最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(17年6月〜17年8月期、個別ヒアリング)



 季節商品を中心に個人消費は改善傾向にあるが、割引販売期間の延長や生鮮品の相場安から、売上高は前年を下回る。
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、外食産業を対象にヒアリング調査を行った。
 今回ヒアリングを行った百貨店A社、スーパーB社の平成17年6月の売上げは前年同月を下回り、外食産業C社の平成17年7月の売上げは前年同月を下回った。


 百貨店

A社  
17年6月の売上げは前年同月比2.2%減少
 
 これは、中元の早期割引期間が、昨年の6月末から7月まで延長されたことや、カードによる優待割引期間が7月まで延長されたことによるものである。このため、売上げが7月にずれ込み、中元商戦は前年を下回った。
 
 品目別にみると、衣料品は3.6%増加した。紳士服・洋品、婦人服・洋品は前年を上回ったが、子供服・洋品は前年を下回った。
 紳士服・洋品では、クールビズ効果によりワイシャツ、特にボタンダウンやスラックスが好調で、前年を上回ったが、逆に、スーツやネクタイは不調であった。その他ジャケット、ヤングも好調であった。婦人服・洋品では、カットソーや羽織もの、パンツなどは好調であったが、下着は不調であった。子供服・洋品は、昨年が改装効果で好調であった反動もあり、ベビー用品、子供服ともに不調であった。その他衣料では、浴衣が好調で前年を上回った。水着は売場面積縮小の影響もあり前年を下回った。
 
 身の回り品は2.7%減少した。婦人アクセサリーやハンドバッグ、革小物が不調であったが、婦人靴は前年を上回った。なかでも、パンプス、サンダルは好調であったが、ミュールは不調であった。パラソルや晴雨兼用傘、UV手袋、帽子等の日焼け防止商品も好調であった。クールビズによる紳士服の好調の効果もあり、紳士装飾品ではベルトが好調で、紳士靴ではカジュアルシューズが好調で、前年を上回った。また、旅行用品も好調で前年を上回った。
 父の日関連商品は、クールビズの効果でシャツ類が好調であったが、ほぼ前年並であった。
 
 食料品は6.3%減少した。これは中元の早期割引期間が7月まで延長されたことの影響が大きい。菓子は洋菓子、和菓子ともに前年を下回り、和洋酒も前年を下回った。惣菜は好調であったが、生鮮食料品は、鮮魚や野菜をはじめ全般に不調であった。
 
 食堂・喫茶は好調で前年を上回った。1階に新しくテナントが出店した効果と、天候に恵まれたこともあり、屋上ビアガーデンが好調であったためである。

 化粧品は、国内メーカー品は、ブランドの増加もあり好調で前年を上回ったが、外資系は不調で前年を下回った。

 スーパー

B社  17年6月の売上げは前年同月比0.4%減少

 これは、天候に恵まれ気温が高めに推移したことや、チラシ等の広告方法の変更効果により、夏物商品の売上げは好調であったが、食料品が、相場安などの影響で不調であっことによるものである。
 
 品目別にみると、衣料品は、夏物商品が全般に好調で前年を上回った。紳士服・洋品は、クールビズ効果により、シャツ、スラックス、ベルトなどが好調で前年を上回ったが、逆に、スーツやネクタイは不調あった。婦人服・洋品は、カットソーやTシャツ、スカート、パンツなどトップス、ボトムスともに好調で、リゾートウエアなどの季節商品も前年を上回った。子供服・洋品も全般に好調で、トドラー(2〜4歳児)、男児は好調であったが、女児は不調であった。水着は男児・女児ともに好調であった。肌着は全般に好調で、前年を上回った。
 
 身の回り品は、セール効果により靴が紳士、婦人、子供のいずれも好調で、かばんも全般に好調であった。また、パラソルやUV手袋も好調であったが、雨傘をはじめレイングッズは全般に不調であった。
 父の日関連商品は、クールビズ効果によりシャツ類が好調で、昨年を上回った。
 
 食料品は3.6%減少した。牛肉は、BSE(牛海綿状脳症)検査未解決による輸入停止延長による相場高で、引き続き減少している。水産物は全般に不調であった。野菜は、相場安の影響で全般に不調で、大きく落ち込んだ。果物も一部に好調な商品があったものの、相場安の影響で全般に不調であった。米は価格低下により不調であった。飲料は気温の影響で好調であった。惣菜は中食ブームなどから好調で、弁当・寿司類も好調であった。和洋酒は焼酎やチューハイが好調であり、売場拡大効果もあり前年を上回った。
 
 寝具では、気温が高めに推移した影響でタオルケットが好調であった。
 
 家電製品は、気温が高めに推移した影響で、季節商品のエアコン、扇風機が好調で、液晶テレビやDVDなどのデジタル家電も引き続き好調であり、冷蔵庫や洗濯機も好調であった。また、マッサージ器などの健康用品も好調であった。
 
