが一巡したことから、前年に比べ売上げは減少した。
 
 花粉症関連商品は好調だった昨年に比べ、不調である。特に空気清浄機、布団乾燥機の落ち込みが大きい。

 4月の売上げは、気温の低い状況が続き、春物商品が引き続き不調であるため、全体的に不調が見込まれる。


 ホテル

C社  
17年度の売上げは、前年度を若干下回った。

 これは、16年度に、隣接する施設が世界ロータリー大会の主会場となり、売上げが好調だった反動で、特に上半期の売上げが前年比で大きく減少した。

 宿泊部門は、18年のゴールデンウィーク前に新規にオープンしたエグゼクティブフロアが好調である。これは、既存のエグゼクティブ向けの客室の人気が高く、予約が取りにくかったことに対応したもので、従来のものとはコンセプトを変えて新規にオープンしたものである。ゴールデンウィーク中(4月29日から5月7日まで)は、客室全体では稼働率が75%であったが、新規のエグゼクティブフロアでは85%(5月3日から5日までは満室)と好調であった。このため、ゴールデンウィーク期間中の宿泊部門の売上げは、前年比10%増加した。

 同社は、顧客層を固定的に捉えるのではなく、同じ顧客でもビジネスユースや、休日の非日常感を味わうためなど、利用目的に応じてニーズが異なると考え、ホテルを利用目的に応じて使い分けることができるよう様々な客室を用意し、サービスの提供に努めている。

 客室の予約では、個人客では、インターネットによるものが全体の30%程度を占めている。インターネットによる宿泊予約では、従来宿泊予約のためのポータルサイト経由が主流だったが、現在では直接自社サイトからのもののウェイトが高まっている。これは、宿泊予約に際して、消費者の間でネットでじっくり内容を調べる傾向が強まっており、ホテルとしても消費者にニーズや季節、暦などに応じたプランを直接訴求できる手段として、自社サイトに一層の力を入れていることによるものである。

 レストラン部門は、ゴールデンウィーク中の売上げが前年比15%増となるなど好調である。3月にリニューアルオープンした中華料理店が好調で、その店舗のみでは売上げが前年比70%増となっている。それまでの中華料理店も好評だったが、客層が中高年男性に偏っていたことから、若い女性にも好まれる点心を含む広東料理の店舗へとリニューアルしたもので、顧客層の拡大につながっている。また、階下の客室を店舗に取り込んで個室を設けたことにより、他の顧客を気にせずに食事を楽しむことができるようになったことから、家族連れの増加につながっている。

 このように、新規に改装したレストランは新規顧客の開拓につながっており、同社では他のレストランも順次改装し、集客に努めていくとしている。

 ホテル内にあるグルメブティック本店の売上げは、17年度は前年比若干の増加である。ただ、事業部門全体でみると、梅田駅前や郊外の百貨店へ出店したことにより前年比約1割の増加が見込まれる。百貨店への出店により、本店まで来店していた顧客の本店来店機会は一部減少しているが、部門全体での新規顧客の開拓につながり、増収となった。同社では、ホテル敷地内にパン工場、惣菜工場を増設し、製造能力の増強をした上で出店し、品質を維持している。

 ブライダル部門は、若年人口の減少と晩婚化によりブライダル業界全体の需要が減少していく中で、レストラン、宿泊、その他のサービス等を含んだホテル挙式の総合力で選ばれるように努めている。その結果、利用客数は減少しているが、それを客単価の上昇で補っている。

 当ホテルの立地は交通の利便性に欠けるが、他のホテルにはない自社の良さをアピールする独自の商品開発、プランの提供に努め、新規顧客の獲得とリピーター率の向上を図っている。顧客の要望に応じたサービスを提供することにより、今後も同ホテルを利用したいと思う商品を提供するよう努めている。

 ただ、新しいものを求めるだけでなく、ラウンジや庭園など創業当初からの資産を大切に守り続ける姿勢も大切にしている。

 また、ホテルはサービス業であることから、人材が最も重要な資産と考えており、定年後もほとんどの社員を再雇用することでサービスの水準を守っている。新規採用も継続して行うことによって、技術の継承にも力を入れている。



大阪府の消費に関する経済指標



このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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