最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(13年6月〜8月期、個別ヒアリング)



当研究所では、現場での消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、旅館を対象にヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店の平成13年6月の売上げは、営業日数の増加や中元受注の前倒し効果で、前年を上回った。スーパーは、引き続き前年を下回った。旅館は、ユニバーサルスタジオジャパン効果がみられた。
 統計からみると、6月の大型小売店販売額(大阪府)は、16か月ぶりに前年比減を脱し、増加に転じた。このうち、百貨店は改装や営業時間の延長、不振店舗の閉鎖などの効果で、4か月連続の増加となった。スーパーは、20か月連続の減少となったものの、減少幅には縮小傾向がみられる。コンビニエンス・ストア販売額(近畿)は、既存店が11か月ぶりに増加に転じた。乗用車新規登録・販売台数は、小型乗用車が好調で、8か月連続の増加となった。家電販売額(近畿)は、家電リサイクル法の駆け込み需要の反動やパソコンの減速で、3か月連続の減少となったが、夏場に入り猛暑効果が売上げを押し上げている。
 個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、現金給与総額は3、4、5月と3か月連続の減少が続いている。一方、夏のボーナスは、妥結額で4年ぶりに前年を上回った。
 以上のように、個人消費は総じて低調であるが、一部に動きがみられる。


百貨店
 A社
 13年6月の売上げは、前年同月比10.2%増と大幅に増加した。これは、営業日数が1日増加したこと、中元の早期受注を実施したことの効果が大きい。
 品目別にみると、衣料品は、全体で1.8%増と増加に転じた。紳士服、婦人服はともに前年を上回り、紳士服では、低価格ビジネススーツや父の日のポロシャツ、一部ブランドが好調で、婦人服では、七分丈のパンツや薄手のはおり物、アウターに響かない下着、一部ブランドが好調であった。一方、子供服は一部ブランドを除いて不振が続いており、呉服も浴衣が好調な動きとなったほかは不振が続いている。また、寝具関連では、枕が好調であった。
 身の回り品は、11.5%の大幅増となった。婦人アクセサリー、カジュアル紳士靴、婦人バックベルトパンプスやウォーキングシューズ、旅行用品、濃い色目の晴雨兼用傘、ブランドバッグなどが好調で、全体的に動きがあった。
 家庭用品は、ブランド洋食器、高価格の輸入無水鍋に動きがあり、全体で1.7%増となった。
 食品は、中元ギフトを中心に、菓子、惣菜、ワイン、精肉、果物、弁当など、全般に好調で、19.6%の大幅増となった。
 そのほか、化粧品では、美白、スキンケアを中心に、これまでも好調であった外資系に加え国産化粧品にも動きが出てきた。
 7月の動きは、衣料品では婦人服、紳士服ともに前年を上回っており、食品も前年並で推移しているが、中元は受注が6月に前倒しになった反動が出ている。
 同社では、ここ数か月前年を上回る売上げを確保している。カード会員数も増加しており、地道な顧客囲い込みが効果を上げていると思われる。

 B社 6月の売上げは、営業日数の1日増、中元受注の前倒し効果や好調なブランドの動きなどで、3.1%の増加となった。父の日は、ポロシャツや甚平を中心にカジュアルが好調で、平均単価が数百円上昇した。客数は、6.8%増となった。これは、16万人の人出となった著名な人形作家の人形展や、放送局との提携で実施している食品催事の集客効果によるものである。
 品目別にみると、衣料品は1.9%減となった。紳士服は、高級ブランドやカジュアル衣料が堅調であったのを除くと、スーツを中心に不振が続いている。婦人服は、七分丈パンツや高級ブランドが好調で、不振が続いていたヤング向けも回復しつつあるものの、若干前年を下回っている。子供服は、一部ブランドを除いて不振が続いている。呉服も、浴衣が好調であったほかは不振が続いている。
 身の回り品は、3.8%増と好調な動きが続いている。バックベルトパンプス、シルバー素材のアクセサリー、キャンパス地や花柄のバッグ、ブランドバッグなどに動きがあった。
 家庭用品では、ブランド洋食器が堅調である。
 食品は、中元ギフトを中心に動きがあり、9.9%増となった。洋菓子、ビール、そうめんが好調であった。
 水着が好調で、ビキニタイプの動きが良かった。このほか、輸入時計が好調であり、化粧品もUVケア商品を中心に好調で、外資系に加え国産化粧品にも動きが出てきた。
 7月前半は、前年を上回る動きで推移している。
 ブランドについては、一部有名海外ブランドが好調に推移している。

スーパー
 C社
 6月の売上げは、全店ベースで1.9%減、既存店ベースで6.1%減となった。中元は、前年に引き続き早期割引を実施し、前年を上回る売上げとなった。父の日は、ホームウェアが好調で、ポロシャツやTシャツは不調であった。
 品目別にみると、衣料品は、引き続き全店ベース、既存店ベースともに前年を下回った。動きがあったのは、膝下丈パンツ、薄手のはおり物、低価格紳士スーツ、紳士カジュアルホームウェア、婦人ソックスなどで、猛暑効果でセパレーツタイプを中心とした水着、帽子、サングラスなども良かった。また、好調を持続している商品としては、トドラーやナショナルブランド婦人下着が挙げられる。
 服飾関係では、アクセサリー、トラベルバッグ、紳士靴での動きを除くと、不調であった。
 食品は、全店ベースで前年並となった。既存店ベースでは、売上げでは前年を下回り、客単価は前年並となった。月末からの猛暑効果で、トマトやレタスなどのサラダ野菜、もも、国産さくらんぼ、お茶やスポーツ飲料、発泡酒、刺身、ヨーグルト、氷菓、惣菜、おにぎりなど、手軽で涼しい食品を中心に動きがあった。また、精肉不振の中で、父の日のステーキや焼肉などは好調であった。
 住関連は、全店ベース、既存店ベースともに前年割れとなった。動きがあったのは、テレビゲーム、食器洗い機、携帯電話、ナショナルブランド化粧品、皮膚薬、殺虫剤、弁当箱、レジャー用品、枕などであった。家電リサイクル法の駆け込み需要の反動で不調の家電では、猛暑効果でエアコンが健闘した。
 7月も前年を下回る動きとなっている。特に、3連休の落ち込みが大きい。
 空梅雨でレジャーが盛んだったとみられ、おにぎり、惣菜、弁当箱、殺虫剤などのレジャー関連が動き、エアコンや食品には猛暑効果があった。

旅館
 D社
 大阪市内中心部に立地し、和室と洋室の両方を有するこの旅館は、主な顧客層はビジネス客であり、旅行社経由のグループ客の利用も多い。数年前までは、比較的好調であったが、シティホテルの低価格化やビジネスホテルの新設などの影響で、客足が落ちる傾向が続いていた。宿泊料金の引き下げを行い、巻き返しを図ったが、客足が戻るには約1年を要した。薄利多売の状況が続く中で、従業員を削減するなどして経費削減に努めているが、資金繰りは苦しい。
 ユニバーサルスタジオジャパンがプレオープンした3月半ばからは、客数が増え始め、堅調な動きが続いている。
 今後の課題は、大阪で宿泊を希望する顧客が、最初に旅館を念頭に置かない点であり、旅館が選択肢の一つに入るよう、大阪の旅館イメージを定着させていくことが重要である。



 

このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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