 医薬品は、薬品、化粧品ともに前年を上回り、健康食品も好調が続いている。化粧品は、量販店で取扱いのない商品が引き続き好調であった。 
 
 住居関連では、簾やい草などの季節商品が好調で、行楽用品も好調であった。
 
 中元商戦は、5月末から7月初めが早期割引期間に当たり、前年を上回った。これは、酒類の送料を今年から無料にしたことによるものである。 
 
 7月の売上げは、天候が不順であったことから、住居関連以外は全体的に不調である。

 外食産業

C社 17年7月の売上げは前年同月を下回った

 これは、主力部門であるうどん部門をはじめ、そば、洋食、和食の各部門が全般に不調であったためである。同社は、近畿、関東を中心にうどんやそばをはじめ、洋食や和食レストランを全国に600店舗以上展開するとともに、ケータリング部門により、会館食堂、機内食、出張パーティ、弁当販売等を行っている。店舗形態は駅ビル、空港、百貨店、ショップングセンター等の大型商業施設内において、専門飲食店を出店している。
 
 売上高は、ここ数年減少傾向が続いている。拡大傾向にあった減少幅は、今年度に入って縮小し、前年まで微減であった客単価は、今年の4月以降上昇している。しかし、客数が減少しており、厳しい環境が続いている。外食産業においても、外食店舗数の増加や、中食業態との競合等により、既存店売上高は減少傾向にある。
 同社では、全客数のうち昼間の客数が全体の6〜7割を占めており、コンビニなどの弁当類との競争が激しく、価格面において、弁当類に比べて割高感があり、厳しい状況が続いている。
 
 うどん部門では、低価格のセルフうどんの急激な普及やコンビニなどの弁当類の影響が大きく、前年を下回った。これに対して、季節の食材を用いた商品や定食メニューの充実、うどんの大盛無料サービスなどによる顧客の獲得や、ビジネス街立地の店舗における酒房メニューの充実に取り組み、夕方以降の来客数の増加を図っている。
 
 そば部門でも減少が続いているが、減少幅が縮小し下げ止まった感がある。これは、店舗の立地場所に応じて、店舗ごとにメニューの改定や新商品・季節商品を導入し、また、郷土料理と地酒が楽しめる夜対応の店づくりなどで来客数の増加に取り組んだ効果によるもので、今後も、来客数の更なる獲得を図りたいとしている。
 
 洋食部門でも減少が続いている。サンドウイッチレストランでは、専門店としての特性を強化し、ヘルシー性の高い食材を使用し、「食の安全・安心」をアピールするなどの取組を行っている。
 
 ベンチャー部門では前年度を大きく上回った。これまでにない新業態としての店舗開発を進めており、韓国料理などの新規店舗をオープンさせ、これらが好調に推移したことによるものである。そのため、今後も店舗開発による新規出店で売上増を図りたいとしている。
 
 外商・給食事業は全般に好調であった。ケータリング部門の弁当・パーティの受注が好調に推移し、また、会館食堂やスーパー銭湯内のレストランなどの受託業務も好調であった。さらに、関西国際空港における機内食事業も、国際線乗り入れ便数および旅客数が順調に回復したことから、売上・利益ともに予定を上回るなど好調に推移した。
 
 同社では、各店舗に食材を調達し、店舗ごとに商品を製造する形態を採っており、手作り商品の提供を行っている。これは、調理済商品では出せない味や手作り商品の持つあたたかさやまごころを提供するという理念からである。今後もこの形態は維持し、手作り商品の魅力をアピールし、弁当類や中食との差別化を図り、新商品、新業態の開発を進めていくことにしている。
 
 各店舗では、定期的なメニューの見直しを実施し、顧客のニーズを素早く読み取り、メニューに反映するなど、顧客の満足を追求し、ニーズにあった新商品やメニューの開発、店舗づくりを行っている。また、サービス面にも重点をおき、スマイルキャンペーンの実施など、顧客が満足できるサービスの提供に努めている。そのため、人材の育成には力を入れており、業界随一の設備と規模を誇る研修センターを中心に人材育成を図っている。
 
 食に関する様々な問題の発生により、顧客の食に対する不安が増加している。このような状況に対応するため、同社では、徹底した品質管理を行い、「安全・衛生」についての研究を重ね、安全な食品の提供や食中毒の予防に努めている。
 これまでは、大型商業施設内に出店すればある程度の売上げがあったが、ここ数年は、商業施設自体が厳しい環境にあり、売上げが不調な店舗もある。そのため、不採算店舗の見直しに取り組み、店舗改装や業態変更を行い、将来性のない店舗については積極的に閉店している。このように、主に既存店の売上げ回復に取り組んでいるが、好条件であれば、新規出店を積極的に行い、さらに、既存の業種形態にとらわれない新業態の開発を進め、多店舗展開を目指している。
 
 外食産業は、中食業態との競合や外食回数の減少などにより市場規模が縮小傾向にあり、加えて、新規企業の参入による外食店舗数の増加による競争の激化など厳しい環境にある。
 今後もこのような厳しい状況が続くと予想される。このようなか、顧客ニーズの把握による新商品の開発やサービスの充実をはじめ、店舗改装や新業態の開発、新店舗の出店などに積極的に取り組み、顧客の獲得、売上げの増加を図りたいとしている。

 

大阪府の消費に関する経済指標




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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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