最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(17年9月〜11月期、個別ヒアリング)



 季節商品や在阪球団の優勝セールの効果で、個人消費は改善傾向にあるが、生鮮品の相場安や家電製品の不調などから、大型小売店全体の売上高は前年を下回った。
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、旅行会社を対象にヒアリング調査を行った。
 今回ヒアリングを行った百貨店A社の平成17年9月の売上げは前年同月を上回り、スーパーB社の17年9月の売上げは前年同月を下回った。また、旅行会社C社の平成17年7〜9月の売上げも前年同期を下回った。


 百貨店

A社  
17年9月の売上げは前年同月比11.6%増加
 
 これは、グループのプロ野球球団の優勝セールや、球団関連商品の売上げが好調であったこと、また、百貨店カードや友の会会員に対する優待割引の期間が延長されたことによるものである。特に、優勝セールの効果は大きく、ほとんどの部門で、売上げが前年を上回った(優勝セール:9月30日〜10月6日開催)。
 品目別にみると、衣料品は19.8%増加した。紳士服・洋品、婦人服・洋品、子供服・洋品のすべてにおいて前年を上回った。
 
 紳士服・洋品では、クールビズ効果によるワイシャツの好調が続いており、逆に、スーツやネクタイは不調であった。その他では、ヤング関係が好調であった。婦人服・洋品では、カットソーや羽織もの、スカートなど全般に好調であったが、くつ下は不調であった。子供服・洋品では、ベビー、子供服ともに好調であったが、女児の子供服は不調であった。
 
 身の回り品は16.7%増加した。婦人アクセサリーやハンドバック、ブーツなどの婦人靴は好調で前年を上回った。紳士装飾品ではベルトが好調で、紳士靴も全般に好調で前年を上回った。また、旅行用品も好調であった。
 
 家電製品は、優勝セールによる効果が大きく、前年を上回った。
 
 家庭用品は10.4%増加した。食器では洋食器、和食器ともに好調で、調理用品も全般に好調で、ともに前年を上回った。
 
 食料品は5.1%増加した。菓子は洋菓子、和菓子ともに好調で前年を上回った。和洋酒は、ワイン、焼酎が特に好調で前年を上回った。惣菜は好調であったが、生鮮食料品は、鮮魚や野菜をはじめ全般にほぼ前年並であった。
 
 食堂・喫茶は好調で6.9%増加した。
 
 雑貨は44.2%増加した。スポーツシューズやゴルフ用品が好調で、また、宝石・貴金属、時計などの高額商品も好調で前年を上回った。
 
 化粧品は2.9%増加した。国内メーカー品は引き続き好調で前年を上回ったが、外資系は不調で前年を下回った。



 スーパー

B社  17年9月の売上げは前年同月比1.8%減少

 これは、残暑により夏物商品の売上げやセールによる秋物商品の売上げは好調であったが、食料品が相場安などの影響で不調であっことや、在阪球団の優勝セールを見越しての家電等高額商品の買い控えによるものである。優勝セール期間には高額商品が好調であった(優勝セール:9月30日〜10月2日)。

 品目別にみると、衣料品は、夏物商品、秋物商品がともに好調で前年を上回った。紳士服・洋品は、クールビズの効果が続いており、柄カッターなどのシャツ、スラックスなどが好調で前年を上回ったが、逆に、三つボタン以外のスーツやネクタイは不調であった。婦人服・洋品は、長袖カットソーやスカート、パンツなどは好調であったが、ジャケット、ジャンバーなどのトップスは不調であった。子供服・洋品はベビー、トドラー(2〜4歳児)ともに好調であった。肌着は不調であった。

 身の回り品は、優勝セールの効果により婦人靴、特にブーツが好調であった。かばんは紳士、婦人ともに好調であったが、トラベル関係は昨年好調であった反動もあり前年を下回った。また、雨傘は好調であったが、レインコートは不調であった。

 食料品は2.6%減少した。畜産物では、牛肉が、BSE(牛海綿状脳症)検査未解決による輸入停止延長による相場高で、引き続き減少しており、豚肉、鶏肉も不調であった。水産物はさんまを除いて全般に不調であった。野菜は相場安が続いている影響で全般に不調で大きく落ち込み、果物も相場安の影響で全般に不調であった。飲料やアイスクリームは気温が高めに推移した影響で好調であったが、牛乳は健康飲料の種類が増加していることから不調が続いている。惣菜は洋風、和風をはじめ全般に好調であった。和洋酒は焼酎やチューハイが好調であり、発泡酒が不調であったが、売場拡大効果もあり前年を上回った。

 寝具では、優勝セールにより、高額品の羽毛布団が好調であった。

 家電製品は、気温が高めに推移した影響で、季節商品のエアコンが好調であった。液晶テレビなどのデジタル家電も好調で、単価が下がっていることから、売上点数が増加している。ビデオカメラやマッサージ器などの健康用品は不調であった。

 医薬品は、薬品、化粧品ともに前年を上回り、健康食品も売場面積の拡大による取扱商品の増加などにより好調が続いている。

 化粧品は、量販店で取扱いのない商品や高額商品が好調であった。

 住居関連では、季節の和食器や、保温性のある水筒、行楽用品が好調であった。

 敬老の日関連商品は、全体的に不調であった。衣料品では、手袋やマフラー、ハンカチが、また、食料品では、寿司や和菓子が、それぞれ好調であった。マッサージ器などの健康器具が不調であった。

 10月の売上げは、優勝セールを除くと全体的に不調であった。


 旅行会社

C社 同社の関西地区(2府3県)の17年7〜9月の売上げは、前年同期比を3.0%減少

 国内旅行、海外旅行ともには前年同期で3.0%下回った。販売高における国内旅行と海外旅行の構成比はほぼ3対1である。これは、国内旅行、海外旅行ともに7月、8月は好調であったが、9月は選挙の影響で、ともに不調であったことや、国内旅行で、クーポン券類販売などの個人旅行が不調であったことによるものである。

 国内旅行は、7月は好調で、8月はほぼ前年並み、9月も主催旅行や後半の3連休は好調であったが、選挙の影響で団体旅行が不調であった。沖縄方面や東京ディズニーリゾート、九州方面、伊勢志摩が好調であった。愛知万博開催による他の国内旅行への影響はほとんどなかった。愛知万博の効果としては、入場券の販売が好調であった。海外旅行は、7月は不調であったが、8月は盆休みの前後10日間に予約が集中し好調であった。9月は8月の反動や選挙の影響で不調であった。中国が反日デモの影響で大きく落ち込んだが、スマトラ沖地震・津波地区(プーケット島など)を除いたアジアは好調であった。また、9月はハワイ、グアムが好調であった。

 10〜12月(見込み)の状況は、国内旅行は、主催旅行、団体旅行ともにほぼ前年並みであるが、クーポン券類販売などの個人旅行が前年を下回るため、全体としては前年を下回る見込みである。沖縄方面や伊勢志摩、近郊の宿泊プランは好調であるが、北海道、九州方面は不調である。また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン商品も好調である。海外旅行は、団体旅行は前年を上回っているが、主催旅行が旅行代金とは別途に加算される付加運賃・料金アップの影響で前年を下回ると予想され、全体としては前年を下回る見込みである。グアム、韓国、台湾が好調で、スマトラ沖地震・津波地区(プーケット島など)や中国、バリ島などは不調である。

 国内旅行のクーポン券類販売は、インターネットにより、個人で直接宿泊施設に申し込むケースや、宿泊予約専門サイトからの申し込みなどが急速に増加し、さらに、JR切符、航空券などについても、同様にインターネットでの購入が増加していることから、販売額は減少している。

 海外旅行は、SARSやテロの影響から回復傾向で、販売高もここしばらく前年並みであった。しかし、最近の原油高の影響で、今年4月以降「燃油サーチャージ(付加運賃・料金)」が旅行代金とは別に掛かることになったため、旅行費用が増額になったことに加え、円安の影響もあり、主催旅行が落ち込んでいる。今後も、「燃油サーチャージ(付加運賃・料金)」の付加や円安傾向は続くと予想され、旅行需要への影響が懸念されている。

 販売単価については、国内パッケージ商品は、前年度とほぼ同額であり、海外パッケージ商品については、原油高や円安による影響などから若干上昇している。最近の特徴として、TVや雑誌などによる旅の特集で、施設や食事の情報が豊富になったことから、施設や食事内容にこだわるなど、価格だけでなく内容を重視する傾向がある。そのため、申し込み価格はアップしており、単に価格が安いだけの商品は人気がなくなっている。

 このようななか、国内・海外の主催旅行の販売拡大のため、ブランド商品のラインナップを再構築し、ブランド力の強化に取り組んでいる。
 また、今後大幅な需要の増加が見込まれる 50歳以上の年齢層を最重点顧客層として捉え、そのニーズにあった商品開発に重点を置いており、品質にこだわった高価格商品の販売を集中的に行い、販売拡大を図りたいとしている。特に海外では、このような熟年市場取り込みのため、「熟年海外特選旅行」を実施ししており、専用のパンフレットを作成し、事前説明会を開催するなどの販売強化を図っている。また、ビジネスクラスでヨーロッパへ行く商品や、豪華ホテルやレストランを利用しゆっくり観光する商品、医学の講習を受けた添乗員が担当する商品など、富裕層をターゲットにした商品の販売も積極的に行っている。
 さらに、ハネムーン・海外ウエディングも最重点顧客層としており、高品質、高価格の商品を強化し、販売促進を図っている。

 インターネットによる販売額は、現在全体の5%程度であるが、急激な伸びを示しており、今後も増加が期待できる。そのため、今後もサイトの充実やインターネットによる商品販売に加えて、Web専用商品の販売拡大に取り組んでおり、既に携帯電話を利用した商品の申し込みを始めている。Web商品では、コスト削減により、代金が通常商品よりも安いなどの利点もあり、需要が見込まれることから、今後も一層の拡大に努めたいとしている。

 団体旅行では、イベント・コンベンション・会議などにおいて、企画の提案などを行い、企業や自治体など、新しい団体需要を積極的に生み出し、販売促進を図りたいとしている。
 さらに、他の旅行会社とのアライアンスを推進し、他社の商品を取り扱うなど、新しい戦略も積極的に展開している。

 旅行業界全体の状況としては、やや回復傾向にあるが、今後も原油高による旅行需要への影響など、厳しい状況が続くと予想されている。
 このため、今後も多様化する顧客のニーズに応じたオリジナル商品の提供など、充実した内容の商品を販売し、商品競争力の強化を図るとともに、カウンターにおける接客態度の向上にも努め、顧客の獲得、売上げの増加を図りたいとしている。
 

大阪府の消費に関する経済指標




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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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